説明

格納ボックスにおける引出し体の駆動支持構造

【課題】 左右方向に長い引出し体を左右のバランスを取りながら前後に移動できる。
【解決手段】 格納ボックス1に対して引出し体2を駆動ブロック3を介して前後方向に移動自在に取付ける。駆動ブロック3を、引出し体2の左右方向の中間部に取付ける移動側基材4と、格納ボックス1の収納部5の左右方向の中間部に取付ける固定側基材6と、移動側基材4又は固定側基材6のいずれか一方の左右両側部に設けられたガイドレール7と、いずれか他方の左右両側部に設けられた上記ガイドレール7に対して走行自在となった水平輪8と、水平輪8をそれぞれ左右のガイドレール7の側壁9に押接させる押圧手段10と、固定側基材6に設けた駆動手段11と、移動側基材4の左右方向の中間部分に設けた駆動手段11の駆動力が伝達される移動側基材4側の伝達部12とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納ボックスに左右方向に長い引出し体を引出し・収納自在に取付けるに当たって、格納ボックスに対して引出し体を引出し・収納方向に駆動手段で移動するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から家具の上部に左右方向に長いスクリーンを収納する左右方向に長い格納ボックスを取付け、該格納ボックスの前部を家具の上部の前面よりも前方に突出させ、通常はスクリーンを巻き取って格納ボックス内に収納し、家庭シアターとしてプロジェクターを利用する場合には、スクリーンを引き下ろしてプロジェクターによりスクリーンに投影して家庭シアターとして楽しむことができるようにしたものが特許文献1により知られている。
【0003】
ところが、この従来例にあっては、スクリーンを巻き取って収納するための格納ボックスの前部が常に家具の上部の前面よりも前方に突出すると共に、格納ボックスの下方開口から内部に収納したスクリーンが見えるため、外観が悪いという問題がある。
【0004】
そこで、本発明の発明者は、本発明に至る過程で、家具のような格納ボックスに対して左右方向に長い引出し体を引出し・収納自在とし、この引出し体にスクリーンを収納し、引出し体を引き出した状態でスクリーンを下方に引き出し、スクリーンを巻き取って引出し体に収納した状態では引出し体を後退させて格納ボックスの収納部に収納することで、引出し体の非使用時(つまり、スクリーンの非使用時)に引出し体が前方に突出しないようにして外観を良くするようにすることを考えた。
【0005】
具体的には、左右方向に長い引出し体の引出し・収納の動作をさせるために、左右方向の両端部をそれぞれ別々の駆動手段で駆動させることで、引出し方向に移動させたり、収納方向に移動させたりすることを考えた。
【0006】
ところが、このものにおいては、駆動手段を左右にそれぞれ設けるものにおいては全体が大型化し、コストが高くなり、また、左右方向に長い引出し体は、通常の引出しと異なり、引出し動作時、収納動作時に左右方向に長い引き出し体の左右のバランスが崩れると、スムーズな引出し動作、収納動作ができないので、左右方向に長い引き出し体の左右のバランスがくずれないように調整するのが難しいという問題があることが判明した。更に、左右に駆動手段を設けるため、組み立て性、メンテナンス性が悪く、また、引出し体の左右両端部に直接駆動手段の駆動力を伝達するようにしているので、引出し体を格納ボックスの収納部に引出し自在に組み込む際に同時に駆動伝達機構の組み立ても行わねばならず、組み立てがきわめて面倒であることが判った。更に、引出し体の左右方向の長さの異なるものに簡単に対応することも困難であった。
【特許文献1】実開平7−20876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような背景のもと、簡単な構成で左右方向に長い引出し体を左右のバランスを取りながら引出し・収納動作ができ、しかも、駆動手段が一つで良くて小型化、低コスト化が図れ、更に、組み立て、メンテナンスが容易で、また、引出し体の左右方向の長さの異なるものに簡単に対応することができる格納ボックスにおける引出し体の駆動支持構造の開発が望まれているのが現状であり、本発明はこの点を解決した格納ボックスにおける引出し体の駆動支持構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る格納ボックスにおける引出し体の駆動支持構造は、格納ボックス1に対して引出し体2を駆動ブロック3を介して前後方向に引出し・収納自在に取付けたものであって、上記駆動ブロック3が、引出し体2の左右方向の中間部に取付けられる移動側基材4と、格納ボックス1の上記引出し体2を引出し自在に収納する収納部5の左右方向の中間部に取付けられる固定側基材6と、移動側基材4又は固定側基材6のいずれか一方の左右両側部に設けられた引出し体2の引出し方向と平行な方向に長くなったガイドレール7と、いずれか他方の左右両側部に設けられた上記ガイドレール7に対して走行自在となった水平輪8と、左右のガイドレール7に走行自在になった水平輪8をそれぞれ左右のガイドレール7の側壁9に押接させるための押圧手段10と、固定側基材6に設けた駆動手段11と、移動側基材4の左右方向の中間部分に設けた上記駆動手段11の駆動力が伝達される移動側基材4に設けた伝達部12とを具備して成ることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成とすることで、左右方向が長い引出し体2であっても、左右方向の中間部に介在させる駆動ブロック3を介して格納ボックス1に対して前方に移動させて引出したり、後方向に移動させて収納させたりすることができ、駆動ブロック3が一つでよくて構造が簡単で小型化が図れると共にコストダウンが図れ、しかも、左右方向の中間部に介在させた一つの駆動ブロック3に設けた一つの駆動手段11で引出し体2を引出したり収納したりする移動動作を行わせるようにしたものであるにもかかわらず、左右のガイドレール7の側壁9にそれぞれ水平輪8を押圧手段10により押圧するように構成しているので、引出し体2の左右方向におけるがたつきを防止し、これにより左右方向に長い引出し体2の左右のバランスをとりながら左右方向に長い引出し体2を前後方向にスムーズに移動することができるものであり、更に、駆動ブロック3の固定側基材6を格納ボックス1の収納部5の左右方向の中間部分において格納ボックス1に取付け、駆動ブロック3の移動側基材4を引出し体2の左右方向の中間部に取付けるだけで、簡単に組み立てができ、また、左右方向の中間部の一箇所に駆動ブロック3が設けてあるので、メンテナンスも一箇所で良くて容易であり、また、引出し体2、収納部5の左右方向の中間部に駆動ブロック3を介在させるように取付けるだけでよいので、引出し体2、収納部5の左右方向の長さが異なっても、同一種類の駆動ブロック3で対応できるものである。
【0010】
また、固定側基材6に設けた駆動手段11の駆動を駆動伝達手段13を介して移動側基材4に設けた伝達部12に伝達し、上記駆動伝達手段13を、駆動手段11を構成するモータ14により回転される第1、第2ドラム15a、15bと、固定側基材6に設けたプーリ16と、一端部を第1ドラム15aに固定して巻かれると共に上記プーリ16に巻き回して他端部を上記伝達部12に固定した第1ベルト17aと、一端部を第2ドラム15bに固定して巻かれると共に他端を移動側基材4に設けた伝達部12に固定した第2ベルト17bとで構成し、上記第1ドラム15aへの第1ベルト17aの巻かれる方向と第2ドラム15bへの第2ベルト17bの巻かれる方向を逆方向とし、モータ14の正回転で第1ベルト17aが第1ドラム15aに巻き取られることで伝達部12が引かれると共に第2ベルト17bが第2ドラム15bから引出され、モータ14の逆回転で第2ベルト17bが第2ドラム15bに巻き取られることで伝達部12が逆方向に引かれると共に第1ベルト17aが第1ドラム15aから引出されるように構成することが好ましい。
【0011】
このような構成とすることで、モータ14を正回転させたり、逆回転させたりするだけで、ねじ送り機構やラックピニオン機構などに比べて簡単な構成で固定側基材6に対して移動側基材4を前後方向に移動して引出し体2を引出し方向に移動したり、収納方向に移動したりすることができる。
【0012】
また、第1ベルト17aにより伝達部12を引っ張る状態で第2ベルト17bに弛みが生じ且つ、第2ベルト17bにより伝達部12を引っ張る状態で第1ベルト17aに弛みが生じるように構成してあることが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、モータ14を正回転あるいは逆回転する際の起動トルクに余裕を持たせることができる。
【0014】
また、引出し体2の引出し位置、収納位置を検出するための検出手段18を設け、該検出手段18を、駆動手段11の駆動を停止するための格納ボックス1側に設けたリミットスイッチ19と、リミットスイッチ19を作動するための引出し体2側に設けた作動部20とで構成し、作動部20の引出し体2の移動方向における取付け位置を調整自在とすることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることで、作動部20の前後方向における取付け位置を調整することで、引出し体2の引出し長さ、引出し体2の収納部5への収納深さを簡単に調整でき、これにより、簡単に最適の引出し長さにできると共に、最適の収納深さ(例えば引出し体2の前面と格納ボックス1の前面とが面一となるような収納深さ)にすることができる。
【0016】
また、引出し体2を本体部21と本体部21の前板22の前面側に取付ける扉板23とで構成し、前板22の上端部に上方及び前後に開口したU字状をしたU状溝部24を形成すると共に下部に縦長孔25を形成し、扉板23の背面上部に螺着した仮止め兼用固定ねじ26をU状溝部24に上方から差し込み固定すると共に縦長孔25に挿入した固定ねじ27を扉板23に螺着することが好ましい。
【0017】
このような構成とすることで、本体部21の前板22に扉板23を取付けるに当たり、扉板23の上部にあらかじめ仮止め兼用固定ねじ26を仮取付けした状態で、扉板23の背面上部に螺着した仮止め兼用固定ねじ26をU状溝部24に上方から差し込んで支持し、この状態で、前板22に対する扉板23の上下方向の位置調整を行って、縦長孔25から固定ねじ27を挿入して扉板23に螺着することで本固定するという取付けが可能となり、引出し体2を閉じた際に左右方向に長い扉板23で収納部5の前開口にぴったり閉じることができるように取付ける作業が簡単に行える。
【0018】
また、引出し体2の左右両側の前後にそれぞれ前ローラ28と後ローラ29とを回転自在に設け、収納部5の左右両側部に上記左右の前ローラ28と後ローラ29とがそれぞれ走行自在となった断面略コ字状をした水平なレール部材30を取付け、前ローラ28の引出し体2への取付け位置を後ローラ29の引出し体2への取付け位置よりも下位置とし、レール部材30の下横片31と上横片32との間の間隔を上記前ローラ28、後ローラ29の径よりも大きく設定し、引出し体2の前方への引出し状態で前ローラ28が略コ字状をしたレール部材30の下横片31の上面に押接すると共に後ローラ29が略コ字状をしたレール部材30の上横片32の下面に押接するように構成することが好ましい。
【0019】
レール部材30の下横片31と上横片32との間の間隔を前ローラ28、後ローラ29の径と等しくすると、前ローラ28、後ローラ29の上下面が上横片32の下面と下横片31の上面との2面に当接することになって引出し体2の前後方向の移動のスムーズ性が悪くなったり、各部品の寸法ばらつきにより前ローラ28や後ローラ29がレール部材30内に入らないことや、水平が保たれないことがあるが、上記のようにレール部材30の下横片31と上横片32との間の間隔を上記前ローラ28、後ローラ29の径よりも大きく設定し、引出し体2の前方への引出し状態で前ローラ28が略コ字状をしたレール部材30の下横片31の上面に押接すると共に後ローラ29が略コ字状をしたレール部材30の上横片32の下面に押接するように構成することで引出し体2の前後方向の移動がスムーズに行え、各部品にばらつきがあっても前ローラ28や後ローラ29をレール部材30内に入れることができ、また、前ローラ28の引出し体2への取付け位置を後ローラ29の引出し体2への取付け位置よりも下位置とし、引出し体2の前方への引出し状態で前ローラ28が略コ字状をしたレール部材30の下横片31の上面に押接すると共に後ローラ29が略コ字状をしたレール部材30の上横片32の下面に押接することで、引出し体2を引出した際の水平を保つことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、左右方向に長い引出し体であっても簡単な構成で左右のバランスを取りながら引出し・収納動作ができ、しかも、左右方向の中間部に駆動ブロックを一つ介在させるだけでよいので小型化、低コスト化が図れ、更に、左右方向の中間部の駆動ブロックを介在させるだけでよいので、組み立て性が向上し、メンテナンスも一箇所でよくて容易にメンテナンスでき、また、引出し体の左右方向の長さの異なるものに簡単に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0022】
図添付図面に示す実施形態では、図13に示すように、家具33の上部に格納ボックス1を設けた例が示してある。この家具33は部屋の壁に沿って配設されたり、あるいは壁面に埋設して配設されたりするもので、複数の収納部34を有し、複数の収納部34は前面開口部に開閉自在な扉60を設けたり、あるいは収納部34の前面開口部を開口させたままの状態としてある。添付図面に示す実施形態では家具33の中央部にはテレビを収納するための前面開口部が開口したテレビ収納部34aが設けてある。このテレビ収納部34aより上方の家具33の上部に格納ボックス1が設けてある。
【0023】
格納ボックス1は左右方向に細長くなったもので、テレビ収納部34aの左右方向の長さよりも長くなっている。
【0024】
図13に示す実施形態では家具33は複数のキャビネット35を組み合わせて構成した例を示しており、該組み合わせる複数のキャビネット35の一つが格納ボックス1となっている。
【0025】
格納ボックス1がキャビネット35により構成してある場合、格納ボックス1は図1、図2に示すように、前面から見た際に門型形状をしており、下部に少なくとも前面が開口した左右方向に長い収納部5となる空所が設けてある。この格納ボックス1における収納部5の両側の側板部40には断面略コ字状をした前後方向に長いレール部材30が水平に取付けてある。
【0026】
引出し体2は本体部21と本体部21の前板22の前面側に取付ける扉板23とで構成してある。本体部21は、図7に示すように左右方向に長くなったもので、垂直な前板22の後面の略中央部から後方に向けて横板36を突設すると共に横板36の後端から下方に垂直に後板37を突設し、前板22の下部と横板36と後板37とで下方に開口するスクリーン収納凹部55が形成してある。更に、横板36の左右方向の両端部に前後方向に長いブラケット部38を設け、ブラケット部38の後部を横板36よりも後方に突出させ、このブラケット部38の後方への突出部分の外側面の前部と後部とにそれぞれ前ローラ28と後ローラ29とを回転自在に取付けることで構成してある。
【0027】
横板36の左右方向の中間部分には固定孔39が設けてあり、前板22の上端部の左右方向の複数箇所に上方及び前後に開口したU字状をしたU状溝部24を形成すると共に下部の左右方向の複数箇所に縦長孔25を形成してある。
【0028】
上記引出し体2は左右両側に設けた前ローラ28と後ローラ29を、格納ボックス1の収納部5の左右両側に設けたレール部材30に転動自在に嵌め込むことで引出し体2を格納ボックス1の前方に引出したり、あるいは後方に押し込んで収納部5内に収納したりすることができるようになっている。ここで、図2に示すように、レール部材30の下横片31と上横片32との間の間隔を上記前ローラ28、後ローラ29の径よりも大きく設定してあって、後ローラ29、前ローラ28をレール部材30に入れる際にスムーズに入れることができ、また、前ローラ28の引出し体2への取付け位置が後ローラ29の引出し体2への取付け位置を下位置となっていて、引出し体2の前方への引出し状態で前ローラ28が略コ字状をしたレール部材30の下横片31の上面に押接すると共に後ローラ29が略コ字状をしたレール部材30の上横片32の下面に押接するように構成してあって、この状態で引出し体2の前後方向の位置にかかわらず引出し体2を常に水平状態が保持されるようになっている。
【0029】
引出し体2のスクリーン収納凹部55内には図2、図3に示すようにスクリーン51を巻き取るためのスクリーン巻取り軸(図示せず)と、スクリーン巻き取り軸を回転駆動するためのスクリーン駆動用モータ(図示せず)が内装してある。
【0030】
ここで、本発明においては、図1に示すように格納ボックス1と引出し体2との間に駆動ブロック3を介在させることで駆動ブロック3に設けた後述の駆動手段11により引出し体2を前後方向に移動できるようにしている。
【0031】
駆動ブロック3は図8、図9に示すように、移動側基材4と、固定側基材6と、移動側基材4又は固定側基材6のいずれか一方の左右両側部に設けられた引出し体2の引出し方向と平行な方向に長くなったガイドレール7と、いずれか他方の左右両側部に設けられた上記ガイドレール7に対して走行自在となった水平輪8と、左右のガイドレール7に走行自在になった水平輪8をそれぞれ左右のガイドレール7の側壁9に押接させるための押圧手段10と、固定側基材6に設けた駆動手段11と、移動側基材4の左右方向の中間部分に設けた上記駆動手段11の駆動力が伝達される移動側基材4に設けた伝達部12とで構成してある。
【0032】
以下駆動ブロック3につき図9乃至図12に基づいて更に詳細に説明する。
【0033】
固定側基材6は平板状をしている。この板状をした固定側基材6の下面の左右両側部に前後方向にわたって断面逆U字状をしたガイドレール7が設けてあり、ガイドレール7の長手方向の端部にはストッパ41が設けてある。
【0034】
固定側基材6の下面の後部の左右方向の中間部には駆動手段固定台42が取付けてあり、該駆動手段固定台42に駆動手段11を構成するモータ14と、モータ14の出力軸14aと、回転軸59とが取付けてあり、該モータ14の出力軸14aに第2ドラム15bと第1ドラム15aとを並設して固着してある。また、固定側基材6の下面の前部の左右方向の中間部にはプーリ16を回転自在に取付けたプーリ取付け金具16aが取付けてある。プーリ16は第1ドラム15aと前後に対向する位置に設けてある。また、固定側基材6の下面には、リミットスイッチ19が設けてあり、このリミットスイッチ19としては開検知リミットスイッチ19aと閉検知リミットスイッチ19bとの2つが設けてある。更に制御部43が取付けてある。
【0035】
移動側基材4は、平面視コ字状をした板材により構成してあり、上面部の側端部には下方に向けて垂下片46が突設してあり、図9、図11に示すように移動側基材4の上面の一側端部に断面L字状をしたローラ支持金具47が左右方向にスライド自在に重ねてある。移動側基材4の一側端部には左右方向に長い横長孔48が設けてあり、取付け具49を横長孔48に挿通して先端部をローラ支持金具47の横片47bの孔62に挿入して取付けてあり、また、垂下片46とローラ支持金具47の垂片47aとは対向しており、垂片47aを移動自在に挿通したねじ軸56の先端部が垂下片46に螺合してあり、ねじ軸56の他端の頭部と垂片47aとの間に押圧手段10を構成するコイルスプリングが介在してあり、コイルスプリングにより垂片47aを垂下片46に近づく方向のばね力を付与している。ローラ支持金具47の横片47bの前部と後部からそれぞれ上方に向けて縦軸50が突設してあり、該前後の縦軸50にそれぞれ水平輪8が回転自在に取付けてある。また、移動側基材4の他側端部の上面の前後にはそれぞれ上方に向けて縦軸50が突設してあり、該前後の縦軸50にそれぞれ水平輪8が回転自在に取付けてある。
【0036】
また、移動側基材4の上面部の左右方向の中間部にはコ字状をした固定金具44が設けてあり、この固定金具44の両縦片44a間に伝達部12となる軸が架設してある。また、コ字状をした固定金具44の両縦片44aにはリミットスイッチ19を作動するための作動部20が取付けてあり、作動部20としては固定金具44の一方の縦片44aに取付ける開検知用作動部20aと、固定金具44の他方の縦片44aに取付ける閉検知用作動部20bとがある。ここで、作動部20と縦片44aとをボルト・ナット又はねじ具で連結する際、図12に示すように、作動部20と縦片44aの少なくとも一方に上記ボルト又はねじ具が挿通される前後に長い長孔45を設け、ナットあるいはねじ具による締結を緩めた状態で作動部20を縦片44aに対して前後方向に移動して取付け位置の調整ができるようになっている。位置調整後はナットあるいはねじ具を締め付けることで本固定する。
【0037】
上記の構成の移動側基材4は図8、図9に示すように、固定側基材6の下面側に配置され、両側の水平輪8をガイドレール7に移動自在に嵌め込んである。この状態で押圧手段10の弾性力により移動側基材4の左右両側部の前後にそれぞれ設けた水平輪8がいずれもガイドレール7の内側の側壁9に押付けられ、水平輪8が左右にがたつくことなく前後方向にスムーズに移動できるようになっている。
【0038】
ここで、上記ローラ支持金具47を移動側基材4に取付けるための取付け具49をねじで構成すると共にローラ支持金具47の横片47bの孔62をねじ孔により構成してもよい。この場合、取付け具49を構成するねじを移動側基材4の横長孔48からローラ支持金具47の横片47bのねじ孔に螺入し、ねじを少し緩めた状態としておくことで両側の水平輪8をガイドレール7に移動自在に嵌め込むと、前述と同様に押圧手段10の弾性力により移動側基材4の左右両側部の前後の水平輪8がいずれもガイドレール7の内側の側壁9に押付けられて水平輪8が左右にがたつかないようにできる。このように押圧手段10の押圧により水平輪8が左右にがたつかないようにした状態で、更に、上記取付け具49を構成するねじを締付けて水平輪8がガイドレール7の内側の側壁9に押付けられた状態を保持するようにしてもよい。このようにすると、より確実に水平輪8が左右にがたつくことなく前後方向にスムーズに移動できる。
【0039】
なお、添付図面に示す実施形態では押圧手段10を移動側基材6の左右方向の一側端側にのみ設けた例を示したが、移動側基材6の左右方向の両端部にローラ支持金具47を取付けて前述のようにして押圧手段10を移動側基材6の左右方向の両端部に設けてもよい。
【0040】
上記のように固定側基材6の下面側に移動側基材4を前後方向にスライド自在に取付けた状態で、固定側基材6に設けた駆動手段11の駆動が駆動伝達手段13を介して移動側基材4に設けた伝達部12に伝達するように構成してある。すなわち、図10に示すように、伝達部12は第1ドラム15a、第2ドラム15bと、プーリ16との間に位置するように配置され、固定側基材6の左右方向の中間部に設けた第1ドラム15aには第1ベルト17aの一端部が固定して一定長さ巻かれていると共に該第1ベルト17aはプーリ16に巻き回して他端部を上記伝達部12の左右方向の一方の片側半部に固定してある。また、第2ドラム15bには第2ベルト17bの一端部が固定して一定長さ巻かれていると共に該第2ベルト17bを回転軸59に掛けられて他端部が移動側基材4に設けた伝達部12を構成する軸の左右方向の他方の片側半部に固着してある。また、上記第1ドラム15aへの第1ベルト17aの巻かれる方向と、第2ドラム15bへの第2ベルト17bの巻かれる方向とが逆方向となっている。例えば、駆動手段11であるモータの正回転方向を第1ドラム15aへの第1ベルト17aの巻かれる方向とすると、第2ドラム15bへの第2ベルト17bの巻かれる方向はモータの逆回転方向となっている。したがって、駆動手段11であるモータを正回転すると第1ベルト17aが第1ドラム15aに巻き取られて図の矢印イ方向に伝達部12が引かれると共に第2ベルト17bが第2ドラム15bから引出され、これにより移動側基材4が固定側基材6に対して前方向に移動し、開検知リミットスイッチ19aが開検知用作動部20aにより作動させられることでモータが停止するようになっている。また、モータ14の逆回転で第2ベルト17bが第2ドラム15bに巻き取られて伝達部12が逆方向に引かれると共に第1ベルト17aが第1ドラム15aから引出され、これにより移動側基材4が固定側基材6に対して図10の矢印ロ方向である後方向に移動し、閉検知リミットスイッチ19bが閉検知用作動部20bにより作動させられることでモータが停止するようになっている。
【0041】
この場合、第1ドラム15aに一端を固定した第1ベルト17aの他端を伝達部12に固定すると共に、第2ドラム15bに一端を固定した第2ベルト17bの他端を伝達部12に固定するに当たって、第1ベルト17a、第2ベルト17bに僅かに弛みが生じるように固定してある。これにより、第1ベルト17aにより伝達部12を引っ張る状態で第2ベルト17bに弛みが生じ且つ、第2ベルト17bにより伝達部12を引っ張る状態で第1ベルト17aに弛みが生じるようになっており、第1ベルト17aにより伝達部12を引っ張って移動側基材4を前方に移動させて停止した状態では第2ベルト17bが少し弛んでいる。したがって、モータを逆回転して第2ドラム15bに第2ベルト17bを巻き取り始める初期の段階では第2ベルト17bが少し撓んでいるためベルトが始めからピーンと張っている場合に比べモータの起動トルクに余裕ができて小さな起動トルクで第2ベルト17bの巻き取りができることになる。一方、第2ベルト17bにより伝達部12を引っ張って移動側基材4を後方に移動させて停止した状態では第1ベルト17aが少し弛んでいる。したがって、モータを正回転して第1ドラム15aに第1ベルト17aを巻き取り始める初期の段階では第1ベルト17aが少し撓んでいるためベルトが始めからピーンと張っている場合に比べモータの起動トルクに余裕ができて小さな起動トルクで第1ベルト17aの巻き取りができることになる。ここで、第2ベルト17bを掛けている回転軸59を駆動手段固定台42に架設して取付けるに当たり、取付け位置を調整自在としておくと、上記弛み量を簡単に調整することができる。
【0042】
上記のような構成の駆動ブロック3は図6、図14に示すように、固定側基材6を格納ボックス1の収納部5の左右方向の中間部の天面部に固着具により固着し、その後、図1に示すように、引出し体2の左右両側に設けた前ローラ28と後ローラ29を、格納ボックス1の収納部5の左右両側に設けたレール部材30に転動自在に嵌め込むと共に格納ボックス1に対して引出し体2を前方に引出した状態とし、更に、移動側基材4を固定側基材6に対して前方に引出し、この状態で移動側基材4を引出し体2の左右方向の中間において横板36に設けた固定孔39にねじ具により固着することで、引出し体2の左右方向の中間部を駆動ブロック3を介して格納ボックス1に取付ける。
【0043】
上記のように格納ボックス1に引出し体2を取付けた状態で格納ボックス1のレール部材30の前開口をストッパ板(図示せず)により閉塞して前ローラ28がレール部材30から前方に抜けないようにする。
【0044】
また、引出し体2の前板22には扉板23を取付けるのであるが、扉板23の取付けに当たっては図3に示すように、扉板23の上部にあらかじめ仮止め兼用固定ねじ26を仮取付けした状態で、扉板23の背面上部に螺着した仮止め兼用固定ねじ26をU状溝部24に上方から差し込んで支持し、この状態で、前板22に対する扉板23の上下方向の位置調整を行って、縦長孔25から固定ねじ27を挿入して扉板23に螺着することで本固定する。これにより左右方向に長い引出し体2の前板22に扉板23を取付けるに当たり、引出し体2を収納部5に収納した状態で、扉板23で収納部5の前開口をぴったりと閉じるように左右方向に長い扉板23の取付け位置の調整ができる。
【0045】
格納ボックス1にはリモコン受信部52が設けてあり、図示を省略したリモコンを操作することで、制御部43により駆動手段11であるモータを正回転するように制御し、移動側基材4に固着した引出し体2を前方に引出し、開検知用作動部20aが開検知リミットスイッチ19aを作動させると駆動手段11であるモータが停止し、次に、スクリーン駆動用モータが駆動してスクリーン51が下降し、家具33の前面に沿って垂れ下がり、図13(b)に示すように家具33のテレビ収納部34aを覆い隠すようにして垂れ下がる。
【0046】
この状態で図13(c)に示すように部屋に設置しているプロジェクタ54からスクリーン51に映像を投射して家庭シアターを楽しむことができる。
【0047】
プロジェクタ54を使用しない時にはリモコンを操作することで、制御部43によりスクリーン駆動用モータが逆回転してスクリーン51を巻き取りながら上昇させ、完全に巻き取った状態でスクリーン収納凹部55内に収納する。次に、駆動手段11であるモータが正回転して引出し体2が後方に移動し、閉検知用作動部20bが閉検知リミットスイッチ19bを作動させると駆動手段11であるモータが停止し、引出し体2が収納部5内に収納され、図13(a)に示すように、引出し体2の前面の扉板23が格納ボックス1の他の部位の前面と面一となる。
【0048】
上記のように左右方向に長い引出し体2を駆動手段11により前後方向に移動するに当たり、引出し体2の左右方向の中間部に介在させた駆動ブロック3を介して格納ボックス1に対して前方に移動させて引出したり、後方向に移動させて収納させたりするので、駆動ブロック3としては一つでよい。このため、駆動ブロック3を複数設けるものに比べて構造が簡単で小型化が図れ、また、組み立てが簡単で、更に、メンテナンスも一箇所で良くて容易である。
【0049】
しかも、左右のガイドレール7の側壁9にそれぞれ水平輪8を押圧手段10により押圧するように構成しているので、引出し体2の左右方向におけるがたつきを防止し、これにより左右方向に長い引出し体2の左右のバランスをとりながら左右方向に長い引出し体2を前後方向にスムーズに移動することができる。
【0050】
また、駆動ブロック3は引出し体2、収納部5の左右方向の中間部に介在させるように取付けるだけでよいので、スクリーン51の左右方向の長さが異なると引出し体2の長さが種々異なるが、この引出し体2の長さが異なるものの場合も、左右方向の中間部分に駆動ブロック3を取付けるだけでよいので、同一種類の駆動ブロック3で対応できる。
【0051】
なお、添付図面に示す実施形態においては左右方向に長い引出し体2として左右方向に長いスクリーン51を巻き取って収納するための左右方向に長いスクリーン収納凹部55を設けた例を示したが、スクリーン収納凹部55を設けたものにのみ限定されず、他のものを収納する左右方向に長い収納部を設けたものであってもよいのは勿論である。この場合も、左右方向に長い引出し体2を左右のバランスを取ながら前後方向にスムーズに移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の引出し体を引出した状態の一部省略斜視図である。
【図2】同上の側面図である。
【図3】同上の扉板の取付けを説明する要部斜視図である。
【図4】同上の扉板を取付ける前の正面図である。
【図5】同上の図4のA部分の拡大断面図である。
【図6】同上の格納ボックスの左右方向の中間部分に駆動ブロックを取付けた状態の正面図である。
【図7】同上の引出し体の斜視図である。
【図8】同上に用いる駆動ブロックの下面図である。
【図9】同上の駆動ブロックの正面図である。
【図10】(a)は同上の第2ドラム、第1ドラム、第2ベルト、第1ベルト、伝達部の関係を示す概略構成図であり、(b)は同上の概略斜視図である。
【図11】同上の押圧手段部分の正面図である。
【図12】同上の作動部の前後方向の取付け位置を調整する例を示す説明図である。
【図13】同上の引出し体を備えた格納ボックスを設けた家具を示し、(a)は引出し体を収納した状態の斜視図であり、(b)は引出し体を引出した状態を示す斜視図であり、(c)は同上のプロジェクタを使用している状態の説明図である。
【図14】同上の家具に格納ボックスを組み込んで引出し体を取付けている状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 格納ボックス
2 引出し体
3 駆動ブロック
4 移動側基材
5 収納部
6 固定側基材
7 ガイドレール
8 水平輪
9 側壁
10 押圧手段
11 駆動手段
12 伝達部
13 駆動伝達手段
14 モータ
15a 第1ドラム
15b 第2ドラム
16 プーリ
17a 第1ベルト
17b 第2ベルト
18 検出手段
19 リミットスイッチ
20 作動部
21 本体部
22 前板
23 扉板
24 U状溝部
25 縦長孔
26 仮止め兼用固定ねじ
27 固定ねじ
28 前ローラ
29 後ローラ
30 レール部材
31 下横片
32 上横片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納ボックスに対して引出し体を駆動ブロックを介して前後方向に引出し・収納自在に取付けたものであって、
上記駆動ブロックが、引出し体の左右方向の中間部に取付けられる移動側基材と、格納ボックスの上記引出し体を引出し自在に収納する収納部の左右方向の中間部に取付けられる固定側基材と、移動側基材又は固定側基材のいずれか一方の左右両側部に設けられた引出し体の引出し方向と平行な方向に長くなったガイドレールと、いずれか他方の左右両側部に設けられた上記ガイドレールに対して走行自在となった水平輪と、左右のガイドレールに走行自在になった水平輪をそれぞれ左右のガイドレールの側壁に押接させるための押圧手段と、固定側基材に設けた駆動手段と、移動側基材の左右方向の中間部分に設けた上記駆動手段の駆動力が伝達される移動側基材に設けた伝達部とを具備して成ることを特徴とする格納ボックスにおける引出し体の駆動支持構造。
【請求項2】
固定側基材に設けた駆動手段の駆動を駆動伝達手段を介して移動側基材に設けた伝達部に伝達し、上記駆動伝達手段を、駆動手段を構成するモータにより回転される第1、第2ドラムと、固定側基材に設けたプーリと、一端部を第1ドラムに固定して巻かれると共に上記プーリに巻き回して他端部を上記伝達部に固定した第1ベルトと、一端部を第2ドラムに固定して巻かれると共に他端を移動側基材に設けた伝達部に固定した第2ベルトとで構成し、上記第1ドラムへの第1ベルトの巻かれる方向と第2ドラムへの第2ベルトの巻かれる方向を逆方向とし、モータの正回転で第1ベルトが第1ドラムに巻き取られることで伝達部が引かれると共に第2ベルトが第2ドラムから引出され、モータの逆回転で第2ベルトが第2ドラムに巻き取られることで伝達部が逆方向に引かれると共に第1ベルトが第1ドラムから引出されるように構成して成ることを特徴とする請求項1記載の格納ボックスにおける引出し体の駆動支持構造。
【請求項3】
第1ベルトにより伝達部を引っ張る状態で第2ベルトに弛みが生じ且つ、第2ベルトにより伝達部を引っ張る状態で第1ベルトに弛みが生じるように構成して成ることを特徴とする請求項2記載の格納ボックスにおける引出し体の駆動支持構造。
【請求項4】
引出し体の引出し位置、収納位置を検出するための検出手段を設け、該検出手段を、駆動手段の駆動を停止するための格納ボックス側に設けたリミットスイッチと、リミットスイッチを作動するための引出し体に設けた作動部とで構成し、作動部の引出し体の移動方向における取付け位置を調整自在として成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の格納ボックスにおける引出し体の駆動支持構造。
【請求項5】
引出し体を本体部と本体部の前板の前面側に取付ける扉板とで構成し、前板の上端部に上方及び前後に開口したU字状をしたU状溝部を形成すると共に下部に縦長孔を形成し、扉板の背面上部に螺着した仮止め兼用固定ねじをU状溝部に上方から差し込み固定すると共に縦長孔に挿入した固定ねじを扉板に螺着して成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の格納ボックスにおける引出し体の駆動支持構造。
【請求項6】
引出し体の左右両側の前後にそれぞれ前ローラと後ローラとを回転自在に設け、収納部の左右両側部に上記左右の前ローラと後ローラとがそれぞれ走行自在となった断面略コ字状をした水平なレール部材を取付け、前ローラの引出し体への取付け位置を後ローラの引出し体への取付け位置よりも下位置とし、レール部材の下横片と上横片との間の間隔を上記前ローラ、後ローラの径よりも大きく設定し、引出し体の前方への引出し状態で前ローラが略コ字状をしたレール部材の下横片の上面に押接すると共に後ローラが略コ字状をしたレール部材の上横片の下面に押接するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の格納ボックスにおける引出し体の駆動支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−218099(P2006−218099A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34728(P2005−34728)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】