説明

根菜栽培用のシートポットユニット

【課題】根菜類を含む野菜を適切に栽培できると共に、合理的且つ手軽に設置できる根菜栽培用のシートポットユニットを提供すること。
【解決手段】防水シートによって上下両端が開放された縦長の筒袋状に設けられて下端部12を括ってすぼめることで培土13を受ける底部が形成されるシートポット10と、そのシートポット10を、培土13が充填されて上端面画開放された起立状態に、そのシートポットの上端部11を固定して吊り下げることで支持するスタンド20とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防水シートによって形成された植栽用のシートポットを構成要素とする根菜栽培用のシートポットユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜などの植物を育てるため、非透水性シート(防水シート)によって設けられた植栽用の容器やその容器を含むユニットとしては、防水シートを袋状に形成して使用するものが提案されている。
例えば、従来のプランターよりも取扱性に優れ且つ給水頻度を低減し得るプランターを提供するように、非透水性フィルムから形成された袋体に、栽培用土壌が充填されたプランターであって、袋体の表面側には、草花や野菜等を植える栽培孔が穿設されていると共に、袋体の裏面側には、栽培孔よりも小径の水抜孔が形成されているプランター形成材料及びプランターが開示されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−23834号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
根菜栽培用のシートポットユニットに関して解決しようとする問題点は、従来の防水シートによって形成された植栽用の容器では、栽培用の土壌を十分に深く保持することができず、根菜類を適切に栽培できないことにある。
そこで、本発明の目的は、根菜類を含む野菜を適切に栽培できると共に、合理的且つ手軽に設置できる根菜栽培用のシートポットユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる根菜栽培用のシートポットユニットの一形態によれば、防水シートによって上下両端が開放された縦長の筒袋状に設けられて下端部を括ってすぼめることで培土を受ける底部が形成されるシートポットと、該シートポットを、培土が充填されて上端面が開放された起立状態に、該シートポットの上端部を固定して吊り下げることで支持するスタンドとを具備する。
【0006】
また、本発明にかかる根菜栽培用のシートポットユニットの一形態によれば、前記シートポットの下端開口にろ過材が挿入されて介在された状態で、該下端開口をすぼめるように前記下端部を括ることによって前記底部が形成されていることを特徴とすることができる。
【0007】
また、本発明にかかる根菜栽培用のシートポットユニットの一形態によれば、前記シートポットの上端縁部に設けた複数の鳩目孔を用いて紐で括り付けることで、該シートポットを前記スタンドに固定していることを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明にかかる根菜栽培用のシートポットユニットの一形態によれば、前記スタンドが、円錐台形の枠体状に設けられ、上部に前記シートポットの上端縁部が固定されるリング部が設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる根菜栽培用のシートポットユニットの一形態によれば、前記スタンドが枠状部品によって組み立て且つ分解可能に設けられていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の根菜栽培用のシートポットユニットによれば、根菜類を含む野菜を適切に栽培できると共に、合理的且つ手軽に設置できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る根菜栽培用のシートポットユニットの形態例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るシートポットの形態例を示す斜視図である。
【図3】図2のシートポットの使用方法を説明する断面図である。
【図4】本発明に係るスタンドの形態例を示す(a)平面図(b)側面図である。
【図5】本発明に係るスタンドの他の形態例を示す(a)平面図(b)側面図である。
【図6】図5のスタンドの分解状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る根菜栽培用のシートポットユニットの形態例を、添付図面(図1〜6)に基づいて詳細に説明する。
本発明に係る根菜栽培用のシートポットユニット10は、細長い袋状のシートポット10と、これを起立した状態に保持するスタンド20とを構成要素としてユニット化されているものである。
【0012】
シートポット10は、防水シートによって上下両端が開放された縦長の筒袋状に設けられ、下端部12を括ってすぼめることで培土13を受ける底部が形成されるように設けられている。
下端部12を括る手段としては、例えば図2に示すように紐15を回して縛るようにすればよい。16は紐止めであり、紐15が挿通されて保持されている。また、シートポット10の側壁部16には、使用済みなどの培土を容易に取り出すことができるように、下端部12から上方へ開くファスナー17が設けられている。
【0013】
このシートポット10を形成する防水シートは、例えばテントシートとすることができる。テントシートは、適度の形状復元性があって折り畳み可能で、しかも十分な強度を有し、防水性や耐候性にも優れている。このため、このテントシートを素材とする根菜栽培用のシートポットユニット10は、成長する根菜を含めたシートポット10の重量に対しても十分に強度があって、耐久性に優れたものになっている。
また、シート材であるため、柔軟性があり、植物の根の生育によって変形できる自由度がある。さらに、異なるシート材を使用してもよく、例えば伸縮性が高いものや、断熱性の高いものを適宜選択的に採用すればよい。
【0014】
スタンド20は、シートポット10を、培土13が充填されて上端面が開放された起立状態に、そのシートポット10の上端部11を固定して吊り下げることで支持する。
このスタンド20によれば、シートポット10の上端部11を持って吊り下げる形状になっており、シートポット10を、重力を受けて安定的に保持できる。また、シートポット10は、柔軟性を有するが、スタンド20によって折れ曲がるような力が作用しにくい吊下げ状態で好適に支持されている。
【0015】
なお、スタンド20は、本形態例のような一つのシートポット10を支持するものに限定されるものではなく、複数本や多数本のシートポット10を支持できるものであってもよい。
また、そのスタンドを、立体的且つ複数段に複数本や多数本のシートポット10を支持できる棚状構造にして、根菜類の栽培をさらに効率よくできる形態にしてもよい。
これによれば、複数のシートポット10を効率よく配することができ、根菜類の栽培効率を格段に向上できる。
【0016】
この根菜栽培用のシートポットユニット10によれば、培土13の量を少なくすることができ、効率よく根菜を栽培することができる形態になっている。
また、軽量で、コンパクトに収納しやすい形態になっており、合理的且つ手軽に設置できるメリットがある。
さらに、このユニット10を室内に設置して使用する場合、培土13が空中に浮いた状態に配されるため、室温を管理することで地温(培土の温度)を管理することができ、適正な栽培を容易に行うことができる。
【0017】
また、本形態例では、図3に示すように、シートポット10の下端開口にろ過材30が挿入されて介在された状態で、その下端開口をすぼめるように下端部12を括ることによってシートポット10の底部が形成されている。
これによれば、ろ過材30が排水口として機能し、培土13は流さない状態で余分な水分を適切に排水することができる。簡単な構成で適切に機能すると共に、交換が容易であり、シートポット10を適切に再使用できる。
なお、ろ過材としては、繊維質となっているヘチマ、繊維状ステンレス材のかたまり、不織布材などの通水性のある材料を適宜選択的に採用すればよい。
【0018】
また、本形態例では、シートポット10の上端縁部に設けた複数の鳩目孔11aを用いて紐で括り付けることで、そのシートポット10をスタンド20に固定している。例えば、鳩目孔11aとスタンド20との間で紐を編みつけるようにして、固定すればよい。これによれば、シートポット10を吊るした状態で固定する部分について、根菜類を栽培する際の重量に対応できる強度を備えることができ、シートポット10を何回も繰返して使用することができる。
【0019】
また、本形態例では、スタンド20が、円錐台形の枠体状に設けられ、上部にシートポット10の上端縁部が固定されるリング部21が設けられている(図4及び図5参照)。このリング部21は、シートポット10の上端縁部を、円形に開口した形態に保持するガイド部になっていると共に、シートポット10の複数の鳩目孔11aを用いて紐で括り付けるための被固定部になっている。
このような枠体状のスタンド20によれば、円錐台形に形成されているため、重ねて収納することができ、保管し易い形態になっている。また、簡素で安価に製造できる構成になっており、広く普及できる形態になっている。なお、このスタンド20の基本的な構成は、図4に示すように、上下二つのリング状部品(リング部21、下側のリング部22)と、その二つのリング状部品の両方に固定されて起立状態になって支持する四本の柱部品23によって構成されている。
【0020】
また、本発明に係るスタンド20は、枠状部品25によって組み立て且つ分解可能に設けられていてもよい。図5及び図6に示す形態例では、円周方向に4分割できる構造になっており、蝶ナット26などで組み付けることができる構成になっている。これによれば、不使用時や搬送する際にコンパクトに収容できるメリットがある。
なお、スタンド20は、別の組み立て構造とすることができるのは勿論であり、例えば、枠状部品の最低限の構成として、上下二つのリング状部品と、その二つのリング状部品の両方に固定されて起立状態になって支持する三本の柱部品とを備え、組み立て且つ分解可能に構成すればよい。
【0021】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0022】
10 シートポット
11 上端部
11a 鳩目孔
12 下端部
13 培土
14 紐止め
15 紐
16 側壁部
17 ファスナー
20 スタンド
21 リング部
22 下側のリング部
23 柱部品
25 枠状部品
30 ろ過材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水シートによって上下両端が開放された縦長の筒袋状に設けられて下端部を括ってすぼめることで培土を受ける底部が形成されるシートポットと、
該シートポットを、培土が充填されて上端面が開放された起立状態に、該シートポットの上端部を固定して吊り下げることで支持するスタンドとを具備することを特徴とする根菜栽培用のシートポットユニット。
【請求項2】
前記シートポットの下端開口にろ過材が挿入されて介在された状態で、該下端開口をすぼめるように前記下端部を括ることによって前記底部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の根菜栽培用のシートポットユニット。
【請求項3】
前記シートポットの上端縁部に設けた複数の鳩目孔を用いて紐で括り付けることで、該シートポットを前記スタンドに固定していることを特徴とする請求項1又は2記載の根菜栽培用のシートポットユニット。
【請求項4】
前記スタンドが、円錐台形の枠体状に設けられ、上部に前記シートポットの上端縁部が固定されるリング部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の根菜栽培用のシートポットユニット。
【請求項5】
前記スタンドが枠状部品によって組み立て且つ分解可能に設けられていることを特徴とする請求項4記載の根菜栽培用のシートポットユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−60892(P2012−60892A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205315(P2010−205315)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(597005509)株式会社北信帆布 (4)
【Fターム(参考)】