説明

格納容器内雰囲気モニタおよびその監視方法

【課題】原子炉一次格納容器内・原子炉二次格納容器内雰囲気の水素濃度・酸素濃度のサンプリング測定を切り替えて行なうことができ、測定点切替時に原子炉一次格納容器内あるいは原子炉二次格納容器内ガスが原子炉二次格納容器内あるいは原子炉一次格納容器内にそれぞれ放出される容量を少なくすることができる格納容器内雰囲気モニタを提供する。
【解決手段】原子炉二次格納容器13内雰囲気をサンプリングする配管21,22,23およびその開閉のためのバルブ31,32,33と、検出器校正用窒素ガスをサンプリングラック19内に案内する配管41およびその開閉のためのバルブ42とを備える。原子炉一次格納容器13内雰囲気と原子炉二次格納容器14内雰囲気のサンプリング測定を手動または自動にて切替可能とし、かつ測定点切替時に校正用窒素ガスでサンプリングラック19内部を自動的にパージする機能を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉一次格納容器内および原子炉二次格納容器内雰囲気の水素および酸素濃度を測定する格納容器内雰囲気モニタおよびその監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所における原子炉一次格納容器内雰囲気の水素濃度および酸素濃度は、安全性を確認するための一つの指標として測定が行なわれる。原子炉一次格納容器内雰囲気の水素濃度および酸素濃度を測定する測定設備として格納容器内雰囲気モニタがある(特許文献1および2参照)。
【0003】
従来の格納容器内雰囲気モニタは、原子炉を格納した原子炉一次格納容器内雰囲気をサンプリングして水素検出器および酸素検出器により水素濃度および酸素濃度をそれぞれ検出してサンプリング測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−21784号公報
【特許文献2】特開2000−2784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の格納容器内雰囲気モニタでは、原子炉二次格納容器内雰囲気の水素濃度および酸素濃度の測定・監視は行なわれておらず、残留熱除去系や原子炉補機冷却系を収納した原子炉二次格納容器内雰囲気の水素濃度および酸素濃度を測定することはできない。
【0006】
原子炉二次格納容器内雰囲気の水素濃度および酸素濃度の測定設備を新たに追加しようとすると、サンプリング配管、サンプリング用ポンプやサンプリングラックが新たに必要となる上、サンプリングラックの収納ラック室を確保する必要があり、格納容器内雰囲気モニタの構成が複雑で、モニタ設置に多大の時間と労力を要する。
【0007】
また、原子炉一次格納容器内は通常不活性ガスで満たされており、事故時には原子炉一次格納容器内ガス(雰囲気)に放射性物質が含まれることが想定される。このため、原子炉二次格納容器内雰囲気の水素濃度および酸素濃度の測定設備を追設した場合にも、原子炉一次格納容器内ガスが、原子炉二次格納容器に放出されるのを極力少なくする必要がある。
【0008】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、原子炉一次格納容器内だけでなく、原子炉二次格納容器内雰囲気の水素濃度および酸素濃度のサンプリング測定を切り替えて行なうことができ、測定点切替時に原子炉一次容器内あるいは原子炉二次容器内ガスが原子炉二次格納容器内あるいは原子炉一次格納容器内にそれぞれ放出される容量を少なくすることができる格納容器内雰囲気モニタおよびその監視方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的は、測定切替時に水素検出器および酸素検出器を備えたサンプリング測定配管内部を検出器校正用窒素ガスでパージし、原子炉一次格納容器内ガスが原子炉二次格納容器内に、あるいは原子炉二次格納容器内空気が原子炉一次格納容器内に放出される容量をさらに少なくすることができる格納容器内雰囲気モニタおよびその監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る格納容器内雰囲気モニタは、上述した課題を解決するために、原子炉一次格納容器内の雰囲気をサンプリングし、サンプリングラックの水素検出器および酸素検出器によって水素濃度および酸素濃度をサンプリング測定する格納容器内雰囲気モニタにおいて、原子炉二次格納容器内雰囲気をサンプリングする配管およびその開閉のためのバルブと、検出器校正用窒素ガスを前記サンプリングラック内に案内する配管およびその開閉のためのバルブとを備え、前記原子炉一次格納容器内雰囲気と原子炉二次格納容器内雰囲気のサンプリング測定を手動または自動にて切替可能とし、かつ切替時に前記検出器校正用窒素ガスでサンプリングラック内部を自動的にパージする機能を持つガス濃度モニタを有することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係る格納容器内雰囲気モニタの監視方法は、上述した課題を解決するために、原子炉一次格納容器内の雰囲気をサンプリングし、サンプリングしたガスを水素検出器および酸素検出器によって検出したり、また、原子炉二次格納容器内雰囲気をサンプリングし、サンプリングしたガスを水素検出器および酸素検出器によって検出し、検出されたサンプリングガスの水素濃度および酸素濃度をガス濃度モニタにて測定する際、前記原子炉一次格納容器内雰囲気と原子炉二次格納容器内雰囲気のサンプリング測定点を手動または自動にて切替可能とし、測定点切替時にガス濃度モニタが、検出器校正用窒素ガスで水素検出器および酸素検出器を備えたサンプリングラック内部を自動的にパージする機能を有することを特徴とする監視方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、原子炉一次格納容器内雰囲気と原子炉二次格納容器内雰囲気をサンプリングし、その水素濃度と酸素濃度を切り替えてサンプリング測定することができ、測定点切替時に原子炉一次格納容器内または原子炉二次格納容器内ガスが原子炉二次格納容器内あるいは原子炉一次格納容器内にそれぞれ放出される容量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る格納容器内雰囲気モニタおよびその監視方法の第1実施形態を示す原子力発電所の構成図。
【図2】図1に示された格納容器内雰囲気モニタを示す構成図。
【図3】(A)は格納容器内雰囲気モニタに備えられる各バルブの開閉例を示す図、(B)は格納容器内雰囲気モニタに備えられる各バルブの第2実施形態を示す構成図。
【図4】本発明に係る格納容器内雰囲気モニタの第2実施形態を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る格納容器内雰囲気モニタおよびその監視方法の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、原子力発電所に設置される格納容器内雰囲気モニタの第1実施形態を示す構成図である。この格納容器内雰囲気モニタ10はBWRの原子力発電所11に設けられる。原子力発電所11では、原子炉12を格納した原子炉一次格納容器13が原子炉二次格納容器14内に設けられる。
【0016】
原子炉一次格納容器13内はドライウェル16とサプレッションチャンバ17が上部と下部に区画して設けられる一方、原子炉一次格納容器13の外側に残留熱除去系や原子炉補機冷却系(図示せず)を収容した原子炉二次格納容器14が設けられる。また、原子炉二次格納容器14は原子炉建屋(図示せず)内に構成される。原子炉二次格納容器14内にはガス濃度モニタサンプリングラック室18が設けられ、このサンプリングラック室18にガス濃度モニタサンプリングラック19が配置される。
【0017】
このサンプリングラック19は、原子炉一次格納容器13内雰囲気あるいは原子炉二次格納容器14内雰囲気の水素濃度および酸素濃度を検出するサンプリング測定装置を構成するものである。
【0018】
サンプリングラック19には、原子炉一次格納容器ドライウェル16内の雰囲気をサンプリングするサンプリングライン21と、原子炉一次格納容器13のサプレッションチャンバ17内の雰囲気をサンプリングするサンプリングライン22と、原子炉二次格納容器14内の雰囲気をサンプリングするサンプリングライン23が接続される。各サンプリングライン21,22,23は、サンプリング吸込(往き)管21a,22a,23aとその戻り管21b,22b,23bのサンプリング配管で構成され、各サンプリングライン21,22,23の吸込管21a,22a,23aはヘッダを介してサンプリングラック19のサンプリング測定配管24に接続される。サンプリング測定配管24には、除湿器25、水素濃度計26、酸素濃度計27がそれぞれ設けられ、排気ポンプを兼ねる吸引ポンプ28に接続される。
【0019】
このように、サンプリングラック19は水素検出器としての水素濃度計26および酸素検出器としての酸素濃度計27を有するサンプリング測定装置を構成しており、各サンプリングライン21,22,23に設けたバルブ31,32,33の開閉により、ドライウェル16、サプレッションチャンバ17および原子炉二次格納容器14内の雰囲気を選択的にサンプリングガスとして吸引ポンプ28により吸引している。
【0020】
サンプリングラック19内に導かれたサンプリングガスは除湿器25により除湿された後、水素濃度計26、酸素濃度計27で水素濃度および酸素濃度がそれぞれ検出され、それらの検出信号は、中央制御室35に設置されたガス濃度モニタ36に伝送され、このガス濃度モニタ36でサンプリング測定して表示され、監視される。中央制御室35は原子炉二次格納容器14の外側であって原子炉建屋(図示せず)内に設けられる。
【0021】
これにより、原子炉一次格納容器13のドライウェル16、サプレッションチャンバ17および原子炉二次格納容器14内雰囲気の水素濃度および酸素濃度を一つのガス濃度モニタ36でサンプリング測定して表示され、監視することができる。
【0022】
サンプリングラック19の水素濃度計26および酸素濃度計27で水素濃度および酸素濃度測定後のガスはサンプリングガス戻り管38に排出され、続いて各サンプリングライン21,22,23の戻り(吐出)配管21b,22b,23bを通ってドライウェル16、サプレッションチャンバ17および原子炉二次格納容器14内にそれぞれ戻(還流)される。
【0023】
なお、バルブ31,32,33は、サンプリングラインの吸込配管21a,22a,23aに設けられるバルブ31a,32a,33aと、サンプリング戻し配管21b,22b,23bに設けられるバルブ31b,32b,33bとが対をなして構成される。
【0024】
また、格納容器内雰囲気モニタ10には、原子炉二次格納容器14内設置のサンプリングラック室18に検出器校正用窒素ガスボンベ40が設けられ、その出口配管41は切替バルブ42を介してサンプリング測定配管24に、除湿器25の下流側X位置で接続される。検出器校正用窒素ガスの出口配管41は水素濃度計26や酸素濃度計27の検出器上流側Xに接続される。
【0025】
切替バルブ42および各サンプリングライン21,22,23のバルブ31(31a,31b),32(32a,32b),33(33a,33b)は切替スイッチ等の測定点切替手段により開閉作動され、サンプリング(測定)点を原子炉一次格納容器13内と原子炉二次格納容器14内との間で手動または自動的に切替可能に構成される。測定点切替手段は、例えば、図2に示すようにガス濃度モニタ36や中央制御室35等に備えられるバルブ開閉駆動制御手段である。なお、窒素ガスは安価な不活性的なガスであるが、窒素ガスボンベ40に代えて不活性ガスを用いた不活性ガスボンベを備えてもよい。
【0026】
次に、格納容器内雰囲気モニタによる格納容器内雰囲気監視方法を、図3を参照して説明する。
【0027】
図3(A)に示す格納容器内雰囲気モニタ10は、原子炉一次格納容器13内および原子炉二次格納容器14内雰囲気の水素濃度および酸素濃度を選択的に切り替えて測定し、監視している。
【0028】
この格納容器内雰囲気モニタ10は、原子炉一次格納容器13や原子炉二次格納容器14内雰囲気の水素濃度および酸素濃度の測定動作は、一例として図3(B)に示す測定点切替スイッチ(バルブ駆動制御手段)によるバルブ開閉ロジックに従って開閉され、ステップ1からステップ5に示すようにバルブ31,32,33および切替バルブ42を切り替えてサンプリング測定が行なわれる。測定点切替時には、サンプリングライン21,22,23の長さや、サンプリングスピード(ガス速度)によってガスが置換されるまで数10分、例えば20分〜30分の時間を要する。
【0029】
原子炉一次格納容器13内のドライウェル16測定時には、図3(B)のステップ1に示すように、ドライウェルサンプリングライン21のバルブ31a,31bが開操作され、切替バルブ42および他のサンプリングライン22,23のバルブ32a,32b;33a,33bは閉じ、バルブ31,32,33は図3(A)に示す開閉ロジック状態にある。ドライウェル16内は通常不活性ガスで満たされている。
【0030】
このバルブ開閉状態で吸引ポンプ28が動作すると、ドライウェル16内のサンプリング(雰囲気)は、サンプリングライン21の吸引管21aからサンプリングラック19のサンプリング測定配管24に案内されて除湿器25に吸い込まれ、ここで除湿された後、水素濃度計26および酸素濃度計27に導かれ、水素濃度と酸素濃度が検出され、この検出信号はガス濃度モニタ36に送られ、水素濃度および酸素濃度がサンプリング測定され、監視される。
【0031】
水素濃度および酸素濃度が測定されたサンプリングガスは吸引ポンプ28からサンプリング戻り配管38に排出され、続いてサンプリングライン21の戻り配管21bを追ってドライウェル16内に戻(還流)される。
【0032】
次に、原子炉一次格納容器ドライウェル16測定後に、測定点切替スイッチを操作して測定(サンプリング)点を原子炉二次格納容器14内に切り替えると、切替バルブ42が開となり、ドライウェルサンプリングライン21の吸込配管21aのバルブ31aは閉じ、戻り配管21bのバルブ31bは開状態に保たれる(ステップ2)。このため、この測定点切替えの過渡時には窒素ガスボンベ40からの検出器校正用窒素ガスでサンプリングラック19内がパージされる。サンプリング測定配管24のX点から注入された不活性な窒素ガスによりサンプリングラック19内がパージされ、検出器としての水素濃度計26および酸素濃度計27が校正される。
【0033】
測定点切替時に、サンプリングラック19内を検出器校正用窒素ガスで所要時間パージした一定時間後に、ステップ3で示す原子炉二次格納容器14内のサンプリング測定に移り、原子炉二次格納容器14内からのサンプリングライン23のバルブ33(33a,33b)が開となり、切替バルブ42および他のサンプリングライン21,22のバルブ31(31a,31b),32(32a,32b)は閉じる。このステップ3のバルブ開閉状態で、原子炉二次格納容器14内雰囲気(空気)がサンプリングされ、原子炉二次格納容器14内雰囲気の水素濃度および酸素濃度が水素濃度計26および酸素濃度計27で検出され、これらの検出信号がガス濃度センサ36に送られて、測定されて表示され、監視される。
【0034】
原子炉二次格納容器14内サンプリング測定後あるいは測定中に、測定点切替スイッチを操作して測定点をサプレッションチャンバ17に切り替えると、ステップ4で示すように、切替バルブ42が開となり、原子炉二次格納容器サンプリングライン23の吸込配管23a側バルブ33aが閉で、戻り配管23b側バルブ33bを開状態に保持する。
【0035】
ステップ4の測定点切替時には、ステップ2と同様に、窒素ガスボンベ40からの窒素ガスがサンプリングラック19内にパージされる。サンプリングラック19内にパージされた窒素ガスは水素濃度計26と酸素濃度計27に送られて、これらが校正される。
【0036】
測定点切替時に検出器校正用窒素ガスが所要時間パージされ、一定時間経過するとステップ5に切り替えられ、サプレッションチャンバ17からのサンプリングライン22の吸込側と戻り側のバルブ32(32a,32b)が開いて、サプレッションチャンバ17内雰囲気がサンプリング測定される。
【0037】
このようにして、原子炉一次格納容器ドライウェル16内雰囲気、原子炉二次格納容器14内雰囲気(空気)、サプレッションチャンバ17内雰囲気が測定(サンプリング)点切替の都度、各バルブが図3(B)に示すバルブ開閉ロジックに従って切り替えられる。測定点切替時のステップ2および4では、検出器校正用窒素ガス(不活性ガスでもよい。)が、所要時間サンプリングラック19内にパージされ、水素濃度計26および酸素濃度計27が窒素ガスで校正される。測定点切替の一定時間後に、原子炉一次格納容器13内と原子炉二次格納容器14内雰囲気が選択的にサンプリングされる。
【0038】
このようにして、ドライウェル16内、原子炉二次格納容器14内およびサプレッションチャンバ17内雰囲気の水素濃度および酸素濃度がサンプリング測定される。ドライウェル16内、原子炉二次格納容器14内、およびサプレッションチャンバ17内雰囲気の測定順序は図3(B)に示す測定ステップに限定されず、測定点切替スイッチのバルブ開閉ロジックの変更調整により、測定順序を種々変更させることができる。
【0039】
ただ、測定点切替スイッチでバルブ開閉ロジックが図3(B)に示す例を採用した場合、例えば原子炉一次格納容器ドライウェル16後に、測定(サンプリング)点を原子炉二次格納容器14内に切り替えても、直ちに原子炉二次格納容器14内雰囲気(空気)のサンプリング測定に切り替わることがない。測定点切替えは、ステップ1からステップ3に直ちに移行せず、中間にステップ2が入る。
【0040】
本実施形態では、測定点切替時に、測定点が切り替わる所要時間の間、ステップ2で示すように、サンプリングラック19内は検出器校正用窒素ガスがパージされて校正される。測定点切替えの過渡時にステップ2やステップ4が存在し、サンプリングラック19内の水素濃度計26や酸素濃度計27は窒素ガス(不活性ガスでもよい。)ボンベ40から窒素ガスがパージされて校正される。したがって、サンプリングラック19内の残存ガス、例えばドライウェル16より導入されたガス(不活性ガス)が原子炉二次格納容器14内に放出されるのを少なくすることができる。
【0041】
また、原子炉二次格納容器14内サンプリング測定後に、測定(サンプリング)点をドライウェル16側に切り替えても、サンプリングラック19内の残存ガス(原子炉二次格納容器14から導入された空気)がドライウェル16内に直ちに放出されるのを少なくすることができる。事故時には、原子炉一次格納容器13内ガス(雰囲気)に放射性物質が含まれることが想定されるが、本実施形態では測定点切替えの際に、原子炉二次格納容器14に放出されるガス容量を極力少なくすることができるので、好ましい。また、原子炉二次格納容器14内から原子炉一次格納容器13内に切り替えた場合も、通常不活性ガスで満たされている原子炉一次格納容器13に原子炉二次格納容器14内ガス(空気)が放出される容量を少なくすることができ、好ましい。
【0042】
本発明の一実施形態では、サンプリングラック室18に検出器校正用窒素ガスボンベ40を備えた例を説明したが、校正用窒素ガスボンベとは別に専用の窒素ガスボンベを設置する構成としてもよい。窒素ガスボンベの設置場所は種々考えられ、サンプリングラック室に限定されない。
【0043】
また、サンプリングラック19内に窒素ガスを強制的にパージするバルブ開閉ロジック構成を示したが、このロジック構成に代えて、測定点切替操作時に、運転員に窒素ガスパージ操作実施の注意を喚起するメッセージ表示装置を設置してもよい。
【0044】
本実施形態によれば、測定点切替時に原子炉一次格納容器13内ガス(雰囲気)が原子炉二次格納容器14に、また、原子炉二次格納容器14内雰囲気が原子炉一次格納容器13に放出される容量を少なくすることができる。
【0045】
[第2実施形態]
図4は格納容器内雰囲気モニタの第2実施形態を示す構成図である。
【0046】
第2実施形態の格納容器内雰囲気モニタ10Aを説明するに当り、第1実施形態の図1〜図3に示された格納容器内雰囲気モニタ10と同じ構成には同一符号を付し、説明を省略ないしは簡素化する。
【0047】
図4に示す格納容器内雰囲気モニタ10Aは、窒素ガスボンベ40の出口配管41aを切替バルブ44を介して原子炉二次格納容器サンプリングライン23の吸込配管23aにそのバルブ33a側近傍で合流させたものである。第1実施形態に示された格納容器内雰囲気モニタ10では窒素ガスボンベ40からの切替バルブ42がサンプリング測定配管24に除湿器25の下流側X地点で接続されている。
【0048】
第1実施形態の格納容器内雰囲気モニタ10では、サンプリングライン21,22,23の吸込側配管21a,22a,23aはサンプリング測定配管24に合流点Y位置で接続されているため、吸込側のサンプリングライン21,22,23の合流点YとXの間のサンプリング測定配管24内は窒素ガスでパージされない。
【0049】
この点を考慮し、窒素ガスボンベ40の出口配管41aを切替バルブ44を通して、二次格納容器サンプリングライン23の吸込側配管23aに、そのバルブ33a下流側直下でかつ合流点Yの上流側で接続させるようにしたものである。その他の格納容器内雰囲気モニタ10Aや原子力発電所11の全体構成は、図1に示された第1実施形態と異ならない。
【0050】
第2実施形態の格納容器内雰囲気モニタ10Aは、測定点切替スイッチのバルブ開閉ロジック構成を図3(B)に示す切替バルブ42のバルブ開閉に代えて切替バルブ44がバルブ開閉される。このバルブ開閉ロジック構成を格納容器内雰囲気モニタ10Aがとることにより、測定点切替時には、合流点X−Y間のサンプリング測定配管24内も窒素ガスでパージされる。その際、窒素ガス出口配管41および切替バルブ42は必ずしも必要ないが、水素濃度計26および酸素濃度計27を窒素ガスで校正する場合には、切替バルブ42側を開けて、窒素ガスをパージさせ、校正させてもよい。
【0051】
また、格納容器内雰囲気モニタ10Aを用いて原子炉一次格納容器13内および原子炉二次格納容器14内雰囲気の水素濃度と酸素濃度を、第1実施形態で示すものと同様に測定し、監視することができる。
【0052】
第2実施形態の格納容器内雰囲気モニタ10Aにおいては、測定点切替時に原子炉一次格納容器13内ガス(雰囲気)が原子炉二次格納容器14内に、あるいは原子炉二次格納容器内雰囲気が原子炉一次格納容器13に放出される容量をより一層少なくすることができる。
【符号の説明】
【0053】
10,10A 格納容器内雰囲気モニタ
11 原子力発電所
12 原子炉
13 原子炉一次格納容器
14 原子炉二次格納容器
16 ドライウェル
17 サプレッションチャンバ
18 サンプリングラック室
19 サンプリングラック
21,22,23 サンプリングライン
24 サンプリング測定配管
25 除湿器
26 水素濃度計
27 酸素濃度計
28 吸引ポンプ(排気ポンプ)
31,32,33 バルブ
35 中央制御室
36 ガス濃度モニタ
38 サンプリングガス戻り配管
40 窒素ガスボンベ
41,41a, 出口配管
42,44 切替バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉一次格納容器内の雰囲気をサンプリングし、サンプリングラックの水素検出器および酸素検出器によって水素濃度および酸素濃度をサンプリング測定する格納容器内雰囲気モニタにおいて、
原子炉二次格納容器内雰囲気をサンプリングする配管およびその開閉のためのバルブと、検出器校正用窒素ガスを前記サンプリングラック内に案内する配管およびその開閉のためのバルブとを備え、
前記原子炉一次格納容器内雰囲気と原子炉二次格納容器内雰囲気のサンプリング測定を手動または自動にて切替可能とし、かつ切替時に前記検出器校正用窒素ガスでサンプリングラック内部を自動的にパージする機能を持つガス濃度モニタを有することを特徴とする格納容器内雰囲気モニタ。
【請求項2】
前記サンプリングラックは、水素検出器および酸素検出器を有するサンプリング測定配管を備え、このサンプリング測定配管の検出器上流側に検出器校正用窒素ガスを案内する配管を接続した請求項1に記載の格納容器内雰囲気モニタ。
【請求項3】
前記サンプリングラックの外側に検出器校正用窒素ガスボンベを設置した請求項1または2に記載の格納容器内雰囲気モニタ。
【請求項4】
検出器校正用窒素ガスボンベの出口配管を原子炉二次格納容器サンプリングラインの吸込配管と接続し、切替時に、前記サンプリングラック内のサンプリング測定配管全体を窒素ガスでパージ可能に構成した請求項3に記載の格納容器内雰囲気モニタ。
【請求項5】
検出器校正用窒素ガスボンベとは別に専用の窒素ガスボンベを設置した請求項3に記載の格納容器内雰囲気モニタ。
【請求項6】
前記ガス濃度モニタは、原子炉二次格納容器の外側に設けられる一方、切替時に窒素ガスのパージ操作を実施するように注意喚起を行なうメッセージ表示装置を備えた請求項1に記載の格納容器内雰囲気モニタ。
【請求項7】
原子炉一次格納容器内の雰囲気をサンプリングし、サンプリングしたガスを水素検出器および酸素検出器によって検出したり、また、原子炉二次格納容器内雰囲気をサンプリングし、サンプリングしたガスを水素検出器および酸素検出器によって検出し、検出されたサンプリングガスの水素濃度および酸素濃度をガス濃度モニタにて測定する際、
前記原子炉一次格納容器内雰囲気と原子炉二次格納容器内雰囲気のサンプリング測定点を手動または自動にて切替可能とし、
測定点切替時にガス濃度モニタが、検出器校正用窒素ガスで水素検出器および酸素検出器を備えたサンプリングラック内部を自動的にパージする機能を有することを特徴とする格納容器内雰囲気モニタの監視方法。
【請求項8】
前記サンプリングラックは水素濃度検出器および酸素濃度検出器を備えたサンプリング測定配管を有し、このサンプリング測定配管の上流側に検出器校正用窒素ガスボンベの出口配管を接続し、
前記測定点切替時に検出器校正用窒素ガスでサンプリング測定配管内を検出器上流側からパージする請求項7に記載の格納容器内雰囲気モニタの監視方法。
【請求項9】
前記検出器校正用窒素ガスボンベの出口配管を原子炉二次格納容器サンプリングラインの吸込配管に接続し、
前記測定点切替時にサンプリングラックのサンプリング測定配管全体を検出器校正用窒素ガスでパージする請求項7または8に記載の格納容器内雰囲気モニタの監視方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−79909(P2013−79909A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221103(P2011−221103)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】