椅子の座
【課題】使用者の着座中の動作にも着目した上で、快適な使用感を与え得る椅子の座を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る椅子Aの座Sは、座面ssを支持する複数個の流体袋を有する座側流体袋1を座面ss下に配し、各流体袋を流路たる座側流路31に連通したものとしている。そして、前後の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量を、左右の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量よりも大きく設定していることを特徴としている。
【解決手段】本実施形態に係る椅子Aの座Sは、座面ssを支持する複数個の流体袋を有する座側流体袋1を座面ss下に配し、各流体袋を流路たる座側流路31に連通したものとしている。そして、前後の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量を、左右の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量よりも大きく設定していることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座者の姿勢に追随して形状を変化させ得る椅子の座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子、特に事務用の椅子において、フレームの位置や向きを調整することにより、着座者を快適な姿勢とすることができる椅子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述した特許文献に記載のものは、背凭れ面の角度に応じて、座面を前後動させ得るものとなっている。斯かる構成の椅子は、使用者に対して、それぞれの着座姿勢に応じて快適な着座感を与え得る椅子の座を実現したものとなっている。
【特許文献1】特開2002−119363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで本願の発明者らは、使用者にとっての椅子の座の座り心地についてさらに検討を試みた結果、座面上において、実際には着座時にも使用者は様々な動作をしているという事に着目するに至った。すなわち、使用者にとっての椅子の座の座り心地について追求するのであれば、斯かる使用者の動作を考慮に入れて座り心地を考えることも必要ということができる。
【0005】
すなわち、座り心地の良い座を提供するということは、予め設定した座面の位置や角度について考慮するのみならず、着座中の使用者の動作を行なった際に対しても着目することも必要であると考える事ができる。
【0006】
そこで本発明は、使用者の着座中の動作にも着目した上で、快適な使用感を与え得る椅子の座を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係る椅子の座は、座面を支持する複数個の流体袋を座面下に配し、一の流体袋と他の流体袋とを連通しており、座面を介して流体袋に加わる圧力の差圧が同一である条件下で、前後の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量が、左右の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
すなわち、本願発明は、当該本願発明の発明者らが、使用者の着座中の動作をも鑑みて着座者の座り心地について考慮した結果、座面上部における着座者の動作は前後に体重移動する動作の方が、幅方向に体重移動する動作よりも頻度が高く且つ動作範囲も大きいことに初めて想到し得たことによるものである。そして、斯かる構成により、座面の前傾/後傾に対する応答性を比較的早く、左傾/右傾に対する応答性を比較的遅くすることが快適さの実現に奏効するものとなる。
【0009】
そして、座面の前傾/後傾並びに左傾/右傾を好適に行なわせる為には、複数の流体袋を、座面の四隅を支持し得るように配置しているものとすればよい。但し、流体袋の個数は、四個に限定されるものではない。
【0010】
そして、座面の前傾/後傾及び左傾/右傾に係る流体の単位時間当りの流量に差を設けるための単純且つ具体的な構成として、複数個の流体袋同士を連通する流路を有するとともに、前後の流体袋間に設けた前後間流路の最も狭い部分の総断面積を、左右の流体袋間に設けた左右間流路の最も狭い部分の総断面積よりも大きく設定したものとすればよい。
【0011】
そして、座面の形状を保持させる態様を別途選択したり、或いは、座面の前傾/後傾並びに左傾/右傾に応答するスピードを調整し得る構成とするためには、流体の移動を制御し得る流体制御弁をさらに設けたものとすることが望ましい。ここで流体の「制御」とは、流体の流れを遮断する態様や、流体の移動速度を変化させる態様、さらには、流体の移動方向を限定する態様など、既存の流体制御弁が行ない得る全ての態様を含むものとする。
【0012】
そして、流体を空気としている場合には、流体袋の内部を外部へ、例えばON/OFF操作により選択的に連通させ得る外部連通部を更に設けたものとすれば、流体袋に含まれる流体量を所望の量に調節することができる。また、流体袋に含まれる流体量を、単純な構成によって且つ好適に所望の量に調節するためには外部連通部に、外部の空気を吸入し得る吸入ポンプを設けたものとすればよい。
【0013】
他方、座面を前傾/後傾及び左傾/右傾させるための構成の一つとして、流体袋を、座板の下方に配置され前記流体の移動に伴い上下方向に伸縮し得る伸縮部材としているものを挙げることができる。
【0014】
また、座の形状を経時的な使用に際しても安定して保持するためには、前記流体袋の形状を所定形状に復帰させ得る形状復帰手段をさら設けたものとすればよい。
【0015】
そして、座面上の使用者の動作による流体の動作を利用して使用者の背凭れをも含めた着座感をより向上させ得る構成として、背側にさらに背側流体袋を有するとともに、前記流体袋と、背側流体袋とを連通する背座連通流路をさらに有するものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明よれば、座面の前傾/後傾に対する応答性を比較的早く、左傾/右傾に対する応答性を比較的遅くすることで、着座時のさらなる快適さの実現に奏効するものとなっている。すなわち当該発明は、当該本願発明の発明者らが、使用者の着座中の動作をも鑑みて着座者の座り心地について考慮した結果、座面上部における着座者の動作は前後に体重移動する動作の方が、幅方向に体重移動する動作よりも頻度が高く且つ動作範囲も大きいことに初めて想到し得たことによってなされたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る椅子Aを図1及び図2に示す。なお同図においては、後に詳述する流路部3、流体制御弁4並びに外部連通部5に係る図示を省略している。
【0019】
椅子Aは、同図に示すように、座フレームSF及び背フレームBFに座S及び背凭れBをそれぞれ支持させるとともに、図示しない調整機構により座Sが座フレームSFに対して、前後方向に、背フレームBFに対して背凭れBが上下方向にスライドし得るものとなっている。
【0020】
座Sは、図1及び図2に示すように、座面ssを構成するとともに座フレームSFに取り付けられる座本体S1と、当該座本体S1に内蔵される後に詳述する座側流体袋1とを少なくとも有している。そして本実施形態では、座面ssを介して座側流体袋1を構成する後述する各流体袋に加わる圧力の差圧が同一となるように構成している。換言すれば、座面ssに加えられた着座時の圧力は座側流体袋1にすれぞれ同じ条件で伝えられるように構成している。
【0021】
背凭れBは、本実施形態では例えば2本の背フレームBFの延伸方向に沿ってそれぞれ上下方向にスライドし得るものとなっている。そして、背凭れBは同図に示すように、背凭れ面bsを構成し着座者の腰よりも上部である背上部及び腰部を支持し得る背凭れ本体B1と、図2に示すように当該背凭れ本体B1に内蔵される後に詳述する背側流体袋2と、着座者の頭部を支持し得るヘッドレストB2とを少なくとも有しているものである。
【0022】
ここで、本実施形態に係る椅子Aの座Sは、座面ssを支持する複数個の流体袋を有する座側流体袋1を座面ss下に配し、各流体袋を流路たる座側流路31に連通したものとしている。そして、前後の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量を、左右の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量よりも大きく設定していることを特徴としている。なお本実施形態では流体の一例として、空気を適用したものとしている。
【0023】
以下、当該椅子Aにおける座側流体袋1、背側流体袋2及び上述の座側流路31を含む流路部3に係る各構成について詳述する。
【0024】
本実施形態に係る椅子Aは、上述の座側流体袋1、背側流体袋2を具備しているとともに、後述する背座連通流路33、座側流体袋1間を連通する座側流路31及び背側流体袋2間を連通する背側流路32を有する流路部3と、流体の移動を制御し得る流体制御弁4と、流路を外部に連通させ得る外部連通部5を有している。
【0025】
座側流体袋1は、図2及び図3に模式的に示すように、座Sの前側のおいて着座者の大腿部を支持し得る座前部流体袋たる前部流体袋11と、着座者の主に臀部を支持し得る座後部流体袋たる後部流体袋12とを有している。そして前部流体袋11は左右に略対称に分割される前右袋13と前左袋14とを有している。後部流体袋12においても左右に略対称に分割される後右袋15と後左袋16とを有し、それぞれ座面ssの四隅を支持し得るように配置している。そしてこれら前右袋13と前左袋14、後右袋15と後左袋16とは後述する座側流路31によって前後方向並びに左右方向に連通された状態となっている。そして、前部流体袋11と、後述する腰後部流体袋27とは、後述する背座連通流路33によって連通されているが図3には斯かる背座連通流路33の図示を省略して示している。
【0026】
背側流体袋2は、図2、及び図4並びに図5に模式的に示すように、着座者の腰要理も上部を支持し得る背上部流体袋21と、着座者の腰部を支持し得る背下部流体袋たる腰部流体袋22とを有するものである。また背側流体袋2は、同図に示すように、背上部流体袋21において背凭れ面bsを介して着座者に接触し得る背上部接触面積たる肩部接触面積2aを、腰部流体袋22において着座者に接触し得る腰部接触面積2bよりも大きく設定したものとしている。
【0027】
背上部流体袋21は、幅方向に3つ、すなわち、着座者の右側を支持し得る右側流体袋23と、着座者の脊椎上部を支持し得る中央流体袋24と、着座者の左側を支持し得る左側流体袋25とを有したものとなっている。そして当該左側流体袋25、中央流体袋24及び右側流体袋23は、それぞれ後述する背側流路32によって、腰部流体袋22へ連通するものとしている。
【0028】
腰部流体袋22は、前後方向に2つ、すなわち、背凭れ面bs直下に位置付けた腰前部流体袋26と、背フレームBF側に位置付けるとともに収縮とともに背凭れ面bsを腰前部流体袋26ごと前後方向に移動させ得る腰後部流体袋27とを有している。そして、腰前部流体袋26は上述の通り、背側流路32によって背上部流体袋21に連通している。さらに、腰後部流体袋27は、同図に示すように、後述する背座連通流路33によって、前部流体袋11に連通したものとなっている。
【0029】
そして腰後部流体袋27には、当該腰後部流体袋27の収縮動作を前後動作に変換し得る動作変換部材たるガイド板B3を取り付けている。具体的には、ガイド板B3は本実施形態ではヒンジhによって相対的に回動可能に接続された複数の板材によって構成されている。ガイド板B3は具体的には、腰前部流体袋26を押圧し得る押圧板B31と、押圧板B31の上下にそれぞれ連結する上連結板B32並びに下連結板B33と、当該上連結板B32並びに下連結板B33にさらに連結して背フレームBF側に取り付けられる上取付板B34並びに下取付板B35とを有している。そして本実施形態では、腰後部流体袋27内の流体すなわち空気の増加に伴って下取付板B35が背フレームBFに沿って上方向にスライド移動することにより、下連結板B33の角度が図5に示した状態から水平に近づく方向に回転する。そして斯かる下連結板の回動に伴って、上連結板B32を水平に近づ方向に回動させながら、押圧板B31が垂直に起立した状態を維持しながら前方向に略平行に移動し得るものとなっている。
【0030】
流路部3は、図3、図4並びに図5に模式的に示すように、座側流路31と、背側流路32と、背座連通流路33とを有するものである。
【0031】
座側流路31は、図3に示すように、前右袋13及び前左袋14を連通する前側流路311と、後右袋15及び後左袋16を連通する後側流路312とを有することによって、流体をそれぞれ幅方向に移動し得るものとしている。そして前右袋13及び後右袋15を連通する右流路313と、前左袋14と後左袋16とを連通する左流路314とを有することによって、流体をそれぞれ前後方向に移動し得るものとしている。そして本実施形態では前側流路311及び後側流路312と、右流路313及び左流路314とを同径のパイプによって構成している。具体的には、同図に示すように、前側流路311及び後側流路312を1本のパイプにより構成しているのに対し、右流路313及び左流路314を2本のパイプにより構成している。また本実施形態では座側流路31におけるそれぞれの流体の移動を、同図に模式的に示す第一制御弁41並びに第一連通部51を設けたものとしているが、斯かる図示は模式的なものであり、第一制御弁41並びに第一連通部の取付位置を具体的に特定するものではない。
【0032】
背側流路32は、図4に示すように、それぞれの背上部流体袋21、すなわち右側流体袋23、中央流体袋24及び左側流体袋25と、腰前部流体袋26とを連通し得るものとなっている。そして本実施形態では背側流路32中に、後述する第二制御弁42並びに第二連通部52を設けたものとしているが、斯かる図示は模式的なものであり、第二制御弁42並びに第二連通部52の取付位置を具体的に特定するものではない。
【0033】
背座連通流路33は、図5に示すように、前部流体袋11と、腰後部流体袋27とを連通したものである。具体的には右前流体袋13及び左前流体袋14がそれぞれ腰後部流体袋27に連通したものとなっているが、同図において当該図示を省略して示している。
【0034】
流体制御弁4は、図3では想像線によって、図4及び図5では模式的に示すように、本実施形態では、座側流路31及び背座連通流路33における流体の流量を制御し得る第一制御弁41と、背側流路32における流体の流量を制御し得る第二制御弁42とを有したものとしている。斯かる流体制御弁4の作用について説明すると、少なくとも流体の流れの遮断を行い得るものとしているが、他にも流量を制御する機能や、一方向の流体の流れのみを許容する機能を有するものであっても良く、既存の制御弁を採用することにより種々の態様を実現し得るものとなっているため、具体的な構成の説明を省略するものとする。また、流体制御弁4を設ける位置においても、本実施形態では模式的に図示したものとなっているが、具体的な椅子Aの構成によって、種々の箇所に取り付け得るものである。
【0035】
外部連通部5は、図3では想像線によって、図4及び図5では模式的に示すように、本実施形態では第一制御弁41の位置に設けた第一連通部と、第二制御弁42の位置に設けた第二連通部52とを有している。斯かる第一連通部51及び第二連通部52は、それぞれ背側流体袋2及び/又は座側流体袋1の内部と外部とを選択的に連通させて、背側流体袋2又は座側流体袋1内の空気を外部へ放出させるか或いは外部の空気を内部へ案内し得る機能を有するものである。特に本実施形態では、第一連通部51及び第二連通部52に吸入ポンプ53を併設することにより、外部の空気を所要量背側流体袋2又は座側流体袋1内に吸入させて、背側流体袋2又は座側流体袋1内の総空気量を増加させると同時に、例えば図示しないポンプバルブの開放操作によって、背側流体袋2又は座側流体袋1内の空気を簡便に外部へ放出させ得るものとしている。本実施形態では上述の通り、当該外部連通部5を流体制御弁4の位置に設けたものとしているが、外部連通部5を配置する位置などは図示の態様に限られる事はなく、例えば特定の流体袋に配する態様や特定の流路に配する態様など、種々の態様を採用することが可能である。
【0036】
しかして本実施形態に係る椅子Aは、座側流体袋1間、背側流体袋2間、そして座側流体袋1と背側流体袋2との間で流体を移動させることにより、座面ss又は背凭れ面bsが変位するものとなっている。以下に座面ss並びに背凭れ面bsの変形について、図3、図4及び図5を用いて詳述する。
【0037】
図5に示すように、背座連通流路33によって、着座時に前部流体袋11に掛かった荷重が腰後部流体袋27に移動することとなる。その時、腰後部流体袋27が膨張することによって、ガイド板B3の下取付板B35が背フレームSFに沿って上方へスライド移動するとともに、押圧板B31が腰前部流体袋26ごと、対応する背凭れ面bsを隆起させることにより、着座者の腰部を押圧する。そうなると、着座者は着座動作とともに、上体を起立させた良好な着座姿勢を得ることが可能となる。
【0038】
また、空気量を増減させる際には、外部連通部5によって、座側流体袋1または背側流体袋2の内外を連通させて空気を抜くことにより、背側流体袋2又は座側流体袋1を着座者の要望に合わせて柔らかく構成することも可能である。他方、吸入ポンプ53によって背側流体袋2又は座側流体袋1に空気を吸入することにより、背側流体袋2又は座側流体袋1を着座者の要望に合わせて硬く構成することも可能である。
【0039】
ここで、本実施形態に係る椅子Aの座Sは、前後の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量が、左右の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量よりも大きいものとしている。斯かる座側流体袋1並びに座側流路31の構成について、以下に詳述する。
【0040】
図3に示すように、座側流路31ついては、上述の通り、前側流路311及び後側流路312を1本のパイプにより構成しているのに対し、右流路313及び左流路314を2本のパイプにより構成している。そうすることにより、座側流体袋1において、幅方向に流体が移動する流量よりも前後方向に流体が移動する流量の方が大きく構成したものとなっており、着座者の前後方向の体重移動に対して、より早く反応して流体が移動し得るものとなっている。
【0041】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る椅子Aの座Sは、前後に体重移動する動作の方が、幅方向に体重移動する動作よりも頻度が高く且つ動作範囲も大きいという、座面上部における着座者の動作に対し、好適に対応し得たものとなっている。すなわち、座面ssの前傾/後傾に対する応答性を比較的早く、左傾/右傾に対する応答性を比較的遅くすることにより、着座者の座り心地にこれまでにない快適さをもたらし得るものとなっている。
【0042】
また、複数の流体袋たる座側流体袋1における前右袋13、前左袋14、後右袋15及び後左袋16を、座面の四隅を支持し得るように配置することによって、座面の前傾/後傾並びに左傾/右傾を好適に行なわせ得るものとなっている。
【0043】
また、本実施形態では、前右袋13、前左袋14、後右袋15及び後左袋16を連通する流路たる座側流路31を設け、前後の流体袋間に設けた前後間流路たる右流路313並びに左流路314の最も狭い部分の総断面積を、左右の流体袋間に設けた左右間流路たる前側流路311並びに後側流路312の最も狭い部分の総断面積よりも大きく設定することにより、単純且つ具体的な構成によって座面の前傾/後傾及び左傾/右傾に係る流体の単位時間当りの流量に差を設けることを実現している。
【0044】
そして本実施形態では、流体制御弁4をさらに設けることにより、座面ssの形状を保持させる態様を別途選択したり、或いは、座面ssの前傾/後傾並びに左傾/右傾に応答するスピードを所望のスピードに調整し得るものとなっている。
【0045】
さらに本実施形態では、流体を空気とし、座側流体袋1の内部を外部へ連通させ得る外部連通部5を更に設けたものとして、座側流体袋1に含まれる流体量を所望の量に調節し得るものとしている。特に外部の空気を吸入し得る吸入ポンプ53を設けることによって、流体袋に含まれる流体量を、単純な構成によって且つ好適に所望の量に調節し得るものとしている。
【0046】
加えて、背側にさらに背側流体袋2を設けるとともに、座側流体袋1と、背側流体袋2とを連通する背座連通流路33をさらに設けることにより、座面ss上の使用者の動作による流体の動作を利用して使用者の背凭れBをも含めた座り心地を、より向上させ得るものとなっている。
【0047】
<変形例1>
続いて、本実施形態の変形例について詳述していく。また、以下の各変形例において、上記実施形態と同様の構成要素については、同様の符合を付するとともに詳細な説明を省略するものとする。
【0048】
同変形例は、図6及び図7(a)、(b)、(c)に示すように、上記実施形態の要に座面ssの一部を突没させることにより座面ssを変形させるものとは異なり、伸縮部材たるエアコラムacを採用した座側流体袋1とし、当該座面ss又は背凭れ面bsの略全部を昇降させる態様すなわち傾斜させる態様を実現したものである。
【0049】
具体的には、エアコラムacを座板S11の4隅を含む下方にそれぞれ複数配置し、座側流路31を介した流体の移動に伴いそれぞれ上下方向に伸縮させることにより、座面ss全体を昇降並びに傾斜させ得るものとなっている。なお同変形例においても、吸入ポンプを配した外部連通部5を設けた構成としてもよい。
【0050】
<変形例2>
また、流体袋によって座本体S1又は背凭れ本体B1を構成する具体的な一例として、図8、図9、図10、図11及び図12に示すような態様を挙げることができる。
【0051】
同図は、例えば座側流体袋1aに当該座側流体袋1aの形状を所定形状に復帰させ得る形状復帰手段としてのウレタンシェルB1aを座面ssの下方に配置し、座側流体袋1aを所定形状に保持すべく適用した態様を示している。そして当該座側流体袋1aは、上記実施形態同様の流体制御弁4及び外部連通部5を設けるとともに、一例として背座連通流路33を介して図示しない背側流体袋2へ連通するものとしている。本変形例において、座側流体袋1aは、底部で各々連通した直方体形状のセル10aを形成したものとしている。一方ウレタンシェルB1aは、セル10aの形状に対応させた格子穴B10aを有したものとしている。そして、図9に示すように、セル10aに対して格子穴B10aを嵌め合わせて、セル10aの表面を格子穴B10aの内面に例えば接着することによって、座本体S1の一部を構成したものとしている。このように座側流体袋1a複数のセル10aに分割して、ウレタンシェルB1aの格子穴B10aにより位置決めを行なうことにより、上記実施形態のように単一の流体袋を採用した場合と比べて、形状を安定させるとともに着座時の安定感を出し得るものとなっている。また、本変形例において流体袋には、吸入ポンプ53を有する外部連通部5を設けたものとしている。
【0052】
斯かる構成により図10に示すように、例えば流体制御弁4を制御して背側流体袋2へ連通させた場合、座面を着座動作により押圧されると座側流体袋1a及びウレタンシェルB1aがともに圧縮される。そうなるとセル10a内の流体すなわち空気が背座連通流路33を介して背側流体袋2へ移動する。
【0053】
そして図11に示すように、着座者の立ち上がり動作などによって座本体1に荷重が掛かった状態から解除されると、ウレタンシェルB1a自体がその形状をもとの形状に復帰させる為、格子穴B10aの内面形状の復帰に応じてセル10aの形状も復帰して膨張する。このとき座側流体袋1aの内圧が一時的に低下することとなり、背座連通流路33、流体制御弁4を介して背側流体袋から空気が入ることとなる。そしてウレタンシェルB1aの形状が完全に復帰するときにはセル10aにも所要量の空気が入ることとなり、座本体S1の形状はもとの形状に復帰する。
【0054】
斯かる一連の動作は外部連通部5に設けた図示しないバルブを開放することによって座側流体袋1aの内部を外側に連通させた場合においても同様に起こるものである。一方、何らかの理由で座側流体袋1a内の空気量が少なくなった際には、同様に外部連通部5によって流体袋の内外を連通させることにより、上述同様にウレタンシェルB1aがもとの形状に戻す為、座本体S1の形状は好適に復帰することとなる。そのため、座Sの継続的な使用に際しても安定して形状を保持し得るものとなっている。
【0055】
他方、図12に示すように、吸入ポンプ53によって、座本体を硬めに構成して弾性反発力を高めることも可能である。すなわち、吸入ポンプ53によって外部の空気が座側流体袋1a内に入ると、座側流体袋1aにおいて個々のセル10aが内圧を高めつつ膨張する。そしてウレタンシェルB1aは膨張したセル10aに格子穴B10aの内面側から圧縮されることによって密度が上昇する。そうすることにより、座側流体袋1aの内圧の上昇とウレタンシェルの密度の上昇が併せて起こることにより、座Sの硬さ並びに弾性反発力を高め得るものとなっている。
【0056】
また同変形例では上述の通り、一例として単一の座側流体袋1aを例に挙げ、背座連通流路33を介して図示しない背側流体袋2へ連通するものとしているが。座側流体袋1aを複数構成して、座側連通流路31を介して各座側流体袋1a間に適用するものとしてもよい。
【0057】
また、図13(a)、(b)、(c)及び(d)に示すように、例えば座側流体袋1b自体を、所謂ジェルなどの、弾性を有する素材を用いて構成することにより、座側流体袋1b自体を形状復帰手段として構成しても良い。すなわち、同図(a)、(b)に示すように、内部に流体を収容し得る各々連通した複数の流体収容部10bを設けたものとしているそして、この変形例においても流体袋に、吸入ポンプ53を有する外部連通部5を設けたものとしている。
【0058】
斯かる構成により、同図(c)に示すように座側流体袋1bの所定箇所に荷重が掛かった場合、個々の流体収容部間10bを流体が移動することにより、圧力が分散された状態となり、座側流体袋1bが均一に荷重を受け得るものとなっている。また、同図(d)に示すように、外部連通部5における吸入ポンプ53によって、座側流体袋10bを硬くして弾性反発力を高めることも可能である。すなわち、吸入ポンプ53によって外部の空気が流体袋内に入ると、個々の流体収容部10bが内圧を高めつつ膨張する。そうすることにより、硬さ並びに弾性反発力を高め得るものとなっている。
【0059】
<変形例3>
また、図14及び図15に示すように、座側流体袋1の構成として、上記実施形態に示した前部流体袋11と後部流体袋12に加え、着座者の尾てい骨を斜め下方から押圧支持する後端部流体袋17を有するものとしても良い。
【0060】
斯かる構成により、着座者は座Sの後端部から尾てい骨を押圧支持されることによって、座側流体袋1は、特に骨盤を、より安定して支持し得るものとなっている。図14は、上記実施形態に係る前部流体袋11に適用した構成として、後端部流体袋17と、座側流路31aとを図示しており、図15は、図6に係るエアコラムacを適用した態様に後端部流体袋を適用したものとしている。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態では、座面の一部を突没させる態様と、座面全体を傾斜させる態様とをそれぞれ記載したが、これらの態様を併用したものとしてもよい。すなわち、同一の座面において、流体袋の収縮により突没する箇所と、伸縮部材の伸縮によって座板を傾斜させ得る箇所とを設けたものとしてもよい。
【0063】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る外観図。
【図2】同実施形態に係る構成説明図。
【図3】同実施形態に係る模式的な構成説明図。
【図4】同上。
【図5】同上。
【図6】同実施形態の変形例1に係る構成説明図。
【図7】同作用説明図。
【図8】同実施形態の変形例2に係る構成説明図。
【図9】同上。
【図10】同実施形態の変形例2に係る作用説明図。
【図11】同上。
【図12】同上。
【図13】同変形例2に係る他の構成説明図。
【図14】同実施形態の変形例3に係る構成説明図。
【図15】同変形例3に係る他の構成説明図。
【符号の説明】
【0065】
ss…座面
1…流体袋(座側流体袋)
2…背側流体袋
31…流路(座側流路)
313…前後間流路(右流路)
314…前後間流路(左流路)
311…左右間流路(前側流路)
312…左右間流路(後側流路)
33…背座連通流路
4…流体制御弁
5…外部連通部
53…吸入ポンプ
ac…伸縮部材(エアコラム)
B1a…形状復帰手段(ウレタンシェル)
A…椅子
S…座
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座者の姿勢に追随して形状を変化させ得る椅子の座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、椅子、特に事務用の椅子において、フレームの位置や向きを調整することにより、着座者を快適な姿勢とすることができる椅子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述した特許文献に記載のものは、背凭れ面の角度に応じて、座面を前後動させ得るものとなっている。斯かる構成の椅子は、使用者に対して、それぞれの着座姿勢に応じて快適な着座感を与え得る椅子の座を実現したものとなっている。
【特許文献1】特開2002−119363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで本願の発明者らは、使用者にとっての椅子の座の座り心地についてさらに検討を試みた結果、座面上において、実際には着座時にも使用者は様々な動作をしているという事に着目するに至った。すなわち、使用者にとっての椅子の座の座り心地について追求するのであれば、斯かる使用者の動作を考慮に入れて座り心地を考えることも必要ということができる。
【0005】
すなわち、座り心地の良い座を提供するということは、予め設定した座面の位置や角度について考慮するのみならず、着座中の使用者の動作を行なった際に対しても着目することも必要であると考える事ができる。
【0006】
そこで本発明は、使用者の着座中の動作にも着目した上で、快適な使用感を与え得る椅子の座を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係る椅子の座は、座面を支持する複数個の流体袋を座面下に配し、一の流体袋と他の流体袋とを連通しており、座面を介して流体袋に加わる圧力の差圧が同一である条件下で、前後の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量が、左右の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
すなわち、本願発明は、当該本願発明の発明者らが、使用者の着座中の動作をも鑑みて着座者の座り心地について考慮した結果、座面上部における着座者の動作は前後に体重移動する動作の方が、幅方向に体重移動する動作よりも頻度が高く且つ動作範囲も大きいことに初めて想到し得たことによるものである。そして、斯かる構成により、座面の前傾/後傾に対する応答性を比較的早く、左傾/右傾に対する応答性を比較的遅くすることが快適さの実現に奏効するものとなる。
【0009】
そして、座面の前傾/後傾並びに左傾/右傾を好適に行なわせる為には、複数の流体袋を、座面の四隅を支持し得るように配置しているものとすればよい。但し、流体袋の個数は、四個に限定されるものではない。
【0010】
そして、座面の前傾/後傾及び左傾/右傾に係る流体の単位時間当りの流量に差を設けるための単純且つ具体的な構成として、複数個の流体袋同士を連通する流路を有するとともに、前後の流体袋間に設けた前後間流路の最も狭い部分の総断面積を、左右の流体袋間に設けた左右間流路の最も狭い部分の総断面積よりも大きく設定したものとすればよい。
【0011】
そして、座面の形状を保持させる態様を別途選択したり、或いは、座面の前傾/後傾並びに左傾/右傾に応答するスピードを調整し得る構成とするためには、流体の移動を制御し得る流体制御弁をさらに設けたものとすることが望ましい。ここで流体の「制御」とは、流体の流れを遮断する態様や、流体の移動速度を変化させる態様、さらには、流体の移動方向を限定する態様など、既存の流体制御弁が行ない得る全ての態様を含むものとする。
【0012】
そして、流体を空気としている場合には、流体袋の内部を外部へ、例えばON/OFF操作により選択的に連通させ得る外部連通部を更に設けたものとすれば、流体袋に含まれる流体量を所望の量に調節することができる。また、流体袋に含まれる流体量を、単純な構成によって且つ好適に所望の量に調節するためには外部連通部に、外部の空気を吸入し得る吸入ポンプを設けたものとすればよい。
【0013】
他方、座面を前傾/後傾及び左傾/右傾させるための構成の一つとして、流体袋を、座板の下方に配置され前記流体の移動に伴い上下方向に伸縮し得る伸縮部材としているものを挙げることができる。
【0014】
また、座の形状を経時的な使用に際しても安定して保持するためには、前記流体袋の形状を所定形状に復帰させ得る形状復帰手段をさら設けたものとすればよい。
【0015】
そして、座面上の使用者の動作による流体の動作を利用して使用者の背凭れをも含めた着座感をより向上させ得る構成として、背側にさらに背側流体袋を有するとともに、前記流体袋と、背側流体袋とを連通する背座連通流路をさらに有するものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明よれば、座面の前傾/後傾に対する応答性を比較的早く、左傾/右傾に対する応答性を比較的遅くすることで、着座時のさらなる快適さの実現に奏効するものとなっている。すなわち当該発明は、当該本願発明の発明者らが、使用者の着座中の動作をも鑑みて着座者の座り心地について考慮した結果、座面上部における着座者の動作は前後に体重移動する動作の方が、幅方向に体重移動する動作よりも頻度が高く且つ動作範囲も大きいことに初めて想到し得たことによってなされたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る椅子Aを図1及び図2に示す。なお同図においては、後に詳述する流路部3、流体制御弁4並びに外部連通部5に係る図示を省略している。
【0019】
椅子Aは、同図に示すように、座フレームSF及び背フレームBFに座S及び背凭れBをそれぞれ支持させるとともに、図示しない調整機構により座Sが座フレームSFに対して、前後方向に、背フレームBFに対して背凭れBが上下方向にスライドし得るものとなっている。
【0020】
座Sは、図1及び図2に示すように、座面ssを構成するとともに座フレームSFに取り付けられる座本体S1と、当該座本体S1に内蔵される後に詳述する座側流体袋1とを少なくとも有している。そして本実施形態では、座面ssを介して座側流体袋1を構成する後述する各流体袋に加わる圧力の差圧が同一となるように構成している。換言すれば、座面ssに加えられた着座時の圧力は座側流体袋1にすれぞれ同じ条件で伝えられるように構成している。
【0021】
背凭れBは、本実施形態では例えば2本の背フレームBFの延伸方向に沿ってそれぞれ上下方向にスライドし得るものとなっている。そして、背凭れBは同図に示すように、背凭れ面bsを構成し着座者の腰よりも上部である背上部及び腰部を支持し得る背凭れ本体B1と、図2に示すように当該背凭れ本体B1に内蔵される後に詳述する背側流体袋2と、着座者の頭部を支持し得るヘッドレストB2とを少なくとも有しているものである。
【0022】
ここで、本実施形態に係る椅子Aの座Sは、座面ssを支持する複数個の流体袋を有する座側流体袋1を座面ss下に配し、各流体袋を流路たる座側流路31に連通したものとしている。そして、前後の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量を、左右の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量よりも大きく設定していることを特徴としている。なお本実施形態では流体の一例として、空気を適用したものとしている。
【0023】
以下、当該椅子Aにおける座側流体袋1、背側流体袋2及び上述の座側流路31を含む流路部3に係る各構成について詳述する。
【0024】
本実施形態に係る椅子Aは、上述の座側流体袋1、背側流体袋2を具備しているとともに、後述する背座連通流路33、座側流体袋1間を連通する座側流路31及び背側流体袋2間を連通する背側流路32を有する流路部3と、流体の移動を制御し得る流体制御弁4と、流路を外部に連通させ得る外部連通部5を有している。
【0025】
座側流体袋1は、図2及び図3に模式的に示すように、座Sの前側のおいて着座者の大腿部を支持し得る座前部流体袋たる前部流体袋11と、着座者の主に臀部を支持し得る座後部流体袋たる後部流体袋12とを有している。そして前部流体袋11は左右に略対称に分割される前右袋13と前左袋14とを有している。後部流体袋12においても左右に略対称に分割される後右袋15と後左袋16とを有し、それぞれ座面ssの四隅を支持し得るように配置している。そしてこれら前右袋13と前左袋14、後右袋15と後左袋16とは後述する座側流路31によって前後方向並びに左右方向に連通された状態となっている。そして、前部流体袋11と、後述する腰後部流体袋27とは、後述する背座連通流路33によって連通されているが図3には斯かる背座連通流路33の図示を省略して示している。
【0026】
背側流体袋2は、図2、及び図4並びに図5に模式的に示すように、着座者の腰要理も上部を支持し得る背上部流体袋21と、着座者の腰部を支持し得る背下部流体袋たる腰部流体袋22とを有するものである。また背側流体袋2は、同図に示すように、背上部流体袋21において背凭れ面bsを介して着座者に接触し得る背上部接触面積たる肩部接触面積2aを、腰部流体袋22において着座者に接触し得る腰部接触面積2bよりも大きく設定したものとしている。
【0027】
背上部流体袋21は、幅方向に3つ、すなわち、着座者の右側を支持し得る右側流体袋23と、着座者の脊椎上部を支持し得る中央流体袋24と、着座者の左側を支持し得る左側流体袋25とを有したものとなっている。そして当該左側流体袋25、中央流体袋24及び右側流体袋23は、それぞれ後述する背側流路32によって、腰部流体袋22へ連通するものとしている。
【0028】
腰部流体袋22は、前後方向に2つ、すなわち、背凭れ面bs直下に位置付けた腰前部流体袋26と、背フレームBF側に位置付けるとともに収縮とともに背凭れ面bsを腰前部流体袋26ごと前後方向に移動させ得る腰後部流体袋27とを有している。そして、腰前部流体袋26は上述の通り、背側流路32によって背上部流体袋21に連通している。さらに、腰後部流体袋27は、同図に示すように、後述する背座連通流路33によって、前部流体袋11に連通したものとなっている。
【0029】
そして腰後部流体袋27には、当該腰後部流体袋27の収縮動作を前後動作に変換し得る動作変換部材たるガイド板B3を取り付けている。具体的には、ガイド板B3は本実施形態ではヒンジhによって相対的に回動可能に接続された複数の板材によって構成されている。ガイド板B3は具体的には、腰前部流体袋26を押圧し得る押圧板B31と、押圧板B31の上下にそれぞれ連結する上連結板B32並びに下連結板B33と、当該上連結板B32並びに下連結板B33にさらに連結して背フレームBF側に取り付けられる上取付板B34並びに下取付板B35とを有している。そして本実施形態では、腰後部流体袋27内の流体すなわち空気の増加に伴って下取付板B35が背フレームBFに沿って上方向にスライド移動することにより、下連結板B33の角度が図5に示した状態から水平に近づく方向に回転する。そして斯かる下連結板の回動に伴って、上連結板B32を水平に近づ方向に回動させながら、押圧板B31が垂直に起立した状態を維持しながら前方向に略平行に移動し得るものとなっている。
【0030】
流路部3は、図3、図4並びに図5に模式的に示すように、座側流路31と、背側流路32と、背座連通流路33とを有するものである。
【0031】
座側流路31は、図3に示すように、前右袋13及び前左袋14を連通する前側流路311と、後右袋15及び後左袋16を連通する後側流路312とを有することによって、流体をそれぞれ幅方向に移動し得るものとしている。そして前右袋13及び後右袋15を連通する右流路313と、前左袋14と後左袋16とを連通する左流路314とを有することによって、流体をそれぞれ前後方向に移動し得るものとしている。そして本実施形態では前側流路311及び後側流路312と、右流路313及び左流路314とを同径のパイプによって構成している。具体的には、同図に示すように、前側流路311及び後側流路312を1本のパイプにより構成しているのに対し、右流路313及び左流路314を2本のパイプにより構成している。また本実施形態では座側流路31におけるそれぞれの流体の移動を、同図に模式的に示す第一制御弁41並びに第一連通部51を設けたものとしているが、斯かる図示は模式的なものであり、第一制御弁41並びに第一連通部の取付位置を具体的に特定するものではない。
【0032】
背側流路32は、図4に示すように、それぞれの背上部流体袋21、すなわち右側流体袋23、中央流体袋24及び左側流体袋25と、腰前部流体袋26とを連通し得るものとなっている。そして本実施形態では背側流路32中に、後述する第二制御弁42並びに第二連通部52を設けたものとしているが、斯かる図示は模式的なものであり、第二制御弁42並びに第二連通部52の取付位置を具体的に特定するものではない。
【0033】
背座連通流路33は、図5に示すように、前部流体袋11と、腰後部流体袋27とを連通したものである。具体的には右前流体袋13及び左前流体袋14がそれぞれ腰後部流体袋27に連通したものとなっているが、同図において当該図示を省略して示している。
【0034】
流体制御弁4は、図3では想像線によって、図4及び図5では模式的に示すように、本実施形態では、座側流路31及び背座連通流路33における流体の流量を制御し得る第一制御弁41と、背側流路32における流体の流量を制御し得る第二制御弁42とを有したものとしている。斯かる流体制御弁4の作用について説明すると、少なくとも流体の流れの遮断を行い得るものとしているが、他にも流量を制御する機能や、一方向の流体の流れのみを許容する機能を有するものであっても良く、既存の制御弁を採用することにより種々の態様を実現し得るものとなっているため、具体的な構成の説明を省略するものとする。また、流体制御弁4を設ける位置においても、本実施形態では模式的に図示したものとなっているが、具体的な椅子Aの構成によって、種々の箇所に取り付け得るものである。
【0035】
外部連通部5は、図3では想像線によって、図4及び図5では模式的に示すように、本実施形態では第一制御弁41の位置に設けた第一連通部と、第二制御弁42の位置に設けた第二連通部52とを有している。斯かる第一連通部51及び第二連通部52は、それぞれ背側流体袋2及び/又は座側流体袋1の内部と外部とを選択的に連通させて、背側流体袋2又は座側流体袋1内の空気を外部へ放出させるか或いは外部の空気を内部へ案内し得る機能を有するものである。特に本実施形態では、第一連通部51及び第二連通部52に吸入ポンプ53を併設することにより、外部の空気を所要量背側流体袋2又は座側流体袋1内に吸入させて、背側流体袋2又は座側流体袋1内の総空気量を増加させると同時に、例えば図示しないポンプバルブの開放操作によって、背側流体袋2又は座側流体袋1内の空気を簡便に外部へ放出させ得るものとしている。本実施形態では上述の通り、当該外部連通部5を流体制御弁4の位置に設けたものとしているが、外部連通部5を配置する位置などは図示の態様に限られる事はなく、例えば特定の流体袋に配する態様や特定の流路に配する態様など、種々の態様を採用することが可能である。
【0036】
しかして本実施形態に係る椅子Aは、座側流体袋1間、背側流体袋2間、そして座側流体袋1と背側流体袋2との間で流体を移動させることにより、座面ss又は背凭れ面bsが変位するものとなっている。以下に座面ss並びに背凭れ面bsの変形について、図3、図4及び図5を用いて詳述する。
【0037】
図5に示すように、背座連通流路33によって、着座時に前部流体袋11に掛かった荷重が腰後部流体袋27に移動することとなる。その時、腰後部流体袋27が膨張することによって、ガイド板B3の下取付板B35が背フレームSFに沿って上方へスライド移動するとともに、押圧板B31が腰前部流体袋26ごと、対応する背凭れ面bsを隆起させることにより、着座者の腰部を押圧する。そうなると、着座者は着座動作とともに、上体を起立させた良好な着座姿勢を得ることが可能となる。
【0038】
また、空気量を増減させる際には、外部連通部5によって、座側流体袋1または背側流体袋2の内外を連通させて空気を抜くことにより、背側流体袋2又は座側流体袋1を着座者の要望に合わせて柔らかく構成することも可能である。他方、吸入ポンプ53によって背側流体袋2又は座側流体袋1に空気を吸入することにより、背側流体袋2又は座側流体袋1を着座者の要望に合わせて硬く構成することも可能である。
【0039】
ここで、本実施形態に係る椅子Aの座Sは、前後の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量が、左右の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量よりも大きいものとしている。斯かる座側流体袋1並びに座側流路31の構成について、以下に詳述する。
【0040】
図3に示すように、座側流路31ついては、上述の通り、前側流路311及び後側流路312を1本のパイプにより構成しているのに対し、右流路313及び左流路314を2本のパイプにより構成している。そうすることにより、座側流体袋1において、幅方向に流体が移動する流量よりも前後方向に流体が移動する流量の方が大きく構成したものとなっており、着座者の前後方向の体重移動に対して、より早く反応して流体が移動し得るものとなっている。
【0041】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る椅子Aの座Sは、前後に体重移動する動作の方が、幅方向に体重移動する動作よりも頻度が高く且つ動作範囲も大きいという、座面上部における着座者の動作に対し、好適に対応し得たものとなっている。すなわち、座面ssの前傾/後傾に対する応答性を比較的早く、左傾/右傾に対する応答性を比較的遅くすることにより、着座者の座り心地にこれまでにない快適さをもたらし得るものとなっている。
【0042】
また、複数の流体袋たる座側流体袋1における前右袋13、前左袋14、後右袋15及び後左袋16を、座面の四隅を支持し得るように配置することによって、座面の前傾/後傾並びに左傾/右傾を好適に行なわせ得るものとなっている。
【0043】
また、本実施形態では、前右袋13、前左袋14、後右袋15及び後左袋16を連通する流路たる座側流路31を設け、前後の流体袋間に設けた前後間流路たる右流路313並びに左流路314の最も狭い部分の総断面積を、左右の流体袋間に設けた左右間流路たる前側流路311並びに後側流路312の最も狭い部分の総断面積よりも大きく設定することにより、単純且つ具体的な構成によって座面の前傾/後傾及び左傾/右傾に係る流体の単位時間当りの流量に差を設けることを実現している。
【0044】
そして本実施形態では、流体制御弁4をさらに設けることにより、座面ssの形状を保持させる態様を別途選択したり、或いは、座面ssの前傾/後傾並びに左傾/右傾に応答するスピードを所望のスピードに調整し得るものとなっている。
【0045】
さらに本実施形態では、流体を空気とし、座側流体袋1の内部を外部へ連通させ得る外部連通部5を更に設けたものとして、座側流体袋1に含まれる流体量を所望の量に調節し得るものとしている。特に外部の空気を吸入し得る吸入ポンプ53を設けることによって、流体袋に含まれる流体量を、単純な構成によって且つ好適に所望の量に調節し得るものとしている。
【0046】
加えて、背側にさらに背側流体袋2を設けるとともに、座側流体袋1と、背側流体袋2とを連通する背座連通流路33をさらに設けることにより、座面ss上の使用者の動作による流体の動作を利用して使用者の背凭れBをも含めた座り心地を、より向上させ得るものとなっている。
【0047】
<変形例1>
続いて、本実施形態の変形例について詳述していく。また、以下の各変形例において、上記実施形態と同様の構成要素については、同様の符合を付するとともに詳細な説明を省略するものとする。
【0048】
同変形例は、図6及び図7(a)、(b)、(c)に示すように、上記実施形態の要に座面ssの一部を突没させることにより座面ssを変形させるものとは異なり、伸縮部材たるエアコラムacを採用した座側流体袋1とし、当該座面ss又は背凭れ面bsの略全部を昇降させる態様すなわち傾斜させる態様を実現したものである。
【0049】
具体的には、エアコラムacを座板S11の4隅を含む下方にそれぞれ複数配置し、座側流路31を介した流体の移動に伴いそれぞれ上下方向に伸縮させることにより、座面ss全体を昇降並びに傾斜させ得るものとなっている。なお同変形例においても、吸入ポンプを配した外部連通部5を設けた構成としてもよい。
【0050】
<変形例2>
また、流体袋によって座本体S1又は背凭れ本体B1を構成する具体的な一例として、図8、図9、図10、図11及び図12に示すような態様を挙げることができる。
【0051】
同図は、例えば座側流体袋1aに当該座側流体袋1aの形状を所定形状に復帰させ得る形状復帰手段としてのウレタンシェルB1aを座面ssの下方に配置し、座側流体袋1aを所定形状に保持すべく適用した態様を示している。そして当該座側流体袋1aは、上記実施形態同様の流体制御弁4及び外部連通部5を設けるとともに、一例として背座連通流路33を介して図示しない背側流体袋2へ連通するものとしている。本変形例において、座側流体袋1aは、底部で各々連通した直方体形状のセル10aを形成したものとしている。一方ウレタンシェルB1aは、セル10aの形状に対応させた格子穴B10aを有したものとしている。そして、図9に示すように、セル10aに対して格子穴B10aを嵌め合わせて、セル10aの表面を格子穴B10aの内面に例えば接着することによって、座本体S1の一部を構成したものとしている。このように座側流体袋1a複数のセル10aに分割して、ウレタンシェルB1aの格子穴B10aにより位置決めを行なうことにより、上記実施形態のように単一の流体袋を採用した場合と比べて、形状を安定させるとともに着座時の安定感を出し得るものとなっている。また、本変形例において流体袋には、吸入ポンプ53を有する外部連通部5を設けたものとしている。
【0052】
斯かる構成により図10に示すように、例えば流体制御弁4を制御して背側流体袋2へ連通させた場合、座面を着座動作により押圧されると座側流体袋1a及びウレタンシェルB1aがともに圧縮される。そうなるとセル10a内の流体すなわち空気が背座連通流路33を介して背側流体袋2へ移動する。
【0053】
そして図11に示すように、着座者の立ち上がり動作などによって座本体1に荷重が掛かった状態から解除されると、ウレタンシェルB1a自体がその形状をもとの形状に復帰させる為、格子穴B10aの内面形状の復帰に応じてセル10aの形状も復帰して膨張する。このとき座側流体袋1aの内圧が一時的に低下することとなり、背座連通流路33、流体制御弁4を介して背側流体袋から空気が入ることとなる。そしてウレタンシェルB1aの形状が完全に復帰するときにはセル10aにも所要量の空気が入ることとなり、座本体S1の形状はもとの形状に復帰する。
【0054】
斯かる一連の動作は外部連通部5に設けた図示しないバルブを開放することによって座側流体袋1aの内部を外側に連通させた場合においても同様に起こるものである。一方、何らかの理由で座側流体袋1a内の空気量が少なくなった際には、同様に外部連通部5によって流体袋の内外を連通させることにより、上述同様にウレタンシェルB1aがもとの形状に戻す為、座本体S1の形状は好適に復帰することとなる。そのため、座Sの継続的な使用に際しても安定して形状を保持し得るものとなっている。
【0055】
他方、図12に示すように、吸入ポンプ53によって、座本体を硬めに構成して弾性反発力を高めることも可能である。すなわち、吸入ポンプ53によって外部の空気が座側流体袋1a内に入ると、座側流体袋1aにおいて個々のセル10aが内圧を高めつつ膨張する。そしてウレタンシェルB1aは膨張したセル10aに格子穴B10aの内面側から圧縮されることによって密度が上昇する。そうすることにより、座側流体袋1aの内圧の上昇とウレタンシェルの密度の上昇が併せて起こることにより、座Sの硬さ並びに弾性反発力を高め得るものとなっている。
【0056】
また同変形例では上述の通り、一例として単一の座側流体袋1aを例に挙げ、背座連通流路33を介して図示しない背側流体袋2へ連通するものとしているが。座側流体袋1aを複数構成して、座側連通流路31を介して各座側流体袋1a間に適用するものとしてもよい。
【0057】
また、図13(a)、(b)、(c)及び(d)に示すように、例えば座側流体袋1b自体を、所謂ジェルなどの、弾性を有する素材を用いて構成することにより、座側流体袋1b自体を形状復帰手段として構成しても良い。すなわち、同図(a)、(b)に示すように、内部に流体を収容し得る各々連通した複数の流体収容部10bを設けたものとしているそして、この変形例においても流体袋に、吸入ポンプ53を有する外部連通部5を設けたものとしている。
【0058】
斯かる構成により、同図(c)に示すように座側流体袋1bの所定箇所に荷重が掛かった場合、個々の流体収容部間10bを流体が移動することにより、圧力が分散された状態となり、座側流体袋1bが均一に荷重を受け得るものとなっている。また、同図(d)に示すように、外部連通部5における吸入ポンプ53によって、座側流体袋10bを硬くして弾性反発力を高めることも可能である。すなわち、吸入ポンプ53によって外部の空気が流体袋内に入ると、個々の流体収容部10bが内圧を高めつつ膨張する。そうすることにより、硬さ並びに弾性反発力を高め得るものとなっている。
【0059】
<変形例3>
また、図14及び図15に示すように、座側流体袋1の構成として、上記実施形態に示した前部流体袋11と後部流体袋12に加え、着座者の尾てい骨を斜め下方から押圧支持する後端部流体袋17を有するものとしても良い。
【0060】
斯かる構成により、着座者は座Sの後端部から尾てい骨を押圧支持されることによって、座側流体袋1は、特に骨盤を、より安定して支持し得るものとなっている。図14は、上記実施形態に係る前部流体袋11に適用した構成として、後端部流体袋17と、座側流路31aとを図示しており、図15は、図6に係るエアコラムacを適用した態様に後端部流体袋を適用したものとしている。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態では、座面の一部を突没させる態様と、座面全体を傾斜させる態様とをそれぞれ記載したが、これらの態様を併用したものとしてもよい。すなわち、同一の座面において、流体袋の収縮により突没する箇所と、伸縮部材の伸縮によって座板を傾斜させ得る箇所とを設けたものとしてもよい。
【0063】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る外観図。
【図2】同実施形態に係る構成説明図。
【図3】同実施形態に係る模式的な構成説明図。
【図4】同上。
【図5】同上。
【図6】同実施形態の変形例1に係る構成説明図。
【図7】同作用説明図。
【図8】同実施形態の変形例2に係る構成説明図。
【図9】同上。
【図10】同実施形態の変形例2に係る作用説明図。
【図11】同上。
【図12】同上。
【図13】同変形例2に係る他の構成説明図。
【図14】同実施形態の変形例3に係る構成説明図。
【図15】同変形例3に係る他の構成説明図。
【符号の説明】
【0065】
ss…座面
1…流体袋(座側流体袋)
2…背側流体袋
31…流路(座側流路)
313…前後間流路(右流路)
314…前後間流路(左流路)
311…左右間流路(前側流路)
312…左右間流路(後側流路)
33…背座連通流路
4…流体制御弁
5…外部連通部
53…吸入ポンプ
ac…伸縮部材(エアコラム)
B1a…形状復帰手段(ウレタンシェル)
A…椅子
S…座
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面を支持する複数個の流体袋を座面下に配し、一の流体袋と他の流体袋とを連通しており、
座面を介して流体袋に加わる圧力の差圧が同一である条件下で、前後の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量が、左右の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量よりも大きいことを特徴とする椅子の座。
【請求項2】
前記複数の流体袋を、前記座面の四隅を支持し得るように配置している請求項1記載の椅子の座。
【請求項3】
複数個の流体袋同士を連通する流路を有するとともに、前後の流体袋間に設けた前後間流路の最も狭い部分の総断面積を、左右の流体袋間に設けた左右間流路の最も狭い部分の総断面積よりも大きく設定している請求項1又は2記載の椅子の座。
【請求項4】
前記流体の移動を制御し得る流体制御弁をさらに設けたものとしている請求項1、2又は3記載の椅子の座。
【請求項5】
前記流体を空気とし、前記流体袋の内部を外部へ選択的に連通させ得る外部連通部を更に設けたものとしている請求項1、2、3又は4記載の椅子の座。
【請求項6】
前記外部連通部に、外部の空気を吸入し得る吸入ポンプを設けている請求項5記載の椅子の座。
【請求項7】
流体袋を、座板の下方に配置され前記流体の移動に伴い上下方向に伸縮し得る伸縮部材としている1、2、3、4、5又は6記載の椅子の座。
【請求項8】
前記流体袋の形状を所定形状に復帰させ得る形状復帰手段をさらに有したものとしている請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の椅子の座。
【請求項9】
背側にさらに背側流体袋を有するとともに、前記流体袋と、背側流体袋とを連通する背座連通流路をさらに有するものとしている請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の椅子の座。
【請求項1】
座面を支持する複数個の流体袋を座面下に配し、一の流体袋と他の流体袋とを連通しており、
座面を介して流体袋に加わる圧力の差圧が同一である条件下で、前後の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量が、左右の流体袋間で流動する流体の単位時間当たりの流量よりも大きいことを特徴とする椅子の座。
【請求項2】
前記複数の流体袋を、前記座面の四隅を支持し得るように配置している請求項1記載の椅子の座。
【請求項3】
複数個の流体袋同士を連通する流路を有するとともに、前後の流体袋間に設けた前後間流路の最も狭い部分の総断面積を、左右の流体袋間に設けた左右間流路の最も狭い部分の総断面積よりも大きく設定している請求項1又は2記載の椅子の座。
【請求項4】
前記流体の移動を制御し得る流体制御弁をさらに設けたものとしている請求項1、2又は3記載の椅子の座。
【請求項5】
前記流体を空気とし、前記流体袋の内部を外部へ選択的に連通させ得る外部連通部を更に設けたものとしている請求項1、2、3又は4記載の椅子の座。
【請求項6】
前記外部連通部に、外部の空気を吸入し得る吸入ポンプを設けている請求項5記載の椅子の座。
【請求項7】
流体袋を、座板の下方に配置され前記流体の移動に伴い上下方向に伸縮し得る伸縮部材としている1、2、3、4、5又は6記載の椅子の座。
【請求項8】
前記流体袋の形状を所定形状に復帰させ得る形状復帰手段をさらに有したものとしている請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の椅子の座。
【請求項9】
背側にさらに背側流体袋を有するとともに、前記流体袋と、背側流体袋とを連通する背座連通流路をさらに有するものとしている請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の椅子の座。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−82521(P2009−82521A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257126(P2007−257126)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
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