説明

【課題】取り扱いが容易で構造が簡単でありながら、頭部付近、特に頸部を安眠を促進するように冷やすことができる枕を提供する。
【解決手段】この枕1は、略円柱状に形成され、大理石や御影石などの石材からなる枕本体10と、枕本体10の両端部を回転自在に支持する支持部材11と、を備えることで、枕本体10を回転させて頸部に当接する周面部分を適宜かえることにより、長時間頸部を冷やすことが可能になり、安眠が促進される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安眠の促進に好適な、特に頸部を冷やして安眠を促進する枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、安眠促進を図るべく、様々な工夫を凝らした枕が提案されている。例えば、特許文献1に記載の枕は、多数の吹き出し孔を設けた枕本体に電動ファン装置を内蔵し、枕本体に頭部あるいは頸部を載せるとそれを検知して電動ファン装置が起動し、多数の吹出孔からエアーが吹き出て汗や湿気を吹き飛ばすと同時に頭部あるいは頸部を冷やすことができる。
【0003】
【特許文献1】実開平6−223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の枕は、電気を使っているため取り扱いに不便なことがある。すなわち、電池仕様のものでは電池が消耗したら入れ替えが必要になったり、商用電源仕様のものでは電源コンセントがある場所でしか使用することができなかったりする。日常的に使用する枕にあっては、電気を使わず取り扱いが容易で、しかも構造が簡単なものが望ましいことは言うまでもないことである。
【0005】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、取り扱いが容易で構造が簡単でありながら、頭部付近、特に頸部を安眠を促進するように冷やすことができる枕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の枕は、略円柱状に形成され石材からなる枕本体と、該枕本体の両端部を回転自在に支持する支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の枕は、請求項1に記載された枕において、前記石材は、自然石を研磨したものであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の枕は、請求項1又は2に記載された枕において、前記枕本体の両端部の中心部には、その間を貫通した軸孔が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の枕は、請求項1乃至3のいずれか記載された枕において、前記枕本体の後方に柔軟性を有する頭載部をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の枕によれば、石材からなる枕本体が回転自在に支持部材に支持され、それを回転させて頸部に当接する周面部分を適宜かえることにより、長時間頸部を冷やすことが可能になり、安眠が促進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。図1、図2、図3はそれぞれ、本発明の実施形態に係る枕1の正面図、平面図、側面図、図4は正面視断面図である。左側面図は右側面図と、底面図は平面図における最も外の輪郭(すなわち後述の基部11aの輪郭)の図とそれぞれ対称形なので左側面図及び底面図は省略している。枕1は、略円柱状に形成され石材からなる枕本体10と、枕本体10の両端部を回転自在に支持する支持部材11と、を備える。
【0012】
枕本体10は、大理石や御影石などの自然石の石材を略円柱状(例えば直径6cm、幅30cm)を成すように加工し、その表面を研磨し整えたものである。枕本体10の周面は滑らかであり軸対称である。
【0013】
枕本体10は、石材であるため熱伝導性が低く、単位体積当たりの熱容量が大きい。また、自然石を研磨したものなので、落ち着いた冷たい質感を有する。枕本体10は、後述のように頭部付近、特に頸部を冷やすように使用されるが、外観からもその効果を高めることができる。
【0014】
このように、枕本体10として自然石を研磨したものを用いるのが望ましいが、コスト低減のために石材を粒状又は粉状にして焼成したものを用いることもできる。この場合、適宜他の物質を混ぜることも可能であり、石材からなる枕本体にはこのような枕本体も含まれる。また、石材たる外観を重視しないならば、比較的厚みのない皮革などで被覆してもよい。
【0015】
略円柱状の両端部の中心部には、その間を貫通した軸孔(例えば直径2cm)10aが形成されている。軸孔10aには、後述の軸部11c、11cが差込まれる。枕本体10は、石材であるため比重が大きいが、中心部が貫通していると全体として軽量になる。一方、枕本体10の中心部は頸部を冷やす効果への寄与が少ない。従って、その効果を減じない程度に軸孔10aの直径を大きくすることで軽量化を図ることができる。
【0016】
なお、軽量化を図ることはできないが、コスト低減のために、軸孔10aのかわりに有底の軸穴(例えば直径2cm深さ4cm)をそれぞれの両端部に形成することも可能である。
【0017】
支持部材11は、表面加工(例えば漆調加工)された木製又はプラスチック製であり、枕本体10の平面視形状より大きい長方形状であって略平板状(例えば厚さ2cm)の基部11aと、枕本体10の側面視形状とほぼ同等な略平板状(例えば厚さ2cm)の脚部11b、11bからなる。さらに詳しくは、脚部11b、11bは、枕本体10の直径とほぼ同等な幅を有し、上端側を枕本体10の円弧とほぼ同等な半円状としている。また、半円状の中心部には、前述の枕本体10の軸孔10aに差込むための軸部11c、11c(例えば直径1.8cm長さ3.8cm)を取着している。この軸部11c、11cは、金属製又はプラスチック製である。
【0018】
脚部11b、11bは、軸部11c、11cを軸孔10aに差込むことにより、使用の際に枕本体10の上側に位置する周面が頸部に当接するように、枕本体10の高さを適宜位置に維持し、枕本体10を回転自在に支持する。また、基部11aに2個の脚部11b、11bを取着することにより、枕本体10が脚部11b、11bから外れることなく、枕本体10の軸線が水平位置に保持されることとなる。なお、軸部11c、11cは、枕本体10の重量と頭部重量の合算した値に十分耐えうる強度としている。また、軸部11c、11c同士をつなぐことでさらに強度を高めることも可能である。
【0019】
次に、枕1の使用(取り扱い)方法について説明する。図5は、枕1の使用状態を表したものである。図に示すとおり、使用の際、仰向けになって枕本体10に頸部を載せる。また、頸部の上の後頭部には、柔軟性を有するクッション12などを敷くのが望ましい。そして、時間が経過して冷涼感がなくなると、枕本体10を軸部11c、11cを中心に回転させ、それまで頸部に当接していなかった残りの部分が頸部に当接するようにする。
【0020】
枕本体10は、使用前は置かれていた環境の温度と等しい温度になっている。通常その温度は体温よりも低いため、頸部の熱は枕本体10に奪われて冷涼感を感じることとなる。枕本体10は、奪った熱により頸部の接触面近傍は局所的に温度が上昇するが、熱伝導性が低いため、頸部の接触面近傍以外はほぼ影響を受けず冷たさを保っている。従って、枕本体10を回転させることにより、長時間頸部を冷やすことが可能になるのである。
【0021】
こうして、枕本体10が回転自在に支持部材11に支持され、それを回転させることにより、長時間頸部を冷やし、その周辺の頭部の熱を自然に取ることにより、いわゆる頭寒足熱効果により寝つきを良くし、安眠を促すことができる。また、頭部の熱を取ることは、冷え性に対しても効果が期待できる。また、枕本体10は、略円柱状であって剛性を有するので、頚椎の歪みの矯正に利用して健康増進効果の増大を図ることも可能である。
【0022】
次に、本発明の別の実施形態に係る枕2を説明する。図6は枕2の平面図である。枕1は前述のようにクッションと同時に使用されるのが望ましかったが、枕2は、クッションのかわりに、枕本体10の後方に後頭部を載せるために柔軟性を有する頭載部22を備えている。従って、この支持部材21は、その基部21aが長方形状ではなく、中央付近が後方に張出した形状とする。脚部21bは、枕1の脚部11bと同様である。頭載部22は、例えば面ファスナ22aにより基部21aに固着する。
【0023】
頭載部22は、布製の袋体に綿、そば殻、樹脂製のビーズなどの充填材を詰めたものである。或いは、低反発能を有する素材(例えばウレタン性)であってもよい。大きさは、例えば縦13cm、横15cmであるが、制限はなく、安定して頭を載せることができればよい。
【0024】
枕2は、枕1と同様の効果を有し、さらに後頭部を載せる柔軟性のある頭載部22の位置が固定するので常に快適な枕本体10と頭載部22の相対的位置を保持することができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態に係る枕について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、寝心地の更なる改善のため、枕本体10の軸方向の中心部分の表面に軸対称に窪みを付けたり、その他実施形態に記載した寸法や形状を適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る枕の正面図である。
【図2】同上の枕の平面図である。
【図3】同上の枕の側面図である。
【図4】同上の枕の正面視断面図である。
【図5】同上の枕の使用状態を表した図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係る枕の平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1、2 枕
10 枕本体
10a 軸孔
11、21 支持部材
22 頭載部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円柱状に形成され石材からなる枕本体と、
該枕本体の両端部を回転自在に支持する支持部材と、を備えることを特徴とする枕。
【請求項2】
請求項1に記載された枕において、
前記石材は、自然石を研磨したものであることを特徴とする枕。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された枕において、
前記枕本体の両端部の中心部には、その間を貫通した軸孔が形成されていることを特徴とする枕。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された枕において、
前記枕本体の後方に柔軟性を有する頭載部をさらに備えることを特徴とする枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−289294(P2007−289294A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118567(P2006−118567)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(506138476)
【出願人】(593151572)
【Fターム(参考)】