説明

桑の葉入り改良飼料

【課題】粒状または粉末状の桑の葉と、海藻粉末および/または海藻エキスと、吸着物質またはヨモギ粉末を投入攪拌し、木酢液を添加して攪拌して形成する桑の葉入り改良飼料および桑の葉入り改良飼料の製造方法を提供する。
【解決手段】桑の葉入り改良飼料は、粒状または粉末状の桑の葉と、海藻粉末および/または海藻エキスと、吸着物質とを投入攪拌し、木酢液を添加した構成である。また、桑の葉入り改良飼料の製造方法は、攪拌工程と、桑の葉とヨモギの粉末と海藻粉末と吸着物質を投入する粉末原料投入工程と、木酢液からカルボニル成分、メタノール、木タール、木ガスを除去する木酢液精製工程と、精製木酢液と海藻エキスを添加する液体添加工程と、添加後8分〜20分攪拌する攪拌形成工程と、攪拌しながら取り出す攪拌取出し工程とからなる構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状または粉末状の桑の葉と、海藻粉末または海藻エキスと、吸着物質またはヨモギ粉末を混合し、精製木酢液を添加して攪拌して製造する桑の葉入り改良飼料および桑の葉入り改良飼料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バイオエタノール(バイオ燃料)の需要が増え、とうもろこしのニーズが急増しており、2008年にはアメリカ国内の全生産量の半分がエタノール向けに使用されるのではないかとの予測も出てきている。その影響を受けて、とうもろこしを使用した飼料は価格が高騰している。また、日本の配合飼料の主原料となる飼料穀物(とうもろこし、こうりゃん、大麦、小麦等)は、そのほとんどを海外からの輸入に依存しており、純国内飼料自給率は24%しかないのが現状である。とうもろこしの輸入先もほとんどが米国であり、今後はとうもろこしへの転作により、他の飼料穀物に関しても、作付け量が減り、価格上昇へつながる事が予想される。
【0003】
また、BSE(狂牛病)問題により、農林水産省は、牛のせき柱の飼料への利用を禁止した。消費者は自分達の口に入るものの安全性を重視しながら食品を選定するようになってきており、ラベルに賞味期限・消費期限の他に生産流通履歴情報・生年月日・性別・品種などが記載されるように管理されており、消費者が安心して購入し、食べることができように配慮されている。与えられている飼料等についてもその成分の詳細について把握可能になっている。このように、生産情報を表示するうえで、生産者はやはり消費者に公表できるような安全な飼料を与えなければならない実情にある。
【0004】
栄養分その他の有効成分を失わずに、価格の安定化、量産性の面などから、安心して与えられる改良飼料の開発が待たれており、国内での自給率を高めていく必要があると考えられている。
桑の葉は蚕の飼料として有名であるが、古くから薬効もあることが知られており、癌や糖尿病の予防効果、高血圧や血糖値の抑制、滋養強壮、脂質代謝改善、体脂肪抑制、脂肪の排出量増加、便秘改善、殺菌・消炎、ダイエット効果があるとされている。また栄養価が高く最近では人の健康食品としても注目されている。
【0005】
桑の葉にはアミノ酸、たんぱく質、ミネラル、食物繊維、ビタミンが含まれており、人が服用するサプリメントとしても商品化されている安全な素材である。
養鶏を含む畜産用の飼料にしようする素材として考慮した場合、栄養面から見ても、桑の葉はとうもろこしの2〜3倍の栄養分がある。桑は、扇状地のような土地でも生育する植物として知られており、絹の生産に欠かせないもので日本全国にくまなく存在する植物である。近年は周辺諸国の工業の発達により、日本での絹の生産は下火となり、未利用の桑園も多く、蚕の飼料として桑の葉の需要量は限定的であった。桑畑で生育する桑の葉の利用については利用方法に関する開発が伴わないのが現状である。
【0006】
飼料の安全性を追求した関連発明として、ヨモギを添加した飼料であって、木酢粉と、ヨモギ粉と、海藻粉末とからなる飼料が開発されているが、添加するヨモギが草花であって、ヨモギの栽培とヨモギ粉の生産が季節と作柄に左右され大量にかつ安定的に供給されない事態が考えられるために、他の素材であって多数の大口の需要に応答して供給可能な大量生産のニーズにあった製品の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開平6−292515号
【特許文献2】特開2005−341828号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記課題である飼料の品質を低下させず、栄養分その他の有効成分を失わずに、安定した価格で、量産性の確保できる製品で、残留農薬の問題を回避して、安心して与えられる改良飼料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本件発明にかかる桑の葉入り改良飼料は、粒状または粉末状の桑の葉と、海藻粉末および/または海藻エキスと、吸着物質とを投入攪拌し、木酢液を添加して攪拌形成した構成である。
また、木酢液の添加前にヨモギ粉末を添加した構成でもある。
さらに、桑の葉と、海藻粉末と、ヨモギ粉末は、メッシュの細かいものから順次投入攪拌した構成である。
また、粒状の桑の葉は、粉末状の桑の葉を圧縮して粒状に形成した構成である。
【0009】
また、木酢液は、木酢液から成長を阻害するカルボニル成分、有害成分であるメタノール、木タール、木ガスを除去した精製木酢液からなる構成である。
さらに、吸着物質は、多孔質構造物質であり、例えば、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、木炭とした構成である。
また、海藻粉末および/または海藻エキスは、例えば、乾燥昆布、海藻わかめ、海藻ホンダワラの粉末またはエキスからなる構成である。
【0010】
本発明にかかる桑の葉入り改良飼料の製造方法は、攪拌工程と、粒状または粉末状の桑の葉とヨモギ粉末と海藻粉末と吸着物質をメッシュの細かいものから投入する粉末原料投入工程と、木酢液からカルボニル成分、メタノール、木タール、木ガスを除去して精製木酢液を生成する木酢液精製工程と、混合された粉末に海藻エキスおよび/または8リットル〜20リットルの精製木酢液を滴下しながら添加する液体添加工程と、添加後8分〜20分攪拌する攪拌形成工程と、攪拌しながら取り出す攪拌取出し工程とからなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る桑の葉入りの改良飼料および桑の葉入り改良飼料の製造方法は、以下の効果がある。
1.粒状または粉末状の桑の葉と、海藻粉末または海藻エキスと、吸着物質とを混合し、精製木酢液を添加して攪拌形成することによって、殺菌・消炎など多くの病気の予防や薬効があり、栄養バランスのよい飼料を提供できる。
2.漢方生薬の一種であるヨモギ粉末を精製木酢液の添加前に添加することによって、抗菌、免疫増強など薬理作用もあるよりよい飼料が提供できる。
3.桑の葉と、海藻粉末と、ヨモギ粉末は、メッシュの細かいものから順次添加混合していくことによって攪拌中に浮上してくるのを未然に防ぐことが出来るので製品の質が安定している。
4.桑の葉の粒状は、粉末状の桑の葉を圧縮して粒状に形成したものを使用することによって扱いやすく、保管しやすい。
【0012】
5.体へ影響のある物質を除去することによって酢酸やフェノールの抗菌、消炎、などの効果がある。また、アスパラギン酸、グルタミン酸が増え、鳥の飼料に木酢液を加えた場合生まれた卵のコレステロールが減少し、卵黄中のビタミンAが約25%、ビタミンEが約50%、ビタミンB12が約15%増加するという効果がある。
6.精製木酢液を吸着物質に含浸粉末化させることによって吸収効率を上げることができる。
7.海藻粉末および/または海藻エキスは、海水中のミネラルやアミノ酸、炭水化物、カルシウム、ビタミン、食物繊維、海藻のぬめり成分のアルギン酸などの栄養成分が多く含まれており、より栄養価の高い飼料を供給できる。
自然界に存在する天然の形であるため、幅広い分野で注目されており、角質層への働きかけにより肌のキメや柔軟性、保湿力の高さ、乾燥を予防するとして化粧品や、髪の毛のツヤや潤いに効果があるとしてシャンプー・リンスなどにも安心して使用されている。
8.攪拌工程と、桑の葉・ヨモギ・海藻類・吸着物質からなる粉末原料投入工程と、木酢液精製工程と、液体添加工程と、攪拌形成工程、攪拌取出し工程という簡易な工法により容易に桑の葉入り改良飼料が製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明に係る桑の葉入り改良飼料および桑の葉入り改良飼料の製造方法について詳述する。
図1は桑の葉入り改良飼料の製造方法に関するものである。
本発明にかかる桑の葉入り改良飼料10は、桑の葉20、海藻粉末32または海藻エキス34からなる海藻類30と、吸着物質40と、木酢液と、ヨモギ粉末とからなる。
また、桑の葉入り改良飼料製造方法100は、攪拌工程105と、粉末原料投入工程110と、木酢液精製工程120と、液体添加工程130と、攪拌形成工程140と、攪拌取出し工程150とからなる。
【0014】
桑の葉入り改良飼料10は、粉末状桑の葉22または桑の葉粒状24の桑の葉20と、海藻粉末32および/または海藻エキス34からなる海藻類30と、吸着物質40とを投入攪拌し、木酢液50を精製した精製木酢液70を添加して攪拌して形成する。また、本発明の別の実施例としての桑の葉入り改良飼料10は、上記にさらにヨモギ粉末60を添加して、桑の葉20と、海藻類30と、吸着物質40と、精製木酢液70と、ヨモギ粉末60とからなる構成であってもよい。ヨモギ粉末を添加する際は、木酢液の添加前にヨモギ粉末を添加する。
桑の葉20は、粉末状桑の葉22または粒状桑の葉24、または、粉末状の桑の葉と粒状の桑の葉との混合であってもよい。
粒状の桑の葉として、粉末状の桑の葉を圧縮して粒状に形成したものを使用している。
【0015】
桑の葉20には18種類のアミノ酸、良質のたんぱく質、ミネラル類では鉄、カルシウム、その他の元素(亜鉛、りん、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、窒素)、食物繊維、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2が含まれている。また、デオキシノジリマイシン(DNJ)は桑の葉特有の成分であり、糖類を分解する酵素作用を阻害し腸内での糖類の消化吸収を遅らせ、食事後の血糖値の上昇を抑制するものとして、人が服用するサプリメントとして商品化されている安全な素材である。
【0016】
各種海藻類を粉砕した海藻粉末32または海藻エキス34を海藻類30として使用しており、例えば、乾燥昆布、海藻わかめ、海藻ホンダワラ等の粉末またはエキスが使用されている。なおこれ以外の海藻を利用することも可能である。
また、海藻類30としては、海藻粉末32と海藻エキス34の両方、または、海藻粉末32だけであっても海藻エキス34だけであってもよい。
【0017】
海藻類30には特有のアルギン酸・フコイダン・ラミナリンなどの多糖類、各種ミネラル・ビタミン・アミノ酸が多く含まれており、代謝組織や臓器の健全化、栄養バランスの改善、体力の増強による発育促進、抗病力・飼料効率の向上、産卵率・孵化率・受胎率・育成率の向上、泌乳促進、乳脂率の向上、乳質、肉質の改善等が期待され飼料に使用されている。
【0018】
また、海藻エキス34を使用することによって、自然界に存在する天然の形で飼料として提供でき、幅広い分野で注目されている。角質層への働きかけにより肌のキメや柔軟性、保湿力の高さ、乾燥を予防するとして化粧品や、髪の毛のツヤや潤いに効果があるとしてシャンプー・リンスなどにも安心して使用されている。
【0019】
この発明にかかる桑の葉入り改良飼料の製造に当たっては、精製木酢液70の添加前に吸着物質40を混合している。
吸着物質としては、多孔質構造の物質が使用されており、例えば、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、木炭等が使用される。なお、これ以外の吸着特性を有する同種の各種物質を代替物質として使うことも可能である。
【0020】
本発明の実施例では木酢液50として精製木酢液70を使用している。精製木酢液70は木酢液50から成長を阻害するカルボニル成分、有害成分であるメタノール、木タール、木ガス等を除去したものである。
【0021】
桑の葉入り改良飼料製造方法100は、攪拌工程105と、粉末原料投入工程110と、木酢液精製工程120と、液体添加工程130と、攪拌形成工程140と、攪拌取出し工程150とからなる。
本発明にかかる桑の葉入り改良飼料製造方法100では、原料となる粉末を投入する工程から完成品の取出しまでの全工程にわたって原料を攪拌しつ続ける攪拌工程105が関与している。
【0022】
粉末原料投入工程110では、まず、原料となる桑の葉粉末22と、海藻粉末32と、吸着物質40を攪拌しながら投入する。
海藻粉末32に替えて、又は海藻粉末32と伴に海藻エキス34を添加することも可能である。
粉末の原料を投入する際には、桑の葉粉末22(または桑の葉粒状24)と海藻粉末32と吸着物質40または/およびヨモギ粉末60の中でメッシュの細かいものから順に攪拌しながら投入していく。これにより攪拌中に原料が攪拌されないまま浮上してくるのを未然に防ぐことが出来るので均質に攪拌ができて製品の質が安定する。
【0023】
木酢液精製工程120は、木酢液50から精製木酢液70を精製する工程であり、木酢液の中に混在する成長を阻害する成分であるカルボニル成分、有害成分であるメタノール、木タール、木ガス等を除去して、精製木酢液を生成する。
【0024】
液体添加工程130では、粉末原料投入工程110により投入攪拌された原料の混合粉末に精製木酢液70を滴下しながら添加する。精製木酢液以外にも海藻エキス34をこの工程で添加することも可能である。添加する精製木酢液の量はこの実施例では、8リットル〜20リットルを添加している。精製木酢液は吸着物質に含浸し、粉末状のまま存在するので、飼料として家畜等に投与する場合に栄養の吸収効率を上げることができる。
【0025】
攪拌成形工程140では、原料粉末と木酢液を添加した状態で一定時間攪拌を継続することにより、桑の葉入り改良飼料を生成する。本発明の実施例では、最終の製品を拡販形成する攪拌形成工程として、8分〜20分間にわたって攪拌する工程が付け加えられる。
【0026】
攪拌成形されて完成した桑の葉入り改良飼料は、攪拌取出し工程150で、攪拌しながら製品として取り出される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】桑の葉入り改良飼料の製造方法
【符号の説明】
【0028】
10 桑の葉入り改良飼料
20 桑の葉
22 桑の葉粉末
24 桑の葉粒状
30 海藻類
32 海藻粉末
34 海藻エキス
40 吸着物質
50 木酢液
60 ヨモギ粉末
70 精製木酢液
100 桑の葉入り改良飼料の製造方法
105 攪拌工程
110 粉末原料投入工程
120 木酢液精製工程
130 液体添加工程
140 攪拌形成工程
150 攪拌取出し工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状または粉末状の桑の葉と、海藻粉末および/または海藻エキスと、吸着物質とを投入攪拌し、木酢液を添加して攪拌形成したことを特徴とする桑の葉入り改良飼料。
【請求項2】
前記桑の葉入り改良飼料は、木酢液の添加前にヨモギ粉末を添加したものであることを特徴とする請求項1記載の桑の葉入り改良飼料。
【請求項3】
前記桑の葉と、海藻粉末と、ヨモギ粉末は、メッシュの細かいものから順次投入攪拌したものであることを特徴とする請求項1記載の桑の葉入り改良飼料。
【請求項4】
前記粒状の桑の葉は、粉末状の桑の葉を圧縮して粒状に形成したものであることを特徴とする請求項1記載の桑の葉入り改良飼料。
【請求項5】
前記木酢液は、木酢液から成長を阻害するカルボニル成分、有害成分であるメタノール、木タール、木ガスを除去した精製木酢液であることを特徴とする請求項1記載の桑の葉入り改良飼料。
【請求項6】
前記吸着物質は、多孔質構造の物質であり、例えば、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、木炭であることを特徴とする請求項1記載の桑の葉入り改良飼料。
【請求項7】
前記海藻粉末および/または海藻エキスは、例えば、乾燥昆布、海藻わかめ、海藻ホンダワラの粉末またはエキスであることを特徴とする請求項1記載の桑の葉入り改良飼料。
【請求項8】
攪拌工程と、粒状または粉末状の桑の葉とヨモギ粉末と海藻粉末と吸着物質をメッシュの細かいものから投入する粉末原料投入工程と、木酢液からカルボニル成分、メタノール、木タール、木ガスを除去して精製木酢液を生成する木酢液精製工程と、混合された粉末に海藻エキスおよび/または8リットル〜20リットルの精製木酢液を滴下しながら添加する液体添加工程と、添加後8分〜20分攪拌する攪拌形成工程と、攪拌しながら取り出す攪拌取出し工程とからなることを特徴とする桑の葉入り改良飼料の製造方法。

【図1】
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