説明

植物における花の矯正具

【課題】花を観賞する場合、花弁が広がって大きく美しく見れるようにすることができる花の矯正具を提供しようとするものである。さらに、花弁を広く、美しく見せる為に矯正を施す場合、花を傷つけることなく、花弁の反り、ねじれを伸ばすことができる花の矯正具を提供しようとするものである。
【解決手段】花弁の前側に当て付ける当接面を有する前側当部材と、花弁の後側に当て付ける当接面を有する後側当部材と、花弁の前後に夫々当付られた前側当部材と後側当部材とを挟持する第1加圧片と第2加圧片とを備え、二つの加圧片は連結部材で連結し、連結部材の弾力は前側当部材の前側と後側当部材の後側に夫々二つの加圧片を配置した装着状態で、前側当部材と後側当部材とが中間に位置する花弁に向かって、花弁のねじれ、反りは伸ばすが、花弁の組織は破壊しない程度の力で付勢されるように設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物における花が大きく広がって美しい状態となるようにする為の植物における花の矯正具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、観賞用として花が栽培されている。例えば蘭の花(例えば、特許文献1に示される図2参照)は観賞用として好まれている。観賞用の花を栽培する人は、美しく、かつ、豪華な花を咲かせる為に、湿度或いは温度の管理をする等細心の注意を払い、美しい花を咲かせる努力をしている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−330649公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、手をかけて花を咲かせても、花弁がねじれていたり、反っていると、外観上、花弁が比較的小さく見えてしまい、花全体がみすぼらしく、見た目が悪く、観賞用としては美観に乏しい問題点があった。
【0005】
本件出願の目的は、花を観賞する場合、花弁が広がって大きく美しく見れるようにすることができる花の矯正具を提供しようとするものである。
他の目的は、花弁を広く、美しく見せる為に矯正を施す場合において、花を傷つけることなく、花弁のねじれ、反りを伸ばすことができる植物における花の矯正具を提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明における植物における花の矯正は、花弁2の前側に当て付ける為の当接面13aを有する前側当部材13と、花弁2の後側に当て付ける為の当接面23aを有する後側当部材23と、上記花弁2の前側と後側に夫々当て付けられた前側当部材13と後側当部材23とを挟持する為に前側当部材13の前側と後側当部材23の後側に夫々配置するようにした第1加圧片31と第2加圧片32とを備え、さらに上記二つの加圧片31、32は連結部材33で連結し、その連結部材33の弾力は、前側当部材13の前側と後側当部材23の後側に夫々二つの加圧片31、32を配置した装着状態において、前側当部材13と後側当部材23とが中間に位置する花弁2に向かって、花弁2のしわ2aは伸ばすが、花弁2の組織は破壊しない程度の力で付勢されるように設定したものである。
【0007】
また好ましくは、前側矯正部材12は、左右に展開する二つの花弁2、2の前側に夫々当て付ける為の当接面13a、13aを有する二つの前側当部材13、13を備え、かつ、二つの前側当部材13、13は連結部14で相互に一体にし、後側矯正部材22は、左右に展開する二つの花弁2、2の後側に夫々当て付ける為の当接面23a、23aを有する二つの後側当部材23、23を備え、かつ、二つの後側当部材23、23は連結部24で相互に一体にし、上記前側矯正部材12と後側矯正部材22とは下部11cを開閉可能に上部11bにおいて相互に連結し、夫々上記二つの花弁2、2の前側と後側に夫々当て付けられる前側当部材13,13と後側当部材23,23とを夫々個別に挟持する為の二つのピン30は、夫々前側当部材13の前側に配置するようにした第1加圧片31と、後側当部材23の後側に配置するようにした第2加圧片32と、前後の二つの加圧片を相互に連結する連結部材33とで構成し、上記二つのピンにおける夫々の連結部材33の弾力は、前側当部材13の前側と後側当部材23の後側に夫々二つの加圧片31、32を配置した装着状態において、前側当部材13と後側当部材23とが中間に位置する花弁2に向かって、花弁2のしわ2aは伸ばすが、花弁2の組織は破壊しない程度の力で付勢できるように設定したものであればよい。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本願発明は、花弁を矯正する場合、花弁の前側と後側に夫々、当接面を有する前側当部材と後側当部材を当て付けて両者間を縮めることによって、花弁の先部と元部の間を伸ばして花弁を広げることができるものであるから、花弁全体を傷つけることなく、自然の状態で花の面積を広げることができ、花の品質を阻害することなく、大きく広げることができる特長がある
【0009】
本願発明は、上記特長があることにより、矯正後、花を観賞する場合、花弁からねじれ、反りがなくなって、蝶が羽を広げたように花弁が大きく広がって、花全体が大きく見えるので、観賞者は、大きく美しい花を見て楽しむことができる美感上の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本願発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1乃至図4において、1は植物における花、例えばカトレアの花を示す。2は、花弁(ペタルともいう)を示し、2aはしわ、2bは先部、2cは元部、2dは両側を示す。
3は萼(セパルともいう)を示し、3bは先部、3cは元部、3dは両側を示す。
4はセパル、5はリップ、6はステムを示す。
【0011】
11は、図1に示される左右に展開している二つの花弁2、2の反り、ねじれやしわ2aを伸ばして、花弁の先部2b方向と、両側2d、2d方向へ拡張する状態にする為の矯正具を示す。矯正具11は、プラスチック材で形成されている。
12は図3(A)、(B)に示されるように配置させる為の前側矯正部材を示す。前側矯正部材12は、両側左右に展開する二つの花弁2、2に対応した間隔で前側当部材13、13を備える。
前側当部材13は、装着した状態で花弁2、2が見えるように透明材で形成されている。なお、装着した状態で花弁2、2が見えるような半透明であってもよい。さらに、図3のように花弁2、2を押し広げたときに、反りやしわ2aを伸ばして、反りやしわが戻ろうとする力に耐えるような厚さの平板材、例えば軽量にできるフィルム材で形成されている。なおその場合、多孔質のものでもよい。上記厚さとしては、花弁の厚みに応じて決められれば良く、例えば0.15mm、花弁の厚み、大きさによっては0.13〜0.2mm位に設定すればよい。前側当部材13の大きさは、花弁に対応した大きさにすればよく、例えば、図3(A)、(B)に示されるように花弁2、2の元部2cと先部2bとを覆被する程度の大きさがあればよいが、花弁のしわ2aや反りの程度によっては多少小さくてもよい。
13aは花弁2、2の前側に夫々当て付ける為の当接面を示し、花弁2を平たくする為に平坦に形成してある。
14は、二つの前側当部材13、13相互を一体に連結する為の連結部14を示し、前側当部材13、13と一体材で形成してある。
なお、連結部14の下方には、リップ5が挿入可能に欠如部16が設けてある。
【0012】
次に花の後側に配置させる為の後側矯正部材22について説明する。後側矯正部材22は、前側矯正部材12と相互に置き換え可能にする為に、後側当部材23、当接面23a、連結部24、欠如部26は、前述説明した前側当部材13、当接面13a、連結部14、欠如部16と同じ条件のもので構成されている。
なお、欠如部26は前述の欠如部16と同じでもよいが、花の種類によっては、リップ5とステム6の関係で相互に異なるので、必要に応じて高さH2及び幅W2は、欠如部16の高さH1及び幅W1とは変えてもよい。欠如部26の高さH2及び幅W2は、欠如部16の高さH1及び幅W1を基準に長短を決めれば良い。
11aは連結部を示し、前側矯正部材12と後側矯正部材22の下部11cが、それらの間に花弁2、2を挿入する場合に開放し、挿入後は閉じることができるように、屈曲自在に構成されている。連結部11aは、前側矯正部材12と後側矯正部材22との一枚板に折り目を付すことによって連結部を構成してもよい。
なお、花弁の性質に対応して、花弁を少し湾曲させたい場合(花弁の癖を取るために逆方向に湾曲させたい場合)は、一対となる前側矯正部材12と後側矯正部材22を少し対応湾曲させておいてもよい。
【0013】
次に、図2(B)によく表れている41はセパル3の湾曲を矯正するための矯正具を示す。42は前側矯正部材、43は後側矯正部材、41aは連結部を示し、前述した前側矯正部材12、後側矯正部材22、連結部11aと略同じような機能を備えさせてある。
【0014】
次に、30は図3のように花弁2、2を挟んだ状態で前側当部材13と後側当部材23とを挟持する為のピン(挟持部材)を示す。挟持部材30において、31は第1加圧片、32は第2加圧片、33は第1加圧片31と第2加圧片32との連結部材を示す。連結部材33の弾力は、図3に示される装着状態において、前側当部材13と後側当部材23とが、花弁のしわやねじれ、反りは伸ばすが、花弁の組織は破壊しない程度の力で花弁2に向かって付勢されるように設定してある。
34は間隙を示し、上記弾力が得られるように図3(C)、(D)の装着状態の間隙34aよりも狭く形成してあり、使用するときは広げて用いる。
ピン30は、花1の重量負担がないように軽量となるプラスチック材で形成されている。花1の耐力が大きい場合は、プラスチック材で被覆された針金で形成してもよい。さらに、強力な弾力が得られるような弾性材の平板で形成してもよい。
なお、挟持部材30における第1加圧片、第2加圧片は予め矯正具の表裏面と一体にしてあってもよい。
【0015】
上記構成のものを用いて花の矯正の事例を説明する。
図1のように花弁2のねじれたもの、花弁2にしわ2aが寄ってるものを対象にする。
まず、矯正具11の下部を開放して、矯正具11で花弁2、2、リップ5、セパル3,4等を傷つけないよう注意しながら、前側矯正部材12と後側矯正部材22の間に二つの花弁2、2が入るように挿入する。
図3のように、左右に展開する二つの花弁2、2が、夫々の前側当部材13と後側当部材23に覆われる位置まで入ったら、挿入するのを止める。
次に、左側の花弁2のしわ2aやねじれ、反りを伸ばすようにして、左側の前側当部材13と後側当部材23とを徐々に当て付けていく。
しわ2aがある程度伸びたら、ピン30を図3(A)のように差して前側矯正部材12と後側矯正部材22を挟持する。ピン30における連結部材33の弾力によって、前側当部材13と後側当部材23とが、花弁のねじれ、反りは伸ばすが、花弁の組織は破壊しない程度の力で当て付けられる。次に、右側の花弁2についても同様にピン30を装着する。
図3(A)、(C)に示されるように、左右二つの花弁2、2がしわ2aや反りがのびて、大きく広がっている状態であることを確認したら、セパル3に対する矯正具41の装着をする。
【0016】
次に、矯正具41を上述した矯正具11の場合と同様にセパル3に対して装着する。
この状態では、図3(B)、(D)に表れるように、ピン30によってセパル用矯正具41と矯正具11とが一体的に挟持される。
図3(B)に示されるように、セパル3が大きく広がっている状態であることを確認する。
この状態で一定期間おく。期間としては花弁2厚みや状態に応じて決めれば良く、例えば3日前後おく。
【0017】
3日経過後、ピン30、30、30、矯正具11、41を上述したのと逆順に取り外す。
すると花1は図4のようになる。即ち、
左右に展開した二つの花弁2、2において、先部2bと元部2cの間、両側2d、2d間が伸びて、花弁が大きく広がって面積が広くなる。さらに、左右の花弁の先部2b、2b間も広くなる。
セパル3ににおいても同様に先部3bと元部3cの間、両側3d、3d間が伸びて、大きく広がる。
このことから、蝶が羽を広げたように花弁2、2が大きく広がって、花弁のねじれが矯正され、花1全体が大きく見える状態になる。
なお、前側矯正部材12、42、ピン30が透明材で形成されている場合は、矯正中でも左右二つの花弁2、2とセパル3が大きく広がっている状態を見ることができ、美しい花1の姿を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】矯正前の植物における花を説明する為の正面図。
【図2】(A)は矯正具を説明する為の斜視図、(B)は、セパル用矯正具を説明する為の斜視図、(C)はピンを説明するための図。
【図3】植物における花の矯正の事例を説明する為の図で(A)は、矯正具を装着途中の状態を説明する為の図、(B)は矯正具の装着完了状態を説明する為の図、(C)は(B)におけるIV-IV線断面図、(D)は(B)におけるV-V線断面図。
【図4】矯正後の植物における花を説明する為の正面図。
【符号の説明】
【0019】
1・・・植物における花(カトレア)、2・・・花弁(ペタル)、2b・・・先部、2c・・・元部、2d・・・両側、5・・・リップ、11・・・矯正具、11a・・・連結部、12・・・前側矯正部材、13・・・前側当部材、13a・・・当接面、14・・・連結部、22・・・後側矯正部材、23・・・後側当部材、23a・・・当接面、24・・・連結部、30・・・ピン、31・・・第1加圧片、32・・・第2加圧片、33・・・連結部材、34・・・間隙、41・・・セパル用矯正具、41a・・・連結部、42・・・前側矯正部材、43・・・後側矯正部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
花弁の前側に当て付ける為の当接面を有する前側当部材と、
花弁の後側に当て付ける為の当接面を有する後側当部材と、
上記花弁の前側と後側に夫々当て付けられた前側当部材と後側当部材とを挟持する為に前側当部材の前側と後側当部材の後側に夫々配置するようにした第1加圧片と第2加圧片とを備え、
さらに上記二つの加圧片は連結部材で連結し、
その連結部材の弾力は、前側当部材の前側と後側当部材の後側に夫々二つの加圧片を配置した装着状態において、
前側当部材と後側当部材とが中間に位置する花弁に向かって、花弁のねじれ、反りは伸ばすが、花弁の組織は破壊しない程度の力で付勢されるように設定したことを特徴とする植物における花の矯正具。
【請求項2】
前側矯正部材は、左右に展開する二つの花弁の前側に夫々当て付ける為の当接面を有する二つの前側当部材を備え、かつ、二つの前側当部材は連結部で相互に一体にし、
後側矯正部材は、左右に展開する二つの花弁の後側に夫々当て付ける為の当接面を有する二つの後側当部材を備え、かつ、二つの後側当部材は連結部で相互に一体にし、
上記前側矯正部材と後側矯正部材とは下部を開閉可能に上部において相互に連結し、
夫々上記二つの花弁の前側と後側に夫々当て付けられる前側当部材と後側当部材とを夫々個別に挟持する為の二つのピンは、夫々前側当部材の前側に配置するようにした第1加圧片と、後側当部材の後側に配置するようにした第2加圧片と、前後の二つの加圧片を相互に連結する連結部材とで構成し、
上記二つのピンにおける夫々の連結部材の弾力は、前側当部材の前側と後側当部材の後側に夫々二つの加圧片を配置した装着状態において、
前側当部材と後側当部材とが中間に位置する花弁に向かって、花弁のねじれ、反りは伸ばすが、花弁の組織は破壊しない程度の力で付勢できるように設定したことを特徴とする植物における花の矯正具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−228918(P2007−228918A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56741(P2006−56741)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)