説明

植付機

【課題】圃場もしくはマルチシート開孔部へ的確に種球の植付けを行うことができる植付機を提供する。
【解決手段】走行機体の左右に、前後方向の走行に同期して駆動するように構成した一対の無端体71と、前記無端体71上に所定間隔を有して左右方向に枢支して種球を収容するホルダ78が複数並列配置される種球ホルダユニット73と、前記各種球ホルダユニット73の下方に配置され、マルチシート9の所定位置に孔を開ける開孔体79を有した開孔ユニット74と、前記種球ホルダユニット73と前記開孔ユニット74が最下端に位置した時に、種球を押し付けて圃場面に植付ける押出し装置77とを備え、前記種球ホルダユニット73と前記開孔ユニット74の取付フレーム96・95は、上下平行に配設され、前記種球ホルダユニット73と開孔ユニット74との間に前記開孔体79の開閉駆動部76が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付機の技術、特にマルチシートが被覆された土壌に種球を植付ける植付機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニンニク等の種球は、種球の芽が上に、種球の根が下になるように植付けなければ、発芽不良等を起因とする収量の減少および等級の低下等に繋がっていた。よって、高品質の作物を収穫するには、種球の手植えをせざるを得なかった。
【0003】
しかし、商品作物を対象とする場合、作付面積の拡大等により、手作業では作業者に大きな負担が掛かっていた。そのため、種球を圃場に植付ける数々の植付機が提示されている。
例えば、特許文献1に示すように、植え付けホルダと押し込み体より成る種球ホルダユニットが周回移動機構に取付けられ、その周回移動機構が回動すると共に、種球ホルダユニットが回動する。植え付けホルダはニンニク等の球根を保持し、周回移動機構によって、植え付け位置に移動した状態で、押し込み体によって球根を圃場に押し当てて植え付けるように構成されている。植え付けホルダに球根が挿入される挿入位置では、植え付けホルダは種球ホルダユニットの上部に位置し、植え付け位置では、植え付けホルダは下部に位置する。よって、挿入位置と植え付け位置とでは、球根の向きが上下逆になってしまっていた。
また、マルチフイルム(マルチシート)に予め植え付け孔が施されており、機体に取付けられたセンサでその位置を感知することで、球根の植え付け位置を合わせている植付機の技術は公知となっている。
【特許文献1】特開2008−131877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の植付機においては、ホルダに挿入する時に、手作業と同じ種球の姿勢で挿入できない場合がある。
また、センサでマルチシートの孔を感知し、種球を植付けるため、マルチシートの孔とに種球の植付け位置にズレが生じたり、種球の植付け姿勢が安定しなかったり、的確に種球を植付けられない場合がある。
【0005】
つまり、前述したように的確な種球の植付けという問題点があった。
【0006】
本発明は以上の状況に鑑み、圃場もしくはマルチシート開孔部へ的確に種球の植付けを行うことができる植付機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、マルチシートを被覆した圃場に、走行しながら所定間隔をおいて種球の植付けを行う植付機であって、走行機体の左右に、前後方向の走行に同期して駆動するように構成した一対の無端体と、前記無端体上に所定間隔を有して左右方向に枢支して種球を収容するホルダが複数並列配置される種球ホルダユニットと、前記各種球ホルダユニットの下方に配置され、マルチシートの所定位置に孔を開ける開孔体を有した開孔ユニットと、前記種球ホルダユニットと前記開孔ユニットが最下端に位置した時に、種球を押し付けて圃場面に植付ける押出し装置と、を備え、前記種球ホルダユニットと前記開孔ユニットの取付フレームは、上下平行に配設され、前記種球ホルダユニットと開孔ユニットとの間に前記開孔体の開閉駆動部が配置されるものである。
【0009】
請求項2においては、前記開閉駆動部の駆動アームは側方に突出し、植付フレームに設けたカム体に前記駆動アームが当接することで開孔ユニットを駆動してマルチシートを開孔させるものである。
【0010】
請求項3においては、前記押出し装置は、前後揺動可能に配置し、前記種球ホルダユニットと前記開孔ユニットの回動に同期して揺動するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、種球ホルダユニットと開孔ユニットが上下一体となって無端体により回動されるので、前後左右方向の誤差を小さくでき、開孔した位置に確実に種球が開口部からマルチシート下に挿入され、マルチシートによる種球の根の発育を阻害しないように植え付けることができ、安定した植付が可能である。また、種球ホルダユニットと開孔ユニットとの間に前記開孔体の開閉駆動部が配置されるので、開閉駆動部が外部から保護され、確実に駆動することができる。
【0013】
請求項2においては、マルチシートに所定位置で確実に孔を開けることが可能となり、駆動機構も簡単に構成できる。
【0014】
請求項3においては、押出し装置は前記種球ホルダユニットと前記開孔ユニットの回動に同期して揺動するため、種球を押し出して植え付ける時の姿勢が安定して確実に植え付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係る植付機の全体的な構成を示した側面図、図2は同じく植付部の構成を示した側面図、図3は保持開孔手段の状態を示した斜視図である。図4は本発明の第一実施例の開閉体が閉じた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図、図5は本発明の第一実施例の開閉体が開いた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図、図6は本発明の第二実施例の開閉体が閉じた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図、図7は本発明の第二実施例の開閉体が開いた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図、図8は本発明の第三実施例の開閉体が閉じた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図、図9は本発明の第三実施例の開閉体が開いた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図、図10は本発明に係る左右揺動手段の周辺を示した後面図、図11は同じく平面図、図12は植付部を支持する手段を示した制御ブロック図である。
【0016】
以下では、図1を参照して、本発明の第一実施形態に係る植付機1の全体的な構成について説明する。
尚、本実施形態の植付機1によって移植される対象をニンニク等の種球として説明するが、これに特に限定するものではない。そして、畝上にマルチシートを被覆した状態での移植と想定して説明するが、これに特に限定するものではなく、略平坦な圃場に移植する場合としてもよい。
【0017】
以下では、図1から図5を参照して、植付機1の全体的な構成について説明する。
説明において、図1に示した矢印Aの方向を植付機1の進行方向、つまり前方向として、前後左右方向を規定するものとする。
【0018】
植付機1は、畝上にマルチシート9を被覆した状態で種球を移植するために使用される植付機である。
図1に示すように、植付機1は、主に機体フレーム2、駆動部3、走行部4、運転操縦部5、動力伝達機構6、植付部7等を備える。
【0019】
図1において、機体フレーム2は、植付機1の骨格を成す構造体であって、上下方向に延設される左右複数の支柱フレームと、該支柱フレームに横設され前後方向に延設される左右の複数の前後フレームと、該前後フレームの間に左右方向に横設される左右フレームを連結固定して形成される。機体フレーム2の前後略中央には作業者が植付機1に乗り降りする際のステップが形成され、その後部に左右一対の座席51・51が設けられている。
【0020】
走行部4は、左右一対のクローラ41・41等で構成され、駆動部3からの動力がミッションケース61を介して伝達されて、植付機1を走行可能とするものである。
【0021】
前記駆動部3は、動力源であるエンジン31で構成され、植付機1の走行部4と植付部7に動力を伝達して駆動するためのものであり、機体フレーム2の後部上に搭載され、前後方向の重量バランスが取れるようにしている。
【0022】
運転操縦部5は、機体フレーム2の前後中央部に配設され、作業者によって走行部4および植付部7の操縦が行われる。運転操縦部5は主に、作業者が着座する座席51、走行部4および植付部7の操縦を行うための複数のレバー部52、種球を収納した補給ボックス53、カゴ54を載せる載置部55等が備えられる。
【0023】
座席51はエンジン31の前方の機体フレーム2上の左右に設置され、更に、図示しない補助座席が右機体外方に突出可能に配置される。レバー部52は、座席51の周囲または補助座席近傍に配置されるが、本実施例では機体右外側の座席51前方に配置される。該レバー部52の操作によって走行部4への動力の断接や変速操作、および、植付部7への動力の断接操作ができるように構成される。また、補給ボックス53は、座席51の前方の機体フレーム2に取付けられ、種球を入れて作業者が手で取り出して、保持開孔手段72に挿入する。カゴ54は、駆動部3の上方の機体フレーム2の後部に形成した載置部55上に載置される。
【0024】
エンジン31の駆動力は、動力伝達機構6を介して前方の植付部7へと伝達される。本実施例では動力伝達機構6は、進行方向左外側に配置される。
動力伝達機構6は、本実施例ではベルトとプーリ及びチェーンとスプロケットにより動力を伝達する構成としているが、伝動軸やギヤ等を用いてもよく限定するものではない。具体的には、エンジン31の出力軸からプーリ、ベルト32を介して、ミッションケース61の入力軸63に動力が伝えられ、該入力軸63上の駆動スプロケット62からチェーン65・65・・・やスプロケット64・64・・・等を介して、植付部7の植付入力軸66へと伝達される。
【0025】
図1または図2に示すように、植付入力軸66は、運転操縦部5の前部で植付部7の植付フレーム29後部に横架され、植付入力軸66から第一植付伝達機構8aを介して、前下部に配置した植付駆動軸25に動力が伝達される。該植付駆動軸25からは後述する複数の種球ホルダユニット73と開孔ユニット74とを取付ける無端体71に動力が伝達される。
【0026】
また、植付入力軸66から第二植付伝達機構8bを介して、機体フレーム2の前部上に配置した押し出し駆動軸82に動力が伝達され、後述する押出し装置77が駆動される。
前記第一植付伝達機構8aは、植付入力軸66から伝動チェーン27a、伝動スプロケット27等を介して植付駆動軸25に動力が伝えられる。
第二植付伝達機構8bは、植付入力軸66から伝動チェーン34、伝動スプロケット35等を介して押し出し駆動軸33に動力が伝えられる。
こうして、植付部7は、走行に同期して駆動されて畝上に被覆されたマルチシートに所定間隔をおいて開孔し、その開孔部下の畝に種球を植付けることができる。
【0027】
図1、図2または図3に示すように、植付部7は、運転操縦部5前方の機体フレーム2の前部に配置される。植付部7は、植付フレーム29、無端体71、保持開孔手段72(種球ホルダユニット73、開孔ユニット74、上部取付フレーム95、下部取付フレーム96)、開閉駆動部76、押出し装置77等を備える。前記植付フレーム29は、機体フレーム2の後部から昇降リンク機構21を介して前端部に取付けられる。
【0028】
無端体71は、無端のチェーン等で構成され、左右一対で植付フレーム29の左右両側に配設された植付駆動スプロケット26、従動スプロケット83・83・・・に側面視略台形状に巻回されている。左右の無端体71の全周上に所定間隔をあけて種球ホルダユニット73と開孔ユニット74が左右方向に横架して取付けられる。無端体71は左右対称に配置されるので、以下、左側について説明する。
【0029】
無端体71は、植付フレーム29の最上部位置に配置した上従動スプロケット83aと、該上従動スプロケット83aの下方であって、植付フレーム29の最下部位置に配置した下従動スプロケット83bと、該下従動スプロケット83bの後方に配置した植付駆動スプロケット26と、該植付駆動スプロケット26と前記上従動スプロケット83aとの間の後方に配置した後従動スプロケット83cと、上従動スプロケット83aと下従動スプロケット83bとの間の前方に配置した前従動スプロケット83dに巻回される。
【0030】
そして、上従動スプロケット83aと後従動スプロケット83cとの間を補給位置7aとし、下従動スプロケット83bと植付駆動スプロケット26の間を植付位置7bとしている。言い換えれば、補給位置7aと植付位置7bの間に無端体71が巻回されている。
【0031】
前記補給位置7aは、座席51前方で、座席51に着座した作業者の手の届く範囲で、前高後低に傾斜するように配置され、作業者が種球を後述する保持開孔手段72(種球ホルダユニット73)へと供給し易いように構成されている。該上従動スプロケット83aと後従動スプロケット83cとの間の無端体71の傾斜部の下方には、前後方向を長手方向とする板状のガイド部材71aが配設される。ガイド部材71aは、無端体71が垂れ下がらないようにすると共に、後述するローラ95eをガイドして、種球ホルダユニット73の上面が作業者側を向くようにする。
植付位置7bでは、ガイド部材(図示せず)は、種球ホルダユニット73と開孔ユニット74が後方へ略水平に移動するように設定される。
【0032】
図1、図3、または図4に示すように、保持開孔手段72は、種球を保持しながら、所定位置に達した時に、マルチシート9を開孔して、その孔から圃場に種球を植え付ける手段である。保持開孔手段72は、主に種球ホルダユニット73と開孔ユニット74を備える。
【0033】
種球ホルダユニット73は、側面視逆凹状に折り曲げられた上部取付フレーム95の上面に、左右方向に所定間隔をおいて、複数の挿入孔95a・95a・・・が開孔される。該挿入孔95aの下部内に、種球を保持するためのホルダ78がボルト等によって固定される。本実施例では、長ボルト78cと短ボルト78dによってホルダ78が上部取付フレーム95に取付けられ、該長ボルト78cは更に種球ホルダユニット73の下方に配置する開孔ユニット74の下部取付フレーム96を一体的に固定している。
ホルダ78は、上下開放した筐体内に、ゴム等の弾性体板が上下平行に複数枚固定され、該各弾性板の中央に円孔78aが開孔される。前記弾性板は、該円孔78aから半径方向外方に、つまり、放射状に切れ目が設けられ、その切れ目と切れ目の間に保持部材78bが形成される。こうして種球は、円孔78aに挿入され、保持部材78bに保持されることができる。
【0034】
前記上部取付フレーム95の左右両側には、側面視において略三角形状の側板95b・95bが前後方向に向けて固設されている。該側板95b・95bは左右対称に構成されているので、左右一側について説明する。側板95bの上部側面に支持軸95cが側方に突設するよう回転自在に支持され、該支持軸95cの外周に側面視L字状の取付板95dが固設される。該取付板95dが前記無端体71・71の外周上に取付けられる。
【0035】
前記側板95bの下部外側面には、所定間隔をおいてローラ95e・95eが回転自在に突出され、前記補給位置7aと植付位置7bにおいて、ガイド部材71aと図示しないガイド部材によりガイドされる。ガイドされた種球ホルダユニット73と開孔ユニット74が、それぞれ設定された傾斜角度となるように配置される。
また、前記種球ホルダユニット73の下部に開孔ユニット74が取付けられる。詳細には、種球ホルダユニット73の上部取付フレーム95の下部に、所定間隔H(図3参照)をあけて、開孔ユニット74を収容した下部取付フレーム96が、平行に配置される。上部取付フレーム95と下部取付フレーム96は、長ボルト78c・78c・・・等により固定される。
【0036】
図3から図5のいずれかに示すように、開孔ユニット74は、下部取付フレーム96、開孔体79、該開孔体79を開閉駆動するための開閉駆動部76等を備える。
前記下部取付フレーム96は、左右方向を長手とする略板状の部材で構成され、種球を排出できるようにするための開口部96aが、所定間隔をあけて左右方向に設けられる。つまり、開口部96aは、前記挿入孔95aの位置に合わせて、挿入孔95aの下方にそれぞれ開口され、該開口部96aは開孔爪79aの数に合わせた多角形、本実施例では平面視正方形状に開口されている。
【0037】
以下、本実施例における第一実施例である開孔体79及び開閉駆動部76について説明する。また、他の実施例において共通の部材については、それらに同じ符号を付している。
前記各開口部96aの周囲上には、マルチシート9(図1参照)の所定位置に孔を開ける開孔体79が設けられ、ホルダ78の下部に配置される。
該開孔体79は、複数(実施例では四本)の開孔爪79aと、開孔体ブラケット79bとを備える。
【0038】
開孔爪79aは、棒材を側面視逆「L」字状に屈曲し、その一端を下方に突出させて、先端を容易に突き刺せるように尖状に形成させ、他端は開孔体ブラケット79bに固設されている。
開孔体ブラケット79bは、開孔爪79aを固定して開閉駆動部76の下面に取付けるための板状の部材である。開孔体ブラケット79bの一端は、下部取付フレーム96に開孔体軸79cを介して、回転自在に支持され、該開孔体軸79c近傍に開孔爪79aの他端が固定される。開孔体ブラケット79bの他端は、後述する開閉駆動部76の第一リンク161にリンク軸79dを介して回動自在に支持されている。
【0039】
開孔体79を開閉駆動するための開閉駆動部76は、前記種球ホルダユニット73と開孔ユニット74との間に配置される。
開閉駆動部76は、主に第一リンク161、第二リンク162、駆動アーム165、カム体165d等を備える。
【0040】
第一リンク161・161は、下部取付フレーム96の左右方向の幅と略同じ長さの細長い板材であって、下部取付フレーム96の前側上と後側上にそれぞれ下部取付フレーム96の前辺及び後辺に沿うように配置される。つまり、開口部96aの前後両側に配置される。
前述したように、第一リンク161と開孔体ブラケット79bとが、リンク軸79dを介して回動自在に連動連結される。
【0041】
一方、第二リンク162は、前後方向に長く下部取付フレーム96の前後方向の長さよりも若干短い板材であって、その両端に連結軸162a・162aを介して、前後の第一リンク161・161と回転自在に連動連結される。そして、第二リンク162の前後略中央に、枢支軸162bを介して、下部取付フレーム96上に回動自在に取付けられている。該第二リンク162は本実施例では開口部96aと開口部96aの間の三カ所に配置しているが、左右両側に配置する構成であってもよく、少なくとも前後の第一リンク161・161を連結する構成であればよく、その数と配置位置は限定するものではない。
こうして、第一リンク161・161と第二リンク162が回転自在に連動連結され、第一リンク161・161と第二リンク162・162・162とにより囲まれる空間内にホルダ78が配設されることになる。
【0042】
駆動アーム165は、平面視において略三角形状に形成され、前後中央部が上部取付フレーム95の左右一端から下方に突設した回転支持軸165aに枢支される。該駆動アーム165の一端には、枢支軸165bを介して回転自在に第一リンク161の一端が連動連結される。駆動アーム165の他端には、ローラ165cが回転自在に支持されている。そして、該ローラ165cは、下部取付フレーム96よりも外側に突出するように配設される。該駆動アーム165と連動連結された第一リンク161と下部取付フレーム96との間には、弾性体としてバネ166が介装され、駆動アーム165のローラ165cが突出する方向、つまり、図4における第二リンク162が時計回りに回転するように付勢されている。但し、バネ166の取付位置は、開閉駆動部76(第一リンク161または第二リンク162または駆動アーム165)と下部取付フレーム96または上部取付フレーム95との間に介装する構成であればよく限定するものではない。
【0043】
また、植付フレーム29(図1参照)の下部内側の前記駆動アーム165の配設された側には、カム体165dが前後方向に設けられ、該カム体165dに前記ローラ165cが当接可能に構成される。カム体165dは、開孔体79がマルチシート9を開孔する予定位置付近において、内側に突出するように形成される。
【0044】
このような構成において、カム体165dと駆動アーム165が当接していない時、図4に示すように、開孔爪79aの先端は、開口部96aの略中心に位置するように配設される。
そして、図1、図4または図5に示すように、無端体71が回動され、種球ホルダユニット73と開孔ユニット74が、下方位置の下従動スプロケット83bから後方の植付駆動スプロケット26側(植付位置7b)へ移動する。この時、カム体165dに駆動アーム165のローラ165cが当接して、駆動アーム165が、回転支持軸165aを中心として反時計回りに回動される。すると、後側の第一リンク161が、駆動アーム165側へ引っ張られて移動し、該第一リンク161に連結されている第二リンク162は、枢支軸162bを中心に反時計回りに回動される。よって、前側の第一リンク161と後側の第一リンク161とは、左右逆の方向に移動される。
この開閉駆動部76の一連の動きに伴い、開閉駆動部76と係合している開孔体ブラケット79bが、開孔体軸79cを中心反時計方向に回動される。図5に示すように、該開孔体ブラケット79bに取付けられている開孔体79も反時計方向に回動することになり、開孔爪79aは開口部96aの頂点(角部)に当たった状態で停止する。該開口部96aの頂点は開孔爪79aが開いた時の位置決め部ともなる。
つまり、マルチシート9に刺さり込んだ四本の開孔体79の下端が、開口部96aの中心部より外方へ回動することにより、マルチシート9を開孔させることができる。
【0045】
次に、第二実施例の開孔ユニット174について説明する。図3、図6及び図7に示すように、開孔ユニット174は、下部取付フレーム96、開孔体279、開孔体279を開閉駆動するための開閉駆動部276等を備える。
前記下部取付フレーム96は、左右方向を長手とする略板状の部材で構成され、種球を排出できるようにするための開口部96aが、所定間隔をあけて左右方向に設けられている。つまり、開口部96aは、前記挿入孔95aの位置に合わせて、挿入孔95aの下方にそれぞれ開口される。以上は第一実施例と同様である。
【0046】
以下、第二実施例である開孔体279及び開閉駆動部276について説明する。
【0047】
前記各開口部96aの周囲上には、マルチシート9(図1参照)の所定位置に孔を開ける開孔体279が設けられ、ホルダ78の下部に配置される。
該開孔体279は、開孔爪部279aと開孔体取付部279bより成る、複数(実施例では四本)の開孔体部材280で構成される。
【0048】
開孔爪部279aは、棒材を側面視逆「L」字状に屈曲し、その一端を下方に突出させて、先端を尖状に形成される。開孔爪部279aの他端は、板状の開孔体取付部279bの一端と平面視略「L」字状なるように一体的に形成され、これらを開孔体部材280としている。
開孔体取付部279bの他端は、下部取付フレーム96の前後中央付近に開孔体軸279cを介して、回転自在に支持される。開孔体取付部279bの中途部は、長穴279dが開口される。
【0049】
開孔体279には、前後対称の開孔体部材280が、前記長穴279dで上下方向に重なり合うように配置される。前記重なり合った開孔体部材280・280は、それらの長穴279d・279dを共に、後述する枢支軸161bを介して、取付アーム161aの先端に回動自在に支持される。
【0050】
開口部96aの中心より左右対称の位置には、前記開孔体部材280・280の左右対称形状の開孔体部材280・280が配設される。
開孔体部材280・280・280・280によって、開孔体279が構成される。
【0051】
開孔体279を開閉駆動するための開閉駆動部276は、前記種球ホルダユニット73と開孔ユニット174との間に配置される。
開閉駆動部276は、主に第一リンク161、第二リンク162、駆動アーム165、カム体165d等を備え、これらは第一実施例と略同様に構成され、略同様に駆動される。但し、第一リンク161には取付アーム161aが固定されている。
【0052】
該取付アーム161aは、第一リンク161から前記枢支軸161bに向かって延設される。つまり、第一リンク161の前面(または後面)から開口部96aの側部に向かって取付アーム161aが延設され、該取付アーム161aの先端に枢支軸161bが突設され、該枢支軸161bが前記長穴279d・279dに挿入される。
また、第一実施例と同様に、該駆動アーム165と連動連結された第一リンク161と下部取付フレーム96との間には、弾性体としてバネ166が介装され、駆動アーム165のローラ165cが突出する方向、つまり、図6における第二リンク162が時計回りに回転するように付勢されている。但し、バネ166の取付位置は、開閉駆動部276(第一リンク161または第二リンク162または駆動アーム165)と下部取付フレーム96または上部取付フレーム95との間に介装する構成であればよく限定するものではない。
【0053】
このような構成において、カム体165dと駆動アーム165が当接していない時、図6に示すように、開孔爪部279aの先端は、それぞれ開口部96aの略中心に位置する。
そして、図1に示す無端体71が回動され、種球ホルダユニット73と開孔ユニット174が、下方位置の下従動スプロケット83bから後方の植付駆動スプロケット26側へ移動する。そして、図6及び図7に示すように、カム体165dに駆動アーム165のローラ165cが当接して、駆動アーム165が、回転支持軸165aを中心として反時計回りに回動されると、後側の第一リンク161が、駆動アーム165側へ引っ張られて移動し、該第一リンク161に連結されている第二リンク162は、枢支軸162bを中心に反時計回りに回動される。よって、前側の第一リンク161と後側の第一リンク161とは、左右逆の方向に移動される。
【0054】
この第一リンク161と第二リンク162の一連の移動と共に、枢支軸161bが開孔体軸279cの方向へ移動する。そして、枢支軸161bが長穴279d・279dに沿うように、それぞれの開孔体軸279cを中心に、下部取付フレーム96外方へと開孔体部材280(開孔体279)は移動する。つまり、マルチシート9に刺さり込んだ四本の開孔体279の下端が、開口部96aの中心部より外方へ回動することにより、マルチシート9を開孔させることができる。
【0055】
次に、第三実施の開孔ユニット274について説明する。図3、図8及び図9に示すように、開孔ユニット274は、下部取付フレーム96、開孔体379、開孔体379を開閉駆動するための開閉駆動部376等を備える。
前記下部取付フレーム96は、左右方向を長手とする略板状の部材で構成され、種球を排出できるようにするための開口部96aが、所定間隔をあけて左右方向に設けられている。つまり、開口部96aは、前記挿入孔95aの位置に合わせて、挿入孔95aの下方にそれぞれ開口される。以上は第一実施例および第二実施例と同様である。
【0056】
以下、第三実施例の開孔体379及び開閉駆動部376について説明する。
前記各開口部96aの周囲上には、マルチシート9(図1参照)の所定位置に孔を開ける開孔体379が設けられ、ホルダ78の下部に配置される。
該開孔体379は、複数(実施例では四本)の開孔爪379aとバネ受部材379bで構成される。
【0057】
開孔爪379aは、棒材を側面視逆「L」字状に屈曲し、その一端を下方に突出させて、先端を尖状に形成される。開孔爪379aは、平面視において、前記先端を開口部96aの中心に配置し、他端をその中心より放射方向に同じ角度をあけて延設される。
開孔爪379aの他端は、開口部96aの外周面上に配置された後述するガイドパイプ376aに貫通して挿入されており、ガイドパイプ376a内でガイドパイプ376aの内周と略同形のバネ受部材379bが固設される。さらにバネ受部材379bの端部には、開閉駆動部376の引張り部材376bの一端に連結される。
【0058】
開孔体379を開閉駆動するための開閉駆動部376は、前記種球ホルダユニット73の下部に配置され、開孔体379と略同じ高さ位置に配置される。
開閉駆動部376は、主に、ガイドパイプ376a、引張り部材376b、第一プーリ376d、第二プーリ376f、付勢部材376e、駆動アーム365、カム体165d等を備える。
【0059】
ガイドパイプ376aは、開口部96aの外周面上に放射(半径)方向に配置される。ガイドパイプ376aの内外端部には、係止部376c・376cが形成され、該係止部376cに開孔爪379aが貫通され、該開孔爪379aの端部にバネ受部材379bが固設され、ガイドパイプ376aから外へ抜けないように構成されている。外端部の係止部376cには、引張り部材376bが貫通挿入されている。さらに外方の開孔爪379a延長線上には、下部取付フレーム96の前辺及び後辺に沿うように、第一プーリ376dが配設される。
よって、前辺に沿うように、開孔爪379aの延長線上に第一プーリ376dが所定間隔をあけて配設されることとなる。同じく、後辺に沿うように、第一プーリ376dが所定間隔をあけて配設される。また、駆動アーム365側の第一プーリ376d・376dの間には、第二プーリ376f・376fが所定間隔をあけて配設される。
【0060】
付勢部材376eは、バネ等の弾性体により構成され、ガイドパイプ376a内に収納され、該付勢部材376eの一端は引張り部材376bの端部に固定され、該付勢部材376eの他端はバネ受部材379bに固定される。よって、付勢部材376eは開孔爪379aを内方に付勢する力が働く。
【0061】
一方、引張り部材376bは線材等で構成され、その一端がバネ受部材379bに固設され、その他端は、外端部の係止部376cの略中央を貫通して、前辺若しくは後辺に沿っている第一プーリ376d・376d・・・、第二プーリ376f・376fを介して、駆動アーム365の一端に固設される。
【0062】
駆動アーム365は、略「L」字状に形成され、前後中央部が上部取付フレーム95の左右一端から下方に突設した回転支持軸365aに枢支される。該駆動アーム365の一端には、前述したように引張り部材376bの一端が連結される。駆動アーム365の他端には、ローラ365cが回転自在に支持されている。そして、該ローラ365cは、下部取付フレーム96よりも外側に突出するように配設される。駆動アーム365と連動連結された引張り部材376bは、付勢部材376eによって、駆動アーム365のローラ365cが突出する方向、つまり、図8における時計回りに回転するように付勢されている。
【0063】
このような構成において、カム体165dと駆動アーム365が当接していない時、図8に示すように、開孔爪379aの先端は、開口部96aの略中心に位置する。
そして、図1に示す無端体71が回動され、種球ホルダユニット73と開孔ユニット274が、下方位置の下従動スプロケット83bから後方の植付駆動スプロケット26側へ移動する。そして、図8及び図9に示すように、カム体165dに駆動アーム365のローラ365cが当接して、駆動アーム365が、回転支持軸365aを中心として反時計回りに回動される。すると、引張り部材376bが、駆動アーム365側へ引っ張られて移動し、第二プーリ376fと前側第一プーリ376d・・・及び第二プーリ376fと後側第一プーリ376d・・・を介して、付勢部材376eの付勢力に抗して、それぞれの係止部376c側へと開孔爪379aを移動させる。
つまり、マルチシート9に刺さり込んだ四本の開孔体379の下端が、開口部96aの中心部より外方へ移動することにより、マルチシート9を開孔させることができる。
【0064】
図1から図3のいずれかに示すように、押出し装置77は、前記種球ホルダユニット73と前記開孔ユニット74が最下端に位置した時に、開孔体79によって、マルチシート9が開孔された後、種球を下方に押し付けて圃場面に植付ける部材である。
押出し装置77は、主に回動アーム77a、連結ロッド77b、押付体77c等を備える。押出し装置77は左右の無端体71・71の間の空間内に配設され、一つの種球ホルダユニット73の左右方向に配設されるホルダ78と同数の押付体77c・77c・・・を有する。
【0065】
回動アーム77aは、その一端が前記押し出し駆動軸33の一端に固設され、他端に連結ロッド77bの上端部が枢支される。なお、押し出し駆動軸33と従動プーリ36との間には電磁クラッチが配設され、保持開孔手段72が植付位置7bに至るとセンサがONして電磁クラッチが作動して動力が伝達され、回動アーム77aが一周(上方を向く位置)すると、電磁クラッチが切れる構成としている。連結ロッド77bの下端は押付体ホルダ77dの一端に連結されている。該押付体ホルダ77dは左右方向に横設され、該押付体ホルダ77dに押付体77c・77c・・・の上部がバネ等の弾性体を介して連結される。該押付体77c・77c・・・は棒状に構成されて、上部が押付体ホルダ77dに支持されて、下部が板状の連結体77eに支持されている。そして、押付体ホルダ77dの両側は植付フレーム29に枢支され、連結体77eを介して押付体77c・77c・・・の下部が前後揺動自在に支持されている。該連結体77eはバネ等の弾性体により前方へ回動するように付勢され、該連結体77eの両側からは規制ピンが側方に突出され、図示しない植付フレーム29に形成したガイド孔に挿入されている。該ガイド孔は略L字状に構成され、前記規制ピンは前記取付板95dと当接可能に配設されている。
【0066】
このような構成により、無端体71が回動されると、植付位置7bにおいて、規制ピンが取付板95dに当接して、種球ホルダユニット73と開孔ユニット74が、後方への移動と同期して連結体77eが後方へ押される。そして同時に、押し出し駆動軸33が回動されることにより回動アーム77aが回動して連結ロッド77bが下方へ押し下げられ、連結体77eを介して押付体77c・77c・・・を下げて、開孔ユニット74によりマルチシートに孔を開けた空間に、種球ホルダユニット73のホルダに保持した種球を押付体77c・77c・・・により下方へ押し付けて圃場に植え付けるのである。
そして、更に、種球ホルダユニット73と開孔ユニット74が後方へ移動すると、押付体77c・77c・・・は上昇を開始し、種球ホルダユニット73から抜けてから規制ピンがガイド孔にガイドされて上方へ持ち上げられ、取付板95dから外れて、弾性体の付勢力により連結体77eは前方に戻されるのである。この動作が繰り返されて、植付作業が行われるのである。
【0067】
次に、植付部7を支持するための構成について、図1より説明する。
機体フレーム2の後部の左右中央に支持フレーム2aが立設され、該支持フレーム2aと植付フレーム29の間に、昇降リンク機構21が配設される。該昇降リンク機構21は左右の座席51の間に配設される。
該昇降リンク機構21は、植付面9と植付位置7bとを所定距離に保つために、植付部7を昇降する機構であって、主に、トップリンク22、ロワーリンク23、昇降アクチュエータ24等を備える。
【0068】
前記トップリンク22の後端は、支点軸22bを介して支持フレーム2aの上部に上下回転自在に支持される。トップリンク22の前端は、支点軸22aを介して植付フレーム29の後部の左右略中央に後述する左右揺動手段30を介して立設した支持柱29bの上部に上下回転自在に支持される。
トップリンク22の下方に平行に配置されたロワーリンク23の後端は、支点軸23bを介して支持フレーム2aの下部に上下回転自在に支持される。ロワーリンク23の前端は、支点軸23aを介して前記支持柱29bの下部に上下回転自在に支持される。
昇降アクチュエータ24は、油圧シリンダまたは電動シリンダ等で構成され、座席51の前側部の位置で、トップリンク22の前部と機体フレーム2の間に介装される。本実施例では、電動シリンダ(昇降アクチュエータ)24のピストンロッド先端をトップリンク22に回動軸24aを介して回動自在に連結される。昇降アクチュエータ24の他端は、機体フレーム2に枢支される。
【0069】
図1または図12に示すように、前記昇降アクチュエータ24は、制御手段19と接続され、該制御手段19には、植付位置7bと後述する植付面9との距離を検知するための植付高さ検知手段28(検知部28c)と高さ設定手段18が接続されている。
【0070】
前記植付高さ検知手段28は、主にスライド棒28a、回転体28b、検知部28cによって構成され、植付フレーム29前部の左右略中央に配設される。検知部28cが植付フレーム29に固定され、該検知部28cにスライド棒28aが上下摺動自在に支持される。該スライド棒28aの上下スライド量は、検知部28cで検知され、検知した値は制御手段19に出力される。スライド棒28aの下端には、回転体28bが回動自在に支持され、回転体28bは圃場面(植付面9)上を転動し、スライド棒28aが圃場面に追従して昇降する。
【0071】
よって、植付機1が作業走行中に、回転体28bは植付面9に接触しながら回動し、該回転体28bに連結されたスライド棒28aは、植付面9に追従して上下方向に摺動される。その上下摺動量を検知部28cで検知して制御手段19に入力される。
制御手段19は、高さ設定手段18により設定された値と、検知部28cで検知した値とを比較演算し、その差が0となるように制御手段19は昇降アクチュエータ24を上下方向に伸縮駆動させる。
よって、植付面9に追従して、植付部7は、所定の高さを維持して種球の植付を行うことができ、安定した種球の植付けができる。
【0072】
次に、前記植付部7の左右揺動手段30について説明する。
図1または図10、図11に示すように、植付部7の植付フレーム29の後部に左右揺動手段30を介して昇降リンク機構21が連結され、機体フレーム2に対して左右に傾斜可能に構成される。詳しくは、図10に示すように、植付フレーム29の後部略左右中央に取付ブラケット29cが固設され、該取付ブラケット29cの略中央には、前後方向を軸心とする左右傾倒支持部30aが後方に突設され、該左右傾倒支持部30aに前記支持柱29bが回転自在に支持される。該支持柱29bには、前述したように昇降リンク機構21が取付けられる。
【0073】
また、左右揺動手段30には、傾斜角度調整手段220が設けられており、該傾斜角度調整手段220は、支持ステー221、保持体222、調整ハンドル223、ネジ軸224、ナット体225等を備える。支持ステー221は、前記支持柱29bより側方に突設され、該支持ステー221の先端に保持体222が固設される。該保持体222は、調整ハンドル223が回転自在に支持され、該調整ハンドル223の下部はネジ軸224として下方に延設されている。該ネジ軸224には、ナット体225が螺装され、該ナット体225は植付フレーム29より後方に突設した取付体29dに固設されている。
このような構成において、調整ハンドル223を回動することによりナット体225が上方または下方に移動され、該ナット体225に連結されている植付フレーム29が左右傾倒支持部30aを中心に回動して植付部7が傾斜されることになるのである。
但し、傾斜角度調整手段220の構成は前記構成に限定されるものではなく、シリンダやモータにより傾斜させ、スイッチ等で操作する構成とすることも可能である。
【0074】
このような構成とすることで、種球の植付を行う時に、作業者(運転者)は、植付の状況や植付面9に対する植付部7の傾斜状態を見ながら、調整ハンドル223を回動することにより植付部7を傾斜させて植付面の傾斜に合わせ、植付姿勢を調整することができる。こうして植付精度を向上することが可能となる。
【0075】
以上の如く、本実施形態に係る植付機1は、走行機体の左右に、前後方向の走行に同期して駆動するように構成した一対の無端体71と、前記無端体71上に所定間隔を有して左右方向に枢支して種球を収容するホルダ78が複数並列配置される種球ホルダユニット73と、前記各種球ホルダユニット73の下方に配置され、マルチシート9の所定位置に孔を開ける開孔体79(279・379)を有した開孔ユニット74(174・274)と、前記種球ホルダユニット73と前記開孔ユニット74(174・274)が最下端に位置した時に、種球を押し付けて圃場面に植付ける押出し装置77とを備え、前記種球ホルダユニット73と前記開孔ユニット74(174・274)の取付フレーム95・96は、上下平行に配設され、前記種球ホルダユニット73と開孔ユニット74(174・274)との間に前記開孔体79(279・379)の開閉駆動部76(276・376)が配置される。
【0076】
このように構成することにより、種球ホルダユニット73と開孔ユニット74(174・274)が上下一体となって無端体71・71により回動されるので、前後左右方向の誤差を小さくでき、開孔した位置に確実に種球が開口部からマルチシート9下に挿入され、マルチシート9による種球の根の発育を阻害しないように植え付けることができ、安定した植付が可能である。また、種球ホルダユニット73と開孔ユニット74(174・274)との間に前記開孔体79(279・379)の開閉駆動部76(276・376)が配置されるので、開閉駆動部76(276・376)が外部から保護され、確実に駆動することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る植付機1は、前記開閉駆動部76(276・376)の駆動アーム165(365)が側方に突出し、植付フレーム29に設けたカム体165dに前記駆動アーム165(365)が当接することで開孔ユニット74(174・274)を駆動してマルチシート9を開孔させる。
【0078】
このように構成することにより、マルチシート9に所定位置で確実に孔を開けることが可能となり、駆動機構も簡単に構成できる。
【0079】
また、植付機1の押出し装置77は、前後揺動可能に配置し、前記種球ホルダユニット73と前記開孔ユニット74(174・274)の回動に同期して揺動する。
【0080】
このように構成することにより、押出し装置77は前記種球ホルダユニット73と前記開孔ユニット74(174・274)の回動に同期して揺動するため、種球を押し出して植え付ける時の姿勢が安定して確実に植え付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る植付機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】同じく植付部の構成を示した側面図。
【図3】保持開孔手段の状態を示した斜視図。
【図4】本発明の第一実施例の開閉体が閉じた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図。
【図5】本発明の第一実施例の開閉体が開いた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図。
【図6】本発明の第二実施例の開閉体が閉じた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図。
【図7】本発明の第二実施例の開閉体が開いた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図。
【図8】本発明の第三実施例の開閉体が閉じた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図。
【図9】本発明の第三実施例の開閉体が開いた状態の開閉駆動部の状態を示した平面図。
【図10】本発明に係る左右揺動手段の周辺を示した後面図。
【図11】同じく平面図。
【図12】植付部を支持する手段を示した制御ブロック図。
【符号の説明】
【0082】
1 植付機
9 マルチシート
71 無端体
73 種球ホルダユニット
74 開孔ユニット
76 開閉駆動部
77 押出し装置
78 ホルダ
79 開孔体
95 (上部)取付フレーム
96 (下部)取付フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチシートを被覆した圃場に、走行しながら所定間隔をおいて種球の植付けを行う植付機であって、
走行機体の左右に、前後方向の走行に同期して駆動するように構成した一対の無端体と、
前記無端体上に所定間隔を有して左右方向に枢支して種球を収容するホルダが複数並列配置される種球ホルダユニットと、
前記各種球ホルダユニットの下方に配置され、マルチシートの所定位置に孔を開ける開孔体を有した開孔ユニットと、
前記種球ホルダユニットと前記開孔ユニットが最下端に位置した時に、種球を押し付けて圃場面に植付ける押出し装置と、を備え、
前記種球ホルダユニットと前記開孔ユニットの取付フレームは、上下平行に配設され、前記種球ホルダユニットと開孔ユニットとの間に前記開孔体の開閉駆動部が配置されることを特徴とする植付機。
【請求項2】
前記開閉駆動部の駆動アームは側方に突出し、植付フレームに設けたカム体に前記駆動アームが当接することで開孔ユニットを駆動してマルチシートを開孔させることを特徴とする請求項1に記載の植付機。
【請求項3】
前記押出し装置は、前後揺動可能に配置し、前記種球ホルダユニットと前記開孔ユニットの回動に同期して揺動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の植付機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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