説明

核酸増幅方法

【課題】オリゴヌクレオチドプライマーとDNAポリメラーゼとを用いて実施可能な核酸の増幅方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種のDNAポリメラーゼ、少なくとも2種のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる核酸断片を含む反応溶液をインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い該核酸断片を増幅することを含む核酸の増幅方法であって、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側にタグ配列が付加されており、該タグ配列が、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な配列の3’末端側に存在する塩基配列であることを特徴とする、核酸の増幅方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸の増幅方法に関する。より詳細には、本発明は、DNAポリメラーゼを用いて反応溶液をインキュベートすることによってポリメラーゼ反応を行うことを特徴とする核酸の増幅方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子生物学の研究においては、核酸の増幅は、一般的には、DNAポリメラーゼを利用した酵素的方法で行われている。核酸の増幅方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が広く知られている。PCR法では、目的とする標的核酸配列を増幅させるために、鋳型である二本鎖DNAを一本鎖DNAに変性する工程(変性工程)、一本鎖DNAにプライマーをアニーリングさせる工程(アニーリング工程)、及びプライマーを起点として相補鎖を伸長する工程(伸長工程)の3つの工程から構成される。通常のPCR法においては、サーマルサイクラーを使用して、変性工程、アニーリング工程、伸長工程はそれぞれ異なる温度で行われている。しかし、3種類の異なる温度で核酸増幅反応を行うことは、温度制御が煩雑であり、またサイクル数に比例して時間のロスも増大していくという問題があった。
【0003】
そこで、等温状態で実施することが可能な核酸増幅方法が開発されている。例えば、RCA(Rolling Circle Amplification:Proc.Natl.Acad.Sci,vol.92,4641-4645(1995))、 ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification of DNA;Bio Industry,第18巻、2号(2001))、NASBA(Nucleic acid Sequence-based Amplification method;Nature,350,91〜(1991))、TMA(Transcription mediated amplification method;J.Clin Microbiol.第31巻、3270〜(1993))等が挙げられる。
【0004】
SDA法(特開平5−130870号)は、エクソヌクレアーゼを用いたサイクリングアッセイ法であり、ポリメラーゼ伸長反応を利用したターゲット核酸断片の目的部位の増幅法の一つである。この方法はターゲット核酸断片の目的部位に特異的にハイブリダイゼーションしたプライマーを起点とした、ポリメラーゼ伸長反応とともに、5’→3’エクソヌクレアーゼを作用させて、プライマーを逆方向から分解する方法である。分解したプライマーの代わりに新たなプライマーがハイブリダイゼーションし、再度DNAポリメラーゼによる伸長反応が進行する。このポリメラーゼによる伸長反応と、この先に伸長した鎖を外すエクソヌクレア−ゼによる分解反応が順次、周期的に繰り返される。ここで、ポリメラーゼによる伸長反応とエクソヌクレア−ゼによる分解反応は等温条件で実施することが可能である。しかしながら、ポリメラーゼと共にエクソヌクレアーゼを用いる必要があり、コストがかかると共に、プライマーの設計を工夫する必要があった。
【0005】
LAMP法は、近年開発されたターゲット核酸断片の目的部位の増幅法である。この方法は、ターゲット核酸断片の少なくとも6箇所の特定部位を相補的に認識する少なくとも4種のプライマーと、5’→3’方向へのヌクレアーゼ活性がなく、かつ鋳型上の2本鎖DNAを1本鎖DNAとして遊離させながら伸長反応を触媒する鎖置換型のBst DNAポリメラーゼを使用することで、等温条件でターゲット核酸断片の目的部位を、特別な構造として増幅する方法である。しかしながら、6箇所の特定部位を認識する少なくとも4種のプライマーを用いる必要があり、プライマー設計が非常に困難であった。
【0006】
ICAN法も、近年開発されたターゲット核酸断片の目的部位の増幅法である。RNA-DNAキメラプライマー、鎖置換活性と鋳型交換活性を有するDNAポリメラーゼ、RNaseHを用いる等温の遺伝子増幅方法である。キメラプライマーが鋳型と結合した後、DNAポリメラーゼにより相補鎖が合成される。その後、RNaseHがキメラプライマー由来のRNA部分を切断し、切断部分から鎖置換反応と鋳型交換反応を伴った伸長反応が起きるこの反応が繰り返し起こることにより遺伝子が増幅される。しかしながら、この方法もキメラプライマーという特殊なプライマーを用いる必要がありプライマー設計が非常に困難である。
【0007】
特表平11−509406号公報には、鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ存在下、少なくとも1組のオリゴヌクレオチドプライマーにより目的とする領域のDNAを等温における反応によって増幅する方法が記載されている。しかしながら、特表平11−509406公報に記載の方法では比較的長い反応時間が必要であるなどの問題がある。
【0008】
特開2002−233379号公報には、鎖置換能を有するDNAポリメラーゼ存在下、少なくとも1組のオリゴヌクレオチドプライマーにより目的とする領域のDNAを等温における反応によって増幅する方法が記載されている。しかしながら、特開2002−233379号公報に記載の方法では、非特異的な増幅産物の生成が顕著であるという問題があった。
【0009】
【非特許文献1】Proc.Natl.Acad.Sci,vol.92,4641-4645(1995)
【非特許文献2】Bio Industry,第18巻、2号(2001)
【非特許文献3】Nature,350,91〜(1991)
【非特許文献4】J.Clin Microbiol.第31巻、3270〜(1993)
【特許文献1】特開平5−130870号公報
【特許文献2】特表平11−509406号号公報
【特許文献3】特開2002−233379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、オリゴヌクレオチドプライマーとDNAポリメラーゼとを用いて実施可能な核酸の増幅方法を提供することを解決すべき課題とした。本発明はさらに、標的核酸配列を短時間で特異的に、高効率で増幅することができる、簡便かつ迅速な核酸の増幅方法を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種のDNAポリメラーゼ、少なくとも2種のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる核酸断片を含む反応溶液をインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い該核酸断片を増幅することを含む核酸の増幅方法において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドと実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列を付加することで、標的核酸配列のみを特異的に増幅することに成功した。
【0012】
即ち、本発明によれば、少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種のDNAポリメラーゼ、少なくとも2種のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる核酸断片を含む反応溶液をインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い、該核酸断片を増幅することを含む核酸の増幅方法であって、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側にタグ配列が付加されており、該タグ配列が、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な配列の3’末端側に存在する塩基配列であることを特徴とする、核酸の増幅方法が提供される。図1に、第一のオリゴヌクレオチドプライマー、第二のオリゴヌクレオチドプライマー、タグ配列の位置関係の模式図を示す。
【0013】
好ましくは、該タグ配列の3’末端の塩基は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第二のオリゴヌクレオチドプライマーの塩基配列に対して実質的に相補的な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基である。図2に、第一のオリゴヌクレオチドプライマー、第二のオリゴヌクレオチドプライマー、タグ配列の位置関係の模式図を示す。
好ましくは、該タグ配列は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第二のオリゴヌクレオチドプライマーの塩基配列に対して実質的に相補的な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列である。図3に、第一のオリゴヌクレオチドプライマー、第二のオリゴヌクレオチドプライマー、タグ配列の位置関係の模式図を示す。
【0014】
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、2塩基以上20塩基以下である。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な配列の3’末端側200塩基以内に存在する塩基配列である。
【0015】
好ましくは、反応溶液は、少なくとも0.01%以上の界面活性剤をさらに含む。
好ましくは、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系から選ばれる。
好ましくは、反応溶液は、2価の陽イオンをさらに含む。
好ましくは、反応溶液は、融解温度調整剤をさらに含む。
好ましくは、融解温度調整剤は、ジメチルスルホキシド、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、またはこれらの2種以上の混合物である。
【0016】
好ましくは、少なくとも1種のDNAポリメラーゼは、鎖置換機能を有するDNAポリメラーゼである。
好ましくは、少なくとも1種の鎖置換能を有するDNAポリメラーゼは、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bst.DNAポリメラーゼ、及びバチルスカルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ 、サーモコッカス リトラリス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Vent.DNAポリメラーゼ、アリサイクロバチルス アシドカルダリウス由来のDNAポリメラーゼからなる群より選択されるポリメラーゼである。
【0017】
好ましくは、核酸を増幅する工程は実質的に等温で行われる。
好ましくは、核酸を増幅する工程は50℃以上100℃以下で行われる。
好ましくは、核酸を増幅する工程は実質的に60分以内で行われる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列(即ち、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な配列の3’末端側に存在する塩基配列)を介した高分子量産物の形成反応が非常に効率的に進むため、標的核酸配列のみを特異的に増幅することが可能である。しかも、本発明によれば、複雑な温度制御、特殊な酵素の使用、複雑なプライマー設計も必要とせずに標的核酸配列を増幅することが可能であるため、簡便、迅速、高感度な核酸の増幅方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明による核酸の増幅方法は、少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種のDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、少なくとも2種のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる核酸断片を含む反応溶液をインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い該核酸断片を増幅することを含む核酸の増幅方法であって、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側にタグ配列が付加されており、該タグ配列が、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列であることを特徴とする方法である。
【0020】
本発明の一例である実施例1で用いたプライマーのβ2AR遺伝子に対する位置関係の詳細を図4に示す。この実施例1において、第一のオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号1)の5’末端側に付加されているタグ配列は、5'−CCACGACG−3'である(配列番号1及び図4を参照)。鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列は、5’−CTTGCTGGCACCCAATA−3’に相当する。そして、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列は、5’−CCACGACG−3’(図4を参照)に相当し、当該塩基配列は、第一のオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号1)の5’末端側に付加されているタグ配列に相当する。
【0021】
本発明による核酸の増幅方法の概要を図15に示す。鋳型となる核酸断片に対して第一のオリゴヌクレオチドプライマーがアニーリングして、当該オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応が進行する。その際、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側には、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列(タグ配列)が付加されていることから、第一のオリゴヌクレオチドプライマーを起点とするポリメラーゼ反応の増幅産物として、5’末端に、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列を含む増幅核酸断片(これを核酸断片Aとする)が得られる。
【0022】
次に、上記で得られた増幅核酸断片Aに対して第二のオリゴヌクレオチドプライマーがアニーリングして、当該オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応が進行する。その際、鋳型となる増幅核酸断片Aの5’末端に、タグ配列(鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列)が存在するため、得られる増幅核酸断片(これを核酸断片Bとする)の3’末端には、タグ配列と実質的に相補的な配列(鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列と実質的に相補的な配列)が含まれる。
【0023】
核酸断片Bの3’末端の配列は、核酸断片Aに含まれる配列と2箇所で相補的である。核酸断片Bの3’末端が、核酸断片Aの3’末端側に存在する相補的な配列と二本鎖を形成し、それを起点としてポリメラーゼ反応が進行することで、高分子の増幅核酸断片が合成されることになる。
【0024】
同様に、得られた高分子の増幅核酸断片が、核酸断片Aの3’末端側に存在する相補的な配列と二本鎖を形成し、それを起点としてポリメラーゼ反応が進行することで、さらなる高分子の増幅核酸断片が合成されうる。
【0025】
以下、本発明で用いる成分について説明する。
(1)デオキシヌクレオチド3リン酸
伸長反応の基質として、デオキシヌクレオチド3リン酸を用いる。具体的には、dATP、dCTP、dGTP、dTTPの混合物を使用することが好ましい。デオキシヌクレオチド3リン酸としては、dNTPのアナログ(例えば、7−デアザ−dGTP等)が含まれていてもよい。
【0026】
また、デオキシヌクレオチド3リン酸(dATP、dCTP、dGTP、dTTP混合物)は、最終濃度で、それぞれ0.1mM〜3.0mM、好ましくは0.75mM〜3.0mM、さらに好ましくは1.0mMから2.0mM、特に好ましくは1.0mMから1.5mMの範囲である。
【0027】
(2)DNAポリメラーゼ
本発明においては、鎖置換能を有するポリメラーゼを用いる。本明細書において「鎖置換能」とは、鋳型となる核酸配列に従ってDNA複製を行う際、DNA鎖を置き換えながら進行し、鋳型鎖にアニーリングしている相補鎖を遊離させる、即ち鎖置換(strand displacement)することができる活性のことをいう。鎖置換能を有するポリメラーゼの具体例としては、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bst.DNAポリメラーゼ、及びバチルスカルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ 、サーモコッカス リトラリス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Vent.DNAポリメラーゼ、アリサイクロバチルス アシドカルダリウス由来のDNAポリメラーゼなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。鎖置換能を有するポリメラーゼは、天然由来のものでもよいし、遺伝子工学的に製造した組み換え蛋白質でもよい。
【0028】
(3)2価の陽イオン
本発明では、使用する酵素の金属要求性等に2価の陽イオンを用いる。2価の陽イオンとしては、マグネシウム塩、カルシウム塩やその他の金属塩を使用することができ、例えば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどを使用できる。2価の陽イオンの濃度は最終濃度で、好ましくは1mM〜20mMであり、さらに好ましくは2mM〜10mMの範囲である。
【0029】
(4)界面活性剤
本発明では、反応溶液中に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を使用することにより、非特異的な核酸の増幅を防止するという有利な効果を達成することができる。本発明で使用できる界面活性剤の種類は、特には限定されないが、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、スルホコハク酸オクチルエステル塩、ステアリン酸石けんなどの陰イオン(アニオン)性界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル(Tween20、Tween40、Tween60、Tween80等)、脂肪酸アルカノールアミド、POEアルキルエーテル(Brij35、Brij58、等)、POEアルキルフェニルエーテル(TritonX-100、TritonX-114、Nonidet P40、等)、ノニルフェノール、ラウリルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、POEアルキルアミン、POE脂肪酸ビスフェニルエーテルなどの非イオン(ノニオン)性界面活性剤、そしてセチルピリジニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドのような陽イオン(カチオン)性界面活性剤などを使用できる。界面活性剤の使用量は本発明の効果が達成できる限り特に限定されないが、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上である。界面活性剤の使用量の上限は特に限定されないが、通常は10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下である。
【0030】
界面活性剤の中でも、非イオン性界面活性剤を使用することが特に好ましい。非イオン性界面活性剤の中でも、親水性がより強い界面活性剤が好ましく、HLB価で示すと12以上が好ましい。より好ましくは14以上であり、上限は20まで好ましく用いることができる。さらに好ましくは17以下であり、より好ましくは14以上17以下である。構造的には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系から選ばれることが好ましい。さらに、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの中でも、脂肪酸エステルが一つだけのものが好ましい。例えば、以下の構造式で表すことができる。
【0031】
【化1】

【0032】
(式中、x + y + z + w = 20 であり、R:炭素数が12〜18のアルキル基であることを示す。)
【0033】
アルキル基の位置は特に限定されず、以下のような構造でも好ましく用いることができる。
【0034】
【化2】

【0035】
このような界面活性剤として、物質名でポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート等が挙げられる。(商品名:Tween20、Tween40、Tween60、Tween80等)の界面活性剤が挙げられる。また、使用量も特に限定されないが、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上である。
【0036】
(5)オリゴヌクレオチドプライマー
本発明で使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型DNAに実質的に相補的な塩基配列を有し、その3'末端よりDNA鎖の伸長が可能なものである。オリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型DNAに実質的に相補的な塩基配列を有することにより、鋳型となるDNAにアニーリングすることができる。本発明で使用されるオリゴヌクレオチドプライマーとしては、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドで構成されたものを使用することができ、さらに、修飾リボヌクレオチドあるいは修飾デオキシリボヌクレオチドを含有するものでもよい。
【0037】
本発明では、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に、タグ配列(即ち、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列)を付加する。
【0038】
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、2塩基以上20塩基以下である。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、2塩基以上16塩基以下である。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、4塩基以上14塩基以下である。
【0039】
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列の3’末端側200塩基以内の位置に存在する。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列の3’末端側100塩基以内の位置に存在する。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列の3’末端側60塩基以内の位置に存在する。
好ましくは、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列の3’末端側50塩基以内の位置に存在する。
【0040】
オリゴヌクレオチドプライマーの長さは、特に限定されないが、一般的には、10〜100ヌクレオチド程度の長さであり、好ましくは15〜50ヌクレオチド程度の長さであり、さらに好ましくは15〜40ヌクレオチド程度の長さである。
【0041】
オリゴヌクレオチドプライマーは、市販のDNA合成機(例えば、アプライド バイオシステムズ社(Applied Biosystem Inc.)のDNAシンセサイザー394型など)を用いて、ホスホアミダイト法により合成できる。
【0042】
オリゴヌクレオチドプライマーの使用量は、反応溶液中において0.1μM以上が好ましく、1μM以上がさらに好ましく、1.5μM以上が特に好ましい。
【0043】
(6)鋳型となる核酸断片
本発明において鋳型となる核酸(DNAまたはRNA)は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、mRNA、全RNAのいずれでもよい。鋳型となる核酸を含む可能性のある試料から調製した核酸を使用してもよいし、鋳型となる核酸を含む可能性のある試料をそのまま直接使用してもよい。鋳型となる核酸を含む試料の種類は特に限定されず、例えば、体液(例えば、全血、血清、尿、脳脊髄液、精液、唾液など)、組織(例えば、癌組織など)、スワブ、細胞培養物のような生体由来試料、ウイルス、細菌、カビ、酵母、植物及び動物のような核酸含有試料、微生物が混入している可能性のある試料(例えば、食品など)、あるいは土壌、排水のような環境中の試料が挙げられる。上記したような試料から核酸を調製する場合、その調製方法は特に限定されず、例えば、界面活性剤による処理、超音波処理、ガラスビーズを用いた精製など当業者に公知の方法を用いることができる。核酸の試料からの精製は、フェノール抽出、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動または密度勾配遠心分離などにより行うことができる。
【0044】
RNA由来の配列を有する核酸を増幅したい場合には、当該RNAを鋳型とした逆転写反応によって合成されたcDNAを鋳型として本発明の方法を実施することができる。逆転写反応に使用されるプライマーは、特定の鋳型RNAに相補的な塩基配列を有するプライマーでもよいし、オリゴdTプライマーやランダムな配列を有するプライマーでもよい。逆転写用プライマーの長さは好ましくは6から100ヌクレオチド程度であり、更に好ましくは9から50ヌクレオチド程度である。逆転写反応に使用される酵素としては、RNAを鋳型としたcDNA合成活性を有するものであれば特に限定はなく、例えばトリ骨髄芽球症ウイルス由来逆転写酵素(AMV RTase)、モロニーネズミ白血病ウイルス由来逆転写酵素(MMLV RTase)、ラウス関連ウイルス2逆転写酵素(RAV−2 RTase)などを使用することができる。また、逆転写活性を併せ持つ鎖置換型DNAポリメラーゼを使用することもできる。
【0045】
本発明においては、ゲノムDNAや核酸増幅断片のような二本鎖DNA、およびRNAから逆転写反応で調製されたcDNAのような一本鎖DNAを、鋳型DNAとして使用できる。上記二本鎖DNAは、一本鎖DNAに変性してから本発明の方法に使用してもよいし、このような変性を行うことなく本発明の方法に使用することもできる。
【0046】
(7)鋳型となる核酸断片の前処理
本発明において鋳型となる核酸は、前処理工程を経た後に増幅鋳型として用いても良い。
前処理用の試薬は、例えば、界面活性剤、血液凝固防止剤、タンパク分解酵素、脂質分解酵素を含んでいてもよい。液性としては、酸性あるいはアルカリ性であってもよい。
前処理工程としては、高温(例えば98℃)に加熱することや変性処理剤で処理する工程を含んでよい。また、高温に加熱後、4℃以下に急冷する工程を含んでもよい。
【0047】
(8)融解温度調整剤
本発明における反応溶液には、融解温度調整剤を添加することができる。融解温度調整剤の具体例としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、テトラアルキルアンモニウム塩、またはこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。融解温度調整の使用量は特に限定されないが、DMSOやホルムアミド、グリセロールの場合、通常は反応溶液中に10%以下の量で含めることができる。
ベタインやテトラアルキルアンモニウム塩は、0.2〜3.0M、好ましくは0.5〜1.5M程度添加することができる。
【0048】
(9)緩衝成分
本発明における反応溶液には、緩衝成分を含めることができる。緩衝成分としては、特に限定はないが、例えば、ビシン、トリシン、ヘペス、トリス、リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)などを使用することができる。緩衝成分の最終濃度は5mM〜100mMの範囲、特に好ましくは10mM〜50mMの範囲であり、またpHは、増幅反応に用いられる酵素の至適pHにもよるが、一般的には6.0〜9.0、特に好ましくはpH7.0〜9.0のものを使用できる。
【0049】
(10)蛍光色素
本発明における反応溶液には、蛍光色素を含めることができる。蛍光色素としては、特に限定はないが、例えばSYBR GreenIなどを使用することができる。
【0050】
(11)本発明による核酸の増幅方法
次に、本発明による核酸の増幅方法について説明する。本発明では、少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種のDNAポリメラーゼ、2価の陽イオン、少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる核酸断片を含む反応溶液をインキュベートする。これにより、前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い、該核酸断片を増幅することができる。本発明では、好ましくは、核酸を増幅する工程を実質的に等温で行うことができる。反応溶液をインキュベートする際の温度は好ましくは50℃以上であり、より好ましくは55℃以上であり、例えば、60℃程度でインキュベートすることができる。好ましい温度範囲は、例えば、約50℃から約70℃であり、さらに好ましくは約55℃から約65℃である。この場合、プライマーの非特異的なアニーリングが抑制され、DNA増幅の特異性が向上し、また鋳型DNAの二次構造が解消されることによりDNAポリメラーゼの伸長性も向上する。本発明による核酸の増幅方法は、実質的に等温において実施すことができる。本発明において等温とは、各工程の反応温度を大きく変化することなく、各工程が実質的に一定の温度で行われることを意味する。
【0051】
本発明において、反応溶液を実質的に等温でインキュベートする時間は、標的核酸断片が増幅できる限り特に限定されない。インキュベートする時間は、例えば、5分以上12時間以内とすることができる。インキュベートする時間は、好ましくは、5分以上2時間以内であり、より好ましくは5分以上60分以内であり、さらに好ましくは5分以上30分以内であり、5分以上15分以内とすることもできる。
【0052】
核酸を増幅する工程を実質的に等温で行う場合は、温度を上昇させたり低下させる必要がないことが利点の一つになる。従来のPCR法では温度を上下させる必要があり、例えばサーマルサイクラーのような反応装置が必要であったが、核酸を増幅する工程を実質的に等温で行う場合は、一定温度を保持できる装置のみで実施が可能である。
【0053】
(12)本発明による核酸の増幅方法の利用
本発明による核酸の増幅方法は、核酸の検出、標識、塩基配列の決定、塩基の変異の検出(一塩基多型の検出などを含む)などに使用することができる。本発明の核酸の増幅方法には温度調節が可能な反応装置を使用する必要がないため、多量の反応液を使用して増幅反応を実施することができる。
【0054】
本発明の核酸の増幅方法により得られる増幅物は、当業者に公知の方法により検出できる。例えば、ゲル電気泳動によれば、エチジウムブロマイドでゲルを染色することによって特定サイズの反応産物を検出することができる。増幅産物を検出するための検出系は、蛍光偏光、イムノアッセイ、蛍光エネルギー転移、酵素標識(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、ローダミンなど)、ケミルミネッセンス、又はバイオルミネッセンスなどを用いることができる。TaqmanプローブやMolecular Beaconを利用して検出することもできる。ビオチンなどで標識した標識ヌクレオチドを使用することによって増幅物を検出することもできる。この場合、増幅産物中のビオチンは、蛍光標識アビジン又は酵素標識アビジンなどを用いて検出することができる。また、当業者に公知の酸化還元型インターカレーターを使用することで、電極により増幅産物を検出することもできる。また、SPRを用いて増幅産物を検出してもよい。
【0055】
ピロリン酸マグネシウムを検出することによっても核酸増幅の検出を行うことができる。この場合、濁度による検出など、その他の当業者に公知の方法により検出できる。
【0056】
本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0057】
<実施例1>Tagつきプライマーによる核酸増幅(Tag設計位置の影響)
(1)ターゲット核酸断片を含む核酸試料液の調整
HumanGenomicDNA(Clontech社製)3.0ngを98℃で3min.加熱を行い、1本鎖にしたのち、β2AR遺伝子中の配列の増幅を以下の条件で行った。
【0058】
<プライマー>
プライマーは、β2AR遺伝子を標的に設計を行った。各プライマーの配列を以下に示す。
プライマー(1)(Forward1):
5'−CCACGACGCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号1)
プライマー(2)(Forward2):
5'−GGCAGGAACTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号2)
プライマー(3)(Forward3):
5'−TGGGTGGTCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号3)
プライマー(4)(Reverse):
5'−CCGGCGCATGGCTT−3' (配列番号4)
【0059】
上記プライマーのβ2AR遺伝子に対する位置関係の詳細を図4に示した。
ここで、プライマー(1)、(2)、(3)の5'末端8塩基(Tag)は、鋳型となる核酸断片の塩基配列上においてプライマー(1)、(2)、(3)の3’末端側部分(プライマーが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在するそれぞれの配列と実質的に相同である。
【0060】
(2)核酸増幅反応
以下に示す反応液の組成で、60℃、60分反応させることで増幅反応を実施した。酵素は、NEB社のBst.DNA polymeraseを使用した。
<反応液の組成>
10×Bst Buffer(DF) 1.0μL
100mM MgSO4 0.6μL
10%(v/v) Tween20 0.1μL
100% DMSO 0.5μL
25mM dNTP each 0.56μL
SYBR GreenI(2000倍希釈) 0.2μL
50μM primer(1)又は(2)又は(3) 0.64μL
50μM primer(4) 0.64μL
Bst. Polymerase 0.4μL
1)で得た核酸断片試料 3.0ng
精製水 4.96μL
10.0μL
【0061】
(3)増幅産物の検出
前記(2)における増幅反応を、リアルタイム蛍光検出装置(Mx3000p,Stratagene社製)を用いて蛍光検出を行った。結果を図5から7に示す。
【0062】
核酸試料由来のサンプルからの核酸増幅反応をリアルタイムに検出できることがわかる。ここで、Mx3000pの解析ソフトを用いて、上記のグラフにおいて蛍光量が250に到達したときの時間(Ct値)を算出したところ、表1のような結果になった。
【0063】
【表1】

【0064】
(4)増幅産物の電気泳動
3wt%のアガロースゲル、0.5xTBEバッファー(50mM Tris, 45mM Boric acid、0.5mM EDTA, pH8.4)を用い、100Vで60分の電気泳動を行った。結果を図8から10に示す。
【0065】
どのプライマーの組み合わせにおいても、ラダー状の規則的な電気泳動パターンが得られた。この結果より、ある規則性を有した増幅産物が得られることがわかり、即ち、増幅反応の制御ができていることがわかった。
【0066】
(5)増幅産物の配列解析
増幅産物をNucleoSpin(登録商標) Extract II(MACHEREY-NAGEL製)精製し、TOPO TA Cloning Kit(Invitrogen製)を用いてベクターに組み込み、該ベクターにより大腸菌を形質転換した。形質転換した大腸菌を、アンピシリンを加えたLB培地中で培養した。
QIAprep Miniprep(Qiagen製)を使用して培養した大腸菌からプラスミドDNAを回収した。
回収したプラスミドDNAに対してシークエンスを行い、塩基配列を調べた。なお、シークエンスはABI PRISM 310 Genetic Analyzer(ABI社製)により行なった。プライマーにはM13 Reverse Primerを使用した。
M13 Reverse Primer
5'−CAGGAAACAGCTATGAC−3'(配列番号5)
シークエンスの結果、プライマー(1)とプライマー(4)の組み合わせよる増幅産物中には、以下の配列を有する核酸が存在することがわかった。
【0067】
(1)
5'- CCACGACGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GG -3'
3'- GGTGCTGCAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CC -5'
(42塩基対)(配列番号6)
【0068】
(2)
5'- CCACGACGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- GGTGCTGCAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'

5'- GTTCTTGCTG GCACCCAATA GAAGCCATGC GCCGG -3'
3'- CAAGAACGAC CGTGGGTTAT CTTCGGTACG CGGCC -5'
(85塩基対)(配列番号7)
【0069】
(3)
5'- CCACGACGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- GGTGCTGCAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'

5'- GTTCTTGCTG GCACCCAATA GAAGCCATGC GCCGGACCAC GACGTTCTTG -3'
3'- CAAGAACGAC CGTGGGTTAT CTTCGGTACG CGGCCTGGTG CTGCAAGAAC -5'

5'- CTGGCACCCA ATAGAAGCCA TGCGCCGG -3'
3'- GACCGTGGGT TATCTTCGGT ACGCGGCC -5'
(128塩基対)(配列番号8)
【0070】
シークエンスで得られた増幅産物の鎖長は、図8の電気泳動結果とも一致した。
(1)の増幅産物は、2つのプライマーに挟まれる領域である。
(2)の増幅産物は、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列(Tag)とReverse Primerの5'末端側に存在する配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、“プライマーに挟まれる領域”+“Reverse PrimerとTag配列の間の配列”+“プライマーに挟まれた領域”という構造になっている。(以下、2倍体と表現する。)
(3)の増幅産物は、(2)の増幅産物と同様に、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列とReverse Primerの5'末端側の配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、“プライマーに挟まれる領域”+“Reverse PrimerとTag配列の間の配列”+“プライマーに挟まれた領域” +“Reverse PrimerとTag配列の間の配列”+“プライマーに挟まれた領域”という構造になっている。(以下、3倍体と表現する。)
【0071】
シークエンスの結果、プライマー(2)とプライマー(4)の組み合わせよる増幅産物中には、以下の配列を有する核酸が存在することがわかった。
【0072】
(1)
5'- GGGACGAGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GG -3'
3'- GGGACGAGAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CC -5'
(42塩基対)(配列番号9)
【0073】
(2)
5'- GGGACGAGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- CCCTGCTCAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'

5'- GTCACGCAGG AAAGGGACGA GTTCTTGCTG GCACCCAATA GAAGCCATGC -3'
3'- CAGTGCGTCC TTTCCCTGCT CAAGAACGAC CGTGGGTTAT CTTCGGTACG -5'

5'- GCCGG -3'
3'- CGGCC -5'
(105塩基対)(配列番号10)
【0074】
(3)
5'- GGGACGAGTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- CCCTGCTCAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'

5'- GTCACGCAGG AAAGGGACGA GTTCTTGCTG GCACCCAATA GAAGCCATGC -3'
3'- CAGTGCGTCC TTTCCCTGCT CAAGAACGAC CGTGGGTTAT CTTCGGTACG -5'

5'- GCCGGACCAC GACGTCACGC AGGAAAGGGA CGAGTTCTTG CTGGCACCCA -3'
3'- CGGCCTGGTG CTGCAGTGCG TCCTTTCCCT GCTCAAGAAC GACCGTGGGT -5'

5'- ATAGAAGCCA TGCGCCGG -3'
3'- TATCTTCGGT ACGCGGCC -5'
(168塩基対)(配列番号11)
【0075】
シークエンスで得られた増幅産物の鎖長は、図9の電気泳動結果とも一致した。
(1)の増幅産物は、2つのプライマーに挟まれる領域である。
(2)の増幅産物は、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列(Tag)とReverse Primerの5'末端側に存在する配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、2倍体である。
(3)の増幅産物は、(2)の増幅産物と同様に、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列とReverse Primerの5'末端側の配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、3倍体である。
【0076】
シークエンスの結果、プライマー(3)とプライマー(4)の組み合わせよる増幅産物中には、以下の配列を有する核酸が存在することがわかった。
【0077】
(1)
5'- TGGGTGGTTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GG -3'
3'- ACCCACCAAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CC -5'
(42塩基対)(配列番号12)
【0078】
(2)
5'- TGGGTGGTTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- ACCCACCAAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'

5'- GTCACGCAGG AAAGGGACGA GGTGTGGGTG GTTTCTTGCT GGCACCCAAT
3'- CAGTGCGTCC TTTCCCTGCT CCACACCCACCAAAGAACGAC CGTGGGTTA

5'- AGAAGCCATG CGCCGG -3'
3'- TCTTCGGTAC GCGGCC -5'
(116塩基対)(配列番号13)
【0079】
(3)
5'- TGGGTGGTTT CTTGCTGGCA CCCAATAGAA GCCATGCGCC GGACCACGAC -3'
3'- ACCCACCAAA GAACGACCGT GGGTTATCTT CGGTACGCGG CCTGGTGCTG -5'

5'- GTCACGCAGG AAAGGGACGA GGTGTGGGTG GTTTCTTGCT GGCACCCAAT -3'
3'- CAGTGCGTCC TTTCCCTGCT CCACACCCAC CAAAGAACGA CCGTGGGTTA -5'

5'- AGAAGCCATG CGCCGGACCA CGACGTCACG CAGGAAAGGG ACGAGGTGTG -3'
3'- TCTTCGGTAC GCGGCCTGGT GCTGCAGTGC GTCCTTTCCC TGCTCCACAC -5'

5'- GGTGGTTTCT TGCTGGCACC CAATAGAAGC CATGCGCCGG -3'
3'- CCACCAAAGA ACGACCGTGG GTTATCTTCG GTACGCGGCC -5'
(190塩基対)(配列番号14)
【0080】
シークエンスで得られた増幅産物の鎖長は、図10の電気泳動結果とも一致した。
(1)の増幅産物は、2つのプライマーに挟まれる領域である。
(2)の増幅産物は、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列(Tag)とReverse Primerの5'末端側に存在する配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、2倍体である。
(3)の増幅産物は、(2)の増幅産物と同様に、増幅産物同士がForward Primerの5'末端配列とReverse Primerの5'末端側の配列とのハイブリッド形成を介して生成された産物であり、3倍体である。
【0081】
どの増幅産物においても、Tagを介した高分子量産物形成が起こっていることがわかった。つまり、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な配列の3’末端側に存在する塩基配列を付加することで、積極的に高分子量産物を形成させ、増幅反応を制御することが可能となった。
【0082】
<実施例2>Tagつきプライマーによる核酸増幅(Tagの長さの影響)
(1)ターゲット核酸断片を含む核酸試料液の調整
HumanGenomicDNA(Clontech社製)3.0ngを98℃で3min.加熱を行い、1本鎖にしたのち、β2AR遺伝子中の配列の増幅を以下の条件で行った。
【0083】
<プライマー>
プライマーは、β2AR遺伝子を標的に設計を行った。各プライマーの配列を以下に示す。
プライマー(5)(Forward5):
5'−TGGTCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号15)
プライマー(6)(Forward6):
5'−TGGGTGGTCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号16)
プライマー(7)(Forward7):
5'−TGGGTGGTGGGCCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号17)
プライマー(8)(Forward8):
5'−TGGGTGGTGGGCATCTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号18)
プライマー(9)(Revesre2):
5'−TCCCTTTCCTGCGTGAC−3'(配列番号19)
【0084】
上記プライマーのβ2AR遺伝子に対する位置関係の詳細を図11に示した。
ここで、プライマー(5)、(6)、(7)、(8)の5'末端には、鋳型となる核酸断片の塩基配列上においてプライマー(5)、(6)、(7)、(8)の3’末端側部分(プライマーが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な塩基配列よりも3’末端側に存在する、それぞれ4塩基、8塩基、12塩基、14塩基の配列と実質的に相同な配列(Tag)が付加されている。
【0085】
(2)核酸増幅反応
以下に示す反応液の組成で、60℃、60分反応させることで増幅反応を実施した。酵素は、NEB社のBst.DNA polymeraseを使用した。
<反応液の組成>
10×Bst Buffer(DF) 1.0μL
100mM MgSO4 0.6μL
10%(v/v) Tween20 0.1μL
100% DMSO 0.5μL
25mM dNTP each 0.56μL
SYBR GreenI(2000倍希釈) 0.2μL
50μM primer(1)又は(2)又は(3) 0.64μL
50μM primer(4) 0.64μL
Bst. Polymerase 0.4μL
1)で得た核酸断片試料 3.0ng
精製水 4.96μL
10.0μL
【0086】
(3)増幅産物の電気泳動
上記で得られた増幅産物について、3wt%のアガロースゲル、0.5xTBEバッファー(50mM Tris, 45mM Boric acid、0.5mM EDTA, pH8.4)を用い、100Vで60分の電気泳動を行った。結果を図12に示す。
【0087】
どのプライマーの組み合わせにおいても、ラダー状の規則的な電気泳動パターンが得られた。この結果より、ある規則性を有した増幅産物が得られることがわかり、実施例1と同様に、Tagを介した高分子量産物が形成していると考えられる。即ち、増幅反応の制御ができていることがわかった。
【0088】
<比較例1>
第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において第二のオリゴヌクレオチドプライマーの塩基配列に対して実質的に相補的な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基配列を付加しない系での核酸の増幅反応を比較例として記述する。
【0089】
(1)ターゲット核酸断片を含む核酸試料液の調整
HumanGenomicDNA(Clontech社製)3.0ngを前処理液(30mM NaOH、0.05% Tween20)とともに98℃で3min.加熱を行い、1本鎖にしたのち、β2AR遺伝子中の配列の増幅を以下の条件で行った。
【0090】
<プライマー>
プライマーは、β2AR遺伝子を標的に設計を行った。各プライマーの配列を以下に示す。
【0091】
プライマー(1)(Forward):
5'−CTTGCTGGCACCCAATA−3'(配列番号20)
プライマー(2)(Reverse):
5'− CCGGCGCATGGCTT−3'(配列番号4)
【0092】
上記プライマーのβ2AR遺伝子に対する位置関係の詳細を図13に示した。
【0093】
(2)核酸増幅反応
以下に示す反応液の組成で、60℃、60分反応させることで増幅反応を実施した。酵素は、NEB社のBst.DNA polymeraseを使用した。
<反応液の組成>
10×Bst Buffer(DF) 1.0μL
100mM MgSO4 0.6μL
10%(v/v) Tween20 0.1μL
100% DMSO 0.5μL
25mM dNTP each 0.56μL
SYBR GreenI(2000倍希釈) 0.2μL
50μM primer(1) 0.64μL
50μM primer(2) 0.64μL
Bst. Polymerase 0.4μL
1)で得た核酸断片試料液(3.0ng) 0.4μL
精製水 4.96μL
10.0μL
【0094】
(3)増幅産物の電気泳動
上記で得られた増幅産物について、3wt%のアガロースゲル、0.5xTBEバッファー(50mM Tris, 45mM Boric acid、0.5mM EDTA, pH8.4)を用い、100Vで60分の電気泳動を行った。結果を図14に示す。
若干の規則性はあるものの、基本的にスメア状の泳動パターンが得られた。即ち、高分子量形成反応の規則性が低いことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明におけるプライマーとタグ配列の位置関係の模式図を示す。
【図2】図2は、本発明におけるプライマーとタグ配列の位置関係の模式図を示す。
【図3】図3は、本発明におけるプライマーとタグ配列の位置関係の模式図を示す。
【図4】図4は、実施例で用いたプライマーのβ2AR遺伝子に対する位置関係の詳細を示す。
【図5】図5は、本発明による増幅反応で得られた増幅産物についての蛍光検出の結果を示す。
【図6】図6は、本発明による増幅反応で得られた増幅産物についての蛍光検出の結果を示す。
【図7】図7は、本発明による増幅反応で得られた増幅産物についての蛍光検出の結果を示す。
【図8】図8は、本発明による増幅反応で得られた増幅産物の電気泳動の結果を示す。
【図9】図9は、本発明による増幅反応で得られた増幅産物の電気泳動の結果を示す。
【図10】図10は、本発明による増幅反応で得られた増幅産物の電気泳動の結果を示す。
【図11】図11は、実施例で用いたプライマーのβ2AR遺伝子に対する位置関係の詳細を示す。
【図12】図12は、本発明による増幅反応で得られた増幅産物の電気泳動の結果を示す。
【図13】図13は、実施例で用いたプライマーのβ2AR遺伝子に対する位置関係の詳細を示す。
【図14】図14は、本発明による増幅反応で得られた増幅産物の電気泳動の結果を示す。
【図15】図15は、本発明における増幅産物の形成機構の詳細について示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のデオキシヌクレオチド3リン酸、少なくとも1種のDNAポリメラーゼ、少なくとも2種のオリゴヌクレオチドプライマー、及び鋳型となる核酸断片を含む反応溶液をインキュベートすることによって前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ反応を行い、該核酸断片を増幅することを含む核酸の増幅方法であって、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側にタグ配列が付加されており、該タグ配列が、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な配列の3’末端側に存在する塩基配列であることを特徴とする、核酸の増幅方法。
【請求項2】
該タグ配列の3’末端の塩基が、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第二のオリゴヌクレオチドプライマーの塩基配列に対して実質的に相補的な塩基配列よりも3’末端側に存在する塩基である、請求項1に記載の核酸の増幅方法。
【請求項3】
第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列が、2塩基以上20塩基以下である、請求項1又は2に記載の核酸の増幅方法。
【請求項4】
第一のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に付加するタグ配列が、鋳型となる核酸断片の塩基配列上において、第一のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端側部分(第一のオリゴヌクレオチドが鋳型核酸とアニールする部分)と実質的に相同な配列の3’末端側200塩基以内に存在する塩基配列である、請求項1から3の何れかに記載の核酸の増幅方法。
【請求項5】
反応溶液が、少なくとも0.01%以上の界面活性剤をさらに含む、請求項1から4の何れかに記載の核酸の増幅方法。
【請求項6】
界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項5に記載の核酸の増幅方法。
【請求項7】
非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系から選ばれることを特徴とする請求項6に記載の方法
【請求項8】
反応溶液が、2価の陽イオンをさらに含む、請求項1から7の何れかに記載の核酸の増幅方法。
【請求項9】
反応溶液が、融解温度調整剤をさらに含む、請求項1から8の何れかに記載の核酸の増幅方法。
【請求項10】
融解温度調整剤が、ジメチルスルホキシド、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、またはこれらの2種以上の混合物である、請求項9に記載の核酸の増幅方法。
【請求項11】
少なくとも1種のDNAポリメラーゼが、鎖置換機能を有するDNAポリメラーゼである、請求項1から10の何れかに記載の核酸の増幅方法。
【請求項12】
少なくとも1種の鎖置換能を有するDNAポリメラーゼが、バチルス ステアロサーモフィラス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bst.DNAポリメラーゼ、及びバチルスカルドテナックス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ 、サーモコッカス リトラリス由来の5’→3’エキソヌクレアーゼ欠損Vent.DNAポリメラーゼ、アリサイクロバチルス アシドカルダリウス由来のDNAポリメラーゼからなる群より選択されるポリメラーゼである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
核酸を増幅する工程が実質的に等温で行われる、請求項1から12の何れかに記載の核酸の増幅方法。
【請求項14】
核酸を増幅する工程が50℃以上100℃以下で行われる、請求項13に記載の核酸の増幅方法。
【請求項15】
核酸を増幅する工程が実質的に60分以内で行われる、請求項1から14の何れかに記載の核酸の増幅方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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