説明

果実包装容器、この果実包装容器を用いた果実輸送方法、及びこの果実包装容器を用いた果実保管方法

【課題】果実の果柄を挟持することで容器内での果実の動きを確実に抑制できるとともに果柄の折れ等による劣化を抑制でき、果実の容器への接触を少なくする果実包装容器を提供すること。
【解決手段】本発明の果実包装容器は、凹部11が形成された容器本体10と、容器本体10の開口を覆う蓋体20とを備え、容器本体10の凹部11周辺には本体側果柄挟持片14が形成され、蓋体20には本体側果柄挟持片14と当接する位置に蓋体側果柄挟持片24が形成され、果実を凹部11に配置した状態で、本体側果柄挟持片14と蓋体側果柄挟持片24とによって果実の果柄41を挟持することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にイチゴ果実の品質保持を目的とした果実包装容器、この果実包装容器を用いた果実輸送方法、及びこの果実包装容器を用いた果実保管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年イチゴ産地では、付加価値を高める目的で良食味イチゴの導入が進んでいる。一般的に果肉が軟らかい良食味イチゴは、輸送による損傷を生じやすいために輸出を含めた長距離輸送が難しい。このような背景を受け、収穫したイチゴを損傷させることなく、高品質な状態で消費者へ提供するための新しい果実包装容器の開発が要望されている。
イチゴ果実の輸送時の損傷防止を目的として、果底部を下にして窪みに果実を設置する容器が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
また、果実を収容する凹部に果柄などの突起物を貫挿する挿通部を形成した果実用輸送パックが提案されている(特許文献3)。
また、イチゴの果柄をスリットに差し込んで吊すことで輸送や陳列を行う容器が提案されている(特許文献4、特許文献5)。
また、イチゴの果柄を保持するとともに果底部を下方に配置する果実保持部材が提案されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−257674号公報
【特許文献2】特開平8−133369号公報
【特許文献3】実開平7−040567号公報
【特許文献4】特開2009−7014号公報
【特許文献5】特開2010−47307号公報
【特許文献6】特開2009−190763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び特許文献2で提案されている容器では、果実硬度が高い果底部で自重を受けるため、損傷を少なくすることはできるが、果肉が容器に触れることが多く果肉部の損傷を生じやすい。
また、特許文献3では、果柄を差し込む挿通部を形成しているが、この挿通部によって果柄などの突起物が他の果実に損傷を与えることを防止するものであり、必ずしも果実の動きを抑制するものではない。
また、特許文献4及び特許文献5では、イチゴを吊すことで果肉が容器に触れないというメリットはあるが、果柄に自重が加わるため、果柄の損傷によってイチゴが落下してしまう可能性が極めて高くなってしまう。
一方、特許文献6では、果柄による果実の動きを抑制し、更には果実硬度が高い果底部で自重を受けるため、損傷を少なくすることができるが、果柄の保持にスリット形状を用いているために、果柄の損傷を受けやすく、果実の動きを抑制しにくい。また、特許文献6の構成では、その製作に複数工程を要してしまい、またスリットの成形が難しく量産化しにくい。
【0005】
そこで本発明は、果実の果柄を挟持することで容器内での果実の動きを確実に抑制できるとともに果柄の折れ等による劣化を抑制でき、果実の容器への接触を少なくする果実包装容器を提供することを目的とする。
また本発明は、果肉の包装容器への接触を防止して輸送や保管における損傷を少なくすることができる果実包装容器を用いた果実輸送方法、及び果実包装容器を用いた果実保管方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の果実包装容器は、凹部が形成された容器本体と、前記容器本体の開口を覆う蓋体とを備え、前記容器本体の前記凹部周辺には本体側果柄挟持片が形成され、前記蓋体には前記本体側果柄挟持片と当接する位置に蓋体側果柄挟持片が形成され、果実を前記凹部に配置した状態で、前記本体側果柄挟持片と前記蓋体側果柄挟持片とによって前記果実の果柄を挟持することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の果実包装容器において、前記蓋体には凹部が形成され、前記容器本体の前記凹部と前記蓋体の前記凹部とによって前記果実の収容空間を形成し、前記容器本体と前記蓋体とがヒンジ部によって連接され、前記容器本体、前記蓋体、及び前記ヒンジ部をプレス加工によって一体成形したことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の果実包装容器において、前記容器本体には、前記容器本体の前記凹部を包囲する土手が形成されるとともに前記土手の外方に本体側フランジが形成され、前記蓋体には、前記土手に当接する受け部が形成されるとともに前記受け部の外方に蓋体側フランジが形成され、前記土手の一部を低くして前記本体側果柄挟持片が形成され、前記受け部の一部を高くして前記蓋体側果柄挟持片が形成され、前記本体側果柄挟持片は前記本体側フランジ面よりも高く形成し、前記蓋体側果柄挟持片の外方に位置する蓋体側フランジには他の箇所よりも低い逃がし部を形成したことを特徴とする。
請求項4記載の本発明の果実包装容器を用いた果実輸送方法は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の果実包装容器を用いた果実輸送方法であって、前記果実がイチゴであり、前記果実を収容した状態では前記本体側果柄挟持片及び前記蓋体側果柄挟持片を下方として輸送することを特徴とする。
請求項5記載の本発明の果実包装容器を用いた果実保管方法は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の果実包装容器を用いた果実保管方法であって、前記果実がイチゴであり、前記果実を収容した状態では前記本体側果柄挟持片及び前記蓋体側果柄挟持片を下方として保管することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容器本体に形成した本体側果柄挟持片と、蓋体に形成した蓋体側果柄挟持片とによって果実の果柄を挟持するため、果柄の折れ等による劣化を抑制でき、容器内での果実の動きを確実に抑制できる。
また、本発明によれば、イチゴの動きを果柄の挟持によって抑制できるとともに、果実硬度が高い果底部でイチゴの自重を受けるため、果肉の包装容器への接触を防止して輸送や保管における損傷を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例による果実包装容器の開状態を示す平面図
【図2】同果実包装容器の開状態を示す正面図
【図3】同果実包装容器の閉状態を示す平面図
【図4】同果実包装容器の閉状態を示す正面図
【図5】同果実包装容器の開状態を示す斜視図
【図6】本実施例による果実包装容器の陳列状態を示す側面図
【図7】同果実包装容器の陳列状態を示す正面図
【図8】本実施例による果実包装容器の保管状態又は輸送状態を示す斜視図
【図9】本実施例による果実包装容器への果実収容ステップを示す斜視図
【図10】本実施例による果実包装容器への果実収容ステップを示す斜視図
【図11】本実施例による果実包装容器への果実収容ステップを示す斜視図
【図12】同果実包装容器の開状態を示す正面図
【図13】本実施例による果実包装容器を用いた場合の特性図
【図14】比較例による既存の果実包装容器を用いた場合の特性図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による果実包装容器は、凹部が形成された容器本体と、容器本体の開口を覆う蓋体とを備え、容器本体の凹部周辺には本体側果柄挟持片が形成され、蓋体には本体側果柄挟持片と当接する位置に蓋体側果柄挟持片が形成され、果実を凹部に配置した状態で、本体側果柄挟持片と蓋体側果柄挟持片とによって果実の果柄を挟持するものである。本実施の形態によれば、容器本体に形成した本体側果柄挟持片と、蓋体に形成した蓋体側果柄挟持片とによって果実の果柄を挟持するため、果柄の折れ等による劣化を抑制でき、容器内での果実の動きを確実に抑制できる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による果実包装容器において、蓋体には凹部が形成され、容器本体の凹部と蓋体の凹部とによって果実の収容空間を形成し、容器本体と蓋体とがヒンジ部によって連接され、容器本体、蓋体、及びヒンジ部をプレス加工によって一体成形したものである。本実施の形態によれば、容器本体と蓋体との双方に凹部を形成することで、容器本体だけに凹部を形成する場合と比較して凹部の深さを浅くできるため、プレス加工を容易にでき、容器本体と蓋体とをヒンジ部で連接して一体成形することで、少ない加工工数で包装容器を製作することができる。更に、多くの果実は果肉の中央に果柄があるため、果肉の包装容器への接触を少なくすることができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による果実包装容器において、容器本体には、容器本体の凹部を包囲する土手が形成されるとともに土手の外方に本体側フランジが形成され、蓋体には、土手に当接する受け部が形成されるとともに受け部の外方に蓋体側フランジが形成され、土手の一部を低くして本体側果柄挟持片が形成され、受け部の一部を高くして蓋体側果柄挟持片が形成され、本体側果柄挟持片は本体側フランジ面よりも高く形成し、蓋体側果柄挟持片の外方に位置する蓋体側フランジには他の箇所よりも低い逃がし部を形成したものである。本実施の形態によれば、本体側果柄挟持片は本体側フランジ面よりも高く形成しているので果柄が本体側フランジに接触することを防止でき、また蓋体側果柄挟持片の外方に位置する蓋体側フランジには他の箇所よりも低い逃がし部を形成しているので果柄が蓋体側フランジに接触することを防止でき、本体側果柄挟持片及び蓋体側果柄挟持片での果柄の挟持を確実に行うことができる。
本発明の第4の実施の形態による果実包装容器を用いた果実輸送方法は、第1から第3の実施の形態による果実包装容器を用いた果実輸送方法において、果実がイチゴであり、果実を収容した状態では本体側果柄挟持片及び蓋体側果柄挟持片を下方として輸送するものである。本実施の形態によれば、イチゴの動きを果柄の挟持によって抑制できるとともに、果実硬度が高い果底部でイチゴの自重を受けるため、果肉の包装容器への接触を防止して輸送における損傷を少なくすることができる。
本発明の第5の実施の形態による果実包装容器を用いた果実保管方法は、第1から第3の実施の形態による果実包装容器を用いた果実保管方法において、果実がイチゴであり、果実を収容した状態では本体側果柄挟持片及び蓋体側果柄挟持片を下方として保管するものである。本実施の形態によれば、イチゴの動きを果柄の挟持によって抑制できるとともに、果実硬度が高い果底部でイチゴの自重を受けるため、果肉の包装容器への接触を防止して陳列などの保管における損傷を少なくすることができる。
【実施例】
【0010】
以下本発明の一実施例による果実包装容器について説明する。
図1は本実施例による果実包装容器の開状態を示す平面図、図2は同果実包装容器の開状態を示す正面図、図3は同果実包装容器の閉状態を示す平面図、図4は同果実包装容器の閉状態を示す正面図、図5は同果実包装容器の開状態を示す斜視図である。
図に示すように、本実施例による果実包装容器は、凹部11が形成された容器本体10と、容器本体10の開口を覆う蓋体20とを備えている。容器材としては、透明のペット材を用いることが適している。
【0011】
容器本体10には、容器本体10の凹部11を包囲する土手12が形成されている。土手12は、容器本体10の開口を上方とした場合に、凹部11の周囲から所定高さで立ち上がり、所定幅で外方に延出した土手面12aを形成し、その後下方に延出することで外壁面12bを形成している。そして、この外壁面12bの下端部には、土手12の外方に向けて本体側フランジ13が形成されている。なお、本体側フランジ13は、土手12を包囲するように全周に形成されている。本体側果柄挟持片14は、土手12の一部を低くし、本体側フランジ13の面よりも高く形成している。従って、本体側果柄挟持片14は、所定幅の平坦部が形成されている。
凹部11は図1に示すように平面視で外形形状が六角形に形成されており、土手12及び本体側フランジ13も六角形に形成され、外壁面12bの角部には外方突起12cが形成されている。これらの外方突起12cによって、容器本体10と蓋体20とが係合して蓋体20の容器本体10からの離脱を防止している。また、本体側フランジ13の一部には、舌部15が形成されている。なお、凹部11、土手12、及び本体側フランジ13は、本体側果柄挟持片14が形成された側の辺を六角形の辺の中で最も長い辺として構成している。
【0012】
蓋体20には、蓋体20の凹部21を包囲する受け部22が形成されている。この受け部22は、土手面12aに当接する平面22aと、平面22aから所定高さで立ち上がり外壁面12bに当接する内壁面22bによって形成され、土手12に当接する。そして、内壁面22bの上端部には、受け部22の外方に向けて蓋体側フランジ23が形成されている。なお、蓋体側フランジ23は、受け部22を包囲するように全周に形成されている。蓋体側果柄挟持片24は、平面22aの一部を高くして形成している。従って、蓋体側果柄挟持片24は、本体側果柄挟持片14と同様に所定幅の平坦部が形成されている。また、蓋体側果柄挟持片24の外方に位置する蓋体側フランジ23には他の箇所よりも低い逃がし部25を形成している。また、蓋体側フランジ23の一部には、舌部26が形成されている。舌部15と舌部26とは、蓋体20によって容器本体10を閉状態とした場合に、隣接する位置に設けている。
容器本体10と蓋体20とはヒンジ部30によって連接されている。
【0013】
本実施例による果実包装容器は、容器本体10の凹部11周辺には本体側果柄挟持片14が形成され、蓋体20には本体側果柄挟持片14と当接する位置に蓋体側果柄挟持片24が形成され、果実を凹部11、21に配置した状態で、本体側果柄挟持片14と蓋体側果柄挟持片24とによって果実の果柄を挟持する。このように本実施例によれば、本体側果柄挟持片14と蓋体側果柄挟持片24とによって果実の果柄を挟持するため、果柄の折れ等による劣化を抑制でき、容器内での果実の動きを確実に抑制できる。
また本実施例による果実包装容器は、容器本体10の凹部11と蓋体20の凹部21とによって果実の収容空間を形成し、容器本体10と蓋体20とをヒンジ部30によって連接し、容器本体10、蓋体20、及びヒンジ部30をプレス加工によって一体成形したものである。このように本実施例によれば、容器本体10と蓋体20との双方に凹部11、21を形成することで、容器本体10だけに凹部11を形成する場合と比較して凹部11、21の深さを浅くできるため、プレス加工を容易にでき、容器本体10と蓋体20とをヒンジ部30で連接して一体成形することで、少ない加工工数で包装容器を製作することができる。更に、多くの果実は果肉の中央に果柄があるため、果肉の包装容器への接触を少なくすることができる。
また本実施例によれば、本体側果柄挟持片14は本体側フランジ13面よりも高く形成しているので果柄が本体側フランジ13に接触することを防止でき、また蓋体側果柄挟持片24の外方に位置する蓋体側フランジ23には他の箇所よりも低い逃がし部25を形成しているので果柄が蓋体側フランジ23に接触することを防止でき、本体側果柄挟持片14及び蓋体側果柄挟持片24での果柄の挟持を確実に行うことができる。
【0014】
図6は本実施例による果実包装容器の陳列状態を示す側面図、図7は同果実包装容器の陳列状態を示す正面図である。なお、陳列は保管方法の一態様である。
図に示すように、イチゴを凹部11、21内に収容した状態では、本体側果柄挟持片14と蓋体側果柄挟持片24とによってイチゴ40の果柄41を挟持しており、本体側果柄挟持片14及び蓋体側果柄挟持片24を下方として陳列する。本体側果柄挟持片14及び蓋体側果柄挟持片24が形成された側の辺を最も長い辺とする六角形状で構成しているため両側方への安定は保たれ、凹部11、21によって後方に所定の傾きを持って姿勢を保持することができる。
【0015】
図8は本実施例による果実包装容器の保管状態又は輸送状態を示す斜視図である。
本実施例においても、イチゴを凹部11、21内に収容した状態では、本体側果柄挟持片14と蓋体側果柄挟持片24とによってイチゴ40の果柄41を挟持しており、本体側果柄挟持片14及び蓋体側果柄挟持片24を下方として保管又は輸送する。
図のように、凹部11、21の底面を平坦面とすることで、複数の果実包装容器を、それぞれの凹部11、21の底面を当接させて梱包することができる。
本実施例のように、イチゴ40を収容した状態では本体側果柄挟持片14及び蓋体側果柄挟持片24を下方として輸送又は保管を行うことで、イチゴ40の動きを果柄41の挟持によって抑制できるとともに、果実硬度が高い果底部でイチゴ40の自重を受けるため、果肉の包装容器への接触を防止して輸送や保管における損傷を少なくすることができる。
【0016】
次に、本実施例による果実包装容器への果実収容方法について説明する。
図9から図12は、果実収容ステップを示す斜視図である。
まず、図9に示すように、収穫前のイチゴ40を手で触ることなく容器本体10の凹部11内に納める。そして図10及び図11に示すように、蓋体20を閉じる。蓋体20を閉じることにより、果柄41は、本体側果柄挟持片14と蓋体側果柄挟持片24とによって挟持される。図11に示すように本体側果柄挟持片14と蓋体側果柄挟持片24とによって果柄41を挟持した状態で、本体側フランジ13及び蓋体側フランジ23よりも外方に位置する果柄41を切断することで図12の状態とすることができる。
以上のように本実施例による果実包装容器を用いることで、果実に触ることなく収容できるため、果肉への収穫時の損傷を防止することもできる。
【0017】
次に本実施例による果実包装容器を用いた場合の品質保持効果確認試験の結果を示す。
図13は本実施例による果実包装容器を用いた場合の特性図、図14は比較例による既存の果実包装容器を用いた場合の特性図である。
ここで、比較例による既存の果実包装容器とは、イチゴの販売用に現在用いられている透明のペット部材からなるパック容器内に、イチゴを2段詰めしたものである。
図13及び図14では、貯蔵日数の経過に伴う質量減少率を示したもので、実線は常温で行い、破線は低温で行った。常温条件は、4月中旬から下旬にかけて行い、12.5℃から19.5℃の温度変化があり、平均温度は16.4℃であった。低温条件は4.5℃から14.5℃の温度変化の元で平均温度は5.3℃であった。
一般には質量減少率が5%を越えると商品価値が無くなると言われており、本実施例による果実包装容器の場合には、5%の質量減少率になるのに、常温では7日、低温では12日を経過しても2%程度の質量減少率であった。これに対して比較例による既存の果実包装容器の場合には、5%の質量減少率になるのに、常温では3日、低温では11日であった。
【0018】
以上のように、本実施例の果実包装容器のように、イチゴを一つずつ個別に収容する場合には、質量減少も少なく品質保持効果が高いことを確認できた。
なお、本実施例では、容器本体10と蓋体20とをヒンジ部30によって連接した一体成形のもので説明したが、ヒンジ部30を備えることなく、容器本体10と蓋体20とを別部材で構成してもよい。また、複数の容器本体10を連接部によって接続してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明によれば、これまで果肉が軟らかいなどの理由で長距離輸送に不向きであった完熟に近い高品質果実の輸送が可能となり、生産量増加など産地活性化が期待される。また、収穫直後に個別の果実包装容器に収容でき、果実に人の手などが触れることなく衛生的に扱える。更に、従来の販売形態ではできなかった一つ単位の個別販売が可能になる。
【符号の説明】
【0020】
10 容器本体
11 凹部
12 土手
12a 土手面
13 本体側フランジ
14 本体側果柄挟持片
20 蓋体
21 凹部
22 受け部
22a 平面
23 蓋体側フランジ
24 蓋体側果柄挟持片
25 逃がし部
30 ヒンジ部
40 イチゴ
41 果柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が形成された容器本体と、前記容器本体の開口を覆う蓋体とを備え、
前記容器本体の前記凹部周辺には本体側果柄挟持片が形成され、
前記蓋体には前記本体側果柄挟持片と当接する位置に蓋体側果柄挟持片が形成され、
果実を前記凹部に配置した状態で、前記本体側果柄挟持片と前記蓋体側果柄挟持片とによって前記果実の果柄を挟持することを特徴とする果実包装容器。
【請求項2】
前記蓋体には凹部が形成され、
前記容器本体の前記凹部と前記蓋体の前記凹部とによって前記果実の収容空間を形成し、
前記容器本体と前記蓋体とがヒンジ部によって連接され、
前記容器本体、前記蓋体、及び前記ヒンジ部をプレス加工によって一体成形したことを特徴とする請求項1に記載の果実包装容器。
【請求項3】
前記容器本体には、前記容器本体の前記凹部を包囲する土手が形成されるとともに前記土手の外方に本体側フランジが形成され、
前記蓋体には、前記土手に当接する受け部が形成されるとともに前記受け部の外方に蓋体側フランジが形成され、
前記土手の一部を低くして前記本体側果柄挟持片が形成され、
前記受け部の一部を高くして前記蓋体側果柄挟持片が形成され、
前記本体側果柄挟持片は前記本体側フランジ面よりも高く形成し、
前記蓋体側果柄挟持片の外方に位置する蓋体側フランジには他の箇所よりも低い逃がし部を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の果実包装容器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の果実包装容器を用いた果実輸送方法であって、
前記果実がイチゴであり、
前記果実を収容した状態では前記本体側果柄挟持片及び前記蓋体側果柄挟持片を下方として輸送することを特徴とする果実包装容器を用いた果実輸送方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の果実包装容器を用いた果実保管方法であって、
前記果実がイチゴであり、
前記果実を収容した状態では前記本体側果柄挟持片及び前記蓋体側果柄挟持片を下方として保管することを特徴とする果実包装容器を用いた果実保管方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−51578(P2012−51578A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193275(P2010−193275)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、農林水産省「平成21年度新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業委託事業」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】