架台の構造および取付方法
【課題】地下タンクが輪荷重や土圧により変形していても施工現場において追加工が容易な架台の構造および取付方法提供する。
【解決手段】燃料油を貯留する地下タンクの上方において点検用のマンホールのプロテクタ部を接続するための架台2の構造に関する。樹脂の発泡体で形成され地下タンクの円筒部分に載せられて地下タンクの上部の表面に接着された方形枠状の発泡枠体20と、板状の部材で形成されプロテクタ部との接合部22を有し、発泡枠体20に載せられ、かつ、発泡枠体20に接着された方形枠状の板状枠体21と、地下タンクの表面、発泡枠体20の表面および板状枠体21の表面にわたって、これらの表面を覆うことで、地下タンクと発泡枠体20および板状枠体21との間をシールするシール層とを備えている。
【解決手段】燃料油を貯留する地下タンクの上方において点検用のマンホールのプロテクタ部を接続するための架台2の構造に関する。樹脂の発泡体で形成され地下タンクの円筒部分に載せられて地下タンクの上部の表面に接着された方形枠状の発泡枠体20と、板状の部材で形成されプロテクタ部との接合部22を有し、発泡枠体20に載せられ、かつ、発泡枠体20に接着された方形枠状の板状枠体21と、地下タンクの表面、発泡枠体20の表面および板状枠体21の表面にわたって、これらの表面を覆うことで、地下タンクと発泡枠体20および板状枠体21との間をシールするシール層とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下タンクの上方において点検用のマンホールのプロテクタ部と前記地下タンクとを接続するための架台の構造および取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、給油所の地下には、燃料油を貯留する地下タンクが埋設されていると共に、該前記地下タンクの点検用のマンホールが形成されている。(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−343503(要約書)
【特許文献1】特開2008−296946(要約書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まず、従来の地下タンク点検用のマンホールの構造の一例について簡単に説明する。
図11に示すように、地下タンク10の上部には円筒状のタンクフランジ部10aが設けられている。前記タンクフランジ部10aはタンク蓋11によって閉塞される。
【0005】
地下タンク10の真上には前記タンクフランジ部10aを囲むようにマンホール1が設けられている。前記マンホール1は、架台200、プロテクタ部3、カバー4および高さ調節部5などからなる。
前記架台200の底部121が地下タンク10の上部の円筒部分10bに接合されると共に、架台200の上端部124がプロテクタ部3に接続されることにより、地下タンク10とプロテクタ部3とが接続される。プロテクタ部3にカバー4および高さ調節部5が接続されることにより、ボックス型のマンホール1が形成される。
【0006】
架台200は、たとえば、FRP(Fiber Reinforced Prastics)等で形成されている。前記架台200と地下タンク10との接合部分は、FRPなどによってシールされる。
一方、架台200とプロテクタ部3とは、角筒状のプロテクタ部3の底部34に形成された複数の貫通孔39と、架台200の上端部に形成された複数の貫通孔124との間にボルトを介して互いに締結される。
【0007】
ここで、円筒形の地下タンク10は、製造時点で円筒部分が正確に形成されていない場合がある上、地下に埋設されているので、輪荷重や土圧により変形している場合が多い。そのため、施工現場において、架台200の下端部121を地下タンク10の上部の形状に合わせて加工する必要が生じる。
しかし、前記架台が鋼板やFRP等の剛性の高い材料を用いて形成されている場合、現場での加工が難しい。
【0008】
したがって、本発明の目的は、地下タンクが輪荷重や土圧により変形していても施工現場において追加工が容易な架台の構造および取付方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の架台の構造は、燃料油を貯留する地下タンクの上方において点検用のマンホールのプロテクタ部を接続するための架台の構造であって、樹脂の発泡体で形成され前記地下タンクの円筒部分に載せられて前記地下タンクの上部の表面に接着された方形枠状の発泡枠体と、板状の部材で形成され前記プロテクタ部との接合部を有し、前記発泡枠体に載せられ、かつ、前記発泡枠体に接着された方形枠状の板状枠体と、前記地下タンクの表面、前記発泡枠体の表面および前記板状枠体の表面にわたって、これらの表面を覆うことで、前記地下タンクと発泡枠体および板状枠体との間をシールするシール層とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、地下タンクに接着する発泡枠体は、施工現場において既設の地下タンクの形状に合わせて容易に削り加工を施すことができる。したがって、既設の地下タンクが変形していても前記発泡枠体を地下タンクの表面の形状に合わせて容易に加工することができる。
また、地下タンクが円筒形であるため、発泡枠体のボリュームが大きくなるが、発泡枠体の体積単価は安いのでコストアップを招くおそれもない。
また、発泡枠体は予め工場で製造するから、工事期間が長くなるおそれもない。
【0011】
さらに、発泡枠体は圧縮変形することが可能であるから、施工後に上方から大きな輪荷重等が地下タンクに負荷された場合に、地下タンクの甚大な損傷防止を期待し得る。
【0012】
また、シール層を設けることにより、マンホール内に外部から水が入るおそれが少なくなる。そのため、マンホール内に溜まった汚濁した水によって、マンホール内の目視による点検が出来なくなるおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1にかかる架台を示す概略斜視図である。
【図2】同架台を示す分解斜視図である。
【図3】図3Aは発泡枠体を示す概略平面図、図3Bは図3AにおけるIIIB-IIIB 線断面図、図3Cは図3AにおけるIIIC-IIIC 線断面図である。
【図4】図4Aは板状枠体を示す概略平面図、図4Bは図4AにおけるIVB-IVB 線断面図、図4Cは図4AにおけるIVC-IVC 線断面図である。
【図5】図5Aは架台を示す概略平面図、図5Bは図5AにおけるVB-VB 線断面図、図5Cは図5AにおけるVC-VC 線断面図である。
【図6】図6Aは地下タンク上部を示す断面図、図6Bは地下タンクの下地処理を示す拡大された部分断面図、図6Cは地下タンクに架台が接着された状態を示す概略断面図である。
【図7】図7Aは地下タンクおよび架台にシールが施された状態を示す概略断面図、図7Bは同拡大された部分断面図である。
【図8】実施例2にかかる架台を示す概略斜視図である。
【図9】同架台を示す分解斜視図である。
【図10】地下タンクおよび架台にシールが施された状態を示す概略断面図である。
【図11】従来のマンホールの構成要素および地下タンクを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、前記発泡枠体は当該枠体の横断面における幅が前記板状枠体の板の厚さの10倍以上500倍以下であるのが好ましい。
このような非板状の発泡枠体は地下タンクとの大きな接着面や圧縮強度を確保することができる。
【0015】
本発明において、前記発泡枠体は前記地下タンクに接着される接着面と、前記接着面から上方ないし斜め上方に立ち上がる外側面および内側面とを有し、前記両側面の下端部が前記板状枠体に覆われていない圧縮代を前記発泡体が有していることで、前記発泡枠体を前記地下タンクに押し付けた場合に前記発泡枠体の接着面が上下方向に押し潰されて前記地下タンクの表面形状に沿って変形することが可能とされているのが好ましい。
このように圧縮代を有していることで、地下タンクの変形や表面の凹凸に沿って発泡枠体の接着面が押し潰されて地下タンクの表面と発泡枠体の接着面との間に隙間が生じにくくなる。
【0016】
本発明において、前記板状枠体は断面がL字状のFRPの板で形成され、前記外側面に沿って延び前記外側面の一部を覆う外板部と、前記外板部の上端に連なり水平面に沿って延び、前記プロテクタ部に前記板状枠体を接合するためのフランジ板部とを備え、前記発泡枠体における前記接着面とは反対側の天面から前記外板部の内周面に沿って延びるFRPの樹脂層で前記発泡枠体と前記板状枠体とが一体に接合されているのが好ましい。
本態様によれば、発泡枠体および板状枠体には製造上の寸法誤差が生じるが、両者をFRPの樹脂層で一体に接合するから、前記寸法誤差があっても支障が生じない。
また、水平なフランジ板部を設けたので、板状枠体にプロテクタ部を接合する現場作業が容易になる。
なお、本発明において「FRP」とは、ガラス繊維などの繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料である繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Prastics)をいう。
【0017】
本発明において、前記発泡枠体は前記接着面の反対側に前記板状枠体が載せられた概ね水平で平坦な天面を有し、前記板状枠体は前記天面に沿って水平に延び前記天面に載せられた上板部と、前記上板部から離間した上方に上板部と平行に配置され、前記プロテクタ部に前記板状枠体を接合するためのフランジ板部と、前記外側面に沿って延び前記外側面の一部を覆う外板部とを備えているのが好ましい。
本態様によれば、板状枠体を発泡枠体の天面で支えるので、天面を大きな面積とすれば、柔らかい発泡材でも上方からの荷重を支えることができる。
また、上板部に平行なフランジ板部を設けたので、板状枠体にプロテクタ部を接合する現場作業が容易になる。
【0018】
本発明において、前記板状枠体は前記フランジ板部および外板部が一体に形成されたFRP製の第1FRP板と、前記上板部を前記外板部に接合するために前記外板部の内面に接する縦板部を有し前記上板部および縦板部が一体に形成されたFRP製の第2FRP板とを包含していてもよい。
このように第1および第2FRP板で形成された板状枠体は製造が容易で、かつ、発泡体やプロテクタ部との接合も容易である。
【0019】
ここで、マンホール内で補修作業を行う必要が生じた場合、従来では、地下タンクから燃料油を抜き取り、該地下タンクに水を注入してから溶接などの火気を伴う作業を行う必要があった。しかし、本態様では、鋼板を用いてないので、溶接などで火気を使用する必要がないので、安全に作業を行うことができる。
【0020】
本発明の架台の取付方法は、前記地下タンクのサイズに応じた形状および寸法を持つ前記発泡枠体を予め工場で形成する工程と、前記板状枠体を予め工場で形成する工程と、施工現場において、前記発泡枠体における前記地下タンクに接着される接着面を前記地下タンクの上部の表面の実際の形状に合わせて削る加工を行う加工工程と、前記加工後に、前記発泡枠体の接着面を前記地下タンクの表面に接着する現場接着工程と、前記現場接着後に、前記地下タンクの表面、発泡枠体および板状枠体の表面をシール層で覆って、前記地下タンクと発泡枠体および板状枠体との間をシールするシール工程とを備えている。
本取付方法によれば、地下タンクに接着する発泡枠体は、施工現場において既設の地下タンクの形状に合わせて容易に削り加工を施すことができる。したがって、既設の地下タンクが変形していても前記発泡枠体を地下タンクの表面の形状に合わせて加工することができる。
【0021】
かかる取付方法において、前記発泡枠体と前記板状枠体とを予め工場で一体に接合する工場接合工程を更に備えているのが好ましい。
本発明においては、両枠体を現場で互いに一体に接合してもよいが、本態様のように、発泡枠体と板状枠体とを予め工場で一体に接合すれば、現場での工数を減らすことができる。
【0022】
前記取付方法において、前記施工現場において、前記加工工程を行いながら、または、前記加工工程の後に、前記接着面を前記地下タンクの表面に押し付けて、前記発泡枠体の一部を押し潰すことで前記接着面を前記地下タンクの表面の凹凸に沿った形状にする圧縮工程を更に備えているのが好ましい。
本態様によれば、地下タンクの表面と発泡体の接着面との間に隙間が生じにくくなる。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1〜図7は実施例1を示す。
以下の説明では、主として前述した従来例と異なる部分について説明する。
【0024】
架台2の構造:
図1に示す架台2は、図6に示す燃料油を貯留する地下タンク10と、図11に示す点検用のマンホール1のプロテクタ部3とを接続するものである。図1および図2に示すように、前記架台2は発泡枠体20、板状枠体21および樹脂層30を備えている。なお、図1においては、発泡枠体20の露出部分に網点を施している。
【0025】
発泡枠体20;
図2に示す前記発泡枠体20は、樹脂の発泡体で方形枠状に形成され、図6Cに示すように、地下タンク10の上方の円筒部分10bの表面に接着されるものである。発泡枠体20としては、たとえば発泡スチロール(気泡を含ませたポリスチレン)などを採用することができる。
図3A〜図3Cに示すように、前記発泡枠体20は、地下タンク10(図6)に接着される接着面20Cと、該接着面20Cから上方Zに向って立ち上がる外側面20aと、接着面20Cから斜め上方に立ち上がる内側面20bとを有している。前記発泡枠体20は、接着面20Cの反対側に概ね水平で平坦な天面20uを有している。
【0026】
板状枠体21;
図4Aおよび図4Cに示す前記板状枠体21は縦断面がL字状のFRPの板で形成されている。前記外板部23は、図5Bおよび図5Cに示す発泡枠体20の外側面20aに沿って延び該外側面20aの一部を覆う角筒状に形成されている。板状枠体21は、一体に形成されたフランジ板部22および外板部23を備えている。
【0027】
前記フランジ板部22は、前記プロテクタ部3(図11)に板状枠体21を接合するためのものであり、図4A〜図4Cに示すように、外板部23の上端に連なり水平面に沿って延びている。前記フランジ板部22には、図11のプロテクタ部3の複数の貫通孔39に対応する位置に、図4Aに示す複数の貫通孔24が形成されている。
【0028】
なお、図3Aの前記発泡枠体20は、該発泡枠体20の横断面における幅Woが板状枠体21の板の厚さの10倍以上500倍以下に設定されている。
【0029】
樹脂層30;
図5A〜図5Cに示すように、FRPの樹脂層30は、発泡枠体20と板状枠体21とを一体に接合するものである。
前記樹脂層30は、発泡枠体20における前記天面20uから板状枠体21の内周面25に沿って断面L字状に延びている。すなわち、前記樹脂層30は、発泡枠体20の天面20uに沿って水平に延び前記天面20u上に拡がる水平部35と、板状枠体21の内周面25に沿って形成された縦部36からなる。
【0030】
架台2:
図5A〜図5Cにおいて、架台2は、前記板状枠体21と発泡枠体20とが樹脂層30により一体に接合されてなる。前記架台2は、前記水平部35から離間した上方に該水平部35と平行に位置し、前記プロテクタ部3(図11)に板状枠体21を接合するためのフランジ板部22と、発泡枠体20の外側面20aに沿って延び該外側面20aの一部を覆う外板部23とを備えている。
【0031】
前記架台2には、発泡枠体20の天面20uが樹脂層30の水平部35によって規制されることにより、発泡枠体20の両側面20a,20bの下端部が板状枠体21に覆われていない圧縮代20dが形成されている。
図6Cに示すように、前記圧縮代20dにより、架台2が地下タンク10に押し付けられると、発泡枠体20の接着面20Cが上下方向Zに押し潰されて地下タンク10の表面形状に沿うように変形されるものである。
【0032】
シール層S1〜S3:
図7Aおよび図7Bに示すように、架台2が地下タンク10に接着された完成状態において、地下タンク10の上部の表面、発泡枠体20の表面および板状枠体21の表面にはたとえば、第1〜第3シール層S1〜S3が形成されている。
第1シール層S1は、たとえばFRPの樹脂層からなり、架台2の外周と地下タンク10との間、および架台2の内周と地下タンク10との間をシールするものである。
第2シール層S2は、たとえばエポキシ樹脂などからなり、前記第1シール層S1の上に形成される。第2シール層S2は、前記第1シール層S1の地下タンク10側の端部と地下タンク10との間をシールするものである。
第3シール層S3は、たとえば、地下タンク10の表面を覆う防食包装材10fと同じ材料からなり、前記下地処理によって露出した地下タンク10の表面をシールするものである。
【0033】
架台2の取付方法:
架台2を形成する工程(工場での工程);
まず、工場において予め図1に示す架台2を形成する。
図3A〜図3Cに示す発泡枠体20は、地下タンク10(図6A)の設計上のサイズに応じた形状および寸法に形成される。一方、前記発泡枠体20に対応する大きさの板状枠体21(図4A〜図4C)を形成する。
図5に示すように、板状枠体21内に発泡枠体20が挿入されると共に、FRPの樹脂層30で板状枠体21と発泡枠体20とが一体に接合される。
なお、板状枠体21は枠状に形成したものを発泡枠体20に嵌合させてもよいし、発泡枠体20に断面L字状の板材を4枚接着して枠状に形成してもよい。
【0034】
下地処理(施工現場での工程);
施工現場において、施工者は発泡枠体20を図6Aの地下タンク10に接着する前の下地処理を行う。
以下の下地処理は、スチール製のタンク本体10sの表面が防食包装材10fで覆われている場合について説明する。
まず、図6Cに示す発泡枠体20を接着する部分の防食包装材10fを撤去すると共に、当該防食包装材10fの撤去部分の清掃を行う。
前記清掃後、前記撤去部分のケレン作業を行い鋼板の鉄肌を露出させる。
その後、図6Bに示すように、第1プライマ(清掃プライマ)P1を発泡枠体20が接着される被接着部分に塗布する。その後、第1プライマP1の上に接着剤B1、第2プライマ(FRP用プライマ)P2を塗布した後、FRPの樹脂層B2を形成し、その上に第3プライマP3を塗布する。前記第3プライマP3は、前記積層された第1プライマP1、接着剤B1、第2プライマP2およびFRPの樹脂層B2の端部全体を覆うように塗布される。
【0035】
加工工程(施工現場での工程);
その後、施工者は、図6Aに示す前記地下タンク10の上部の表面に合わせて、図6Cに示す発泡枠体20の接着面20Cを削る。
【0036】
圧縮工程;
施工者は、前記加工工程を行いながら、または、加工工程の後に、発泡枠体20の接着面20Cを地下タンク10の表面に押し付けて、発泡枠体20の一部を押し潰す。この押し潰しによって、前記接着面20Cが地下タンク10の表面の凹凸に沿った形状に形成される。
【0037】
現場接着工程;
その後、発泡枠体20の接着面20Cを、前記下地処理を行った地下タンク10の表面に接着する。なお、この接着と同時または接着後に、前記発泡枠体20に上方から荷重を加えて前記発泡枠体20の接着面20Cを押し潰してもよい。
【0038】
シール工程;
前記発泡枠体20の接着後、図7Aに示すように、地下タンク10のタンク本体10s、発泡枠体20および板状枠体21の各表面を第1〜第3シール層S1〜S3で覆って、地下タンク10と架台2との接着部分をシールする。
【0039】
まず、図7Bに示す第1シール層S1を形成する。第1シール層S1は、外板部23の下部、発泡枠体20の下端部および地下タンク10の表面に形成されると共に、樹脂層30の水平部35の端部、発泡枠体20の天面20u、内側面20bおよび地下タンク10の表面に形成される。
その後、第2シール層S2を形成する。前記第2シール層S2は、前記第1シール層S1の上から該第1シール層S1の地下タンク10側の端部に形成される。
その後、図7Aに示す第3シール層S3が下地処理によって露出された地下タンク10の表面に形成される。
【0040】
このように、地下タンク10に架台2が接着された後、架台2にプロテクタ部3(図11)がボルトにより固定され、マンホール1が形成される。
【0041】
なお、前記防食包装材10fがFRPの樹脂層で形成されている場合には、下地処理を以下のように行う。
まず、防食包装材10fの表面を清掃した後、該防食包装材10fの表面にやすりをかけて滑らかにするサンディング処理を行う。その後、プライマを塗布した後、接着剤を塗布し、更にその上からプライマを塗布する。
なお、かかる場合には、シール工程において、第3シール層S3を形成する必要はない。
【実施例2】
【0042】
図8〜図10は実施例2を示す。
図8および図9に示すように、本実施例2の板状枠体21は、FRP製の第1および第2FRP板2a,2bを備えている。
【0043】
図10に示すように、前記第1FRP板2aは、フランジ板部22および外板部23が一体に形成されたものである。
前記第2FRP板2bは、発泡枠体20の天面20uに沿って水平に延び天面20uに載せられた樹脂層30の上板部31と、前記上板部31を外板部23に接合するために外板部23の内面に接する縦板部32とが一体に形成されている。
なお、前記上板部31および縦板部32は、それぞれ、実施例1で説明した水平部35および縦部36に相当する。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
なお、発泡枠体20と板状枠体21とは工場において互いに接合(ボルト又は接着剤により)されているのが好ましいが、施工現場において互いに接合するようにしてもよい。また、第1FRP板2aと第2FRP板2bとは予め工場で接合されているのが好ましいが、施工現場でボルト等により互いに接合されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は燃料油を貯留する地下タンクの上方において点検用のマンホールのプロテクタ部を接続するための架台に用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1:マンホール
2:架台
2a:第1FRP板
2b:第2FRP板
3:プロテクタ部
10:地下タンク
10b:円筒部分
20:発泡枠体
20a:外側面
20b:内側面
20c:接着面
20d:圧縮代
20u:天面
21:板状枠体
22:接合部,フランジ板部
23:外板部
25:内周面
30:樹脂層
31:上板部
S1〜S3:第1〜第3シール層
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下タンクの上方において点検用のマンホールのプロテクタ部と前記地下タンクとを接続するための架台の構造および取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、給油所の地下には、燃料油を貯留する地下タンクが埋設されていると共に、該前記地下タンクの点検用のマンホールが形成されている。(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−343503(要約書)
【特許文献1】特開2008−296946(要約書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まず、従来の地下タンク点検用のマンホールの構造の一例について簡単に説明する。
図11に示すように、地下タンク10の上部には円筒状のタンクフランジ部10aが設けられている。前記タンクフランジ部10aはタンク蓋11によって閉塞される。
【0005】
地下タンク10の真上には前記タンクフランジ部10aを囲むようにマンホール1が設けられている。前記マンホール1は、架台200、プロテクタ部3、カバー4および高さ調節部5などからなる。
前記架台200の底部121が地下タンク10の上部の円筒部分10bに接合されると共に、架台200の上端部124がプロテクタ部3に接続されることにより、地下タンク10とプロテクタ部3とが接続される。プロテクタ部3にカバー4および高さ調節部5が接続されることにより、ボックス型のマンホール1が形成される。
【0006】
架台200は、たとえば、FRP(Fiber Reinforced Prastics)等で形成されている。前記架台200と地下タンク10との接合部分は、FRPなどによってシールされる。
一方、架台200とプロテクタ部3とは、角筒状のプロテクタ部3の底部34に形成された複数の貫通孔39と、架台200の上端部に形成された複数の貫通孔124との間にボルトを介して互いに締結される。
【0007】
ここで、円筒形の地下タンク10は、製造時点で円筒部分が正確に形成されていない場合がある上、地下に埋設されているので、輪荷重や土圧により変形している場合が多い。そのため、施工現場において、架台200の下端部121を地下タンク10の上部の形状に合わせて加工する必要が生じる。
しかし、前記架台が鋼板やFRP等の剛性の高い材料を用いて形成されている場合、現場での加工が難しい。
【0008】
したがって、本発明の目的は、地下タンクが輪荷重や土圧により変形していても施工現場において追加工が容易な架台の構造および取付方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の架台の構造は、燃料油を貯留する地下タンクの上方において点検用のマンホールのプロテクタ部を接続するための架台の構造であって、樹脂の発泡体で形成され前記地下タンクの円筒部分に載せられて前記地下タンクの上部の表面に接着された方形枠状の発泡枠体と、板状の部材で形成され前記プロテクタ部との接合部を有し、前記発泡枠体に載せられ、かつ、前記発泡枠体に接着された方形枠状の板状枠体と、前記地下タンクの表面、前記発泡枠体の表面および前記板状枠体の表面にわたって、これらの表面を覆うことで、前記地下タンクと発泡枠体および板状枠体との間をシールするシール層とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、地下タンクに接着する発泡枠体は、施工現場において既設の地下タンクの形状に合わせて容易に削り加工を施すことができる。したがって、既設の地下タンクが変形していても前記発泡枠体を地下タンクの表面の形状に合わせて容易に加工することができる。
また、地下タンクが円筒形であるため、発泡枠体のボリュームが大きくなるが、発泡枠体の体積単価は安いのでコストアップを招くおそれもない。
また、発泡枠体は予め工場で製造するから、工事期間が長くなるおそれもない。
【0011】
さらに、発泡枠体は圧縮変形することが可能であるから、施工後に上方から大きな輪荷重等が地下タンクに負荷された場合に、地下タンクの甚大な損傷防止を期待し得る。
【0012】
また、シール層を設けることにより、マンホール内に外部から水が入るおそれが少なくなる。そのため、マンホール内に溜まった汚濁した水によって、マンホール内の目視による点検が出来なくなるおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1にかかる架台を示す概略斜視図である。
【図2】同架台を示す分解斜視図である。
【図3】図3Aは発泡枠体を示す概略平面図、図3Bは図3AにおけるIIIB-IIIB 線断面図、図3Cは図3AにおけるIIIC-IIIC 線断面図である。
【図4】図4Aは板状枠体を示す概略平面図、図4Bは図4AにおけるIVB-IVB 線断面図、図4Cは図4AにおけるIVC-IVC 線断面図である。
【図5】図5Aは架台を示す概略平面図、図5Bは図5AにおけるVB-VB 線断面図、図5Cは図5AにおけるVC-VC 線断面図である。
【図6】図6Aは地下タンク上部を示す断面図、図6Bは地下タンクの下地処理を示す拡大された部分断面図、図6Cは地下タンクに架台が接着された状態を示す概略断面図である。
【図7】図7Aは地下タンクおよび架台にシールが施された状態を示す概略断面図、図7Bは同拡大された部分断面図である。
【図8】実施例2にかかる架台を示す概略斜視図である。
【図9】同架台を示す分解斜視図である。
【図10】地下タンクおよび架台にシールが施された状態を示す概略断面図である。
【図11】従来のマンホールの構成要素および地下タンクを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、前記発泡枠体は当該枠体の横断面における幅が前記板状枠体の板の厚さの10倍以上500倍以下であるのが好ましい。
このような非板状の発泡枠体は地下タンクとの大きな接着面や圧縮強度を確保することができる。
【0015】
本発明において、前記発泡枠体は前記地下タンクに接着される接着面と、前記接着面から上方ないし斜め上方に立ち上がる外側面および内側面とを有し、前記両側面の下端部が前記板状枠体に覆われていない圧縮代を前記発泡体が有していることで、前記発泡枠体を前記地下タンクに押し付けた場合に前記発泡枠体の接着面が上下方向に押し潰されて前記地下タンクの表面形状に沿って変形することが可能とされているのが好ましい。
このように圧縮代を有していることで、地下タンクの変形や表面の凹凸に沿って発泡枠体の接着面が押し潰されて地下タンクの表面と発泡枠体の接着面との間に隙間が生じにくくなる。
【0016】
本発明において、前記板状枠体は断面がL字状のFRPの板で形成され、前記外側面に沿って延び前記外側面の一部を覆う外板部と、前記外板部の上端に連なり水平面に沿って延び、前記プロテクタ部に前記板状枠体を接合するためのフランジ板部とを備え、前記発泡枠体における前記接着面とは反対側の天面から前記外板部の内周面に沿って延びるFRPの樹脂層で前記発泡枠体と前記板状枠体とが一体に接合されているのが好ましい。
本態様によれば、発泡枠体および板状枠体には製造上の寸法誤差が生じるが、両者をFRPの樹脂層で一体に接合するから、前記寸法誤差があっても支障が生じない。
また、水平なフランジ板部を設けたので、板状枠体にプロテクタ部を接合する現場作業が容易になる。
なお、本発明において「FRP」とは、ガラス繊維などの繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料である繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Prastics)をいう。
【0017】
本発明において、前記発泡枠体は前記接着面の反対側に前記板状枠体が載せられた概ね水平で平坦な天面を有し、前記板状枠体は前記天面に沿って水平に延び前記天面に載せられた上板部と、前記上板部から離間した上方に上板部と平行に配置され、前記プロテクタ部に前記板状枠体を接合するためのフランジ板部と、前記外側面に沿って延び前記外側面の一部を覆う外板部とを備えているのが好ましい。
本態様によれば、板状枠体を発泡枠体の天面で支えるので、天面を大きな面積とすれば、柔らかい発泡材でも上方からの荷重を支えることができる。
また、上板部に平行なフランジ板部を設けたので、板状枠体にプロテクタ部を接合する現場作業が容易になる。
【0018】
本発明において、前記板状枠体は前記フランジ板部および外板部が一体に形成されたFRP製の第1FRP板と、前記上板部を前記外板部に接合するために前記外板部の内面に接する縦板部を有し前記上板部および縦板部が一体に形成されたFRP製の第2FRP板とを包含していてもよい。
このように第1および第2FRP板で形成された板状枠体は製造が容易で、かつ、発泡体やプロテクタ部との接合も容易である。
【0019】
ここで、マンホール内で補修作業を行う必要が生じた場合、従来では、地下タンクから燃料油を抜き取り、該地下タンクに水を注入してから溶接などの火気を伴う作業を行う必要があった。しかし、本態様では、鋼板を用いてないので、溶接などで火気を使用する必要がないので、安全に作業を行うことができる。
【0020】
本発明の架台の取付方法は、前記地下タンクのサイズに応じた形状および寸法を持つ前記発泡枠体を予め工場で形成する工程と、前記板状枠体を予め工場で形成する工程と、施工現場において、前記発泡枠体における前記地下タンクに接着される接着面を前記地下タンクの上部の表面の実際の形状に合わせて削る加工を行う加工工程と、前記加工後に、前記発泡枠体の接着面を前記地下タンクの表面に接着する現場接着工程と、前記現場接着後に、前記地下タンクの表面、発泡枠体および板状枠体の表面をシール層で覆って、前記地下タンクと発泡枠体および板状枠体との間をシールするシール工程とを備えている。
本取付方法によれば、地下タンクに接着する発泡枠体は、施工現場において既設の地下タンクの形状に合わせて容易に削り加工を施すことができる。したがって、既設の地下タンクが変形していても前記発泡枠体を地下タンクの表面の形状に合わせて加工することができる。
【0021】
かかる取付方法において、前記発泡枠体と前記板状枠体とを予め工場で一体に接合する工場接合工程を更に備えているのが好ましい。
本発明においては、両枠体を現場で互いに一体に接合してもよいが、本態様のように、発泡枠体と板状枠体とを予め工場で一体に接合すれば、現場での工数を減らすことができる。
【0022】
前記取付方法において、前記施工現場において、前記加工工程を行いながら、または、前記加工工程の後に、前記接着面を前記地下タンクの表面に押し付けて、前記発泡枠体の一部を押し潰すことで前記接着面を前記地下タンクの表面の凹凸に沿った形状にする圧縮工程を更に備えているのが好ましい。
本態様によれば、地下タンクの表面と発泡体の接着面との間に隙間が生じにくくなる。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1〜図7は実施例1を示す。
以下の説明では、主として前述した従来例と異なる部分について説明する。
【0024】
架台2の構造:
図1に示す架台2は、図6に示す燃料油を貯留する地下タンク10と、図11に示す点検用のマンホール1のプロテクタ部3とを接続するものである。図1および図2に示すように、前記架台2は発泡枠体20、板状枠体21および樹脂層30を備えている。なお、図1においては、発泡枠体20の露出部分に網点を施している。
【0025】
発泡枠体20;
図2に示す前記発泡枠体20は、樹脂の発泡体で方形枠状に形成され、図6Cに示すように、地下タンク10の上方の円筒部分10bの表面に接着されるものである。発泡枠体20としては、たとえば発泡スチロール(気泡を含ませたポリスチレン)などを採用することができる。
図3A〜図3Cに示すように、前記発泡枠体20は、地下タンク10(図6)に接着される接着面20Cと、該接着面20Cから上方Zに向って立ち上がる外側面20aと、接着面20Cから斜め上方に立ち上がる内側面20bとを有している。前記発泡枠体20は、接着面20Cの反対側に概ね水平で平坦な天面20uを有している。
【0026】
板状枠体21;
図4Aおよび図4Cに示す前記板状枠体21は縦断面がL字状のFRPの板で形成されている。前記外板部23は、図5Bおよび図5Cに示す発泡枠体20の外側面20aに沿って延び該外側面20aの一部を覆う角筒状に形成されている。板状枠体21は、一体に形成されたフランジ板部22および外板部23を備えている。
【0027】
前記フランジ板部22は、前記プロテクタ部3(図11)に板状枠体21を接合するためのものであり、図4A〜図4Cに示すように、外板部23の上端に連なり水平面に沿って延びている。前記フランジ板部22には、図11のプロテクタ部3の複数の貫通孔39に対応する位置に、図4Aに示す複数の貫通孔24が形成されている。
【0028】
なお、図3Aの前記発泡枠体20は、該発泡枠体20の横断面における幅Woが板状枠体21の板の厚さの10倍以上500倍以下に設定されている。
【0029】
樹脂層30;
図5A〜図5Cに示すように、FRPの樹脂層30は、発泡枠体20と板状枠体21とを一体に接合するものである。
前記樹脂層30は、発泡枠体20における前記天面20uから板状枠体21の内周面25に沿って断面L字状に延びている。すなわち、前記樹脂層30は、発泡枠体20の天面20uに沿って水平に延び前記天面20u上に拡がる水平部35と、板状枠体21の内周面25に沿って形成された縦部36からなる。
【0030】
架台2:
図5A〜図5Cにおいて、架台2は、前記板状枠体21と発泡枠体20とが樹脂層30により一体に接合されてなる。前記架台2は、前記水平部35から離間した上方に該水平部35と平行に位置し、前記プロテクタ部3(図11)に板状枠体21を接合するためのフランジ板部22と、発泡枠体20の外側面20aに沿って延び該外側面20aの一部を覆う外板部23とを備えている。
【0031】
前記架台2には、発泡枠体20の天面20uが樹脂層30の水平部35によって規制されることにより、発泡枠体20の両側面20a,20bの下端部が板状枠体21に覆われていない圧縮代20dが形成されている。
図6Cに示すように、前記圧縮代20dにより、架台2が地下タンク10に押し付けられると、発泡枠体20の接着面20Cが上下方向Zに押し潰されて地下タンク10の表面形状に沿うように変形されるものである。
【0032】
シール層S1〜S3:
図7Aおよび図7Bに示すように、架台2が地下タンク10に接着された完成状態において、地下タンク10の上部の表面、発泡枠体20の表面および板状枠体21の表面にはたとえば、第1〜第3シール層S1〜S3が形成されている。
第1シール層S1は、たとえばFRPの樹脂層からなり、架台2の外周と地下タンク10との間、および架台2の内周と地下タンク10との間をシールするものである。
第2シール層S2は、たとえばエポキシ樹脂などからなり、前記第1シール層S1の上に形成される。第2シール層S2は、前記第1シール層S1の地下タンク10側の端部と地下タンク10との間をシールするものである。
第3シール層S3は、たとえば、地下タンク10の表面を覆う防食包装材10fと同じ材料からなり、前記下地処理によって露出した地下タンク10の表面をシールするものである。
【0033】
架台2の取付方法:
架台2を形成する工程(工場での工程);
まず、工場において予め図1に示す架台2を形成する。
図3A〜図3Cに示す発泡枠体20は、地下タンク10(図6A)の設計上のサイズに応じた形状および寸法に形成される。一方、前記発泡枠体20に対応する大きさの板状枠体21(図4A〜図4C)を形成する。
図5に示すように、板状枠体21内に発泡枠体20が挿入されると共に、FRPの樹脂層30で板状枠体21と発泡枠体20とが一体に接合される。
なお、板状枠体21は枠状に形成したものを発泡枠体20に嵌合させてもよいし、発泡枠体20に断面L字状の板材を4枚接着して枠状に形成してもよい。
【0034】
下地処理(施工現場での工程);
施工現場において、施工者は発泡枠体20を図6Aの地下タンク10に接着する前の下地処理を行う。
以下の下地処理は、スチール製のタンク本体10sの表面が防食包装材10fで覆われている場合について説明する。
まず、図6Cに示す発泡枠体20を接着する部分の防食包装材10fを撤去すると共に、当該防食包装材10fの撤去部分の清掃を行う。
前記清掃後、前記撤去部分のケレン作業を行い鋼板の鉄肌を露出させる。
その後、図6Bに示すように、第1プライマ(清掃プライマ)P1を発泡枠体20が接着される被接着部分に塗布する。その後、第1プライマP1の上に接着剤B1、第2プライマ(FRP用プライマ)P2を塗布した後、FRPの樹脂層B2を形成し、その上に第3プライマP3を塗布する。前記第3プライマP3は、前記積層された第1プライマP1、接着剤B1、第2プライマP2およびFRPの樹脂層B2の端部全体を覆うように塗布される。
【0035】
加工工程(施工現場での工程);
その後、施工者は、図6Aに示す前記地下タンク10の上部の表面に合わせて、図6Cに示す発泡枠体20の接着面20Cを削る。
【0036】
圧縮工程;
施工者は、前記加工工程を行いながら、または、加工工程の後に、発泡枠体20の接着面20Cを地下タンク10の表面に押し付けて、発泡枠体20の一部を押し潰す。この押し潰しによって、前記接着面20Cが地下タンク10の表面の凹凸に沿った形状に形成される。
【0037】
現場接着工程;
その後、発泡枠体20の接着面20Cを、前記下地処理を行った地下タンク10の表面に接着する。なお、この接着と同時または接着後に、前記発泡枠体20に上方から荷重を加えて前記発泡枠体20の接着面20Cを押し潰してもよい。
【0038】
シール工程;
前記発泡枠体20の接着後、図7Aに示すように、地下タンク10のタンク本体10s、発泡枠体20および板状枠体21の各表面を第1〜第3シール層S1〜S3で覆って、地下タンク10と架台2との接着部分をシールする。
【0039】
まず、図7Bに示す第1シール層S1を形成する。第1シール層S1は、外板部23の下部、発泡枠体20の下端部および地下タンク10の表面に形成されると共に、樹脂層30の水平部35の端部、発泡枠体20の天面20u、内側面20bおよび地下タンク10の表面に形成される。
その後、第2シール層S2を形成する。前記第2シール層S2は、前記第1シール層S1の上から該第1シール層S1の地下タンク10側の端部に形成される。
その後、図7Aに示す第3シール層S3が下地処理によって露出された地下タンク10の表面に形成される。
【0040】
このように、地下タンク10に架台2が接着された後、架台2にプロテクタ部3(図11)がボルトにより固定され、マンホール1が形成される。
【0041】
なお、前記防食包装材10fがFRPの樹脂層で形成されている場合には、下地処理を以下のように行う。
まず、防食包装材10fの表面を清掃した後、該防食包装材10fの表面にやすりをかけて滑らかにするサンディング処理を行う。その後、プライマを塗布した後、接着剤を塗布し、更にその上からプライマを塗布する。
なお、かかる場合には、シール工程において、第3シール層S3を形成する必要はない。
【実施例2】
【0042】
図8〜図10は実施例2を示す。
図8および図9に示すように、本実施例2の板状枠体21は、FRP製の第1および第2FRP板2a,2bを備えている。
【0043】
図10に示すように、前記第1FRP板2aは、フランジ板部22および外板部23が一体に形成されたものである。
前記第2FRP板2bは、発泡枠体20の天面20uに沿って水平に延び天面20uに載せられた樹脂層30の上板部31と、前記上板部31を外板部23に接合するために外板部23の内面に接する縦板部32とが一体に形成されている。
なお、前記上板部31および縦板部32は、それぞれ、実施例1で説明した水平部35および縦部36に相当する。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
なお、発泡枠体20と板状枠体21とは工場において互いに接合(ボルト又は接着剤により)されているのが好ましいが、施工現場において互いに接合するようにしてもよい。また、第1FRP板2aと第2FRP板2bとは予め工場で接合されているのが好ましいが、施工現場でボルト等により互いに接合されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は燃料油を貯留する地下タンクの上方において点検用のマンホールのプロテクタ部を接続するための架台に用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1:マンホール
2:架台
2a:第1FRP板
2b:第2FRP板
3:プロテクタ部
10:地下タンク
10b:円筒部分
20:発泡枠体
20a:外側面
20b:内側面
20c:接着面
20d:圧縮代
20u:天面
21:板状枠体
22:接合部,フランジ板部
23:外板部
25:内周面
30:樹脂層
31:上板部
S1〜S3:第1〜第3シール層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油を貯留する地下タンクの上方において点検用のマンホールのプロテクタ部を接続するための架台の構造であって、
樹脂の発泡体で形成され前記地下タンクの円筒部分に載せられて前記地下タンクの上部の表面に接着された方形枠状の発泡枠体と、
板状の部材で形成され前記プロテクタ部との接合部を有し、前記発泡枠体に載せられ、かつ、前記発泡枠体に接着された方形枠状の板状枠体と、
前記地下タンクの表面、前記発泡枠体の表面および前記板状枠体の表面にわたって、これらの表面を覆うことで、前記地下タンクと発泡枠体および板状枠体との間をシールするシール層とを備えた架台の構造。
【請求項2】
請求項1において、前記発泡枠体は当該枠体の横断面における幅が前記板状枠体の板の厚さの10倍以上500倍以下である架台の構造。
【請求項3】
請求項2において、前記発泡枠体は前記地下タンクに接着される接着面と、前記接着面から上方ないし斜め上方に立ち上がる外側面および内側面とを有し、
前記両側面の下端部が前記板状枠体に覆われていない圧縮代を前記発泡体が有していることで、前記発泡枠体を前記地下タンクに押し付けた場合に前記発泡枠体の接着面が上下方向に押し潰されて前記地下タンクの表面形状に沿って変形することが可能とされている架台の構造。
【請求項4】
請求項3において、前記板状枠体は断面がL字状のFRPの板で形成され、前記外側面に沿って延び前記外側面の一部を覆う外板部と、前記外板部の上端に連なり水平面に沿って延び、前記プロテクタ部に前記板状枠体を接合するためのフランジ板部とを備え、
前記発泡枠体における前記接着面とは反対側の天面から前記外板部の内周面に沿って延びるFRPの樹脂層で前記発泡枠体と前記板状枠体とが一体に接合されている架台の構造。
【請求項5】
請求項3において、前記発泡枠体は前記接着面の反対側に前記板状枠体が載せられた概ね水平で平坦な天面を有し、
前記板状枠体は前記天面に沿って水平に延び前記天面に載せられた上板部と、前記上板部から離間した上方に上板部と平行に配置され、前記プロテクタ部に前記板状枠体を接合するためのフランジ板部と、前記外側面に沿って延び前記外側面の一部を覆う外板部とを備えた架台の構造。
【請求項6】
請求項4において、前記板状枠体は前記フランジ板部および外板部が一体に形成されたFRP製の第1FRP板と、前記上板部を前記外板部に接合するために前記外板部の内面に接する縦板部を有し前記上板部および縦板部が一体に形成されたFRP製の第2FRP板とを包含する架台の構造。
【請求項7】
請求項1に記載の架台の取付方法であって、
前記地下タンクのサイズに応じた形状および寸法を持つ前記発泡枠体を予め工場で形成する工程と、
前記板状枠体を予め工場で形成する工程と、
施工現場において、前記発泡枠体における前記地下タンクに接着される接着面を前記地下タンクの上部の表面の実際の形状に合わせて削る加工を行う加工工程と、
前記加工後に、前記発泡枠体の接着面を前記地下タンクの表面に接着する現場接着工程と、
前記現場接着後に、前記地下タンクの表面、発泡枠体および板状枠体の表面をシール層で覆って、前記地下タンクと発泡枠体および板状枠体との間をシールするシール工程とを備えた架台の取付方法。
【請求項8】
請求項7において、前記発泡枠体と前記板状枠体とを予め工場で一体に接合する工場接合工程を更に備えた架台の取付方法。
【請求項9】
請求項8において、前記施工現場において、前記加工工程を行いながら、または、前記加工工程の後に、前記接着面を前記地下タンクの表面に押し付けて、前記発泡枠体の一部を押し潰すことで前記接着面を前記地下タンクの表面の凹凸に沿った形状にする圧縮工程を更に備えた架台の取付方法。
【請求項1】
燃料油を貯留する地下タンクの上方において点検用のマンホールのプロテクタ部を接続するための架台の構造であって、
樹脂の発泡体で形成され前記地下タンクの円筒部分に載せられて前記地下タンクの上部の表面に接着された方形枠状の発泡枠体と、
板状の部材で形成され前記プロテクタ部との接合部を有し、前記発泡枠体に載せられ、かつ、前記発泡枠体に接着された方形枠状の板状枠体と、
前記地下タンクの表面、前記発泡枠体の表面および前記板状枠体の表面にわたって、これらの表面を覆うことで、前記地下タンクと発泡枠体および板状枠体との間をシールするシール層とを備えた架台の構造。
【請求項2】
請求項1において、前記発泡枠体は当該枠体の横断面における幅が前記板状枠体の板の厚さの10倍以上500倍以下である架台の構造。
【請求項3】
請求項2において、前記発泡枠体は前記地下タンクに接着される接着面と、前記接着面から上方ないし斜め上方に立ち上がる外側面および内側面とを有し、
前記両側面の下端部が前記板状枠体に覆われていない圧縮代を前記発泡体が有していることで、前記発泡枠体を前記地下タンクに押し付けた場合に前記発泡枠体の接着面が上下方向に押し潰されて前記地下タンクの表面形状に沿って変形することが可能とされている架台の構造。
【請求項4】
請求項3において、前記板状枠体は断面がL字状のFRPの板で形成され、前記外側面に沿って延び前記外側面の一部を覆う外板部と、前記外板部の上端に連なり水平面に沿って延び、前記プロテクタ部に前記板状枠体を接合するためのフランジ板部とを備え、
前記発泡枠体における前記接着面とは反対側の天面から前記外板部の内周面に沿って延びるFRPの樹脂層で前記発泡枠体と前記板状枠体とが一体に接合されている架台の構造。
【請求項5】
請求項3において、前記発泡枠体は前記接着面の反対側に前記板状枠体が載せられた概ね水平で平坦な天面を有し、
前記板状枠体は前記天面に沿って水平に延び前記天面に載せられた上板部と、前記上板部から離間した上方に上板部と平行に配置され、前記プロテクタ部に前記板状枠体を接合するためのフランジ板部と、前記外側面に沿って延び前記外側面の一部を覆う外板部とを備えた架台の構造。
【請求項6】
請求項4において、前記板状枠体は前記フランジ板部および外板部が一体に形成されたFRP製の第1FRP板と、前記上板部を前記外板部に接合するために前記外板部の内面に接する縦板部を有し前記上板部および縦板部が一体に形成されたFRP製の第2FRP板とを包含する架台の構造。
【請求項7】
請求項1に記載の架台の取付方法であって、
前記地下タンクのサイズに応じた形状および寸法を持つ前記発泡枠体を予め工場で形成する工程と、
前記板状枠体を予め工場で形成する工程と、
施工現場において、前記発泡枠体における前記地下タンクに接着される接着面を前記地下タンクの上部の表面の実際の形状に合わせて削る加工を行う加工工程と、
前記加工後に、前記発泡枠体の接着面を前記地下タンクの表面に接着する現場接着工程と、
前記現場接着後に、前記地下タンクの表面、発泡枠体および板状枠体の表面をシール層で覆って、前記地下タンクと発泡枠体および板状枠体との間をシールするシール工程とを備えた架台の取付方法。
【請求項8】
請求項7において、前記発泡枠体と前記板状枠体とを予め工場で一体に接合する工場接合工程を更に備えた架台の取付方法。
【請求項9】
請求項8において、前記施工現場において、前記加工工程を行いながら、または、前記加工工程の後に、前記接着面を前記地下タンクの表面に押し付けて、前記発泡枠体の一部を押し潰すことで前記接着面を前記地下タンクの表面の凹凸に沿った形状にする圧縮工程を更に備えた架台の取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−228780(P2010−228780A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78085(P2009−78085)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000154152)株式会社富永製作所 (44)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000154152)株式会社富永製作所 (44)
【Fターム(参考)】
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