説明

植毛製品の製造方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、植毛製品の製造方法に関するものであり、この植毛製品は車内に取りつけられたコンソールボックス,グローブボックス,カーテンレール等の装飾品やドアガラス,サンルーフに用いられる植毛されたウエザーストリップに利用される。
【0003】
【従来の技術】従来、この種の製造方法としては、特開昭62ー155153号公報に示されるものが知られている。これは、ポリアミドからなる太さ2〜3デニールの糸を長さ0.5〜1mmに切断した後、静電処理して乾燥し、パイルを製造しており、そのパイルをウエザーストリップ(基材)に静電植毛し、更にウエザーストリップの植毛部分にシリコーンを塗布して乾燥することにより植毛製品を製造したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した植毛製品の製造方法であると、パイルをウエザーストリップに静電植毛した後、シリコーンを塗布している為、ウエザーストリップの植毛されたパイル間に位置する表面部にもシリコーンが塗布されてしまい、それを乾燥するのに非常に時間がかかる。更に、シリコーンを乾燥させる場合において、植毛されたウエザーストリップが大型である為、植毛されたウエザーストリップを分離即ち切断して乾燥させる必要がある。以上のことより、単位時間当たりの植毛製品の生産個数が非常に少なく、生産設備が大型化してコストがアップする。
【0005】故に、本発明は、上記の問題点を解決することを、その技術的課題とするものである。
【0006】
【発明の構成】
【0007】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決するために本発明において講じた技術的手段は、ポリアミドからなる糸の表面にシリコーンを塗布して乾燥する工程と、静電処理して乾燥する工程と、所定の長さに切断してパイルを製造する工程と、パイルをゴム又は樹脂からなる基材に静電植毛して植毛製品を製造する工程を有したことである。
【0008】
【作用】上記技術的手段によれば、パイルを製造する段階でシリコーンを塗布している為、パイルを基材に植毛した後にシリコーンを塗布する方法(従来技術)と比較して、余分な箇所にシリコーンを塗布する必要がなくなり、その分シリコーンを蒸発させるのに要する時間が短くなる。又、シリコーンが塗布された糸は切断して分離せずに、1つの乾燥器で一度に乾燥させることができ、生産設備が小型化になり、時間が短縮される。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0010】ホリアミドからなる糸2をシリコーン3液中に10分間浸して、遠心分離器を利用して10分間脱液し、乾燥器内にシリコーンが塗布された糸2を配置して120℃で20分間乾燥した。ここで、シリコーン3としてシリコーンオイルやシリコーン樹脂やシラン化合物等が用いられる。次いで、10%塩化アンモミウム水溶液中で15分間静電処理を行い、その表面が均一に電荷をおびるように表面の抵抗値を略107 〜108 Ωにした。その後、90℃で10分間乾燥して長さ0.8mmに切断して図1に示すようなパイル1(直径19〜20マイクロメートル)を製造した。尚、以上示したパイル1を製造する工程において、静電処理して乾燥する工程と、切断する工程との製造順序を逆にしてもよい。
【0011】図1に示されるように、前述の方法によって製造されたパイル1は、ポリアミドからなる糸2の外周面にシリコーン3が付着したものであり、両端の切断面はポリアミドからなる糸2が露呈している。
【0012】パイル1をゴム又は樹脂からなる基材(例えば、ウエザーストリップ)4に静電植毛して図2に示すような植毛製品5を製造した。ここで、基材4に用いられるゴム又は樹脂はポリアミド1と接着するものであれば何でもよく、そのゴムには、EPDM等が使用され、樹脂には、熱硬化性樹脂,熱可塑性樹脂(例えば、塩化ビニル),紫外線硬化性樹脂等が使用される。
【0013】通常、パイル1は基材4の可動部材(例えばガラス)との接触面に植毛されているが、パイル1にシリコーン3を塗布することにより、撥水性が向上し、可動部材との異音が生じにくくなり、更には、基材4と可動部材との氷結が防がれる。
【0014】本実施例において、パイル1を製造する段階でシリコーン3を塗布している為、パイル1を基材に植毛した後にシリコーンを塗布する方法(従来技術)と比較して、余分な箇所にシリコーン3を塗布する必要がなくなり、その分シリコーン3を蒸発させるのに要する時間が短くなる。又、シリコーン3が塗布された糸2は切断して分離せずに、1つの乾燥器で一度に乾燥させることができる。従って、単位時間当たりの植毛製品5の生産個数が増加し、生産設備が小型化してコストがダウンする。
【0015】
【発明の効果】本発明は、ポリアミドからなる糸の表面にシリコーンを塗布して乾燥する工程と、静電処理して乾燥する工程と、所定の長さに切断してパイルを製造する工程と、パイルをゴム又は樹脂からなる基材に静電植毛して植毛製品を製造する工程を有したので、以下の如く効果を有する。
【0016】パイルを製造する段階でシリコーンを塗布している為、パイルを基材に植毛した後にシリコーンを塗布する方法(従来技術)と比較して、余分な箇所にシリコーンを塗布する必要がなくなり、その分シリコーンを蒸発させるのに要する時間が短くなる。又、シリコーンが塗布された糸は切断して分離せずに、1つの乾燥器で一度に乾燥させることができ、生産設備が小型化になり、時間が短縮される。従って、単位時間当たりの植毛製品の生産個数が増加し、生産設備が小型化してコストがダウンする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパイルの斜視図である。
【図2】本発明に係る植毛製品の断面図である。
【符号の説明】
1 パイル
2 糸
3 シリコーン
4 基材
5 植毛製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリアミドからなる糸の表面にシリコーンを塗布して乾燥する工程と、静電処理して乾燥する工程と、所定の長さに切断してパイルを製造する工程と、前記パイルをゴム又は樹脂からなる基材に静電植毛して植毛製品を製造する工程とからなることを特徴とする植毛製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】特許第3128980号(P3128980)
【登録日】平成12年11月17日(2000.11.17)
【発行日】平成13年1月29日(2001.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−232146
【出願日】平成4年8月31日(1992.8.31)
【公開番号】特開平6−71216
【公開日】平成6年3月15日(1994.3.15)
【審査請求日】平成11年7月13日(1999.7.13)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【参考文献】
【文献】特開 昭55−70370(JP,A)