椅子
【課題】座を跳ね上げ可能な態様の椅子において、製造コストを抑制しつつ座り心地の良化を図る。
【解決手段】軸心を左右方向に向けた支軸4を有する椅子本体と、この椅子本体の支軸4回りに上下回動可能な樹脂製の座板1とを有する椅子において、椅子本体に、前記座板1の下面側に配置され後端部を前記支軸4に上下回動可能に係わり合わせた支持フレーム3を設け、座板1が略水平な使用状態にて当該座板1の中間部112を厚み方向に撓ませることができるように座板1の前部と後部とを支持フレーム3により支持させることとした。
【解決手段】軸心を左右方向に向けた支軸4を有する椅子本体と、この椅子本体の支軸4回りに上下回動可能な樹脂製の座板1とを有する椅子において、椅子本体に、前記座板1の下面側に配置され後端部を前記支軸4に上下回動可能に係わり合わせた支持フレーム3を設け、座板1が略水平な使用状態にて当該座板1の中間部112を厚み方向に撓ませることができるように座板1の前部と後部とを支持フレーム3により支持させることとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば学校や会議場、オフィスのミーティングルーム等において好適に使用される椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の椅子は、多量に配備されることが少なくない。それら椅子の収納スペースの縮小を図る観点から、座板を上下回動可能とし、この座板を跳ね上げた状態で複数基を前後方向に重ねるネスティング(水平スタッキング)を行い得る構造とすることが知られている(例えば、下記特許文献を参照)。
【0003】
椅子の座り心地を良化するには、座面を変形可能とすることが望ましい。しかしながら、従前の椅子においては、使用に際して略水平姿勢をとる座板の前部が垂れ下がる等の不都合を回避するために、座板を固く変形しない剛体として構成することが専らであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−158745号公報
【特許文献2】特開2006−158746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、座を跳ね上げ可能な態様の椅子において、製造コストを抑制しつつ座り心地を良化することを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る椅子は、軸心を左右方向に向けた支軸を有する椅子本体の支軸回りに上下回動可能であるように樹脂製の座板を設けてなるものであって、前記座板の下面側に配置され前記支軸に上下回動可能に係わり合わせた支持フレームを備え、前記座板が略水平な使用状態にて当該座板の中間部を厚み方向に変位させる(または、撓ませる)ことができるように座板の前部と後部とを前記支持フレームにより支持していることを特徴とする。このようなものであれば、座板自体に変形性を付与していても、その前後を支持フレームにより支持して椅子としての構造の強度、機能を担保することができる。
【0007】
前記椅子本体が、前記支軸よりも前方に配置され左右方向に伸張した横架材を備え、前記使用状態にて前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位が前記横架材に載置されるのであれば、座板及び支持フレームを支軸と横架材とによりしっかりと支えることができる。
【0008】
前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位に凹陥部を形成しており、前記使用状態にてその凹陥部が前記横架材に上方から係わり合うものとすれば、使用状態における支持フレームの横架材に対するがたつきを抑制することができる。
【0009】
前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位が座板の下面から下方に離間していれば、着座者の体重を受けた座板の中間部が当該座板と支持フレームとの間の空隙内で厚み方向に撓み変形することが許容され、より好ましい。
【0010】
前記座板の後部と前記支持フレームにおける座板の後部を支持する後側の支持部とで前記支軸を挟み込んでいるならば、簡易な手順で座板及び支持フレームを椅子本体の支軸に組み付けることができる。
【0011】
前記座板の前部が前記支持フレームにおける座板の前部を支持する前側の支持部に対し相対的にスライド可能となっていれば、座板の中間部が厚み方向に撓み変形したときに座板と椅子本体との間で発生する構造的矛盾が吸収され、座板の撓み変形が妨げられない。
【0012】
前記支持フレームを二組備えており、前記座板の左方前部及び左方後部を一方の支持フレームにより支持し、座板の右方前部及び右方後部を他方の支持フレームにより支持していれば、使用状態にて座板を四点で支持することができ安定する。
【0013】
前記座板の前部及び後部に、下方に向けて突出する取付体を一体成形しており、前記支持フレームが、左右に対をなす側板を有し、両側板が前記取付体を挟んでいるものとすれば、支持フレームの構造及び組立工程が一層簡便化する。
【0014】
本発明は、特に、前記座板及び前記支持フレームを上方に回動させて跳ね上げた状態で複数基を前後方向にネスティング可能な態様の椅子に好適に適用することができる。
【0015】
なお、座板に変形性を付与する目的で、座板に種々の工夫を加えることも好ましい。例えば、前記座板における、前記支持フレームによって支持される前部及び後部を包含する部位を剛性領域とし、この剛性領域以外の部位に薄肉部、溝、スリット、有底穴、貫通孔または変形可能な帯状部材を設けて、前記剛性領域よりも弾性変形容易な変形領域とする。
【0016】
あるいは、前記座板における、前記支持フレームによって支持される前部または後部と、着座者の臀部が載置される部位との間を、弾性変形可能な樹脂ばねを以て接続するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、座を跳ね上げ可能な態様の椅子において、製造コストを抑制しつつもその座り心地を良化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の椅子を正面側から見た斜視図。
【図2】同実施形態の椅子を底面側から見た斜視図。
【図3】同実施形態の椅子の座を跳ね上げた非使用状態を示す斜視図。
【図4】同実施形態の椅子の側断面図。
【図5】同実施形態の椅子の底面図。
【図6】同実施形態の座板及び支持フレームを示す分解斜視図。
【図7】同実施形態の椅子をネスティングした状態を示す側面図。
【図8】座板及び支持フレームの変形例の一を示す要部側断面図。
【図9】座板及び支持フレームの変形例の一を示す要部側断面図。
【図10】座板の変形例の一を示す平面図。
【図11】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図12】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図13】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図14】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図15】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図16】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図17】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図18】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図19】座板の変形例の一を示す、底面側から見た斜視図。
【図20】同変形例の座板から張り材を取り除いた状態を示す底面図。
【図21】同変形例の座板から張り材を取り除いた状態を示す、底面側から見た斜視図。
【図22】同変形例の座板から張り材を取り除いた状態を示す底面図。
【図23】同変形例の座板を底面側から見た分解斜視図。
【図24】座板の変形例の一を示す平面図。
【図25】同変形例の座板の斜視図。
【図26】同変形例の座板を底面側から見た斜視図。
【図27】図24のY−Y線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図28】図24のZ−Z線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図29】同変形例の座板を底面側から見た斜視図。
【図30】図24のY−Y線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図31】座板の変形例の一及びこれを適用した椅子を示す斜視図。
【図32】同変形例の座板及びこれを適用した椅子を底面側から見た斜視図。
【図33】同変形例の座板を底面側から見た要部拡大斜視図。
【図34】座板の変形例の一を示す平面図。
【図35】同変形例の座板の斜視図。
【図36】同変形例の座板の平面図。
【図37】座板の変形例の一を示す平面図。
【図38】同変形例の座板の斜視図。
【図39】同変形例の座板の平面図。
【図40】同変形例の座板の要部拡大平面図。
【図41】同変形例の座板の要部拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の椅子は、椅子本体に樹脂成形品の座板1及び背板2を取り付けてなるとともに、その座板1を上下回動可能としたものである。図1、図2、図4ないし図6は、座板1を略水平とした使用状態を示し、図3、図7は、座板1を跳ね上げた非使用状態を示している。
【0020】
椅子本体は、座板1及び背板2を支持する自立した構造体である。椅子本体は、座板1を支持する構造である座受部と、その座受部及び背板2を支持する構造である脚部とに大別することができる。
【0021】
座受部は、軸心を左右方向に向けた支軸たる後フレーム4と、後フレーム4よりも前方に配置され左右方向に伸張した横架材たる前フレーム5と、前後方向に延伸して後フレーム4及び前フレーム5の側端部を支持する側フレーム6と、後端部を後フレーム4に上下回動可能に係わり合わせた支持フレーム3とを要素とする。
【0022】
後フレーム4及び前フレーム5はそれぞれ、丸パイプ材を主体とし、互いに略平行であるように左右に伸びている。
【0023】
左右の側フレーム6は、後フレーム4及び前フレーム5よりも若干径の太い丸パイプ材を主体とし、前方に向かうにつれて下降してゆくように傾斜している。また、左右の側フレーム6の離間距離は、前方に向かうにつれて徐々に縮小している。後フレーム4の両端及び前フレーム5の両端は、溶接等により左右の側フレーム6に固着している。前フレーム5の高さ位置は、後フレーム4の高さ位置と比べてやや低い。
【0024】
支持フレーム3は、左右に対をなす板金製の側板31を主体とし、座板1を支持した状態で座板1とともに後フレーム4回りに上下に回動する。本実施形態では、支持フレーム3を二組設けており、各支持フレーム3をそれぞれ、座板1の左右方向の中央と外側端との中間付近に位置づけるようにして分けて配置している。支持フレーム3は、その前側の支持部33で座板1の前部を支持し、その後側の支持部34で座板1の後部を支持するもので、前側の支持部33と後側の支持部34との間にある中間部112は座板1の下面から離間している。
【0025】
詳述すると、図6に示しているように、支持フレーム3を構成する一対の側板31は、互いに略同一形状をなしている。図4に示しているように、座板1が略水平な使用状態において、各側板31の前端部位33及び後端部位34は、座板1の下面に向かうように上方に突き出している。側板31の前端部位33は支持フレーム3の前側の支持部となり、側板31の後端部位34は支持フレーム3の後側の支持部となる。両側板31の前端部位33は、後述する座板1の前側の取付体12の左右の側面に各々接して、前側の取付体12を左右から挟む。両側板31の後端部位34は、座板1の後側の取付体13の左右の側面に各々接して、後側の取付体13を左右から挟む。
【0026】
側板31の上縁は、前側の支持部33の後縁から後方に向かうにつれて座板1の下面から離反するように下降し、前フレーム5を越えた辺りで逆に上昇に転じて、後側の支持部34の前縁へと連なる。同様に、側板31の下縁もまた、前側の支持部33の前縁から後方に向かうにつれて下降し、前フレーム5を越えたあたりで逆に上昇に転じて、後側の支持部34の後縁へと連なる。前側の支持部33の所定箇所、後側の支持部34の所定箇所にはそれぞれ、側板31を左右方向に貫通する挿通孔331、341を穿ち設けている。前側の支持部33の前縁及び後側の支持部34の後縁は、斜めに切り落としてある。
【0027】
使用状態では、支持フレーム3における両支持部間の部位が前フレーム5に載置される。当該部位には予め下方に開口した凹陥部32を形成してあり、使用状態にてその凹陥部32が前フレーム5に上方から係わり合い、支持フレーム3の後フレーム4及び前フレーム5に対するがたつきを抑制する。この凹陥部32は、側面視前フレーム5の外周面に対応した略上半円状をなす。
【0028】
また、後側の支持部34は、後フレーム4を挿通する軸受の一部を兼ねる。そのため、各側板31の後端部位34に、軸受孔の一部となる、上方に開口した切欠342を形成してある。この切欠342は、側面視後フレーム4の外周面に対応した略下半円状をなす。
【0029】
脚部は、左右に対をなす前脚7及び後脚8と、同じく左右に対をなす背フレーム9とを要素とする。
【0030】
前脚7は、左右の側フレーム6の前端から一体的に連続し、側フレーム6の前端から前下方に屈曲または湾曲して延伸したものである。前脚7の下端近傍は鉛直下方を向いており、その下端にキャスタ71を装着している。
【0031】
後脚8は、側フレーム6及び前脚7と同様、丸パイプ材を主体とする。後脚8は、側面視やや前傾姿勢をとりつつ上下に延伸している。後脚8の下端近傍もまた鉛直下方を向いており、その下端にキャスタ81を装着している。左右の後脚8の離間距離は、下方に向かうにつれて徐々に拡大している。つまり、左右の後脚8は正面視略ハの字形をなしている。左右の側フレーム6の後端はそれぞれ、溶接等により左右の後脚8の上端部に固着している。
【0032】
背フレーム9は、左右の後脚8の上端部から一体的に連続し、そのまま真っ直ぐに延伸している。背板2は、背フレーム9の上端部に取り付ける。
【0033】
図6に示しているように、座板1は、座板本体11と、その座板本体11の周縁部111の下面に突設した取付体12、13とを備えている樹脂一体成形の部材である。本実施形態では、取付体12、13を除き、座板本体11の周縁部111、中間部112ともに概ね同じ厚み寸法をなしており、連続した座面を形成している。座板本体11の少なくとも中間部112は、着座者の荷重を受けて厚み方向に撓み変形することができる。座板本体11の前端部位は、若干下方に湾曲している。
【0034】
取付体12、13は、座板本体11の下面から下方に向けて突出している。前側の取付体12は、座板本体11の前部即ち周縁部111における前縁部分の下面に設けてある。後側の取付体13は、座板本体11の後部即ち周縁部111における後縁部分の下面に設けてある。これら前側の取付体12及び後側の取付体13は、支持フレーム3を構成する側板31によって左右から挟まれる部位である。取付体12、13は、樹脂製の座板本体11に一体に成形してある。
【0035】
前側の取付体12は、左右の側面が互いに略平行に前後方向に伸張したブロック状に成形してある。前側の取付体12には、側面に開口する取付孔121を穿っている。図示例では、取付孔121が前側の取付体12を左右方向に貫通しているが、取付孔121は必ずしも貫通孔である必要はない。前側の取付体12の取付孔121は、前後方向に拡張した長孔となっている。前側の取付体12の前面は、斜めに切り落としてある。前側の取付体12の上部122、換言すれば座板1の下面に接合する境界部分の側面は、その下方にある下部123の側面よりも左右に張り出している。
【0036】
後側の取付体13は、前側の取付体12の後背に所在し、左右の側面がそれぞれ前側の取付体12の左右の側面と略面一となるように成形してある。後側の取付体13にも、側面に開口する取付孔131を穿っている。図示例では、取付孔131が後側の取付体13を左右方向に貫通しているが、取付孔131は必ずしも貫通孔である必要はない。前側の取付体12のそれとは異なり、後側の取付体13の取付孔131は前後方向に拡張してはいない。後側の取付体13の後面は、斜めに切り落としてある。後側の取付体13の上部132、換言すれば座板1の下面に接合する境界部分を含む上半部の側面は、その下方にある下部133の側面よりも左右に張り出している。
【0037】
後側の取付体13は、支持フレーム3の後側の支持部34とともに、後フレーム4を挿通する軸受を構成する。そのため、後側の取付体13に、軸受孔の一部となる、下方に開口した凹溝134を形成してある。凹溝134は、側面視後側の取付体13の下面から後フレーム4の径に略等しい一定の前後内寸を維持しながら上方に向かって没入し、その上端部で後フレーム4の外周面に対応した略上半円状をなしている。凹溝134の存在により、後側の取付体13は側面視ちょうど凱旋門の如き形容となる。
【0038】
座板1の下面側に支持フレーム3を組み付けるにあたっては、前後に並ぶ取付体12、13を支持フレーム3を構成する一対の側板31により左右から挟み、その状態で止着具35を挿通孔331、341及び取付孔121、131に側方から挿入して側板31に固定する。即ち、前側の取付体12の下部123の側面に側板31の前端部位33を当接させて止着し、なおかつ後側の取付体13の下部133の側面に側板31の後端部位34を当接させて止着する。止着具35は、例えばピン、リベット、ボルト、その他である。
【0039】
本実施形態では、一つの取付体12、13に対して一個の止着具35を使用する。側板31を取付体12、13に止着したとき、側板31の前端部位33の上端縁は、前側の取付体12の上部122の下向面に当接または極近接する。同様に、側板31の後端部位34の上端縁は、後側の取付体13の上部132の下向面に当接または極近接する。これにより、側板31が取付体12、13に対して適切に位置決めされる。
【0040】
既に述べた通り、座板1の前側の取付体12に設けている取付孔121は前後方向に拡張した長孔となっている。従って、座板1の前側の取付体12は、支持フレーム3の前側の支持部33に対し、相対的に前後にスライドすることができる。この前後スライドを通じて、座板1の中間部112の厚み方向への撓み変形を許容している。
【0041】
さらに、本実施形態では、座板1及び支持フレーム3を椅子本体の後フレーム4を中心として回動させるべく、支持フレーム3の後側の支持部34と座板1の後側の取付体13とで後フレーム4を上下(または、前後)から挟み込んでいる。より具体的には、後フレーム4を後側の取付体13の凹溝134に予め差し入れておき、しかる後に側板31の後端部位34を後側の取付体13に止着することで、凹溝134の下方を閉鎖して後フレーム4の抜出を阻止する。後側の取付体13の周面、及び側板31の後端部位34の切欠342の内周は、側面視略真円状をなす軸受孔を形作り、後フレーム4を軸受する。
【0042】
本実施形態によれば、軸心を左右方向に向けた支軸4を有する椅子本体と、この椅子本体の支軸4回りに上下回動可能な樹脂製の座板1とを有するものであって、前記椅子本体が、前記座板1の下面側に配置され後端部を前記支軸4に上下回動可能に係わり合わせた支持フレーム3を備え、前記座板1が略水平な使用状態にて当該座板1の中間部112を厚み方向に変位させる、即ち撓ませることができるよう座板1の周縁部111を前記支持フレーム3により支持している椅子を構成したため、座板1自体に可撓変形性を付与することができ、椅子としての座り心地が良化する。座板1に発泡ウレタンクッションを装着したり、あるいは座板1を中空枠体状としその内空に伸縮自在のメッシュ地を張り設けたりせずに済むことから、部材点数及び組立工数の増加を招来せず、大量生産、大量販売を旨とするこの種の椅子の製造コストの抑制に大いに寄与し得る。加えて、略全体が樹脂製の座板本体11は、クッションタイプやメッシュタイプのものと比較して強度が高く、破れたり、切れたり、擦れて損耗したりするおそれが少ない。メッシュ地は細い糸を編んだり織ったりした部材であるので、一部がほつれるとそのほつれが全体に波及し得るが、樹脂製の座板本体11であれば仮に一部が破損してもそれが全体に広がらない。本実施形態の椅子であれば、学校等での使用にも適している。
【0043】
前記椅子本体が、前記支軸4よりも前方に配置され左右方向に伸張した横架材5を備え、前記使用状態にて前記支持フレーム3における前記座板1の前部を支持する前側の支持部33と座板1の後部を支持する後側の支持部34との間の部位が前記横架材5に載置されるため、座板1及び支持フレーム3を支軸4と横架材5とによりしっかりと支えることができる。
【0044】
前記支持フレーム3における前記座板1の前部を支持する前側の支持部33と座板1の後部を支持する後側の支持部34との間の部位に凹陥部32を形成しており、前記使用状態にてその凹陥部32が前記横架材5に上方から係わり合うものとしているため、使用状態における支持フレーム3の横架材5に対するがたつきを抑制することができる。
【0045】
前記支持フレーム3における前記座板1の前部を支持する前側の支持部33と座板1の後部を支持する後側の支持部34との間の部位が座板1の下面から下方に離間しているため、着座者の体重を受けた座板1の中間部112が当該座板1と支持フレーム3との間の空隙内で厚み方向に撓み変形することが許容され、より好ましい。
【0046】
前記座板1の後部と前記支持フレーム3における座板1の後部を支持する後側の支持部34とで前記支軸4を挟み込んでいるため、簡易な手順で座板1及び支持フレーム3を椅子本体の支軸4に組み付けることができる。
【0047】
前記座板1の前部が前記支持フレーム3における座板1の前部を支持する前側の支持部33に対し相対的にスライド可能となっているため、座板1の中間部112が厚み方向に撓み変形したときに座板1と椅子本体との間で発生する構造的矛盾が吸収され、座板1の撓み変形が妨げられない。
【0048】
前記支持フレーム3を二組備えており、前記座板1の左方前部及び左方後部を一方の支持フレーム3により支持し、座板1の右方前部及び右方後部を他方の支持フレーム3により支持しているため、使用状態にて座板1を四点で支持することができ安定する。
【0049】
前記座板1の前部及び後部に、下方に向けて突出する取付体12、13を一体成形しており、前記支持フレーム3が、左右に対をなす側板31を有し、両側板31が前記取付体12、13を挟んでいるものとしており、支持フレーム3の構造及び組立工程が一層簡便化する。
【0050】
しかして、本実施形態の椅子は、前脚7及び座受部の左右方向の外法が、左右の後脚8の離間距離よりも小さく、座板1及び支持フレーム3を上方に回動させて跳ね上げた上で、一方の椅子の前脚7及び座受部を他方の椅子の後脚8の間に入れ込むネスティング時が可能となっている。
【0051】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、座板1の中間部112の下面と支持フレーム3の上縁との間に空隙を介在させていたが、座板1の中間部112と支持フレーム3との間に弾性変形可能な部材(この部材は、座板1の一部、または支持フレーム3の一部をなしていることがある)を配置し、両者の間に空隙を設けないようにしてもよい。
【0052】
上記実施形態では、座板1を完全に露出させており、座板1自体で座面を形成していたが、座板1に張り部材を被せてこれを被覆したり、座板1の上面にクッション材を装着したりすることを妨げるものではない。
【0053】
上記実施形態では、座板1の前部(前側の取付体12)を支持フレーム3の前側の支持部33に対して相対スライド可能としていたが、これとは逆に、あるいはこれとともに、座板1の後部(後側の取付体13)を支持フレーム3の後側の支持部34に対して相対スライド可能としてもよいことは言うまでもない。
【0054】
図8に示すように、座板1の前部(前側の取付体12)を支持フレーム3の前側の支持部33に対して相対的に回動可能としてもよく、及び/または、座板1の後部(後側の取付体13)を支持フレーム3の後側の支持部34に対して相対的に回動可能としてもよい。
【0055】
支持フレーム3の支軸4に対する回動の中心は、支持フレーム3の後端部位には限定されない。図8に示しているように、支持フレーム3において、座板1の後部を支持する後側の支持部34とは別の箇所に、支軸4と係わり合う軸受36を形成しても構わない。図8に示している例では、軸受36は後側の支持部34から前方に偏倚し、前側の支持部33と後側の支持部34との間の領域に所在している。
【0056】
上記実施形態では、支持フレーム3における、横架材5に載置される部位を上方に凹む凹陥部32としていたが、図8に示しているように、この部位を支持フレーム3の下縁から下方に突出する突出部37としてもよい。
【0057】
図9に示すように、座板1とこれを支持する支持フレーム3とを樹脂一体成形することも考えられる。この場合、座板1のみならず、支持フレーム3をも弾性変形可能とすることができる。座板1と支持フレーム3とで側面視ループ形状を形成すれば、そのループ全体が変形するように弾性変形し得る。着座者の荷重を受けた座板1及び支持フレーム3がともに撓むことで、座面を顕著に変形させることが可能となり、座り心地がさらに良化する。
【0058】
また、座板1に可変形性を付与する目的で、種々の工夫を加えることも好ましい。以下、本発明に係る椅子に適用することが可能な座板の例A、B、C、D、E、Fを列挙する。
【0059】
図10、図11に示す座板Aは、座板本体A1と、座板本体A1の下面に突設した取付体(図示せず)とを備えている樹脂一体成形の部材である。
【0060】
座板本体A1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)A11と、この周縁部A11の内側に位置する中間部A12とを有する。
【0061】
周縁部A11は、中間部A12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)A111と、中間部A12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)A112と、中間部A12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)A113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部A112及び後部A113を支持する。
【0062】
前記中間部A12は、周縁部A11の内側に設けられ体重がかかったときに椅子本体に対して変位する内側領域A121と、周縁部A11と内側領域A121とを接続するべく設けられそれら周縁部A11及び内側領域A121よりも厚み寸法の小さな接続領域A122とを包含する。
【0063】
即ち、座板本体A1は、内側領域A121に体重がかかったときに、少なくとも接続領域A122が変形することによって、周縁部A11に対して内側領域A121が座板Aの厚み方向に変位するように構成されている。内側領域A121は、周縁部A11の前部A112と一体に成形され、周縁部A11と略同一の厚み寸法をなす。内側領域A121の上面は、無負荷状態において周縁部A11の上面と略面一になるように設定されている。
【0064】
接続領域A122は、周縁部A11と内側領域A121との対向した端部A114、A123同士を接続するものであり、板厚方向即ち下方に突出するように湾曲している。図11(加えて、図12ないし図18)では、説明の都合上、周縁部A11及び内側領域A121に対して異なったハッチングを施しているが、接続領域A122は、周縁部A11及び内側領域A121と同一の樹脂を用いて一体に成形されている。
【0065】
接続領域A122は、平面視前方に開口する略コ字状に内側領域A121を取り囲む形状をなしている。また、接続領域A122は、各部において同一の横断面形状を有しており、接続領域A122の下面が、周縁部A11の(接続領域A122に臨む)端部A114付近における下面、内側領域A121の(接続領域A122に臨む)端部A123付近における下面のうちの何れか一方よりも下方に突出している。図11に示している例では、接続領域A122が、周縁部A11の下面及び内側領域A121の下面を越えて下方に突出した断面U字形状をなしている。
【0066】
取付体は、上記実施形態における座板1の取付体12、13と同様の構成をとる。前側の取付体(図示せず)は周縁部A11の前部A112の下面に、後側の取付体(図示せず)は周縁部A11の後部A113の下面にそれぞれ設けてある。座板A1の椅子本体に対する取り付けも、上記実施形態と同様に行うことができる。即ち、前部A112の下面、後部A113の下面に設けた各取付体を、支持フレーム3の前側の支持部33及び後側の支持部34に各々支持させる。このとき、支持フレーム3によって支持される前部A112及び後部A113を包含する周縁部A11が剛性領域となる。そして、この周縁部A11以外の部位に、周縁部A11よりも薄肉な薄肉部である接続領域A112を設けており、この接続領域A112が周縁部A11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部A12が、着座者の荷重を受けたときに座板Aの厚み方向に沿って変位することが可能となる。
【0067】
座板Aは、椅子本体に支持される周縁部A11と、この周縁部A11の内側に設けられ体重がかかったときに椅子本体に対して変位可能な内側領域A121と、周縁部A11と内側領域A121とを接続するべく設けられそれら周縁部A11及び内側領域A121よりも厚み寸法の小さな接続領域A122とを備えている。このため、座板Aの全部または主要部を樹脂による一体成形により製造することができ、枠体にメッシュ材を張り設ける場合のような高い技術力や手間を必要としない。しかも、座板Aの内側領域A121に体重がかかったときに、主に接続領域A122が弾性変形することにより、内側領域A121が周縁部A11に対して板厚方向に変位して、着座者の荷重を弾性的に受けることができるため、座り心地のよい椅子となる。
【0068】
周縁部A11に対して片持ち的に一体化されている内側領域A121は、後側を沈み込ませるように厚み方向に弾性的に変位するとともに、接続領域A122が、断面U字形から断面J字形に撓み、着座者の荷重を受ける。この接続領域A122の位置や断面形状等を適宜設定することにより、種々の特性を有した座り心地のよい座板Aを作製することができる。荷重に応じた適切な弾性を有する座板Aを容易に設計することも可能になる。
【0069】
座板本体A1に取付体を樹脂により一体に成形しているので、部品点数が少なくて済み、また、枠体にメッシュ材を張り設ける場合に比べて、組立に要する工数を大幅に削減することが可能になる。さらにこの座板本体A1は樹脂で一体成形されたものであるため、クッションタイプやメッシュタイプのものと比較して強度が高く、破れたり、切れたり、擦れて損耗したりするおそれが少ない。メッシュ地は細い糸を編んだり織ったりした部材であるので、一部がほつれるとそのほつれが全体に波及し得るが、樹脂製の座板本体A1であれば仮に一部が破損してもそれが全体に広がらない。
【0070】
中間部A12の特定箇所、特に着座者の臀部及び大腿部を受ける部分が、前述した内側領域A121と接続領域A122とを備えた構造をなしているので、座板Aの周縁部A11は支持フレーム3で確実に支持されるが、内側領域A121ではソフトな座り心地を実現することができる。
【0071】
また、周縁部A11及び内側領域A121が、略同一平面内に配置されているので、座板本体A1の厚み方向の極端な突出がなく、フラットな接触感が得られる。
【0072】
なお、座板Aについて、さらなる変形態様を考えることもできる。特に、接続領域A122の断面形状は、種々変形が可能である。着座者の荷重を受けていない無負荷状態において周縁部A11の上面と内側領域A121の上面とをほぼ面一になるように設定する例として、図12ないし図14に模式的に示すようなものが挙げられる。また、無負荷状態において周縁部A11の上面と内側領域A121の上面との間に段差が形成されるように設定する例として、図15ないし図18に模式的に示すようなものが挙げられる。
【0073】
図12に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面とをほぼ面一になるように設定している。そして、前記接続領域A122の上面が、前記周縁部A11の端部A114付近における上面及び前記内側領域A121の端部A123付近における上面よりも上方に突出する形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面逆U字形状をなしている。このようなものであれば、座板本体A1の上面にクッションを載置する場合等に、前記接続領域A122の突出する部分が位置決め部材としても機能する。
【0074】
図13に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面とをほぼ面一になるように設定している。そして、前記接続領域A122の上面が、前記周縁部A11の端部A114付近における上面及び前記内側領域A121の端部A123付近における上面よりも上方に突出するとともに、前記周縁部A11の端部A114付近における下面及び前記内側領域A121の端部A123付近における下面よりも下方に突出する形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面S字形状をなしている。このようなものであれば、座板本体A1の上面にクッションを載置する場合等に、前記接続領域A122の突出する部分が位置決め部材としても機能する。
【0075】
図14に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面とをほぼ面一になるように設定している。そして、前記接続領域A122が、前記周縁部A11及び前記内側領域A121の端部A114、A123付近における厚み内に収まる形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面曲線形状をなしている。
【0076】
図15に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面との間に段差が形成されたものである。そして、前記接続領域A122の下面が、前記周縁部A11の端部A114付近における下面及び前記内側領域A121の端部A123付近における下面よりも下方に突出する形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面J字形状をなしている。
【0077】
図16に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面との間に段差が形成されたものである。そして、前記接続領域A122の上面が、前記周縁部A11の端部A114付近における上面及び前記内側領域A121の端部A123付近における上面よりも上方に突出する形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面逆J字形状をなしている。このようなものであれば、座板本体A1の上面にクッションを載置する場合等に、前記接続領域A122の突出する部分が位置決め部材としても機能する。
【0078】
図17に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の下面との間に段差が形成されたものである。そして、前記接続領域A122の上面が、前記周縁部A11の端部A114付近における上面及び前記内側領域A121の端部A123付近における上面よりも上方に突出するとともに、前記周縁部A11の端部A114付近における下面及び前記内側領域A121の端部A123付近における下面よりも下方に突出する形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面S字形状をなしている。このようなものであれば、座板本体A1の上面にクッションを載置する場合等に、前記接続領域A122の突出する部分が位置決め部材としても機能する。
【0079】
図18に示す接続領域A122のものは、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面との間に段差が形成されたものである。そして、前記接続領域A122が、前記周縁部A11及び前記内側領域A121の端部A114、A123付近における厚み内に収まる形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面曲線形状をなしている。
【0080】
また、接続領域A122は、曲がっている部分(正面視略コ字状の隅角部分)等に変形助長用の孔を設けてなるものであってもよい。すなわち、屈曲部分を有した接続領域A122は、その屈曲部分において変形しにくい特性を有する場合がある。その場合には、変形しにくい部分に変形助長用の孔を設けておくのが望ましい。なお、前記孔は、一つであっても、複数であってもよい。孔は、円形のものであっても、スリット状のものであってもよい。スリット状の孔を複数設ける場合には、部分円弧状または部分放射線状に並設することが考えられる。
【0081】
ここまで、接続領域A122が各横断面位置において同一の場合について説明したが、横断面形状が他の部位と異なる部位を備えているものであってもよい。このようにすれば、接続領域A122の変形特性をより多様化することができる。異なる部位を備える際の具体的な一例としては、連続的に漸次異ならせるものや、段階的に漸次異ならせるものや、一部分のみを他の部分と異ならせるもの等が考えられる。
【0082】
平面視において前方に開口する略コ字状に前記内側領域A121を取り囲む形状をなしている接続領域A122において、良好な座り心地を実現するには、例えば、前記コ字状の開口部分よりも当該コ字状の中間部分の突出量が相対的に大きくなるように設定しておくのが好ましい。この場合の突出量の設定は、連続的に漸次異ならせるものや、段階的に漸次異ならせるもの、また、座板Aの後端部のみ他の部分と異ならせるものであってもよい。
【0083】
接続領域A122の平面視形状もコ字形に限られず、ロ字形や、直線や曲線を連続させずに一定の場所に配置したもの等であってもよい。
【0084】
座板Aが、座板本体A1の上面を張り地で覆ったものや、さらに、その張り地と座板本体A1との間にクッションを介在させたものであってもよい。
【0085】
図19ないし図21に示す座板Bは、樹脂により一体成形され下面(裏面)に弾性変形を助長するための第一の溝B121及び第二の溝B122を備えた座板本体B1と、座板本体1の下面に突設した取付体(図示せず)と、前記座板本体B1の下面に前記第一の溝B121及び第二の溝B122を覆うようにして設けられた張り材B2とを備えたものである。座板本体B1と取付体とは、座板1と同様に、樹脂により一体に成形される。
【0086】
座板本体B1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)B11と、この周縁部B11の内側に位置する中間部B12とを有する。
【0087】
周縁部B11は、中間部B12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)B111と、中間部B12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)B112と、中間部B12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)B113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部B112及び後部B113を支持する。
【0088】
第一の溝B121は、中間部B12における側部B111に隣接する部位、つまり側部B111との境界をなす部位に形成してある。並びに、第二の溝B122は、中間部B12の前後方向の中間部位、つまり中間部B12を前後に分断する部位に形成してある。
【0089】
前記第一の溝B121は、前後方向中央に向かうにつれ側部B111から離間する平面視略「く」の字状をなす有底溝である。その幅寸法は、前後方向中央に向かうにつれ漸次大きくなる。
【0090】
前記第二の溝B122は、中央部が後方に膨出した平面視部分円弧状をなす有底溝である。その幅寸法は、長手方向全域にわたって一定である。
【0091】
第一の溝B121、第二の溝B122ともに、下方に開口し、座板本体B12における当該部位を薄肉化するものである。一方で、これら溝B121、B122の存在にもかかわらず、座板本体B12の上面(表面)は平滑であり、明確な凸凹段差は存在しない。
【0092】
この座板本体B1の下面の周縁部B11と中間部B12との境界には、第一の溝B121及び第二の溝B122を覆うように張り材B2を取り付けるための取付部たる張り材取付突起B123を形成している。この張り材取付突起B123は、略円筒状で、突出端(下端)に向かって径が漸次大きくなる形状を有する。張り材取付突起B123は、前記周縁部B11と中間部B12との境界の四辺にそれぞれ所定の間隔で互いに離間させて複数個設けてある。四隅部に位置する張り材取付突起B123は、他の張り材取付突起B123よりも大径にしている。
【0093】
張り材B2は、略矩形状をなす例えば合成樹脂製または布製の部材であり、厚み方向には可撓性があり面方向には伸長しにくい性質の材料により形成されている。この張り材B2の周縁には、座板本体B1に取り付けるための取付部、具体的には座板本体B1の張り材取付突起B123に係り合わせることが可能な取付孔B21を設けている。この取付孔B21の径は、対応する張り材取付突起B123の突出端の径よりは小さく、該張り材取付突起B123の基端の径と等しいかそれよりもやや大きい。
【0094】
張り材B2は、座板本体B1の各張り材取付突起B123に各取付孔B21をそれぞれ弾性的に係わり合わせることにより、座板本体B1の溝B121、B122の設けられていない縁部間(前部B112と後部B113との間、または左右の側部B111間)に張り設けられた状態で座板本体B1に取り付けられる。
【0095】
この張り材B2は、座板本体B1の溝B121、B122を含む中間部B12を下面側からバックアップする。張り材B2は、座板本体B1の弾性変形に伴い、側部B111間が引っ張られるのでその張力が増大する。そして、着座者の荷重を、座板本体B1と張り材B2とによって分担して受ける。
【0096】
取付体は、上記実施形態における座板1の取付体12、13と同様の構成をとる。前側の取付体(図示せず)は周縁部B11の前部B112の下面に、後側の取付体(図示せず)は周縁部B11の後部B113の下面にそれぞれ設けてある。座板B1の椅子本体に対する取り付けも、上記実施形態と同様に行うことができる。即ち、前部B112の下面、後部B113の下面に設けた各取付体を、支持フレーム3の前側の支持部33及び後側の支持部34に各々支持させる。このとき、支持フレーム3によって支持される前部B112及び後部B113を包含する周縁部B11が剛性領域となる。そして、この周縁部B11以外の部位に、周縁部B11よりも薄肉な溝(または、有底穴)B121、B122を設けており、この溝B121、B122が周縁部B11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部B12が、着座者の荷重を受けたときに座板Bの厚み方向に沿って変位することが可能となる
座板Bは、その座板本体B1に弾性変形を助長するための溝B121、B122を設けているので、この座板本体B1が、厚み方向に撓みながら着座者の荷重を主として受けるとともに、張り材B2により座板本体B1がバックアップされる。このことにより、座板B全体として適度な弾性を得ることができ、座板本体B1が着座者の荷重に応じて撓み変形し、座り心地のよいものとなる一方で、座板又は背板全体としての強度を確保することができる。従って、従来のような枠材に全荷重を受けるためのメッシュを張り設けたものに比べて、製造に高い技術力や手間を必要とせずに、座り心地のよい椅子を実現できる。
【0097】
また、前記中間部B12の前記側部B111との境界をなす部位に第一の溝B121を設けているので、着座者からの荷重を受けて座板本体B1が弾性変形しやすい。
【0098】
さらに、前記座板本体B1が、前記中間部B12を前後に分断する第二の溝を備えているので、座板本体B1の中央部が特に変形しやすく、従ってさらなる座り心地の向上を図ることができる。
【0099】
加えて、前記第一の溝B121の幅寸法が部位によって異なる、すなわち長手方向中央に向かって幅寸法が漸次大きくなるので、この点からも座板本体B1の前後方向中央部がより弾性変形しやすく、座り心地の更なる向上を図ることができる。
【0100】
そして、前記座板Bが、着座者からの荷重を、弾性変形する前記座板本体B1と、この座板本体B1の弾性変形に伴って張力が変更される張り材B2とによって分担して受けるようにしているので、このような椅子の座り心地の更なる向上、及び座板B全体としての強度の確保を図ることができる。
【0101】
加えて、突出端に向かって漸次大径となる張り材取付突起B123に、この張り材取付突起B123の突出端の径よりは小さく基端の径とは等しいかそれよりもやや大きい張り材B2の取付孔B21を弾性的に係わり合わせるようにすることにより張り材B2を座板本体B1にしているので、この張り材B2の座板本体B1への取り付けを容易に行うことができる。
【0102】
溝B121の幅寸法は、漸次変化させる替わりに段階的に変化させてもよい。あるいは、溝B121の幅寸法は長手方向全域にわたって一定とし、上下深さを長手方向中央に向かって漸次または段階的に大きくするようにしてもよい。
【0103】
なお、座板Bについて、さらなる変形態様を考えることもできる。特に、溝の底面視形状は、種々変形が可能である。
【0104】
図22に示すものでは、座板本体B1の下面に、弾性変形を助長するための複数本の縦の溝B124及び複数本の横の溝B125を形成するとともに、この座板本体B1の下面に、縦の溝B124及び横の溝B125を覆うようにして張り材B2を設けるようにしている。縦の溝B124同士、及び横の溝B125同士はそれぞれ一定の間隔をあけて平行に配されており、これら縦の溝B124及び横の溝B125は格子状をなしている。
【0105】
縦の溝B124、横の溝B125もまた、下方に開口し、座板本体B12における当該部位を薄肉化するものである。一方で、これら溝B124、B125の存在にもかかわらず、座板本体B12の上面は平滑であり、明確な凸凹段差は存在しない。
【0106】
座板本体B1の中間部B12の概略全域に格子状に縦の溝B124及び横の溝B125を設けることで、着座時に座板本体B1が全体的に厚み方向に撓むことができる。これにより、さらなる座り心地の向上を図ることができる。
【0107】
張り材B2の座板本体B1へ張り設けるための構造は、上述した突起B123と取付孔B21との係合には限定されない。例えば、図23に示しているように、張り材B2を脱落しないよう下方から支持して保定するための張り材固定部材B3、B4を用いることとし、この張り材固定部材B3、B4に穿ち設けた透孔B31、B41を張り材取付突起B123に係り合わるようにしてもよい。さらに、張り材固定部材B3、B4を、ねじ等の止着具により座板本体B1に固着せしめてもよい。
【0108】
張り材B12の周縁部に玉縁を形成し、その玉縁を座板本体B1とこの座板本体B1を支持する支持フレーム3との間に挟み込むようにして、張り材B12を座板本体B1の下面に張り設けてもよい。
【0109】
あるいは、前記張り材B12の周縁部に係止部材を設け、座板Bに設けた係止溝等の係止部にこの係止部材を係り合わせるようにしてもよい。
【0110】
さらに、座板本体B1と張り材との間に、弾力性や保温性等を付加させるべく、ウレタン等の機能性シートを介在させてもよい。
【0111】
図24ないし図28に示す座板Cは、座板本体C1と、座板本体C1の下面に突設した取付体(図示せず)とを備えている樹脂一体成形の部材である。
【0112】
座板本体C1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)C11と、この周縁部C11の内側に位置する中間部C12とを有する。
【0113】
周縁部C11は、中間部C12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)C111と、中間部C12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)C112と、中間部C12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)C113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部C112及び後部C113を支持する。
【0114】
そして、中間部C12の特定箇所、図示例では中間部C12の全域に、ビームC121及び接続部材C122を設けている。この中間部C12は、座板本体C1の厚み方向に撓み可能な複数本のビームC121を隣接させて平行に配するとともに、これらビームC121同士を接続部材C122により間欠的に接続した構造をなす。
【0115】
前記各ビームC121は、下面(裏面)側に開放された溝を有し、かつ、座板本体C1に厚み方向に荷重がかかった際にこの溝が拡開する方向に変形し得る断面形状をなしている。ここで、拡開する方向とは、各ビームC121の開口端(即ち、下端)側の幅寸法が、開口端と反対(即ち、上端)側の幅寸法よりも大きくなる方向を示す。
【0116】
しかして、前記ビームC121が下方に撓む際には、隣接するビームC121の後述する側壁C1212同士が接続部材C122により接続されており、隣接するビームC121同士の離間距離(ビームC121間の隙間の大きさ)は変化しがたいために、個々のビームC121が溝を拡開するようにして(一個のビームC121の両側の側壁C1211が互いに離間するように)弾性変形することになる。そのため、ビームC121にかかる荷重がなくなった場合には、複数のビームC121が元の形態に戻ろうとする際の弾性復帰力を利用して、座板本体C1が元の平面状態に復帰することになる。
【0117】
前記各ビームC121は、周縁部C11の前部C112と後部C113との間に架設されたものであり、その全長に亘って前記溝がとぎれることなく連続して形成されている。また、この図示例においては、全てのビームC121が、同一の形状寸法を有している。具体的には、前記各ビームC121は、頂壁C1211と、この頂壁C1211の両側縁から座板本体C1の下面側に延出させた対をなす側壁C1212とを一体に備えた横断面コ字形をなす。そして、隣接するビームC121の側壁C1212外面同士を前記接続部材C122により一定のピッチで間欠的に接続している。
【0118】
接続部材C122は、この図示例では、下面側に開放された溝を有し、頂壁C1221と、この頂壁C1221の両側縁から座板本体C1の下面側に延出させた対をなす側壁C1222とを一体に備えた横断面コ字形をなすもので、前記ビームC121と樹脂により一体に成形されている。この接続部材C122の頂壁C1211の上面(表面)と、前記ビームC121の頂壁C1211の上面と、前記周縁部C11の上面とは、面一に連続し、座面を形成している。
【0119】
取付体は、上記実施形態における座板1の取付体12、13と同様の構成をとる。前側の取付体(図示せず)は周縁部C11の前部C112の下面に、後側の取付体(図示せず)は周縁部C11の後部C113の下面にそれぞれ設けてある。座板C1の椅子本体に対する取り付けも、上記実施形態と同様に行うことができる。即ち、前部C112の下面、後部C113の下面に設けた各取付体を、支持フレーム3の前側の支持部33及び後側の支持部34に各々支持させる。このとき、支持フレーム3によって支持される前部C112及び後部C113を包含する周縁部C11が剛性領域となる。そして、この周縁部C11以外の部位に、下方に開口する溝を有するビームC121、さらには各ビームC121間に上下に連通したスリット(隙間)を設けており、このビームC121が周縁部C11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部C12が、着座者の荷重を受けたときに座板Cの厚み方向に沿って変位することが可能となる。
【0120】
座板Cは、厚み方向に撓み可能な複数本のビームC121を隣接させて配するとともに、隣り合うビームC121同士を接続部材C122により間欠的に接続した構造をなす座板本体C1を備えたものである。そのため、前記座板Cの全部または主要部を樹脂による一体成形により製造することができ、枠材にメッシュを張り設ける場合のような高い技術力や手間を必要としない。しかも、複数のビームC121を前記周縁部C11の前部C112及び後部C113間に架設するとともに、それらビームC121同士を接続部材C122により間欠的に接続しているので、荷重に耐えられるだけの強度を十分に確保することができる。それだけでなく前記各ビームC121が、下面側に開放された溝を有し、かつ、座板本体C1に厚み方向に荷重がかかった際にこの溝が拡開する方向に変形し得る断面形状をなしているので、適切な柔軟性をも確保することができ、座り心地のよい椅子1となる。換言すれば、ビームC121及び接続部材C122を有する特定箇所が、荷重に耐えるだけの強度を備えつつ、荷重がかかったときには溝が拡開する方向にビームC121が変形するために柔軟性をも兼ね備えることとなる。その上、前記ビームC121及び接続部材C122は、それぞれ溝を有した形状をなしているため、強度を低下させることなしに軽量化を図ることが可能になる。
なお、その強度や柔軟性は、前記ビームC121の側壁C1212の高さや、接続部材C122の配設ピッチなどを適宜要求される値に設定することで、種々の特性を有した座り心地のよい座板Cを作ることができる。したがって、荷重に応じた適切な弾性を有する座板Cを容易に設計することが可能になる。
【0121】
特に、前記周縁部C11及び中間部C12を有した座板本体C1と、取付体とを樹脂により一体に成形しているので、部品点数が少なくて済み、また、枠材にメッシュを張り設ける場合に比べて、組立に要する工数を大幅に削減することが可能になる。さらにこの座板本体C1は樹脂で一体成形されたものであるため、クッションタイプやメッシュタイプのものと比較して強度が高く、破れたり、切れたり、擦れて損耗したりするおそれが少ない。メッシュ地は細い糸を編んだり織ったりした部材であるので、一部がほつれるとそのほつれが全体に波及し得るが、樹脂製の座板本体C1であれば仮に一部が破損してもそれが全体に広がらない。
【0122】
前記中間部C12の特定箇所、着座者の臀部及び大腿部を受ける部分が、前記ビームC121及び接続部材C122を備えた構造をなしているので、座板Cの周縁部C11は支持フレーム3でしっかり支持されるが、内側領域はソフトな座り心地を得ることができる。
【0123】
また、前記ビームC121、接続領域C122及び周縁部C11の上面が、面一に連続させてあるので、座板本体C1に厚み方向の極端な突出がなく、フラットな座り心地が得られる。
【0124】
なお、座板Cについて、さらなる変形態様を考えることもできる。特に、前記中間部C12の一部の領域のビームC121の変形特性を、他の領域のビームC121の変形特性と異ならせるようにしてもよい。具体的には、図29及び図30に示すように、中間部C12の臀部を受ける左右対をなす二つの領域の柔軟性を他の領域の柔軟性よりも高めることができる。即ち、柔軟性をより高めたい領域に位置するビームC121の厚み方向寸法(座板本体C1の上面から側壁C1212の下端までの寸法)L1を、その他の領域に位置するビームC121の厚み方向寸法L2よりも小さく設定している。つまり、部分的にビームC121の剛性を下げることで柔軟性の高い箇所を形成している。これにより、体重のかかり具合に合わせて着座者の臀部を受ける部分が最も変形しやすくなる。そのため、臀部全体を均等に支持することが可能となり、座り心地を一層良化することができる。
【0125】
また、図示例では、中間部C12の全域にビームC121及び接続部材C122を配置していたが、中間部C12の一部にビームC121及び接続部材C122を配する特定箇所を設けるものであってもよい。この場合、前記特定箇所は、複数設定してもよい。
【0126】
さらに、中間部C12全域にビームC121及び接続部材C122を配し、その中間部C12の一部の領域のビームC121の変形特性を、他の領域のビームC121の変形特性と異ならせた場合について説明したが、前述したように特定箇所を複数設定している場合には、一の特定箇所と他の特定箇所との間で変形特性を変えるようにしてもよい。その一例としては、一の特定箇所のビームの配列方向と他の特定箇所のビームの配列方向とを異ならせることが考えられる。また、他の例としては、一の特定箇所のビームや接続部材の形状や寸法と他の特定箇所のビームや接続部材の形状や寸法とを異ならせることも考えられる。
【0127】
ビームの形状は、以上に説明したものに限られないのはもちろんであり、趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。図示例におけるビームC121は、座面に直交する方向からの視線において直線状をなすものであったが、曲線的に湾曲したものであってもよい。曲線的に湾曲したものの中には、例えば、扇状あるいは波状に湾曲し周縁部間に架設される形状のものだけでなく、環状のものも含まれる。環状のものの例としては、大きさの異なる円環状あるいは楕円環状のものが挙げられる。その場合には、それらのビームを同心円状に配列させて、接続部材により適宜箇所を間欠的に接続すればよい。ビームの断面形状も、図示例には限られず、例えば、頂壁と、この頂壁の両側縁から座板本体の下面側に一定の角度をもって延出させた対をなす側壁とを一体に備えた横断面台形状のものや、下方に開口する横断面C字形をなす壁を備えたもの、あるいは、下方に開口する横断面V字形をなす壁を備えたもの等を挙げることができる。
【0128】
また、接続部材も前述した態様のものに限られず、例えば、溝を有しないものであってもよい。
【0129】
ビーム、接続部材、周縁部の上面は、面一に連続するものに限られないのはもちろんであり、例えば、接続部材をビームの表面よりも裏側に退避させる等種々変形が可能である。
【0130】
座板Cは、座板本体C1の上面を張り地で覆い設けたものや、さらに、その張り地と座板本体C1との間にクッションを介在させたものであってもよい。
【0131】
図31ないし図33に示す座板Dは、座板本体D1と、弾性変形可能なばねとして機能する支持部D4とを備えている樹脂成形部材である。
【0132】
座板本体D1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)D11と、この周縁部D11の内側に位置する中間部D12とを有する。
【0133】
周縁部D11は、中間部D12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)D111と、中間部D12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)D112と、中間部D12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)D113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部D112及び後部D113を支持する。
【0134】
支持部D4は、周縁部D11の後部D113において左右二箇所に設けられ、表面側に開口し裏面側に突出する略U字形状をなすものであり、その突出した部分D41を椅子本体の後フレーム4に係わり合わせるようにしている。
【0135】
座板Dの前側の取付体D2は、周縁部A11の前部A112の下面に一体成形したものである。前側の取付体D2は、支持フレーム3の前側の支持部33に対し、若干の動作範囲で回動可能であるように取り付ける。
【0136】
座板Dの後側の取付体D3は、座板本体D1及び支持部D4とは別体の部材である。後側の取付体D3には、支持部D4を保持するための固定部D31を設けており、後側の取付体D3はこの固定部D31を介して支持部D4に組み付いている。尤も、後側の取付体D3を支持部D4に一体成形していても構わない。後側の取付体33は、支持フレーム3の後側の支持部34に脱離不能に取り付ける。後側の取付体D3は、上記実施形態における座板1の後側の取付体13と同様、支持フレーム3の後側の支持部34とともに後フレーム4を挿通する軸受を形成する。
【0137】
座板Dの中間部D12の下面と、支持フレーム3の中間部の上縁との間には空隙が介在しており、この空隙により中間部D12の厚み方向に沿った変位及び/または弾性変形が許容される。
【0138】
図31ないし図33に示している椅子では、座板Dの後部D113と、着座者の臀部が載置される部位との間を、弾性変形可能な樹脂ばねである支持部D4を以て接続している。座板Dが着座者の荷重を受けたとき、略U時形状をなす支持部D4(の突出部分D41)が適宜撓むように弾性変形を起こし、座板Dの中間部D12が座板Dの厚み方向に沿って変位する。
【0139】
また、後側の取付部D3は、突出部分D41の伸長方向(左右方向)の中央部を保持する固定部D31を備えていることから、弾性変形の前後を通じて支持部D4が後側の取付部D3に対し確実に位置決めされる。
【0140】
なお、座板Dについて、さらなる変形態様を考えることもできる。樹脂ばねとなる支持部D4の具体的な形状は、概略U字形状に限られないのはもちろんであり、例えば、厚み方向に波打たせた形状やC字状に突出する形状等、種々に変形が可能である。
【0141】
座板Dが、座板本体D1の上面を張り地で覆ったものや、さらに、その張り地と座板本体D1との間にクッションを介在させたものであってもよい。
【0142】
図34、図35に示す座板Eは、座板本体E1と、座板本体E1の下面に突設した取付体(図示せず)とを備えている樹脂一体成形の部材である。
【0143】
座板本体E1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)E11と、この周縁部E11の内側に位置する中間部E12とを有する。
【0144】
周縁部E11は、中間部E12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)E111と、中間部E12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)E112と、中間部E12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)E113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部E112及び後部E113を支持する。
【0145】
そして、中間部E12の特定箇所、図示例では中間部E12の全域に、前記帯状部材E121及び接続片E122を設けている。この中間部E12は、厚み方向に撓み可能な複数本の帯状部材E121を隣接させて配するとともに、隣り合う帯状部材E121同士を、当該帯状部材E121よりも幅の狭い接続片E122により、直線で接続するよりも長い経路をもってそれぞれ弾性変形可能に接続した構造をなす。
【0146】
前記各帯状部材E121は、対向する前記周縁部E11の二箇所をつなぐように配置されたものであり、前記周縁部E11の二箇所を直線よりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る平面視歪曲した形状をなしている。図示例では、各帯状部材E121は、周縁部E11の左右の側部E111を、同じ前後位置同士で接続している。
【0147】
前記各帯状部材E121は、直線経路に対する余剰長さを相互に異ならせたものであり、特定の帯状部材E121の余剰長さが、他の帯状部材E121の余剰長さと異なるように設定されている。詳述すれば、前記中間部E12の中央付近の帯状部材E121の余剰長さは、前記中間部E12の前側及び後側の帯状部材E121の余剰長さよりも長くなるようにしている。換言すれば、着座者の臀部を受ける部分の帯状部材E121の余剰長さが最も長く設定されており、その帯状部材E121から周縁部E11の前部E112及び後部E113に向かって漸次帯状部材E121の余剰長さが短くなるように設定されている。
【0148】
前記各接続片E122は、隣接する帯状部材E121の二箇所をつなぐように配置されたものであり、前記帯状部材E121の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る平面視歪曲した形状をなしている。図示例では、各接続片E122は、一の帯状部材E121の前縁と、その一の帯状部材E121の前方に隣接配置される他の帯状部材E121の後縁とを、同じ左右位置同士で接続している。
【0149】
前記各接続片E122は、直線経路に対する余剰長さを相互に異ならせたものであり、特定の接続片E122の余剰長さが、他の接続片E122の余剰長さと異なるように設定されている。詳述すれば、前記中間部E12の中央付近の接続片E122の余剰長さは、前記中間部E12の左右両側の接続片E122の余剰長さよりも長くなるようにしている。換言すれば、着座者の臀部を受ける部分の接続片E122の余剰長さが最も長く設定されており、その接続片E122から周縁部E11の左右の側部E111に向かって漸次帯状部材E121の余剰長さが短くなるように設定されている。そして、これらの帯状部材E121及び接続片E122が、ほぼ同一面内に配置されており、各帯状部材E121及び各接続片E122は、それぞれ波状をなしている。
【0150】
取付体は、上記実施形態における座板1の取付体12、13と同様の構成をとる。前側の取付体(図示せず)は周縁部E11の前部E112の下面に、後側の取付体(図示せず)は周縁部E11の後部E113の下面にそれぞれ設けてある。座板E1の椅子本体に対する取り付けも、上記実施形態と同様に行うことができる。即ち、前部E112の下面、後部E113の下面に設けた各取付体を、支持フレーム3の前側の支持部33及び後側の支持部34に各々支持させる。このとき、支持フレーム3によって支持される前部E112及び後部E113を包含する周縁部E11が剛性領域となる。そして、この周縁部E11以外の部位に、弾性変形可能な帯状部材E121及び接続片E122、さらには各帯状部材E121間及び各接続片E122間に上下に連通したスリット(貫通孔)を設けており、この帯状部材E112及び接続片E122が周縁部E11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部E12が、着座者の荷重を受けたときに座板Eの厚み方向に沿って変位することが可能となる。
【0151】
座板Eは、厚み方向に撓み可能な複数本の帯状部材E121を隣接させて配するとともに、隣り合う帯状部材E121同士を当該帯状部材E121よりも幅の狭い接続片E122により直線で接続するよりも長い経路をもってそれぞれ弾性変形可能に接続した構造をなす座板本体E1を備えたものである。そのため、前記座板Eの全部または主要部を樹脂による一体成形により製造することができ、枠材にメッシュを張り設ける場合のような高い技術力や手間を必要としない。しかも、接続片E122が直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続しているので、接続片E122自体の素材の伸縮だけではなく、前記接続片E122が変形部を形成することになり、この接続片E122が接続されている帯状部材E121が変形しやすくなり、座板本体E1により着座者の荷重を弾性的に受けることができるため、座り心地のよい椅子1となる。特に、帯状部材E121及び接続片E122の余剰長さを荷重分布に応じて設定しておけば、座板全体の強度を保ちつつ、荷重を直接受ける部分は撓み易くすることができる。
【0152】
前記各帯状部材E121が、厚み方向に撓みながら着座者の荷重を主として受けるとともに、これら各帯状部材E121よりも幅の狭い各接続片E122が、厚み方向に撓みながら着座者の荷重を補助的に受けつつ、前記各帯状部材E121の動きを制御しているので、帯状部材E121の本数や余剰長さ、或いは接続片E122の形成箇所や余剰長さ等を適宜設定することにより、種々の特性を有した座り心地のよい座板を作ることができる。したがって、荷重に応じた適切な弾性を有する座板Eを容易に設計することが可能になる。
【0153】
前記周縁部E11と中間部E12とを有した座板本体E1と、取付体とを樹脂により一体に成形しているので、部品点数が少なくて済み、また、枠材にメッシュを張り設ける場合に比べて、組立に要する工数を大幅に削減することが可能になる。さらにこの座板本体E1は樹脂で一体成形されたものであるため、クッションタイプやメッシュタイプのものと比較して強度が高く、破れたり、切れたり、擦れて損耗したりするおそれが少ない。メッシュ地は細い糸を編んだり織ったりした部材であるので、一部がほつれるとそのほつれが全体に波及し得るが、樹脂製の座板本体E1であれば仮に一部が破損してもそれが全体に広がらない。
【0154】
前記中間部E12の特定箇所、着座者の臀部及び大腿部を受ける部分が、前記帯状部材E121及び接続片E122を備えた構造をなしているので、座板Eの周辺領域はフレームでしっかり支持されるが、内側領域はソフトな座り心地を得ることができる。
【0155】
また、前記中間部E12が、波状をなす帯状部材E121及び接続片E122を複数備えているので、これらが厚み方向に撓み、座り心地がよい。さらに、前記帯状部材E121及び接続片E122が、ほぼ同一平面内に配置されているので、中間部E12に厚み方向の極端な突出がなく、フラットな座り心地が得られる。
【0156】
さらに、各帯状部材E121が、対向する前記周縁部E11、換言すれば左右の側部E111の二箇所をつなぐように配置されたものであり、前記周縁部E11の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る形状をなしているので、帯状部材E121の素材の伸縮だけではなく、前記帯状部材E121が曲げ方向に変形する許容範囲が大きくなり、座板Eが柔軟性に富んだものとなる。そして、前記各帯状部材E121は左右の側部E111をつないでいるので、各帯状部材E121によってしっかりと荷重を受けることができる。
【0157】
前記各帯状部材E121及び各接続片E122がそれぞれ、直線に対する余剰長さを相互に異ならせたものであるため、座板Eの柔軟性を各部において適切に異ならせることが可能になる。具体的には、着座者の臀部を受ける部分を、他の帯状部材E121や接続片E122の余剰長さよりも長く設定しているので、着座者の臀部を受ける部分を他の部分に比べて大きく撓ませることができる。したがって、部分によって変形許容量を異ならせることができ、心地よい座り心地を与えることができる。
【0158】
なお、座板Eについて、さらなる変形態様を考えることもできる。例えば、図36に示す座板Eにおける各帯状部材E121は、それぞれ環状をなすものであり、複数の帯状部材E121が同心円状に配列されている。各帯状部材E121は、後部が半円弧状をなしているとともに前方に向かって漸次幅を狭くした涙形状をなしている。
【0159】
また、各接続片E122は、隣接する帯状部材E121の二箇所をつなぐように配置されたものであり、前記帯状部材E121の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る形状をなしている。具体的には、各接続片E122は、それぞれ波状をなしており、一の帯状部材E121の内縁と、その一の帯状部材E121の内方に隣接配置される他の帯状部材E121の外縁とを、最短距離よりも長い経路で結ぶ位置で接続している。このような接続片E122同士が、略一定の隙間を以て、隣接する帯状部材E121の間を埋めるように配置されている。
【0160】
以上に加え、図36に示している座板Eの中間部E12には、前記帯状部材E121及び接続片E122とは別に、前記右の特定箇所における帯状部材E121のうち最も内側に位置する部分と、左の特定箇所における帯状部材E121のうち最も内側に位置する部分を弾性変形可能に接続し得るほぼ直線形状をなす補助部材E123を設けている。そして、これらの帯状部材E121、接続片E122及び補助部材E123が、ほぼ同一面内に配置されている。
【0161】
図36にしめす構造の座板Eによれば、座板Eの前後左右方向において、着座者の臀部から大腿部に及ぶ体重分布に対応した撓み特性を得ることができる。特に、中間部E12の二箇所に前述したような構成を有しているので、体重のかかり具合に合わせて着座者の臀部を受ける部分が最も変形しやすくなる。そのため、臀部全体を均等に支持することが可能となり、座り心地を一層良化することができる。また、図35に示した座板Eの中間部E12では、比較的大きな隙間が存在するため着座者に違和感を与えるおそれがあるが、図36に示した座板のように、中間部E12における隙間を埋めるように帯状部材E121、接続片E122及び補助部材E123を密に配するようにすれば、違和感を与えるおそれがなくなる。
【0162】
帯状部材E121及び接続片E122は、同一平面上に配置されるものに限られないのはもちろんであり、例えば、接続片E122を厚み方向に波打たせる等種々変形が可能である。
【0163】
また、帯状部材E121の断面形状は、例えば円形状または楕円形状等、角縁部をなくしたものとしてもよい。このようなものであれば、着座によって帯状部材E121が下方に撓むのと同時に前後方向に捩れても、着座者に角縁部が当たることがなく、座り心地はさらに向上する。接続片E122の断面形状も同様に、角縁部をなくしたものとすることができる。
【0164】
各帯状部材E121の余剰長さは、漸次変化するように設定されているものであってもよい。例えば、中間部E12の各帯状部材E121が、座板Eの前側から後側に向かって漸次その長さを変化させるものや、座板Eの中央から左右に向かって漸次その長さを変化させるものなどが考えられる。
【0165】
座板Eが、座板本体E1の上面を張り地で覆ったものや、さらに、その張り地と座板本体E1との間にクッションを介在させたものであってもよい。
【0166】
以上説明した例では、中間部E12の全域が、前記帯状部材E121及び接続片E122を備えた構造をなしていたが、中間部E12の一部の領域にのみ前記帯状部材E121及び接続片E122を備えているものとしてもよい。その一例として、中間部E12の複数箇所の領域に分散させて前記帯状部材E121及び接続片E122を備えているものが考えられる。
【0167】
図37、図38に示す座板Fは、座板本体F1と、座板本体F1の下面に突設した取付体(図示せず)とを備えている樹脂一体成形の部材である。
【0168】
座板本体F1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)F11と、この周縁部F11の内側に位置する中間部F12とを有する。
【0169】
周縁部F11は、中間部F12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)F111と、中間部F12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)F112と、中間部F12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)F113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部F112及び後部F113を支持する。
【0170】
そして、前記中間部F12の特定箇所、図示例では中間部F12の全域に、前記帯状部材F121を設けている。この中間部F12は、厚み方向の上下両面側に突出する形状をなす複数本の帯状部材F121を略隙間なく敷き詰めるとともに、隣り合う帯状部材F121同士を複数箇所においてそれぞれ接続した構造をなす。
【0171】
前記各帯状部材F121は、対向する前記周縁部F11の二箇所をつなぐように配置され、前記周縁部F11の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る歪曲した形状をなしている。図示例では、各帯状部材F121が、周縁部F11の左右の側部F11を、同じ前後位置同士で接続している。
【0172】
各帯状部材F121は、板厚方向に一定の周期で反復的に突没する波状をなす。隣り合う帯状部材F121同士は、連続する波状の突没の位相が180°ずれている。そして、隣り合う帯状部材F121の側縁同士が最も接近する間欠位置F122において、帯状部材F121同士を接続している。具体的には、前記各帯状部材F121は、前記座板本体F1に対して直交する方向からの視線(換言すれば、平面視)において、隣接する帯状部材F121と相互に重ならないように密接配置されており、隣り合う帯状部材F121の側縁同士が接続箇所F122において一体化されている。つまり、前記各帯状部材F121は、前記周縁部F11と略同一面をなす厚み方向位置において相互に接続されている。
【0173】
そして、接続されていない部分において、隣り合う帯状部材F121間に座板本体F1の表側と裏側とを連通させる開口F123が形成されている。開口F123は、前記帯状部材F121の突没の位相のずれに基づいて間欠的に形成されるものである。これら各帯状部材F121は、前記座板本体F1に対して直交する方向からの視線においては直線的な形状をなし、平行に配列されている。
【0174】
取付体は、上記実施形態における座板1の取付体12、13と同様の構成をとる。前側の取付体(図示せず)は周縁部F11の前部F112の下面に、後側の取付体(図示せず)は周縁部F11の後部F113の下面にそれぞれ設けてある。座板F1の椅子本体に対する取り付けも、上記実施形態と同様に行うことができる。即ち、前部F112の下面、後部F113の下面に設けた各取付体を、支持フレーム3の前側の支持部33及び後側の支持部34に各々支持させる。このとき、支持フレーム3によって支持される前部F112及び後部F113を包含する周縁部F11が剛性領域となる。そして、この周縁部F11以外の部位に、弾性変形可能な帯状部材F121を敷き詰めて設けており、この帯状部材F112が周縁部F11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部F12が、着座者の荷重を受けたときに座板Fの厚み方向に沿って変位することが可能となる。
【0175】
座板Fが、厚み方向に撓み可能な複数本の帯状部材F121を隣接させて配するとともに、隣り合う帯状部材F121同士を間欠的に接続したものである。そのため、前記座板Fの全部または主要部を樹脂による一体成形により製造することができ、枠材にメッシュを張り設ける場合のような高い技術力や手間を必要としない。
【0176】
前記各帯状部材F121が、厚み方向に撓みながら着座者の荷重を主として受けるとともに、これら各帯状部材F121の複数箇所を接続しているので、前記各帯状部材F121の動きを制御しつつ、適切に帯状部材F121を撓ませることができる。また、帯状部材F121の本数や余剰長さ、或いは接続箇所F122の間隔等を適宜設定することにより、種々の特性を有した座り心地のよい座板を作ることができる。したがって、荷重に応じた適切な弾性を有する座板Fを容易に設計することが可能になる。
【0177】
また、前記周縁部F11と中間部F12とを有した座板本体F1と、取付体とを樹脂により一体に成形しているので、部品点数が少なくて済み、また、枠材にメッシュを張り設ける場合に比べて、組立に要する工数を大幅に削減することが可能になる。さらに、この座板本体F1は樹脂で一体成形されたものであるため、クッションタイプやメッシュタイプのものと比較して強度が高く、破れたり、切れたり、擦れて損耗したりするおそれが少ない。メッシュ地は細い糸を編んだり織ったりした部材であるので、一部がほつれるとそのほつれが全体に波及し得るが、樹脂製の座板本体F1であれば仮に一部が破損してもそれが全体に広がらない。
【0178】
前記中間部F12の特定箇所、着座者の臀部及び大腿部を受ける部分が、前記帯状部材F121を備えた構造をなしているので、座板Fの周辺領域はフレームでしっかり支持されるが、内側領域はソフトな座り心地を得ることができる。
【0179】
また、前記中間部F12が、波状をなす帯状部材F121を複数備えているので、これらが厚み方向に撓み、座り心地がよい。しかも、帯状部材F121は波状でありながら複数箇所において隣接する帯状部材F121に接続されているので、横ずれすることがなく、保形性に優れたものとなる。
【0180】
さらに、各帯状部材F121が、対向する前記周縁部F11、換言すれば左右の側部F11の二箇所をつなぐように配置されたものであり、前記周縁部F11の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る形状をなしているので、帯状部材F121の素材の伸縮だけではなく、前記帯状部材F121が曲げ方向に変形する許容範囲が大きくなり、座板Fが柔軟性に富んだものとなる。そして、前記各帯状部材F121は左右の側部F11をつないでいるので、各帯状部材F121によってしっかりと荷重を受けることができる。すなわち、このようなものであれば、変形しやすい座板F1でありながら、体重をしっかりと支える安心感が得られる。
【0181】
また、隣接する帯状部材F121間に開口F123が立体的に形成されるので、通気性が良好なものとなる。
【0182】
なお、座板Fについて、さらなる変形態様を考えることもできる。図39及び図40に示す座板Fにおける中間部F12は、厚み方向の上下両面側に突出する形状をなす複数本の帯状部材F121を隙間を介して隣接させて配するとともに、隣り合う帯状部材F121同士を複数箇所において接続片F124によりそれぞれ接続した構造をなす。
【0183】
前記各帯状部材F121は、対向する前記周縁部F11の二箇所をつなぐように配置され、前記周縁部F11の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る形状をなしている。各帯状部材F121は、周縁部F11の左右の側部F11を、同じ前後位置同士で接続している。
【0184】
各帯状部材F121は、板厚方向に一定の周期で反復的に突没する波状をなし、隣り合う帯状部材F121同士は、連続する波状の突没の位相が180°ずれている。そして、隣り合う帯状部材F121の側縁同士が最も接近する間欠位置において、前記帯状部材F121同士を接続片F124を介して接続している。具体的には、前記各帯状部材F121及び接続片F124は、前記座板本体F1に対して直交する方向からの視線において、隣接する帯状部材F121と相互に重ならないように配置されており、隣り合う帯状部材F121の側縁同士が接続片F124を介して接続されている。つまり、前記各帯状部材F121は、前記周縁部F11と略同一面をなす厚み方向位置において相互に接続片F124を介して接続されている。
【0185】
そして、接続されていない部分において、隣り合う帯状部材F121間に座板本体F1の表側と裏側とを連通させる開口F123が形成されている。開口F123は、前記帯状部材F121の位相のずれに基づいて間欠的に形成されるものである。これら各帯状部材F121は、前記座板本体F1に対して直交する方向からの視線においては直線的な形状をなし、平行に配列されている。
【0186】
前記接続片F124は、小さな軸状のもので、帯状部材F121に一体に接続されている。即ち、図39、図40に示している座板Fは、帯状部材F121及び接続片F124を含めて、樹脂一体成形品である。各帯状部材F121同士の接続箇所F122は、前後左右に一定の間隔で整然と存在しており、それら各接続箇所F122に前記接続片F124がそれぞれ配されている。
【0187】
図39、図40に示している座板Fでは、支持フレーム3によって支持される前部F112及び後部F113を包含する周縁部F11が剛性領域となる。そして、この周縁部F11以外の部位に、弾性変形可能な帯状部材F121、さらには各帯状部材F121間に上下に連通したスリット(隙間)を設けており、この帯状部材F112が周縁部F11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部F12が、着座者の荷重を受けたときに座板Fの厚み方向に沿って変位することが可能となる。また、特に、図39及び図40に示している座板Fでは、平面視においても隙間が形成されるため、通気性がより良好なものとなる。
【0188】
その他の構成の変更として、例えば、帯状部材は、上下両側に突出するようなものに限らず、下面(裏面)側のみに突出するようなものであってもよい。
【0189】
図37ないし図40に示す例では、隣り合う帯状部材F121同士の突没の位相を180°ずらしていたが、この位相を30°または60°ずらす等、種々に変更しても構わない。図41に示す例では、隣接する二つの帯状部材F121の位相のずれを180°とは異なる値に設定したものであり、具体的には位相を30°ずらしてある。このようなものであれば、各帯状部材F121の接続箇所F122が板厚方向即ち上下方向に交互に位置し、隣接する接続片F124もまた板厚方向即ち上下方向に交互に位置する。図37ないし図40に示す座板Fは、平面視及び正面視において隙間が形成されるものであったが、図41に示す板材Fにおいてはさらに、側面視においても、上下に離間した接続片F124間を見通せるような隙間F125が形成されることとなる。つまり、板厚内で、隣接した接続部材F121間及び隣接した接続片F124間に隙間F125が形成され、通気性がより良好なものとなる。
【0190】
図37ないし図41に示す例では、各帯状部材F121が波状であってその振幅及び周期も一定であったが、振幅または周期を相異ならせた帯状部材を組み合わせたものであってもよい。
【0191】
帯状部材F121の断面形状は、例えば円形状または楕円形状等、角縁部をなくしたものとしてもよい。このようなものであれば、着座によって帯状部材F121が下方に撓むのと同時に前後左右方向に捩れても、帯状部材F121に角縁部がないため、着座者に角縁部が当たることがなくなり、座り心地はさらに向上する。接続片F124の断面形状も、前述した帯状部材F121と同様に、角縁部をなくしたものとすることができる。
【0192】
座板Fが、座板本体F1の上面を張り地で覆ったものや、さらに、その張り地と座板本体F1との間にクッションを介在させたものであってもよい。
【0193】
中間部F12の全域に、前記帯状部材F121(さらには、接続片F124)を備えるとは限られない。中間部F12の一部の領域にのみ前記帯状部材F121(及び、接続片F124)を設けても構わない。その一例として、中間部F12の複数箇所の領域に分散させて前記帯状部材F121(及び、接続片F124)を備えているものも考えられる。
【0194】
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明は、例えば学校や会議場、オフィスのミーティングルーム等用の椅子として利用することができる。
【符号の説明】
【0196】
1…座板
112…中間部
12…前側の取付体
13…後側の取付体
3…支持フレーム
31…側板
32…凹陥部
33…前側の支持部
34…後側の支持部
4…支軸(後フレーム)
5…横架材(前フレーム)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば学校や会議場、オフィスのミーティングルーム等において好適に使用される椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の椅子は、多量に配備されることが少なくない。それら椅子の収納スペースの縮小を図る観点から、座板を上下回動可能とし、この座板を跳ね上げた状態で複数基を前後方向に重ねるネスティング(水平スタッキング)を行い得る構造とすることが知られている(例えば、下記特許文献を参照)。
【0003】
椅子の座り心地を良化するには、座面を変形可能とすることが望ましい。しかしながら、従前の椅子においては、使用に際して略水平姿勢をとる座板の前部が垂れ下がる等の不都合を回避するために、座板を固く変形しない剛体として構成することが専らであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−158745号公報
【特許文献2】特開2006−158746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、座を跳ね上げ可能な態様の椅子において、製造コストを抑制しつつ座り心地を良化することを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る椅子は、軸心を左右方向に向けた支軸を有する椅子本体の支軸回りに上下回動可能であるように樹脂製の座板を設けてなるものであって、前記座板の下面側に配置され前記支軸に上下回動可能に係わり合わせた支持フレームを備え、前記座板が略水平な使用状態にて当該座板の中間部を厚み方向に変位させる(または、撓ませる)ことができるように座板の前部と後部とを前記支持フレームにより支持していることを特徴とする。このようなものであれば、座板自体に変形性を付与していても、その前後を支持フレームにより支持して椅子としての構造の強度、機能を担保することができる。
【0007】
前記椅子本体が、前記支軸よりも前方に配置され左右方向に伸張した横架材を備え、前記使用状態にて前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位が前記横架材に載置されるのであれば、座板及び支持フレームを支軸と横架材とによりしっかりと支えることができる。
【0008】
前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位に凹陥部を形成しており、前記使用状態にてその凹陥部が前記横架材に上方から係わり合うものとすれば、使用状態における支持フレームの横架材に対するがたつきを抑制することができる。
【0009】
前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位が座板の下面から下方に離間していれば、着座者の体重を受けた座板の中間部が当該座板と支持フレームとの間の空隙内で厚み方向に撓み変形することが許容され、より好ましい。
【0010】
前記座板の後部と前記支持フレームにおける座板の後部を支持する後側の支持部とで前記支軸を挟み込んでいるならば、簡易な手順で座板及び支持フレームを椅子本体の支軸に組み付けることができる。
【0011】
前記座板の前部が前記支持フレームにおける座板の前部を支持する前側の支持部に対し相対的にスライド可能となっていれば、座板の中間部が厚み方向に撓み変形したときに座板と椅子本体との間で発生する構造的矛盾が吸収され、座板の撓み変形が妨げられない。
【0012】
前記支持フレームを二組備えており、前記座板の左方前部及び左方後部を一方の支持フレームにより支持し、座板の右方前部及び右方後部を他方の支持フレームにより支持していれば、使用状態にて座板を四点で支持することができ安定する。
【0013】
前記座板の前部及び後部に、下方に向けて突出する取付体を一体成形しており、前記支持フレームが、左右に対をなす側板を有し、両側板が前記取付体を挟んでいるものとすれば、支持フレームの構造及び組立工程が一層簡便化する。
【0014】
本発明は、特に、前記座板及び前記支持フレームを上方に回動させて跳ね上げた状態で複数基を前後方向にネスティング可能な態様の椅子に好適に適用することができる。
【0015】
なお、座板に変形性を付与する目的で、座板に種々の工夫を加えることも好ましい。例えば、前記座板における、前記支持フレームによって支持される前部及び後部を包含する部位を剛性領域とし、この剛性領域以外の部位に薄肉部、溝、スリット、有底穴、貫通孔または変形可能な帯状部材を設けて、前記剛性領域よりも弾性変形容易な変形領域とする。
【0016】
あるいは、前記座板における、前記支持フレームによって支持される前部または後部と、着座者の臀部が載置される部位との間を、弾性変形可能な樹脂ばねを以て接続するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、座を跳ね上げ可能な態様の椅子において、製造コストを抑制しつつもその座り心地を良化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の椅子を正面側から見た斜視図。
【図2】同実施形態の椅子を底面側から見た斜視図。
【図3】同実施形態の椅子の座を跳ね上げた非使用状態を示す斜視図。
【図4】同実施形態の椅子の側断面図。
【図5】同実施形態の椅子の底面図。
【図6】同実施形態の座板及び支持フレームを示す分解斜視図。
【図7】同実施形態の椅子をネスティングした状態を示す側面図。
【図8】座板及び支持フレームの変形例の一を示す要部側断面図。
【図9】座板及び支持フレームの変形例の一を示す要部側断面図。
【図10】座板の変形例の一を示す平面図。
【図11】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図12】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図13】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図14】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図15】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図16】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図17】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図18】図10のX−X線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図19】座板の変形例の一を示す、底面側から見た斜視図。
【図20】同変形例の座板から張り材を取り除いた状態を示す底面図。
【図21】同変形例の座板から張り材を取り除いた状態を示す、底面側から見た斜視図。
【図22】同変形例の座板から張り材を取り除いた状態を示す底面図。
【図23】同変形例の座板を底面側から見た分解斜視図。
【図24】座板の変形例の一を示す平面図。
【図25】同変形例の座板の斜視図。
【図26】同変形例の座板を底面側から見た斜視図。
【図27】図24のY−Y線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図28】図24のZ−Z線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図29】同変形例の座板を底面側から見た斜視図。
【図30】図24のY−Y線における断面形状を模式的に示す要部拡大断面図。
【図31】座板の変形例の一及びこれを適用した椅子を示す斜視図。
【図32】同変形例の座板及びこれを適用した椅子を底面側から見た斜視図。
【図33】同変形例の座板を底面側から見た要部拡大斜視図。
【図34】座板の変形例の一を示す平面図。
【図35】同変形例の座板の斜視図。
【図36】同変形例の座板の平面図。
【図37】座板の変形例の一を示す平面図。
【図38】同変形例の座板の斜視図。
【図39】同変形例の座板の平面図。
【図40】同変形例の座板の要部拡大平面図。
【図41】同変形例の座板の要部拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の椅子は、椅子本体に樹脂成形品の座板1及び背板2を取り付けてなるとともに、その座板1を上下回動可能としたものである。図1、図2、図4ないし図6は、座板1を略水平とした使用状態を示し、図3、図7は、座板1を跳ね上げた非使用状態を示している。
【0020】
椅子本体は、座板1及び背板2を支持する自立した構造体である。椅子本体は、座板1を支持する構造である座受部と、その座受部及び背板2を支持する構造である脚部とに大別することができる。
【0021】
座受部は、軸心を左右方向に向けた支軸たる後フレーム4と、後フレーム4よりも前方に配置され左右方向に伸張した横架材たる前フレーム5と、前後方向に延伸して後フレーム4及び前フレーム5の側端部を支持する側フレーム6と、後端部を後フレーム4に上下回動可能に係わり合わせた支持フレーム3とを要素とする。
【0022】
後フレーム4及び前フレーム5はそれぞれ、丸パイプ材を主体とし、互いに略平行であるように左右に伸びている。
【0023】
左右の側フレーム6は、後フレーム4及び前フレーム5よりも若干径の太い丸パイプ材を主体とし、前方に向かうにつれて下降してゆくように傾斜している。また、左右の側フレーム6の離間距離は、前方に向かうにつれて徐々に縮小している。後フレーム4の両端及び前フレーム5の両端は、溶接等により左右の側フレーム6に固着している。前フレーム5の高さ位置は、後フレーム4の高さ位置と比べてやや低い。
【0024】
支持フレーム3は、左右に対をなす板金製の側板31を主体とし、座板1を支持した状態で座板1とともに後フレーム4回りに上下に回動する。本実施形態では、支持フレーム3を二組設けており、各支持フレーム3をそれぞれ、座板1の左右方向の中央と外側端との中間付近に位置づけるようにして分けて配置している。支持フレーム3は、その前側の支持部33で座板1の前部を支持し、その後側の支持部34で座板1の後部を支持するもので、前側の支持部33と後側の支持部34との間にある中間部112は座板1の下面から離間している。
【0025】
詳述すると、図6に示しているように、支持フレーム3を構成する一対の側板31は、互いに略同一形状をなしている。図4に示しているように、座板1が略水平な使用状態において、各側板31の前端部位33及び後端部位34は、座板1の下面に向かうように上方に突き出している。側板31の前端部位33は支持フレーム3の前側の支持部となり、側板31の後端部位34は支持フレーム3の後側の支持部となる。両側板31の前端部位33は、後述する座板1の前側の取付体12の左右の側面に各々接して、前側の取付体12を左右から挟む。両側板31の後端部位34は、座板1の後側の取付体13の左右の側面に各々接して、後側の取付体13を左右から挟む。
【0026】
側板31の上縁は、前側の支持部33の後縁から後方に向かうにつれて座板1の下面から離反するように下降し、前フレーム5を越えた辺りで逆に上昇に転じて、後側の支持部34の前縁へと連なる。同様に、側板31の下縁もまた、前側の支持部33の前縁から後方に向かうにつれて下降し、前フレーム5を越えたあたりで逆に上昇に転じて、後側の支持部34の後縁へと連なる。前側の支持部33の所定箇所、後側の支持部34の所定箇所にはそれぞれ、側板31を左右方向に貫通する挿通孔331、341を穿ち設けている。前側の支持部33の前縁及び後側の支持部34の後縁は、斜めに切り落としてある。
【0027】
使用状態では、支持フレーム3における両支持部間の部位が前フレーム5に載置される。当該部位には予め下方に開口した凹陥部32を形成してあり、使用状態にてその凹陥部32が前フレーム5に上方から係わり合い、支持フレーム3の後フレーム4及び前フレーム5に対するがたつきを抑制する。この凹陥部32は、側面視前フレーム5の外周面に対応した略上半円状をなす。
【0028】
また、後側の支持部34は、後フレーム4を挿通する軸受の一部を兼ねる。そのため、各側板31の後端部位34に、軸受孔の一部となる、上方に開口した切欠342を形成してある。この切欠342は、側面視後フレーム4の外周面に対応した略下半円状をなす。
【0029】
脚部は、左右に対をなす前脚7及び後脚8と、同じく左右に対をなす背フレーム9とを要素とする。
【0030】
前脚7は、左右の側フレーム6の前端から一体的に連続し、側フレーム6の前端から前下方に屈曲または湾曲して延伸したものである。前脚7の下端近傍は鉛直下方を向いており、その下端にキャスタ71を装着している。
【0031】
後脚8は、側フレーム6及び前脚7と同様、丸パイプ材を主体とする。後脚8は、側面視やや前傾姿勢をとりつつ上下に延伸している。後脚8の下端近傍もまた鉛直下方を向いており、その下端にキャスタ81を装着している。左右の後脚8の離間距離は、下方に向かうにつれて徐々に拡大している。つまり、左右の後脚8は正面視略ハの字形をなしている。左右の側フレーム6の後端はそれぞれ、溶接等により左右の後脚8の上端部に固着している。
【0032】
背フレーム9は、左右の後脚8の上端部から一体的に連続し、そのまま真っ直ぐに延伸している。背板2は、背フレーム9の上端部に取り付ける。
【0033】
図6に示しているように、座板1は、座板本体11と、その座板本体11の周縁部111の下面に突設した取付体12、13とを備えている樹脂一体成形の部材である。本実施形態では、取付体12、13を除き、座板本体11の周縁部111、中間部112ともに概ね同じ厚み寸法をなしており、連続した座面を形成している。座板本体11の少なくとも中間部112は、着座者の荷重を受けて厚み方向に撓み変形することができる。座板本体11の前端部位は、若干下方に湾曲している。
【0034】
取付体12、13は、座板本体11の下面から下方に向けて突出している。前側の取付体12は、座板本体11の前部即ち周縁部111における前縁部分の下面に設けてある。後側の取付体13は、座板本体11の後部即ち周縁部111における後縁部分の下面に設けてある。これら前側の取付体12及び後側の取付体13は、支持フレーム3を構成する側板31によって左右から挟まれる部位である。取付体12、13は、樹脂製の座板本体11に一体に成形してある。
【0035】
前側の取付体12は、左右の側面が互いに略平行に前後方向に伸張したブロック状に成形してある。前側の取付体12には、側面に開口する取付孔121を穿っている。図示例では、取付孔121が前側の取付体12を左右方向に貫通しているが、取付孔121は必ずしも貫通孔である必要はない。前側の取付体12の取付孔121は、前後方向に拡張した長孔となっている。前側の取付体12の前面は、斜めに切り落としてある。前側の取付体12の上部122、換言すれば座板1の下面に接合する境界部分の側面は、その下方にある下部123の側面よりも左右に張り出している。
【0036】
後側の取付体13は、前側の取付体12の後背に所在し、左右の側面がそれぞれ前側の取付体12の左右の側面と略面一となるように成形してある。後側の取付体13にも、側面に開口する取付孔131を穿っている。図示例では、取付孔131が後側の取付体13を左右方向に貫通しているが、取付孔131は必ずしも貫通孔である必要はない。前側の取付体12のそれとは異なり、後側の取付体13の取付孔131は前後方向に拡張してはいない。後側の取付体13の後面は、斜めに切り落としてある。後側の取付体13の上部132、換言すれば座板1の下面に接合する境界部分を含む上半部の側面は、その下方にある下部133の側面よりも左右に張り出している。
【0037】
後側の取付体13は、支持フレーム3の後側の支持部34とともに、後フレーム4を挿通する軸受を構成する。そのため、後側の取付体13に、軸受孔の一部となる、下方に開口した凹溝134を形成してある。凹溝134は、側面視後側の取付体13の下面から後フレーム4の径に略等しい一定の前後内寸を維持しながら上方に向かって没入し、その上端部で後フレーム4の外周面に対応した略上半円状をなしている。凹溝134の存在により、後側の取付体13は側面視ちょうど凱旋門の如き形容となる。
【0038】
座板1の下面側に支持フレーム3を組み付けるにあたっては、前後に並ぶ取付体12、13を支持フレーム3を構成する一対の側板31により左右から挟み、その状態で止着具35を挿通孔331、341及び取付孔121、131に側方から挿入して側板31に固定する。即ち、前側の取付体12の下部123の側面に側板31の前端部位33を当接させて止着し、なおかつ後側の取付体13の下部133の側面に側板31の後端部位34を当接させて止着する。止着具35は、例えばピン、リベット、ボルト、その他である。
【0039】
本実施形態では、一つの取付体12、13に対して一個の止着具35を使用する。側板31を取付体12、13に止着したとき、側板31の前端部位33の上端縁は、前側の取付体12の上部122の下向面に当接または極近接する。同様に、側板31の後端部位34の上端縁は、後側の取付体13の上部132の下向面に当接または極近接する。これにより、側板31が取付体12、13に対して適切に位置決めされる。
【0040】
既に述べた通り、座板1の前側の取付体12に設けている取付孔121は前後方向に拡張した長孔となっている。従って、座板1の前側の取付体12は、支持フレーム3の前側の支持部33に対し、相対的に前後にスライドすることができる。この前後スライドを通じて、座板1の中間部112の厚み方向への撓み変形を許容している。
【0041】
さらに、本実施形態では、座板1及び支持フレーム3を椅子本体の後フレーム4を中心として回動させるべく、支持フレーム3の後側の支持部34と座板1の後側の取付体13とで後フレーム4を上下(または、前後)から挟み込んでいる。より具体的には、後フレーム4を後側の取付体13の凹溝134に予め差し入れておき、しかる後に側板31の後端部位34を後側の取付体13に止着することで、凹溝134の下方を閉鎖して後フレーム4の抜出を阻止する。後側の取付体13の周面、及び側板31の後端部位34の切欠342の内周は、側面視略真円状をなす軸受孔を形作り、後フレーム4を軸受する。
【0042】
本実施形態によれば、軸心を左右方向に向けた支軸4を有する椅子本体と、この椅子本体の支軸4回りに上下回動可能な樹脂製の座板1とを有するものであって、前記椅子本体が、前記座板1の下面側に配置され後端部を前記支軸4に上下回動可能に係わり合わせた支持フレーム3を備え、前記座板1が略水平な使用状態にて当該座板1の中間部112を厚み方向に変位させる、即ち撓ませることができるよう座板1の周縁部111を前記支持フレーム3により支持している椅子を構成したため、座板1自体に可撓変形性を付与することができ、椅子としての座り心地が良化する。座板1に発泡ウレタンクッションを装着したり、あるいは座板1を中空枠体状としその内空に伸縮自在のメッシュ地を張り設けたりせずに済むことから、部材点数及び組立工数の増加を招来せず、大量生産、大量販売を旨とするこの種の椅子の製造コストの抑制に大いに寄与し得る。加えて、略全体が樹脂製の座板本体11は、クッションタイプやメッシュタイプのものと比較して強度が高く、破れたり、切れたり、擦れて損耗したりするおそれが少ない。メッシュ地は細い糸を編んだり織ったりした部材であるので、一部がほつれるとそのほつれが全体に波及し得るが、樹脂製の座板本体11であれば仮に一部が破損してもそれが全体に広がらない。本実施形態の椅子であれば、学校等での使用にも適している。
【0043】
前記椅子本体が、前記支軸4よりも前方に配置され左右方向に伸張した横架材5を備え、前記使用状態にて前記支持フレーム3における前記座板1の前部を支持する前側の支持部33と座板1の後部を支持する後側の支持部34との間の部位が前記横架材5に載置されるため、座板1及び支持フレーム3を支軸4と横架材5とによりしっかりと支えることができる。
【0044】
前記支持フレーム3における前記座板1の前部を支持する前側の支持部33と座板1の後部を支持する後側の支持部34との間の部位に凹陥部32を形成しており、前記使用状態にてその凹陥部32が前記横架材5に上方から係わり合うものとしているため、使用状態における支持フレーム3の横架材5に対するがたつきを抑制することができる。
【0045】
前記支持フレーム3における前記座板1の前部を支持する前側の支持部33と座板1の後部を支持する後側の支持部34との間の部位が座板1の下面から下方に離間しているため、着座者の体重を受けた座板1の中間部112が当該座板1と支持フレーム3との間の空隙内で厚み方向に撓み変形することが許容され、より好ましい。
【0046】
前記座板1の後部と前記支持フレーム3における座板1の後部を支持する後側の支持部34とで前記支軸4を挟み込んでいるため、簡易な手順で座板1及び支持フレーム3を椅子本体の支軸4に組み付けることができる。
【0047】
前記座板1の前部が前記支持フレーム3における座板1の前部を支持する前側の支持部33に対し相対的にスライド可能となっているため、座板1の中間部112が厚み方向に撓み変形したときに座板1と椅子本体との間で発生する構造的矛盾が吸収され、座板1の撓み変形が妨げられない。
【0048】
前記支持フレーム3を二組備えており、前記座板1の左方前部及び左方後部を一方の支持フレーム3により支持し、座板1の右方前部及び右方後部を他方の支持フレーム3により支持しているため、使用状態にて座板1を四点で支持することができ安定する。
【0049】
前記座板1の前部及び後部に、下方に向けて突出する取付体12、13を一体成形しており、前記支持フレーム3が、左右に対をなす側板31を有し、両側板31が前記取付体12、13を挟んでいるものとしており、支持フレーム3の構造及び組立工程が一層簡便化する。
【0050】
しかして、本実施形態の椅子は、前脚7及び座受部の左右方向の外法が、左右の後脚8の離間距離よりも小さく、座板1及び支持フレーム3を上方に回動させて跳ね上げた上で、一方の椅子の前脚7及び座受部を他方の椅子の後脚8の間に入れ込むネスティング時が可能となっている。
【0051】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、座板1の中間部112の下面と支持フレーム3の上縁との間に空隙を介在させていたが、座板1の中間部112と支持フレーム3との間に弾性変形可能な部材(この部材は、座板1の一部、または支持フレーム3の一部をなしていることがある)を配置し、両者の間に空隙を設けないようにしてもよい。
【0052】
上記実施形態では、座板1を完全に露出させており、座板1自体で座面を形成していたが、座板1に張り部材を被せてこれを被覆したり、座板1の上面にクッション材を装着したりすることを妨げるものではない。
【0053】
上記実施形態では、座板1の前部(前側の取付体12)を支持フレーム3の前側の支持部33に対して相対スライド可能としていたが、これとは逆に、あるいはこれとともに、座板1の後部(後側の取付体13)を支持フレーム3の後側の支持部34に対して相対スライド可能としてもよいことは言うまでもない。
【0054】
図8に示すように、座板1の前部(前側の取付体12)を支持フレーム3の前側の支持部33に対して相対的に回動可能としてもよく、及び/または、座板1の後部(後側の取付体13)を支持フレーム3の後側の支持部34に対して相対的に回動可能としてもよい。
【0055】
支持フレーム3の支軸4に対する回動の中心は、支持フレーム3の後端部位には限定されない。図8に示しているように、支持フレーム3において、座板1の後部を支持する後側の支持部34とは別の箇所に、支軸4と係わり合う軸受36を形成しても構わない。図8に示している例では、軸受36は後側の支持部34から前方に偏倚し、前側の支持部33と後側の支持部34との間の領域に所在している。
【0056】
上記実施形態では、支持フレーム3における、横架材5に載置される部位を上方に凹む凹陥部32としていたが、図8に示しているように、この部位を支持フレーム3の下縁から下方に突出する突出部37としてもよい。
【0057】
図9に示すように、座板1とこれを支持する支持フレーム3とを樹脂一体成形することも考えられる。この場合、座板1のみならず、支持フレーム3をも弾性変形可能とすることができる。座板1と支持フレーム3とで側面視ループ形状を形成すれば、そのループ全体が変形するように弾性変形し得る。着座者の荷重を受けた座板1及び支持フレーム3がともに撓むことで、座面を顕著に変形させることが可能となり、座り心地がさらに良化する。
【0058】
また、座板1に可変形性を付与する目的で、種々の工夫を加えることも好ましい。以下、本発明に係る椅子に適用することが可能な座板の例A、B、C、D、E、Fを列挙する。
【0059】
図10、図11に示す座板Aは、座板本体A1と、座板本体A1の下面に突設した取付体(図示せず)とを備えている樹脂一体成形の部材である。
【0060】
座板本体A1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)A11と、この周縁部A11の内側に位置する中間部A12とを有する。
【0061】
周縁部A11は、中間部A12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)A111と、中間部A12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)A112と、中間部A12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)A113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部A112及び後部A113を支持する。
【0062】
前記中間部A12は、周縁部A11の内側に設けられ体重がかかったときに椅子本体に対して変位する内側領域A121と、周縁部A11と内側領域A121とを接続するべく設けられそれら周縁部A11及び内側領域A121よりも厚み寸法の小さな接続領域A122とを包含する。
【0063】
即ち、座板本体A1は、内側領域A121に体重がかかったときに、少なくとも接続領域A122が変形することによって、周縁部A11に対して内側領域A121が座板Aの厚み方向に変位するように構成されている。内側領域A121は、周縁部A11の前部A112と一体に成形され、周縁部A11と略同一の厚み寸法をなす。内側領域A121の上面は、無負荷状態において周縁部A11の上面と略面一になるように設定されている。
【0064】
接続領域A122は、周縁部A11と内側領域A121との対向した端部A114、A123同士を接続するものであり、板厚方向即ち下方に突出するように湾曲している。図11(加えて、図12ないし図18)では、説明の都合上、周縁部A11及び内側領域A121に対して異なったハッチングを施しているが、接続領域A122は、周縁部A11及び内側領域A121と同一の樹脂を用いて一体に成形されている。
【0065】
接続領域A122は、平面視前方に開口する略コ字状に内側領域A121を取り囲む形状をなしている。また、接続領域A122は、各部において同一の横断面形状を有しており、接続領域A122の下面が、周縁部A11の(接続領域A122に臨む)端部A114付近における下面、内側領域A121の(接続領域A122に臨む)端部A123付近における下面のうちの何れか一方よりも下方に突出している。図11に示している例では、接続領域A122が、周縁部A11の下面及び内側領域A121の下面を越えて下方に突出した断面U字形状をなしている。
【0066】
取付体は、上記実施形態における座板1の取付体12、13と同様の構成をとる。前側の取付体(図示せず)は周縁部A11の前部A112の下面に、後側の取付体(図示せず)は周縁部A11の後部A113の下面にそれぞれ設けてある。座板A1の椅子本体に対する取り付けも、上記実施形態と同様に行うことができる。即ち、前部A112の下面、後部A113の下面に設けた各取付体を、支持フレーム3の前側の支持部33及び後側の支持部34に各々支持させる。このとき、支持フレーム3によって支持される前部A112及び後部A113を包含する周縁部A11が剛性領域となる。そして、この周縁部A11以外の部位に、周縁部A11よりも薄肉な薄肉部である接続領域A112を設けており、この接続領域A112が周縁部A11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部A12が、着座者の荷重を受けたときに座板Aの厚み方向に沿って変位することが可能となる。
【0067】
座板Aは、椅子本体に支持される周縁部A11と、この周縁部A11の内側に設けられ体重がかかったときに椅子本体に対して変位可能な内側領域A121と、周縁部A11と内側領域A121とを接続するべく設けられそれら周縁部A11及び内側領域A121よりも厚み寸法の小さな接続領域A122とを備えている。このため、座板Aの全部または主要部を樹脂による一体成形により製造することができ、枠体にメッシュ材を張り設ける場合のような高い技術力や手間を必要としない。しかも、座板Aの内側領域A121に体重がかかったときに、主に接続領域A122が弾性変形することにより、内側領域A121が周縁部A11に対して板厚方向に変位して、着座者の荷重を弾性的に受けることができるため、座り心地のよい椅子となる。
【0068】
周縁部A11に対して片持ち的に一体化されている内側領域A121は、後側を沈み込ませるように厚み方向に弾性的に変位するとともに、接続領域A122が、断面U字形から断面J字形に撓み、着座者の荷重を受ける。この接続領域A122の位置や断面形状等を適宜設定することにより、種々の特性を有した座り心地のよい座板Aを作製することができる。荷重に応じた適切な弾性を有する座板Aを容易に設計することも可能になる。
【0069】
座板本体A1に取付体を樹脂により一体に成形しているので、部品点数が少なくて済み、また、枠体にメッシュ材を張り設ける場合に比べて、組立に要する工数を大幅に削減することが可能になる。さらにこの座板本体A1は樹脂で一体成形されたものであるため、クッションタイプやメッシュタイプのものと比較して強度が高く、破れたり、切れたり、擦れて損耗したりするおそれが少ない。メッシュ地は細い糸を編んだり織ったりした部材であるので、一部がほつれるとそのほつれが全体に波及し得るが、樹脂製の座板本体A1であれば仮に一部が破損してもそれが全体に広がらない。
【0070】
中間部A12の特定箇所、特に着座者の臀部及び大腿部を受ける部分が、前述した内側領域A121と接続領域A122とを備えた構造をなしているので、座板Aの周縁部A11は支持フレーム3で確実に支持されるが、内側領域A121ではソフトな座り心地を実現することができる。
【0071】
また、周縁部A11及び内側領域A121が、略同一平面内に配置されているので、座板本体A1の厚み方向の極端な突出がなく、フラットな接触感が得られる。
【0072】
なお、座板Aについて、さらなる変形態様を考えることもできる。特に、接続領域A122の断面形状は、種々変形が可能である。着座者の荷重を受けていない無負荷状態において周縁部A11の上面と内側領域A121の上面とをほぼ面一になるように設定する例として、図12ないし図14に模式的に示すようなものが挙げられる。また、無負荷状態において周縁部A11の上面と内側領域A121の上面との間に段差が形成されるように設定する例として、図15ないし図18に模式的に示すようなものが挙げられる。
【0073】
図12に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面とをほぼ面一になるように設定している。そして、前記接続領域A122の上面が、前記周縁部A11の端部A114付近における上面及び前記内側領域A121の端部A123付近における上面よりも上方に突出する形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面逆U字形状をなしている。このようなものであれば、座板本体A1の上面にクッションを載置する場合等に、前記接続領域A122の突出する部分が位置決め部材としても機能する。
【0074】
図13に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面とをほぼ面一になるように設定している。そして、前記接続領域A122の上面が、前記周縁部A11の端部A114付近における上面及び前記内側領域A121の端部A123付近における上面よりも上方に突出するとともに、前記周縁部A11の端部A114付近における下面及び前記内側領域A121の端部A123付近における下面よりも下方に突出する形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面S字形状をなしている。このようなものであれば、座板本体A1の上面にクッションを載置する場合等に、前記接続領域A122の突出する部分が位置決め部材としても機能する。
【0075】
図14に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面とをほぼ面一になるように設定している。そして、前記接続領域A122が、前記周縁部A11及び前記内側領域A121の端部A114、A123付近における厚み内に収まる形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面曲線形状をなしている。
【0076】
図15に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面との間に段差が形成されたものである。そして、前記接続領域A122の下面が、前記周縁部A11の端部A114付近における下面及び前記内側領域A121の端部A123付近における下面よりも下方に突出する形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面J字形状をなしている。
【0077】
図16に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面との間に段差が形成されたものである。そして、前記接続領域A122の上面が、前記周縁部A11の端部A114付近における上面及び前記内側領域A121の端部A123付近における上面よりも上方に突出する形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面逆J字形状をなしている。このようなものであれば、座板本体A1の上面にクッションを載置する場合等に、前記接続領域A122の突出する部分が位置決め部材としても機能する。
【0078】
図17に示す接続領域A122は、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の下面との間に段差が形成されたものである。そして、前記接続領域A122の上面が、前記周縁部A11の端部A114付近における上面及び前記内側領域A121の端部A123付近における上面よりも上方に突出するとともに、前記周縁部A11の端部A114付近における下面及び前記内側領域A121の端部A123付近における下面よりも下方に突出する形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面S字形状をなしている。このようなものであれば、座板本体A1の上面にクッションを載置する場合等に、前記接続領域A122の突出する部分が位置決め部材としても機能する。
【0079】
図18に示す接続領域A122のものは、前記周縁部A11と内側領域A121の対向する端部A114、A123同士を接続するものであり、無負荷状態において前記周縁部A11の上面と前記内側領域A121の上面との間に段差が形成されたものである。そして、前記接続領域A122が、前記周縁部A11及び前記内側領域A121の端部A114、A123付近における厚み内に収まる形状をなしている。具体的には、この接続領域A122は、断面曲線形状をなしている。
【0080】
また、接続領域A122は、曲がっている部分(正面視略コ字状の隅角部分)等に変形助長用の孔を設けてなるものであってもよい。すなわち、屈曲部分を有した接続領域A122は、その屈曲部分において変形しにくい特性を有する場合がある。その場合には、変形しにくい部分に変形助長用の孔を設けておくのが望ましい。なお、前記孔は、一つであっても、複数であってもよい。孔は、円形のものであっても、スリット状のものであってもよい。スリット状の孔を複数設ける場合には、部分円弧状または部分放射線状に並設することが考えられる。
【0081】
ここまで、接続領域A122が各横断面位置において同一の場合について説明したが、横断面形状が他の部位と異なる部位を備えているものであってもよい。このようにすれば、接続領域A122の変形特性をより多様化することができる。異なる部位を備える際の具体的な一例としては、連続的に漸次異ならせるものや、段階的に漸次異ならせるものや、一部分のみを他の部分と異ならせるもの等が考えられる。
【0082】
平面視において前方に開口する略コ字状に前記内側領域A121を取り囲む形状をなしている接続領域A122において、良好な座り心地を実現するには、例えば、前記コ字状の開口部分よりも当該コ字状の中間部分の突出量が相対的に大きくなるように設定しておくのが好ましい。この場合の突出量の設定は、連続的に漸次異ならせるものや、段階的に漸次異ならせるもの、また、座板Aの後端部のみ他の部分と異ならせるものであってもよい。
【0083】
接続領域A122の平面視形状もコ字形に限られず、ロ字形や、直線や曲線を連続させずに一定の場所に配置したもの等であってもよい。
【0084】
座板Aが、座板本体A1の上面を張り地で覆ったものや、さらに、その張り地と座板本体A1との間にクッションを介在させたものであってもよい。
【0085】
図19ないし図21に示す座板Bは、樹脂により一体成形され下面(裏面)に弾性変形を助長するための第一の溝B121及び第二の溝B122を備えた座板本体B1と、座板本体1の下面に突設した取付体(図示せず)と、前記座板本体B1の下面に前記第一の溝B121及び第二の溝B122を覆うようにして設けられた張り材B2とを備えたものである。座板本体B1と取付体とは、座板1と同様に、樹脂により一体に成形される。
【0086】
座板本体B1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)B11と、この周縁部B11の内側に位置する中間部B12とを有する。
【0087】
周縁部B11は、中間部B12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)B111と、中間部B12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)B112と、中間部B12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)B113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部B112及び後部B113を支持する。
【0088】
第一の溝B121は、中間部B12における側部B111に隣接する部位、つまり側部B111との境界をなす部位に形成してある。並びに、第二の溝B122は、中間部B12の前後方向の中間部位、つまり中間部B12を前後に分断する部位に形成してある。
【0089】
前記第一の溝B121は、前後方向中央に向かうにつれ側部B111から離間する平面視略「く」の字状をなす有底溝である。その幅寸法は、前後方向中央に向かうにつれ漸次大きくなる。
【0090】
前記第二の溝B122は、中央部が後方に膨出した平面視部分円弧状をなす有底溝である。その幅寸法は、長手方向全域にわたって一定である。
【0091】
第一の溝B121、第二の溝B122ともに、下方に開口し、座板本体B12における当該部位を薄肉化するものである。一方で、これら溝B121、B122の存在にもかかわらず、座板本体B12の上面(表面)は平滑であり、明確な凸凹段差は存在しない。
【0092】
この座板本体B1の下面の周縁部B11と中間部B12との境界には、第一の溝B121及び第二の溝B122を覆うように張り材B2を取り付けるための取付部たる張り材取付突起B123を形成している。この張り材取付突起B123は、略円筒状で、突出端(下端)に向かって径が漸次大きくなる形状を有する。張り材取付突起B123は、前記周縁部B11と中間部B12との境界の四辺にそれぞれ所定の間隔で互いに離間させて複数個設けてある。四隅部に位置する張り材取付突起B123は、他の張り材取付突起B123よりも大径にしている。
【0093】
張り材B2は、略矩形状をなす例えば合成樹脂製または布製の部材であり、厚み方向には可撓性があり面方向には伸長しにくい性質の材料により形成されている。この張り材B2の周縁には、座板本体B1に取り付けるための取付部、具体的には座板本体B1の張り材取付突起B123に係り合わせることが可能な取付孔B21を設けている。この取付孔B21の径は、対応する張り材取付突起B123の突出端の径よりは小さく、該張り材取付突起B123の基端の径と等しいかそれよりもやや大きい。
【0094】
張り材B2は、座板本体B1の各張り材取付突起B123に各取付孔B21をそれぞれ弾性的に係わり合わせることにより、座板本体B1の溝B121、B122の設けられていない縁部間(前部B112と後部B113との間、または左右の側部B111間)に張り設けられた状態で座板本体B1に取り付けられる。
【0095】
この張り材B2は、座板本体B1の溝B121、B122を含む中間部B12を下面側からバックアップする。張り材B2は、座板本体B1の弾性変形に伴い、側部B111間が引っ張られるのでその張力が増大する。そして、着座者の荷重を、座板本体B1と張り材B2とによって分担して受ける。
【0096】
取付体は、上記実施形態における座板1の取付体12、13と同様の構成をとる。前側の取付体(図示せず)は周縁部B11の前部B112の下面に、後側の取付体(図示せず)は周縁部B11の後部B113の下面にそれぞれ設けてある。座板B1の椅子本体に対する取り付けも、上記実施形態と同様に行うことができる。即ち、前部B112の下面、後部B113の下面に設けた各取付体を、支持フレーム3の前側の支持部33及び後側の支持部34に各々支持させる。このとき、支持フレーム3によって支持される前部B112及び後部B113を包含する周縁部B11が剛性領域となる。そして、この周縁部B11以外の部位に、周縁部B11よりも薄肉な溝(または、有底穴)B121、B122を設けており、この溝B121、B122が周縁部B11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部B12が、着座者の荷重を受けたときに座板Bの厚み方向に沿って変位することが可能となる
座板Bは、その座板本体B1に弾性変形を助長するための溝B121、B122を設けているので、この座板本体B1が、厚み方向に撓みながら着座者の荷重を主として受けるとともに、張り材B2により座板本体B1がバックアップされる。このことにより、座板B全体として適度な弾性を得ることができ、座板本体B1が着座者の荷重に応じて撓み変形し、座り心地のよいものとなる一方で、座板又は背板全体としての強度を確保することができる。従って、従来のような枠材に全荷重を受けるためのメッシュを張り設けたものに比べて、製造に高い技術力や手間を必要とせずに、座り心地のよい椅子を実現できる。
【0097】
また、前記中間部B12の前記側部B111との境界をなす部位に第一の溝B121を設けているので、着座者からの荷重を受けて座板本体B1が弾性変形しやすい。
【0098】
さらに、前記座板本体B1が、前記中間部B12を前後に分断する第二の溝を備えているので、座板本体B1の中央部が特に変形しやすく、従ってさらなる座り心地の向上を図ることができる。
【0099】
加えて、前記第一の溝B121の幅寸法が部位によって異なる、すなわち長手方向中央に向かって幅寸法が漸次大きくなるので、この点からも座板本体B1の前後方向中央部がより弾性変形しやすく、座り心地の更なる向上を図ることができる。
【0100】
そして、前記座板Bが、着座者からの荷重を、弾性変形する前記座板本体B1と、この座板本体B1の弾性変形に伴って張力が変更される張り材B2とによって分担して受けるようにしているので、このような椅子の座り心地の更なる向上、及び座板B全体としての強度の確保を図ることができる。
【0101】
加えて、突出端に向かって漸次大径となる張り材取付突起B123に、この張り材取付突起B123の突出端の径よりは小さく基端の径とは等しいかそれよりもやや大きい張り材B2の取付孔B21を弾性的に係わり合わせるようにすることにより張り材B2を座板本体B1にしているので、この張り材B2の座板本体B1への取り付けを容易に行うことができる。
【0102】
溝B121の幅寸法は、漸次変化させる替わりに段階的に変化させてもよい。あるいは、溝B121の幅寸法は長手方向全域にわたって一定とし、上下深さを長手方向中央に向かって漸次または段階的に大きくするようにしてもよい。
【0103】
なお、座板Bについて、さらなる変形態様を考えることもできる。特に、溝の底面視形状は、種々変形が可能である。
【0104】
図22に示すものでは、座板本体B1の下面に、弾性変形を助長するための複数本の縦の溝B124及び複数本の横の溝B125を形成するとともに、この座板本体B1の下面に、縦の溝B124及び横の溝B125を覆うようにして張り材B2を設けるようにしている。縦の溝B124同士、及び横の溝B125同士はそれぞれ一定の間隔をあけて平行に配されており、これら縦の溝B124及び横の溝B125は格子状をなしている。
【0105】
縦の溝B124、横の溝B125もまた、下方に開口し、座板本体B12における当該部位を薄肉化するものである。一方で、これら溝B124、B125の存在にもかかわらず、座板本体B12の上面は平滑であり、明確な凸凹段差は存在しない。
【0106】
座板本体B1の中間部B12の概略全域に格子状に縦の溝B124及び横の溝B125を設けることで、着座時に座板本体B1が全体的に厚み方向に撓むことができる。これにより、さらなる座り心地の向上を図ることができる。
【0107】
張り材B2の座板本体B1へ張り設けるための構造は、上述した突起B123と取付孔B21との係合には限定されない。例えば、図23に示しているように、張り材B2を脱落しないよう下方から支持して保定するための張り材固定部材B3、B4を用いることとし、この張り材固定部材B3、B4に穿ち設けた透孔B31、B41を張り材取付突起B123に係り合わるようにしてもよい。さらに、張り材固定部材B3、B4を、ねじ等の止着具により座板本体B1に固着せしめてもよい。
【0108】
張り材B12の周縁部に玉縁を形成し、その玉縁を座板本体B1とこの座板本体B1を支持する支持フレーム3との間に挟み込むようにして、張り材B12を座板本体B1の下面に張り設けてもよい。
【0109】
あるいは、前記張り材B12の周縁部に係止部材を設け、座板Bに設けた係止溝等の係止部にこの係止部材を係り合わせるようにしてもよい。
【0110】
さらに、座板本体B1と張り材との間に、弾力性や保温性等を付加させるべく、ウレタン等の機能性シートを介在させてもよい。
【0111】
図24ないし図28に示す座板Cは、座板本体C1と、座板本体C1の下面に突設した取付体(図示せず)とを備えている樹脂一体成形の部材である。
【0112】
座板本体C1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)C11と、この周縁部C11の内側に位置する中間部C12とを有する。
【0113】
周縁部C11は、中間部C12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)C111と、中間部C12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)C112と、中間部C12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)C113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部C112及び後部C113を支持する。
【0114】
そして、中間部C12の特定箇所、図示例では中間部C12の全域に、ビームC121及び接続部材C122を設けている。この中間部C12は、座板本体C1の厚み方向に撓み可能な複数本のビームC121を隣接させて平行に配するとともに、これらビームC121同士を接続部材C122により間欠的に接続した構造をなす。
【0115】
前記各ビームC121は、下面(裏面)側に開放された溝を有し、かつ、座板本体C1に厚み方向に荷重がかかった際にこの溝が拡開する方向に変形し得る断面形状をなしている。ここで、拡開する方向とは、各ビームC121の開口端(即ち、下端)側の幅寸法が、開口端と反対(即ち、上端)側の幅寸法よりも大きくなる方向を示す。
【0116】
しかして、前記ビームC121が下方に撓む際には、隣接するビームC121の後述する側壁C1212同士が接続部材C122により接続されており、隣接するビームC121同士の離間距離(ビームC121間の隙間の大きさ)は変化しがたいために、個々のビームC121が溝を拡開するようにして(一個のビームC121の両側の側壁C1211が互いに離間するように)弾性変形することになる。そのため、ビームC121にかかる荷重がなくなった場合には、複数のビームC121が元の形態に戻ろうとする際の弾性復帰力を利用して、座板本体C1が元の平面状態に復帰することになる。
【0117】
前記各ビームC121は、周縁部C11の前部C112と後部C113との間に架設されたものであり、その全長に亘って前記溝がとぎれることなく連続して形成されている。また、この図示例においては、全てのビームC121が、同一の形状寸法を有している。具体的には、前記各ビームC121は、頂壁C1211と、この頂壁C1211の両側縁から座板本体C1の下面側に延出させた対をなす側壁C1212とを一体に備えた横断面コ字形をなす。そして、隣接するビームC121の側壁C1212外面同士を前記接続部材C122により一定のピッチで間欠的に接続している。
【0118】
接続部材C122は、この図示例では、下面側に開放された溝を有し、頂壁C1221と、この頂壁C1221の両側縁から座板本体C1の下面側に延出させた対をなす側壁C1222とを一体に備えた横断面コ字形をなすもので、前記ビームC121と樹脂により一体に成形されている。この接続部材C122の頂壁C1211の上面(表面)と、前記ビームC121の頂壁C1211の上面と、前記周縁部C11の上面とは、面一に連続し、座面を形成している。
【0119】
取付体は、上記実施形態における座板1の取付体12、13と同様の構成をとる。前側の取付体(図示せず)は周縁部C11の前部C112の下面に、後側の取付体(図示せず)は周縁部C11の後部C113の下面にそれぞれ設けてある。座板C1の椅子本体に対する取り付けも、上記実施形態と同様に行うことができる。即ち、前部C112の下面、後部C113の下面に設けた各取付体を、支持フレーム3の前側の支持部33及び後側の支持部34に各々支持させる。このとき、支持フレーム3によって支持される前部C112及び後部C113を包含する周縁部C11が剛性領域となる。そして、この周縁部C11以外の部位に、下方に開口する溝を有するビームC121、さらには各ビームC121間に上下に連通したスリット(隙間)を設けており、このビームC121が周縁部C11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部C12が、着座者の荷重を受けたときに座板Cの厚み方向に沿って変位することが可能となる。
【0120】
座板Cは、厚み方向に撓み可能な複数本のビームC121を隣接させて配するとともに、隣り合うビームC121同士を接続部材C122により間欠的に接続した構造をなす座板本体C1を備えたものである。そのため、前記座板Cの全部または主要部を樹脂による一体成形により製造することができ、枠材にメッシュを張り設ける場合のような高い技術力や手間を必要としない。しかも、複数のビームC121を前記周縁部C11の前部C112及び後部C113間に架設するとともに、それらビームC121同士を接続部材C122により間欠的に接続しているので、荷重に耐えられるだけの強度を十分に確保することができる。それだけでなく前記各ビームC121が、下面側に開放された溝を有し、かつ、座板本体C1に厚み方向に荷重がかかった際にこの溝が拡開する方向に変形し得る断面形状をなしているので、適切な柔軟性をも確保することができ、座り心地のよい椅子1となる。換言すれば、ビームC121及び接続部材C122を有する特定箇所が、荷重に耐えるだけの強度を備えつつ、荷重がかかったときには溝が拡開する方向にビームC121が変形するために柔軟性をも兼ね備えることとなる。その上、前記ビームC121及び接続部材C122は、それぞれ溝を有した形状をなしているため、強度を低下させることなしに軽量化を図ることが可能になる。
なお、その強度や柔軟性は、前記ビームC121の側壁C1212の高さや、接続部材C122の配設ピッチなどを適宜要求される値に設定することで、種々の特性を有した座り心地のよい座板Cを作ることができる。したがって、荷重に応じた適切な弾性を有する座板Cを容易に設計することが可能になる。
【0121】
特に、前記周縁部C11及び中間部C12を有した座板本体C1と、取付体とを樹脂により一体に成形しているので、部品点数が少なくて済み、また、枠材にメッシュを張り設ける場合に比べて、組立に要する工数を大幅に削減することが可能になる。さらにこの座板本体C1は樹脂で一体成形されたものであるため、クッションタイプやメッシュタイプのものと比較して強度が高く、破れたり、切れたり、擦れて損耗したりするおそれが少ない。メッシュ地は細い糸を編んだり織ったりした部材であるので、一部がほつれるとそのほつれが全体に波及し得るが、樹脂製の座板本体C1であれば仮に一部が破損してもそれが全体に広がらない。
【0122】
前記中間部C12の特定箇所、着座者の臀部及び大腿部を受ける部分が、前記ビームC121及び接続部材C122を備えた構造をなしているので、座板Cの周縁部C11は支持フレーム3でしっかり支持されるが、内側領域はソフトな座り心地を得ることができる。
【0123】
また、前記ビームC121、接続領域C122及び周縁部C11の上面が、面一に連続させてあるので、座板本体C1に厚み方向の極端な突出がなく、フラットな座り心地が得られる。
【0124】
なお、座板Cについて、さらなる変形態様を考えることもできる。特に、前記中間部C12の一部の領域のビームC121の変形特性を、他の領域のビームC121の変形特性と異ならせるようにしてもよい。具体的には、図29及び図30に示すように、中間部C12の臀部を受ける左右対をなす二つの領域の柔軟性を他の領域の柔軟性よりも高めることができる。即ち、柔軟性をより高めたい領域に位置するビームC121の厚み方向寸法(座板本体C1の上面から側壁C1212の下端までの寸法)L1を、その他の領域に位置するビームC121の厚み方向寸法L2よりも小さく設定している。つまり、部分的にビームC121の剛性を下げることで柔軟性の高い箇所を形成している。これにより、体重のかかり具合に合わせて着座者の臀部を受ける部分が最も変形しやすくなる。そのため、臀部全体を均等に支持することが可能となり、座り心地を一層良化することができる。
【0125】
また、図示例では、中間部C12の全域にビームC121及び接続部材C122を配置していたが、中間部C12の一部にビームC121及び接続部材C122を配する特定箇所を設けるものであってもよい。この場合、前記特定箇所は、複数設定してもよい。
【0126】
さらに、中間部C12全域にビームC121及び接続部材C122を配し、その中間部C12の一部の領域のビームC121の変形特性を、他の領域のビームC121の変形特性と異ならせた場合について説明したが、前述したように特定箇所を複数設定している場合には、一の特定箇所と他の特定箇所との間で変形特性を変えるようにしてもよい。その一例としては、一の特定箇所のビームの配列方向と他の特定箇所のビームの配列方向とを異ならせることが考えられる。また、他の例としては、一の特定箇所のビームや接続部材の形状や寸法と他の特定箇所のビームや接続部材の形状や寸法とを異ならせることも考えられる。
【0127】
ビームの形状は、以上に説明したものに限られないのはもちろんであり、趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。図示例におけるビームC121は、座面に直交する方向からの視線において直線状をなすものであったが、曲線的に湾曲したものであってもよい。曲線的に湾曲したものの中には、例えば、扇状あるいは波状に湾曲し周縁部間に架設される形状のものだけでなく、環状のものも含まれる。環状のものの例としては、大きさの異なる円環状あるいは楕円環状のものが挙げられる。その場合には、それらのビームを同心円状に配列させて、接続部材により適宜箇所を間欠的に接続すればよい。ビームの断面形状も、図示例には限られず、例えば、頂壁と、この頂壁の両側縁から座板本体の下面側に一定の角度をもって延出させた対をなす側壁とを一体に備えた横断面台形状のものや、下方に開口する横断面C字形をなす壁を備えたもの、あるいは、下方に開口する横断面V字形をなす壁を備えたもの等を挙げることができる。
【0128】
また、接続部材も前述した態様のものに限られず、例えば、溝を有しないものであってもよい。
【0129】
ビーム、接続部材、周縁部の上面は、面一に連続するものに限られないのはもちろんであり、例えば、接続部材をビームの表面よりも裏側に退避させる等種々変形が可能である。
【0130】
座板Cは、座板本体C1の上面を張り地で覆い設けたものや、さらに、その張り地と座板本体C1との間にクッションを介在させたものであってもよい。
【0131】
図31ないし図33に示す座板Dは、座板本体D1と、弾性変形可能なばねとして機能する支持部D4とを備えている樹脂成形部材である。
【0132】
座板本体D1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)D11と、この周縁部D11の内側に位置する中間部D12とを有する。
【0133】
周縁部D11は、中間部D12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)D111と、中間部D12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)D112と、中間部D12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)D113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部D112及び後部D113を支持する。
【0134】
支持部D4は、周縁部D11の後部D113において左右二箇所に設けられ、表面側に開口し裏面側に突出する略U字形状をなすものであり、その突出した部分D41を椅子本体の後フレーム4に係わり合わせるようにしている。
【0135】
座板Dの前側の取付体D2は、周縁部A11の前部A112の下面に一体成形したものである。前側の取付体D2は、支持フレーム3の前側の支持部33に対し、若干の動作範囲で回動可能であるように取り付ける。
【0136】
座板Dの後側の取付体D3は、座板本体D1及び支持部D4とは別体の部材である。後側の取付体D3には、支持部D4を保持するための固定部D31を設けており、後側の取付体D3はこの固定部D31を介して支持部D4に組み付いている。尤も、後側の取付体D3を支持部D4に一体成形していても構わない。後側の取付体33は、支持フレーム3の後側の支持部34に脱離不能に取り付ける。後側の取付体D3は、上記実施形態における座板1の後側の取付体13と同様、支持フレーム3の後側の支持部34とともに後フレーム4を挿通する軸受を形成する。
【0137】
座板Dの中間部D12の下面と、支持フレーム3の中間部の上縁との間には空隙が介在しており、この空隙により中間部D12の厚み方向に沿った変位及び/または弾性変形が許容される。
【0138】
図31ないし図33に示している椅子では、座板Dの後部D113と、着座者の臀部が載置される部位との間を、弾性変形可能な樹脂ばねである支持部D4を以て接続している。座板Dが着座者の荷重を受けたとき、略U時形状をなす支持部D4(の突出部分D41)が適宜撓むように弾性変形を起こし、座板Dの中間部D12が座板Dの厚み方向に沿って変位する。
【0139】
また、後側の取付部D3は、突出部分D41の伸長方向(左右方向)の中央部を保持する固定部D31を備えていることから、弾性変形の前後を通じて支持部D4が後側の取付部D3に対し確実に位置決めされる。
【0140】
なお、座板Dについて、さらなる変形態様を考えることもできる。樹脂ばねとなる支持部D4の具体的な形状は、概略U字形状に限られないのはもちろんであり、例えば、厚み方向に波打たせた形状やC字状に突出する形状等、種々に変形が可能である。
【0141】
座板Dが、座板本体D1の上面を張り地で覆ったものや、さらに、その張り地と座板本体D1との間にクッションを介在させたものであってもよい。
【0142】
図34、図35に示す座板Eは、座板本体E1と、座板本体E1の下面に突設した取付体(図示せず)とを備えている樹脂一体成形の部材である。
【0143】
座板本体E1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)E11と、この周縁部E11の内側に位置する中間部E12とを有する。
【0144】
周縁部E11は、中間部E12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)E111と、中間部E12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)E112と、中間部E12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)E113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部E112及び後部E113を支持する。
【0145】
そして、中間部E12の特定箇所、図示例では中間部E12の全域に、前記帯状部材E121及び接続片E122を設けている。この中間部E12は、厚み方向に撓み可能な複数本の帯状部材E121を隣接させて配するとともに、隣り合う帯状部材E121同士を、当該帯状部材E121よりも幅の狭い接続片E122により、直線で接続するよりも長い経路をもってそれぞれ弾性変形可能に接続した構造をなす。
【0146】
前記各帯状部材E121は、対向する前記周縁部E11の二箇所をつなぐように配置されたものであり、前記周縁部E11の二箇所を直線よりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る平面視歪曲した形状をなしている。図示例では、各帯状部材E121は、周縁部E11の左右の側部E111を、同じ前後位置同士で接続している。
【0147】
前記各帯状部材E121は、直線経路に対する余剰長さを相互に異ならせたものであり、特定の帯状部材E121の余剰長さが、他の帯状部材E121の余剰長さと異なるように設定されている。詳述すれば、前記中間部E12の中央付近の帯状部材E121の余剰長さは、前記中間部E12の前側及び後側の帯状部材E121の余剰長さよりも長くなるようにしている。換言すれば、着座者の臀部を受ける部分の帯状部材E121の余剰長さが最も長く設定されており、その帯状部材E121から周縁部E11の前部E112及び後部E113に向かって漸次帯状部材E121の余剰長さが短くなるように設定されている。
【0148】
前記各接続片E122は、隣接する帯状部材E121の二箇所をつなぐように配置されたものであり、前記帯状部材E121の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る平面視歪曲した形状をなしている。図示例では、各接続片E122は、一の帯状部材E121の前縁と、その一の帯状部材E121の前方に隣接配置される他の帯状部材E121の後縁とを、同じ左右位置同士で接続している。
【0149】
前記各接続片E122は、直線経路に対する余剰長さを相互に異ならせたものであり、特定の接続片E122の余剰長さが、他の接続片E122の余剰長さと異なるように設定されている。詳述すれば、前記中間部E12の中央付近の接続片E122の余剰長さは、前記中間部E12の左右両側の接続片E122の余剰長さよりも長くなるようにしている。換言すれば、着座者の臀部を受ける部分の接続片E122の余剰長さが最も長く設定されており、その接続片E122から周縁部E11の左右の側部E111に向かって漸次帯状部材E121の余剰長さが短くなるように設定されている。そして、これらの帯状部材E121及び接続片E122が、ほぼ同一面内に配置されており、各帯状部材E121及び各接続片E122は、それぞれ波状をなしている。
【0150】
取付体は、上記実施形態における座板1の取付体12、13と同様の構成をとる。前側の取付体(図示せず)は周縁部E11の前部E112の下面に、後側の取付体(図示せず)は周縁部E11の後部E113の下面にそれぞれ設けてある。座板E1の椅子本体に対する取り付けも、上記実施形態と同様に行うことができる。即ち、前部E112の下面、後部E113の下面に設けた各取付体を、支持フレーム3の前側の支持部33及び後側の支持部34に各々支持させる。このとき、支持フレーム3によって支持される前部E112及び後部E113を包含する周縁部E11が剛性領域となる。そして、この周縁部E11以外の部位に、弾性変形可能な帯状部材E121及び接続片E122、さらには各帯状部材E121間及び各接続片E122間に上下に連通したスリット(貫通孔)を設けており、この帯状部材E112及び接続片E122が周縁部E11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部E12が、着座者の荷重を受けたときに座板Eの厚み方向に沿って変位することが可能となる。
【0151】
座板Eは、厚み方向に撓み可能な複数本の帯状部材E121を隣接させて配するとともに、隣り合う帯状部材E121同士を当該帯状部材E121よりも幅の狭い接続片E122により直線で接続するよりも長い経路をもってそれぞれ弾性変形可能に接続した構造をなす座板本体E1を備えたものである。そのため、前記座板Eの全部または主要部を樹脂による一体成形により製造することができ、枠材にメッシュを張り設ける場合のような高い技術力や手間を必要としない。しかも、接続片E122が直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続しているので、接続片E122自体の素材の伸縮だけではなく、前記接続片E122が変形部を形成することになり、この接続片E122が接続されている帯状部材E121が変形しやすくなり、座板本体E1により着座者の荷重を弾性的に受けることができるため、座り心地のよい椅子1となる。特に、帯状部材E121及び接続片E122の余剰長さを荷重分布に応じて設定しておけば、座板全体の強度を保ちつつ、荷重を直接受ける部分は撓み易くすることができる。
【0152】
前記各帯状部材E121が、厚み方向に撓みながら着座者の荷重を主として受けるとともに、これら各帯状部材E121よりも幅の狭い各接続片E122が、厚み方向に撓みながら着座者の荷重を補助的に受けつつ、前記各帯状部材E121の動きを制御しているので、帯状部材E121の本数や余剰長さ、或いは接続片E122の形成箇所や余剰長さ等を適宜設定することにより、種々の特性を有した座り心地のよい座板を作ることができる。したがって、荷重に応じた適切な弾性を有する座板Eを容易に設計することが可能になる。
【0153】
前記周縁部E11と中間部E12とを有した座板本体E1と、取付体とを樹脂により一体に成形しているので、部品点数が少なくて済み、また、枠材にメッシュを張り設ける場合に比べて、組立に要する工数を大幅に削減することが可能になる。さらにこの座板本体E1は樹脂で一体成形されたものであるため、クッションタイプやメッシュタイプのものと比較して強度が高く、破れたり、切れたり、擦れて損耗したりするおそれが少ない。メッシュ地は細い糸を編んだり織ったりした部材であるので、一部がほつれるとそのほつれが全体に波及し得るが、樹脂製の座板本体E1であれば仮に一部が破損してもそれが全体に広がらない。
【0154】
前記中間部E12の特定箇所、着座者の臀部及び大腿部を受ける部分が、前記帯状部材E121及び接続片E122を備えた構造をなしているので、座板Eの周辺領域はフレームでしっかり支持されるが、内側領域はソフトな座り心地を得ることができる。
【0155】
また、前記中間部E12が、波状をなす帯状部材E121及び接続片E122を複数備えているので、これらが厚み方向に撓み、座り心地がよい。さらに、前記帯状部材E121及び接続片E122が、ほぼ同一平面内に配置されているので、中間部E12に厚み方向の極端な突出がなく、フラットな座り心地が得られる。
【0156】
さらに、各帯状部材E121が、対向する前記周縁部E11、換言すれば左右の側部E111の二箇所をつなぐように配置されたものであり、前記周縁部E11の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る形状をなしているので、帯状部材E121の素材の伸縮だけではなく、前記帯状部材E121が曲げ方向に変形する許容範囲が大きくなり、座板Eが柔軟性に富んだものとなる。そして、前記各帯状部材E121は左右の側部E111をつないでいるので、各帯状部材E121によってしっかりと荷重を受けることができる。
【0157】
前記各帯状部材E121及び各接続片E122がそれぞれ、直線に対する余剰長さを相互に異ならせたものであるため、座板Eの柔軟性を各部において適切に異ならせることが可能になる。具体的には、着座者の臀部を受ける部分を、他の帯状部材E121や接続片E122の余剰長さよりも長く設定しているので、着座者の臀部を受ける部分を他の部分に比べて大きく撓ませることができる。したがって、部分によって変形許容量を異ならせることができ、心地よい座り心地を与えることができる。
【0158】
なお、座板Eについて、さらなる変形態様を考えることもできる。例えば、図36に示す座板Eにおける各帯状部材E121は、それぞれ環状をなすものであり、複数の帯状部材E121が同心円状に配列されている。各帯状部材E121は、後部が半円弧状をなしているとともに前方に向かって漸次幅を狭くした涙形状をなしている。
【0159】
また、各接続片E122は、隣接する帯状部材E121の二箇所をつなぐように配置されたものであり、前記帯状部材E121の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る形状をなしている。具体的には、各接続片E122は、それぞれ波状をなしており、一の帯状部材E121の内縁と、その一の帯状部材E121の内方に隣接配置される他の帯状部材E121の外縁とを、最短距離よりも長い経路で結ぶ位置で接続している。このような接続片E122同士が、略一定の隙間を以て、隣接する帯状部材E121の間を埋めるように配置されている。
【0160】
以上に加え、図36に示している座板Eの中間部E12には、前記帯状部材E121及び接続片E122とは別に、前記右の特定箇所における帯状部材E121のうち最も内側に位置する部分と、左の特定箇所における帯状部材E121のうち最も内側に位置する部分を弾性変形可能に接続し得るほぼ直線形状をなす補助部材E123を設けている。そして、これらの帯状部材E121、接続片E122及び補助部材E123が、ほぼ同一面内に配置されている。
【0161】
図36にしめす構造の座板Eによれば、座板Eの前後左右方向において、着座者の臀部から大腿部に及ぶ体重分布に対応した撓み特性を得ることができる。特に、中間部E12の二箇所に前述したような構成を有しているので、体重のかかり具合に合わせて着座者の臀部を受ける部分が最も変形しやすくなる。そのため、臀部全体を均等に支持することが可能となり、座り心地を一層良化することができる。また、図35に示した座板Eの中間部E12では、比較的大きな隙間が存在するため着座者に違和感を与えるおそれがあるが、図36に示した座板のように、中間部E12における隙間を埋めるように帯状部材E121、接続片E122及び補助部材E123を密に配するようにすれば、違和感を与えるおそれがなくなる。
【0162】
帯状部材E121及び接続片E122は、同一平面上に配置されるものに限られないのはもちろんであり、例えば、接続片E122を厚み方向に波打たせる等種々変形が可能である。
【0163】
また、帯状部材E121の断面形状は、例えば円形状または楕円形状等、角縁部をなくしたものとしてもよい。このようなものであれば、着座によって帯状部材E121が下方に撓むのと同時に前後方向に捩れても、着座者に角縁部が当たることがなく、座り心地はさらに向上する。接続片E122の断面形状も同様に、角縁部をなくしたものとすることができる。
【0164】
各帯状部材E121の余剰長さは、漸次変化するように設定されているものであってもよい。例えば、中間部E12の各帯状部材E121が、座板Eの前側から後側に向かって漸次その長さを変化させるものや、座板Eの中央から左右に向かって漸次その長さを変化させるものなどが考えられる。
【0165】
座板Eが、座板本体E1の上面を張り地で覆ったものや、さらに、その張り地と座板本体E1との間にクッションを介在させたものであってもよい。
【0166】
以上説明した例では、中間部E12の全域が、前記帯状部材E121及び接続片E122を備えた構造をなしていたが、中間部E12の一部の領域にのみ前記帯状部材E121及び接続片E122を備えているものとしてもよい。その一例として、中間部E12の複数箇所の領域に分散させて前記帯状部材E121及び接続片E122を備えているものが考えられる。
【0167】
図37、図38に示す座板Fは、座板本体F1と、座板本体F1の下面に突設した取付体(図示せず)とを備えている樹脂一体成形の部材である。
【0168】
座板本体F1は、周縁部(換言すれば、周縁領域)F11と、この周縁部F11の内側に位置する中間部F12とを有する。
【0169】
周縁部F11は、中間部F12の左右両側に位置する側部(換言すれば、側縁部分)F111と、中間部F12の前側に位置する前部(換言すれば、前縁部分)F112と、中間部F12の後側に位置する後部(換言すれば、後縁部分)F113とを包含する。椅子本体の支持フレーム3は、前部F112及び後部F113を支持する。
【0170】
そして、前記中間部F12の特定箇所、図示例では中間部F12の全域に、前記帯状部材F121を設けている。この中間部F12は、厚み方向の上下両面側に突出する形状をなす複数本の帯状部材F121を略隙間なく敷き詰めるとともに、隣り合う帯状部材F121同士を複数箇所においてそれぞれ接続した構造をなす。
【0171】
前記各帯状部材F121は、対向する前記周縁部F11の二箇所をつなぐように配置され、前記周縁部F11の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る歪曲した形状をなしている。図示例では、各帯状部材F121が、周縁部F11の左右の側部F11を、同じ前後位置同士で接続している。
【0172】
各帯状部材F121は、板厚方向に一定の周期で反復的に突没する波状をなす。隣り合う帯状部材F121同士は、連続する波状の突没の位相が180°ずれている。そして、隣り合う帯状部材F121の側縁同士が最も接近する間欠位置F122において、帯状部材F121同士を接続している。具体的には、前記各帯状部材F121は、前記座板本体F1に対して直交する方向からの視線(換言すれば、平面視)において、隣接する帯状部材F121と相互に重ならないように密接配置されており、隣り合う帯状部材F121の側縁同士が接続箇所F122において一体化されている。つまり、前記各帯状部材F121は、前記周縁部F11と略同一面をなす厚み方向位置において相互に接続されている。
【0173】
そして、接続されていない部分において、隣り合う帯状部材F121間に座板本体F1の表側と裏側とを連通させる開口F123が形成されている。開口F123は、前記帯状部材F121の突没の位相のずれに基づいて間欠的に形成されるものである。これら各帯状部材F121は、前記座板本体F1に対して直交する方向からの視線においては直線的な形状をなし、平行に配列されている。
【0174】
取付体は、上記実施形態における座板1の取付体12、13と同様の構成をとる。前側の取付体(図示せず)は周縁部F11の前部F112の下面に、後側の取付体(図示せず)は周縁部F11の後部F113の下面にそれぞれ設けてある。座板F1の椅子本体に対する取り付けも、上記実施形態と同様に行うことができる。即ち、前部F112の下面、後部F113の下面に設けた各取付体を、支持フレーム3の前側の支持部33及び後側の支持部34に各々支持させる。このとき、支持フレーム3によって支持される前部F112及び後部F113を包含する周縁部F11が剛性領域となる。そして、この周縁部F11以外の部位に、弾性変形可能な帯状部材F121を敷き詰めて設けており、この帯状部材F112が周縁部F11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部F12が、着座者の荷重を受けたときに座板Fの厚み方向に沿って変位することが可能となる。
【0175】
座板Fが、厚み方向に撓み可能な複数本の帯状部材F121を隣接させて配するとともに、隣り合う帯状部材F121同士を間欠的に接続したものである。そのため、前記座板Fの全部または主要部を樹脂による一体成形により製造することができ、枠材にメッシュを張り設ける場合のような高い技術力や手間を必要としない。
【0176】
前記各帯状部材F121が、厚み方向に撓みながら着座者の荷重を主として受けるとともに、これら各帯状部材F121の複数箇所を接続しているので、前記各帯状部材F121の動きを制御しつつ、適切に帯状部材F121を撓ませることができる。また、帯状部材F121の本数や余剰長さ、或いは接続箇所F122の間隔等を適宜設定することにより、種々の特性を有した座り心地のよい座板を作ることができる。したがって、荷重に応じた適切な弾性を有する座板Fを容易に設計することが可能になる。
【0177】
また、前記周縁部F11と中間部F12とを有した座板本体F1と、取付体とを樹脂により一体に成形しているので、部品点数が少なくて済み、また、枠材にメッシュを張り設ける場合に比べて、組立に要する工数を大幅に削減することが可能になる。さらに、この座板本体F1は樹脂で一体成形されたものであるため、クッションタイプやメッシュタイプのものと比較して強度が高く、破れたり、切れたり、擦れて損耗したりするおそれが少ない。メッシュ地は細い糸を編んだり織ったりした部材であるので、一部がほつれるとそのほつれが全体に波及し得るが、樹脂製の座板本体F1であれば仮に一部が破損してもそれが全体に広がらない。
【0178】
前記中間部F12の特定箇所、着座者の臀部及び大腿部を受ける部分が、前記帯状部材F121を備えた構造をなしているので、座板Fの周辺領域はフレームでしっかり支持されるが、内側領域はソフトな座り心地を得ることができる。
【0179】
また、前記中間部F12が、波状をなす帯状部材F121を複数備えているので、これらが厚み方向に撓み、座り心地がよい。しかも、帯状部材F121は波状でありながら複数箇所において隣接する帯状部材F121に接続されているので、横ずれすることがなく、保形性に優れたものとなる。
【0180】
さらに、各帯状部材F121が、対向する前記周縁部F11、換言すれば左右の側部F11の二箇所をつなぐように配置されたものであり、前記周縁部F11の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る形状をなしているので、帯状部材F121の素材の伸縮だけではなく、前記帯状部材F121が曲げ方向に変形する許容範囲が大きくなり、座板Fが柔軟性に富んだものとなる。そして、前記各帯状部材F121は左右の側部F11をつないでいるので、各帯状部材F121によってしっかりと荷重を受けることができる。すなわち、このようなものであれば、変形しやすい座板F1でありながら、体重をしっかりと支える安心感が得られる。
【0181】
また、隣接する帯状部材F121間に開口F123が立体的に形成されるので、通気性が良好なものとなる。
【0182】
なお、座板Fについて、さらなる変形態様を考えることもできる。図39及び図40に示す座板Fにおける中間部F12は、厚み方向の上下両面側に突出する形状をなす複数本の帯状部材F121を隙間を介して隣接させて配するとともに、隣り合う帯状部材F121同士を複数箇所において接続片F124によりそれぞれ接続した構造をなす。
【0183】
前記各帯状部材F121は、対向する前記周縁部F11の二箇所をつなぐように配置され、前記周縁部F11の二箇所を直線で接続するよりも長い経路をもって弾性変形可能に接続し得る形状をなしている。各帯状部材F121は、周縁部F11の左右の側部F11を、同じ前後位置同士で接続している。
【0184】
各帯状部材F121は、板厚方向に一定の周期で反復的に突没する波状をなし、隣り合う帯状部材F121同士は、連続する波状の突没の位相が180°ずれている。そして、隣り合う帯状部材F121の側縁同士が最も接近する間欠位置において、前記帯状部材F121同士を接続片F124を介して接続している。具体的には、前記各帯状部材F121及び接続片F124は、前記座板本体F1に対して直交する方向からの視線において、隣接する帯状部材F121と相互に重ならないように配置されており、隣り合う帯状部材F121の側縁同士が接続片F124を介して接続されている。つまり、前記各帯状部材F121は、前記周縁部F11と略同一面をなす厚み方向位置において相互に接続片F124を介して接続されている。
【0185】
そして、接続されていない部分において、隣り合う帯状部材F121間に座板本体F1の表側と裏側とを連通させる開口F123が形成されている。開口F123は、前記帯状部材F121の位相のずれに基づいて間欠的に形成されるものである。これら各帯状部材F121は、前記座板本体F1に対して直交する方向からの視線においては直線的な形状をなし、平行に配列されている。
【0186】
前記接続片F124は、小さな軸状のもので、帯状部材F121に一体に接続されている。即ち、図39、図40に示している座板Fは、帯状部材F121及び接続片F124を含めて、樹脂一体成形品である。各帯状部材F121同士の接続箇所F122は、前後左右に一定の間隔で整然と存在しており、それら各接続箇所F122に前記接続片F124がそれぞれ配されている。
【0187】
図39、図40に示している座板Fでは、支持フレーム3によって支持される前部F112及び後部F113を包含する周縁部F11が剛性領域となる。そして、この周縁部F11以外の部位に、弾性変形可能な帯状部材F121、さらには各帯状部材F121間に上下に連通したスリット(隙間)を設けており、この帯状部材F112が周縁部F11よりも弾性変形容易な変形領域となる。結果、中間部F12が、着座者の荷重を受けたときに座板Fの厚み方向に沿って変位することが可能となる。また、特に、図39及び図40に示している座板Fでは、平面視においても隙間が形成されるため、通気性がより良好なものとなる。
【0188】
その他の構成の変更として、例えば、帯状部材は、上下両側に突出するようなものに限らず、下面(裏面)側のみに突出するようなものであってもよい。
【0189】
図37ないし図40に示す例では、隣り合う帯状部材F121同士の突没の位相を180°ずらしていたが、この位相を30°または60°ずらす等、種々に変更しても構わない。図41に示す例では、隣接する二つの帯状部材F121の位相のずれを180°とは異なる値に設定したものであり、具体的には位相を30°ずらしてある。このようなものであれば、各帯状部材F121の接続箇所F122が板厚方向即ち上下方向に交互に位置し、隣接する接続片F124もまた板厚方向即ち上下方向に交互に位置する。図37ないし図40に示す座板Fは、平面視及び正面視において隙間が形成されるものであったが、図41に示す板材Fにおいてはさらに、側面視においても、上下に離間した接続片F124間を見通せるような隙間F125が形成されることとなる。つまり、板厚内で、隣接した接続部材F121間及び隣接した接続片F124間に隙間F125が形成され、通気性がより良好なものとなる。
【0190】
図37ないし図41に示す例では、各帯状部材F121が波状であってその振幅及び周期も一定であったが、振幅または周期を相異ならせた帯状部材を組み合わせたものであってもよい。
【0191】
帯状部材F121の断面形状は、例えば円形状または楕円形状等、角縁部をなくしたものとしてもよい。このようなものであれば、着座によって帯状部材F121が下方に撓むのと同時に前後左右方向に捩れても、帯状部材F121に角縁部がないため、着座者に角縁部が当たることがなくなり、座り心地はさらに向上する。接続片F124の断面形状も、前述した帯状部材F121と同様に、角縁部をなくしたものとすることができる。
【0192】
座板Fが、座板本体F1の上面を張り地で覆ったものや、さらに、その張り地と座板本体F1との間にクッションを介在させたものであってもよい。
【0193】
中間部F12の全域に、前記帯状部材F121(さらには、接続片F124)を備えるとは限られない。中間部F12の一部の領域にのみ前記帯状部材F121(及び、接続片F124)を設けても構わない。その一例として、中間部F12の複数箇所の領域に分散させて前記帯状部材F121(及び、接続片F124)を備えているものも考えられる。
【0194】
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明は、例えば学校や会議場、オフィスのミーティングルーム等用の椅子として利用することができる。
【符号の説明】
【0196】
1…座板
112…中間部
12…前側の取付体
13…後側の取付体
3…支持フレーム
31…側板
32…凹陥部
33…前側の支持部
34…後側の支持部
4…支軸(後フレーム)
5…横架材(前フレーム)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心を左右方向に向けた支軸を有する椅子本体の支軸回りに上下回動可能であるように樹脂製の座板を設けてなる椅子であって、
前記座板の下面側に配置され前記支軸に上下回動可能に係わり合わせた支持フレームを備え、
前記座板が略水平な使用状態にて当該座板の中間部を厚み方向に変位させることができるように座板の前部と後部とを前記支持フレームにより支持していることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記椅子本体が、前記支軸よりも前方に配置され左右方向に伸張した横架材を備え、
前記使用状態にて前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位が前記横架材に載置される請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位に凹陥部を形成しており、前記使用状態にてその凹陥部が前記横架材に上方から係わり合う請求項2記載の椅子。
【請求項4】
前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位が座板の下面から下方に離間している請求項1、2または3記載の椅子。
【請求項5】
前記座板の後部と前記支持フレームにおける座板の後部を支持する後側の支持部とで前記支軸を挟み込んでいる請求項1、2、3または4記載の椅子。
【請求項6】
前記座板の前部が前記支持フレームにおける座板の前部を支持する前側の支持部に対し相対的にスライド可能となっている請求項1、2、3、4または5記載の椅子。
【請求項7】
前記支持フレームを二組備えており、
前記座板の左方前部及び左方後部を一方の支持フレームにより支持し、座板の右方前部及び右方後部を他方の支持フレームにより支持している請求項1、2、3、4、5または6記載の椅子。
【請求項8】
前記座板の前部及び後部に、下方に向けて突出する取付体を一体成形しており、
前記支持フレームは、左右に対をなす側板を有し、両側板が前記取付体を挟んでいる請求項1、2、3、4、5、6または7記載の椅子。
【請求項9】
前記座板における、前記支持フレームによって支持される前部及び後部を包含する部位を剛性領域とし、
この剛性領域以外の部位に薄肉部、溝、スリット、有底穴、貫通孔または変形可能な帯状部材を設けて、前記剛性領域よりも弾性変形容易な変形領域とした請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の椅子。
【請求項10】
前記座板における、前記支持フレームによって支持される前部または後部と、着座者の臀部が載置される部位との間を、弾性変形可能な樹脂ばねを以て接続している請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の椅子。
【請求項11】
前記座板及び前記支持フレームを上方に回動させて跳ね上げた状態で複数基を前後方向にネスティング可能である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の椅子。
【請求項1】
軸心を左右方向に向けた支軸を有する椅子本体の支軸回りに上下回動可能であるように樹脂製の座板を設けてなる椅子であって、
前記座板の下面側に配置され前記支軸に上下回動可能に係わり合わせた支持フレームを備え、
前記座板が略水平な使用状態にて当該座板の中間部を厚み方向に変位させることができるように座板の前部と後部とを前記支持フレームにより支持していることを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記椅子本体が、前記支軸よりも前方に配置され左右方向に伸張した横架材を備え、
前記使用状態にて前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位が前記横架材に載置される請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位に凹陥部を形成しており、前記使用状態にてその凹陥部が前記横架材に上方から係わり合う請求項2記載の椅子。
【請求項4】
前記支持フレームにおける前記座板の前部を支持する前側の支持部と座板の後部を支持する後側の支持部との間の部位が座板の下面から下方に離間している請求項1、2または3記載の椅子。
【請求項5】
前記座板の後部と前記支持フレームにおける座板の後部を支持する後側の支持部とで前記支軸を挟み込んでいる請求項1、2、3または4記載の椅子。
【請求項6】
前記座板の前部が前記支持フレームにおける座板の前部を支持する前側の支持部に対し相対的にスライド可能となっている請求項1、2、3、4または5記載の椅子。
【請求項7】
前記支持フレームを二組備えており、
前記座板の左方前部及び左方後部を一方の支持フレームにより支持し、座板の右方前部及び右方後部を他方の支持フレームにより支持している請求項1、2、3、4、5または6記載の椅子。
【請求項8】
前記座板の前部及び後部に、下方に向けて突出する取付体を一体成形しており、
前記支持フレームは、左右に対をなす側板を有し、両側板が前記取付体を挟んでいる請求項1、2、3、4、5、6または7記載の椅子。
【請求項9】
前記座板における、前記支持フレームによって支持される前部及び後部を包含する部位を剛性領域とし、
この剛性領域以外の部位に薄肉部、溝、スリット、有底穴、貫通孔または変形可能な帯状部材を設けて、前記剛性領域よりも弾性変形容易な変形領域とした請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の椅子。
【請求項10】
前記座板における、前記支持フレームによって支持される前部または後部と、着座者の臀部が載置される部位との間を、弾性変形可能な樹脂ばねを以て接続している請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の椅子。
【請求項11】
前記座板及び前記支持フレームを上方に回動させて跳ね上げた状態で複数基を前後方向にネスティング可能である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【公開番号】特開2011−244960(P2011−244960A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119776(P2010−119776)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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