説明

棚板兼用風防板を備えたキャンプ用コンロ

棚板兼用風防板(44,46)を有するキャンプ用コンロ(20)を提供する。ある実施態様では、棚板兼用風防板(44,46)は、キャンプ用コンロ(20)の火室(22)の片側に蝶着される。棚板兼用風防板(44,46)は、上側に立ててキャンプ用コンロ(20)の蓋(40)に取り付けると、風防板として機能する。棚板兼用風防板(44,46)は、下側に倒すと、地面と水平に配置され、棚板として使用できる。ある実施態様では、当該風防板(44,46)は、棚板として機能するときに、キャンプ用コンロ(20)から外側に展開される。しかし、代替的な実施態様では、当該風防板(44,46)は、コンロの表面に対して内側に折り畳まれ、棚板として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関し、より具体的にはキャンプ用コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
キャンプ用携帯コンロは、キャンプをする人がキャンプ場で食料を調理するのによく使われる。通常、当該キャンプ用コンロは、一対のバーナーと、燃料供給源と、折り畳み式の蓋と、コンロの側面からの風を遮る風防板(バッフル)とを備える。通常、風防板は、蓋に取り付けられ、保管時には蓋に対して折り畳まれる。キャンプ用コンロを保管するためには、風防板を蓋に対して折り畳み、コンロのバーナーを覆うように蓋を折り畳む。バーナーは、通常、火室内に取り付けられ、火室を蓋で覆い隠すとバーナーを囲んだ箱状のケースになる。このケースは、段ボール箱に収容して保管してもよいし、そのままの状態で保管してもよい。
【0003】
従来のキャンプ用コンロの燃料供給源は、通常、灯油又はプロパンのいずれかである。灯油を利用する場合、灯油タンクをコンロに、例えばコンロの前面に沿って、取り付けるのが一般的である。このタンクは、通常、保管中には取り外される。プロパンを利用するキャンプ用コンロの場合、通常、プロパンガスボンベをキャンプ用コンロに、例えばキャンプ用コンロの前面、背面、又は側面のうちの一方に取り付ける。灯油タンクと同様に、保管中はプロパンガスボンベを取り外すのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャンプ用コンロは、その用途に関しては十分に機能する。しかしながら、その使用中において、キャンプ用コンロと一緒に使うアイテムの保管スペースは、ほとんどないといってよい。例えば、従来のキャンプ用コンロには、調理器具、食料、及び調味料を置く場所が備えられていないため、これらのアイテムを調理面に直に置くしかない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の基本的な理解を図るため、本発明のいくつかの実施態様の簡単な概要を以下に示す。本概要は本発明の外延を示すものではない。本発明の重要な/必須の要素を特定したり、あるいは本発明の範囲を画したりする意図を有するものではない。その唯一の目的は、本発明のいくつかの実施態様を、後述のより詳細な説明の前置きとして簡略に示すことである。
【0006】
ある実施態様によると、一の形態では風防板として使用され、他の形態では棚板として使用されるように配置される少なくとも1つの棚板兼用風防板を有するキャンプ用コンロが提供される。ある実施態様では、棚板兼用風防板は、キャンプ用コンロの火室の側面のうちの一方に蝶着される。棚板兼用風防板は、上側に立てて、キャンプ用コンロの蓋に取り付けると、風防板として機能する。棚板兼用風防板は、下側に倒すと、地面と水平に配置され、棚板として使用できる。ある実施態様では、風防板が棚板として機能するとき、該風防板はキャンプ用コンロから外側に向けて展開して配置される。しかし、代替的な実施態様では、風防板はコンロの表面に対して内側に折り畳まれ、棚板として機能する。
【0007】
本発明の他の特徴は、図面を参酌することにより、以下の詳細な説明により明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下の記述において、本発明の様々な実施態様について言及する。本実施態様の十分な理解を図るために、特定の形態及び細部についての説明をなす。ただし、特定の細部までの説明がなくても、本発明を実施しうることは、当業者には明らかである。また、周知の特徴は省略又は簡素化して、記述した実施態様が不明瞭とならないようにしている。
【0009】
図面を参照するが、図面において、同一の符号は同一の部材を示す。図1は、本発明の一実施態様を組み込んだキャンプ用コンロ20を示している。図2に示されるように、キャンプ用コンロ20は、火室22を有し、該火室22は、その上面に焼き網(グリル)24及び焼き板(グルドル)26を備える。本実施態様では、コンロ20は、2つのバーナー28を備えるが、図2ではそのうちの1つのみ示している。ただし、本発明は、1つのバーナー、又は2つ以上のバーナーを有するキャンプ用コンロに適用されうる。また、本発明は、1面以上の焼き網面、1面以上の焼き板面、又は焼き網及び焼き板のあらゆる組み合わせ、を有するキャンプ用コンロ、及び/又は焼き網又は焼き板以外の調理面を有するキャンプ用コンロにも適用できる。
【0010】
キャンプ用コンロ20は、火室22の前面に取り付けた一対の調整ノブ30,32を備える。図示の実施態様では、プロパンガスボンベ34は、火室22の右背面部に取り付けられる。ただし、本発明は、灯油、他の液体もしくは気体の燃料源、及び/又は木炭使用のグリル、その他の燃料源を使用するキャンプ用コンロにも適用される。
【0011】
図示する実施態様では、キャンプ用コンロ20は、ラッチ42及びヒンジ(図示していないが、この技術分野では周知である)により、火室22に取り付けられる蓋40を備える。蓋40は、バーナー28がオフのときに閉じることで、バーナーを保護する。火室22を蓋40で覆うと、バーナー28を囲む箱状の筐体が形成される。箱状に閉じられたキャンプ用コンロ20は、段ボール箱に保管でき、又はそのまま保管できる。
【0012】
また、キャンプ用コンロ20は、左右の棚板兼用風防板44,46を備える。図示の実施態様では、棚板兼用風防板44,46は概ね平面で、各々が丸みのある基部48を備える。角度付きブラケット50が、丸みのある基部48の基端部から火室22の外側上縁にあるスロット52,54まで伸長する。角度付きブラケット50がスロット52,54に支持され、棚板兼用風防板44,46が、丸みのある基部48に平行な軸を中心に回転できるようになっている。
【0013】
風防板44,46の各々の背面上縁には、スロット開口56が備えられている。スロット開口56は、蓋40の下側にある突起58に嵌合するように形状付けられ、配置されている。
【0014】
保管中、棚板兼用風防板44,46は、焼き網24及び焼き板26の上面と平行に配置され保管される。この場合の棚板兼用風防板44,46の位置を、図1中の鎖線で示す。同様に、この場合の右側の棚板兼用風防板46の位置を、図2中の鎖線で示す。
【0015】
棚板兼用風防板44,46を風除け(すなわち、風防板)として利用するためには、蓋40を上げて、棚板兼用風防板の各々を垂直方向に伸長するように持ち上げる。図2中、左の棚板兼用風防板44は、この位置にある。棚板兼用風防板44,46をこの位置に固定するために、スロット開口56に突起58を嵌め込む。このように、棚板兼用風防板44,46を両方とも立てて、蓋40に取り付けると、この3つの部材により、キャンプ用コンロ20の調理面、すなわち、この実施態様における焼き網24及び焼き板26に対する、三方からの風除けが形成される。
【0016】
棚板兼用風防板の一方、例えば、棚板兼用風防板46を棚板として利用するためには、棚板兼用風防板を図2の鎖線で示す位置まで内側に折り畳むとよい。この位置で、棚板は、焼き板26の上面に沿うことになる。焼き板26を熱したまま、棚板兼用風防板46を内側に折り畳んだ状態でコンロ20を使用することは推奨されないが、例えば、コンロ20の焼き網24だけを使用しているときには、棚板兼用風防板46を内側に折り畳んだ位置で使用してもよい。この構成では、棚板兼用風防板46の裏面に、食料、調味料、調理器具、その他のアイテムを載置することができる。
【0017】
別の棚板の構成では、棚板兼用風防板46は、図2に示す位置まで外側に倒される。この位置で、角度付きブラケット50と丸みのある基部48が、火室22の上面及び外側面と係合して、棚板兼用風防板46がさらに下側に回転するのを防止している。このように、棚板兼用風防板46は、外側に向けて水平方向に伸長する配置をとる。これにより、棚板兼用風防板46を棚板として利用することができ、上記アイテムなどの多くの種類のアイテムを載置することができる。棚板兼用風防板44も、同様にして、棚板として利用することができる。
【0018】
図面には、一種類の棚板兼用風防板を示すが、他の構成も考えられる。例えば、棚板兼用風防板は、風防板を棚板の位置に固定するロックを備えていてもよく、また、開位置にある風防板を懸架する鎖、その他の部材を備えていてもよい。さらに、シングルタイプのヒンジを図示しているが、別のヒンジシステムを使用してもよい。また、棚板兼用風防板を火室22に蝶着させずに、棚板兼用風防板が風防板と棚板の機能を発揮できれば、接続や配置を変更してもよい。一例として、風防板を取外し可能として、第1の垂直位置において接続することで、風防板として機能させ、第2の水平位置において接続することで、棚板として機能させるようにしてもよい。
【0019】
他の変更も、本発明の思想の範囲内にある限り、本発明に含まれる。このように、本発明は様々な改良及び代替構成を採用することができるが、特定例の実施態様が図示され、上述したように詳述された。しかし、本発明を特定の実施態様あるいは開示された態様に限定する意図はなく、その意図は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の思想の範囲内にある全ての改良、代替構成、均等物も含むことにある。
【0020】
本明細書で引用した全ての参考文献は、刊行物、特許出願の公報、及び特許の公報を含め、本明細書に、これらの文献が、個別にかつ具体的に示され、かつ、その全体が記載されている場合と同様に、本明細書に組み込まれるものとする。
【0021】
発明を説明する中で(特に、以下の請求項において)、「ある」、「1つの」、「その」、その他の指示語の使用は、本明細書で別段の指摘がない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を含むものと解釈するべきである。「備える」、「有する」、「含む」、及び「包含する」という用語は、別段の注記がない限り、非限定的な用語として解釈するべきである(すなわち、「それだけに限定されずに含む」ことを意味する)。「接続」という用語は、何らかの介在物があるとしても、部分的にあるいは全体として中に含まれる、取り付けられる、又は一緒に接合されると解釈するべきである。本明細書において値の範囲の記述は、本明細書で別段の指摘がない限り、その範囲内に入る個々の値への言及を省略することを意図しているのであって、本明細書で個々の値を個別に列挙した場合と同様に、個々の値は本明細書に組み込まれているものとする。本明細書で述べた全ての方法は、本明細書で別段の指摘がない限り、又は文脈により明らかな矛盾がない限り、適切な任意の順番をとりうる。本明細書で提供するあらゆる例、又は例示的表現(例、「など」)は単に発明をよりよく例証することを意図しており、それとは異なる意図で請求をしていない限り、発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書におけるいかなる文言も、あらゆる請求の範囲に記載されていない要素を発明の実施に不可欠である要素を示すものとして解釈してはならない。
【0022】
本発明を実施するために本発明者が知る最善の実施態様を含めて、本発明の好適な実施態様が本明細書において説明されている。以上の説明を読めば、これら好適な実施態様の改良は当業者には自明である。本発明者は、当業者が当該改良を目的に応じて採用することを予期し、本発明者は、本発明が本明細書で具体的に説明した以外の形で実施されることを予定している。従って、本発明は、適用される法律が認める限りにおいて、本明細書に添付の請求項で挙げる主題の全ての改良及び均等物を含む。さらに、本明細書で別段の指摘がない限り、又は文脈上明らかに矛盾がない限り、そのあらゆる改良において、前述の要素のあらゆる組み合わせが、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の一実施態様を組み込んだキャンプ用コンロの側面透視図であり、キャンプ用コンロの閉状態の形態を示す。
【図2】図2は、図1のキャンプ用コンロの開状態の側面透視図である。
【符号の説明】
【0024】
20 キャンプ用コンロ
22 火室
24 焼き網(グリル)
26 焼き板(グルドル)
28 バーナー
30,32 調整ノブ
34 プロパンガスボンベ
40 蓋
42 ラッチ
44,46 棚板兼用風防板
48 基部
50 角度付きブラケット
52,54 スロット
56 スロット開口
58 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風防板として機能する第1位置と、棚板として機能する第2位置との間で転換可能である構造体を備えるキャンプ用コンロ。
【請求項2】
第1位置で、構造体が実質的に垂直方向に伸長する請求項1のキャンプ用コンロ。
【請求項3】
第2位置で、構造体が実質的に水平方向に伸長する請求項2のキャンプ用コンロ。
【請求項4】
第2位置で、構造体が実質的に水平方向に伸長する請求項1のキャンプ用コンロ。
【請求項5】
さらに蓋を備え、第1位置で、構造体が蓋に取付け可能である請求項1のキャンプ用コンロ。
【請求項6】
蓋と構造体のうち一方が突起を備え、蓋と構造体のうち他方が、構造体が第1位置にあるときに、該突起と嵌合する開口を備える請求項5のキャンプ用コンロ。
【請求項7】
開位置にあるとき、蓋がキャンプ用コンロの背面に沿って伸長し、第1位置にあるとき、構造体がキャンプ用コンロの側面に沿って伸長する請求項5のキャンプ用コンロ。
【請求項8】
構造体がキャンプ用コンロに蝶着されている請求項1のキャンプ用コンロ。
【請求項9】
構造体が第2位置にあるときに、蓋が第2位置を超えて回転することを防ぐために、該蓋がキャンプ用コンロに接触する面を備える請求項8のキャンプ用コンロ。
【請求項10】
前記面が、構造体の丸みのある基部からなる請求項9のキャンプ用コンロ。
【請求項11】
さらに火室を備え、構造体が第2位置にあるときに、構造体が火室より外側に展開する請求項1のキャンプ用コンロ。
【請求項12】
さらに火室を備え、構造体が第2位置にあるときに、構造体が火室の上に展開する請求項1のキャンプ用コンロ。
【請求項13】
火室と、火室に螺着され、風防板として機能する第1位置と、棚板として機能する第2位置との間で転換可能な構造体とを備えることを特徴とするキャンプ用コンロ。
【請求項14】
第1位置で、構造体が実質的に垂直方向に沿って伸長する請求項13のキャンプ用コンロ。
【請求項15】
第2位置で、構造体が実質的に水平方向に沿って伸長する請求項14のキャンプ用コンロ。
【請求項16】
第2位置で、構造体が実質的に水平方向に沿って伸長する請求項13のキャンプ用コンロ。
【請求項17】
さらに蓋を備え、第1位置で、構造体が蓋に取付け可能である請求項13のキャンプ用コンロ。
【請求項18】
蓋と構造体のうち一方が突起を備え、蓋と構造体のうち他方が、構造体が第1位置にあるときに、該突起と嵌合する開口を備える請求項17のキャンプ用コンロ。
【請求項19】
開位置にあるとき、蓋がキャンプ用コンロの背面に沿って伸長し、第1位置にあるとき、構造体がキャンプ用コンロの側面に沿って伸長するキャンプ用コンロ。
【請求項20】
構造体が第2位置にあるときに、蓋が第2位置を超えて回転することを防ぐために、該蓋がキャンプ用コンロに接触する面を備える請求項13のキャンプ用コンロ。
【請求項21】
前記面が、構造体の丸みのある基部からなる請求項20のキャンプ用コンロ。
【請求項22】
構造体が第2位置にあるときに、構造体が火室より外側に展開する請求項13のキャンプ用コンロ。
【請求項23】
構造体が第2位置にあるときに、構造体が火室の上に展開する請求項13のキャンプ用コンロ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−518188(P2008−518188A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538034(P2007−538034)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/037747
【国際公開番号】WO2006/047219
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.