説明

柔軟な被覆材料を有するパレット

デッキ(1)及び前記デッキ下側に位置する複数の足(3a、3b、3c、3d)から成る種のパレットである。前記デッキに輸送のため商品(5)が積まれた際、前記パレットは柔軟な被覆材料(4)で被覆される。後者はプラスチックまたは織物で作られ、かつ、前記被覆材料の角部(4a)を、前記デッキ上に備えられた少なくとも1つの留め具(7)中の、少なくとも第1切開部(9)に堅く押し込み、少なくとも一箇所で、前記デッキ(1)に取外し可能に固定する。前記パレットの上で運搬される商品は安定した状態で被覆され、前記パレットの適所で保持され、前記パレットは比較的取り扱いやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキ及びデッキ下側に位置する複数の足から成る種のパレットであって、デッキに輸送のための商品が積まれた際に、柔軟な被覆材料で被覆されるパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献より、適合型のコンテナ上部構造を備えるパレットは周知となっている。輸送されるべき商品が置かれるパレットは、コンテナの底部を構成する。このパレット構造は、多大なスペースを要し、そのためデッキ(すなわち支持表面)の直ぐ上の容積を最小限に保たなければならない輸送機能には、あまり適さない。加えて、このようなパレットを移動させるフォークリフトの操作者が、パレットの足の間の空間にフォークリフトのフォークを正確に配置するのが困難であるという問題がある。上記のフォークの正確な配置は、パレット上でのフォークの摩耗を減少させることから、重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
英国特許出願公開第807571号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上記種類のパレットであって、上記商品を依然として被覆しながらも上記コンテナを廃棄可能とし、かつ、上記被覆材料が、多少なりとも、デッキ下側で隣接する足の間の空間を覆うことを避けながらもフォークリフトの操作者が容易に取り扱うことのできるパレットを提供することにある。
【0005】
本発明に従うパレットは、被覆材料がプラスチックまたは織物で作られ、被覆材料の角部を、デッキ上に取り付けられた少なくとも1つの留め具内の、少なくとも第1切開部の中に堅く押し込むことによって、少なくとも一箇所で、デッキに取外し可能に固定することを特徴とする。結果として、パレット上に配置された商品をしっかりと被覆し、デッキ上の適所に保持することができ、かつ、被覆材料がデッキ下側の隣接する足の間の空間を覆うことがない。
【0006】
本発明によれば、上記足の1またはそれ以上の側面は誘導ライン状のマークを備え、このマークはパレットから離れた位置、好適にはパレットの高さより上方の位置から視認でき、フォークを備えるトラックでパレットを移動させる際に利用される。そのため、目的とするパレットのデッキ下側へフォークを挿入するに際しては、トラック上の操作者の位置からパレットの足を容易に位置付けることができる。デッキにしっかりとはめ込まれるので、上記被覆材料がパレットの足の間の空間を覆うことはなく、これによってフォークリフトのフォークをこれらの空間に挿入しやすくなる。
【0007】
本発明によれば、上記切開部は、スリットを形成する切開部の長さの相当部分上にある実質的に平行な2つの端縁部を備えることができる。結果として、各留め具はプラスチックまたは織物の被覆材料を効果的に、特に堅く保持することができる。
【0008】
さらに、本発明によれば、留め具は、第1切開部に隣接した位置にある第2切開部または孔を有することができ、第1切開部に被覆材料の角部が固定された後、第2切開部または孔の中に、角部の外側終端部を押し込みまたは詰め込むことができる。結果として、被覆材料をパレットに非常に安定した状態で固定することができる。
【0009】
さらに、本発明によれば、留め具は少なくとも3mmの厚さを有し、平滑な端部を有することができる。これによって、非常に効果的に、被覆材料を堅く縛りつけ固定することができる。
【0010】
本発明によれば、留め具をデッキ上に、好適にはデッキの各頂点の近くに配置することができる。
【0011】
本発明によれば、上記留め具は亜鉛メッキすることができ、これによって留め具は特に水の影響に対して耐性を備えるようになることが保証される。
【0012】
本発明によれば、プラスチック製の上記留め具を作ることがさらに可能であり、好適にはモールド成形により作ることができる。そのため、留め具は極めて安価に製造できる。
【0013】
本発明によれば、上記留め具をネジによってデッキに固定することもでき、またはデッキの中へ埋め込むこともでき、それは特に効果的であることが証明されている。
【0014】
本発明によれば、誘導ライン状のマークは、問題となる足の外側側面と比して、狭く、高くなった隆起部または狭い溝部から構成することができる。そのため、マークは特に目立つようになる。
【0015】
さらに、本発明によれば、狭い隆起部または狭い溝部は、パレットの反対側を向いた足の側面、及び隣接する足に向いた足の側面の双方に沿って延在できる。そのため、上記フォークリフト操作者が容易にフォークリフトのフォークを挿入すべきパレット下側の空間を見つけられることが保証される。
【0016】
さらに、本発明によれば、誘導ライン状のマークは、一定長の固定されたリボンとすることができ、これは、特に目立つマークを与えることが示されている。
【0017】
さらに、本発明によれば、各誘導ライン状のマークは、問題となる足の下部3分の1の位置を示すマーク及び上部3分の1の位置を示すマークの間の区域に備えることができ、これは、実施にあたり、特に有利であることが証明されている。
【0018】
さらに、本発明によれば、各誘導ライン状のマークは、少なくとも1.5cmの幅及び問題となる足の色と異なる色を有することができ、マークは、好適には明るい色である。そのため、大部分のところ、フォークリフトのフォークをパレットのデッキ下側に挿入するためにフォークリフトを利用する際、フォークリフト操作者はフォークの挿入のための正しい空間を容易に見つけられることが保証される。
【0019】
最後に、本発明によれば、各足は中空であり、水などの液体を足内部から排出するための孔を底部に有することができる。そのため、いかなる水分も、パレットの足内部に不利なほどに溜まることはない。
【0020】
パレットは、寸法が80cm×120cm、80cm×200cm、80cm×250cm、または80cm×60cmのとき、特に有用であることは留意すべきである。
【0021】
以下に詳述する本発明は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるパレットの実施形態を被覆材料を外した状態で示しており、上記被覆材料用の留め具が明確に視認できる。
【図2】留め具内で固定された被覆材料によって被覆される図1のパレットを示す。
【図3】留め具を正面から拡大して示す。
【図4】パレットの足の、中央縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すパレットは、デッキ1及びデッキの下側に位置する複数の足3a、3b、3cから成る。しかしながら、全ての足は示されていない。パレットに輸送用の商品5を積むことができ、パレット−及び商品−を、柔軟な被覆材料4で被覆することができる。被覆材料はプラスチックまたは織物で作られ、留め具7によってデッキ1に固定され、この留め具は、好適にはデッキ1の角部のうちの1つの近くに位置する。複数の留め具7をデッキ1の周囲に備えることができる。
【0024】
1またはそれ以上の上記足3a、3b、3c、及び3dの側面上に、例えば側面3b′上に、誘導ライン状のマーク6を設けることができ、このマークは、好適にはパレットに隣接する位置及びパレットよりも相当に高い位置から視認できる。上記誘導ライン状のマークは、パレットをフォークリフトで移動させる際に利用される。なぜならフォークリフトの操作者は、このマークによって、確実に、上記足の間の場所にフォークリフトのフォークを導くことができるからである。
【0025】
図3に示すように、各留め具は、留め具の長さの相当部分上に、実質的に平行な2つの端縁部9a、9bを備え、スリットを形成する。図2に示すように、被覆材料4の角部をこのスリットの中に差して押し込み、全被覆材料がしっかりとパレットを取り囲むが、足3a、3b、3c及び3dの間の空間を覆うことがないようにすることができる。
【0026】
図3に示すように、第1切開部9に隣接して孔10または第2切開部を設けることができ、第1切開部に被覆材料の角部が固定された後、第2切開部の中に、角部の外側終端部4aを押し込みまたは詰め込むことができる。留め具は通常、少なくとも3mmの厚さ及び平滑な端部を有し、上記端部が被覆材料の角部を破損することを防ぐ。
【0027】
留め具7は耐候性を備えるため、亜鉛メッキすることができる。
【0028】
留め具はプラスチック製でも良いが、好適にはモールド成形であり、ネジでデッキ1に固定しても、デッキに埋め込んでも良い。
【0029】
上記誘導ライン状のマーク6は、足3bの外側側面と比べて、狭く、高くなった隆起部または狭い溝部から成ることができる。重要なのは、マークが明確に視認できることである。狭い隆起部または狭い溝部6は、パレットの反対側を向く、すなわち観察者に向いた足の側面、及び隣接する足、例えば隣接する足3c(図1参照)に向いた足の側面の双方に沿って伸長できる。
【0030】
各誘導ライン状のマーク6は、問題となる足3bの下部3分の1の位置を示すマーク及び上部3分の1の位置を示すマークの間の区域に備えることができる。各誘導ライン状のマーク6は、少なくとも1.5cmの幅及び問題となる足の色と異なる色を有することができ、マーク6は、好適には明るい色である。
【0031】
図4に示すように、各足3a、3b、3cは中空であり、下部に足の側壁を貫通する長方形の孔12を備えることができる。その目的は、足に浸透する可能性のある水などの液体を排出することである。
【0032】
本発明の範囲から逸脱することなく、本発明へ多くの変更を加えることができる。足3a、3b、3cは、例えば「摩擦」足とすることができ、フォークリフトのスチール製フォークとデッキ1の間の一定量の摩擦を確保する。
【0033】
加えて、デッキ1の頂面に、デッキ1とデッキ上に積まれた商品間の摩擦を得るため、複数の平行摩擦リブを設けることができる。
【0034】
垂直誘導ライン状のマーク(線)を、デッキ1の一面における足3a、3b、3c及び3dの全ての上に設けることができ、端縁部からの距離を約5cmとする。
【0035】
垂直誘導ライン状のマークは、好適にはデッキの長辺側における足の外側に位置し、典型的には地表/床面から約2cm上方にある。
【0036】
最後に、識別カードまたは識別装置を、例えば足の上に搭載することができ、それによって自動的に(主として機械的に)、かつ極めて素早く、例えばパレットが持ち込まれる先のサプライチェーンに関連するパレットを識別することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキ(1)及び前記デッキ下側に位置する複数の足(3a、3b、3c、3d)から成る種のパレットで、前記デッキに輸送のための商品(5)が積まれた際に柔軟な被覆材料(4)で被覆されるパレットであって、前記被覆材料(4)がプラスチックまたは織物で作られ、かつ、前記被覆材料の角部(4a)を、前記デッキ上に取り付けられた少なくとも1つの留め具(7)内の、少なくとも第1切開部(9)の中に堅く押し込むことによって、少なくとも一箇所で、前記デッキ(1)に取外し可能に固定することを特徴とするパレット。
【請求項2】
1またはそれ以上の前記足(3a、3b、3c)の側面が誘導ライン状のマーク(6)を備え、前記マーク(6)が前記パレットから離れた位置、好適には前記パレットの高さよりも上方の位置から視認でき、フォークリフトで前記パレットを移動させる際に利用されることを特徴とする、請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記切開部(9)が、スリットを形成する前記切開部の相当部分上にある実質的に平行な2つの端縁部を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のパレット。
【請求項4】
前記留め具(7)が、前記第1切開部(9)に隣接する位置にある第2切開部(10)または孔を有することができ、前記第1切開部に前記被覆材料の前記角部が固定された後、前記第2切開部の中に、前記角部の前記外側終端部(4a)を押し込みまたは詰め込むことを特徴とする、請求項1、2または3に記載のパレット。
【請求項5】
前記留め具(7)が少なくとも3mmの厚さを有し、平滑な端部を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項6】
前記留め具(7)が、前記デッキ(1)上に位置し、好適には前記デッキの各頂点近くに位置することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項7】
前記留め具(7)が亜鉛メッキされることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項8】
前記留め具(7)がプラスチックで作られ、好適にはモールド成形であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項9】
前記留め具(7)がネジで前記デッキに固定され、または前記デッキの中に埋め込まれることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項10】
前記誘導ライン状のマーク(6)が、問題となる前記足の外側側面と比して、狭く、高くなった隆起部または狭い溝部から成ることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項11】
前記狭い隆起部または狭い溝部(6)が、前記パレットの反対側を向いた前記足の側面、及び隣接する前記足(3c)に向いた前記足の側面の双方に沿って延在することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項12】
前記誘導ライン状のマーク(6)が、一定長の固定されたリボンを有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項13】
前記誘導ライン状のマーク(6)は、問題となる前記足の下部3分の1の位置を示すマーク及び上部3分の1の位置を示すマークの間の区域に備えることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項14】
前記誘導ライン状のマークが少なくとも1.5cmの幅及び問題となる足の色と異なる色を有し、前記マークは好適には明るい色であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項15】
各前記足(3a、3b、3c)が中空で、その下部に、前記足の側壁を貫通する長方形の孔(12)を備え、水などの液体を足内部から排出することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のパレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−521850(P2011−521850A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510900(P2010−510900)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001414
【国際公開番号】WO2008/149198
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(504308626)インター イケア システムズ ベー ヴィ (3)
【Fターム(参考)】