棒寿司の製造方法
【課題】焼いたときに魚からでる脂を有効に生かすことができ、また、ご飯が適度に焦げた香ばしい香りや、パリパリ感を出すことができる棒寿司を提供する。
【解決手段】握りご飯10の長手方向に直交する方向に切れ目(スリット)Sを入れる。この棒状ご飯を、青魚の開き20(具21)が下向き、ブロック11の底部が上向きになるようにして銀紙32に載せ、ブロックの底部を焼いてこれに焦げ目10aを付ける第1焼き工程と、さらに、上下反転して、ブロックの底部が下向き、青魚が上向きとなるようにして銀紙に載せ、前記青魚を炙って滲み出た脂33を銀紙で受け留めてブロックの底部に滲み込ませる第2焼き工程S6と、さらに、上下反転して、青魚が下向き、ブロックの底部が上向きとなるようにして、脂が滲み込んだブロックの底部を焼いてカリカリ感、サクサク感を付与する第3焼き工程とを有する。
【解決手段】握りご飯10の長手方向に直交する方向に切れ目(スリット)Sを入れる。この棒状ご飯を、青魚の開き20(具21)が下向き、ブロック11の底部が上向きになるようにして銀紙32に載せ、ブロックの底部を焼いてこれに焦げ目10aを付ける第1焼き工程と、さらに、上下反転して、ブロックの底部が下向き、青魚が上向きとなるようにして銀紙に載せ、前記青魚を炙って滲み出た脂33を銀紙で受け留めてブロックの底部に滲み込ませる第2焼き工程S6と、さらに、上下反転して、青魚が下向き、ブロックの底部が上向きとなるようにして、脂が滲み込んだブロックの底部を焼いてカリカリ感、サクサク感を付与する第3焼き工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状に握ったご飯の上に青魚の開きを載せて焼く、棒寿司の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
棒寿司としては、穴子の棒寿司がよく知られている(例えば、特許文献1参照)。この穴子の棒寿司は、椎茸ミンチを砂糖,醤油,みりん,酒などと混ぜて煮詰めて作った寿司具と、切った紫蘇の青葉とを混ぜ込んで寿司飯を棒状に形成する。このすし飯の上面に、水,酒,砂糖を用いただし汁に開き身にして煮た後、皮の方のみ焼いた穴子を載せて布巾等で締めて穴子の棒寿司を形成する。さらに、穴子に、とろみを付けた甘だれを塗ったり、棒寿司を長手方向の複数箇所で食べやすい大きさに切ったりする。
【特許文献1】実用新案登録第3049994号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の穴子の棒寿司は、以下のような問題(欠点)があった。すなわち、焼いたときに魚からでる脂を有効に生かすことができず、また、適度に焦げた香ばしい香りや、パリパリ感を出すことができないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、焼いたときに魚からでる脂を有効に生かすことができ、また、ご飯が適度に焦げた香ばしい香りや、パリパリ感を出すことができる棒寿司の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、棒寿司の製造方法に関する。この発明に係る棒寿司は、炊き上がったご飯に味を付ける味付け工程と、味付け後のご飯を握って棒状ご飯とする握り工程と、前記棒状ご飯の上に具材として青魚の開きを載せる載置工程と、前記青魚が載せられた前記棒状ご飯を輪切りにして一口サイズの複数のブロックにする輪切り工程と、複数の前記フロックを並べて、上下反転し、前記青魚が下向き、前記ブロックの底部が上向きになるようにして銀紙に載せ、前記ブロックの底部を焼いてこれに焦げ目を付ける第1焼き工程と、前記第1焼き工程後の前記ブロックを、上下反転して、前記ブロックの底部が下向き、前記青魚が上向きとなるようにして前記銀紙に載せ、前記青魚を炙って染み出た脂を前記銀紙で受け留めて前記ブロックの底部に滲み込ませる第2焼き工程と、前記第2焼き工程後の前記ブロックを、上下反転して、前記青魚が下向き、前記ブロックの底部が上向きとなるようにして、脂が滲み込んだ前記ブロックの底部を焼いてカリカリ感を付与する第3焼き工程と、を有する、ことを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る棒寿司の製造方法において、前記味付け工程において、調味料としての、だし,醤油,酒,みりん等を混ぜる外に、ゴマ及び細かく切った大葉を混ぜる、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る棒寿司の製造方法において、前記握り工程と前記載置工程との間に、前記棒状ご飯の上に大葉を載せる大葉載置工程を有する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、第1焼き工程で、青魚が下向きで、ブロックの底部が上向きの状態で、銀紙に載せて右方から火を出して焼くことにより、ブロックの底部を焦がすことができる。次に、第2焼き工程において、ブロックを上下反転して、ブロックの底部が下向き、青魚が上向きとなるようにして銀紙に載せ、青魚を炙って滲み出た脂を銀紙で受け留めてブロックの底部に滲み込ませ、さらに、第3焼き工程で、ブロックを、上下反転して、青魚が下向き、前記ブロックの底部が上向きとなるようにして、脂が滲み込んだブロックの底部を焼いて香ばしい香りと、カリカリ感とを付与することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、ゴマや大葉により、味や風味を一層高めることができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、さらに、大葉の味や風味を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
【0012】
図1〜図11を参照して、本発明に係る棒寿司1の製造方法の一例を説明する。このうち、図1は、できあがった(焼上がった)棒寿司1全体を示す斜視図である。図2は、できあがった棒寿司1を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図である。図3は、できあがった棒寿司1を、その長手方向に直交する方向に切ったときの1つのブロック11を示す斜視図である。図4は、1つのブロック11を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図である。図5は、味付け工程S1を説明する図である。図6は、握り工程S2を説明する模式図である。図7は、載置工程S3を説明する模式図である。図8は、輪切り工程S4を説明する模式図である。図9は、第1焼工程S5を説明する模式図である。図10は、第2焼工程S6を説明する模式図である。図11は、第3焼工程S7を説明する模式図である。
【0013】
図1〜図4に示すように、できあがった棒寿司1は、角柱状に握られた棒状ご飯10と、この棒状ご飯の上面に載置された青魚の開き20とを有している。棒状ご飯10は、長手方向に直交する方向に切れ目Sが入れられており、一口サイズのご飯のブロック11に切り分けられている。また、開き20も、棒状ご飯10とともに切れ目Sが入れられて、ブロック11にあったサイズの具21となっている。
【0014】
味付け工程S1においては、米1合に水195mlの割合で炊き上げたご飯を、図5に示すように容器30にあけ、このご飯に、例えば、市販のそばつゆ25mlを入れてよく混ぜ合わせる。なお、味付けは、これに限定されず、例えば、容器30に、炊き上がったご飯12を入れ、調味料として、だし,醤油,酒,みりん等の調味料を混ぜ、さらに、ゴマや細かく切った大葉等を入れて混ぜ合わせるようにしてもよい。ここで、ご飯12として炊き込みご飯を使用しない理由は、炊き込みご飯は、炊いたときにお焦げができやすく、このお焦げが不均一となるため、棒寿司1ができあがったときに見栄えを悪くするからである。そこで、本発明においては、炊き上がった白ご飯12に味付けをするようにしている。味付けしたご飯12は、時間をかけて十分にさます。
【0015】
なお、炊き込みご飯を使用することも可能である。この場合には、例えば、米3合に対して、だし汁450ml、醤油30g、酒30g、みりん30g、砂糖20gを加えて炊く。炊き込みご飯を使用する場合には、炊き上がったご飯をさました後に、白ゴマ20gを入れるとよい。
【0016】
握り工程S2においては、図6に示すように、混ぜ合わせた後のご飯12を、角柱状(棒状)に握って、棒状ご飯10を形成する。なお、角柱状に換えて、例えば、円柱状や楕円柱状に形成してもよい。棒状ご飯10の量としては、例えば、青魚が一般的な大きさのサンマの開きである場合には、190g程度の棒状ご飯10を使用する。
【0017】
載置工程S3において、図7に示すように、棒状ご飯10の上面に塩を付けた魚の開き20を載せる。このとき、開き20は、身に対して皮が上側に位置するようにする。なお、塩を付けた魚に代えて、塩気のない魚を載せた後に、表面に軽く塩を降るようにしてもよい。開き20を棒状ご飯10の上面に載せる際、皮に、例えば、楊枝等によって複数の孔をあけるようにすると、焼き上がった開きが縮みにくくすることができる。開き20としては、焼いた(炙った)ときに脂がでる、青味の魚、例えば、サンマ、鯖、アジ、鰯等を使用すると好適である。なお、開き20を載せる前に、大葉(不図示)を棒状ご飯10の上面に載せ、この大葉の上に開き20を載せるようにしてもよい。このとき載せる大葉は、例えば、青魚が上述のサンマの開きで、190gの棒状ご飯を使用する場合には、3枚程度が好適である。
【0018】
輪切り工程S4においては、図8に示すように、握りご飯10の長手方向に直交する方向に切れ目(スリット)Sを入れる。同図に示す例では、切れ目Sを5本入れて、棒状ご飯10をほぼ6つのブロック11としている。これに合わせて、開き20も6等分される。なお、この6等分された1つを具21というものとする。このように、後述の第1焼き工程S5の前に、輪切り工程S4を入れる、つまり、焼く前に切る理由は、切らないで焼いた場合には、開き20全体が縮まってしまって、握りご飯10の上面よりも小さくなって、握りご飯10に対して開き20が偏ったり、見栄えが悪くなったりするのを防ぐためである。本発明のように、切った後に焼いた場合には、たとえ、開き20が縮んだとしても、ご飯のブロック11に対応する大きさの具21ごとに縮むので、縮んだことが目立たないようにすることができる。
【0019】
第1焼き工程S5においては、図9に示すように、開き20(具21)を下向きに、また、棒状ご飯10(ブロック11)の底部を上向きにして銀紙32に載せ、例えば、オーブンに入れて上方から火を当てて焼く(炙る)。これにより、各ブロック11の底部に焦げ目10aを付ける。第1焼き工程S5は、焦げ目10aがきつね色になるまで、例えば、10分間程度行う。この第1焼き工程S5において、具21から滲み出した脂33は、銀紙32上に溜まる。
【0020】
第2焼き工程S6においては、図10に示すように、上下反転し、ブロック11の焦げ目10aを下向きにして銀紙32に接触させ、また、具21を上向きにして銀紙32に載せて、オーブンに入れて上方から火を当てて焼く(炙る)。ブロック11の焦げ目10aが銀紙32に接触することにより、上述の第1焼き工程S5において銀紙32上に溜まった脂33がブロック11の焦げ目10aに滲み込む。さらに、この第2焼き工程S6において、上向きで炙られた具21から滲み出した脂33は、ブロック11に染み込みながら、ブロック11の表面を伝って銀紙32上に溜まり、この脂33がさらに焦げ目10aに滲み込む。第2焼き工程S6は、7分程度行う。
【0021】
第3焼き工程S7においては、図11に示すように、上下反転し、具21を下向き、また、ブロック11の焦げ目10aを上向きにして銀紙32に載せ、オーブンに入れて上方から火を当てて焼く(炙る)。これにより、脂33が滲み込んだ焦げ目10aを焼いて、カリカリ感、サクサク感を付与する。この第3焼き工程S7は、1分程度行えば十分である。
【0022】
第3焼き工程S7が終了した棒寿司1は、上下反転して、皿やトレーに盛りつける。
【0023】
なお、本発明に係る棒寿司の製造方法を適用して製造した棒寿司1を、スーパーやデパートの食料品売り場や、コンビニで販売する場合には、熱を付与するウォームライト等で照射して、常に暖かさを保った状態で販売するのが好ましい。これにより、焦げ目10aのカリカリ感、サクサク感を保つことができる。
【0024】
以上のように、本発明によると、棒状ご飯10(ブロック11)の底部に焦げ目10aを付け、この焦げ目10aに青魚の開き20(具21)からでた脂33を滲み込ませ、さらに、脂33が滲み込んだ焦げ目10aを炙ることで、カリカリ感を付与することができる。
【0025】
なお、以上では、本発明に係る棒寿司の製造方法を、棒寿司1の材料として青魚を使用する場合を例に説明したが、本発明は、青魚以外の魚についても同様に適用することができる。ただし、青魚以外の魚に適用する場合でも、炙ったときに脂が出やすい魚に適用することが好ましい。
【0026】
なお、ご飯を炊く際に調味料等を加えて、味付けご飯を炊き、これを棒状ご飯にすることも可能ではあるが、この場合には、炊きあげ後のご飯にお焦げが発生しやすいので、棒状ご飯にしたときに、不要な部分にお焦げが溜まりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】できあがった(焼上がった)棒寿司全体1を示す斜視図である。
【図2】できあがった棒寿司1を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図である。
【図3】できあがった棒寿司を、その長手方向に直交する方向に切ったときの1つのブロックを示す斜視図である。
【図4】1つのブロックを示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図である。
【図5】味付け工程S1を説明する図である。
【図6】握り工程S2を説明する模式図である。
【図7】載置工程S3を説明する模式図である。
【図8】輪切り工程S4を説明する模式図である。
【図9】第1焼工程S5を説明する模式図である。
【図10】第2焼工程S6を説明する模式図である。
【図11】図11は、第3焼工程S7を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0028】
1 棒寿司
10 棒状ご飯
10a 焦げ目
11 ブロック
20 開き
21 具
31 容器
32 銀紙
S 切れ目〔スリット〕
S1 味付け工程
S2 握り工程
S3 載置工程
S4 輪切り工程
S5 第1焼き工程
S6 第2焼き工程
S7 第3焼き工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状に握ったご飯の上に青魚の開きを載せて焼く、棒寿司の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
棒寿司としては、穴子の棒寿司がよく知られている(例えば、特許文献1参照)。この穴子の棒寿司は、椎茸ミンチを砂糖,醤油,みりん,酒などと混ぜて煮詰めて作った寿司具と、切った紫蘇の青葉とを混ぜ込んで寿司飯を棒状に形成する。このすし飯の上面に、水,酒,砂糖を用いただし汁に開き身にして煮た後、皮の方のみ焼いた穴子を載せて布巾等で締めて穴子の棒寿司を形成する。さらに、穴子に、とろみを付けた甘だれを塗ったり、棒寿司を長手方向の複数箇所で食べやすい大きさに切ったりする。
【特許文献1】実用新案登録第3049994号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の穴子の棒寿司は、以下のような問題(欠点)があった。すなわち、焼いたときに魚からでる脂を有効に生かすことができず、また、適度に焦げた香ばしい香りや、パリパリ感を出すことができないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、焼いたときに魚からでる脂を有効に生かすことができ、また、ご飯が適度に焦げた香ばしい香りや、パリパリ感を出すことができる棒寿司の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、棒寿司の製造方法に関する。この発明に係る棒寿司は、炊き上がったご飯に味を付ける味付け工程と、味付け後のご飯を握って棒状ご飯とする握り工程と、前記棒状ご飯の上に具材として青魚の開きを載せる載置工程と、前記青魚が載せられた前記棒状ご飯を輪切りにして一口サイズの複数のブロックにする輪切り工程と、複数の前記フロックを並べて、上下反転し、前記青魚が下向き、前記ブロックの底部が上向きになるようにして銀紙に載せ、前記ブロックの底部を焼いてこれに焦げ目を付ける第1焼き工程と、前記第1焼き工程後の前記ブロックを、上下反転して、前記ブロックの底部が下向き、前記青魚が上向きとなるようにして前記銀紙に載せ、前記青魚を炙って染み出た脂を前記銀紙で受け留めて前記ブロックの底部に滲み込ませる第2焼き工程と、前記第2焼き工程後の前記ブロックを、上下反転して、前記青魚が下向き、前記ブロックの底部が上向きとなるようにして、脂が滲み込んだ前記ブロックの底部を焼いてカリカリ感を付与する第3焼き工程と、を有する、ことを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る棒寿司の製造方法において、前記味付け工程において、調味料としての、だし,醤油,酒,みりん等を混ぜる外に、ゴマ及び細かく切った大葉を混ぜる、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る棒寿司の製造方法において、前記握り工程と前記載置工程との間に、前記棒状ご飯の上に大葉を載せる大葉載置工程を有する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、第1焼き工程で、青魚が下向きで、ブロックの底部が上向きの状態で、銀紙に載せて右方から火を出して焼くことにより、ブロックの底部を焦がすことができる。次に、第2焼き工程において、ブロックを上下反転して、ブロックの底部が下向き、青魚が上向きとなるようにして銀紙に載せ、青魚を炙って滲み出た脂を銀紙で受け留めてブロックの底部に滲み込ませ、さらに、第3焼き工程で、ブロックを、上下反転して、青魚が下向き、前記ブロックの底部が上向きとなるようにして、脂が滲み込んだブロックの底部を焼いて香ばしい香りと、カリカリ感とを付与することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、ゴマや大葉により、味や風味を一層高めることができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、さらに、大葉の味や風味を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
【0012】
図1〜図11を参照して、本発明に係る棒寿司1の製造方法の一例を説明する。このうち、図1は、できあがった(焼上がった)棒寿司1全体を示す斜視図である。図2は、できあがった棒寿司1を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図である。図3は、できあがった棒寿司1を、その長手方向に直交する方向に切ったときの1つのブロック11を示す斜視図である。図4は、1つのブロック11を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図である。図5は、味付け工程S1を説明する図である。図6は、握り工程S2を説明する模式図である。図7は、載置工程S3を説明する模式図である。図8は、輪切り工程S4を説明する模式図である。図9は、第1焼工程S5を説明する模式図である。図10は、第2焼工程S6を説明する模式図である。図11は、第3焼工程S7を説明する模式図である。
【0013】
図1〜図4に示すように、できあがった棒寿司1は、角柱状に握られた棒状ご飯10と、この棒状ご飯の上面に載置された青魚の開き20とを有している。棒状ご飯10は、長手方向に直交する方向に切れ目Sが入れられており、一口サイズのご飯のブロック11に切り分けられている。また、開き20も、棒状ご飯10とともに切れ目Sが入れられて、ブロック11にあったサイズの具21となっている。
【0014】
味付け工程S1においては、米1合に水195mlの割合で炊き上げたご飯を、図5に示すように容器30にあけ、このご飯に、例えば、市販のそばつゆ25mlを入れてよく混ぜ合わせる。なお、味付けは、これに限定されず、例えば、容器30に、炊き上がったご飯12を入れ、調味料として、だし,醤油,酒,みりん等の調味料を混ぜ、さらに、ゴマや細かく切った大葉等を入れて混ぜ合わせるようにしてもよい。ここで、ご飯12として炊き込みご飯を使用しない理由は、炊き込みご飯は、炊いたときにお焦げができやすく、このお焦げが不均一となるため、棒寿司1ができあがったときに見栄えを悪くするからである。そこで、本発明においては、炊き上がった白ご飯12に味付けをするようにしている。味付けしたご飯12は、時間をかけて十分にさます。
【0015】
なお、炊き込みご飯を使用することも可能である。この場合には、例えば、米3合に対して、だし汁450ml、醤油30g、酒30g、みりん30g、砂糖20gを加えて炊く。炊き込みご飯を使用する場合には、炊き上がったご飯をさました後に、白ゴマ20gを入れるとよい。
【0016】
握り工程S2においては、図6に示すように、混ぜ合わせた後のご飯12を、角柱状(棒状)に握って、棒状ご飯10を形成する。なお、角柱状に換えて、例えば、円柱状や楕円柱状に形成してもよい。棒状ご飯10の量としては、例えば、青魚が一般的な大きさのサンマの開きである場合には、190g程度の棒状ご飯10を使用する。
【0017】
載置工程S3において、図7に示すように、棒状ご飯10の上面に塩を付けた魚の開き20を載せる。このとき、開き20は、身に対して皮が上側に位置するようにする。なお、塩を付けた魚に代えて、塩気のない魚を載せた後に、表面に軽く塩を降るようにしてもよい。開き20を棒状ご飯10の上面に載せる際、皮に、例えば、楊枝等によって複数の孔をあけるようにすると、焼き上がった開きが縮みにくくすることができる。開き20としては、焼いた(炙った)ときに脂がでる、青味の魚、例えば、サンマ、鯖、アジ、鰯等を使用すると好適である。なお、開き20を載せる前に、大葉(不図示)を棒状ご飯10の上面に載せ、この大葉の上に開き20を載せるようにしてもよい。このとき載せる大葉は、例えば、青魚が上述のサンマの開きで、190gの棒状ご飯を使用する場合には、3枚程度が好適である。
【0018】
輪切り工程S4においては、図8に示すように、握りご飯10の長手方向に直交する方向に切れ目(スリット)Sを入れる。同図に示す例では、切れ目Sを5本入れて、棒状ご飯10をほぼ6つのブロック11としている。これに合わせて、開き20も6等分される。なお、この6等分された1つを具21というものとする。このように、後述の第1焼き工程S5の前に、輪切り工程S4を入れる、つまり、焼く前に切る理由は、切らないで焼いた場合には、開き20全体が縮まってしまって、握りご飯10の上面よりも小さくなって、握りご飯10に対して開き20が偏ったり、見栄えが悪くなったりするのを防ぐためである。本発明のように、切った後に焼いた場合には、たとえ、開き20が縮んだとしても、ご飯のブロック11に対応する大きさの具21ごとに縮むので、縮んだことが目立たないようにすることができる。
【0019】
第1焼き工程S5においては、図9に示すように、開き20(具21)を下向きに、また、棒状ご飯10(ブロック11)の底部を上向きにして銀紙32に載せ、例えば、オーブンに入れて上方から火を当てて焼く(炙る)。これにより、各ブロック11の底部に焦げ目10aを付ける。第1焼き工程S5は、焦げ目10aがきつね色になるまで、例えば、10分間程度行う。この第1焼き工程S5において、具21から滲み出した脂33は、銀紙32上に溜まる。
【0020】
第2焼き工程S6においては、図10に示すように、上下反転し、ブロック11の焦げ目10aを下向きにして銀紙32に接触させ、また、具21を上向きにして銀紙32に載せて、オーブンに入れて上方から火を当てて焼く(炙る)。ブロック11の焦げ目10aが銀紙32に接触することにより、上述の第1焼き工程S5において銀紙32上に溜まった脂33がブロック11の焦げ目10aに滲み込む。さらに、この第2焼き工程S6において、上向きで炙られた具21から滲み出した脂33は、ブロック11に染み込みながら、ブロック11の表面を伝って銀紙32上に溜まり、この脂33がさらに焦げ目10aに滲み込む。第2焼き工程S6は、7分程度行う。
【0021】
第3焼き工程S7においては、図11に示すように、上下反転し、具21を下向き、また、ブロック11の焦げ目10aを上向きにして銀紙32に載せ、オーブンに入れて上方から火を当てて焼く(炙る)。これにより、脂33が滲み込んだ焦げ目10aを焼いて、カリカリ感、サクサク感を付与する。この第3焼き工程S7は、1分程度行えば十分である。
【0022】
第3焼き工程S7が終了した棒寿司1は、上下反転して、皿やトレーに盛りつける。
【0023】
なお、本発明に係る棒寿司の製造方法を適用して製造した棒寿司1を、スーパーやデパートの食料品売り場や、コンビニで販売する場合には、熱を付与するウォームライト等で照射して、常に暖かさを保った状態で販売するのが好ましい。これにより、焦げ目10aのカリカリ感、サクサク感を保つことができる。
【0024】
以上のように、本発明によると、棒状ご飯10(ブロック11)の底部に焦げ目10aを付け、この焦げ目10aに青魚の開き20(具21)からでた脂33を滲み込ませ、さらに、脂33が滲み込んだ焦げ目10aを炙ることで、カリカリ感を付与することができる。
【0025】
なお、以上では、本発明に係る棒寿司の製造方法を、棒寿司1の材料として青魚を使用する場合を例に説明したが、本発明は、青魚以外の魚についても同様に適用することができる。ただし、青魚以外の魚に適用する場合でも、炙ったときに脂が出やすい魚に適用することが好ましい。
【0026】
なお、ご飯を炊く際に調味料等を加えて、味付けご飯を炊き、これを棒状ご飯にすることも可能ではあるが、この場合には、炊きあげ後のご飯にお焦げが発生しやすいので、棒状ご飯にしたときに、不要な部分にお焦げが溜まりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】できあがった(焼上がった)棒寿司全体1を示す斜視図である。
【図2】できあがった棒寿司1を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図である。
【図3】できあがった棒寿司を、その長手方向に直交する方向に切ったときの1つのブロックを示す斜視図である。
【図4】1つのブロックを示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図である。
【図5】味付け工程S1を説明する図である。
【図6】握り工程S2を説明する模式図である。
【図7】載置工程S3を説明する模式図である。
【図8】輪切り工程S4を説明する模式図である。
【図9】第1焼工程S5を説明する模式図である。
【図10】第2焼工程S6を説明する模式図である。
【図11】図11は、第3焼工程S7を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0028】
1 棒寿司
10 棒状ご飯
10a 焦げ目
11 ブロック
20 開き
21 具
31 容器
32 銀紙
S 切れ目〔スリット〕
S1 味付け工程
S2 握り工程
S3 載置工程
S4 輪切り工程
S5 第1焼き工程
S6 第2焼き工程
S7 第3焼き工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊き上がったご飯に味を付ける味付け工程と、
味付け後のご飯を握って棒状ご飯とする握り工程と、
前記棒状ご飯の上に具材として青魚の開きを載せる載置工程と、
前記青魚が載せられた前記棒状ご飯を輪切りにして一口サイズの複数のブロックにする輪切り工程と、
複数の前記ブロックを並べて、上下反転し、前記青魚が下向き、前記ブロックの底部が上向きになるようにして銀紙に載せ、前記ブロックの底部を焼いてこれに焦げ目を付ける第1焼き工程と、
前記第1焼き工程後の前記ブロックを、上下反転して、前記ブロックの底部が下向き、前記青魚が上向きとなるようにして前記銀紙に載せ、前記青魚を炙って滲み出た脂を前記銀紙で受け留めて前記ブロックの底部に滲み込ませる第2焼き工程と、
前記第2焼き工程後の前記ブロックを、上下反転して、前記青魚が下向き、前記ブロックの底部が上向きとなるようにして、脂が滲み込んだ前記ブロックの底部を焼いてカリカリ感を付与する第3焼き工程と、を有する、
ことを特徴とする棒寿司の製造方法。
【請求項2】
前記味付け工程において、調味料としての、だし,醤油,酒,みりん等を混ぜる外に、ゴマ及び細かく切った大葉を混ぜる、
ことを特徴とする請求項1に記載の棒寿司の製造方法。
【請求項3】
前記握り工程と前記載置工程との間に、前記棒状ご飯の上に大葉を載せる大葉載置工程を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の棒寿司の製造方法。
【請求項1】
炊き上がったご飯に味を付ける味付け工程と、
味付け後のご飯を握って棒状ご飯とする握り工程と、
前記棒状ご飯の上に具材として青魚の開きを載せる載置工程と、
前記青魚が載せられた前記棒状ご飯を輪切りにして一口サイズの複数のブロックにする輪切り工程と、
複数の前記ブロックを並べて、上下反転し、前記青魚が下向き、前記ブロックの底部が上向きになるようにして銀紙に載せ、前記ブロックの底部を焼いてこれに焦げ目を付ける第1焼き工程と、
前記第1焼き工程後の前記ブロックを、上下反転して、前記ブロックの底部が下向き、前記青魚が上向きとなるようにして前記銀紙に載せ、前記青魚を炙って滲み出た脂を前記銀紙で受け留めて前記ブロックの底部に滲み込ませる第2焼き工程と、
前記第2焼き工程後の前記ブロックを、上下反転して、前記青魚が下向き、前記ブロックの底部が上向きとなるようにして、脂が滲み込んだ前記ブロックの底部を焼いてカリカリ感を付与する第3焼き工程と、を有する、
ことを特徴とする棒寿司の製造方法。
【請求項2】
前記味付け工程において、調味料としての、だし,醤油,酒,みりん等を混ぜる外に、ゴマ及び細かく切った大葉を混ぜる、
ことを特徴とする請求項1に記載の棒寿司の製造方法。
【請求項3】
前記握り工程と前記載置工程との間に、前記棒状ご飯の上に大葉を載せる大葉載置工程を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の棒寿司の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−178722(P2010−178722A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27680(P2009−27680)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(509039770)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(509039770)
【Fターム(参考)】
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