説明

棒状ワーク先端の球状成型加工装置および球状成型加工方法

【課題】 棒状ワーク先端の球状加工を自動化し、加工品質の均一化、加工処理数の安定化と大量生産化、および安全性の向上を図った棒状ワーク先端の球状成型加工装置および球状成型加工方法を提供すること。
【解決手段】 ガラスファイバ先端の球状成型加工装置は、3つのガラスファイバ21をそれぞれ保持可能な4つのファイバ保持部22〜25と、ガラスファイバ21先端を加熱して球状に成型加工するガスバーナと、各ファイバ保持部を、ガラスファイバ21を同保持部に保持させる第1位置、保持されたガラスファイバ21先端をガスバーナにより加熱する第2位置、同先端が球状に成型加工されたガラスファイバ21を冷却する第3位置、および、加工済みのガラスファイバ21をファイバ保持部から外して収納する第4位置の4つの位置に順に移動させる回転台27と、回転台27を駆動するモータとを備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円柱形のガラスファイバ、金属製或いはプラスチック製丸棒等の棒状ワークの先端を球状に成型加工する棒状ワーク先端の球状成型加工装置および加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、半径方向に中心から周辺にかけて放物線状の屈折率分布を持つ屈折率分布型ロッドレンズが、複写機、LEDプリンタ、画像読取り装置等の各種OA機器や光通信システム等の光学系に広く使用されている。このような屈折率分布型ロッドレンズにおける屈折率分布を形成する方法として、イオン交換法が知られている。このイオン交換法では、図10に示すように、均質な高屈折率ガラスからなる円柱形のガラスファイバ11を溶融塩12中に浸漬し、ガラスを高屈折率化している元素と溶融塩中のアルカリ金属イオン等とを交換し、ガラスファイバ11周縁部を低屈折率化し、屈折率分布を形成する。このとき、高温の溶融塩12中にガラスファイバ11を保持するために、ガラスファイバ11の先端をファイバ径より径の大きい球状(球状部11a)に加工する。そして、このガラスファイバ11の軸部を同軸部よりやや大きい径の孔をもつ金属板13等に通してその球状部11aを金属板13等に係止させることで、ガラスファイバ11が溶融塩12中に吊り下げられる。
【0003】このようなガラスファイバ11先端の球状部11aは、従来次のような方法で作られていた。まず、酸素・アセチレンガスバーナを固定台に一定角度で固定し、酸素、アセチレンのガス量を調節して一定形状の炎を形成する。作業者がガラスファイバを持ってその先端を炎に当て、ガラスファイバを回転させながらその先端を加熱溶融させることで、その先端を直径約3mmの球状に成型加工する。続いて、ガラスファイバ先端の形状(球状)を保持するために、ガラスファイバを回転させながら炎から遠ざけ、ガラスファイバを大気中でしばらく冷却する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来のガラスファイバ先端の成型方法では、次のような問題点がある。
【0005】(1)ガラスファイバ先端を球状に成型加工する作業を作業者が手作業で行なうので、その先端の加工形状が作業者によって異なり、加工品質にバラツキが生じる。(2)加工時間は作業者の熟練度に依存し作業者毎に異なるため、単位時間当たりの加工処理数の管理とその数を増やすのが難しい。(3)作業者がガラスファイバ先端を溶接用酸素アセチレンバーナの炎に当てて加工する際に、作業者の手が炎に近づくので、作業安全性が低い。
【0006】本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、棒状ワーク先端の球状加工を自動化し、加工品質の均一化、加工処理数の安定化と大量生産化、および安全性の向上を図った棒状ワーク先端の球状成型加工装置および加工方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、棒状ワーク先端を球状に成型加工する棒状ワーク先端の球状成型加工装置であって、少なくとも1つの棒状ワークを保持可能なワーク保持手段と、前記棒状ワーク先端を加熱して球状に成型加工する加熱手段と、前記ワーク保持手段を、前記棒状ワークを同保持手段に保持させる第1位置、同保持手段により保持された前記棒状ワーク先端を前記加熱手段により加熱する第2位置、同先端が球状に成型加工された棒状ワークを冷却する第3位置、および、加工済みの棒状ワークを前記保持手段から外して収納する第4位置の4つの位置に順に移動させる移動手段と、該移動手段を駆動する駆動手段とを備えることを要旨とする。
【0008】この構成によれば、ワーク保持手段が第1位置にあるとき、同保持手段に棒状ワークを保持させる。この後、駆動手段により移動手段を駆動してワーク保持手段を第2位置に移動させ、棒状ワーク先端を加熱手段により加熱してその先端を球状に成型加工する。この後、駆動手段により移動手段を駆動してワーク保持手段を第3位置に移動させ、先端が球状に成型加工された棒状ワークを冷却する。この後駆動手段により移動手段を駆動してワーク保持手段を第4位置に移動させ、加工済みの棒状ワークを同保持手段から外して収納する。このように、移動手段を駆動手段により駆動してワーク保持手段を第1位置から第4位置まで順に移動させることで、棒状ワーク先端の球状加工を自動で行うことができる。これにより、(1)棒状ワーク先端の球状加工の自動化が可能になる。(2)上記従来技術のように加工品質にバラツキが生じるのを抑制でき、加工品質の均一化を図れる。(3)第1位置にてワーク保持手段に棒状ワークを保持させてから、第4位置にて加工済みの棒状ワークをワーク保持手段から外すまでの時間、すなわち加工時間が一定する。このため、単位時間当たりの加工処理数の管理とその数を増やすのが容易になる。(4)第2位置では、ワーク保持手段により保持された棒状ワーク先端を加熱手段により加熱してその先端を球状に成型加工するので、作業安全性が高くなる。
【0009】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置において、前記移動手段は、前記駆動手段により一定角度ずつ間欠的に回転して前記ワーク保持手段を前記4つの位置に順に移動させる回転台であることを要旨とする。
【0010】この構成によれば、移動手段を、駆動手段により一定角度ずつ間欠的に回転してワーク保持手段を4つの位置に順に移動させる回転台とすることで、回転台の周囲に加熱手段等の各種設備を配置できるので、装置全体の小型化を図ることができ、装置の占有スペースを小さくすることができる。
【0011】請求項3に係る発明は、請求項2に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置において、前記回転台には、前記ワーク保持手段が一定角度毎に設けられていることを要旨とする。
【0012】この構成によれば、回転台にワーク保持手段が一定角度毎に設けられているので、回転台が1回転する間に、各ワーク保持手段が棒状ワークの保持から加工済み棒状ワークの搬出までの1サイクルを完了することができる。例えば、一定角度を90度とし、回転台に4つのワーク保持手段を設ける場合には、移動台が1回転する間に、各ワーク保持手段が前記1サイクルの作業を完了することになる。これにより、移動台が1回転する間での加工処理数、すなわち単位時間当たりの加工処理数をさらに増やすことができる。
【0013】請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置において、前記ワーク保持手段は、複数の前記棒状ワークを保持する複数のワーク保持治具を備え、該各ワーク保持治具は、前記第1位置では水平姿勢をとり、前記棒状ワークを保持穴で受けて保持するとともに、前記第2位置では前記棒状ワーク先端を上方へ向ける垂直姿勢をとるように回動可能に設けられていることを要旨とする。
【0014】この構成によれば、ワーク保持手段に設けた複数のワーク保持治具は、第1位置では水平姿勢をとるので、複数の棒状ワークを水平に並べて対応する各ワーク保持治具の保持穴に向けて押すことにより、複数の棒状ワークを対応する各ワーク保持治具に容易に保持させることができる。また、ワーク保持治具は、第2位置では保持した棒状ワーク先端を上方へ向けるので、その先端を加熱手段により加熱しやすくなる。
【0015】請求項5に係る発明は、請求項4に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置において、前記複数のワーク保持治具は、前記第2位置で前記複数の棒状ワーク先端を前記加熱手段により加熱する際に、各々が保持している棒状ワークを軸回りに回転させることを要旨とする。
【0016】この構成によれば、ワーク保持治具は、第2位置で各棒状ワーク先端を加熱手段により加熱する際に、各棒状ワークを軸回りに回転させるので、各棒状ワーク先端が加熱手段により均一に加熱され、加工品質がさらに向上する。
【0017】請求項6に係る発明は、請求項4又は5に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置において、前記第1位置には、前記複数の棒状ワークを対応する前記各ワーク保持治具の保持穴と一致するように整列させる整列台と、前記複数の棒状ワークをその先端位置が揃うように前記各保持穴に向けて押すワーク送り板とが設けられていることを要旨とする。
【0018】この構成によれば、第1位置にて、整列台により複数の棒状ワークを対応する各ワーク保持治具の保持穴と一致するように整列させ、ワーク送り板により複数の棒状ワークをその先端位置が揃うように各保持穴に向けて押す。このため、第1位置において複数本の棒状ワークを対応する各ワーク保持治具に自動で保持させることができる。また、複数のワーク保持治具は、複数の棒状ワークをその先端位置が揃うように保持するので、第2位置にて各棒状ワーク先端を加熱手段により加熱する際における加熱手段の位置決めが容易になる。
【0019】請求項7に係る発明は、請求項6に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置において、前記整列台は、前記複数の棒状ワークが対応する前記各ワーク保持治具の保持穴に向けて投入される方向に所定間隔で基板に複数個設けられており、これらの整列台のうち、前記ワーク送り板が前記複数の棒状ワークを前記複数のワーク保持治具の保持穴に向けて押す際に、同ワーク送り板の移動領域内にある整列台は、その移動領域外へ退避可能に構成されていることを要旨とする。
【0020】この構成によれば、複数の整列台のうち、ワーク送り板が複数の棒状ワークを複数のワーク保持治具の保持穴に向けて押す際に、同ワーク送り板の移動領域内にある整列台は、その移動領域外へ退避する。これにより、ワーク送り板は整列台により移動を妨げられることなく複数の棒状ワークを複数のワーク保持治具による保持位置まで押すことができる。
【0021】請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置において、前記加熱手段は、前記ワーク保持手段が前記第2位置に位置するのに同期して同保持手段に保持された前記棒状ワーク先端を加熱するのに最適な加熱位置に退避位置から移動可能に構成されていることを要旨とする。
【0022】この構成によれば、加熱手段を、ワーク保持手段が第2位置に位置するのに同期して同保持手段に保持された棒状ワーク先端を加熱するのに最適な加熱位置に移動させるので、加熱手段による棒状ワーク先端の球状成型を自動で行なうことができる。
【0023】請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置において、前記第4位置には、加工済みの棒状ワークを、球状に成型加工された同ワーク先端の球状部を引っ掛けて前記ワーク保持手段から引き出す引き出し治具が設けられていることを要旨とする。
【0024】この構成によれば、第4位置において、引き出し治具により加工済みの棒状ワーク先端の球状部を引っ掛けて棒状ワークをワーク保持手段から自動で引き出すことができる。これにより、棒状ワークの保持から加工済みの棒状ワークの取り出しまでを自動で行うことができる。
【0025】請求項10に係る発明は、請求項9に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置において、前記第4位置には、前記引き出し治具により引き出された加工済みの前記棒状ワークを収納トレイへ送る案内手段とが設けられており、該案内手段は、前記引き出された加工済みの棒状ワークを受けて搬送するコンベアと、該コンベアにより搬送される前記棒状ワークを傾斜を利用して斜め下方へ案内する上側傾斜板、該上側傾斜板により案内される前記棒状ワークを受け、その棒状ワークが所定量になるとその重量で回転する回転トレイとを備え、該回転トレイの回転により同回転トレイに溜まった棒状ワークが前記収納トレイ内へ送られるように構成されていることを要旨とする。
【0026】この構成によれば、第4位置において、引き出し治具により引き出された加工済みの棒状ワークを案内手段により収納トレイに順次自動で収納させることができる。また、加工済みの棒状ワークを収納トレイに収納させるのに、コンベアを除き、案内手段には電気等の一切のエネルギを使う必要がなく、ランニングコストを低減することができる。
【0027】請求項11に係る発明は、棒状ワーク先端を球状に成型加工する棒状ワーク先端の球状成型加工方法であって、少なくとも1つの棒状ワークを保持可能なワーク保持手段を第1位置に移動させて前記ワーク保持手段に棒状ワークを保持させる工程と、前記ワーク保持手段を前記第1位置から第2位置に移動させ、この第2位置で前記ワーク保持手段に保持された棒状ワーク先端を加熱して球状に成型加工する加熱工程と、前記ワーク保持手段を前記第2位置から第3位置へ移動させ、この第3位置で先端が球状に成型加工された棒状ワークを冷却する冷却工程と、前記ワーク保持手段を前記第3位置から第4位置へ移動させ、この第4位置で加工済みの棒状ワークを同保持手段から外して収納する収納工程とを備えることを要旨とする。
【0028】この構成によれば、ワーク保持手段を第1位置に移動させて同保持手段に棒状ワークを保持させる。この後、ワーク保持手段を第2位置に移動させ、棒状ワーク先端を加熱して球状に成型加工する。この後、ワーク保持手段を第3位置に移動させ、先端が球状に成型加工された棒状ワークを冷却する。この後、ワーク保持手段を第4位置に移動させ、加工済みの棒状ワークを同保持手段から外して搬出する。このように、ワーク保持手段を第1位置から第4位置まで順に移動させることで、棒状ワーク先端の球状加工を自動で行うことができる。これにより、(1)棒状ワーク先端の球状加工の自動化が可能になる。(2)上記従来技術のように加工品質にバラツキが生じるのを抑制でき、加工品質の均一化を図れる。(3)第1位置にてワーク保持手段に棒状ワークを保持させてから、第4位置にて加工済みの棒状ワークをワーク保持手段から外すまでの時間、すなわち加工時間が一定する。このため、単位時間当たりの加工処理数の管理とその数を増やすのが容易になる。(4)第2位置では、ワーク保持手段により保持された棒状ワーク先端を加熱してその先端を球状に成型加工するので、作業安全性が高くなる。
【0029】請求項12に係る発明は、請求項11に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工方法において、前記ワーク保持手段を一定角度ずつ間欠的に回転させて前記ワーク保持手段を前記4つの位置に順に移動させることを要旨とする。
【0030】この構成によれば、ワーク保持手段を一定角度ずつ間欠的に回転させて同保持手段を4つの位置に順に移動させることで、ワーク保持手段の回転方向に沿って各種設備を配置できるので、装置全体の小型化を図ることができ、装置の占有スペースを小さくすることができる。
【0031】請求項13に係る発明は、請求項11又は12に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工方法において、前記ワーク保持手段に前記棒状ワークを保持させる工程では、複数の前記棒状ワークを該各ワークの先端位置が揃うように前記ワーク保持手段に保持させることを要旨とする。
【0032】この構成によれば、複数の棒状ワークを該各ワークの先端位置が揃うようにワーク保持手段に保持させるので、第2位置にて各棒状ワーク先端を加熱手段により加熱する際における加熱手段の位置決めが容易になる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用したガラスファイバ先端の球状成型加工装置および球状成型加工方法の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
【0034】図1は一実施形態に係るガラスファイバ先端の球状成型加工装置20の概略構成を示しており、図2R>2は同装置を図1の下方から見た側面図である。図1および図2に示すように、球状成型加工装置20は、棒状ワークとしてのガラスファイバ21を保持可能なワーク保持手段としての4つのファイバ保持部22,23,24,25と、ガラスファイバ21先端を加熱して球状に成型加工する加熱手段としての酸素・アセチレンガスバーナ26とを備える。また、ガラスファイバ21は、図1010に示すガラスファイバ11と同様の均質な高屈折率ガラスからなる円柱形のもので、所定の長さに切断されている。
【0035】また、球状成型加工装置20は、ファイバ保持部22〜25をそれぞれ4つの位置に順に移動させる移動手段としての回転台27(インデックステーブル)と、回転台27を駆動する駆動手段としてのモータMとを備える。このモータMおよび同モータMを駆動制御する制御部がボックス28内に収納されている。また、図2における符号29はそのモータMの出力軸に連結された回転軸である。この回転軸29がモータMにより回転すると、回転台27が図1の矢印で示す方向に回転するようになっている。
【0036】4つのファイバ保持部22〜25は、回転台27上の周方向に90度ずれた位置に設けられている(図1参照)。各ファイバ保持部22〜25は、それぞれ3つのファイバ保持治具30を有している。各ファイバ保持部22〜25の3つのファイバ保持治具30は、それぞれ水平姿勢をとる水平位置と垂直姿勢をとる垂直位置との間で、一体となって回転できるように回転台27に設けられている。各ファイバ保持部22〜25の3つのファイバ保持治具30をそれぞれ水平位置と垂直位置との間で回転させるためのモータM1〜M4が、回転台27に設けられている。なお、図1では、ファイバ保持部22,23がそれぞれ水平位置にあることを示しており、また、ファイバ保持部24,25がそれぞれ垂直位置にあることを示している。
【0037】回転台27は、モータMにより駆動されて90度ずつ間欠的に回転するようになっている。この回転台27の間欠的な回転により、各ファイバ保持部22〜25が、次に説明する第1位置、第2位置、第3位置および第4位置の4つの位置に順に移動する。その第1位置は、図1においてファイバ保持部22がある位置で、3本のガラスファイバ21を3つのファイバ保持治具30にそれぞれ保持させる位置である。その第2位置は、図1においてファイバ保持部25がある位置で、3つのファイバ保持治具30によりそれぞれ保持された3本のガラスファイバ21先端を酸素・アセチレンガスバーナ26で加熱して球状に成型加工する位置である。その第3位置は、図1においてファイバ保持部24がある位置で、先端が球状に成型加工された3本のガラスファイバ21を冷却する位置である。そして、その第4位置は、図1においてファイバ保持部23がある位置で、加工済みの3本のガラスファイバ21を外して収納する位置である。
【0038】こうして回転台27が90度ずつ間欠的に回転する際に、ファイバ保持部22〜25はモータM1〜M4にそれぞれ駆動されることにより、水平位置と垂直位置との間で回転する。すなわち、各ファイバ保持部22〜25は、第1位置から第2位置に移動するまでの間に水平位置から垂直位置に回転し、第2位置から第3位置に移動するまでの間では垂直位置に維持される。そして、各ファイバ保持部22〜25は、第3位置から第4位置に移動するまでの間に垂直位置から水平位置に回転するようになっている。
【0039】酸素・アセチレンガスバーナ26は、各ファイバ保持部22〜25に保持されたガラスファイバ21と同数設けられている。本例では、3つの酸素・アセチレンガスバーナ26が設けられている。これら3つの酸素・アセチレンガスバーナ26は、各ファイバ保持部22〜25が上記第2位置に順に位置するのに同期して3つのガラスファイバ21先端を加熱するのに最適な加熱位置(図2に示す位置)に退避位置から移動するように、ボックス28内の制御部によりそれぞれ駆動制御される。そのために、酸素・アセチレンガスバーナ26は、図2に示す枠31に上下移動可能に設けられている。
【0040】図1および図3に示すように、上述した第1位置には、水平位置にある3つのファイバ保持治具30、例えば図1に示すファイバ保持部22の3つのファイバ保持治具30にガラスファイバ21をそれぞれ自動で保持させるための機構が設けられている。この機構は、3つのガラスファイバ21を対応する3つのファイバ保持治具30の各保持穴と一致するように整列させる3つの整列台32,33,34と、ステージ35と、ワーク送り板36とを備える。
【0041】3つの整列台32〜34は、3つのガラスファイバ21を3つのファイバ保持治具30の各保持穴に向けて投入する方向(図1,図3の矢印方向)にほぼ等間隔で配置され、その投入方向に直交する方向にそれぞれ延びている。また、各整列台32〜34は、各整列台の下面に作用する圧縮空気圧を制御することにより、図4に示す上昇位置と図6の整列台32が位置している下降位置との間で上下動可能にステージ35に設けられている。また、各整列台32〜34の上面には、3つのガラスファイバ21を3つのファイバ保持治具30の各保持穴と一致するように整列させるための3つのV溝37がそれぞれ設けられている。そして、ワーク送り板36は、図示を省略したモータによりステージ35上を各ファイバ保持治具30の軸方向に往復動可能である。ワーク送り板36がそのモータにより図3および図5の矢印方向に駆動されると、ワーク送り板36が3つのガラスファイバ21をその先端位置が揃うように各ファイバ保持治具30の保持穴に向けて押すようになっている。
【0042】また、3つの整列台32〜34のうち、ワーク送り板36が3つのガラスファイバ21を3つのファイバ保持治具30の各保持穴に向けて押す際に、同ワーク送り板36の移動領域内にある整列台は、その移動領域外へ退避可能に構成されている。すなわち、ワーク送り板36が整列台32に近づくにつれて整列台32が図5に示す上昇位置から図6に示す下降位置に退避することで、整列台32の移動を妨げないようになっている。そして、ワーク送り板36が3本のガラスファイバ21をさらに押すのに整列台32が邪魔になる場合には、整列台32も上昇位置から下降位置へ退避してワーク送り板36の移動を妨げないようになっている。
【0043】また、図7および図8に示すように、上述した第4位置には、加工済みの3本のガラスファイバ21を、3つのファイバ保持治具30から引き出すための引き出し治具40と、引き出された加工済みのガラスファイバ21を収納トレイ41へ案内する案内手段としての案内機構42とが設けられている。
【0044】引き出し治具40は、ボックス28内の制御部により駆動制御されるモータ(図示省略)により駆動されることで、図1に示す上下のガイドレール52,53により案内されて同図の左右方向に移動可能になっている。引き出し治具40を図1の左方に移動させ、同治具に設けた3つのクランプ40aを開閉させることで、加工済みの3本のガラスファイバ21の球状部(図9R>9に示す球状部21a)をそれらのクランプ40aで引っ掛けるようになっている。これら3つのクランプ40aの開閉は、上記制御部により制御されるようになっている。この後、引き出し治具40がモータにより駆動されて図1の右方に移動すると、3つのクランプ40aにより引っ掛けられた3つのガラスファイバ21が3つのファイバ保持治具30から引き出されるようになっている。こうして引き出された加工済みの3つのガラスファイバ21は、引き出し治具40の3つのクランプ40aを制御部により開くと、同クランプ40aからそれぞれ外れて下方へ落下するようになっている。
【0045】案内機構42は、コンベア43と、上側傾斜板44と、回転トレイ45と、下側傾斜板46とを備えている。コンベア43は、引き出し治具40の3つのクランプ40aから外れて落下する3つのガラスファイバ21を受けて図7の矢印方向に搬送する。上側傾斜板44は、コンベア43により搬送されるガラスファイバ21を傾斜を利用して斜め下方へ案内する。回転トレイ45は、上側傾斜板44により案内されるガラスファイバ21を受ける。回転トレイ45上に所定量のガラスファイバ21が溜まり、同トレイに作用する時計方向への回転モーメントが重り47による反時計方向への回転モーメントより大きくなると、回転トレイ45が時計方向へ回転するようになっている。この回転により、回転トレイ45上に溜まったガラスファイバ21が下側傾斜板46上に送られる。そして、上側傾斜板44と一体に形成された下側傾斜板46は、回転トレイ45から送られるガラスファイバ21を傾斜を利用して斜め下方にある収納トレイ41へ送るようになっている。
【0046】また、図2に示すように、回転軸29の上部には、第2位置にて酸素・アセチレンガスバーナ26によりガラスファイバ21先端を加熱する際の熱を上方を逃がす遮熱板50が90度間隔で4つ設けられている。
【0047】そして、ボックス28内に設けた上記制御部は、第2位置にて3つの酸素・アセチレンガスバーナ26により3つのガラスファイバ21先端をそれぞれ加熱する際に、各ファイバ保持部22〜25のうち第2位置にあるファイバ保持部の3つのファイバ保持治具30を軸回りに回転させるようになっている。
【0048】次に、ガラスファイバ21先端を球状に成型加工するガラスファイバ先端の球状成型加工方法について説明する。なお、以下の説明において、4つのファイバ保持部22〜25のうち、ファイバ保持部22のみについて説明し、他のファイバ保持部23,24および25についてはファイバ保持部22と同じであるので説明を省略する。
【0049】ガラスファイバ先端の球状成型加工方法は、以下の工程からなる。
(工程1)3つの酸素・アセチレンガスバーナ26のボンベ(図示省略)をそれぞれ開き、トーチを点火して炎の調整をする。
【0050】(工程2)整列台32〜35の3つのV溝37(図4参照)に3つのガラスファイバ21を載せる。
(工程3)この状態で装置の運転を開始すると、ボックス28内の上記制御部がワーク送り板36用のモータを駆動制御し、ワーク送り板36を図3および図5の矢印方向に移動させる。これにより、ワーク送り板36が3つのガラスファイバ21を第1位置にあるファイバ保持部22の3つのファイバ保持治具30の保持穴に向けて押して保持穴に挿入する。このとき、3つのガラスファイバ21は、ワーク送り板36により押されることで各々の先端位置が揃った状態で3つのファイバ保持治具30の保持穴に挿入される。
【0051】(工程4)この後、制御部は、3つのファイバ保持治具30のチャックを開閉するアクチュエータ(図示省略)を駆動制御して、各保持治具のチャックを閉める。これにより、3つのガラスファイバ21がそれぞれファイバ保持治具30により保持される。
【0052】(工程5)この後、上記制御部は、モータMを駆動制御して回転台27を時計方向に90度回転させるとともに、この回転によりファイバ保持部22が第2位置に移動するまでの間に、モータM1を駆動制御してファイバ保持部22を水平位置から垂直位置へ回転させる。また、制御部は、ファイバ保持部22が第2位置に移動するまでの間に、同ファイバ保持部22の3つのファイバ保持治具30をそれぞれ軸回りに回転させる。
【0053】(工程6)この後、或いはファイバ保持部22が第2位置に移動するまでの間に、制御部は、図示を省略した酸素・アセチレンガスバーナ26用のモータを駆動して、3つの酸素・アセチレンガスバーナ26を、退避位置から図2に示す加熱位置までそれぞれ移動(下降)させる。これにより、3つの酸素・アセチレンガスバーナ26が3つのガラスファイバ21先端をそれぞれ加熱溶融し、これらの先端を球状に加工する。この工程が加熱工程に相当する。
【0054】(工程7)その球状加工が終了すると、制御部は、3つの酸素・アセチレンガスバーナ26を加熱位置から退避位置へ上昇させるとともに、モータMを駆動制御して回転台27を時計方向に90度回転させる。これにより、加工済みのガラスファイバ21を保持したファイバ保持部22が第2位置から第3位置に移動する。この第3位置では、加工済みの3つのガラスファイバ21をしばらく大気中で冷却させる。この工程が冷却工程に相当する。
【0055】(工程8)この後、制御部は、モータMを駆動制御して回転台27を時計方向に90度回転させるとともに、この回転によりファイバ保持部22が第3位置から第4位置に移動するまでの間に、モータM1を駆動制御してファイバ保持部22を垂直位置から水平位置へ回転させる。
【0056】(工程9)この後、制御部は、上記アクチュエータを駆動制御して3つのファイバ保持治具30のチャックをそれぞれ開いて緩める。これとともに、制御部は、引き出し治具40用のモータ(図示省略)を駆動制御することで、引き出し治具40を図1および図7の左方へ移動させ、引き出し治具40の3つのクランプ40aにより加工済みの3つのガラスファイバ21先端の球状部を引っ掛ける。この後、制御部は、引き出し治具40用のモータ(図示省略)を駆動制御して引き出し治具40を図1および図7の右方へ移動させる。これにより、加工済みの3つのガラスファイバ21が引き出し治具40により3つのファイバ保持治具30からそれぞれ引き出される。
【0057】(工程10)引き出された3つのガラスファイバ21がコンベア43上に位置したところで、制御部が引き出し治具40の3つのクランプ40aを開く。これにより、3つのガラスファイバ21がコンベア43上に落下する。
【0058】コンベア43上に落下した3つのガラスファイバ21は、コンベア43により図7の矢印方向に搬送され、上側傾斜板44により斜め下方へ案内されて回転トレイ45上に溜まる。回転トレイ45上に所定量のガラスファイバ21が溜まり、同トレイに作用する時計方向への回転モーメントが重り47による反時計方向への回転モーメントより大きくなると、回転トレイ45が時計方向へ回転する。この回転により、回転トレイ45上に溜まったガラスファイバ21が下側傾斜板46上に送られ、下側傾斜板46により収納トレイ41へ送られる。なお、上記工程9,10が収納工程に相当する。
【0059】以上ファイバ保持部22について説明した動作を、他の3つのファイバ保持部23についても繰り返し行なうことにより、回転台27が1回転する間に12本のガラスファイバ21先端の球状加工がなされ、加工済みの12本のガラスファイバ21が収納トレイ41に収納される。
【0060】以上のように構成された一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(イ)第1位置にあるファイバ保持部、例えばファイバ保持部22の3つのファイバ保持治具30により3つのガラスファイバ21を保持させる。この後、モータMにより回転台27を回転させてファイバ保持部22を第2位置に移動させ、この第2位置で3つのガラスファイバ21先端を酸素・アセチレンガスバーナ26により加熱してその先端を球状に成型加工する。この後、モータMにより回転台27を回転させてファイバ保持部22を第3位置に移動させ、この第3位置で先端が球状に成型加工された3つのガラスファイバ21を冷却する。この後、モータMにより回転台27をさらに回転させてファイバ保持部22を第4位置に移動させ、この第4位置で加工済みのガラスファイバ21をファイバ保持部22から外して収納トレイ41に収納する。
【0061】このように、回転台27をモータMにより駆動して4つのファイバ保持部22〜25を第1位置から第4位置まで順に移動させることで、ガラスファイバ21先端の球状加工を自動で行うことができる。これにより、(1)ガラスファイバ21先端の球状加工の自動化が可能になる。(2)上記従来技術のように加工品質にバラツキが生じるのを抑制でき、加工品質の均一化を図れる。(3)第1位置にてファイバ保持部にガラスファイバ21を保持(しっかりくわえ)させてから、第4位置にて加工済みのガラスファイバ21をファイバ保持部から外すまでの時間、すなわち加工時間が一定する。このため、単位時間当たりの加工処理数の管理とその数を増やすのが容易になる。(4)第2位置では、ファイバ保持部により保持されたガラスファイバ21先端を酸素・アセチレンガスバーナ26により加熱してその先端を球状に成型加工するので、作業安全性が高くなる。
【0062】したがって、ガラスファイバ21先端の球状加工を自動化することができるとともに、加工品質の均一化、加工処理数の安定化と大量生産化、および安全性の向上を図ることができる。
【0063】(ロ)回転台27をモータMにより90度(一定角度)ずつ間欠的に回転して各ファイバ保持部22〜25を第1〜第4位置の4つの位置に順に移動させるので、回転台27の周囲に酸素・アセチレンガスバーナ26等の各種設備を配置できる。このため、装置全体の小型化を図ることができ、装置の占有スペースを小さくすることができる。
【0064】(ハ)回転台27に4つのファイバ保持部22〜25が90度毎に設けられているので、回転台27が1回転する間に、各ファイバ保持部22〜25がガラスファイバ21の保持から加工済みガラスファイバ21の搬出までの1サイクルを完了することができる。これにより、回転台27が1回転する間での加工処理数、すなわち単位時間当たりの加工処理数をさらに増やすことができる。
【0065】(ニ)各ファイバ保持部22〜25に設けた3つのファイバ保持治具30は、第1位置では水平姿勢をとるので、3つのガラスファイバ21を水平に並べて対応する各ファイバ保持部の保持穴に向けて押すことにより、3つのガラスファイバ21を対応する各ファイバ保持治具30に容易に保持させることができる。また、各ファイバ保持部22〜25の3つのファイバ保持治具30は、第2位置では保持したたガラスファイバ21先端を上方へ向けるので、その先端を酸素・アセチレンガスバーナ26により加熱しやすくなる。
【0066】(ホ)各ファイバ保持部22〜25のファイバ保持治具30は、第2位置で各ガラスファイバ21先端を酸素・アセチレンガスバーナ26により加熱する際に、各ガラスファイバ21を軸回りに回転させるので、各ガラスファイバ21先端が同バーナにより均一に加熱され、加工品質がさらに向上する。
【0067】(ヘ)第1位置にて、3つの整列台32〜34により3つのガラスファイバ21を対応する3つのファイバ保持治具30の保持穴と一致するように整列させ、ワーク送り板36により3つのガラスファイバ21をその先端位置が揃うように各保持穴に向けて押す。このため、第1位置において3つのガラスファイバ21を対応する各ファイバ保持治具30に自動で保持させることができる。また、各ファイバ保持部22〜25の3つのファイバ保持治具30は、3つのガラスファイバ21をその先端位置が揃うように保持するので、第2位置にて各ガラスファイバ21先端を3つの酸素・アセチレンガスバーナ26により加熱する際におけるこれらのバーナの位置決めが容易になる。
【0068】(ト)3つの整列台32〜34のうち、ワーク送り板36が3つのガラスファイバ21を3つのファイバ保持治具30の保持穴に向けて押す際に、同ワーク送り板36の移動領域内にある整列台は、その移動領域外へ退避する。これにより、ワーク送り板36は整列台32〜34により移動を妨げられることなく3つのガラスファイバ21を3つのファイバ保持治具30による保持位置まで押すことができる。
【0069】(チ)3つの酸素・アセチレンガスバーナ26を、ファイバ保持部22〜25のいずれかが第2位置に位置するのに同期して同保持部に保持された3つのガラスファイバ21先端を加熱するのに最適な加熱位置に移動させるので、同バーナによるガラスファイバ先端の球状成型を自動で行なうことができる。
【0070】(リ)第4位置において、引き出し治具40により加工済みのガラスファイバ21先端の球状部21aを引っ掛けてガラスファイバ21をファイバ保持部22〜26から自動で引き出すことができる。これにより、ガラスファイバ21の保持から加工済みのガラスファイバ21の取り出しまでを自動で行うことができる。
【0071】(ヌ)第4位置において、引き出し治具40により引き出された加工済みのガラスファイバ21を案内機構42により収納トレイ41に順次自動で収納させることができる。また、加工済みのガラスファイバ21を収納トレイ41に収納させるのに、コンベア43を除き、案内機構42には電気等の一切のエネルギを使う必要がなく、ランニングコストを低減することができる。
【0072】(ヲ)回転軸29の上部には、第2位置にて酸素・アセチレンガスバーナ26によりガラスファイバ21先端を加熱する際の熱を上方を逃がす遮熱板50が90度間隔で4つ設けられているので、その熱が装置に及ぼす悪影響を遮熱板50により抑制することができる。
【0073】[ 変形例]・上記一実施形態では、回転台27を90度ずつ間欠的に回転して各ファイバ保持部22〜25を第1〜第4位置の4つの位置に順に移動させるようにしているが、本発明はこれに限定されない。ファイバ保持部を前記4つの位置に順に移動させる移動手段として、回転台27に代えて、所定量ずつ間欠的に直進してファイバ保持部を4つの位置に順に移動させて、途中で方向を変えて元の位置に戻るような移動台を用いる場合にも本発明は適用可能である。
【0074】・上記一実施形態では、回転台27には4つのファイバ保持部22〜25が90度間隔で設けられているが、回転台27には、1つ、或いは「4」以外の複数のファイバ保持部を設ける場合にも本発明は適用可能である。例えば、回転台27に、8つのファイバ保持部を45度間隔で設ける場合には、回転台27を45度ずつ間欠的に回転することになる。
【0075】・上記一実施形態では、各ファイバ保持部22〜25には3つのファイバ保持治具30をそれぞれ設けてあるが、各ファイバ保持部に設けるワーク保持治具の数は「3」に限定されない。
【0076】・上記一実施形態では、加熱手段として酸素・アセチレンガスバーナ26を用いているが、加熱手段を図9に示す構成のものにしてもよい。この加熱手段は、近赤外ランプ60を用い、同ランプ60により近赤外光60aを板状カーボン61に照射し、この照射により赤熱した板状カーボン61にガラスファイバ21先端を近づけることで、同先端に球状部21aを加工するようにしてもよい。また、板状カーボン61に変えて伝熱性酸化物を用いてもよい。
【0077】・上記一実施形態では、円柱形のガラスファイバ21先端を球状に加工する加工装置および加工方法について説明したが、本発明は、金属製或いはプラスチック製丸棒等の棒状ワーク先端を球状に加工する加工装置および加工方法にも適用可能である。
【0078】・上記一実施形態において、第1位置にあるファイバ保持部のファイバ保持治具30に、上記ガラスファイバ21に代えて、先端に球状部21aのあるガラスファイバ、すなわち上記イオン交換後のロッドレンズを保持させるようにしてもよい。この場合、第2位置においては、酸素・アセチレンガスバーナ26等の加熱手段に代えて、球状部21aを切断するための切断機を配置するようにしてもよい。このような構成により、ロッドレンズの保持(取付け)、球状部の切断、冷却、取り外しおよび収納を全て自動で行なうことができるロッドレンズ先端の球状部切断装置および切断方法を実現することができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1および請求項11に係る発明によれば、棒状ワーク先端の球状加工を自動化することができるとともに、加工品質の均一化、加工処理数の安定化と大量生産化、および安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態に係るガラスファイバ先端の球状成型加工装置の概略構成を示す平面図。
【図2】 同装置を図1の下方から見た側面図。
【図3】 図1の一部拡大図。
【図4】 図3のX−X線に沿った断面図。
【図5】 図3のY−Y線に沿った断面図。
【図6】 図5と同様の断面図で、ガラスファイバをワーク保持治具に投入する際の様子を示す説明図。
【図7】 図1の一部拡大図。
【図8】 図7のZ方向から見た側面図。
【図9】 加熱手段として近赤外ランプを用ってガラスファイバ先端を成型する様子を示す説明図。
【図10】 均質な高屈折率ガラスからなる円柱形のガラスファイバ11を溶融塩中に浸漬して行なうイオン交換法の説明図。
【符号の説明】
20…ガラスファイバ先端の球状成型加工装置、21…棒状ワークとしてのガラスファイバ、22〜25…ワーク保持手段としてのファイバ保持部、26…加熱手段としてのガスバーナ、27…移動手段としての回転台、30…ワーク保持治具としてのファイバ保持治具、32〜34…整列台、35…基板としてのステージ、36…ワーク送り板、40…引き出し治具、41…収納トレイ、42…案内機構、43…コンベア、44…上側傾斜板、45…回転トレイ、M…駆動手段としてのモータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 棒状ワーク先端を球状に成型加工する棒状ワーク先端の球状成型加工装置であって、少なくとも1つの棒状ワークを保持可能なワーク保持手段と、前記棒状ワーク先端を加熱して球状に成型加工する加熱手段と、前記ワーク保持手段を、前記棒状ワークを同保持手段に保持させる第1位置、同保持手段により保持された前記棒状ワーク先端を前記加熱手段により加熱する第2位置、同先端が球状に成型加工された棒状ワークを冷却する第3位置、および、加工済みの棒状ワークを前記ワーク保持手段から外して収納する第4位置の4つの位置に順に移動させる移動手段と、該移動手段を駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする棒状ワーク先端の球状成型加工装置。
【請求項2】 前記移動手段は、前記駆動手段により一定角度ずつ間欠的に回転して前記ワーク保持手段を前記4つの位置に順に移動させる回転台であることを特徴とする請求項1に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置。
【請求項3】 前記回転台には、前記ワーク保持手段が一定角度毎に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置。
【請求項4】 前記ワーク保持手段は、複数の前記棒状ワークを保持する複数のワーク保持治具を備え、該各ワーク保持治具は、前記第1位置では水平姿勢をとり、前記棒状ワークを保持穴で受けて保持するとともに、前記第2位置では前記棒状ワーク先端を上方へ向ける垂直姿勢をとるように回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置。
【請求項5】 前記複数のワーク保持治具は、前記第2位置で前記複数の棒状ワーク先端を前記加熱手段により加熱する際に、各々が保持している棒状ワークを軸回りに回転させることを特徴とする請求項4に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置。
【請求項6】 前記第1位置には、前記複数の棒状ワークを対応する前記各ワーク保持治具の保持穴と一致するように整列させる整列台と、前記複数の棒状ワークをその先端位置が揃うように前記各保持穴に向けて押すワーク送り板とが設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置。
【請求項7】 前記整列台は、前記複数の棒状ワークが対応する前記各ワーク保持治具の保持穴に向けて投入される方向に所定間隔で基板に複数個設けられており、これらの整列台のうち、前記ワーク送り板が前記複数の棒状ワークを前記複数のワーク保持治具の保持穴に向けて押す際に、同ワーク送り板の移動領域内にある整列台は、その移動領域外へ退避可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置。
【請求項8】 前記加熱手段は、前記ワーク保持手段が前記第2位置に位置するのに同期して同保持手段に保持された前記棒状ワーク先端を加熱するのに最適な加熱位置に退避位置から移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置。
【請求項9】 前記第4位置には、加工済みの棒状ワークを、球状に成型加工された同ワーク先端の球状部を引っ掛けて前記ワーク保持手段から引き出す引き出し治具が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置。
【請求項10】 前記第4位置には、前記引き出し治具により引き出された加工済みの前記棒状ワークを収納トレイへ送る案内手段とが設けられており、該案内手段は、前記引き出された加工済みの棒状ワークを受けて搬送するコンベアと、該コンベアにより搬送される前記棒状ワークを傾斜を利用して斜め下方へ案内する上側傾斜板、該上側傾斜板により案内される前記棒状ワークを受け、その棒状ワークが所定量になるとその重量で回転する回転トレイとを備え、該回転トレイの回転により同回転トレイに溜まった棒状ワークが前記収納トレイ内へ送られるように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工装置。
【請求項11】 棒状ワーク先端を球状に成型加工する棒状ワーク先端の球状成型加工方法であって、少なくとも1つの棒状ワークを保持可能なワーク保持手段を第1位置に移動させて前記ワーク保持手段に棒状ワークを保持させる工程と、前記ワーク保持手段を前記第1位置から第2位置に移動させ、この第2位置で前記ワーク保持手段に保持された棒状ワーク先端を加熱して球状に成型加工する加熱工程と、前記ワーク保持手段を前記第2位置から第3位置へ移動させ、この第3位置で先端が球状に成型加工された棒状ワークを冷却する冷却工程と、前記ワーク保持手段を前記第3位置から第4位置へ移動させ、この第4位置で加工済みの棒状ワークを同保持手段から外して収納する収納工程とを備えることを特徴とする棒状ワーク先端の球状成型加工方法。
【請求項12】 前記ワーク保持手段を一定角度ずつ間欠的に回転させて前記ワーク保持手段を前記4つの位置に順に移動させることを特徴とする請求項11に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工方法。
【請求項13】 前記ワーク保持手段に前記棒状ワークを保持させる工程では、複数の前記棒状ワークを該各ワークの先端位置が揃うように前記ワーク保持手段に保持させることを特徴とする請求項11又は12に記載の棒状ワーク先端の球状成型加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2003−335535(P2003−335535A)
【公開日】平成15年11月25日(2003.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−144396(P2002−144396)
【出願日】平成14年5月20日(2002.5.20)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】