説明

核医学マンモグラフィ撮像を実行するためのシステム及び方法

【課題】核医学マンモグラフィ撮像を実行するためのシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】関心対象解剖部位に対する分子的撮像を実行するためのシステム及び方法を提供する。本分子的撮像システム(10)は、ガントリ(12)と、ガントリに結合された第1のガンマカメラ(20)と、ガントリに結合された第2のガンマカメラ(22)と、を含んでおり、該第1及び第2のカメラはLモード撮像構成で位置決め可能であり、該第1及び第2のガンマカメラはLモード構成においてその間に関心対象解剖部位(24)を固定するように構成されている。本分子的撮像システムはさらに、Hモード撮像構成で動作するように構成されており、この際に第1及び第2のガンマカメラはHモード構成において関心対象解剖部位をこれらの間で固定するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には医用撮像システムに関し、またさらに詳細には、核医学マンモグラフィ撮像を実行するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンモグラフィ撮像を実行するためには様々なシステム及び方法が知られている。例えば従来の撮像システムの1つはフィルム画面式マンモグラフィ撮像である。このタイプのマンモグラフィ撮像システムは乳房の画像を作成するためにX線を送出して使用する。撮像手技中に、乳房の厚さを低減して画質を向上させるために乳房に圧迫力が加えられており、これにより乳房組織がより広い面積にわたって広げられる。乳房厚さの低減並びにより広い面積にわたる乳房の伸展によって投影放射線像内において撮像された乳房内部の「重複構造」が最小となるため投影放射線像の読み取りが容易になる。このタイプのマンモグラフィ撮像はデンスな乳房をもつ女性では満足のゆく撮像を実施できないことがある。さらにある種の患者では、乳房に加えられる圧迫力のために不快感を起こすことがあり、また患者の受容度が低いと検査が不首尾となり、これにより重大な医学的状態が適時に検出できないという患者リスクを増大させる可能性がある。
【0003】
従来式の別の撮像システムは、ヒトの患者などの対象内における放射性核種分布を特定するために診断用核医学撮像を利用する。典型的には、1つまたは複数の放射性医薬品または放射性同位体が対象内に注入される。この撮像システムは、放出された放射線をモニターしかつ記録するために対象の表面の近くに配置させた従来式のガンマ検出器を含む。モニターした放射線データは、対象内部の放射性医薬品分布に関する画像描出とするように再構成されかつ/または表示される。一般に、ガンマ検出器の空間分解能は、撮像した部位/臓器と検出器の間の距離が増加するに連れて劣化する。したがって、画像分解能のロスの最小化を容易にするためにガンマ検出器を患者にできるだけ近づけて配置することが望ましい。さらに検出器は、撮像視野域内に乳房だけがありかつ紛らわしい別の構造は全くないように配置させることが望ましい。しかし、従来式のこれらの検出器のサイズのために、乳房に十分近づけられるのは前後方向(anterior−posterior)撮像だけであり、またこのケースでも心臓を含む胸郭部構造からのバックグラウンド作用により乳房の微細な病変を発見するための感度が劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0164224−A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
時には、上述の問題を克服するために別のビューによる小型のカメラが使用される。例えば内外方向斜位像が使用されることがあり、また圧迫力が使用されることがある。例えば、患者の乳房の撮像のためにコンパクト式撮像システムを利用するときは、撮像過程中に乳房を確保するために乳房に圧迫力を加えている。しかし、フィルム画面式マンモグラフィ撮像システムと同様にこうした圧迫力は、ある種の患者に不快感を及ぼすことがあり、また将来の検査をスケジュールに入れることができないため、これにより重大な医学的状態が適時に検出できないという患者リスクを増大させる可能性がある。したがって撮像モダリティにおいて圧迫を回避することが必要である。さらに、例えば重力によって乳房が視野域外に引き出されることがあり得る内外方向斜位像において、乳房撮像用に構成された専用のコンパクト式カメラの視野域内に乳房を包含させることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、分子的(molecular)撮像システムを提供する。本分子的撮像システムは、ガントリと、ガントリに結合された第1のガンマカメラと、ガントリに結合された第2のガンマカメラと、を含む。第1及び第2のカメラは任意選択では、HモードまたはLモードの撮像構成で位置決め可能である。第1及び第2のガンマカメラはさらに、HモードとLモードのいずれかの構成においてこれらの間で関心対象解剖部位を固定するように構成される。
【0007】
別の実施形態では、分子的撮像システムを提供する。本分子的撮像システムは、ガントリと、ガントリに結合された第1のガンマカメラと、ガントリに結合された第2のガンマカメラと、を含む。第1及び第2のカメラはHモード撮像構成で位置決め可能であり、第1及び第2のガンマカメラのうちの少なくとも一方は格納式の保持壁または構造をこれに結合させて備えており、これら第1及び第2のガンマカメラと格納式の壁または構造とによって関心対象解剖部位を第1及び第2のガンマカメラの視野域内に維持するように適合させた解剖部位捕捉領域が形成されている。
【0008】
さらに別の実施形態では、ガンマカメラを提供する。本ガンマカメラは、ハウジングと、該ハウジングの内部に配置されたテルル化亜鉛カドミウム(CZT)またはCdTeまたはHGIまたは別のコンパクト式ガンマカメラと、を含む。このハウジングは、ガンマカメラをLモード撮像構成で位置決めしたときに第2のガンマカメラに対するガンマカメラの接触を可能にするための面取りエッジを含む。
【0009】
さらに別の実施形態では、ガンマカメラを提供する。本ガンマカメラは、ハウジングと、該ハウジングの内部に配置されたカメラと、を含む。本ガンマカメラはさらに、ハウジングに結合された格納式の壁または構造を含んでおり、該格納式の壁または構造はハウジング内に完全に収納されるかハウジングから着脱可能であるか、さもなければ第1の撮像モードでは起動から除かれかつ別の第2の撮像モードでハウジングから延び出させるか、あるいは視野域内部に対象を保持するように起動させている。
【0010】
別の実施形態では、関心対象解剖部位を撮像するための方法を提供する。本方法は、1対のガンマカメラをLモード撮像構成で位置決めする工程と、ガンマ検出器対の間に関心対象解剖部位を固定する工程と、ガンマ検出器対の間に固定した関心対象解剖部位に対する撮像スキャンを実行する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の一実施形態による例示的な分子的撮像システムの前側斜視図である。
【図1B】本発明の一実施形態による第2の撮像位置に位置決めした患者を含んだ図1に示した例示的な分子的撮像システムの別の前側斜視図である。
【図2】図1に示した撮像システムの側面図である。
【図3】本発明の一実施形態による図1及び2に示した例示的な分子的撮像システムを表した概略図である。
【図4A】本発明の一実施形態による図1及び2に示した分子的撮像システムの一部分の前側斜視図である。
【図4B】図4Aに示した分子的撮像システムの一部分の上面図である。
【図5A】本発明の一実施形態による本明細書に記載した撮像システムで使用できる例示的な圧力プレートの前側斜視図である。
【図5B】本明細書に記載した撮像システムで使用できる別の例示的な圧力プレートの前側斜視図である。
【図5C】本明細書に記載した撮像システムで使用できる別の例示的な圧力プレートの前側斜視図である。
【図5D】本明細書に記載した撮像システムで使用できる別の例示的な圧力プレートの前側斜視図である。
【図5E】本明細書に記載した撮像システムで使用できる別の例示的な圧力プレートの前側斜視図である。
【図6A】本発明の一実施形態による図1及び2に示したガンマカメラの後側斜視図である。
【図6B】図6Aに示したガンマカメラの前側像である。
【図7】第1の操作構成とした図1A及び1Bに示した撮像システムの一部分の斜視図である。
【図8A】本発明の一実施形態による図1A及び1Bに示した撮像システムを別の例示的な操作位置にした前側斜視図である。
【図8B】図1A及び1Bに示した撮像システムを別の例示的な操作位置にした前側像である。
【図8C】図1A及び1Bに示した撮像システムを別の例示的な操作位置にした側面像である。
【図8D】図1A及び1Bに示した撮像システムを別の例示的な操作位置にした前側像である。
【図8E】図1A及び1Bに示した撮像システムを別の例示的な操作位置にした側面像である。
【図9A】図8Aに示したガンマカメラを第1の操作位置とした斜視図である。
【図9B】図9Aに示したガンマカメラを第2の操作位置とした斜視図である。
【図10A】第1の例示的なコリメータ整列の概要図である。
【図10B】第2の例示的なコリメータ整列の概要図である。
【図11】例示的な較正位置の前側像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の様々な実施形態によって関心対象解剖部位に対する分子的撮像を実行するためのシステム及び方法を提供する。これら様々な実施形態の技術的効果は、任意選択においてHモードとLモードの両方の構成で撮像を実行するように構成させた分子的撮像システムを提供できることである。本分子的撮像システムはさらに、撮像検査中または撮像検査後に腫瘍または病変を特定し、この関心対象解剖部位内で特定された腫瘍または病変に関するバイオプシーの実行を容易にするように構成されている。
【0013】
図1Aは、第1の撮像位置で撮像するように患者が位置決めされたところを表している例示的な分子的撮像システム10の前側斜視図である。図1Bは、第2の撮像位置で撮像するように患者が位置決めされたところを表している撮像システム10の前側斜視図である。図2は、図1A及び1Bに示した撮像システム10の側面像である。この例示的実施形態では、分子的撮像システム10をスタンドアロンの分子的撮像システムとして構成させている。分子的撮像システム10は、システム10を床に対して結合させることによって動かないように装着することができる。任意選択ではシステム10は、システム10の持ち運びを可能にするための車輪(図示せず)を含むことがある。分子的撮像システム10は、ハウジング11と、該ハウジング11に対してキャリッジ13を介して回転可能に結合されたガントリ12と、を含む。撮像システム10はさらに、ガントリ12に結合された第1のガンマカメラ20、第2のガンマカメラ22及びバイオプシー針位置決めデバイス80を含む。様々な構成での撮像を容易にするために、ガントリ12はハウジング11の周りに回転可能である。
【0014】
図2を参照すると、ガントリ12はキャリッジ13を介してハウジング11に結合されている。ガントリ12はピボットデバイス15を介してキャリッジ13に回転可能に結合されている。動作時にキャリッジ13は、立った位置や座った位置あるいは寝台に寝た位置での患者の撮像を可能にするように1対のレール17に沿って上下に移動するように構成されている。さらに、ガンマカメラ20及び22並びにバイオプシー針位置決めデバイス80がキャリッジ13に結合されたガントリ12に回転可能に結合されているため、ガンマカメラ20及び22並びにバイオプシー針位置決めデバイス80もまたレール対17に沿って移動可能である。
【0015】
ガントリ12は、患者を撮像するようにガンマカメラ20及び22を配置させる複数のラジアル位置までピボット移動するように構成されている。ガントリ12が位置決めされた後、ガントリ12は撮像過程中は以下で検討するように動かないように保たれる。さらに、第1及び第2のガンマカメラ20及び22のそれぞれは、第1と第2のガンマカメラ20及び22の間に位置決めした関心対象解剖部位24の撮像を実行するように位置決め可能である。動作時において患者は、患者を図1Aに示すような座った位置に位置決めすることによって撮像されることがある。この撮像位置においてガンマカメラ20及び22は、乳房をガンマカメラ20及び22に付けた患者配置を可能とさせるような十分な高さになるまで垂直方向に調整される。図1Bに示すように、傾いた位置や横たわった位置で患者を撮像することもある。このケースでは、ガンマカメラ20及び22の前にあるテーブル上に患者が位置決めされる。次いで、患者が乳房をガンマカメラ20及び22に付けて配置できるように、ガントリ12、キャリッジ13及びレール対17を介してガンマカメラ20及び22を上昇または下降させる。より具体的には、ガンマカメラ20及び22が適正な撮像高さに位置決めされたときに、移動可能テーブルを介して患者をガンマカメラの視野域内まで移動させる。
【0016】
図3は、画像再構成過程を制御するためにシステム10で含めることがある例示的なワークステーション14を表した概略図である。この例示的実施形態では、オペレータワークステーション14はハウジング11に結合されており、したがってガントリ12と第1及び第2のガンマカメラ20及び22にも結合されている。一実施形態ではガントリ12は、通信リンク26(例えば、有線式通信リンクやワイヤレス通信リンク)を介してオペレータワークステーション14に結合されている。任意選択ではそのオペレータワークステーション14をハウジング11の一部として構築することがある。
【0017】
分子的撮像システム10の動作はオペレータワークステーション14により制御される。図2に示すように、オペレータワークステーション14は、汎用または専用のコンピュータ30と、入力デバイス32と、ディスプレイ34と、を含む。コンピュータ30は、プロセッサ36及びメモリデバイス38を含むことがある。メモリデバイス38は、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/または読出し専用メモリ(ROM)として埋め込まれることがある。コンピュータ30はさらに記憶デバイス40を含むことがある。記憶デバイス40は、フロッピ(商標)ーディスクドライブ、光ディスクドライブ、USBメモリその他などハードディスクドライブや取外し可能記憶装置として埋め込まれることがある。記憶デバイス40はさらに、コンピュータプログラムやその他の命令をコンピュータ30にロードするための同様の別の手段とすることがある。
【0018】
本明細書で使用する場合、「コンピュータ」という用語は、コントローラを用いたシステム、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、及び本明細書に記載した機能の実行が可能な別の任意の回路やプロセッサを含め任意のプロセッサまたはプロセッサベースのシステムを含むことができる。上述の例は単に例示であり、またしたがっていかなる意味においても「コンピュータ」という用語の定義及び/または意味を限定することを意図していない。
【0019】
上で検討したように、分子的撮像システム10の動作はオペレータワークステーション14から制御を受ける。より具体的にはプロセッサ36は、例えばメモリデバイス38及び/または記憶デバイス40などの1つまたは複数の記憶素子内に保存された命令組を実行する。この命令組はプロセッサ36に対して様々な機能の実行を指令している。こうした機能の一例には、関心対象解剖部位24から収集される放出データをガンマカメラ20及び22から収集することを含む。より具体的にはこの命令組は、処理マシンとしてのコンピュータ30に対して本発明の様々な実施形態の方法及び処理などの具体的な動作を実行するように指令する様々なコマンドを含むことがある。例えばある命令組はプロセッサ36に対して、第1及び第2のガンマカメラ20及び22を用いて放出データを収集することによって関心対象解剖部位24のスキャンを実行するように指令することがある。別の命令組はプロセッサ36に対して、通信リンク42を介して第1のガンマカメラ20からの放出データを通信リンク26に送信しかつ通信リンク42を介して第2のガンマカメラ22からの放出データを通信リンク26に送信するように指令することがある。命令組はさらに、プロセッサ36に対して放出データを用いて関心対象解剖部位24の画像を再構成しこの再構成画像を例えばディスプレイ34などのディスプレイ上に表示するように指令する命令を含むことがある。
【0020】
この命令組はソフトウェアプログラムの形態とすることができる。このソフトウェアは、システムソフトウェアやアプリケーションソフトウェアなど様々な形態とすることができる。さらにこのソフトウェアは、単独のプログラム、大きなプログラム内部のプログラムモジュールあるいはプログラムモジュールの一部分からなる集合体の形態とすることができる。このソフトウェアはさらに、オブジェクト指向のプログラミングの形態としたモジュール型プログラミングを含むことがある。処理マシンによる入力データの処理は、ユーザコマンドに応答すること、以前の処理結果に応答すること、あるいは別の処理マシンが出した要求に応答することがある。本明細書で使用する場合、「ソフトウェア」と「ファームウェア」という用語は置き換え可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めコンピュータによって実行するためにメモリ内に記憶された任意のコンピュータプログラムを含む。上述のメモリタイプは単に例示であり、したがってコンピュータプログラムの記憶に使用可能なメモリのタイプを限定するものではない。
【0021】
動作時においてガンマカメラ20及び22は、第1の操作位置から第2の操作位置に再位置決めされるように構成される。例えば図4Aは、こうした例示的な再位置決めデバイスの1つを含んだ図1A及び1Bに示したガントリ12の斜視図である。図4Bは、こうした例示的な位置決めデバイスの1つを含んだ図1A及び1Bに示したガントリ12の上面図である。図4Aに示すように、例示的な一実施形態ではそのガンマカメラ位置決めデバイスは、ガンマカメラ20に結合されてこれをラジアル軸の周りに移動させるモータ54として具現化される。この例示的な実施形態では撮像システム10はさらに、ガンマカメラ22に結合されてガンマカメラ22をラジアル軸の周りに移動させるモータ55を含む。別の例示的な実施形態では、ガンマカメラ20及び22がオペレータによって手作業で再位置決めされることがある。より具体的にはそのガンマカメラ20及び22は、それぞれ重みを付けてバランス調整されていると共に、対応するガンマカメラの各々の手作業の再位置決めを許容するためにオペレータに対して機械式または電気機械式クラッチの切り離しを可能とさせている。
【0022】
再度図4Aを参照すると、ガントリ12は第1の開口部62及び第2の開口部64を含む。さらに、ガンマカメラ20は装着用ブラケット66を含み、かつガンマカメラ22は装着用ブラケット68を含む。これらの装着用ブラケット66及び68はそれぞれ、ガンマカメラ20及び22のそれぞれの第1の端部に結合されている。装着用ブラケット66は第1の開口部62を通過して延びており、かつ装着用ブラケット68は第2の開口部64を通過して延びている。ガンマカメラ20及び22の各々の再位置決めを可能にさせるために装着用ブラケット66及び68はそれぞれ、ガントリ12内部に留められている。より具体的には装着用ブラケット66及び68によって、関心対象解剖部位24の撮像を実行するように対応するガンマカメラ20及び22の各々を位置決めすることが可能となる。
【0023】
この例示的実施形態では装着用ブラケット66及び68によりさらに、対応するガンマカメラ20及び22をX方向74、Y方向76、また任意選択ではZ方向78に移動させることが可能となる。ガンマカメラ20及び22のX方向への移動によって、ガントリ12を介したガンマカメラ20及び22の上昇及び下降が容易になり、分子的撮像システム10を立った状態の患者及び/または座った状態及び/または斜めになった状態の患者といった変化に対応させることが可能となる。ガントリ12を介したガンマカメラ20及び22のY方向への移動によって、ガンマカメラの互いに近づけるような移動や遠ざけるような移動が容易になり分子的撮像システム10を様々なサイズをもつ様々な関心対象解剖部位に対応させることが可能となる。このことからガンマカメラ20及び22のそれぞれは、2つまたは3つの直線的で単独の軸あるいは直線的で共通の軸に沿って位置決め可能である。さらにガンマカメラ20及び22とガントリ12はそれぞれ、様々な撮像モードや患者解剖部位に対応するように回転可能である。
【0024】
上で検討したように、装着用ブラケット66及び68を介してガンマカメラ20及び22は、対応するガンマカメラ20及び22をそれぞれ時計方向70や反時計方向72に回転できるように手作業で操作することやモータ式で動作させることができる。このためにガンマカメラ20及び22は、Lモード構成、Hモード構成、あるいはLモード構成とHモード構成の間にある別の任意の構成で撮像を実行するように再位置決めすることができる。ガンマカメラ20及び22は接触させることも分離させることもでき、かつ互いに対して0°(平行、互いに隣り合わせてエッジを接触させた状態)から90°(エッジを接触させた状態)まで、180°(すなわち、互いに対面しており非接触の状態)までの角度を有させることができる。
【0025】
図1Aに示したLモード構成では、ガンマカメラ20がガンマカメラ22と実質的に直交している。図6に示したHモード構成では、第1のガンマカメラ20の撮像面は第2のガンマカメラ22の撮像面と概ね平行でこれに対面している。2つの操作モード(例として、LモードとHモード)だけを検討しているが、ガンマカメラ20及び22はLモード位置とHモード位置のそれぞれの域内の複数の操作位置に位置決めすることができることを理解すべきである。例えばガンマカメラ20は、図1Aに示すようにガンマカメラ22を基準として直角に位置決めされている。このため第1のガンマカメラ20の撮像面は第2のガンマカメラ22の撮像面から概ね90度(直角)の角度で配置されている。この例示的実施形態では分子的撮像システム10はさらに、以下でさらに詳細に検討するようなHモードで構成することができる。すべてのケースにおいて検出器の精細な相対的位置は、以前の較正により、あるいは機械的計測値や電気的計測値により、あるいはシステム10上に装着したまたはこれからリモートの位置に装着したセンサによって知ることが可能である。これらの位置は、画像の提示及び/またはビューの合成、あるいは検出器のいずれかまたは両方で検出可能なフィーチャに対するバイオプシーのガイドのために自動的に記録して使用することができる。
【0026】
再度図4Aを参照すると、この例示的実施形態では分子的撮像システム10はさらに、ガントリ12に結合させたバイオプシー針位置決めデバイス80(図1A及び1Bにも図示)を含む。バイオプシー針位置決めデバイス80は、Lモード構成(図1A及び1B参照)において第1の位置に、またHモード構成(図8A〜8Cに図示し以下でより詳細に検討する)において第2の別の位置にバイオプシー針82(図1A及び1B参照)を再位置決めすることがある。再度図4Aを参照すると、バイオプシー針位置決めデバイス80は、装着用プレート84と該装着用プレート84に結合させた圧力プレート86とを含む。この例示的実施形態では、装着用プレート84は圧力プレート86と実質的に直交している。装着用プレート84は、バイオプシー針82のX方向74及びY方向76での移動を可能にさせている複数のチャネル88を含む。さらにバイオプシー針82はZ軸方向にも再位置決め可能である。例えばバイオプシー針82は、より大きな関心対象解剖部位やより小さい関心対象解剖部位に対するバイオプシー処置を可能にさせるためにZ軸に沿ってガントリ12に近づけるように移動させることも、遠ざけるように移動させることもできる。
【0027】
バイオプシー針位置決めデバイス80はさらに弓形経路90に沿った移動も可能である。例えばLモード撮像手技の間にバイオプシー針位置決めデバイス80は、バイオプシー針82を概ね0度の位置に位置決めできるように弓形経路90に沿って移動可能であり、この際にバイオプシー針82は第1のガンマカメラ20と第2のガンマカメラ22の間の中心線位置に位置決めされる。さらにバイオプシー針位置決めデバイス80は、バイオプシー針82を図1Aに示した中心線92から概ね45度の位置に位置決めできるように弓形経路90に沿って移動可能であり、例えば分子的撮像システム10がLモード構成で操作されているときにバイオプシー針はガンマカメラ20とガンマカメラ22のいずれかと概ね平行である。乳房ボリューム内部にある病変をバイオプシー検査するための別の任意のアプローチ線は、乳房及び標的組織のガンマカメラ画像上に重ね合わせたエントリ経路に関するコンピュータ位置決め計算やガイド、あるいは制御や視覚化によっても可能である。
【0028】
上で図4Aに示したかつ検討したように、バイオプシー針位置決めデバイス80はさらに貫通可能圧力プレート86を含む。Lモード構成ではこの圧力プレート86とガンマカメラ20及び22とは一体となって実質的に3角形の解剖部位捕捉領域87(図1A及び1B参照)を形成している。解剖部位捕捉領域87は、関心対象解剖部位24をその内部に受け容れられるように選択的にサイズ設定される。例えば、より大きな3角形解剖部位捕捉領域87を形成するようにガンマカメラ20及び22と圧力プレート86を再位置決めすることでより大きな関心対象解剖部位の撮像を容易にするように、解剖部位捕捉領域87のサイズを増大させることがある。さらに、小さい関心対象解剖部位24の撮像を容易にするために、ガンマカメラ20及び22と圧力プレート86はより小さい3角形解剖部位捕捉領域87を形成するように再位置決めされることがある。さらに、圧力プレート86を湾曲させ解剖部位捕捉領域をこれに従って異ならせることがある。それに加えてこのプレートは、同じ機能を実現するために泡状物質(foam)あるいは抗張性や剛性の別の材料から製作されることがある。
【0029】
再度図4Bを参照すると圧力プレート86は、複数の貫通部、細孔、織り上げた布の間にあるような事実上の開口、あるいは開口部96を含む。この例示的実施形態において開口部96は、Y軸方向に横列かつZ軸方向に縦列が来るように配列させている。各開口部96は、その中にバイオプシー針82を少なくとも部分的に挿入できるようなサイズとした直径を有する。この例示的実施形態ではその圧力プレート86は異なるサイズを有する関心対象解剖部位を捕捉できるように変形可能である(これについては、さらに詳細に以下で検討することにする)。この例示的実施形態ではその変形可能な固定圧力プレート86は、関心対象解剖部位24を撮像手技中に実質的に確定された位置または固定位置に確保するように第1のガンマカメラ20と第2のガンマカメラ22の間に位置決めされる。
【0030】
図5A〜5Eは、圧力プレート86の代わりに使用できる例示的な圧力プレートの幾つかの実施形態を表している。例えば図5Aは、本明細書に記載した撮像システムで使用できる例示的な1つの圧力プレート500の前側斜視図である。この例示的実施形態では圧力プレート500は、実質的に2次元の表面502を有する取外し可能で交換可能な圧力プレート500である。圧力プレート500はさらに、その中を通過してバイオプシー針82を受け容れるようなサイズとした複数の開口部504を含む。圧力プレート500はさらに、よりデンスでない乳房の撮像を可能にするためのより小さい解剖部位捕捉領域が形成されるように選択された幅506を有する。さらに、よりデンスなあるいはより大きな関心対象解剖部位24の撮像を容易にするため、第2の交換可能圧力プレート508を利用することがある。第2の圧力プレート508は圧力プレート500と実質的に同様であるが、第2の圧力プレート508の幅510はよりデンスな乳房の撮像を可能にするために圧力プレート500の幅506より大きい。具体的には、圧力プレート508の幅がより広いほどより大きなまたはよりデンスな乳房の撮像を可能にするようにより大きな捕捉領域が形成される。2つの交換可能圧力プレートだけを図示しているが、様々なサイズや密度の多種多様な乳房を撮像するように様々な幅を有する多種多様な圧力プレートを利用することができることを理解すべきである。圧力プレート500及び508は、圧力プレート86に関連して上で検討したのと同じ方式で撮像システムに結合されている。
【0031】
図5Bは、本明細書に記載した撮像システムで使用できる別の例示的な圧力プレート520の前側斜視図である。この例示的実施形態では圧力プレート520は、実質的に湾曲した表面522を有する取外し可能で交換可能な圧力プレートである。圧力プレート520はさらに、その中を通過してバイオプシー針82を受け容れるようなサイズとした複数の開口部524を含む。圧力プレート520はさらに、よりデンスでない乳房の撮像を可能にするためのより小さい解剖部位捕捉領域が形成されるように選択された幅526を有する。さらに、よりデンスなあるいはより大きな関心対象解剖部位24の撮像を容易にするため、湾曲表面522を有する第2の交換可能圧力プレート528を利用することがある。第2の圧力プレート528は圧力プレート520と実質的に同様であるが、第2の圧力プレート528の幅530はよりデンスな乳房の撮像を可能にするために圧力プレート520の幅526より大きい。具体的には、圧力プレート528の幅がより広いほどより大きなまたはよりデンスな乳房の撮像を可能にするようにより大きな捕捉領域が形成される。2つの交換可能圧力プレートだけを図示しているが、様々なサイズや密度の多種多様な乳房を撮像するように様々な幅を有する多種多様な圧力プレートを利用することができることを理解すべきである。圧力プレート520及び528は、圧力プレート86に関連して上で検討したのと同じ方式で撮像システムに結合されている。
【0032】
図5Cは、本明細書に記載した撮像システムで使用できる別の例示的な圧力プレート540の前側斜視図である。この例示的実施形態では圧力プレート540は、可撓性部分542を有する取外し可能で交換可能な圧力プレートである。より具体的には圧力プレート540は、2つの実質的に剛性の側面部材544と、該剛性の側面部材544の間でこれらに結合された可撓性部分546と、を含む。圧力プレート540はさらに、その中を通過してバイオプシー針82を受け容れるようなサイズとした複数の開口部548を含む。圧力プレート540はさらに、任意のサイズの乳房の撮像を可能にするように選択された幅550を有する。図5Cに示したように、動作時においてこの可撓性部分546は、撮像しようとする乳房と接触状態に置かれたときに変形するまたは曲がる。この曲がる動きまたは変形の動きによって撮像手技中に圧力プレートによって任意のサイズの乳房の固定が可能となる。圧力プレート540は、圧力プレート86に関連して上で検討したのと同じ方式で撮像システムに結合されている。
【0033】
図5Dは、本明細書に記載した撮像システムで使用できる別の例示的な圧力プレート550の前側斜視図である。この例示的実施形態では、圧力プレート550は取外し可能かつ交換可能な圧力プレートである。圧力プレート550は、主体部552と、該体部552に結合された少なくとも2つの延長部554と、を含む。図5Dに示すように各延長部は、圧力プレート550全体の幅556を増加または低減のいずれかとさせるために体部552の側面に装着されている。より具体的には、より小さいまたはよりデンスでない乳房の撮像では、延長部554を用いずに圧力プレート550を利用することができる。しかし、より大きなまたはよりデンスな乳房の撮像では、体部552の両側面に延長部554を結合させ、これにより圧力プレート550の全体幅を増加させてより大きな乳房の撮像を可能にすることがある。撮像しようとする乳房のサイズに応じた所定の幅を有する圧力プレートを規定するために、その各々が所定の幅を有する多種多様な延長部を利用することができることを理解すべきである。体部552及び延長部554の各々は、その中を通過したバイオプシー針82を受け容れるようなサイズとした複数の開口部558を含む。さらに、延長部内の開口部558は体部内の開口部558と実質的に整列している。圧力プレート550は、圧力プレート86に関連して上で検討したのと同じ方式で撮像システムに結合されている。
【0034】
図5Eは、本明細書に記載した撮像システムで使用できる別の例示的な圧力プレート560の前側斜視図である。この例示的実施形態では、圧力プレート560は取外し可能かつ交換可能な圧力プレートである。圧力プレート560は、主体部562と、該体部562に結合された少なくとも2つの伸縮式延長部564と、を含む。図5Eに示すように各延長部は、体部562の対応する側面内に形成された窪み566から延び出ている。動作時において、より小さいまたはよりデンスでない乳房を撮像するために、延長部564を体部562の内部に完全に収納することがある。しかし、より大きなまたはよりデンスな乳房を撮像するには、延長部564を体部562から少なくとも部分的に延び出させている。より具体的には、延長部564を延長または後退のいずれかとさせることによって圧力プレート560の幅568を調整することができる。この方式により、様々なサイズのより多種多様な乳房を圧力プレートの除去や交換をせずに撮像することができる。撮像しようとする乳房のサイズに応じた所定の幅を有する圧力プレート560を規定するために、その各々が所定の幅を有する多種多様な延長部564を利用することができることを理解すべきである。体部562及び延長部564の各々は、その中を通過してバイオプシー針82を受け容れるようなサイズとした複数の開口部570を含む。さらに、延長部内の開口部570は体部内の開口部570と実質的に整列している。圧力プレート560は、圧力プレート86に関連して上で検討したのと同じ方式で撮像システムに結合されている。
【0035】
撮像操作の間に分子的撮像システム10は、病変、腫瘍または別の医学的情報を検出するために、関心対象解剖部位24を撮像できるように構成される。この例示的実施形態では、その関心対象解剖部位24は人間の患者の乳房である。さらにこの例示的実施形態では、患者は椅子に掛けた状態にあり、またその乳房はガンマカメラ20と22の間でこれに載せた状態に配置されている。動作時に患者に対して、乳房の所定の領域に集積するような放射性医薬品が注入される。次いで患者は、その乳房がガンマカメラ対20と22の間に位置決めされるようにして分子的撮像システム10の位置に据えられる。上で検討したようにこの分子的撮像システムは、Lモード構成、Hモード構成、あるいはLモード構成とHモード構成の間にある別の任意の構成で構成されることができる。ガンマカメラ20及び22は次いで、乳房を捕捉しこれをスキャンの継続中に固定しておくように調整される。HモードのCC像では乳房はカメラ表面によって上部及び底部から捕捉される。HモードのMLまたはMLOでは、保持用プレートの支援は、組織を視野域内部に保持するように下側から支援することがある。Lモードではバイオプシープレートやその等価物を用いて固定を伴った捕捉がなされることがある。
【0036】
この例示的実施形態における組織捕捉は、従来のマンモグラフィ撮像手技の間に乳房に加えられる圧迫力と比べてより小さい固定力で実施される。例えば上で検討したように、従来のマンモグラフィ撮像システムは、乳房を平坦にして、組織を押し広げて構造フィーチャを分離し、これにより画質を向上させるために乳房に対して圧迫力を加えている。従来のマンモグラフィ撮像システムでは、患者に不快感を生じさせるほどの圧迫力を乳房に加えることがある。一方この分子的乳房撮像システム10の動作では、撮像過程中に乳房が確実に動かないようにするような固定の力が乳房に加えられる。さらにこの固定の力は、確実に乳房がガンマカメラ20及び22上に配置されかつ組織全体が捕捉領域内部に来るように選択される。この例示的実施形態では、選択される固定の力は、乳房をガンマカメラ20及び22に押し当てた静止の位置に維持するのに十分な力である。さらにこの固定の力は従来の撮像システムがマンモグラフィ撮像の実行のために加える圧迫力より小さい。さらに組織を押し広げて構造フィーチャを分離させることは、分子的乳房撮像ではこうした構造フィーチャが存在しないため分子的乳房撮像システム10では不要である。さらに圧迫力があると、組織が視野域の外部に押し出され分子的乳房撮像システムによる疾病の検出を不首尾にすることが多くなる。したがって固定の力を用いると、従来のマンモグラフィと比べて腫瘍や病変の検出性能を大幅に向上させるような十分な画質を提供する一方で、より快適な検査を提供することが容易となる。
【0037】
関心対象解剖部位24に対して固定の力を加えた後、ガンマカメラ20及び22を起動させて関心対象解剖部位の画像が作成される。この例示的実施形態では、ガンマカメラ20によって第1の医用画像を作成し、かつガンマカメラ22によって別の第2の医用画像を作成している。これらの医用画像は1枚ずつ観察されることも、ディスプレイ34上で並べて観察されることもある。別の実施形態ではそのプロセッサ36は、画像を合成するための命令を含む。より具体的にはプロセッサ36は、1つの合成画像が作成されるように第1の画像と第2の画像を位置合わせさせる命令を含むことがある。一実施形態ではその合成画像は関心対象解剖部位24の2次元画像である。任意選択ではその合成画像が関心対象解剖部位の3次元画像である。さらに、Lモード構成では分子的撮像システム10は、関心対象解剖部位24のボリュームの投影データ組を生成するように2つの非共直線性の投影角度から収集して関心対象解剖部位に関する2つのビューを作成する。この2つのビューは投影データ組を示している。次いで、収集された投影データ組を利用して撮像した関心対象解剖部位24の3次元描出を表した3次元データ組が生成される。別の実施形態ではその投影データ組を2つのガンマカメラ20及び22から収集したデータを用いて逆たたみ込み(deconvolved)処理して、検出器の分解機能の歪曲作用を受けない真の2次元投影サイズ、位置、病変や腫瘍に関する強度を把握している。逆たたみ込み処理は例えば、試験投影データ組を取得するためのコリメータ応答関数を用いた順投影と該試験投影データ組と計測投影データ組の間の差の逆投影との反復に基づいて初期推定を改良することによって達成させることがある。逆たたみ込み処理はまた、2つのカメラにより計測された直径及び位置に関する6つの値を病変サイズ、放射能強度及び位置に関する保存済みのルックアップテーブルと比較することによって達成させることもある。別法として部分的ルックアップと部分的反復を組み合わせて、病変サイズ、放射能強度及び位置を把握することが可能である。コリメータ応答関数を排除して取得した改良病変画像は、その観測撮像フィーチャがバックグラウンドのノイズゆらぎに対してトレーサ取り込みが統計的に有意な領域であるか否かの判定を向上させるため、並びにバイオプシー針によって病変の中心をより正確に照準するために用いられる。絶対病変取り込み比(正常組織と比較した)に関する情報はまた、将来における組織病理との相関に有用となり得ることが分かっている。
【0038】
図6Aは、図1(1A及び1B)に示したガンマカメラ20の斜視図である。図6Bは、図6Aに示したガンマカメラ20の前側像である。この例示的実施形態では、ガンマカメラ20はガンマカメラ22と実質的に同じである。したがって、ガンマカメラ20とガンマカメラ22は外部ハウジング110を含む。この例示的実施形態ではハウジング110は、実質的に正方形または長方形であると共に、第1の側面120と、該第1の側面120と実質的に直交する第2の側面122と、該第2の側面122と概ね平行な第3の側面124と、該第1の側面120と実質的に平行な第4の側面126と、を含む。さらにハウジング110は、第1の表面128と、反対側の第2の表面130と、を含む。この例示的実施形態ではその第1の表面128は、ガンマ放出検出表面であり、本明細書において検出面128と呼ぶことにする。第1の側面120は、図2に示しかつ上で検討したような装着用ブラケット66を介して第1のガンマカメラ20をガントリ12に復元可能に装着できるように構成されている。さらに装着用ブラケット68によって、第2のガンマカメラ22の第1の側面120をガントリ12に復元可能に装着することが可能となる。側面126は面取りを含むことがある(カメラの構造が中心線156の面において視野域160の平行面と比べてより大きい場合)。
【0039】
再度図6Aを参照すると一実施形態では、第1の側面120はその内部にボルト133を少なくとも部分的に受け容れるように適合させた少なくとも2つの開口部132を含む。ボルト133と開口部132の組み合わせによって、装着用ブラケット66及び68をガンマカメラ20とガンマカメラ22のそれぞれに結合させること、またしたがってガントリ12に対して復元可能に結合させることが可能となる。検出器を復元可能に装着するために任意選択では、ピンやエッジとラッチあるいはインタロックなど別の装着ガイド機構が用いられることもある。
【0040】
ガンマカメラ20はさらに、テルル化亜鉛カドミウム(CZT)検出器アレイ140、エレクトロニクスデバイス142及びコリメータ144を含む。図5に示すようにガンマカメラ22はさらに、テルル化亜鉛カドミウム(CZT)検出器アレイ141、エレクトロニクスデバイス143及びコリメータ145を含む。より具体的には検出器アレイ104及び141は、コンパクト式テルル化亜鉛カドミウム(CZT)半導体、あるいはCdTeやHgIやCsIその他などによる代替的なコンパクト式検出器から製作することができる。CZT半導体内部における光伝導過程では、ガンマ光子との相互作用で電子−正孔対が生成される。電子及び/または正孔はエレクトロニクスデバイス142/143の対応する電極の方向に移動し、光子カウント、位置及びエネルギーデータを含む出力電気信号を発生させる。
【0041】
動作時に患者に対して、関心対象解剖部位の既知の領域に集積してガンマ線を放出するような放射性医薬品が注入される。引き続いて、関心対象解剖部位(このケースでは、乳房)24が上で検討したようにガンマカメラ20と22の間に位置決めされる。関心対象解剖部位24から放出されたガンマ線は、画像を作成するためにコリメータ144/145によってコリメートされる。コリメートさせたガンマ線は次いで、対応するCZT検出器アレイ140/141によって検出される。CZT検出器アレイ140/141からの出力は、光子カウント、位置及びエネルギーデータを含む電気信号として出力させるように対応するエレクトロニクスデバイス142/143に入力される。エレクトロニクスデバイス142/143からの出力は関心対象解剖部位24の画像の再構成または作成のために使用される。
【0042】
図7を参照すると、Lモード構成に関して上で検討したように、画質を向上させるためにガンマカメラ20及び22を互いにできるだけ近くに位置決めすること、並びに分解能ロスの最小化を容易にするためにガンマカメラ20及び22をできるだけ患者の近くに位置決めすることが望ましい。例えば従来の検出器は、撮像過程中に検出器を近づける距離を制限させるようなハウジングを含んでいる。具体的には、従来の検出器の視野域は少なくとも5ミリメートルの距離だけ離れており、また7cm程度の高さとなることがあるのが一般的である。このために従来の検出器は、従来の検出器同士の間に規定されるギャップ内に位置するような病変や腫瘍を特定できないことがある。さらに、関心対象解剖部位の表面上に位置する病変(したがって、一方のカメラの近くにあるがもう一方のカメラの視野域外にある病変)を2つのカメラで観測することが不可能であることがある。
【0043】
この例示的実施形態では、画質を向上させかつ従来の検出器同士の間にあるギャップの排除を容易にするために、ガンマカメラ20及び22のハウジングの少なくとも一部分を面取りし、撮像手技中にガンマカメラ20のガンマカメラ22との接触を可能にすると共に各カメラの近接領域をもう一方のカメラでも観測できるようにしている。より具体的には再度図6Aを参照すると、ガンマカメラ20及び22の各々は、少なくとも2つの面取りされたまたはテーパ付きのエッジ150及び152のそれぞれを含んでおり、これによってガンマカメラ20及び22をLモード構成で配列させたときにガンマカメラ20をガンマカメラ22と接触させることが可能である。より具体的にはこの例示的実施形態では、1つの面取りエッジ150がガンマカメラ20の第2の側面122上に形成されており、また第2の面取りエッジ152がガンマカメラ20の第3の側面124上に形成されている。面取りエッジ150/152の各々は、側面122/124の長さ方向に、またさらには水平線156からガンマカメラ20の検出面128まで延びている。この例示的実施形態では面取りエッジ150/152は、ガンマカメラのそれぞれの係合エッジの位置に配置されており、これにより各ガンマカメラは相対するガンマカメラの表面から最初の1mm以内にある組織を観察することができる。線156はコリメータの係合表面からそれぞれ検出器まで最適に形成される。コリメータ穴はCZT検出器画素に対して位置合わせされる。
【0044】
この例示的実施形態では、面取りエッジ150/152はそれぞれ検出面128から水平線156まで概ね45度の角度で面取りされている。したがってガンマカメラ20及び22の両方が面取りエッジ150及び152を含むため、ガンマカメラ20及び22がLモードで位置決めされると、図7に示すように第1のガンマカメラ20の検出面128は第2のガンマカメラ22の検出面128から概ね45度の角度になる。さらに、第1のガンマカメラ20及び第2のガンマカメラ22がLモード構成にあるとき、第1のガンマカメラ20の視野域160は第2のガンマカメラ22の視野域162まで延びている。視野域160及び162はそれぞれ、様々な図においてクロスハッチを付けた領域で表している。この例示的実施形態における視野域160はこの例示的な実施形態の視野域162と重複することがなく概ね接触している。この例示的実施形態では視野域160と162は、図7に示すようなLモード構成において直径が概ね5ミリメートル未満の病変及び/または腫瘍の撮像が可能となるように5ミリメートル未満の距離だけ離間させている。
【0045】
再度図4を参照するとガンマカメラ20及び22の各々はまた、少なくとも第3の表面164及び第4の表面166を含む。より具体的には、第2側面122及び第3の側面124は底表面及び上表面と概ね直交している。上で検討したような検出器の両側面に対する面取りによって、各ガンマカメラ20及び22をガントリ12上の左手位置と右手位置のいずれにも装着が可能となる。より具体的には、122と124の両方に面取りしているため、ガンマカメラ20とガンマカメラ22の実質的に同じ製作が容易になり、したがってガンマカメラの修理、交換及び作成が容易になる。
【0046】
患者快適性を向上させるためにガンマカメラ20及び22の各々はさらに、図6Aに示した面取りエッジ168を含むことがある。この例示的実施形態では各ガンマカメラ20及び22は、そのガンマカメラの第4の側面126上に形成された面取りエッジ168を含む。図6Aに示すように、前側の面取りエッジ168は水平中心線156から第2の表面130まで延びている。動作時において面取りエッジ168は、撮像手技中に患者に接触するような急峻なエッジがないことによって患者の不快感を軽減している。したがって面取りエッジ168は、従来のガンマカメラにおいて周知であったような比較的急峻なエッジにより患者が突かれたりあるいは不快を感じたりすることなく、患者をガンマカメラ20及び22に接触させて位置決めすることを可能にしている。
【0047】
図8A〜8Eは、ガンマカメラ20がガンマカメラ22と概ね平行となっている様々なHモード構成で構成された分子的撮像システム10の斜視図である。例えば、図8Aに示すようにガンマカメラ20及び22は、内外方向や内外斜位方向の撮像に対応するように回転させ、これによりガンマカメラ20及び22を側面位置にあるいは関心対象解剖部位24に対してある角度で配置させることができる。さらにHモードでは、ガンマカメラ20及び22は頭尾方向撮像に対応するように回転させることができ、ガンマカメラ20を関心対象解剖部位24の最上部に配置させかつガンマカメラ22を関心対象解剖部位24の最底部に配置させることができる。
【0048】
図8Bに示すようにガンマカメラ20及び22は傾いた位置にある患者(例えば、テーブル上に横たわった患者)を撮像するように回転させることができる。本明細書に記載したモードすべてについて、ガンマカメラ20及び22と圧力プレートは、テーブル上で座った状態、立った状態、傾けた状態のいずれの患者の撮像にも対応するように上下構成で移動可能である。さらに、図8Bに示すように撮像システムは、第3のガンマカメラ20を含むことがある。この例示的実施形態では第3のガンマカメラ21は、第1及び第2のガンマカメラ20及び22の撮像視野域内で撮像を実行しさらに乳房をそこに維持するように構成されている。
【0049】
図8Cに示すように、ガンマカメラ20及び22は患者を側面像で撮像するように回転させることができる。具体的には患者は撮像テーブル上でうつむきに横たわり、その乳房をテーブル内の開口部を通して出させ、これによりガンマカメラ対の間に乳房が配置されるようにする。図8Dに示すように、バイオプシー針位置決めデバイス82もまた、この位置でバイオプシーを実施するように回転可能である。この例示的実施形態では本撮像システムは、ガンマカメラ20及び22が側面位置にあるいは関心対象解剖部位24に対してある角度で配置されるようにし、内外方向や内外斜位方向の撮像に対応するように構成することができる。さらにHモードではガンマカメラ20及び22は、頭尾方向撮像に対応するように回転させることができ、ガンマカメラ20を関心対象解剖部位24の最上部に配置させかつガンマカメラ22を乳房の最底部に配置させることができる。図8Eに示すようにガンマカメラ20及び22は、平行に隣り合わせるように回すことや、較正及び特殊な解剖部位位置向けに回し出すことができる。より具体的にはガンマカメラ20及び22は、ガンマカメラの上に乳房を位置決め可能とするために、各ガンマカメラの撮像表面が互いから180度離れるように延びるように配列させることができる。
【0050】
図9Aは、図6A及び6Bに示したガンマカメラ20の斜視図であり、少なくとも1つの格納式の保持用デバイスまたは壁200が含まれている。図9Aはガンマカメラ20を示しているが、本明細書に記載した格納式の壁はガンマカメラ22内にも含まれることがあり得ることを理解すべきである。しかし検討を容易にするため、ガンマカメラ20だけについて説明し図示している。上で検討したように、従来の検出器を撮像の際にHモードの内外方向や内外斜位方向撮像向けに構成すると、重力によって乳房の位置決め誤差が生じ、これにより乳房のうちの病変を含む部分がガンマ検出器の視野域外となることがあり得る。したがって、乳房のうちガンマ検出器の視野域外にある部分は適正に撮像されない。したがってこの例示的実施形態では、ガンマカメラ20及び/または22のうちの少なくとも一方が関心対象解剖部位24を第1及び第2のガンマカメラ20及び22の視野域内に維持するように少なくとも1つの格納式の保持用デバイスまたは壁を含んでいる。
【0051】
図9Aに示すようにガンマカメラ20及び/または22は、ハウジング110内に形成された第1の窪み202内に格納されかつここから延び出すような第1の格納式の壁200を含む。この例示的実施形態では、ガンマカメラ20はさらに、ハウジング110に形成された第2の窪み206内に格納されかつここから延び出すような第2の格納式の壁204と、ハウジング110内の第3の窪み210内に格納されかつここから延び出すような第3の格納式の壁208と、を含む。第1の窪み202は第1の側面120の内壁と図6Aに示した検出器アレイ140、エレクトロニクスデバイス142及びコリメータ144の合成体の間に規定される。より具体的にはハウジング110は、検出器部分と格納式壁を受け容れるようにサイズ設定されたハウジング110の内部表面との間に位置する空間または窪みを含む。この例示的実施形態では、第1の窪み202は第1の側面120の近傍で検出面128を通過するように形成された開口部203を含み、第2の窪み206は第2の側面122の近傍で検出面128を通過するように形成された開口部207を含み、かつ第3の窪み210は第3の側面124の近傍で検出面128を通過するように形成された開口部211を含む。動作時においてこれらの格納式壁は対応する窪み内に格納されており次いで検出器面内の対応する開口部を通って延び出させる。この保持機能はまた、付属添加した泡状物質や布製の保持デバイスを用いても達成可能である。
【0052】
図9Bに示すように、一実施形態ではその格納式の壁200、204及び208のそれぞれは、互いに一体に結合されて当該格納式壁を形成するような複数の壁部分212を含むことがある。より具体的にはこれらの部分212は、各格納式壁が対応する窪み内に完全に収納されたり対応する窪みから完全に延び出ることができるように互いに摺動自在に結合させている。例えばこの例示的実施形態では各格納式壁200、204及び208は、その各々が幅Wを有する少なくとも2つの部分214及び216を含む。したがって格納式の壁を完全に後退させたときには、各格納式の壁は概ねWに等しい幅を有する。この例示的実施形態では検出器ハウジング110は、ハウジング110内に形成させた対応する窪みの内部に格納式壁を完全に格納できるようにWを超える幅220を有する。格納式の壁を完全に延び出させたときに、延長させた壁の幅は概ね2×Wすなわち2Wである。格納式の壁200、204及び/または208が各々が同じ幅Wをもつn個の部分を含むならば、完全に延び出させたときの格納式の壁の幅は概ねn×WすなわちnWであることを理解すべきである。
【0053】
一実施形態では、ガンマカメラ20及び22を図1A及び1Bに示したLモード構成で構成したとき、格納式壁200、204及び208は各格納式壁200、204及び208の外側エッジ222が検出面128と実質的に面一になるすなわち同レベルになるように対応する窪み内に完全に収納される。Lモード構成では格納式の壁200、204及び208からの干渉を受けることなくガンマカメラ20及び22を再位置決めすることができる。図6に示したHモード構成では、格納式の壁200、204及び/または208のうちの少なくとも幾つかが少なくとも部分的に延び出しを受ける。図8Aに示したように、格納式の壁200、204及び/または208のうちの少なくとも幾つかを完全に延び出させると、実質的に正方形または長方形の解剖部位捕捉領域230が形成される。解剖部位捕捉領域230は関心対象解剖部位24をその内部に受け容れられるように選択的にサイズ設定される。例えば、ガンマカメラ20及び22の再位置決めによってより大きな関心対象解剖部位の撮像を容易にするために解剖部位捕捉領域230のサイズを増大させることがあり、またよりデンスなまたはより大きな関心対象解剖部位24の撮像を容易にするために格納式の壁200、204及び/または208のうちの少なくとも幾つかをより完全に延び出させてより大きい解剖部位捕捉領域230を形成させることがある。さらに、より小さい関心対象解剖部位24の撮像を容易にするため、ガンマカメラ20及び22と格納式の壁200、204及び/または208のうちの少なくとも幾つかとをハウジング110内に部分的後退させ、より小さい関心対象解剖部位24の撮像を容易にするようなより小さい解剖部位捕捉領域230を形成することができる。
【0054】
再度図9A及び9Bを参照すると一実施形態では、格納式の壁200、204及び/または208をマニュアル式レバー232を利用して延び出しまたは後退させている。任意選択ではスプリング機構(図示せず)を利用してその格納式の壁200、204及び/または208を延び出しまたは後退させることがある。格納式壁200、204及び/または208を伸縮する壁として図示しているが、格納式の壁200、204及び/または208は着脱式の壁や固定の壁として具現化することもできることを理解すべきである。さらに格納式の壁200、204及び/または208は折り込み式の壁や、さもなければ折り畳みかつ調整式の壁として具現化することもできる。したがって格納式の壁200、204及び/または208によって、分子的撮像システムをHモードで構成したときにガンマカメラ20及び22の有効エリアの前での関心対象解剖部位24の拘束を容易にするような自己調整式または調節可能な側面壁が形成される。
【0055】
図10Aは、ガンマカメラ20及び22の一部分を第1の整列状態にしたところの概要図である。図10Bは、ガンマカメラ20及び22の一部分を第2の整列状態にしたところの概要図である。上で検討したように各ガンマカメラ20及び22はオペレータが観察可能な単一の画像を作成することがある。具体的にはこの2つの画像は例えば、隣合わせた画像、45度の角度位置にある画像、あるいは上面及び底面画像とすることができる。2つの画像からの単一合成画像の作成を容易にするために、ガンマカメラ20をガンマカメラ22を基準として周知の整列関係で位置決めする。
【0056】
したがって、図10Aはコリメータ144及び145を第1の操作整列で配列させた断面図であり、また図10Bはコリメータ144及び145をまたしたがってガンマカメラ20及び22を第2の操作整列とした断面図である。上で検討したようにガンマカメラ20及び22は、Lモード構成とHモード構成の両方の構成で撮像を実行するように調節可能である。さらに各ガンマカメラ20及び22は各構成の域内で別々に整列させることができる。より具体的には、ガンマカメラ20及び22をLモードまたはHモード構成に依然として維持する一方で、ガンマカメラ20をX、Y及び/またはZ方向でガンマカメラ22からオフセットさせることがある。この例示的実施形態ではそのコリメータ144は第2のコリメータ145と実質的に整列している。さらに、第1及び第2のコリメータ144及び145のそれぞれは平均乳房厚の半分の位置において概ね5ミリメートルの分解能を有する。
【0057】
再度図10Aを参照すると、ガンマカメラ20はまたしたがってコリメータ144は、ガンマカメラ22とまたしたがってコリメータ145とZ方向で概ね整列している。より具体的にはこの実施形態では、コリメータ144の隔壁270をコリメータ145の隔壁272と整列させている。この構成では、隔壁270と272が実質的に完全な整列状態となるようにコリメータ144の照準線がコリメータ145の照準線と同一直線上にある。図10Aに示すように、ある病変280が実質的に2つの隔壁の間の位置に来ている一方、第2の病変282はこの隔壁により画定される2つの穴284と286の間の位置に来ている。このケースでは、ガンマカメラ20から出力された信号290はガンマカメラ22から出力された信号292と合成し、1つの合成信号294が形成される。第1の病変280の合成信号294はガンマカメラ20と22の両方からの総応答を意味しており、2つの画素296にわたって広がっている(例えば、その応答は広範かつ平坦である)。他方、第2の病変282の合成信号294は画素296の半分において2倍の応答を有しており、したがって第2の病変282の合成信号はエイリアシングを受ける(例えば、病変282の周波数とガンマカメラの周波数の間に位相不整合が存在する)。
【0058】
図10Bに示した別の整列構成では、ガンマカメラ20はまたしたがってコリメータ144は、ガンマカメラ22からまたしたがってコリメータ145から概ね1/2画素分だけオフセットされている。より具体的にはガンマカメラ20及び22は、病変280がコリメータ144上の開口部284とコリメータ145の隔壁272との間に位置決めされるように整列させている。さらに病変282は、コリメータ144上の開口部286とコリメータ144の隔壁272との間に位置決めされる。動作時において、コリメータ144及び145の照準線はx方向に、y方向に、あるいはxとyの両方向に1/2画素分だけ変位させている。このケースでは、ガンマカメラ20から出力された信号300をガンマカメラ22から出力された信号302と合成させて1つの合成信号304が形成される。このケースでは、これらの病変の2つの画像の和によって生成させた合成信号304は、画素型(pixelated)検出器の変換依存的なMTF&DQEを実質的に等化させると共に、単一のガンマカメラの有効ナイキスト周波数の倍化を自ずと生じさせる。したがって2.5mm画素のデュアルガンマカメラシステムが1.25mm画素のシステムと同様の機能となる。この例示的実施形態では、検出能力を犠牲にすることなくスキャン時間を最適化するために、コリメータ高さを2.1cmに、またはコリメータアスペクト比を10に調整することによってコリメータの遠視野分解限界が調整される。
【0059】
図11は、較正を実行するように構成された撮像システムの側面像である。図11に示すように、ガンマカメラ20及びガンマカメラ22はHモードで位置決めされている。さらに、これらガンマカメラの間にはフラッド線源23が配置される。動作時には、ガンマカメラを較正するために検出器コリメータを通過する光の送出を実行するためにフラッド線源が起動される。この方式では、各ガンマカメラのエネルギー及び感度を確認するための外来性の較正が規定される。
【0060】
様々な実施形態では、図示した分子的撮像システム10は、1対のガンマカメラをLモード撮像構成で位置決めする工程を含む方法によって提供される。次いで、患者内に放射性医薬品を注入し、これにより関心対象解剖部位に至らせることがある。任意選択ではその放射性医薬品は関心対象解剖部位の位置決め前あるいはガンマカメラの位置決め前に注入されることがある。次いでガンマ検出器対の間で関心対象解剖部位が固定される。上で検討したようにLモード構成では、関心対象解剖部位がガンマ検出器の上に置かれる。さらに、撮像手技中に関心対象解剖部位を実質的に固定の位置に保持することを容易にするために、関心対象解剖部位に対して固定力が加えられることがある。次いでガンマ検出器対の間に固定した関心対象解剖部位に対して、関心対象解剖部位の撮像スキャンが実行される。
【0061】
この撮像操作によって、第1のガンマカメラによって作成された第1の画像と第2のガンマカメラによって作成された別の第2の画像とが得られる。この例示的実施形態では本方法はさらに、1つの合成画像が形成されるように第1と第2の画像を合成する工程を含む。合成画像を作成する一方法は、第1のガンマカメラ画像を第2のガンマカメラ画像と位置合わせする工程を含む。位置合わせ処理は、第1の画像上で病変を位置特定すること、並びにコリメータの1対の穴同士または1対の隔壁同士のいずれかの間に病変が配置されるように(例えば、2つのコリメータが完全に整列状態となるように)第1のガンマカメラ上のコリメータを第2のガンマカメラ上の別の第2のコリメータと整列させること、を含むことがある。得られた位置合わせ済み画像は次いで、加算、幾何平均、誤差荷重平均、あるいは別のアルゴリズムによって合成して合成画像を形成させることができる。任意選択では位置合わせ処理は、第1の画像上で病変を位置特定すること、並びに第1のコリメータ上の隔壁と第2のコリメータ上の穴との間に病変が配置されるように(例えば、2つのコリメータ1/2画素分だけオフセットされるように)第1のガンマカメラ上のコリメータを第2のガンマカメラ上の別の第2のコリメータと整列させること、を含むことがある。次いで得られた位置合わせ済み画像合成し、合成画像を形成させることができる。
【0062】
したがって例えば、直立型スタンドアロン乳房撮像システムとして構成されるような分子的撮像システムを提供する。本分子的撮像システムは、その各々が乳がん管理に関して優れた性能を発揮するように適合された2つのガンマカメラを含む。これらのガンマカメラはその視野域内において関心対象解剖部位から放出されたガンマ線に対して感応性が高く、かつ撮像用薬剤が集積した部位の画像を形成している。このガンマカメラでは、視野域の周囲にある感応性が低いエッジが小さくなっており、厚さ、面取りを低減させ、かつ撮像感度を上昇させるために配置させるコリメータの分解能を制限している。したがって本明細書に記載した撮像システムによって、バックグラウンドノイズが低減され、収集時間が短縮され、かつがん病変検出の限界が改善される。より具体的には、本明細書に記載した分子的撮像システムは、関心対象解剖部位に対する3D位置特定及びバイオプシーを実施するためにLモード構成で構成させることができる。分子的撮像システムはさらにHモード構成で構成させることもできる。Hモード構成では、病変検出を向上させるために、調節可能なまたは格納式の保持用デバイスまたは壁を利用して位置決め誤差を補正することができる。さらにこのガンマカメラは、Lモードの視認性を向上させるため、並びに患者の不快感を軽減するために面取りエッジを含む。患者と接触させるカメラのエッジは、患者の受傷を避けるために丸みをもたせている、かつ/または泡状物質で覆われている。
【0063】
本発明を具体的な様々な実施形態に関して記載してきたが、本発明が本特許請求の範囲の精神及び趣旨の域内にある修正を伴って実施可能であることは当業者であれば理解されよう。
【符号の説明】
【0064】
10 分子的撮像システム
11 ハウジング
12 ガントリ
13 キャリッジ
14 ワークステーション
15 ピボットデバイス
17 レール
20 ガンマカメラ
21 第3のガンマカメラ
22 ガンマカメラ
23 フラッド線源
24 関心対象解剖部位
26 通信リンク
30 コンピュータ
32 入力デバイス
34 ディスプレイ
36 プロセッサ
38 メモリデバイス
40 記憶デバイス
42 通信リンク
54 モータ
55 モータ
62 第1の開口部
64 第2の開口部
66 装着用ブラケット
68 装着用ブラケット
70 時計方向
72 反時計方向
74 X方向
76 Y方向
78 Z方向
80 バイオプシー針位置決めデバイス
82 バイオプシー針
84 装着用プレート
86 圧力プレート
87 解剖部位捕捉領域
88 チャネル
90 弓形経路
92 中心線
96 開口部
104 検出器アレイ
110 ハウジング
120 第1の側面
122 側面
124 側面
126 第4の側面
128 検出面
130 第2の表面
132 開口部
133 ボルト
140 検出器アレイ
141 検出器アレイ
142 エレクトロニクスデバイス
143 エレクトロニクスデバイス
144 コリメータ
145 コリメータ
150 面取りエッジ
152 面取りエッジ
156 中心線
160 視野域
162 視野域
164 第3の表面
166 第4の表面
168 面取りエッジ
200 格納式の壁
202 第1の窪み
203 開口部
204 格納式の壁
206 第2の窪み
207 開口部
208 第3の格納式の壁
210 第3の窪み
211 開口部
212 部分
214 2つの部分
216 2つの部分
220 幅
222 外側エッジ
230 解剖部位捕捉領域
232 マニュアル式レバー
270 隔壁
272 隔壁
280 病変
282 病変
284 開口部
286 開口部
290 信号
292 信号
294 合成信号
296 画素
300 信号
302 信号
304 合成信号
500 圧力プレート
502 2次元表面
504 開口部
506 幅
508 圧力プレート
510 幅
520 圧力プレート
522 湾曲した表面
524 開口部
526 幅
528 圧力プレート
530 幅
540 圧力プレート
542 可撓性部分
544 剛性の側面部材
546 可撓性部分
548 開口部
550 圧力プレート
552 体部
554 延長部
556 幅
558 開口部
560 圧力プレート
562 体部
564 延長部
566 窪み
568 幅
570 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガントリ(12)と、
ガントリに結合された圧力プレート(86)と、
ガントリに結合された第1のガンマカメラ(20)と、
ガントリに結合された第2のガンマカメラ(22)と、を備える分子的撮像システム(10)であって、
前記第1及び第2のカメラはLモード撮像構成及びHモード撮像構成で位置決め可能であり、該第1及び第2のガンマカメラと前記圧力プレートは、Lモード構成においてこれらの間で関心対象解剖部位(24)に接触すると共に第1のガンマカメラ、第2のガンマカメラ及び圧力プレートの間に関心対象解剖部位を固定するように構成されている、分子的撮像システム(10)。
【請求項2】
前記第1及び第2のガンマカメラ(20、22)はテルル化亜鉛カドミウム(CZT)ガンマカメラとCdTeガンマカメラのうちの少なくとも一方を含んでおり、該第1のガンマカメラは第1の面取りエッジ(150)と該第1のガンマカメラの反対側面上に形成させた第2の面取りエッジ(152)とを備えている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記第1及び第2のガンマカメラ(20、22)は、関心対象解剖部位(24)を固定するために撮像中に7ニュートン未満の力を加えるように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記圧力プレート(86)は第3のガンマカメラ(21)を備える、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記第1及び第2のガンマカメラ(20、22)は、Lモード撮像構成において第1のガンマカメラ(20)視野域(FOV)が第2のガンマカメラ(22)FOVに接近または接触できるようにするための面取りエッジ(150)を備える、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記第1及び第2のガンマカメラ(20、22)は該ガンマカメラの前面(128)上に形成させた面取りエッジ(150、152)を備えており、該面取りエッジは撮像中に患者と接触するように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記圧力プレート(86)は、第1と第2のガンマカメラ(20、22)の間に位置決めされると共に、関心対象解剖部位(24)を実質的に固定の位置に確保するように曲がるように適合させた変形可能プレートを備える、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記圧力プレート(86)は複数の開口部(558)をその中を通過して有する伸縮式プレート(550)を含み、該伸縮式プレートは第1と第2のガンマカメラ(20、22)の間に位置決めされると共に、第1と第2のガンマカメラの間を延びて関心対象解剖部位(24)を実質的に固定の位置に確保するように適合されており、該開口部はその中を通過するバイオプシー針を受け容れるように適合させている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記ガントリ(12)に結合させたバイオプシー針位置決めデバイス(80)をさらに備えており、該バイオプシー針位置決めデバイスはバイオプシー針(82)を、Lモード構成では第1の位置にかつHモード構成では第2の別の位置に再位置決めするように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項10】
前記第1のガンマカメラ(20)に結合させた第1の高感度(HS)コリメータ(144)と前記第2のガンマカメラに結合させた第2のHSコリメータ(145)とをさらに備えており、該第1のコリメータは該第2のコリメータと実質的に整列させており、該第1及び第2のコリメータは平均乳房厚の半分の位置において概ね5ミリメートルの分解能を有する、請求項1に記載のシステム(10)。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−7795(P2011−7795A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144569(P2010−144569)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】