説明

桂皮油(及び/又はその成分であるシンナムアルデヒド)及びジアリルジスルフィドを含む組成物、その製剤及びそれらの使用方法

本発明は、線虫及び他の植物病原体から植物を保護するための、ジアリルジスルフィド及び桂皮油の製剤に関連する。本発明は、そのような処置を必要とする植物の部位、土又は種に、(a)桂皮油(及び/又はその主要成分であるシンナムアルデヒド)の有効量及び(b)ジアリルジスルフィドの有効用量、並びにそれに有用な殺線虫組成物を、同時投与することを含む、線虫又は他の植物病原性の有機体による傷害を抑制する方法に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線虫又は他の植物病原性の有機体のような農業病害虫の制御において、有用な組成物に関する。より具体的には、本発明は、桂皮油(及び/又はその成分であるシンナムアルデヒド)から得られたバイオ農薬及びジアリルジスルフィドに関し、ジアリルジスルフィドが、単独で適用された場合には殺線虫効果として効果のないような相乗的となる組み合わせに関する。また本発明は、そのような処置を必要とする植物体(ローカス)、土又は種に、(a)桂皮油(及び/又はその主要成分であるシンナムアルデヒド)の有効量及び(b)ジアリルジスルフィドの有効量、並びにそれに有用な殺線虫組成物を、同時投与することを含む、線虫又は他の植物病原性の有機体による傷害を抑制する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
植物寄生線虫は、世界中で深刻な経済的損害を多くの農作物に与えている。この群の線虫は、顕微鏡でしか見えない線虫であり、一般には、植物の絶対寄生虫(obligate parasite)である。それらは、ほとんどは、宿主植物の根に寄生する。しかし、いくつかの属は、茎、葉及び花を含む地面より上の部分に寄生する。ほとんど全ての経済的重要性のある植物種は、いくつかの種の線虫には感染しやすい(マリーゴールド及びアスパラガスは、特筆すべき例外である)。例えば、ネコブ線虫種(Meloidogyne spp.)は、3000種以上の作物に寄生することができる。これらの植物には、普通作物、野菜、果物、果樹及び低木がある。報告によると、線虫は、合衆国単独でも作物収入に60億ドル以上、世界中では100億ドル以上の損失を生じさせている。
【0003】
寄生線虫による傷害の症状は、宿主植物、線虫種、植物の年齢、地理的位置及び気候及び外部環境によっても様々である。一般には、野外における植物の全体にわたる斑模様が線虫の寄生の兆候となっている。より具体的には、線虫傷害は、線虫((Meloidogyne spp.)及び嚢胞(ヘテロデラ種(Heterodera spp.))線虫による根におけるこぶの形成(皮層細胞の急速な増加による組織の異常な腫れ)、ネグサレ線虫(ネグサレ線虫(Pratylenchus spp.))による腐り(局部的な変色部分)、細胞分裂の減少は、ずんぐりした根(ユミハリ線虫(Trichodorus spp.))、地上部分のしわやよじれ(Aphelenchoides spp.)を含む、異常な増殖、及びさらに、ある場合には細胞の壊死を起こす。植物寄生線虫は、ネコブ線虫及びネグサレ線虫の場合には内部寄生性であり、オオハリ線虫(オオハリ種(Xiphinema spp.))及びヤリ線虫(ヤリ線虫種(Hoplolaimus spp.))は、外部寄生性である。線虫は、植物ウイルスのベクターとなり得、他の植物病原性菌類及びバクテリアに感染症にかかりやすくなる疾病複合体を誘導することが知られている。
【0004】
化学抗線虫剤は、土壌燻蒸剤又は非-燻蒸剤のいずれも、長年用いられてきており、線虫に対抗するための数少ない実行可能な選択肢である。現在、作物の植え付けの前に土壌に合成薬品を繰り返し適用する必要がある。これらの合成品は、線虫の他有機体にきわめて毒性が強く、多くは環境への脅威を与えている。環境団体及び政府機関による、きれいな水及び空気の必要性が新たに強調され、地下水及びいくつかの非-標的有機体における多くのこれらの活性成分の多く又はそれらの代謝物の検出は、これらの化学品の製造及び/又は使用に関して深刻な懸案となっている。最も有効で、経済的で、広く抗線虫剤として用いられてきたものの一つであるDBCPは、地下水において検出され、男性の不妊を誘導し、発ガン性でありうると判断された。他の広く用いられる合成品であるEDB(エチレンジブロミド)も地下水から見つかった。
【0005】
さらに他の非常によくある殺虫-殺線虫剤であるアルジカルブ(aldicarb)(2-メチル-2-(メチルチオ)-プロピオンアルデヒド-O-(メチルカルバモイル)オキシム)が、急性毒性を有することがわかった。アルジカルブは、合衆国の数箇所の地下水から発見された。カルボフラン-(2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾフラニル-メチルカルバメート) 及び1,3-D-(1,3-ジクロロプロパン)の2つが通常用いられ、それらの鳥毒性及び発癌性の効果の可能性のために、EPAによる特別な再調査を受けている。より最近では、EPAによって、農業利用において、農業生産物の有効性及び品質に対する脅威のため土壌燻蒸剤である臭化メチルの使用を制限し、徐々に中止する決定が行われた。
【0006】
天然の単離物、例えば、N−アセチル−D−グルコサミンは、微生物に由来し、産業発酵プロセスにおける廃棄物であり、米国特許登録第5,057,141号において殺線虫作用を有するとして開示されている。
【0007】
バイオ農薬が合成殺虫剤の代わりとして開発されてきた。それらは、発酵によって得られ、粗バイオマス又は精製したもののいずれとしても用いられる。典型的には、発酵は、20-40℃の範囲において行われる。例えば、米国特許登録第5,360,607号において開示されるように、28-30℃におけるペシロマイセス真菌(Paecilomyces fumosoroues fungal)単離体であるATCC第20874の深部発酵は、線虫侵入制御のための菌性のバイオマスを生産する;米国特許登録第5,182,207号において開示されているように、28℃においてストレプトミセスサーモアーカエンシス(thermoarchaensis) NCIB 12015を発酵させることにより得られた全発酵ブロスは、殺線虫剤として有効であり;米国特許登録第5,439,934号において開示されているように、28℃においてストレプトマイセス・シアネオグリセウス亜種ノンシアノジーナス(cyaneogriseus noncyanogenus) NRRL 15773を発酵させることにより得られた発酵ブロスは線虫に対して有効であり;及び、米国特許登録第5,051,255号において開示されているように、25ないし30℃においてクワ暗斑病菌の発酵により得られた発酵ブロスは、殺線虫剤として有効である。
【0008】
しかし、いまだ新規で有効な殺線虫剤の開発が望まれている。多くの植物精油が抗菌剤、殺虫、殺菌、及び除草活性を示すように、植物は、有効な殺虫化合物の源であることが示唆されている。それらは、殺虫剤として、害虫、疾病及び雑草管理に適用されてきた。
【0009】
人又は環境にいかなるリスクをも有しない植物精油を、最小リスクの殺虫剤の例として評価し、それらは40 C.F.R.セクション152.25 (b)にリストされている。しかし、高揮発性、植物毒性及び低水溶性であるいくつかの精油は、農作物の保護の用途には制限がある。
【0010】
農業利用に使用される1つの精油としては、プロガード(ProGuard(登録商標))、30%シンナムアルデヒド流動性殺虫、ダニ殺虫剤及び殺菌剤がある。米国特許登録第6,750,256B1及び6,251,951B1がある。しかし、この市販製品の不都合な面は、o-フェニルフェノールという化学保存料を含有していることである。
【0011】
植物精油の殺線虫活性が報告されているが、その中でもとりわけ、Y.Oka (Nematology, Vol. 3(2), pp. 159-164, 2001)及びR. Pandey (J. Phytopathology 148, 501-502 (2000))がある。ある植物の精油及びそれらの成分についてインビトロ及び土壌において殺線虫活性を試験した。殺線虫活性があるとされた、いくつかの植物精油は、アップルミント(Mentha rotundifolia)、キャラウェー(Carum carvi)、フェンネル(Foeniculum vulgare)、オレガノ(Origanum vulgare)、シリアオレガノ(Origanum syriacum)、及びイブキジャコウソウ(Coridothymus capitatus)の精油がある。また、桂皮アルデヒド(シンナムアルデヒドとして知られる)を含む芳香族及び脂肪族アルデヒドは、強力な殺線虫活性をインビトロにおいて示すことが開示された。例えば、米国特許登録第6,251,951 B1号公報においては、シンナムアルデヒドは、2% Tween 80及び6% NaHCO3担体、存在下、殺線虫活性を示すことが開示された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、より強力で、それでいて安全で、容易に用いることのできる、農業分野に適用できる殺線虫性植物精油で、生物学的有効性を改善する製剤を開発することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
桂皮油(及び/又はその成分であるシンナムアルデヒド)とジアリルジスルフィドを組み合わせることにより、個々の線虫制御剤を単独で投与した場合に比べて、生物制御剤レベルにおいて、線虫を効果的に抑制できることがわかった。驚くべきことに、組み合わせた効果は単に相加的なものではなく、むしろ相乗的であり、代謝物及び相乗的化学品のいずれについても通常必要な適用割合よりも低い量の使用により線虫制御がなされた。
【0014】
従って、本発明の1つの態様としては、そのような処置を必要とする植物の部位、土壌又は種子に、(a)桂皮油(及び/又はその成分であるシンナムアルデヒド)及び(b)ジアリルジスルフィドを同時投与することを含む、線虫による植物の損害を抑制する方法を開示する。これらの2つの薬剤は、同一の製剤中に組み込まれた組成物の形態として同時に適用された場合、又は別であるが、同一の植物又は土壌又は種子に、同時に存在し作用するような態様で適用される場合には、「同時に」投与されると見なされる。
【0015】
1つの態様としては、本発明は、桂皮油、ジアリルジスルフィド、大豆油、オレイン酸メチル、乳酸エチル及び大豆油メチルエステルからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒及び乳化剤を含む、農業利用に適した製剤を提供し、ここで該製剤は、有機溶媒、界面活性剤又は洗剤を含まない。好ましい態様としては、乳化剤は、ヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトールである。
【0016】
好ましい態様としては、桂皮油は、製剤の総重量の10ないし50%、ジアリルジスルフィドは、製剤の3ないし15%、大豆油は製剤の総重量の30ないし70%、オレイン酸メチルは製剤の総重量の約10ないし25%、及びヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトールは製剤の総重量の約5ないし15%である。桂皮油のジアリルジスルフィドに対する重量/重量割合は約3:1ないし約10:1である。
より好ましい態様としては、桂皮油は、製剤の総重量の約43%、ジアリルジスルフィドは製剤の約7%、大豆油は製剤の総重量の約30%、オレイン酸メチルは製剤の総重量の約10%、及び製剤の総重量のヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトールは約10%である。
【0017】
さらに他の態様としては、本発明は、桂皮油、ジアリルジスルフィド、大豆油、乳酸エチル及びヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトールを含む農業利用に適した製剤を提供し、ここで該製剤は、有機溶媒、界面活性剤又は洗剤を含まない。好ましい態様としては、桂皮油及びジアリルジスルフィドの総重量%が製剤の総重量の約50%である。
他の態様としては、本発明は、植物に請求項記載の製剤の有効量を適用することを含む、少なくとも1つの病原体から植物を保護する方法を提供する。1つの態様としては、病原体が線虫である。
使用において、桂皮油は、1 ppmないし5000 ppmの範囲の用量で植物に用いられ、好ましくは、1 ppmないし1000 ppmであり、ジアリルスルフィドは、0.01ないし1000 ppm、好ましくは1ないし100 ppmの範囲で植物に適用される。
【0018】
ある態様としては、植物はキュウリであり;異なる態様としては、植物はメロンであり;さらに異なる態様としては、植物はトマトである。
ある態様としては、製剤の適用は、スプレーにより行われる。
ある態様としては、有効量は、許容されるレベルの瘤形成に抑えるのに十分な量である。
異なる態様としては、有効量は、ピチウム属菌(Pythium)の増殖を阻害するのに十分な量である。
さらに異なる態様としては、有効量は、リゾクトニア菌(Rhizoctonia)の増殖を阻害するのに十分な量である。
さらに異なる態様としては、有効量は、スクレロティニア属(Sclerotinia)の増殖を阻害するのに十分な量である。
これらの代表的な態様は、本発明を限定するものでなく、単に本発明のある態様を説明するために記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は一般的に、桂皮油、ジアリルジスルフィド、少なくとも1つが大豆油、オレイン酸メチル、乳酸エチル及び大豆油メチルエステルからなる群から選択される溶媒、及び乳化剤を含む農業利用に適した製剤に関連し、ここで、該製剤は有機溶媒、界面活性剤、又は洗剤を含まない。
発明はさらに請求項に記載の製剤の有効量を植物の部位、土壌、又は植物の種子に投与することを含み、少なくとも1つの病原体から植物から保護する方法に関連する。語句「植物を保護すること」とは、病原体を殺し、及び/又はその成長を遅らせ、又は捕捉することに関与し、1つ以上の病原体の成長を制御することを意味する。代表的な病原体には、以下に限定されないが、線虫、ピチウム属菌(Pythium)、リゾクトニア菌(Rhizoctonia)及びスクレロティニア属(Sclerotinia)がある。
【0020】
1つの態様としては、本発明は、桂皮油、ジアリルジスルフィド、及び、大豆油、オレイン酸メチル、乳酸エチル、及び大豆油メチルエステルからなる群から選択され、及び乳化剤を含む農業利用に適した製剤を提供し、ここで該製剤は、有機溶媒、界面活性剤又は洗剤を含まない。好ましい態様としては、乳化剤はヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトールである。
好ましい態様としては、桂皮油は製剤の総重量の10ないし50%含まれ、ジアリルジスルフィドは製剤中、3ないし15%含まれ、大豆油は製剤の総重量の30ないし70%含まれ、オレイン酸メチルは製剤の総重量の約10ないし25%含まれ、及びヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトールは製剤の総重量の5ないし15%含まれる。桂皮油のジアリルジスルフィドに対する重量/重量割合は、約3:1ないし約10:1である。
【0021】
より好ましい態様としては、桂皮油は製剤の総重量の約43%含まれ、ジアリルジスルフィドは製剤の約7%含まれ、大豆油は製剤の総重量の約30%含まれ、オレイン酸メチルは製剤の総重量の約10%含まれ、及びヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトールは製剤の総重量の約10%含まれる。
さらに好ましい態様としては、本発明は、桂皮油、ジアリルジスルフィド、大豆油、乳酸エチル、及びヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトールを含む農業利用に適した製剤を提供し、ここで該製剤は、有機溶媒、界面活性剤又は洗剤を含まない。好ましい態様としては、桂皮油とジアリルジスルフィドを加えた総重量%は、製剤の総重量の約50%である。
【0022】
本発明の方法としては、請求項記載の製剤の有効量を植物が成長すべき、宿主植物の部位、土壌に、それが成長すべき基質又はそのような処置を必要とする植物の種子に適用することにより行われる。語句「有効量」は、望ましい効果を提供するための製剤の十分な用量である。用量は、当業者が知りうる、特定の植物、侵入の程度、及び他の因子により変動する。
抗病原性製剤の有効性を決定するために当業者が通常用いる試験は、LC50である。この数字は、50%の病原体が死亡する活性成分の濃度を表す。
【0023】
製剤は、液体、溶液、懸濁液の濃縮形態により、スプレー、注入、浸漬、化学散布等により適用される。それらは、例えば、散布スケジュールの一部として又は別々の適用において、適切な天然の溶媒中、溶液を希釈する形態により行われる。
【0024】
1つの態様としては、有効量は、瘤形成を許容される限度にするのに十分な用量である。
他の態様としては、有効量は、ピチウム属菌(Pythium)の成長を阻害するのに十分な用量である。
さらに他の態様としては、有効量は、リゾクトニア菌(Rhizoctonia)の成長を阻害するのに十分な用量である。
さらに他の態様としては、有効量は、スクレロティニア属(Sclerotinia)の成長を阻害するのに十分な用量である。
本発明の1つの態様としては、本発明において使用される製剤は、桂皮油1 ppmないし5000 ppmであり;好ましくは、桂皮油1 ppmないし1000 ppmであり、最も好ましくは桂皮油1 ppmないし500 ppmである。
本明細書中、用量、重量%等の全ての数値は、プラスマイナス10%の「約(about)」「約(approximate)」の数値であると定義される。それゆえ、請求項に記載の数値の10%以内の用量が請求の範囲において明確に含まれる。
以下の実施例は、説明の目的で提示されるにすぎず、添付される請求項により示される発明の範囲の限定を目的とするものではない。
【実施例1】
【0025】
桂皮油及びジアリルジスルフィドが合わせて50%である製剤の調製
以下の量の成分を、リストに示した順序で加え、均一になるまでマグネティックスターラーでよく混合した。
製剤の総重量の43.0 %の桂皮油;
ジアリルジスルフィド7 %;
製剤の総重量の30.0 %の大豆油;
総重量の10.0 %のオレイン酸メチル;及び
総重量の10.0 %のヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトール乳化剤
【実施例2】
【0026】
温室の植木鉢での試験における、桂皮油及びジアリルジスルフィドが合わせて50%である製剤の適用
試験は、砂と土が2:1の混合物の低温殺菌していない125グラム及び、第1の本葉段階にある、キュウリ(Straight Eight種)の苗2つを含む、2インチの植木鉢において行った。各処置ごとに、4つの複製植木鉢で行った。試験物質は、25ミリリットルの水系分散剤に各鉢を浸すことにより適用した。試験物質を適用して数時間後、無処置コントロールを除き、孵化したばかりのサツマイモネコブ線虫の第二段階の幼虫(J2)800匹を各鉢に適用した。鉢を試験中に必要な標準的な温室の温度、光源の設定、及び水分量で12-15日間維持した。収穫の際、根を水で洗浄して、土を根から除去した。続いて、根の瘤形成の割合を0-9のスケールで分類し、ここで0は瘤なし、9は重度の瘤形成をしていることを表す。
【表1】

【実施例3】
【0027】
温室の植木鉢での試験による(合計)50%の桂皮油及びアリルジスルフィドの相乗作用
上述の実施例2において例示したのと同様に、2インチの植木鉢において行った。
【表2】

上述の結果は、本発明の殺線虫代謝物及びジアリルスルフィドにおいて相乗効果を示した。前述の詳細な説明における及びその中の実施例は、単に説明のためであり、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならず、本発明は、添付の請求の範囲及びその等価体としてのみ定義される。開示の態様に対する様々な交換及び変更は、当業者にとっては明らかであろう。そのような交換及び変更は、活性薬剤及び賦形剤に限定されず、本発明の精神及び範囲から離れることなく行われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桂皮油、ジアリルジスルフィド、及び大豆油、オレイン酸メチル、乳酸エチル、及び大豆油メチルエステルからなる群から選択される少なくとも一つの溶媒、及び乳化剤を含み、有機溶媒、界面活性剤又は洗剤を含まない、農業利用に適した製剤。
【請求項2】
桂皮油、ジアリルジスルフィド、大豆油、オレイン酸メチル、及び乳化剤を含み、有機溶媒、界面活性剤又は洗剤を含まない、農業利用に適した製剤。
【請求項3】
該乳化剤が、ヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトールである請求項2記載の製剤。
【請求項4】
桂皮油及びジアリルジスルフィドが製剤の総重量の約50%であり、大豆油が製剤の総重量の約30%であり、オレイン酸メチルが製剤の総重量の約10%であり、及びヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトールが製剤の総重量の約10%である請求項3記載の製剤。
【請求項5】
請求項4に記載の、前もって混合しておいた製剤の有効量を使用すること、又は
(a)桂皮油及び/又はその成分シンナムアルデヒド及び
(b)ジアリルジスルフィドの相乗的作用量を、合計用量が植物病原体を経済的に許容できるレベルに制御するのに十分な適用割合を適用し、そのような処置を必要とする植物の部位、土壌又は種に同時投与することを含む、シンナムアルデヒド及びジアリルジスルフィドの両方の植物病原体による植物の傷害を抑制する方法。
【請求項6】
シンナムアルデヒドとジアリルジスルフィドの比が3:1から10:1の範囲である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該病原体が線虫である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
該植物がキュウリである請求項5に記載の方法。
【請求項9】
該植物がメロンである請求項5に記載の方法。
【請求項10】
該植物がトマトである請求項5に記載の方法。
【請求項11】
該製剤が、スプレーによって適用される請求項5に記載の方法。
【請求項12】
該有効量が、経済的に許容されるレベルに瘤形成を抑えるのに十分な量である請求項5に記載の方法。
【請求項13】
該有効量が、経済的に許容されるレベルにピチウム属菌(Pythium)の増殖を阻害するのに十分な量である請求項5に記載の方法。
【請求項14】
該有効量が、経済的に許容されるレベルにリゾクトニア菌(Rhizoctonia)の増殖を阻害するのに十分な量である請求項5に記載の方法。
【請求項15】
該有効量が、経済的に許容されるレベルにスクレロティニア属(Sclerotinia)の増殖を阻害するのに十分な量である請求項5に記載の方法。
【請求項16】
桂皮油及びジアリルジスルフィドが製剤の総重量の50%であり、大豆油が製剤の総重量の約20%であり、乳酸エチルが製剤の総重量の約20%であり、ヘキサオレイン酸ポリエチレンソルビトールが製剤の総重量の約10%である請求項3記載の製剤。

【公表番号】特表2012−505914(P2012−505914A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532269(P2011−532269)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/060940
【国際公開番号】WO2010/045519
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(509319074)バレント・バイオサイエンシーズ・コーポレイション (5)
【氏名又は名称原語表記】VALENT BIOSCIENCES CORPORATION
【Fターム(参考)】