説明

椅子装置

【課題】使用者が着座する座部を有する椅子装置に関し、詳しくは使用者の臀部に振動を与えることにより下半身等の血液循環を改善する。
【解決手段】使用者の臀部が載置される座部を有し、該座部は、前記臀部の左右の一方側を載置しうる第1の座部と、該第1の座部とは分離して設けられかつ前記臀部の他方側を載置しうる第2の座部とを含み、しかも前記第1の座部と第2の座部とを連続して接近・離間移動させる駆動部を具えることを特徴とする椅子装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が着座する座部を有する椅子装置に関し、詳しくは使用者の臀部に振動を与えることにより身体の血液循環を改善するのに役立つ椅子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
同じ姿勢で長時間椅子に座っていると、身体の血液循環の低下、特に椅子の座部と直接接触する臀部における血液循環が低下する。これは、下半身の冷えやだるさ、さらには凝り等の原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、使用者の臀部が載置される座部を、第1の座部と第2の座部とに左右に分離させかつこれらを連続して接近・離間移動させることを基本として、使用者が座ったままの状態でも臀部に連続した振動による刺激を与え、ひいては下半身の血液循環の低下を防止しうる椅子装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のうち請求項1記載の発明は、使用者の臀部が載置される座部を有し、該座部は、前記臀部の左右の一方側を載置しうる第1の座部と、該第1の座部とは分離して設けられかつ前記臀部の他方側を載置しうる第2の座部とを含み、しかも前記第1の座部と第2の座部とを連続して接近・離間移動させる駆動部を具えることを特徴とする椅子装置である。
【0005】
また請求項2記載の発明は、前記座部に腰掛けた使用者の背中の左右の一方側を支持しうる第1の背もたれ部と、該第1の背もたれ部とは分離して設けられかつ前記背中の他方側を支持しうる第2の背もたれ部とをさらに具え、前記駆動部は、前記第1の背もたれ部及び第2の背もたれ部を、前記第1の座部及び第2の座部にそれぞれ同期させて連続して接近・離間移動させることを特徴とする請求項1記載の椅子装置である。
【0006】
また請求項3記載の発明は、前記座部に腰掛けた使用者の一方側の腕を載置しうる第1の手摺り部と、他方側の腕を支持しうる第2の手摺り部とをさらに具え、前記駆動部は、前記第1の手摺り部及び第2の手摺り部を、前記第1の座部及び第2の座部にそれぞれ同期させて連続して接近・離間移動させることを特徴とする請求項1又は2記載の椅子装置である。
【0007】
また請求項4記載の発明は、前記駆動部は、前記第1の座部及び前記第2の座部を、1分間に50〜2000回接近・離間移動させる請求項1乃至3のいずれかに記載の椅子装置である。
【0008】
また請求項5記載の発明は、前記駆動部は、上面が開放された箱状のケース、該ケースの内部に固着されかつ座部の幅方向をほぼ水平にのびるレール部材、下面側に前記レール部材に沿って摺動自在なスライダがかつ上面側に前記第1の座部がそれぞれ取り付けられしかも前記ケースの上部かつ外側に設けられた第1の支持板、前記第1の支持板に隣り合わせて配されかつ下面側に前記レール部材に沿って摺動自在なスライダがかつ上面側に前記第2の座部がそれぞれ取り付けられた第2の支持板、前記ケース内に収容された電動機、前記ケース内に収容された垂直な駆動軸、前記電動機と前記駆動軸との間を連結しかつ前記電動機の一方向連続回転運動を往復角運動に変換して前記駆動軸に伝達する運動変換部、該駆動軸と前記第1の支持板との間を連結しかつ該第1の支持板を前記レール部材に沿って往復動させる第1のアーム、及び前記駆動軸と前記第2の支持板との間を連結しかつ該第2の支持板を前記第1の支持板とは逆向きに往復動させる第2のアームを含む請求項1乃至4のいずれかに記載の椅子装置である。
【0009】
また、請求項6記載の発明は、前記第1の座部及び第2の座部が、それぞれ2〜20mmのストロークで往復動する請求項1乃至5のいずれかに記載の椅子装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、使用者の臀部を載置しうる座部が、臀部の左右の一方側を載置しうる第1の座部と、該第1の座部とは分離して設けられかつ前記臀部の他方側を載置しうる第2の座部とを含むとともに、これら第1の座部と第2の座部とを連続して接近・離間移動させる駆動部を具える。従って、使用者は、椅子装置に座ったままの状態で、臀部から連続した振動による刺激を受ける。これは、臀部の血液循環の低下を防止し、冷えや凝りなどの改善に役立つ。なお、臀部への刺激は、骨や筋肉を介して膝などにも伝播される結果、下半身全体の血液循環を効率良く改善できる。特に、第1の座部と第2の座部との連続した接近・離間移動は、股関節や括約筋に連続して刺激を与える結果、普段鍛え難いこれらの部位を効果的に鍛えて強化でき、かつ、下半身を引き締めるのにも役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の椅子装置1の全体斜視図、図2はその平面図、図3はその背面図、図4(a)は使用状態の一例を示す側面図、図4(b)は同正面図である。
【0012】
図1ないし3において、本実施形態の椅子装置1は、床面Fに設置された脚部材2と、該脚部材2で支持されかつ使用者Uの臀部が載置される座部3と、該座部3に腰掛けた使用者の背中を支持しうる背もたれ部6とを有する。また、前記座部3は、臀部の左右の一方側を載置しうる第1の座部3Aと、該第1の座部3Aとは分離して設けられかつ前記臀部の他方側を載置しうる第2の座部3Bとを含むとともに、本実施形態の椅子装置1は、第1の座部3Aと第2の座部3Bとを連続して接近・離間移動させる駆動部4を具える。なお、図2に示されるように、椅子装置1に関し、符号FBで表される方向を前後方向、符号WDで表される方向を幅方向とする。
【0013】
前記脚部材2は、本実施形態では、床面Fに安定して接地可能な略U字状にのびる接地部2Aと、該接地部2Aに固着されかつほぼ垂直上方にのびる脚本体2Bとを含む。脚本体2Bは、例えば、高さ調整機能(図示省略)を有するものが望ましい。また、該脚本体2Bの上部には、本実施形態では、略箱体状をなす駆動部4を介して前記座部3が取り付けられている。ただし、脚部材2の形状等は、この様な具体的な形態に限定されるものではない。
【0014】
前記座部3は、幅方向に分離して設けられた第1の座部3Aと第2の座部3Bとからなり、本実施形態では、これらは実質的に左右対称に構成されている。各座部3A及び3Bは、例えば木質材又は樹脂等からなることにより座部の形状を安定的に保持しうる板状の基体3aと、該基体3aの上面に固着された例えばウレタンスポンジ等のクッション材3bと、該クッション材3bを覆うとともに周縁が前記基体3aに固着された例えば布材、樹脂シート又は皮革等からなるカバー3cとを含んで構成される。なお、本実施形態の座部3A及び3Bの両側縁は、駆動部4の両側部に回り込むように垂下するものが例示される。ただし、座部3A及び3Bの材料や形状などは例示の態様に限定されるものではなく種々変形しうるのは言うまでもない。
【0015】
図5には、椅子装置1の座部3を取り外した状態を示す。また、図6には駆動部4単体の平面図、図7にはそのA−A断面図、図8には同B−B断面図、図9には図7のC−C断面図、図10には駆動部4単体の斜視図がそれぞれ示される。図6〜図10に示されるように、前記駆動部4は、上面が開放された箱状のケース8と、該ケース8の内部に固着されかつ座部3の幅方向をほぼ水平にのびるレール部材9、9と、このレール部材9に沿って摺動自在な前後各2つのスライダ10と、下面側に前記スライダ10がかつ上面側に第1の座部3Aがそれぞれ取り付けられしかもケース8の上部かつ外側に設けられた第1の支持板11Aと、前記第1の支持板11Aに隣り合わせて配されかつ下面側に前記スライダ10がかつ上面側に前記第2の座部3Bがそれぞれ取り付けられた第2の支持板11Bと、前記ケース8内に収容された電動機Mと、前記ケース8内に収容された垂直な駆動軸12と、前記電動機Mと前記駆動軸12との間を連結する運動変換部13とを含む。
【0016】
前記ケース8は、本実施形態では上面のみが開放された直方体の箱状で形成される。即ち、ケース8は、底壁8cと、該底壁8cから立ち上がる両側の側壁8s、8sと、側壁8s間を前側で継ぐ前壁8aと、側壁8s間を後側で継ぐ後壁8bとを具える。このようなケース8は、十分な強度を有する材料、好ましくは金属材料で形成されることが望ましい。
【0017】
前記レール部材9は、本実施形態では金属製かつ断面円形でのびる棒状のものが採用される。また、レール部材9の両端部は、それぞれケース8の側壁8s、8sにボルト17で固着される。また、本実施形態のレール部材9は、ケース8の前壁8a側及び後壁8b側に1本ずつかつ高さを揃えて互いに平行に配されている。なお、レール部材9の形状や配置本数などは必要に応じて変更しうるのは言うまでもない。
【0018】
前記スライダ10は、略角柱状をなし、その内部には前記レール部材9と接触して転動する転動体(図示省略)を具え、レール部材9に沿って円滑に摺動できる。即ち、レール部材9及びスライダ10により、いわゆる直動軸受が構成される。スライダ10は、図7及び図8に示されるように、レール部材9に装着された状態において、ケース8の上縁8eから上方に突出する高さを有する。
【0019】
前記第1の支持板11A及び第2の支持板11Bは、例えば矩形状の板材からなり、前後のレール部材9、9に跨る前後方向FBの長さを有する。そして、各支持板11A、11Bの下面には、それぞれ前後に各1個のスライダ10が固着される。これにより、各支持板11A、11Bは、ケース8の上部かつ外側で高さを揃えて保持される。換言すると、各支持板11A、11Bは、図7及び図8に示されるように、ケース8の上縁8eに接触することなく幅方向WDにスライド可能に支持される。
【0020】
前記電動機Mは、例えばブラシレス電動機などの直流電動機であって、図8に示されるように、そのケーシングMaがケース8内に固着された棚板18の上面に固着される。また、電動機Mの駆動軸Mbは、棚板18を貫通し、該棚板18とケースの底壁8cとの間の空間へとのび、その先端部にはプーリ20が固着される。なお、電動機Mは、ケース8内に収納された制御装置(図示省略)によって回転制御される。また、制御装置には、例えば、使用者が外部から所定の信号を制御装置へと送ることができるリモコン装置(図示省略)が接続されても良い。
【0021】
前記駆動軸12は、図10に示されるように、棚板18を上下に貫通して上下にのびており、該棚板18に固着された軸受21によって回動自在に支持されている。該駆動軸12は、第1の支持板11Aと、第2の支持板11Bとの間に設けられている。さらに、駆動軸12の棚板18の上端側には、前後方向FBに沿って略水平にのびるレバー26の中間部分がキー等を介して一体に固着されている。
【0022】
前記運動変換部13は、電動機Mの駆動軸Mbに固着されたプーリ20からベルトBを介してトルクが伝達される減速用プーリ13aと、一端が前記減速用プーリ13aに該プーリ13aの回転軸の中心と距離e(図9に示す)だけ径方向に偏心した位置で回動自在に枢着される連接アーム13bと、一端が前記連接アーム13bに枢着されかつ他端が前記駆動軸12にキー等を介して一体に固着された揺動レバー13cとを含んで構成される。前記減速用プーリ13aは、棚板18に固着された軸受23で回動自在に軸支されるとともに、棚板18の下方の空間に配置されている。なお、符号25は、ベルトBのテンションを調整するためのテンションローラである。
【0023】
図11には、このような運動変換部13の作用を説明するための平面略図であり、棚板18などを適宜省略している。先ず、電動機Mにより、プーリ20は一方向に連続回転運動する。このトルクはベルトBを介して減速用プーリ13aに伝えられる。そして、減速用プーリ13aにその中心から距離eだけ偏心した位置に枢着された連接アーム13bは、揺動レバー13cを一定範囲で揺動させ、ひいてはこの揺動レバー13cと一体に固着されている駆動軸12を往復角運動させる。このように、本実施形態の運動変換部13は、電動機Mと駆動軸12との間を連結しかつ前記電動機Mの一方向連続回転運動を往復角運動に変換して前記駆動軸12に伝達しうる。なお、揺動レバー13cの長さを変えることにより、駆動軸12の往復角運動範囲を変えることができる。
【0024】
また、連接アーム13bの偏心の距離e及び/又はアームの長さ比を調節することにより、駆動軸12の往復角運動の運動範囲(回転角)を変えることができるのは言うまでもない。本実施形態では、前記偏心の距離eは、3mmに設定されているが、好ましくは1〜15mm、より好ましくは1〜10mm、さらに好ましくは1〜5mm程度が望ましい。また、駆動軸12の角速度は、電動機Mの回転数を変えることにより調整できる。
【0025】
さらに、駆動部4は、駆動軸12と第1の支持板11Aとの間を連結する第1のアーム15Aと、駆動軸12と第2の支持板11Bとの間を連結する第2のアーム15Bとを含む。本実施形態において、第1のアーム15Aは、駆動軸12に設けられた前記レバー26の一端側に接続されかつ第1の支持板11Aにその下面で回動自在に枢着される。他方、第2のアーム15Bは、前記レバー26の他端側に接続されかつ第2の支持板11Bにその下面で回動自在に枢着される。このように、レバー26を介して第1及び第2のアーム15A及び15Bを駆動軸12に連結することにより、該駆動軸12の往復角運動を、第1及び第2のアーム15A、15Bに増幅して伝達できる点で望ましい。
【0026】
そして、往復角運動する駆動軸12に連結された第1のアーム15Aは、第1の支持板11Aをレール部材9に沿って幅方向に連続して往復動させる。他方、第2のアーム15Bは、第2の支持板11Bを第1の支持板11Aとは逆向きに往復動させる。即ち、第1の支持板11Aと第2の支持板11Bとは、電動機Mの駆動中、連続して接近・離間移動することができる。これにより、第1の支持板11A及び第2の支持板11Bにそれぞれ固着されている第1の座部3A及び第2の座部3Bは、互いに接近、離間を繰り返す連続した接近・離間移動を行うことができる。なお、レバー26の運動は回転運動であり、かつ、第1及び第2の支持板11A及び11Bは直線往復運動であるため、第1のアーム15A及び第2のアーム15Bは、支持板11A、11Bに対して回動自在に連結されることが望ましい。
【0027】
以上のように構成された椅子装置1の作用について述べる。図4に示したように、使用者Uは、先ず椅子装置1の座部3に着座する。着座姿勢は、臀部の左右の一方側を第1の座部3Aに、臀部の他方側を第2の座部3Bに載せさえすれば自由である。図4の例では、使用者Uは、乗馬姿勢の如く、両足を拡げて座部3に跨るように着座する態様が示されるが、両足を閉じた状態で座部3に着座しても良い。
【0028】
次に、図示しないスイッチ等を操作して駆動部4を運転し、座部3に接近・離間運動を行なわせる。これにより、使用者Uの臀部は、左右に拡げられる運動と、狭められる運動とを繰り返しかつ連続して行なう結果、臀部から連続した刺激を受ける。これは、身体の血液循環の低下、とりわけ下半身の血液循環を向上させ、冷えや凝りなどの改善に役立つ。なお、臀部への刺激は、骨や筋肉を介して膝などにも伝播しうる結果、下半身全体の血液循環を効率良く改善できる。特に、第1の座部3Aと第2の座部3Bとの連続した接近・離間移動は、股関節や括約筋に連続して刺激を与える結果、普段鍛え難いこれらの部位を効果的に鍛えるのにも役立つ。
【0029】
また、座部を単に左右に連続移動させる椅子装置の場合、座部に座っている使用者の体の軸(体の中心線)が左右にぶれやすい。このため、座部に座ったままで読み書き等の作業が困難な傾向がある。これに対して、本実施形態の椅子装置1では、その第1の座部3A及び第2の座部3Bの連続した接近・離間移動が使用者の体の中心線に対して対称である。このため、座部3に座っている使用者Uの体の軸が左右にぶれにくいので、座部に座ったままの状態で読書、書き物及び/又はパソコン作業等のデスクワークを容易に行うことができる。
【0030】
特に限定されるわけではないが、駆動部4は、第1の座部3A及び第2の座部3Bを、1分間に例えば50回以上、好ましくは100回以上、より好ましくは150回以上、さらに好ましくは200回以上接近・離間移動(言い換えると、1分当たり各々の座部の往復回数)させることが望ましい。前記回数が50回未満の場合、使用者Uの身体への刺激が少なく、ひいては血行促進効果が十分に期待できないおそれがある。他方、前記接近・離間移動数が大きくなると、座部3A、3Bの移動が速くなるため、臀部と座部3との間に滑りが生じやすく、ひいては十分な振動が臀部に伝えられないおそれがある。このような観点より、第1及び第2の座部3A及び3Bの前記接近・離間移動数は、好ましくは2000回以下、より好ましくは1500回以下、さらに好ましくは1000回以下が望ましい。
【0031】
また、第1の座部3A及び第2の座部3Bは、前記接近・離間移動に際して、それぞれ逆向きに往復動するが、そのストローク(ピークトウピークの最大量)は、好ましくは2mm以上、より好ましくは4mm以上が望ましい。前記ストロークが小さすぎると、使用者Uへの刺激が少なくなり、ひいては血行促進効果が十分に期待できないおそれがある。逆に前記ストロークが大きすぎると、臀部と座部との間に滑りが生じ、十分な効果が得られないおそれがある。このような観点より、前記各座部のストロークは、夫々好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下が望ましい。なお、図示していないが、椅子装置1には、タイマー等を設けて駆動部4の運転時間を自動的に停止させることもできる。
【0032】
また、図4(a)及び図5に示されるように、本実施形態の背もたれ部6は、座部に腰掛けた使用者Uの背中の左右の一方側(この例では右側)を支持しうる第1の背もたれ部6Aと、該第1の背もたれ部6Aとは分離して設けられかつ前記背中の他方側(この例では左側)を支持しうる第2の背もたれ部6Bとを具える。前記各背もたれ部6A及び6Bは、それぞれ略L字状の枠材28と、該枠材28に固着されかつ使用者の背中に当接させるためのパット゛29とを含む。前記枠材28は、水平にのびる横枠部28aと、該横枠部28aの後端で折れ曲がって上方にのびる縦枠部28bとからなり、第1の背もたれ部6Aの横枠部28aが第1の支持板11Aに、また第2の背もたれ部6Bの横枠部28aが第2の支持板11Bにそれぞれ固着される。
【0033】
従って、前記駆動部4を駆動することにより、前記第1の背もたれ部6A及び第2の背もたれ部6Bは、第1の座部3A及び第2の座部3Bにそれぞれ同期して連続して接近・離間移動することができる。このような椅子装置1では、使用者の臀部のみならず、背中にも振動を与えることができ、より一層、使用者の血液循環を改善できる。
【0034】
また、本実施形態の椅子装置1は、図12に示されるように、使用者の左右の腕をそれぞれ支持しうる手摺り部7を具えても良い。この実施形態では、前記第1の背もたれ部6A及び第2の背もたれ部6Bのそれぞれパット゛29を、座部3に着座する使用者の側部にまで回り込むように延長させることにより、前記手摺り部7が形成されている。
【0035】
該手摺り部7は、使用者の一方側(この例では右側)の腕を載置しうる第1の手摺り部7Aと、他方側(この例では左側)の腕を支持しうる第2の手摺り部7Bとからなり、これらも、第1の座部3A及び第2の座部3Bにそれぞれ同期して連続して接近・離間移動することができる。従って、このような実施形態では、使用者の臀部、背中及び腕についても、体の中心線と対称な振動(運動)を与えることができる。従って、より広い範囲で身体の血液循環を改善することができる。なお、この実施形態では、背もたれ部6と手摺り部7とがともに設けられているが、手摺り部7だけ設けられても良い。
【0036】
さらに、椅子装置1は、図13に示されるように、前記実施形態とは前後逆向きで使用者Uが座部3へ座って使用されても良い。この場合、前記背もたれ部6は、座部3に腰掛けた使用者Uの腕を支持する手摺り部7としても代用できる。
【0037】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変更して実施することができる。例えば駆動部4では、運動変換部13として、てこクランク機構を利用したが、これに限定されるものではなく、例えば、駆動軸12にピニオンギアを固着し、各支持板11A、11Bにそれぞれラックギアを固着するなどにより、第1及び第2の座部3A及び3Bを連続して接近・離間移動させても良い。また、運動変換部13を省略し、例えばサーボモータを往復角運動させ、これをベルト等を介して駆動軸12に伝えても良い。さらに、これ以外にも種々の機構を採用して第1及び第2の座部3A及び3Bを駆動しうる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態の椅子装置の全体斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の背面図である。
【図4】(a)及び(b)は、椅子装置の使用状態の一例を示す側面図及び正面図である。
【図5】椅子装置から座部を取り外した斜視図である。
【図6】駆動部の平面図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】図6のB−B断面図である。
【図9】図6のC−C断面図である。
【図10】駆動部の斜視図である。
【図11】駆動部の作用を説明する略図である。
【図12】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【図13】本発明の他の使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 椅子装置
2 脚部
3 座部
3A 第1の座部
3B 第2の座部
4 駆動部
6 背もたれ部
6A 第1の背もたれ部
6B 第2の背もたれ部
7 手摺り部
7A 第1の手摺り部
7B 第2の手摺り部
8 ケース
9 レール部材
10 スライダ
11A 第1の支持板
11B 第2の支持板
12 駆動軸
13 運動変換部
15A 第1のアーム
15B 第2のアーム
M 電動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の臀部が載置される座部を有し、
該座部は、前記臀部の左右の一方側を載置しうる第1の座部と、該第1の座部とは分離して設けられかつ前記臀部の他方側を載置しうる第2の座部とを含み、しかも
前記第1の座部と第2の座部とを連続して接近・離間移動させる駆動部を具えることを特徴とする椅子装置。
【請求項2】
前記座部に腰掛けた使用者の背中の左右の一方側を支持しうる第1の背もたれ部と、該第1の背もたれ部とは分離して設けられかつ前記背中の他方側を支持しうる第2の背もたれ部とをさらに具え、
前記駆動部は、前記第1の背もたれ部及び第2の背もたれ部を、前記第1の座部及び第2の座部にそれぞれ同期させて連続して接近・離間移動させることを特徴とする請求項1記載の椅子装置。
【請求項3】
前記座部に腰掛けた使用者の一方側の腕を載置しうる第1の手摺り部と、他方側の腕を支持しうる第2の手摺り部とをさらに具え、
前記駆動部は、前記第1の手摺り部及び第2の手摺り部を、前記第1の座部及び第2の座部にそれぞれ同期させて連続して接近・離間移動させることを特徴とする請求項1又は2記載の椅子装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記第1の座部及び前記第2の座部を、1分間に50〜2000回接近・離間移動させる請求項1乃至3のいずれかに記載の椅子装置。
【請求項5】
前記駆動部は、上面が開放された箱状のケース、
該ケースの内部に固着されかつ座部の幅方向をほぼ水平にのびるレール部材、
下面側に前記レール部材に沿って摺動自在なスライダがかつ上面側に前記第1の座部がそれぞれ取り付けられしかも前記ケースの上部かつ外側に設けられた第1の支持板、
前記第1の支持板に隣り合わせて配されかつ下面側に前記レール部材に沿って摺動自在なスライダがかつ上面側に前記第2の座部がそれぞれ取り付けられた第2の支持板、
前記ケース内に収容された電動機、
前記ケース内に収容された垂直な駆動軸、
前記電動機と前記駆動軸との間を連結しかつ前記電動機の一方向連続回転運動を往復角運動に変換して前記駆動軸に伝達する運動変換部、
該駆動軸と前記第1の支持板との間を連結しかつ該第1の支持板を前記レール部材に沿って往復動させる第1のアーム、及び
前記駆動軸と前記第2の支持板との間を連結しかつ該第2の支持板を前記第1の支持板とは逆向きに往復動させる第2のアームを含む請求項1乃至4のいずれかに記載の椅子装置。
【請求項6】
前記第1の座部及び第2の座部は、それぞれ2〜20mmのストロークで往復動する請求項1乃至5のいずれかに記載の椅子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−82623(P2009−82623A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259114(P2007−259114)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(595084807)株式会社アテックス (26)
【Fターム(参考)】