説明

棚装置

【課題】 陳列する商品に応じて、棚板の形状や機能を容易に選択及び変更して、様々な態様で使用することができ、もって利用目的の多様化を図ることができ、特に衣料品等の陳列に好適な棚装置を提供する。
【解決手段】 左右の支柱1、1の前面に、左右1対のブラケット4、4を等高となるように係止し、両ブラケット4、4に、平板9の前縁と後縁とに互いに上下逆向きの第1の折曲片10と第2の折曲片11とを設けた棚板3を、上下または前後に反転させることにより、前記第1及び第2の折曲片10、11のいずれもが、前縁において上下いずれの方向をも向くことができるようにして装着する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デパートやスーパーマーケット等で使用される棚装置、特に衣料品の陳列に適した棚装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の棚装置においては、棚板の商品載置面や棚板前縁の形状は、予め定められており、異なる態様で商品を陳列したい場合は、棚板を、各態様に適した異なる形状のものと交換しているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の棚装置では、陳列態様に応じた複数種類の棚板を用意しておかなければならないので、設備費用が高くつくとともに、使用しない棚板のための収容スペースが必要となる等の問題がある。
【0004】本発明は、上述の問題点に鑑み、陳列する商品に応じて、棚板の形状や機能を容易に選択及び変更して、様々な態様で使用することができ、もって利用目的の多様化を図ることができ、特に衣料品等の陳列に好適な棚装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)左右の支柱の前面に、左右1対のブラケットを等高となるように係止し、両ブラケットに、平板の前縁に折曲片を設けた棚板を、上下に反転させることにより、前記折曲片が上下いずれの方向をも向くことができるようにして装着する。
【0006】(2)左右の支柱の前面に、左右1対のブラケットを等高となるように係止し、両ブラケットに、平板の前縁と後縁とに互いに上下逆向きの第1の折曲片と第2の折曲片とを設けた棚板を、上下または前後に反転させることにより、前記第1及び第2の折曲片のいずれもが、前縁において上下いずれの方向をも向くことができるようにして装着する。
【0007】(3)上記(2)項において、平板に対する第1の折曲片と第2の折曲片とのなす角度を互いに異ならせる。
【0008】(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、平板といずれかの折曲片とのなす角度を、90度とする。
【0009】(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、平板といずれかの折曲片とのなす角度を、鋭角とする。
【0010】(6)上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、平板といずれかの折曲片とのなす角度を、鈍角とする。
【0011】(7)上記(2)項またはそれに従属する(3)〜(6)項のいずれかにおいて、第1及び第2の折曲片の平板からの突出長さを、互いに異ならせる。
【0012】(8)上記(1)〜(7)項のいずれかにおいて、各ブラケットに、棚板を上下反転しても同様に係止しできる固定手段を設ける。
【0013】(9)上記(8)項において、固定手段を、各ブラケットの上端と、棚板における平板の両側部とのいずれか一方に設けた前後1対の係合孔と、他方に突設され、かつ前記係合孔に係合しうる前後1対の突起とからなるものとする。
【0014】(10)上記(1)〜(9)項のいずれかにおいて、左右の支柱の前面に、両ブラケットを、前下がり傾斜するようにして係止する。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の棚装置の一実施形態における要部の分解斜視図である。左右に並ぶ支柱(1)は、長方形断面を有する例えば鋼製のもので、少なくともその前面には、多数の係止孔(2)が左右2列として列設されている。係止孔(2)は、棚板(3)の側端部を支持するブラケット(4)を係止させるものである。
【0016】前後方向を向くブラケット(4)は、左右の支柱(1)(1)間の内方を向く棚板支持用の水平片(5)を上端に有するとともに、後端に、支柱(1)の係止孔(2)に係合可能な下向きの3個の係止爪(6)を有している。3個の係止爪(6)は、ブラケット(4)を水平位置に係止させる溝と、前下がり傾斜位置に係止させる溝とを有する公知のものとしてある。水平片(5)の後端は、係止爪(6)より若干前方に位置させてあり、また水平片(5)には、前後1対のねじ孔(7)が穿設されている。このねじ孔(7)の位置については、棚板(3)の対応する係合孔(8)と関連して後述する。
【0017】棚板(3)は、例えば鋼板製のもので、この実施形態の場合、商品の支持部をなす横長の平板(9)の前端における両側部を除く部分に、上方に鋭角をなして折り曲げた第1の折曲片(10)を有している。
【0018】また、後端における両側部を除く部分には、下方に直角に折り曲げた、かつ第1の折曲片(10)より短寸とした第2の折曲片(11)が設けられている。
【0019】第1及び第2の折曲片(10)(11)の左右方向の長さは、左右の支柱(1)(1)の対向面間の距離より小としている。これは、例えば図1に示す場合、第2の折曲片(11)が支柱(1)(1)と干渉しないようにするためである。
【0020】棚板(3)の平板(9)における左右両端部には、前後1対の係合孔(8)が穿設されている。平板(9)の前端から前部の係合孔(8)までの距離と、平板(9)の後端から後部の係合孔(8)までの距離は等しく、かつこれらの2個の係合孔(8)の位置は、ブラケット(4)の2個のねじ孔(7)と整合するものとしてある。
【0021】各係合孔(8)に、ねじ孔(7)に螺合した有頭ねじ(12)のピン状の頭部(12a)を嵌合することにより、棚板(3)は、その前後の向きを変えることなく、上下を反転させて(図2及び図3参照)、または前後の向きを変えて、上下を反転させて(図4及び図5参照)、左右のブラケット(4)に装着することができる。
【0022】すなわち、図1に示すように、左右のブラケット(4)を、ほぼ水平となるようにして、その後端の係止爪(6)を左右の支柱(1)の等高の係止孔(2)に係止し、両ブラケット(4)の上に、棚板(3)を、図1に示す位置関係で取り付けた状態を、図2に示してある。
【0023】図3は、図1に示す状態から、棚板(3)を、その前後の向きを変えることなく、上下を反転して、ブラケット(4)に取り付けた状態を示している。
【0024】図4は、棚板(3)を、図3に示す状態から、前後の向きを反転して、ブラケット(4)に取り付けた状態を示している。
【0025】図5は、棚板(3)を、図2に示す状態から前後の向きを反転して、ブラケット(4)に取り付けた状態を示している。
【0026】上述のように、ブラケット(4)は前下がりに傾斜して支柱(1)に取り付けることができ、このようにして取り付けたブラケット(4)に棚板(3)を支持させた例を、図6に示してある。この棚板(3)は、上述と同様に上下または前後を反転して取り付けることができるのはいうまでもない。特に、ブラケット(4)を支柱(1)の高い位置に前下がり状態で係止させたときは、図6に示すように、第1の折曲片(10)が棚板(3)の前縁より後下方を向くようにして棚板(3)を取り付けると、第1の折曲片(10)に取り付けた名札等が見易くなるという利点がある。
【0027】棚板(3)における第1及び第2の折曲片(10)(11)の折り曲げ角度は、上述の実施形態に限定されるものではなく、図7及び図8に示すように鋭角、直角、鈍角と任意に目的に応じて設定することができ、また、それらの突出長さも、同一としたり、互いに異ならせたりすることができる。さらに、第2の折曲片(11)を省略して実施することもできる。
【0028】有頭ねじ(12)を通常の止めねじとして、棚板(3)をブラケット(4)にねじ止めしたり、または、棚板(3)の上下面にピンを突設して、その上下いずれかのピンを、ブラケット(4)の水平部分(5)に穿設した係合孔に嵌合するようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、1枚の棚板で、折曲片が上向きと下向きの2態様で商品を陳列することができ、陳列商品の区分、品名等を貼付、表示できる折曲片を、棚板の取り付け高さ位置に応じて、顧客に見やすい位置とすることができるとともに、折曲片が上向きの場合、これを商品の前方への落下防止に役立てることができる。また、折曲片の形成は、棚板の補強効果にも寄与する。
【0030】請求項2記載の発明によれば、第1の折曲片が前縁に位置して上方を向く態様と、同じく下方を向く態様と、第2の折曲片が前縁に位置して上方を向く態様と、同じく下方を向く態様との4態様で商品を陳列することができるので、使い勝手がよく、しかも棚板の前後に折曲片があるので棚板の補強効果が大である。第1または第2の折曲片を前端に上向きとした場合、商品の前方への落下防止に役立てることができる。
【0031】請求項3記載の発明によれば、棚板の前端の形状、機能を多様化することができる。
【0032】請求項4記載の発明によれば、折曲片を、もっとも汎用性のあるものとすることができる。
【0033】請求項5記載の発明によれば、棚板を高い位置に配設したときには、折曲片が下方を向くように、また同じく低い位置に配設したときは折曲片が上方を向くようにすることにより、折曲片に設けた名札等を常に顧客に見易くすることができる。
【0034】請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明の場合とは逆に、棚板を高い位置に配設したときは、折曲片が上方を向くように、また同じく低い位置に配設したときは、折曲片が下方を向くようにすることにより、折曲片に設けた名札等を顧客に見易くすることができる。また、鈍角の折曲片を後端に上向きに配置したときは、棚板より後方の部分がこれによって体裁よく隠蔽される。
【0035】請求項7記載の発明によれば、棚板の前端の形状及び機能を多様化することができる。
【0036】請求項8記載の発明によれば、この固定手段により、棚板を上下等に反転して支持することが可能となる。
【0037】請求項9記載の発明によれば、固定手段の構造を簡素化できるとともに、突起をさらに棚板より上方に突出させると、棚板の側端からの陳列商品の落下を防止することができる。
【0038】請求項10記載の発明によれば、棚板を前下がり状態で支持することができ、商品の陳列態様をさらに多様化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の要部の分解斜視図である。
【図2】図1の実施形態を組立状態で示す拡大縦断側面図である。
【図3】棚板を、図2に示す状態から、上下反転して取り付けた状態を示す拡大縦断側面図である。
【図4】棚板を、図3に示す状態から、前後反転して取り付けた状態を示す拡大縦断側面図である。
【図5】棚板を、図2に示す状態から、前後反転して取り付けた状態を示す拡大縦断側面図である。
【図6】ブラケットを支柱に対して前下がりに傾斜して取り付けた1例を示す拡大縦断側面図である。
【図7】棚板の変形例を示す側面図である。
【図8】棚板のさらに別の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
(1)支柱
(2)係止孔
(3)棚板
(4)ブラケット
(5)水平部分
(6)係止爪
(7)ねじ孔
(8)係合孔
(9)平板
(10)第1の折曲片
(11)第2の折曲片
(12)有頭ねじ
(12a)頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右の支柱の前面に、左右1対のブラケットを等高となるように係止し、両ブラケットに、平板の前縁に折曲片を設けた棚板を、上下に反転させることにより、前記折曲片が上下いずれの方向をも向くことができるようにして装着したことを特徴とする棚装置。
【請求項2】 左右の支柱の前面に、左右1対のブラケットを等高となるように係止し、両ブラケットに、平板の前縁と後縁とに互いに上下逆向きの第1の折曲片と第2の折曲片とを設けた棚板を、上下または前後に反転させることにより、前記第1及び第2の折曲片のいずれもが、前縁において上下いずれの方向をも向くことができるようにして装着したことを特徴とする棚装置。
【請求項3】 平板に対する第1の折曲片と第2の折曲片とのなす角度を互いに異ならせた請求項2記載の棚装置。
【請求項4】 平板といずれかの折曲片とのなす角度を、90度とした請求項1〜3のいずれかに記載の棚装置。
【請求項5】 平板といずれかの折曲片とのなす角度を、鋭角とした請求項1〜4のいずれかに記載の棚装置。
【請求項6】 平板といずれかの折曲片とのなす角度を、鈍角とした請求項1〜5のいずれかに記載の棚装置。
【請求項7】 第1及び第2の折曲片の平板からの突出長さを、互いに異ならせた請求項2、またはそれに従属する3〜6のいずれかに記載の棚装置。
【請求項8】 各ブラケットに、棚板を上下反転しても同様に係止しできる固定手段を設けた請求項1〜7のいずれかに記載の棚装置。
【請求項9】 固定手段が、各ブラケットの上端と、棚板における平板の両側部とのいずれか一方に設けた前後1対の係合孔と、他方に突設され、かつ前記係合孔に係合しうる前後1対の突起とからなる請求項8記載の棚装置。
【請求項10】 左右の支柱の前面に、両ブラケットを、前下がり傾斜するようにして係止した請求項1〜9のいずれかに記載の棚装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−345609(P2002−345609A)
【公開日】平成14年12月3日(2002.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−153042(P2001−153042)
【出願日】平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】