説明

柱体昇降作業装置

【課題】
樹幹が断面形状が変化した際に、揺動部材の両端に設けられた車輪が同時に柱体の外周面に強く押し付けて接触でき、このため、安定して昇降ができる柱体昇降作業装置を提供する。
【解決手段】
昇降作業装置20は、揺動部材31が樹幹の外周面へその両端が接近離間移動可能に、揺動部材31の中間部にて環状機枠21に対し揺動自在に支持するようし、該揺動部材31の両端に下部主車輪72Aが取付けられている。昇降時において柱体(樹幹)の径に変化があった場合、揺動部材31の両端が柱体の外周面にそれぞれ接近離間可能に、揺動部材31が環状機枠に対して取付けされているため、揺動部材31の両端に設けられた各下部主車輪72Aが同時に柱体の外周面に強く押し付けて接触でき、このため、安定して昇降ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱体に沿って昇降動作する柱体昇降作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
柱体昇降作業装置は、人、荷物或いは作業を行う作業機構部等を搭載して種々の作業を行うためのものであり、代表的には、枝打ちを行う柱体昇降作業装置が公知である。
この種の柱体昇降作業装置の樹幹(柱体)に対する昇降の方法は、下記の(a)〜(c)の3種類に大別できる。
【0003】
(a) 螺旋運動による昇降(特許文献1〜5)、
(b) 車輪による直動運動による昇降(特許文献6〜8)、
(c) 尺取虫型の直動運動による昇降(非特許文献1)
螺旋運動による昇降は、昇降と同時に枝刈りが可能であり、枝打ち機構部をレール案内等を用いて樹幹の外周を回るための機構を必要としない。しかし、枝刈りが必要でないときにも螺旋運動するため昇降にかかる時間が大となり作業効率が良くなかった。又、車輪部が樹表面で滑らないようにするために、車輪部を強く樹幹にバネ等により強く押し付けている。能動的な作動する車輪部をバネ等の弾性受動部品を用いる方法は幹径の大きな変化に対応が困難のため対象とする幹径を制限せざるをえない。又、バネ等の伸縮時には手動で大きな力を働かせる必要があり、操作性が良くなかった。
【0004】
車輪による直動運動による昇降は、枝刈りのための樹幹回りの回転運動機構を必要とするが、高速昇降ができる利点がある。しかし、螺旋運動による昇降と同様に、車輪部が樹表面で滑らないようにするために、車輪部を強く樹幹にバランス良く強く押し付ける方法を必要としている。この方法として、強力なバネや弾性部材を用いて押し付け力を発生させる方法(特許文献9,10)があるが、この方法は幹径の大きな変化に対応が困難のため対象とする幹径を制限せざるをえない。
【0005】
又、前記方法ではバネ等の伸縮時には手動で大きな力を働かせる必要があり、操作性が良くなかった。一方、ジャッキなどを用いて能動的に押し付け力を調整する方法(特許文献7)は、押し付け機構を必要とし、このため機構を複雑にし、かつ装置が重くなる弱点がある。
【0006】
尺取虫型の直動運動による昇降は、上下にある腕で交互に樹幹に抱きつき、一方が抱きついているとき、他方が昇降機構により上下運動するため、昇降速度が他の方法と比較して遅いという問題がある。また、抱きつくために大きな腕の挟み力を必要とし、このために機構が複雑となっている。また、大きな曲がりにも対応が十分にできていない。
【0007】
上記したいずれの昇降の方法においても、重力の影響により車輪部が樹表面で滑り落ちないようにするために、能動車輪部を強く樹幹に押し付けるための弾性部材あるいは能動機構を採用している。このため、能動車輪部を樹幹に対して押し付けるために弾性部材を用いる方法では、対応できる幹径に大きな制限があり、バネ力を発生させるときの操作性が良くなく、能動機構を用いる場合は、強い押し付け力を生じさせるために機構が複雑で重量化の問題がある。
【0008】
又、直動運動と螺旋運動の両者の機能をもつ昇降がないため、直動運動のみでは樹幹の外周の運動案内機構を必要とし、螺旋運動のみでは、常に樹幹の外周を回るため高速化すると遠心力で樹幹が大きく揺さぶられ不安定となるため、低速な螺旋運動にせざるを得ない。
【0009】
そこで、こうした問題の解決に向けて、本出願人は、弾性機構や能動機構を用いない「柱体昇降作業装置」(特許文献11)を提案している。この提案した装置では、木径の変化に対応するため、樹幹の中心方向へ能動車輪を直動する直動案内機構がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−290637号公報
【特許文献2】特開平10−052181号公報
【特許文献3】実公昭60−33813号公報
【特許文献4】実公昭59−34287号公報
【特許文献5】特公平3−52926号公報
【特許文献6】特開2001−120084号公報
【特許文献7】特開2006−87326号公報
【特許文献8】特開平8−331986号公報
【特許文献9】特開2002−315453号公報
【特許文献10】特開2000−295931号公報
【特許文献11】特開2008−253116号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】管裕樹 他5名,「森林作業支援のための木登り枝打ちロボットWOODY−1の開発」,第6回システムインテグレーション部門講演会(S12005)予稿集(CD−ROM),pp.1013-1014,2005 旋回運動と尺取り虫型昇降運動
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、樹幹の中心方向へ能動車輪を直動する前記直動案内機構を受動機構として構成すると昇降時の木の形状変化、例えば、コブ等が樹幹の外周に突出していると4つの能動車輪が同時に木表面で設置できなくなる問題がある。一方、前記直動案内機構を能動機構として構成すると、能動化のために駆動モータ等が必要となるため、重量化する問題がある。
【0013】
本発明の目的は、樹幹が断面形状が変化した際に、揺動部材の両端に設けられた車輪が同時に柱体の外周面に強く押し付けて接触でき、このため、安定して昇降ができる柱体昇降作業装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、柱体の外周面を取り巻くように配置可能であり、作業機を搭載する環状機枠と、該環状機枠の上方において配置されるとともに前記外周面を転動する上部主車輪と、前記環状機枠の下方において配置されるとともに前記上部主車輪とは前記柱体を挟んで反対側に位置するように設けられて前記外周面を転動する下部主車輪と、前記上部主車輪又は下部主車輪の少なくともいずれか一方(以下、駆動車輪という)に設けられて該駆動車輪を駆動する駆動機構及び駆動車輪を操舵する操舵機構とを含み、前記駆動車輪により前記柱体の周囲を回転して昇降する柱体昇降作業装置において、単数の揺動部材、又は互いに柱体を挟んだ反対側に一対の揺動部材が前記柱体の外周面へその両端が接近離間移動可能に、該揺動部材の中間部にて前記環状機枠に対し揺動自在に支持され、前記単数の揺動部材の両端に前記下部主車輪又は上部主車輪が取付けられ、或いは一対の揺動部材のうち一方の揺動部材の両端に前記上部主車輪が取付けられるとともに他方の揺動部材の両端に前記下部主車輪が取付けられていることを特徴とする柱体昇降作業装置を要旨とするものである。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1において、前記駆動車輪は、前記柱体の直径方向に位置調整するための車輪位置調整機構に支持されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2において、前記車輪位置調整機構には、前記上部主車輪の下方に位置して、又は下部主車輪の上方に位置して、柱体の外周面を転動する副車輪が装着され、該副車輪は、付勢部材により前記柱体の外周面にそれぞれ押圧されてなることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2において、前記車輪位置調整機構により前記柱体の直径方向に位置調整される可動支持体が設けられ、該可動支持体には、固定アームが取り付けられ、前記固定アームの先端部には前記駆動車輪が装着されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4において、前記車輪位置調整機構は、前記可動支持体を手動で移動する操作機構、又はモータによる操作機構を含むことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5において、前記固定アームの先端部には、駆動車輪の進行方向を変更する操舵機構が設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項において、前記駆動機構は、サーボモータにより回転するウォームギヤと、前記駆動車輪の車軸に連結され、かつ、前記ウォームギヤに噛合したウォームホイールを含むことを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のうちいずれか1項において、前記操舵機構は、サーボモータにより回転するウォームギヤと、前記駆動車輪を支持するフォーク部材に連結され、かつ、前記ウォームギヤに噛合したウォームホイールを含むことを特徴とする。
【0020】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のうちいずれか1項において、前記環状機枠には、作業機としての枝打ち機構が搭載され、該枝打ち機構は、枝打ちを行う枝打ち本体部と、前記柱体の直径方向において、該枝打ち本体部を第1駆動源の駆動により位置調整する枝打ち位置調整機構部と、第2駆動源により該枝打ち本体部を鉛直方向に対する角度(以下、姿勢という)を調整する姿勢調整機構部を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項10の発明は、請求項9において、前記枝打ち本体部には、反柱体側に該枝打ち本体部が傾斜した状態で枝打ち位置調整機構部により柱体に対し所定距離接近した際に、該所定距離に達したことを検出し、前記第1駆動源の駆動を停止させて、第2駆動源を駆動させる第1検出手段と、前記枝打ち本体部の姿勢が前記姿勢調整機構部により所定姿勢となったことを検出して、前記第2駆動源を停止する第2検出手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
請求項11の発明は、請求項8乃至請求項10のうちいずれか1項において、前記環状機枠には、枝打ち機構が枝打ちする際に、該枝打ち機構に働く反力に抗するための受動輪が柱体に対して接触可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、昇降時において柱体(樹幹)の径に変化があった場合、揺動部材の両端が柱体の外周面にそれぞれ接近離間可能に、揺動部材が環状機枠に対して取付けされているため、揺動部材の両端に設けられた各上部主車輪、又は各下部主車輪が同時に柱体の外周面に強く押し付けて接触でき、このため、安定して昇降ができる。
【0024】
請求項2の発明によれば、柱体の直径寸法が変化した場合に、車輪位置調整機構により駆動車輪の位置を柱体の直径寸法に応じて位置調整することにより、柱体昇降作業装置を異なる直径の柱体に対して、昇降させることができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、車輪位置調整機構により、柱体昇降作業装置を柱体に取り付ける際に柱体の径方向において、副車輪の位置の調整を行うことができる。副車輪は付勢部材により付勢されて柱体の外周面に当接するため、昇降時に柱体の径の変化があっても、その径の変化に追従することができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、車輪位置調整機構の位置調整により、固定アームを介して駆動車輪が柱体の直径寸法に応じて位置調整することができる。
請求項5の発明によれば、手動又はモータで動作する操作機構により可動支持体を介して車輪位置の調整ができる。
【0027】
請求項6の発明によれば、操舵機構により、柱体に対して、上下方向に沿った直線走行、或いは螺旋走行のいずれかを選択的に行うことができる。
請求項7の発明によれば、サーボモータが停止された状態で、駆動車輪の回転が停止され、装置の自重によって、駆動車輪が回転することがなく、この結果、専用のブレーキ機構を設ける必要がないため、構造を簡素化でき、軽量化を図ることができる。
【0028】
請求項8の発明によれば、サーボモータが停止された状態で、フォーク部材の回転が停止され、装置の自重によって、フォーク部材が回転することがなく、この結果、専用のブレーキ機構を設ける必要がないため、操舵機構の構造を簡素化でき、軽量化を図ることができる。
【0029】
請求項9の発明によれば、柱体の径の変化により、枝打ち本体部が柱体に対して傾いた際に、枝打ち位置調整機構部の位置調整及び姿勢調整機構部の角度調整により、枝打ち本体部の柱体に対する位置、姿勢(角度)を調整することができ、枝打ち本体部の作業を、行いやすくすることができる。例えば、柱体の外周面に枝打ち本体部の姿勢を平行にする等、柱体に対する枝打ち本体部の姿勢を一定にすることもできる。
【0030】
請求項10の発明によれば、枝打ち本体部は柱体に対して、所定距離離間した状態でしかも所定姿勢で枝打ちを行うことができる。
請求項11の発明によれば、枝打ち機構が枝打ちする際に、受動輪が、樹幹(柱体)に接触して、該枝打ち機構に働く反力に抗することができ、この結果、前記反力による柱体昇降作業装置の姿勢の変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一実施形態の昇降作業装置の斜視図。
【図2】一実施形態の昇降作業装置の平面図。
【図3】一実施形態の昇降作業装置側面図。
【図4】(a)、(b)は、一部構成を省略した環状機枠の斜視図。
【図5】ヒンジ機構の断面図。
【図6】連結機構の断面図。
【図7】揺動部材の支持構成の斜視図。
【図8】下部昇降機構部の斜視図。
【図9】第3車輪位置調整機構部の斜視図。
【図10】(a)は上部副車輪ユニットの斜視図、(b)は下部主車輪ユニットの斜視図。
【図11】第5車輪位置調整機構部と受動輪の斜視図。
【図12】第5車輪位置調整機構部と受動輪の側面図。
【図13】枝打ち機構の斜視図。
【図14】位置調節機構の斜視図。
【図15】枝打ち機構の側面図。
【図16】枝打ち機構の斜視図。
【図17】柱体昇降作業装置の原理を示す正面図。
【図18】図17の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の柱体昇降作業装置の一実施形態を図面に従って説明する。
最初に、柱体としての樹幹11を昇降する柱体昇降作業装置(以下、柱体昇降作業装置を単に昇降作業装置という)12の原理を図17及び図18を参照して説明する。
【0033】
この昇降作業装置12は、前記樹幹11の外周に取り外し可能に装着される環状機枠13を備えている。この環状機枠13は環状の上部フレーム13aと、その一部に下方に指向するように連結されたウエイト部13bと、ウエイト部13bの下端部に前記樹幹11に向かって一体に形成されたアーム部13cとにより構成されている。前記上部フレーム13aの一部(左側)には回転軸14により前記樹幹11の表面を転動する上部駆動輪15が装着され、前記アーム部13cの先端には回転軸16により前記樹幹11の表面を転動する下部駆動輪17が装着されている。前記上部及び下部駆動輪15,17は、図示しない駆動機構により回転駆動されるようになっている。図2に示すように前記上部フレーム13aには、支持軸18により従動輪19a,19bが180°隔てて装着され、前記上部及び下部駆動輪15,17と協働して昇降作業装置12が樹幹11に沿って安定して昇降することができるようにしている。
【0034】
前記環状機枠13には図示しないが、枝打ち装置としてのチェーンソーが樹幹11の周りを旋回可能に装着されている。
次に、昇降作業装置12が樹幹11の表面に沿って昇降する原理について説明する。
【0035】
昇降作業装置12全体の重量中心(重心)Oは、前記樹幹11の外部において前記下部駆動輪17よりも外側の前記ウエイト部13bに設定されている。昇降作業装置12の重量M・g(Mは質量、gは重力加速度)が前記重量中心Oに作用すると、樹幹11と、上部及び下部駆動輪15,17との接触点で押付力の反力として、上部でF1、下部でF2が環状機枠13に作用し、これにより、上部でμ1・F1、下部でμ2・F2の摩擦力が発生する。ここで、μ1,μ2は、摩擦係数である。このとき、力とモーメントの釣り合い式は、以下のようになる。
【0036】
μ1・F1+μ2・F2=M・g
F1=F2
F1・h−μ1・F1・D=Mg・w
ただし、Dは樹幹11の直径、hは両駆動輪15,17の上下方向の距離、wは樹幹11と前記重量中心Oとの水平方向の距離である。説明を簡素化するために、μ1=μ2=μとすると、μ=h/(D+2w)である。このμが上部駆動輪15、下部駆動輪17と樹幹11の表面との摩擦係数より小さくなる設定としているので、昇降作業装置12は重量M・gにより滑り落ちることなく、樹幹11に沿って昇降することができる。
【0037】
次に、前述の昇降作業装置12の原理を応用した昇降作業装置20の一実施形態を図1〜16を参照して説明する。
昇降作業装置20の概略構成について説明する。
【0038】
(環状機枠21)
図1、図2に示すように昇降作業装置20は前記環状機枠13に相当する環状機枠21を有する。環状機枠21は図4(a)、(b)に示すように、平面視円状に形成され、ヒンジ機構22によって水平方向の開閉可能に連結された平面視半円状の第1フレーム23及び第2フレーム24により、樹幹11の周囲に脱着可能に構成されている。なお、環状機枠13の形状は、平面視円状に限定されるものてばなく、形状は環状に形成されていればよい。
【0039】
第1フレーム23及び第2フレーム24のヒンジ機構22と反対側の両端部には、該両端部を互いに連結するための連結機構25が設けられている。ヒンジ機構22は、図5に示すように、第1フレーム23に固定された連結部材23a及び第2フレーム24に固定された一対の連結部材24aが重ね合わされた状態で、連結軸22aが連結部材23aに対して回動自在に挿通されている。連結軸22aは、連結部材24aに対して固定されてて抜け止めされている。
【0040】
図6に示すように、連結機構25は、第1フレーム23の端部に固定された筒体26と、第2フレーム24の端部に固定されて前記筒体26の下面に重ね合わせて配置される連結体27と、筒体26内に上下動自在に挿通されるとともに連結体27の下部の雌ネジ孔27aに上方へ螺退可能に螺合される軸体28を備えている。軸体28は、上部に一体に連結された操作ハンドル29が連結されている。操作ハンドル29の時計周り回転操作により、軸体28は連結体27に対して螺合して第1フレーム23と第2フレーム24とが連結状態となる。又、操作ハンドル29の反時計回り方向の回転操作により、軸体28は連結体27から上方へ螺退して第1フレーム23と第2フレーム24との連結状態が解除される。又、連結体27の外部表面には、ロック付キャッチクリップ30が設けられていて、第1フレーム23と第2フレーム24とが連結状態でロック付キャッチクリップ30が、筒体26外部に設けられた図示しない爪に対して解除可能に掛け止め可能である。ロック付キャッチクリップ30を前記図示しない爪から掛け止めを解除して、操作ハンドル29を反時計方向に回転操作することにより、第1フレーム23と第2フレーム24との連結状態が解除される。
【0041】
(揺動部材31)
次に、揺動部材31を図2、図7を中心に参照して説明する。
図7に示すように第2フレーム24の円弧方向長さの中間部には、上下に一対の取付部材32,33が取付け固定され、取付部材32,33には環状機枠21の中心n(図2参照)から放射方向(すなわち、外方)へ一対の軸受片34が突出されている。なお、図7では取付部材33に固定された下方に位置する軸受片34は一部のみ図示されている。
【0042】
揺動部材31は、図2に示すように、平面視円弧状に形成され、図7に示すようにその中間部の上下には一対の軸受片35が固定されている。一対の軸受片35の内端は、環状機枠21側へ突出され、該内端間には、回転軸36が回転自在に挿通されて、該回転軸36の上下両端は一対の軸受片34に回転自在に軸支されている。揺動部材31は、回転軸36により、図1に示すように矢印方向に揺動可能であり、すなわち、両端のうち、一方の端部が、環状機枠21側に接近すると、他方の端部は、環状機枠21とは反対側に離間する方向に移動するように揺動する。
【0043】
なお、揺動部材31の長さは、揺動時に他の部材に干渉しない長さが好ましい。本実施形態では、揺動部材31は、環状機枠21の平面視円状の円と同心円となるように外側に配置され、該同心円の1/4円弧となる長さを有するが、1/4円弧の長さに限定されるものではない。
【0044】
(車輪位置調整機構部)
次に、車輪位置調整機構部41〜44について説明する。
昇降作業装置20は、図1、2に示すように環状機枠21に取付けされた第1車輪位置調整機構部41、及び第2車輪位置調整機構部42、揺動部材31の両端に取付けされた第3車輪位置調整機構部43及び第4車輪位置調整機構部、並びに、環状機枠21に取付けされた第5車輪位置調整機構部45を備えている。
【0045】
図2に示すように第1車輪位置調整機構部41と第3車輪位置調整機構部43とは、環状機枠21の中心n(図2参照)をはさんで、互いに180°反対方向に位置するように配置されている。又、図2に示すように第2車輪位置調整機構部42と第4車輪位置調整機構部44とは、環状機枠21の中心n(図2参照)をはさんで、互いに180°反対方向に位置するように配置されている。
【0046】
又、第1車輪位置調整機構部41と第2車輪位置調整機構部42とは、環状機枠21の中心n(図2参照)として互いに90°(以下、第1車輪位置調整機構部41と第2車輪位置調整機構部42との離間角度が90°という)離間するように配置されている。
【0047】
又、第3車輪位置調整機構部43及と第4車輪位置調整機構部44とは、揺動部材31が環状機枠21と同心円の位置に位置した際に、環状機枠21の中心n(図2参照)として互いに90°(以下、第3車輪位置調整機構部43と第4車輪位置調整機構部44との離間角度が90°という)離間するように配置されている。なお、これらの離間角度は、90°に限定されるものではないが、後述する上部主車輪72Bと、下部主車輪72Aとが安定して、柱体(樹幹)の外周面に安定して転動可能な離間角度とすることが好ましい。
【0048】
又、第5車輪位置調整機構部45は、図1、図2に示すように、ヒンジ機構22が設けている環状機枠21に設けられている。
各車輪位置調整機構部は同様に構成されているため、揺動部材31に取付けされた第3車輪位置調整機構部43を図8、図9を参照して説明し、他の車輪位置調整機構部における同一構成、又は相当する構成については、第3車輪位置調整機構部43の構成に付した同一符号を付す。
【0049】
第3車輪位置調整機構部43は、図7、図8に示すように、長板状のベース板50と、ベース板50の長手方向の一端に立設された端板51と、環状機枠21の中心n側の他端より位置に立設された端板52とを有する。端板52には、環状機枠21の中心n側に向かって取付片53がベース板50と平行に延出されている。そして、該取付片53とベース板50の一端の間において、介在部材54を介して図示しないボルト等を使用して揺動部材31の一端を挟圧することにより、第3車輪位置調整機構部43が揺動部材31に対して取付け固定されるとともに、ベース板50が略水平となるように配置されている。
【0050】
端板51、52の上部間、及び中央部間には、ガイド棒55と、ラック56がそれぞれ互いに平行に架設されている。
ガイド棒55には可動支持体57がガイド棒55の長手方向に沿って摺動自在に貫通されている。又、可動支持体57はその下面がベース板50の上面に対して摺動自在に配置されている。
【0051】
可動支持体57は、図9に示すようにラック56を上から跨ぐように下部が凹設されており、ラック56から下方へ突出した下部の部位間には、軸58が架設されている。同軸58には、前記凹部57a内に位置するように、爪部材59が回動自在に支持されている。爪部材59は、前記軸58に巻回された図示しないばねにより付勢されてラック56の何れかの歯56aに噛み合い可能となっている。ベース板50には、図9に示すように、長手方向に沿って長孔50aが透設されている。爪部材59の操作端59aは、長孔50aを貫通して、ベース板50の下方に突出しており、ベース板50の下方から操作端59a(図11参照)が操作されることにより、爪部材59のラック56に対する噛合、及び噛合の解除が可能である。爪部材59のラック56に対する噛合が解除されることにより、可動支持体57は、ベース板50の長手方向、すなわち、後述する上部主車輪72B及び下部主車輪72Aにおける柱体の直径方向に位置調整が可能である。ラック56、可動支持体57、軸58、爪部材59等により、手動の操作機構が構成されている。
【0052】
第4車輪位置調整機構部44の揺動部材31に対する取付け構造は、第3車輪位置調整機構部43と同様である。
第1車輪位置調整機構部41の第1フレーム23に対する取付けは、図1に示すようにベース板50の一端と取付片53間に挟着部材60が取付け固定され、挟着部材60の先端に設けられた一対の挟着片61,62間に第1フレーム23を挟み込みしてボルト等により締付けされることにより行われている。第2車輪位置調整機構部42の第1フレーム23に対する取付けは、第1車輪位置調整機構部41と同様であるため、説明を省略する。第5車輪位置調整機構部45の第1フレーム23に対する取付けは、図4に示すように、第1フレーム23、又は第2フレーム24のいずれか一方に対して、ベース板50の一端及び取付片53が固定されている。
【0053】
第3車輪位置調整機構部43、及び第4車輪位置調整機構部44は、下部主車輪を柱体の直径方向に位置調整するための車輪位置調整機構部に相当する。
(下部昇降機構部A)
次に、第3車輪位置調整機構部43及び第4車輪位置調整機構部44に取付けされた下部昇降機構部Aを図8、図10(b)を参照して説明する。なお、第3車輪位置調整機構部43及び第4車輪位置調整機構部44にそれぞれ取付けされた下部昇降機構部Aは、同一構成のため、第3車輪位置調整機構部43に設けられた下部昇降機構部Aを中心に説明し、第4車輪位置調整機構部44の下部昇降機構部Aの構成部材については、第3車輪位置調整機構部43の下部昇降機構部Aの構成部材と同一符号を付す。
【0054】
下部昇降機構部Aは、可動支持体57の両側部に一体に固定されて下方に延びる一対の固定アーム64と、両固定アーム64の先端間に固定された支持板65と、支持板65に設けられた操舵機構66Aと、操舵機構66Aにより操舵される下部主車輪ユニット67Aを備えている。なお、図9、図10(b)では、固定アーム64は、説明の便宜上、一方を省略して図示している。
【0055】
図8に示すように操舵機構66Aは、支持板65に対して取付板65aを介して固定されたサーボモータ68と、サーボモータ68の出力軸(図示しない)に固定されたウォームギヤ69と、支持板65に回転自在に貫通された操舵軸(図示しない)に固定され、前記ウォームギヤ69に噛合するウォームホイール70とから構成されている。
【0056】
操舵機構66Aは、サーボモータ68が正逆回転駆動することにより、後述の下部主車輪ユニット67Aを操舵する。
下部主車輪ユニット67Aは、前記操舵軸(図示しない)に固定されるとともに支持板65に対して回転するフォーク部材71と、該フォーク部材71にて回転自在に支持された下部主車輪72Aと、該下部主車輪72Aの車軸(図示しない)を回転駆動する駆動機構73を備えている。
【0057】
駆動機構73は、フォーク部材71の外側面に固定されたサーボモータ74と、サーボモータ74の出力軸(図示しない)に固定されたウォームギヤ75と、フォーク部材71に回転自在に貫通された前記車軸(図示しない)に固定され、前記ウォームギヤ75に噛合するウォームホイール76とから構成されている。下部主車輪72Aは、サーボモータ74の駆動により回転駆動する。
【0058】
(上部副車輪87及び上部副車輪87の支持機構部78)
次に、第3車輪位置調整機構部43、及び第4車輪位置調整機構部44に設けられた上部副車輪87及び上部副車輪87の支持機構部78を図8〜図10(a)を参照して説明する。なお、第4車輪位置調整機構部44の上部副車輪及び支持機構は、第3車輪位置調整機構部43の上部副車輪87及び支持機構部78と同一であるため、第3車輪位置調整機構部43の上部副車輪87及びその周辺構成について説明し、第4車輪位置調整機構部44の上部副車輪87及び支持機構部78の説明は省略する。
【0059】
支持機構部78は、可動支持体57の両側部から突出した軸57bに対し固定アーム64の外面側において揺動自在に支持され、柱体側へ向かって斜め上方に延びる一対の揺動アーム79と、両揺動アーム79の先端間に固定された支持板80と、支持板80に設けられた操舵機構81と、操舵機構81により操舵される上部副車輪ユニット82を備える。なお、図9、図10(a)では、揺動アーム79は、説明の便宜上、一方を省略して図示している。
【0060】
図8に示すように一対の固定アーム64の側面には、ストッパ64aが固定されている。前記揺動アーム79の揺動範囲は該ストッパ64aにより規制されている。なお、図8は、片方のストッパ64aのみ図示されている。前記揺動アーム79は、揺動アーム79を可動支持体57に回動自在に軸支する軸に設けられた図示しない捻りコイルバネ等からなる付勢部材にて常時、環状機枠21の中心n側へ付勢されている。この付勢により、樹幹の外周面に上部副車輪87を押圧して当接可能である。
【0061】
図10(a)に示すように操舵機構81は、支持板80に対して取付板88を介して固定されたサーボモータ83と、サーボモータ83の出力軸(図示しない)に固定されたウォームギヤ84と、支持板80に回転自在に貫通された操舵軸(図示しない)に固定され、前記ウォームギヤ84に噛合するウォームホイール85とから構成されている。
【0062】
操舵機構81は、サーボモータ83が正逆回転駆動することにより、後述の上部副車輪ユニット82を操舵する。
上部副車輪ユニット82は、支持板80に回転自在に貫通された前記操舵軸(図示しない)に固定されるとともに支持板80に対して回転するフォーク部材86と、該フォーク部材86にて回転自在に支持された上部副車輪87を備えている。
【0063】
(上部昇降機構部B)
図1〜3に示すように、第1車輪位置調整機構部41及び第3車輪位置調整機構部43には、上部昇降機構部Bが設けられている。第1車輪位置調整機構部41と、第3車輪位置調整機構部43に設けられた上部昇降機構部Bは、同一構成のため、第1車輪位置調整機構部41の上部昇降機構部Bについて説明する。
【0064】
図1に示すように上部昇降機構部Bは、可動支持体57の両側部に一体に固定されて上方に延びる一対の固定アーム89と、両固定アーム89の先端間に固定された支持板65と、支持板65に設けられた操舵機構66Bと、操舵機構66Bにより操舵される上部主車輪ユニット67Bを備えている。
【0065】
ここで、上部昇降機構部Bは、下部昇降機構部Aの構成と下記の構成が異なり、他の残りの構成は同一である。すなわち、下部昇降機構部Aの固定アーム64が下方に延びている代わりに、固定アーム89が上方に延びているところが異なるとともに、下部主車輪ユニット67Aの代わりに上部主車輪ユニット67Bであることが異なるだけである。
【0066】
上部主車輪ユニット67Bは、下部主車輪ユニット67Aと構成が実質的に同一であり、下部主車輪72Aの代わりに、上部主車輪72Bが設けられていることが異なり、他の構成は同一であるため、下部主車輪ユニット67Aの構成に相当する構成については同一符号を付して説明を省略する(図2参照)。
【0067】
すなわち、上部主車輪ユニット67Bは、操舵機構66Bの操舵軸(図示しない)に固定されるとともに支持板に対して回転するフォーク部材と、該フォーク部材にて回転自在に支持された上部主車輪72Bと、該上部主車輪72Bの車軸(図示しない)を回転駆動する駆動機構を備えている。
【0068】
(枝打ち機構)
次に、枝打ち機構90を図7、図13〜16を参照して説明する。
図7に示すように枝打ち機構90は、環状機枠21の揺動部材31を軸支する近位の部位において、前記取付部材32に固定されたベース板91(図14参照)を含む。ベース板91の長手方向は、環状機枠21の中心nに向かう方向と一致するように配置されている。ベース板91上には、ベース板91の上方空間を覆うように、略直方体をなす有蓋箱状のカバー体92がベース板91の長手方向に沿って摺動自在に載置されている。なお、図14では、カバー体92の一部が省略されて図示されている。カバー体92の両側外面の下部には、ベース板91に摺接する角柱状の摺動体93が固定されている。
【0069】
図14に示すように、ベース板91には、位置調節機構94が設けられている。位置調節機構94は、ベース板91に固定されたサーボモータ95と、サーボモータ95の出力軸(図示しない)に固定されたウォームギヤ96と、ウォームギヤ96に噛合する入力歯車(図示しない)と出力歯車97aとを含む歯車機構97と、カバー体92の内頂面に固定されて長手方向に延出され、出力歯車97aに噛合するラック98とを含む。サーボモータ95は第1駆動源に相当する。
【0070】
位置調節機構94は、サーボモータ95が正逆回転することにより、ウォームギヤ96、出力歯車97a、ラック98を介して、カバー体92をベース板91の長手方向において、すなわち、柱体(樹幹)の直径方向において、環状機枠21の中心nに対する接近又は離間の位置調整が可能である。位置調節機構94は、枝打ち位置調整機構部に相当する。
【0071】
カバー体92の両側面には、一対のガイド棒99が前記長手方向に沿って固定されている。両ガイド棒99には、スライド100がガイド棒99に前記長手方向に沿って摺動自在に嵌合され、両スライド100上には機構部基台101が固定されている。又、ガイド棒99において、環状機枠21の中心nとは反対側には、図15,16に示すようにコイルスプリング102aを含む緩衝装置102が装着されており、スライド100が、反中心n側に移動したときに緩衝機能を発揮する。
【0072】
図13に示すように機構部基台101には、一対の軸受部103(図13においては一方のみ図示)を介して支持軸104が回転自在に支持され、支持軸104には、歯車105が固定されている。機構部基台101には、第2駆動源としてのサーボーモータ106が固定され、サーボーモータ106の出力軸には前記歯車105に噛合するウォームギヤ107が固定されている。サーボーモータ106、歯車105、ウォームギヤ107、支持軸104からなる機構部は、姿勢調整機構部に相当する。
【0073】
支持軸104には取付部材110aを介して、図13、15、16に示すように支持ユニット110が固定されている。支持ユニット110には、図13に示すように、一対のガイドロッド112が上方へ延出されている。一対のガイドロッド112には、枝打ち本体部120が上下方向に移動自在に嵌合され、ガイドロッド112に沿って上下動可能となっている。ガイドロッド112には、枝打ち本体部120の下動時の緩衝を行う弾性部材113が装着されている。
【0074】
支持ユニット110には、第1検出手段及び下部接触検出手段としての接触センサ116が設けられており、接触センサ116のアクチュエータ117が、支持ユニット110から環状機枠21の中心n側に突出されている。接触センサ116は、例えば、接触スイッチからなる。
【0075】
接触センサ116は、枝打ち本体部120が反柱体側に傾いてる状態で、位置調節機構94のサーボモータ95を駆動させて、アクチュエータ117が柱体に当接した際に、サーボモータ95を停止させて、枝打ち本体部120が柱体に対して所定距離迄接近させるためのものである。この所定距離は、後述するチェーンソー121が柱体(樹幹)に対して枝打ちを行う際の柱体と支持ユニット110間の離間距離である。
【0076】
又、接触センサ116は、サーボモータ95を停止させた後、サーボーモータ106を駆動させるためのものである。
枝打ち本体部120は、チェーンソー121を備えた枝払い機構122を備え、モータ123によりガイドバー124の周囲に設けられたチェーン121aを周回駆動するようにしている。
【0077】
チェーン121aのガイドバー124において、上下方向の略中央部には、第2検出手段及び上部接触検出手段としての接触センサ130が設けられており、接触センサ130のアクチュエータ131が、ガイドバー124から環状機枠21の中心n側に突出されている。接触センサ130は、接触スイッチからなる。
【0078】
接触センサ130は、枝打ち本体部120が前記所定距離に達した状態で、サーボーモータ106が駆動されて、アクチュエータ131が柱体(樹幹)に接触したとき、サーボーモータ106を停止させるためのものである。このサーボーモータ106の停止時に、枝打ち本体部120は、所定姿勢となる。この所定姿勢は、例えば、枝打ち本体部120全体が鉛直方向に立った姿勢(鉛直方向に対しては0°)が挙げられるが、この所定姿勢は、この姿勢に限定されるものではない。このアクチュエータ117の支持ユニット110からの突出量を適宜変更することにより、所定姿勢は変更可能である。
【0079】
枝打ち本体部120全体が鉛直方向に立った姿勢(鉛直方向に対しては0°)では、樹幹に対して略平行となり、良好な枝打ち作業を期待できる。
図7に示すように、枝打ち機構90の下方、すなわち、環状機枠21の下方に位置するように取付部材33には、ブラケット135が固定され、ブラケット135には、制御ボックス136が固定されている。制御ボックス136には、図示しない制御装置、及び該制御装置と前述した各サーボモータの電力源となる図示しないバッテリが収納されている。
【0080】
この制御ボックス136は、下部主車輪72A間に位置するとともに、昇降作業装置20全体の重心が、柱体(樹幹)の外部において図2に示すように下部主車輪72A(下部駆動輪17に相当)よりも外側に位置させるようにして、前記原理で説明したウエイト部13bの機能をさせている。
【0081】
(反力対応の受動輪140)
次に、図4(a)、図11、及び図12を参照して、第5車輪位置調整機構部45に設けられた反力対応の受動輪140を説明する。
【0082】
第5車輪位置調整機構部45の可動支持体57に対する、反力対応の受動輪140の支持構造は、前述した上部副車輪87の支持構造と実質的に同じであるため、上部副車輪87で説明した各構成部材に相当する構成については、ストッパ64aを除いて上部副車輪87で説明した各構成に付した符号にさらに「C」の符号を加えたものを付すことにして、詳細な説明を省略する。以下には、上記の理由により「C」を付した構成部材の名前のみを羅列する。
【0083】
すなわち、受動輪140の支持構造では、支持機構部78C、揺動アーム79C、支持板80C、操舵機構81C、下部副車輪ユニット82C、サーボモータ83C、前記ウォームギヤ84C、ウォームホイール85C、及びフォーク部材86Cを含む。
【0084】
なお、揺動アーム79Cは、揺動アーム79と異なり、図12に示すように、環状機枠21の中心nに向かって、斜め下方へ延出されている。
又、第5車輪位置調整機構部45には、固定アーム64の代わりに固定部材64Cが設けられており、固定部材64Cの側面には、ストッパ164aが固定されている。固定部材64C前記揺動アーム79Cの揺動範囲は該ストッパ164aにより規制されている。
【0085】
本実施形態では、第5車輪位置調整機構部45、すなわち、受動輪140は、環状機枠21の中心nを中心として、枝打ち機構90から、略45°離間して配置されているが、45°に限定されるものではない。
【0086】
(実施形態の作用)
次に、昇降作業装置20の作用を説明する。
なお、説明の便宜上、第1〜第5車輪位置調整機構部41〜45の可動支持体57は、十分に端板51側へ近接位置しているものとし、枝打ち本体部120の姿勢は、反樹幹側へ傾いているものとする。
【0087】
環状機枠21を図示しない樹幹(柱体)に装着する場合には、ロック付キャッチクリップ30を外して図4(a)に示す操作ハンドル29を操作して、第1フレーム23,第2フレーム24の連結を解除してヒンジ機構22を中心に第1フレーム23及び第2フレーム23を開放し、樹幹の外周に第1フレーム23及び第2フレーム23を装着して、第1フレーム23及び第2フレーム23を連結して、操作ハンドル29を操作するとともに、ロック付キャッチクリップ30を掛ける。
【0088】
又、第1〜第5車輪位置調整機構部41〜45の各爪部材59をラック56から係合を解除操作して、各可動支持体57を環状機枠21の中心nに移動させて、一対の下部主車輪72A、一対の上部副車輪87、一対の上部主車輪72B、及び、受動輪140を樹幹の外周面に当接させた状態にし、各爪部材59を各ラック56に係合保持させた状態にする。
【0089】
この状態で下部主車輪ユニット67Aの駆動機構73のサーボモータ74、上部主車輪ユニット67Bの駆動機構のサーボモータ74を起動して、下部主車輪72A、及び上部主車輪72Bを回転させて上昇させる。
【0090】
この場合、樹幹を単に上昇させる場合は、制御ボックス136内の制御装置は、操舵機構66A、66B、81、81Cのサーボモータ68、83、83Cを駆動して操舵位置を中立位置に位置させる。このことにより、昇降作業装置20の樹幹の上昇が直線的になる。
【0091】
樹幹の枝打ちを行う部位に到達した場合、制御装置(図示しない)は、下部主車輪ユニット67Aの駆動機構73のサーボモータ74、上部主車輪ユニット67Bの駆動機構のサーボモータ74を停止(又は減速)する。合わせて、制御装置は、位置調節機構94のサーボモータ95を駆動させて、接触センサ116のアクチュエータ117が樹幹に当接するまで枝打ち本体部120を環状機枠21の中心n側に移動させる。アクチュエータ117が樹幹に当接して接触センサ116が当接すると、制御装置は、サーボモータ95を停止させ、次に、サーボーモータ106を駆動させる。チェーンソー121の姿勢が、変化して、接触センサ130のアクチュエータ131が樹幹に当接すると、制御装置は、サーボーモータ106を停止させる。
【0092】
この後、制御装置は、操舵機構66A、66B、81、81Cのサーボモータ68、83、83Cを駆動して操舵位置を中立位置から、平面視した場合反時計回りになるように操舵して、該上部主車輪72B、下部主車輪72A、上部副車輪87、及び受動輪140の向きを変え、又、下部主車輪ユニット67A,上部主車輪ユニット67Bのサーボモータ74を起動して、下部主車輪72A、及び上部主車輪72Bを回転させて螺旋状にして上昇させる。又、合わせて、制御装置は、モータ123を駆動して、チェーンソー121を作動させる。
【0093】
このことにより、樹幹の枝打ちが樹幹を螺旋状に上昇しながら行われる。
枝打ち機構90により、枝打ちが行われる際に、枝打ち機構90及び環状機枠21に反力が働き、昇降作業装置20の姿勢が傾こうとするが、この反力に対して、環状機枠21の下方に設けられた受動輪140が、樹幹に対して接触して抗することができるため、昇降作業装置20の姿勢変化を抑制できる。
【0094】
なお、昇降作業装置20は樹幹の直径が上昇するにつれ、小径となった場合は、制御装置は、位置調節機構94と、姿勢調整機構部を前述と同様に制御して、位置調整、及び姿勢調整を行う。
【0095】
樹幹の枝の切り落とし動作が終了すると、モータ123を停止させるとともに、制御装置は、操舵機構66A、66B、81、81Cのサーボモータ68、83、83Cを駆動して操舵位置を中立位置に戻すように操舵し、下部主車輪ユニット67Aの駆動機構73のサーボモータ74、上部主車輪ユニット67Bの駆動機構のサーボモータ74を上昇時とは逆回転させる。この結果、昇降作業装置20の樹幹での下降が直線的になり、速やかに下降することができる。
【0096】
なお、昇降作業装置20が樹幹を螺旋状に上昇回転(螺旋走行)している場合、コブ等が樹幹の外周にあって、下部主車輪72Aの一方が乗り上げた際、或いは、樹幹断面が平面視楕円形になっている場合、揺動部材31が揺動する。このことによって、樹幹の径か変化した場合、この2つの能動車輪である下部主車輪72Aは、同程度の押し付け力で樹幹表面に接触することになる。
【0097】
仮に、この場合、揺動部材31が揺動せず環状機枠21に固定されていると、一対の上部主車輪72B、一対の下部主車輪72Aの樹幹に対する4つの接触点を通る平面を構成できないため、一対の下部主車輪72Aの樹幹に対する押し付け力は著しく変化し、この結果、下部主車輪72Aの滑りを生じさせる虞がある。
【0098】
なお、前記サーボモータが停止している場合、駆動機構、操舵機構は、ウォームギヤとウォームホイールとの噛合作用(すなわち、減速機構)の作用により、機構は動くことはない。このため、サーボモータへの電力供給が必要ではなくなり、省電力に適している。
【0099】
なお、前述したサーボモータ等の起動又は停止動作は、制御装置により行っているが、地上から延長コードを用いて遠隔操作されるようしてもよく、或いは無線操作により遠隔操作するように構成してもよい。
【0100】
上記実施形態の昇降作業装置20によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、昇降作業装置20は、揺動部材31が柱体(樹幹)の外周面へその両端が接近離間移動可能に、揺動部材31の中間部にて環状機枠21に対し揺動自在に支持するようし、該揺動部材31の両端に下部主車輪72Aが取付けられている。
【0101】
この結果、本実施形態によれば、昇降時において柱体(樹幹)の径に変化があった場合、揺動部材31の両端が柱体の外周面にそれぞれ接近離間可能に、揺動部材31が環状機枠に対して取付けされているため、揺動部材31の両端に設けられた各下部主車輪72Aが同時に柱体の外周面に強く押し付けて接触でき、このため、安定して昇降ができる。
【0102】
(2)本実施形態では、揺動部材31には、下部主車輪72Aを柱体の直径方向に位置調整するために、車輪位置調整機構としての第3車輪位置調整機構部43、第4車輪位置調整機構部44が設けられている。又、環状機枠21には、上部主車輪72Bを柱体の直径方向に位置調整するために、車輪位置調整機構としての第1車輪位置調整機構部41、第2車輪位置調整機構部42が設けられている。この結果、取付け時において、柱体の直径寸法が変化した場合に、第3車輪位置調整機構部43、第4車輪位置調整機構部44により上部主車輪、又は下部主車輪の位置を柱体の直径寸法に応じて位置調整することにより、柱体昇降作業装置を異なる直径の柱体に対して、昇降させることができる。
【0103】
(3) 本実施形態の昇降作業装置20は、第3車輪位置調整機構部43、第4車輪位置調整機構部44には、下部主車輪72Aの上方に位置して、柱体の外周面を転動する上部副車輪87が装着され、上部副車輪87は、捻りコイルバネ等からなる付勢部材により柱体の外周面にそれぞれ押圧される。この結果、第3車輪位置調整機構部43、第4車輪位置調整機構部44により、昇降作業装置20を柱体に取り付ける際に柱体の径方向において、上部副車輪87の位置の調整を行うことができる。上部副車輪87は付勢部材により付勢されて柱体の外周面に当接するため、昇降時に柱体の径の変化があっても、その径の変化に追従することができる。
【0104】
(4)本実施形態では、昇降作業装置20は、第1〜第4車輪位置調整機構部41〜44により柱体の直径方向に位置調整される可動支持体57が設けられ、可動支持体57には、固定アーム64が取り付けられ、固定アーム64の先端部には上部主車輪72B、下部主車輪72Aがそれぞれ装着されている。この結果、第1〜第4車輪位置調整機構部41〜44の位置調整により、固定アーム64を介して下部主車輪72Aが柱体の直径寸法に応じて位置調整することができる。
【0105】
(5) 本実施形態では、昇降作業装置20の第1〜第4車輪位置調整機構部41〜44は、可動支持体57を手動で移動する操作機構を含む。
この結果、手動で動作する操作機構により可動支持体57を介して車輪位置の調整ができる。
【0106】
(6)本実施形態では、昇降作業装置20は、固定アーム64の先端部には、下部主車輪72Aの進行方向を変更する操舵機構66Aが設けられている。この結果、操舵機構66Aにより、柱体に対して、上下方向に沿った直線走行、或いは螺旋走行のいずれかを選択的に行うことができる。
【0107】
(7)本実施形態では、駆動機構73は、サーボモータ74により回転するウォームギヤ75と、下部主車輪72Aの車軸に連結され、かつ、ウォームギヤ75に噛合したウォームホイール76を含む。この結果、サーボモータ74が停止された状態で、下部主車輪72Aの回転が停止され、装置の自重によって、下部主車輪72Aが回転することがなく、この結果、専用のブレーキ機構を設ける必要がないため、構造を簡素化でき、軽量化を図ることができる。
【0108】
(8) 本実施形態では、操舵機構66A、66Bはサーボモータ68は、サーボモータ68により回転するウォームギヤ69と、上部主車輪72Bと、下部主車輪72A(駆動車輪)を支持するフォーク部材71に連結され、かつ、前記ウォームギヤ69に噛合したウォームホイール70を含む。この結果、本実施形態では、
サーボモータ68が停止された状態で、フォーク部材71の回転が停止され、装置の自重によって、フォーク部材71が回転することがなく、この結果、専用のブレーキ機構を設ける必要がないため、操舵機構66A、66Bの構造を簡素化でき、軽量化を図ることができる。又、操舵機構81、81Cに関しても、上記と同じ理由から上記と同様の効果を奏する。
【0109】
(9) 本実施形態では、昇降作業装置20は、環状機枠21には、作業機としての枝打ち機構90が搭載されている。枝打ち機構90は、枝打ちを行う枝打ち本体部120を備える。そして、柱体の直径方向において、枝打ち本体部120をサーボモータ95(第1駆動源)の駆動により位置調整する位置調節機構94(枝打ち位置調整機構部)と、サーボーモータ106(第2駆動源)により枝打ち本体部120を鉛直方向に対する姿勢を調整するサーボーモータ106、歯車105、ウォームギヤ107、支持軸104からなる(姿勢調整機構部)を備える。
【0110】
この結果、柱体の径の変化により、枝打ち本体部120が柱体に対して傾いた際に、位置調節機構94の位置調整及び姿勢調整機構部の角度調整により、枝打ち本体部120の柱体に対する位置、姿勢(角度)を調整することができ、枝打ち本体部120の作業を、行いやすくすることができる。例えば、柱体の外周面に枝打ち本体部120の姿勢を平行にする等、柱体に対する枝打ち本体部120の姿勢を一定にすることもできる。
【0111】
(10) 本実施形態では、枝打ち本体部120は、枝打ち本体部120には、反柱体側に枝打ち本体部120が傾斜した状態で位置調節機構94(枝打ち位置調整機構部)により柱体に対し所定距離接近した際に、該所定距離に達したことを検出し、サーボモータ95(第1駆動源)の駆動を停止させて、サーボーモータ106(第2駆動源)を駆動させる接触センサ116(第1検出手段)を備える。又、枝打ち本体部120の姿勢が姿勢調整機構部により所定姿勢となったことを検出して、サーボーモータ106(第2駆動源)を停止する接触センサ130(第2検出手段)を備える。
【0112】
この結果、枝打ち本体部120は柱体に対して、所定距離離間した状態でしかも所定姿勢で枝打ちを行うことができる。
(11) 本実施形態では、昇降作業装置20は、環状機枠21には、枝打ち機構90が枝打ちする際に、該枝打ち機構90に働く反力に抗するための受動輪140が柱体に対して接触可能に設けられている。この結果、枝打ち機構90が枝打ちする際に、受動輪140が、樹幹(柱体)に接触して、該枝打ち機構90に働く反力に抗することができ、この結果、前記反力による昇降作業装置20の姿勢の変化を抑制することができる。
【0113】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前記実施形態において、一対の該上部主車輪72Bを、一対の下部主車輪72Aと同様に環状機枠21に、一対の下部主車輪72Aの揺動部材とは別に、或いは、一対の下部主車輪72Aの揺動部材を省略する代わりに、揺動自在に支持した揺動部材に設けるようにしてもよい。すなわち、互いに柱体を挟んだ反対側に一対の揺動部材を設けて、各揺動部材に、一対の該上部主車輪72B、及び一対の下部主車輪72Aを支持、或いは、別の揺動部材に、一対の該上部主車輪72Bを支持するようにしてもよい。
【0114】
この場合、第1車輪位置調整機構部41、第2車輪位置調整機構部42を介して、該上部主車輪72Bを、操舵機構66B、上部主車輪ユニット67Bを備えるようにしてそれぞれ同様に設けるようにする。
【0115】
又、上部主車輪72Bの下方には、上部副車輪87と同様の下部副車輪(揺動部材の下方に副車輪が位置することのみ異なる)を設けるようにしてもよい。このようにしても、昇降時において柱体(樹幹)の径に変化があった場合、上部主車輪72B、下部主車輪72Aにより、同時に柱体の外周面に強く押し付けて接触でき、安定して昇降ができる。
【0116】
・ 前記実施形態では、揺動部材31を環状機枠21の外方に設けたが、環状機枠21の内方に揺動自在に設けるようにしてもよい。
・ 前記実施形態では、第1検出手段として、接触センサ116を接触スイッチにて構成したが、圧力センサとしてもよい。圧力センサとした場合、所定距離は圧力がかかって検出作動したときの距離となる。又、第1検出手段を、力センサとしてもよく、この場合、所定距離とは力センサが検出作動したときの、該センサと樹幹の外表面との距離となる。又、第1検出手段として距離センサとしても良く、距離センサの場合は、柱体との離間距離が予め設定された距離か否かを判定する機能をもてばよい。
【0117】
所定姿勢としては、第2検出手段が樹幹に対して検出する所定の距離離間したときの距離のときの姿勢でもよい。実前記施形態の場合、第2検出手段は、接触スイッチであるため、該接触スイッチが柱体に押圧されてオン動作する際に枝打ち本体部120が予め設定された姿勢(角度)になるように、該スイッチの位置柱体に接触した際のアクチュエータのオン動作の位置、スイッチの枝打ち本体部の表面からの突出量等を予め設定しておくものとする。
【0118】
なお、第2検出手段を、圧力センサ、又は力センサとしてもよい。或いは、距離センサであってもよい。
・ なお、下部主車輪72Aは、前記実施形態では説明していないが、リムホイールの外周側に設けられたリムに対してタイヤが装着されている。この場合、昇降作業装置20が柱体(樹幹)を螺旋昇降する際、該装置の自重によりタイヤの側面が膨出することによる変形が大きくなり、リムに対するタイヤの内周側装着部分が外れる虞がある。このタイヤ変形を押さえるために、前記実施形態において、図10(b)に示すように、下部主車輪72Aのリムホイールの内周側にフランジfを形成して、該フランジfによりタイヤの側面を押さえるようにしてもよい。
【0119】
・前記実施形態では、第1車輪位置調整機構部41〜第5車輪位置調整機構部45では、可動支持体57を手動の操作機構により、手動操作して位置調整を行うようにした。この構成の代わりに、第1車輪位置調整機構部41〜第5車輪位置調整機構部45おいて、端板51、52間に図示しないポールネジを架設し、該ボールねじに螺合されたボールねじナットを可動支持体57に対して固定し、前記ボールねじの一端には、図示しないサーボモータの出力軸に固定されたウォームギヤと噛合するウォームホイールを固定するようにしてもよい。この場合、ボールねじ、ボールねじナットがモータ(前記サーボモータ)により動作する操作機構に相当する。
【0120】
このことにより、サーボモータを作動させてボールネジ等を動作させ、可動支持体57を移動させることにより下部主車輪72A、上部主車輪72B、上部副車輪87、受動輪140の位置の調整ができる。又、第1車輪位置調整機構部41〜第5車輪位置調整機構部45において、各サーボモータを同期して制御すれば、同時に可動支持体57を同時に移動させて、下部主車輪72A、上部主車輪72B、上部副車輪87、受動輪140の位置の調整ができる。
【符号の説明】
【0121】
20…柱体昇降作業装置、21…環状機枠、31…揺動部材、
43…第3車輪位置調整機構部(車輪位置調整機構)、
44…第4車輪位置調整機構部(車輪位置調整機構)、
57…可動支持体、64,89…固定アーム、
66A,66B,81…操舵機構、
68,74,83,95…サーボモータ、
69,75,84,96,107…ウォームギヤ、
70,76,85…ウォームホイール、
72A…下部主車輪、72B…上部主車輪、73…駆動機構、90…枝打ち機構、120…枝打ち本体部、140…受動輪。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱体の外周面を取り巻くように配置可能であり、作業機を搭載する環状機枠と、該環状機枠の上方において配置されるとともに前記外周面を転動する上部主車輪と、前記環状機枠の下方において配置されるとともに前記上部主車輪とは前記柱体を挟んで反対側に位置するように設けられて前記外周面を転動する下部主車輪と、前記上部主車輪又は下部主車輪の少なくともいずれか一方(以下、駆動車輪という)に設けられて該駆動車輪を駆動する駆動機構及び駆動車輪を操舵する操舵機構とを含み、前記駆動車輪により前記柱体の周囲を回転して昇降する柱体昇降作業装置において、
単数の揺動部材、又は互いに柱体を挟んだ反対側に一対の揺動部材が前記柱体の外周面へその両端が接近離間移動可能に、該揺動部材の中間部にて前記環状機枠に対し揺動自在に支持され、
前記単数の揺動部材の両端に前記下部主車輪又は上部主車輪が取付けられ、或いは一対の揺動部材のうち一方の揺動部材の両端に前記上部主車輪が取付けられるとともに他方の揺動部材の両端に前記下部主車輪が取付けられていることを特徴とする柱体昇降作業装置。
【請求項2】
前記駆動車輪を、前記柱体の直径方向に位置調整するための車輪位置調整機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の柱体昇降作業装置。
【請求項3】
前記車輪位置調整機構には、前記上部主車輪の下方に位置して、又は下部主車輪の上方に位置して、柱体の外周面を転動する副車輪が装着され、該副車輪は、付勢部材により前記柱体の外周面にそれぞれ押圧されてなることを特徴とする請求項2に記載の柱体昇降作業装置。
【請求項4】
前記車輪位置調整機構により前記柱体の直径方向に位置調整される可動支持体が設けられ、該可動支持体には、固定アームが取り付けられ、前記固定アームの先端部には前記駆動車輪が装着されていることを特徴とする請求項2に記載の柱体昇降作業装置。
【請求項5】
前記車輪位置調整機構は、前記可動支持体を手動で移動する操作機構、又はモータによる操作機構を含むことを特徴とする請求項4に記載の柱体昇降作業装置。
【請求項6】
前記固定アームの先端部には、駆動車輪の進行方向を変更する操舵機構が設けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の柱体昇降作業装置。
【請求項7】
前記駆動機構は、サーボモータにより回転するウォームギヤと、前記駆動車輪の車軸に連結され、かつ、前記ウォームギヤに噛合したウォームホイールを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の柱体昇降作業装置。
【請求項8】
前記操舵機構は、サーボモータにより回転するウォームギヤと、前記駆動車輪を支持するフォーク部材に連結され、かつ、前記ウォームギヤに噛合したウォームホイールを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちいずれか1項に記載の柱体昇降作業装置。
【請求項9】
前記環状機枠には、作業機としての枝打ち機構が搭載され、
該枝打ち機構は、
枝打ちを行う枝打ち本体部と、前記柱体の直径方向において、該枝打ち本体部を第1駆動源の駆動により位置調整する枝打ち位置調整機構部と、第2駆動源により該枝打ち本体部を鉛直方向に対する角度(以下、姿勢という)を調整する姿勢調整機構部を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちいずれか1項に記載の柱体昇降作業装置。
【請求項10】
前記枝打ち本体部には、
反柱体側に該枝打ち本体部が傾斜した状態で枝打ち位置調整機構部により柱体に対し所定距離接近した際に、該所定距離に達したことを検出し、前記第1駆動源の駆動を停止させて、第2駆動源を駆動させる第1検出手段と、
前記枝打ち本体部の姿勢が前記姿勢調整機構部により所定姿勢となったことを検出して、前記第2駆動源を停止する第2検出手段とを備えることを特徴とする請求項9に記載の柱体昇降作業装置。
【請求項11】
前記環状機枠には、枝打ち機構が枝打ちする際に、該枝打ち機構に働く反力に抗するための受動輪が柱体に対して接触可能に設けられていることを特徴とする請求項8乃至請求項10のうちいずれか1項に記載の柱体昇降作業装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−92090(P2011−92090A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249191(P2009−249191)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(396024901)
【出願人】(507106272)株式会社 生物資源研究所 (4)
【出願人】(504331392)株式会社丸富精工 (11)