説明

栽培器具

【課題】 風景の変更可能なジオラマを実現すること。
【解決手段】 容器3の底部6から離間して容器3内に配設されると共に、上下方向に貫通する複数の孔を有する蓋部材2と、側部に容器3の底部6と蓋部材2との間の空隙に連通する開口部4が設けられた容器3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、現実世界を模した風景の模型というものが存在する。また、このような模型には、現実の植物を育てるための領域が存在するものもある。このような模型では、その領域に植物の種をまき、水を与えることで、その植物は成長するので、この模型の景観としては、現実世界を模した風景の模型と共に、リアルな植物が存在する景観となり、よりリアルなジオラマとなる。
【0003】
また、特許文献1には、模型全体に爽やかさを演出する為の植栽模型のパーツ作製用部材や植栽パーツが開示されている。
【特許文献1】特開2004−198453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のジオラマは、以下に示す問題点がある。
【0005】
1. 第1にジオラマの台座に対し模型を配置する位置は予め決まっているので、植物を育てるための領域と模型を配置する領域とが明確に区別され、常に一定のジオラマの風景しか楽しむことができないという問題点がある。
【0006】
2. 第2にジオラマに適した植物は、葉が小さく茎が細い草等であるので、このような植物に水を与える際に、水が直接植物に注がれてしまうと植物に損傷を与えてしまうという問題点がある。
【0007】
よって、本発明は、上記問題点を解決するための栽培器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の栽培器具は以下の構成を備える。
【0009】
本発明は、上方が開口した容器と、当該容器の蓋部材と、を備えた栽培器具であって、
前記蓋部材は、前記容器の底部から離間して前記容器内に配設されると共に、上下方向に貫通する複数の孔を有し、
前記容器の側部には、前記容器の底部と前記蓋部材との間の空隙に連通する開口部を設けたことを特徴とする。
【0010】
更に、前記蓋部材の前記孔に挿脱される模型を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、蓋部材は板状をなし、且つハニカム構造であることを特徴とする。
【0012】
開口部は前記容器の側面に設けられた張り出し部であり、当該張り出し部は当該張り出し部の上方から与えたれた液体を前記空隙に導入することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、模型を配置し、植物を栽培する栽培器具であって、
開口を有する容器と、当該容器の開口に嵌合する嵌合部材と、前記容器の底部に配置され、植物の苗床となる苗床部と、を備え、
前記嵌合部材は、前記容器の底部から離間して前記容器の開口に嵌合すると共に、当該嵌合部材を貫通する複数の孔を有し、
前記孔は、植物が挿通され、かつ模型が挿脱されることを特徴とする。
【0014】
更に、前記容器の側部には、前記容器の底部と前記嵌合部材との間の空隙に連通する連通口を設けたことを特徴とする。
【0015】
なお、本発明において、「苗床部」とは植物に根を張らせるための場所であり、例えば脱脂綿や繊維状のシート、または土等であり、水分を含ませ、根を張らせることが可能なものであれば良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成により、模型の配置場所を変更することを可能として、かつ植物に損傷を与えないように水を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下添付図面を参照して、本発明を好適な実施形態に従って詳細に説明する。
【0018】
図1は、栽培器具の外観を示す図である。同図に示す如く、栽培器具は、上下方向(同図矢印で示す方向)に複数の孔を備える蓋部材(嵌合部材)2と、この蓋部材2の孔に差し込むことで蓋部材2上に配設可能な模型1と、蓋部材2を容器3の底部6から離間して容器3内に配設(嵌合)した場合に生ずる容器3の底部6と蓋部材2との間の空隙に連通する開口部(連通口)4を有する容器3とを備える。ここで、孔は、植物の成長を妨げないようにするために設けられた貫通孔であり、孔の貫通方向は、植物が成長する(伸びる)方向である。
【0019】
図2は、栽培器具を構成する上記各部材を示す図である。同図を用いて各部材について説明する。
【0020】
模型1は、蓋部材2の孔に挿脱可能な凸部1aを有する。この凸部1aは例えば弾性を有する円柱状のものである。よって、この凸部1aを孔に差し込むことで、この模型1を蓋部材2上に配設する事ができる。なお、蓋部材2の孔に差し込むことで模型1を蓋部材2上に配設することができるのであれば、凸部1aの形状については特に限定するものではない。また、同図では模型1は犬の模型としているが、これに限定するものではなく、様々な模型が考え得る。また1つの模型に複数の凸部を設けるようにしても良い。なお、蓋部材2は、複数の孔を備えているので、模型1は複数の孔の数分だけの配設位置をとることが可能となる。
【0021】
次に、蓋部材2について説明する。蓋部材2は、上述の通り、上下方向に複数の孔を有するものであり、以下の説明ではこのような構造の一例としてハニカム構造を有しているものとする。この蓋部材2は、容器3の底部6から離間して容器3内に配設される(容器3の底部6から離間して容器3の開口に嵌合される)ものである。そのための蓋部材2、容器3の構造について図3を用いて説明する。
【0022】
図3は、容器3の底部6に略平行な方向から見た蓋部材2、容器3の断面図である。同図に示す如く、蓋部材2の側面に凸部2a、2bを設けると共に、容器3の内側の面(且つ上方の位置)に凹部3a、3bを設ける。よって、蓋部材2を容器3内に配設する場合には、凸部2aを凹部3aにはめ込むと共に、凸部2bを凹部3bにはめ込む。このようなはめ込みは、容器3がある程度同図矢印で示す矢印方向にたわめば可能である。これにより、凸部2a、2bはそれぞれ凹部3a、3bで支持されることになるので、結果として蓋部材2は、容器3の底部6から離間して容器3内に配設することができる。なお、蓋部材2を容器3の底部6から離間して容器3内に配設する為の構造については様々なものが考えられ、このような構造に限定するものではない。
【0023】
次に、容器3について説明する。容器3は、脱脂綿等、水分(液体)を含ませることのできる部材(苗床部)5を底部6に収容する為のものであり、更にこの部材5上には植物の種がまかれている。即ちこの部材5は、植物の苗床となるものである。従って、容器3の底部6には、水分を含み、且つ種をまかれた部材5が配設されることになる。
【0024】
よって時間が経過すると共に、この種からは芽が出、その芽は成長するので、結果としてこの芽は上方に伸びていく。また、この容器3内には蓋部材2が配設されるが、この蓋部材2はハニカム構造を有しているので、成長した芽は何れかの孔を通過(挿通)して上方にのびていく。また、それぞれの孔は、芽が略上方にのびるように整合させる器具としても機能している。
【0025】
これにより、この栽培器具は、模型1と共に植物を観覧するためのジオラマとして機能する。また、上述の通り、蓋部材2上には、様々な模型を配設することができるので、適宜好みの模型を好みの位置に配設することで、好みのジオラマを作成することができる。
【0026】
ここで、部材5に含まれている水分は蒸発したり植物に吸収されたりするので、結果として部材5に含まれている水分はなくなってしまう。このような状況になれば、この栽培器具のユーザはこの部材5に水を与えなくてはいけない。
【0027】
そこで、容器3には開口部4が設けられている。この開口部4は、図1,2に示す如く、容器3の側面に設けられた張り出し部であり、張り出し部の上方から与えたれた液体を容器3の底部6と蓋部材2との間の空隙に導入するためのものである。よって、この開口部4に液体を入れることで、植物に損傷を与えることなく、部材5に直接水分を与えることができる。
【0028】
仮にこの開口部4が設けられていないと、栽培器具のユーザは部材5に水分を与えるためにはその都度蓋部材2を容器3から取り外さなくてはいけない。また、蓋部材2の上方から部材5に直接水を注ぐと行った方法も考えられるが、このようなジオラマに用いられる植物は外力に対する十分な強度を有していないため、上方からの水が当たると、折れてしまうなどの問題がある。よって、この開口部4は、このような問題を解消するためのものとしても機能する。なお、開口部4の口の形や配設位置などについてはこれに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】栽培器具の外観を示す図である。
【図2】栽培器具を構成する上記各部材を示す図である。
【図3】容器3の底部6に略平行な方向から見た蓋部材2、容器3の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口した容器と、当該容器の蓋部材と、を備えた栽培器具であって、
前記蓋部材は、前記容器の底部から離間して前記容器内に配設されると共に、上下方向に貫通する複数の孔を有し、
前記容器の側部には、前記容器の底部と前記蓋部材との間の空隙に連通する開口部を設けたことを特徴とする栽培器具。
【請求項2】
更に、前記蓋部材の前記孔に挿脱される模型を備えたことを特徴とする請求項1に記載の栽培器具。
【請求項3】
前記蓋部材は板状をなし、且つハニカム構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の栽培器具。
【請求項4】
前記開口部は前記容器の側面に設けられた張り出し部であり、当該張り出し部は当該張り出し部の上方から与えたれた液体を前記空隙に導入することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の栽培器具。
【請求項5】
模型を配置し、植物を栽培する栽培器具であって、
開口を有する容器と、当該容器の開口に嵌合する嵌合部材と、前記容器の底部に配置され、植物の苗床となる苗床部と、を備え、
前記嵌合部材は、前記容器の底部から離間して前記容器の開口に嵌合すると共に、当該嵌合部材を貫通する複数の孔を有し、
前記孔は、植物が挿通され、かつ模型が挿脱されることを特徴とする栽培器具。
【請求項6】
前記容器の側部には、前記容器の底部と前記嵌合部材との間の空隙に連通する連通口を設けたことを特徴とする請求項5に記載の栽培器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−223153(P2006−223153A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39464(P2005−39464)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】