説明

【課題】通気性に優れると共に、良好なホールド感が得られ、使用者に不快感を与えることがなく、かつ、睡眠に大切な寝返りを阻止することがない、枕を提供する。
【解決手段】この枕10は、クッション体30と該クッション体30を包み込むカバー部材20とからなり、カバー部材20は、所定間隔で配置された一対の編地とこれらの編地を連結する連結繊維とで形成された三次元立体編物を、二枚重ねてそれらの周囲を縁取りカバー27で覆って縫着した構造をなし、前記クッション体30は、前記カバー部材と同様の三次元立体編物からなる通気クッション40と、発泡ラテックスからなる高反発クッション50とからなり、前記高反発クッションには、その厚さ方向に貫通する複数の通気孔51が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元立体編物と発泡ラテックスとを併用した枕に関する。
【背景技術】
【0002】
枕には種々の構造・材質のものが用いられているが、その一つとして頭部が深く沈み込む低反発材料(低反発ウレタン等)からなる枕が人気を博している。但し、このような低反発枕は、使用する人によっては、首筋が痛くなったり、肩凝りや頭痛が生じたりする場合があった。その原因は、枕が柔らかすぎて、頭部が深く沈み込んでしまうことにより、寝返りがしにくくなり、血行が悪くなるためと考えられている。
【0003】
そこで、高反発の芯材を備える枕が実用化されている。例えば、下記特許文献1には、天然ゴムラテックスにタンニン酸を含有された発泡エラストマーを芯材として用いる枕が記載されている。この枕によれば、頭部の沈み込みが抑制されるので、寝返りがしやすくなるという効果が得られる。しかし、上記のラテックス製の芯材は、通気性がほとんどなく、熱がこもりやすくなるので、蒸れやすいという不都合が生じることがあった。
【0004】
一方、下記特許文献2には、第1の網目状部材と、この第1の網目状部材から所定寸法離れて設けられる第2の網目状部材とを連結部材で連結して構成された三次元構造繊維体を備える寝具が開示され、該寝具として枕が例示されている。そして、三次元構造繊維体を備えた枕は、通気性に優れ、後頭部が多数の点で支持されることにより、後頭部の圧力が均一に分散され、軽量で取り扱いが容易となることが記載されている。
【0005】
また、下記特許文献3には、複数枚の三次元編織弾性層と、複数枚の合成樹脂独立発泡弾性シートを重ねた合成樹脂独立発泡層とを重ねた状態の主体部と、前記主体部の下方に少なくとも1枚の合成樹脂独立発泡弾性シートを有する調整部により枕を構成しており、前記主体部は調整部とは区別されて内袋の中に収納されており、この調整部は使用者が抜き差しにより高さを調整するように構成した、高さが調整できる枕が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−56858号公報
【特許文献2】特開2001―137076号公報
【特許文献3】特開2007−37912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2,3に記載された三次元構造繊維体や三次元編織弾性層を用いた枕は、通気性に優れているものの、その弾性力が単調であり、頭部をある程度沈み込ませた状態で、それ以上は沈み込まないように支持するというようなホールド感が得られにくいという問題があった。
【0008】
また、特許文献3では、三次元編織弾性層と合成樹脂独立発泡弾性シートとを組み合わせているものの、合成樹脂独立発泡弾性シートとして、ポリウレタン、ポリエチレンなどの発泡シートが用いられているため、良好なホールド感が十分に得られないという問題があった。
【0009】
更に、特許文献2,3に記載された三次元構造繊維体や三次元編織弾性層は、その切断面で多数の繊維が切断された状態となり、この切断された繊維の端部が枕から飛び出して、使用者の頭部や肌に当たり、不快感を与える可能性があった。
【0010】
したがって、本発明の目的は、通気性に優れると共に、良好なホールド感が得られ、使用者に不快感を与えることがなく、かつ、睡眠に大切な寝返りを阻止することがない、枕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の枕は、クッション体と該クッション体を包み込むカバー部材とからなる枕であって、
前記カバー部材は、所定間隔で配置された一対の編地とこれらの編地を連結する連結繊維とで形成された三次元立体編物を、二枚重ねてそれらの周囲を縁取りカバーで覆って縫着した構造をなし、
前記クッション体は、前記カバー部材と同様の三次元立体編物からなる通気クッションと、発泡ラテックスからなる高反発クッションとからなり、前記高反発クッションには、その厚さ方向に貫通する複数の通気孔が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、カバー部材として三次元立体編物を用い、クッション体として、三次元立体編物からなる通気クッションと、発泡ラテックスからなる高反発クッションとを用いたので、頭部を乗せたときに、高反発クッションで頭部の荷重が支持されると共に、その荷重が三次元立体編物によって適度に分散されるため、頭部をある程度沈み込ませた状態で、それ以上は沈み込まないように支持され、良好なホールド感を与えつつ、寝がえりをしやすくすることができる。
【0013】
また、カバー部材が通気性を有する三次元立体編物であるのに加え、クッション体を構成する通気クッションも通気性を有する三次元立体編物からなり、かつ、高反発クッションにも通気孔が形成されているので、カバー部材、通気クッション、高反発クッションに亘って空気が流通可能となり、高反発クッションによる頭部の上記ホールド感を得つつ、優れた通気性を確保することができ、頭部近辺の熱をこもりにくくして就寝時の蒸れを効果的に防止でき、より快適な睡眠環境を提供することができる。
【0014】
また、三次元立体編物と、発泡ラテックスとを併用したことにより、クッション体の厚みを確保しつつ軽量化を図ることができ、枕の取扱い性を向上させることができる。
【0015】
更に、カバー部材は、その周囲を縁取りカバーで覆って縫着した構造をなすので、三次元立体編物の端部に露出する繊維が、枕の表面に突き出して、使用者の頭や肌に触れることを防止できる。
【0016】
本発明の枕においては、前記クッション体は、三次元立体編物からなる通気クッションを、発泡ラテックスからなる高反発クッションで、前記通気クッションがその周縁まで前記高反発クッションによって覆われるように挟み込んだ構造をなすことが好ましい。
【0017】
上記態様によれば、通気クッションがその周縁まで高反発クッションによって覆われるように挟み込まれているので、通気クッションの端部に露出する繊維が、枕の表面から突出することを確実に防止することができる。また、中心に三次元立体編物からなる通気性クッション、その外周に発泡ラテックスからなる高反発クッション、その更に外周に三次元立体編物からなるカバー部材が配置されるので、通気性を良好に維持しつつ、クッション性を高めて、良好なホールド感を付与することができる。
【0018】
また、前記カバー部材を構成する三次元立体編物の編地の網目の開口面積は、前記通気クッションを構成する三次元立体編物の編地の網目の開口面積よりも小さくされていることが好ましい。
【0019】
上記態様によれば、カバー部材を構成する三次元立体編物の編地の網目の開口面積が小さくされているので、頭部を乗せたときの感触を良好にし、カバー部材の編地の網目に髪の毛等が入り込みにくくすることができる。また、通気クッションの編地の網目の開口面積を大きくすることにより、通気性を高めることができると共に、製造コストを低減することができる。
【0020】
更に、前記発泡ラテックスは、天然ゴムラテックス及びタンニン酸を含有するものであることが好ましい。
【0021】
上記態様によれば、ラテックスアレルギーの原因となるアレルゲンがタンニン酸により低減されると共に、ラテックスのゴム臭をタンニン酸により軽減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、頭部を乗せたときに、高反発クッションで頭部の荷重が支持されると共に、その荷重が三次元立体編物によって適度に分散されるため、頭部をある程度沈み込ませた状態で、それ以上は沈み込まないように支持され、良好なホールド感を与えつつ、寝がえりをしやすくすることができる。また、優れた通気性を確保することができ、頭部近辺の熱をこもりにくくして就寝時の蒸れを効果的に防止でき、より快適な睡眠環境を提供することができる。更に、クッション体の厚みを確保しつつ軽量化を図ることができ、枕の取扱い性を向上させることができる。更にまた、三次元立体編物の端部に露出する繊維が、枕の表面に突き出して、使用者の頭や肌に触れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の枕の分解斜視図である。
【図2】同枕の斜視図である。
【図3】同枕のカバー部材を構成する三次元立体編物の編地の網目形状を示す拡大説明図である。
【図4】同枕の通気クッションを構成する三次元立体編物の編地の網目形状を示す拡大説明図である。
【図5】同枕の断面図である。
【図6】同枕において、通気クッションと高反発クッションとの大きさの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1〜6を参照して、本発明の枕の一実施形態について説明する。
【0025】
図1に示すように、この枕10は、クッション体30と、このクッション体30を包み込むカバー部材20とから構成されている。
【0026】
図5に示すように、カバー部材20は、複数の網目を有する一対の編地21,21、及び、これらの編地21,21どうしを連結する連結繊維23により形成され、通気性を有する三次元立体編物からなっている。編地21は、この実施形態の場合、図3に示すようなハニカム状の網目を有している。連結繊維23は、一対の編地21間を所定パターンで往復して、一対の編地21,21の間に所定の空隙を設けつつ、両者を連結するようになっている。
【0027】
編地21としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維など、任意の繊維を用いることができる。
【0028】
連結繊維23としては、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の合成繊維を用いることができる。
【0029】
このような三次元立体編物は、例えば特開2006−207058号公報などに記載された方法で製造できると共に、既に各社から市販されているので、そのような市販品を利用することができる。
【0030】
カバー部材20は、ほぼ長方形状の三次元立体編物を二枚重ね合わせて、その周囲を縁取りカバー27で覆って縫着した構造をなしている。この実施形態では、図1に示すように、一対の三次元立体編物の長さ方向両側辺の周縁及び幅方向一側辺の周縁を、縁取りカバー27で縫着して、一端が開口した袋状とし、この袋状のカバー部材20内にクッション体30を収納して、開口部周縁を縁取りカバー27で縫着することにより、図2に示す枕10が構成されるようになっている。縁取りカバー27としては、三次元立体編物の端部の繊維の突き出しを防止できるように、細かい目で編んだ布体などが用いられる。
【0031】
上記カバー部材20内に収容されるクッション体30は、上記カバー部材20に適合するように、略長方形状をなした通気クッション40と、同じく長方形状をなした高反発クッション50とから構成されている。この実施形態では、一対の高反発クッション50,50と、これらの間に挟み込まれる一つの通気クッション40とからなっている。
【0032】
図1に示すように通気クッション40は、略長方形で所定厚さの板状をなしており、前記カバー部材20と同様に、複数の網目を有する一対の編地41,41、及び、これらの編地41,41どうしを連結する連結繊維43により形成され、通気性を有する三次元立体編物からなっている。
【0033】
図3及び図4に示すように、前記カバー部材20の編地21の網目の開口面積(網目の1個当たりの開口面積)S1(図3参照)は、通気クッション40の編地41の網目の開口面積(網目の1個当たりの開口面積)S2(図4参照)よりも小さくなるように形成されている。
【0034】
また、枕10に組み込む前の自由状態において、通気クッション40の厚さT2(図1参照)は、前記カバー部材20の厚さT1(図5参照)よりも厚くなるように形成されている。
【0035】
なお、編地41及び連結繊維43の材料や、その他の構造等は、前記カバー部材20の編地21及び連結繊維23と同様とすることができる。
【0036】
図6に示すように、長方形状の通気クッション40は、同じく長方形状をなした高反発クッション50よりも、幅や長さが小さい形状をなしている。したがって、クッション体30をカバー部材20内に収納したとき、図5に示すように、通気クッション40の周縁が一対の高反発クッション50,50により覆われるようになっている。
【0037】
上記通気クッション40と組み合わされてクッション体30を構成する高反発クッション50は、発泡ラテックスからなり略長方形で所定厚さの板状をなしている。この高反発クッション50には、表面及び裏面を連通するように厚さ方向に沿って複数の通気孔51が形成されている(図1,5参照)。この実施形態の場合、高反発クッション50の幅方向に沿って均等な間隔で配置された複数の通気孔51が、高反発クッション50の長さ方向の一端から他端に亘って均等な間隔で配列されている。但し、通気孔51の配置パターンは、上記態様に限定されず、目的に応じて種々のパターンを採用することができる。
【0038】
また、高反発クッション50を形成する発泡ラテックスとしては、この実施形態の場合、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、脱蛋白天然ゴム(DPNR)ラテックス等の天然ゴムラテックスに、加水分解型ガロタンニン、加水分解型エラジタンニン、縮合型タンニン等のタンニン酸を含有するものとなっている。このような発泡ラテックスの製造方法については、例えば前記特開2008−56858号公報に詳しく説明されている。
【0039】
なお、上記高反発クッション50における「高反発」とは、圧力が作用して弾性変形しても、すぐに元の形状に戻るという意味、すなわち、弾性復元力が高いという意味であって、従来技術において説明した低反発(柔軟であるが、弾性変形すると、元の形状に戻るのに時間がかかる)に対するものである。
【0040】
高反発性は、高反発クッション50の反発弾性率により評価することができる。反発弾性率は、例えばJIS K 6400 A法(1997年)に準拠して測定することができる。その一例として、本発明の高反発クッション50に用いられる発泡ラテックスからなる試験片1の反発弾性率(%)と、比較として軟質ウレタンフォームからなる試験片2の反発弾性率(%)とを測定した結果を以下に示す。
【0041】
試験片1は、縦100mm、横100mm、厚さ74mmにカットされた発泡ラテックスを2枚重ねて作成した。試験片2は、縦100mm、横100mm、厚さ68mmにカットされた軟質ウレタンフォームを2枚重ねて作成した。これらの試験片1,2について、上記のJIS K 6400 A法(1997年)に基づいて、反発弾性率(%)を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
上記表1に示されるように、発泡ラテックスからなる試験片1は、軟質ウレタンフォームからなる試験片2に比べて、反発弾性率(%)が著しく高いことがわかる。
【0044】
なお、本発明において用いる発泡ラテックスからなる高反発クッションは、上記JIS K 6400に基づく試験方法で測定される反発弾性率が、10%以上のものであることが好ましい。
【0045】
次に上記構造からなる枕の使用方法及び作用効果について説明する。
【0046】
この実施形態における枕10は、まず、一対の高反発クッション50,50の間に、通気クッション40を挟み込んでクッション体30を構成し、その後、このクッション体30を一端が開口した袋状のカバー部材20内に詰め込んでいき、最後にカバー部材20の開口周縁を縁取りカバー27により縫着することにより、枕10が製造される。
【0047】
このとき、カバー部材20は、二枚の三次元立体編物を重ねられた構造をなしていて、それらの周囲が縁取りカバー27で縫着されているので、縫着しにくい三次元立体編物どうしを確実に接合させることができると共に、縁取りカバー27によって三次元立体編物の端部の繊維が、枕10の表面に突き出すことを防止できる。
【0048】
なお、この製造方法は一例であって特に限定されるものではない。例えば、長さ方向両端が開口した筒状のカバー部材20を用いて、このカバー部材20内にクッション体30を収納した後、両端の開口部周縁を縁取りカバー27で縫着することで、枕10を製造してもよい。
【0049】
このとき、図6に示すように、通気クッション40は、高反発クッション50に対して外側寸法が小さく形成され、通気クッション40の周縁が一対の高反発クッション50,50により覆われるようになっている。そのため、図5に示すように、カバー部材20内にクッション体30が収納されたときに、通気クッション40を構成する三次元立体編物の端部の繊維が、枕10の表面に突き出すことを防止できる。また、通気クッション40の表裏の周縁が一対の高反発クッション50,50により押え付けられることとなるので、カバー部材20内で通気クッション40が位置ずれしてしまうことを防止することができる。
【0050】
こうして得られる本発明の枕10は、カバー部材20として三次元立体編物を用い、クッション体30として、三次元立体編物からなる通気クッション40と、発泡ラテックスからなる高反発クッション50とを用いたので、頭部を乗せたときに、まず、発泡ラテックスである高反発クッション50により、その荷重が支持される。このとき、高反発クッション50には、所定部位に集中して荷重が作用するが、この荷重が三次元立体編物の面により受け止められて、適度に分散されるようになっている。すなわち、高反発クッション50で頭部の荷重が支持され、その荷重が三次元立体編物によって適度に分散される。その結果、頭部をある程度沈み込ませた状態で、それ以上は沈み込まないように支持されて、良好なホールド感を与えながら、睡眠時に大切な寝返りをスムーズに行うことができ、頭部の沈み込みによる就寝時の血行障害を効果的に防止して、首筋の痛みや肩凝り、頭痛等が生じにくくなり、快適に眠ることができる。
【0051】
また、枕10を長時間使用すると、頭部と枕10との間に熱がこもっていくが、この枕10では、カバー部材20が通気性を有する三次元立体編物であるのに加え、クッション体30を構成する通気クッション40も、カバー部材20と同様の通気性を有する三次元立体編物からなり、更にクッション体30を構成する高反発クッション50にも、通気孔51が形成されているので、図5の矢印に示す如く、カバー部材20→高反発クッション50→通気クッション40→高反発クッション50→カバー部材20という、枕10を貫通する通気路が形成されて、空気をスムーズに流通させることができ、その結果、通気性を向上させて、頭部近辺の熱をこもりにくくして、就寝時の蒸れを効果的に防止することができる。
【0052】
以上のように、この枕10においては、高反発クッション50及び三次元立体編物による相乗効果によって、頭部の過度の沈み込みを効果的に防ぎ、寝返りしやすい良好なホールド感を付与できると共に、三次元立体編物からなるカバー部材20及び通気クッション40と、通気孔51を有する高反発クッション50とによって、枕全体の通気性を大幅に向上させて、熱がこもりにくく、蒸れにくい理想的な睡眠環境を得ることができる。
【0053】
また、この枕10は、三次元立体編物と、発泡ラテックスとを併用したことにより、クッション体の厚みを確保しつつ軽量化を図ることができ、取扱い性を向上させることができる。
【0054】
更に、図3及び図4に示すように、この枕10においては、カバー部材20の編地21の網目の開口面積S1は、通気クッション40の編地41の網目の開口面積S2よりも小さくなるように形成されているので、カバー部材20の編目から、枕使用者の髪が入り込みにくくして、髪の毛が引っ掛かったりすることを防止できる。なお、カバー部材20の外側を、更に布製の枕カバーで覆って使用することもできる。
【0055】
更に、通気クッション40の厚さT2は、カバー部材20の厚さT1よりも厚くなるように形成されているので、三次元立体編物からなるカバー部材20により形成される通気層の厚さよりも、同じく三次元立体編物からなる通気クッション40により形成される通気層の厚さを大きく確保することができ、クッション性と通気性をより高めることが可能となる。
【0056】
また、高反発クッション50を形成する発泡ラテックスは、天然ゴムラテックス及びタンニン酸を含有するものであるので、ラテックスアレルギーの原因となるアレルゲンがタンニン酸により低減されると共に、ラテックスのゴム臭をタンニン酸により軽減することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 枕
20 カバー部材
21 編地
23 連結繊維
27 縁取りカバー
30 クッション体
40 通気クッション
41 編地
43 連結繊維
50 高反発クッション
51 通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッション体と該クッション体を包み込むカバー部材とからなる枕であって、
前記カバー部材は、所定間隔で配置された一対の編地とこれらの編地を連結する連結繊維とで形成された三次元立体編物を、二枚重ねてそれらの周囲を縁取りカバーで覆って縫着した構造をなし、
前記クッション体は、前記カバー部材と同様の三次元立体編物からなる通気クッションと、発泡ラテックスからなる高反発クッションとからなり、前記高反発クッションには、その厚さ方向に貫通する複数の通気孔が形成されていることを特徴とする枕。
【請求項2】
前記クッション体は、三次元立体編物からなる通気クッションを、発泡ラテックスからなる高反発クッションで、前記通気クッションがその周縁まで前記高反発クッションによって覆われるように挟み込んだ構造をなす請求項1記載の枕。
【請求項3】
前記カバー部材を構成する三次元立体編物の編地の網目の開口面積は、前記通気クッションを構成する三次元立体編物の編地の網目の開口面積よりも小さくされている請求項1又は2記載の枕。
【請求項4】
前記発泡ラテックスは、天然ゴムラテックス及びタンニン酸を含有するものである請求項1〜3のいずれか1つに記載の枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−81094(P2012−81094A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230204(P2010−230204)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(503247791)アクトインテリア株式会社 (4)
【Fターム(参考)】