説明

植物の生態活性表示方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、農業分野における植物の生態活性表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、野菜作りにおいて、野菜に音楽を聞かせると、発育がよくなるということがいわれ、実際にその試みがなされている。
【0003】また、特公昭51−42006号公報のように植物に電極を取り付けて測定してみると、電位の変化が観測されるということも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の方法では、電位がmVレベルでの観測であり、また測定時間も分単位ないし秒単位で検出しているものなので、植物の生態特性、特に植物の自律的な反応をリアルタイムで観測できるものではなかった。
【0005】また、一般の人々にとって、特に胡蝶蘭やカトレヤといった美しい花がよく知られているものの、その生態特性についてなじみが少なく、また関心が少ないものであった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、園芸植物等の植物の葉面の電位をμVレベルで検出し、上記検出葉面のμVレベルの波形をコンピューターを介してフーリエ変換処理して植物の生態活性状態を出力することを特徴とする植物の生態活性状態表示方法を提供するにある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、園芸植物等の植物の葉面の電位をμVレベルで検出し、上記検出葉面のμVレベルの波形をコンピューターを介してフーリエ変換処理して植物の生態活性状態を出力して、植物の自律的な生態特性を一般の人々にもなじみやすくするものである。
【0008】図1のように園芸植物1の葉2には、一定の間隔をへだててセンサー3、3を貼り付け、葉面のμVレベルの微弱な電位を測定できるようにしている。
【0009】上記センサー3、3には人間の心電図検査用の導電性接着剤を利用した電極を流用していて、このセンサー3、3を図のようにアンプ4やA−Dコンバーダー5を内蔵した送信機6に接続し、アンテナ7、8を介してコンパレーター9を内蔵した受信機10に信号を無線で送信して、適宜の場所でリアルタイムに観測できるようにしている。
【0010】そして、受信機10にマイクロコンピューターのコンビューター11を接続し、上記のようにして検出した電位、電位の変化、および電位の変化をFFT解析等のフーリエ変換処理して、これらをCRT12やスピーカー13に適宜に出力できるようにている。
【0011】上記送信機6、受信機10の観測装置14は、数μVの微弱な電位が検出可能な簡易型の脳波測定装置を植物用に改造したもので、廉価かつ小型で、持ち運びが自由で、容易に設置できるようにしている。
【0012】なお、上記スペクトル曲線を音響処理や画像処理して音響的やビジュアル的に行なうことができる。
【0013】

【実施例】
年令が1年程度のファレノプシス(胡蝶蘭)、カトレヤ、カポックについて、上記のように葉面の電位を1回の測定時間を3分程度として6時間ごとに24時間にわたって測定した。
【0014】これらの各葉面の電位の変化、フーリエ変換によるスペクトルの状態について、図2〜図4に示している。
【0015】ファレノプシスの葉面の電位変化は、図2のように昼間が小さく、夜間が大きい。そして、昼夜それぞれに0〜10Hz前後の周波数帯に数μV/√Hzおよび10〜20μV/√Hz程度のスペクトルがみられ、夜間に10Hz前後の周波数帯において活性があった。
【0016】カトレヤの葉面の電位変化は、図3のように終日みられ、午前中は比較的小さ。スペクトルは、昼夜とも0〜30Hz前後の周波数帯に70〜50μV/√Hz程度の幅広い活性がみられた。
【0017】カポックの葉面の電位変化は、図4のように上記したファレノプシスとは逆に昼間が大きく、夜間が小さい。スペクトルは、朝から昼にかけて0〜10Hz前後の周波数帯で20〜70μV/√Hz程度に増加したが、それ以上の高周波数帯にはみられなかった。
【0018】このように植物の種類で異なる葉面の電位の変化は、1日中で所定のパターンで生じ、その変化パターンは、ファレノプシスとカトレヤが夜間に活発なCAM型光合成を行う事実に、またカポックが昼間に活発なC型光合成を行う事実に対応しているように思われ、この様子を出力表示できて人々になじみやすくなるものである。
【0019】上記では、園芸植物について説明したが、野菜、その他の農産物、果樹、さらにバイオテクノロジーの分野のもの等についても同様に適用することができる。その際、観測時間、時間間隔は、本発明の趣旨にもとづいて連続的としたり、時期、対象に対応して適宜に決定することができる。
【0020】

【発明の効果】
以上のように本発明にあっては、園芸植物等の植物の葉面の電位をμVレベルで検出するので、人間の脳波状態と同じレベルで検出できて、植物の光合成などの生態活性状態を詳細に知ることができる。
【0021】そして、上記葉面のμVレベルの電位やそのスペクトル発生状態のフーリエ変換した検出面の波形をコンピューターで変換処理し、植物の生態活性状態を出力するので、各植物の特徴のある特性部分を人々に親近感を生じさせて興味深く知るようにできる。
【0022】また、園芸植物等の葉面の電位を検出して送信機を介して無線で所定位置の受信機に送信すると、所定の場所で、植物の特性をリアルタイムで容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の概要図、
【図2】同上のファレプシスの観測データー図、
【図3】同上のカトレヤの観測データー図、
【図4】同上のカポックの観測データー図。
【符号の説明】
1…植物 2…葉 3…センサー
6…送信機 10…受信機 11…コンピューター
13…スピーカー 14…観測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 園芸植物等の植物の葉面の電位をμVレベルで検出し、上記検出葉面のμVレベルの電位の波形をコンピューターを介してフーリエ変換処理して植物の生態活性状態を出力することを特徴とする植物の生態活性表示方法。
【請求項2】 園芸植物等の植物の葉面の電位をμVレベルで検出して、その葉面のμVレベルの電位の変化をフーリエ変換処理してスペクトル発生状態を検出し、上記スペクトル発生状態のフーリエ変換した検出葉面の波形をコンピュータを介して変換処理して植物の生態活性状態を出力する請求項1に記載の植物の生態活性表示方法。
【請求項3】 園芸植物等の葉面の検出した電位を送信機を介して無線で所定位置の受信機に送信し、所定位置で園芸植物等の生態活性状態をリアルタイムで出力する請求項1または2に記載の植物の生態活性表示方法。
【請求項4】 胡蝶蘭、カトレヤの蘭系等の園芸植物等の植物の葉面の電位について、朝、昼、夜において検出し、各植物の特徴のある特性部分を出力する請求項1ないし3のいずれかに記載の植物の生態活性表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【特許番号】第2772630号
【登録日】平成10年(1998)4月24日
【発行日】平成10年(1998)7月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−240950
【分割の表示】特願平4−226458の分割
【出願日】平成4年(1992)8月3日
【公開番号】特開平8−187031
【公開日】平成8年(1996)7月23日
【審査請求日】平成8年(1996)1月24日
【出願人】(592183640)