説明

梱包装置

【課題】温水暖房機の室外機などの被梱包物において、熱交換器を配した背面側の一部に温水ユニット等を設けたような、背面に段差を有した形状の被梱包物であっても、保管時の荷重に対する安定性を向上することができる梱包装置を提供する。
【解決手段】トレイ状に形成された底板4と天板8と被梱包物1を保護する保護板6とで構成された梱包装置において、前記保護板6は、前記被梱包物1の保護面側に所定の強度を有する部材を覆うように設けられた段差部3とは反対の端部に、被梱包物1との空間を閉塞し荷重を支持する支柱部7を設けた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に空気調和機や温水暖房機の室外機などの熱交換器を外郭に設けた被梱包物を支持し外力から保護する梱包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来の梱包装置の分解斜視図である。従来の室外機の梱包装置は、図3に示すように被梱包物1の上下を底板4と天板8とで支持し、被梱包物1の背面(熱交換器2側)を保護する保護板6を設け、バンド9で結束したものであり、保管時の荷重は全て被梱包物1で支持されており被梱包物1だけで安定した保管が可能であり、保護板6は荷重を支持しない構造になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−2390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、被梱包物1が温水暖房機の室外機等で、背面の例えば左側の一部に温水ユニット等を設けた形状の場合、背面の右側部分(温水ユニットがない部分)に大きな空間があき、保管時の荷重を均等に被梱包物1で支持することが困難となり、保管時の安定性が悪く保管品質の悪化を招くという課題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、室外機等の被梱包物の背面の一部に温水ユニット等が設けられ、段差のついた背面形状をしていても均等に保管荷重を支持でき、被梱包物の保護も可能な梱包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の梱包装置は、トレイ状に形成された底板と天板と被梱包物を保護する保護板とで構成された梱包装置において、前記保護板は、前記被梱包物の保護面側に設けられた段差部とは反対の端部に、被梱包物との空間を閉塞し荷重を支持する支柱部を設けた構成としたものである。
【0007】
これによって、保護板の支柱部により保管時の荷重を均等に支持し保管時の安定性が向上する。さらに、被梱包物の保護面側への側部からの外部衝撃に対して、支柱部によって保護面側を保護することも可能となる。また、支柱部を設けることで、段差部と支柱部とが左右対称となり、外観的にも美観性を損なうことがない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の梱包装置は、底板、天板に挿入し、底板と天板を連結し被梱包物背面を保護する保護板に筒状の支柱部を一体的に形成した構成としているので、被梱包物背面が段差のついた形状であっても、均等に保管荷重を支持でき、被梱包物の保護も可能な梱包装置を簡単安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における梱包装置の分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態2における梱包装置の要部断面図
【図3】従来例を示す梱包装置の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、トレイ状に形成された底板と天板と被梱包物を保護する保護板とで構成された梱包装置において、前記保護板は、前記被梱包物の保護面側に所定の強度を有する部材を覆うように設けられた段差部とは反対の端部に、被梱包物との空間を閉塞し荷重を支持する支柱部を設けた構成としたことにより、保護板の支柱部で保管時の荷重を均等に支持し保管時の安定性が向上する。さらに、被梱包物の保護面側への側部からの外部衝撃に対して、支柱部によって保護面側を保護することも可能となる。また、支柱部を設けることで、段差部と支柱部とが左右対称となり、外観的にも美観性を損なうことがない。
【0011】
第2の発明は、保護板の支柱部は前記保護板の端部を中空直方体状に巻き込んで一体に形成した構成としたことにより、簡単安価に保護板の支柱部を形成することが可能となる。
【0012】
第3の発明は、保護板の支柱部は底板および天板の内部に配した緩衝材と上下端部が接し、前記保護板の支柱部を形成していない部分の上端部は前記天板との間に空隙を設けた構成としたことにより、保護板の強度の高い支柱部で、被梱包物の保護面の段差部のない側の荷重を受け、保管時の安定性を向上させるとともに、保護板の支柱部を設けていない強度の低い平板状部分については、天板との間に空隙を設け、荷重をかけないようにすることで保護板の変形を防止することができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。従来の構成と同じ部位については、同じ符号を付して説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における梱包装置の分解斜視図である。
【0015】
図1に示すように、温水暖房機の室外機等の被梱包物1は背面の大半を熱交換器2で構成されており、熱交換器2が被梱包物1の外面に露出している。そして、熱交換器2と同一面の左側に縦長の温水ユニット(図示せず)等の所定の強度を有する部材が設けられており、被梱包物1の背面に温水ユニットを覆うように段差部3を形成している。この被梱包物1を梱包する梱包装置は、以下のように構成される。
【0016】
まず、トレイ状に形成された底板4の中に被梱包物1を支持する緩衝材5が挿入され、この底板4の緩衝材5の部分に被梱包物1を設置する。そして、被梱包物1の熱交換器2を保護する保護板6を背面側に設け、底板4に設置する。この保護板6には、端部を中空直方体状に折り込んだ支柱部7を形成しており、被梱包物1の背面側の右端、すなわち段差部3とは反対の端に支柱部7が設置されるように保護板6を底板4に設置する。そして、底板4と同様にトレイ状に形成され中に緩衝材(図示せず)を挿入した天板8を設け、被梱包物1と保護板6の上部に天板8を設置し、被梱包物1と保護板6の支柱部7とが、底板4の緩衝材5と天板8の緩衝材(図示せず)の間に支持された状態で、バンド9にて底板4と天板8とを結束して梱包を完成させる。
【0017】
以上のように、本実施の形態においては、保護板6に支柱部7を設けることで、被梱包物1の背面の段差部3のない側に荷重がかかったとしても、支柱部7で受けることができ、荷重を均等に受けることが可能となり保管時の安定性を向上させることが可能となる。
【0018】
また、支柱部7によって、側部からの外部衝撃による熱交換器2の保護も可能となる。
【0019】
また、支柱部7を設けることで、段差部3と支柱部7とが左右対称となっているので、外観的にも美観性を損なうことがない。
【0020】
さらに、支柱部7は保護板6の端部を中空直方体状に折り込んで形成しているので、簡単安価に本構成を実施可能となる。
【0021】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態における梱包装置の要部断面図である。
【0022】
図2に示すように、底板4と天板8を連結した保護板6は、底板4とその下端部が接しており、支柱部7の下端部は底板4に配した緩衝材5と接している。一方、支柱部7の上端部は天板8に配した緩衝材5と接しているが、支柱部7を形成していない部分の保護板6の上端部は天板8との間に空隙Tを設けた構成としている。
【0023】
以上のように、本実施例の形態においては、保護板6の強度の高い支柱部7で、被梱包物1の背面の段差部3のない側の荷重を受け、保管時の安定性を向上させるとともに、保護板6の支柱部7を設けていない強度の低い平板状部分については、天板8との間に空隙Tを設け、荷重をかけないようにすることで保護板の変形を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明にかかる梱包装置は保護板に支柱部を構成することで被梱包物の保管時の安定性を向上させ、被梱包物の保護機能も向上させるものであり、室外機に限らずあらゆる被梱包物の梱包装置に適用できる。
【符号の説明】
【0025】
1 被梱包物(室外機)
2 熱交換器
3 段差部(温水ユニット)
4 底板
5 緩衝材
6 保護板
7 支柱部
8 天板
9 バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ状に形成された底板と天板と被梱包物を保護する保護板とで構成された梱包装置において、前記保護板は、前記被梱包物の保護面側に所定の強度を有する部材を覆うように設けられた段差部とは反対の端部に、被梱包物との空間を閉塞し荷重を支持する支柱部を設けた構成としたことを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
保護板の支柱部は前記保護板の端部を中空直方体状に巻き込んで一体に形成した構成としたことを特徴とする請求項1に記載の梱包装置。
【請求項3】
保護板の支柱部は底板および天板の内部に配した緩衝材と上下端部が接し、前記保護板の支柱部を形成していない部分の上端部は前記天板との間に空隙を設けた構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−67417(P2013−67417A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208590(P2011−208590)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】