説明

植物ステロールおよびスタノールエステルのコレステロール低下性を強化するための化合物および方法

本発明は、エステル化によって、植物ステロールまたはスタノールの天然のコレステロール低下性と、脂肪酸、より詳細にはステアリン酸の天然のコレステロール低下性とを組み合わせた化合物を包含する。物質のこのような組み合わせにより、消化器系の胃腸管内で正常なコレステロール吸収を阻害することによる相乗的コレステロール低下が提供され、通常用いられるコレステロール低下薬により一般にもたらされる望ましくない副作用の回避を助けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(0002) 本発明は一般に、ヒトの血清コレステロールの低下を助ける補助食品として使用される化合物に関する。より詳細には、本発明は、エステル化などの工程を通して、植物ステロールまたはスタノールを、ステアリン酸などの特定のコレステロール低下性脂肪酸と組み合わせることによって作出される化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
(0001) 本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2003年9月5日に出願された米国仮特許出願第60/500,784号(全体が本明細に援用される)への優先権を主張するものである。
【0003】
(0003) 血清コレステロールである低密度リポ蛋白質(LDL)コレステロールの上昇は、冠動脈性心臓疾患および脳梗塞をはじめとする動脈硬化性疾患の主なリスク要因である(全体が本明細書に援用される非特許文献1参照)。血清コレステロール濃度を減少させれば、これらの疾患のリスクが有意に低下する。従って、現在の食事療法および薬物療法は、血清LDLコレステロールレベルを低下させるように設計されている。血清コレステロールレベルを低下させると、心臓疾患および脳梗塞のリスクが低下することは、科学的証拠が明瞭に示している(全体が本明細書に援用される非特許文献2参照)。コレステロール低下薬を用いた治療が有効であることは、立証されているかもしれないが、これらの薬物の使用は、一部の人々では重篤な副作用を伴ってきた。より望ましいアプローチは、飽和脂肪の量を減らす、または食物繊維を増やすなどの食事療法によって血清コレステロールを低下させることである。これらの食事療法は、一部の人々では有効となり得るが、コレステロールが境界レベルにある人々の大部分では、効果が限られる。集団全体に向けた別の食事療法を見出すことが望ましいのは明らかである。
【0004】
(0004) 植物ステロールがコレステロールを低下させる能力については、何年も前から知られている。植物のステロールおよびスタノール(以後、植物ステロール(スタノール)と呼称する)は、主に小腸からのコレステロール(食事由来および体内で生成されたコレステロール)の吸収を阻害することによって血中コレステロールレベルを低下させる。この阻害能は、植物ステロール(スタノール)の物理化学的性質がコレステロールの性質に類似していることと関係している。一般に認容された、このような阻害が起きる機序の一つが、混合ミセルにおける空間をめぐっての競合によるものである。この分野の初期の研究の幾つかは、ウサギおよびヒトにおける植物ステロールのコレステロール低下能に関する研究を含むものであった(全体が本明細書に援用される非特許文献3および非特許文献4参照)。同じく注目すべきことは、これらの研究の一部において、植物ステロールを与えられたウサギでは、ヒトにおける心臓疾患の主因であるアテローム性動脈硬化が有意に減少したという事実である(全体が本明細書に援用される非特許文献4参照)。後の研究で、植物ステロールが、アテローム硬化性心臓疾患の若年男性において血清コレステロールを有意に17%減少させ得ることが確認された(全体が本明細書に援用される非特許文献5参照)。1日あたり1〜4gのレベルでの植物ステロール(またはそれらの飽和物であるスタノール)の経口摂取が、薬物を使わずにヒトの血清LDLコレステロール濃度を低下させる効果的な手段となることが、これまでに複数の研究で報告されている(全体が本明細書に援用される非特許文献6および非特許文献7参照)。
【0005】
(0005) 植物ステロール(スタノール)は、構造がコレステロールと類似しているが、ヒトの体内では生成されない。植物ステロール(スタノール)は、小腸内でコレス
テロールの吸収を妨害することによって、コレステロール低下効果を発揮する(全体が本明細書に援用される非特許文献8〜10参照)。事実、コレステロールの吸収は、LDLコレステロール濃度と直接相関しており(全体が本明細書に援用される非特許文献11〜13参照)、そのため現在ではコレステロール吸収効率が、西洋人の血清コレステロールレベルの主要な決定因子とみなされている。コレステロール吸収は、LDLコレステロール濃度の重要な調節要因であるため、コレステロール吸収を妨害する新規な薬剤は使用が認可されているが、これらの薬物に関連する長期死亡率および罹患率はまだ知られていない(全体が本明細書に援用される非特許文献14および15参照)。食事療法によるコレステロールレベルの管理が、依然として最も望ましいアプローチである。特に、植物ステロール(スタノール)によってコレステロールを低下させることは非常に魅力的である。というのも、薬物とは異なり、天然植物性物質である植物ステロール(スタノール)は本質的に腸では吸収されず、コレステロール吸収を妨害する過程で正常な排泄によって体内から排除されるからである(全体が本明細書に援用される非特許文献16参照)。植物ステロール(スタノール)は、植物および木材パルプ中に見出される天然由来物質/成分である。植物ステロールは、野菜油および木材パルプ産業由来のトール油などの植物油の供給源から得ることができる。植物ステロールを単離、抽出および回収するための様々な方法が特許化されている(全体が本明細書に援用される特許文献1〜5参照)。
【特許文献1】米国特許第3,993,156号
【特許文献2】米国特許第2,835,682号
【特許文献3】米国特許第2,866,797号
【特許文献4】米国特許第3,691,211号
【特許文献5】米国特許第4,420,427号
【非特許文献1】米国心臓協会(American Heart Association)(2000年)、AHA食事ガイドライン2000年改訂版(AHA dietary guidelines, Revision 2000 )、「米国心臓協会栄養委員会による医療従事者のための声明(A statement for healthcare professionals from the Nutrition Committee of the American Heart Association )」、Circulation、第102巻、p.2296〜2311
【非特許文献2】米国国立衛生研究所(1985年)、「心臓疾患予防のための血清コレステロールの低減(Lowering blood cholesterol to prevent heart disease )」、NIHコンセンサス会議声明、Arteriosclerosis、第5巻、p.404〜412
【非特許文献3】ポラク,O.J.(Pollak, O. J. )(1953年a)「ヒトにおける血中コレステロールの低減(Reduction of blood choleserol in man)」、Circulation、第7巻、p.702〜706
【非特許文献4】ポラク,O.J.(1953年b)「ウサギの実験的高コレステロール血症およびコレステロール性のアテローム性動脈硬化症に関する予防の成功(Successful prevention of experimental hypercholesterolemia and cholesterol atherosclerosis in the rabbit)」、Circulation、第7巻、p.696〜701
【非特許文献5】ファーカー,ジェイ.ダブリュ.(Farquhar, J. W. )、スミス,アール.イー.(Smith, R. E.)およびデンプセイ,エム.イー.(Dempsey, M. E.)(1956年)、「アテローム硬化性心臓疾患の若年男性の血清中脂質に対するβシトステロールの効果(The effect of β-sitosterol on the serum lipids of young men with arteriosclerotic heart disease)」、Circulation、第14巻、p.77〜82
【非特許文献6】ロウ,エム.(Law, M. )(2000年)「植物ステロールおよびスタノールのマーガリンと健康(Plant sterol and stanol margarines and health )」、British Medical Journal、第320巻、p.861〜864
【非特許文献7】ニュエン,ティ.ティ.(Nguyen, T. T. )(1999年)「植物スタノールエステルのコレステロール低下作用(T he cholesterol-lowering action of plant stanol esters)」、Journal of Nutrition、第129巻、p.2109〜2112
【非特許文献8】リーズ,エイ.エム.(Lees, A. M. )、モク,エイチ.ワイ.アイ.(Mok, H. Y. I. )、リーズ,アール.エス.(Lees, R. S. )、マクラスケイ,エム.エイ.(McCluskey, M. A.)およびグランディ,エス.エム.(Grundy, S. M. )、1977年、「コレステロール低下剤としての植物ステロール:高コレステロール血症患者における臨床試験およびステロールバランスの検討(Plant sterol as cholesterol-lowering agents:Clinical trials in patients with hypercholesterolemia and studies of sterol balance )」、Atherosclerosis、第28巻、p.325〜338
【非特許文献9】マトソン,エフ.エイチ.(Mattson, F. H.)、グランディ,エス.エム.(Grundy, S. M. )、およびクラウズ,ジェイ.アール.(Crouse, J. R. )、1982年、「ヒトにおけるコレステロール吸収に対する植物ステロールの最適化(Optimizing the effect of plant sterols on cholesterol absorption in man )」、American Journal of Clinical Nutrition、第35巻、p.697〜700
【非特許文献10】マトソン,エフ.エイチ.(Mattson, F. H.)、ボルペンハイン,アール.エイ.(Volpenhein, R. A. )およびエリクソン,ビー.エイ.(Erickson, B. A. )、1977年、「食事コレステロールの吸収に対する植物ステロールエステルの効果(Effect of plant sterol esters on the absorption of dietary cholesterol)」、Journal of Nutrition、第107巻、p.1139〜1146
【非特許文献11】ギリング,エイチ.(Gylling, H. )およびミエッティネン,ティ.エイ.(Miettinen, T. A.)、1995年、「低密度リポタンパク質コレステロールレベルに対するコレステロール吸収阻害の効果(The effect of cholesterol absorption inhibition on low density lipoprotein cholesterol level)」、Atherosclerosis、第117巻:p.305〜308
【非特許文献12】カサニエミ,ワイ.エイ.(Kesaniemi, Y. A.)およびミエッティネン,ティ.エイ.(Miettinen, T. A.)、1987年、「コレステロールの吸収効率はフィンランド人集団における血漿コレステロールレベルを制御する(Cholesterol absorption efficiency regulates plasma cholesterol level in the Finnish population)」、European Journal of Clinical Investigation、第17巻、p.391〜395
【非特許文献13】ルーデル,エル.エル.(Rudel, L. L.)、デッケルマン,シー.(Deckelman, C. )、ウィルソン,エム.ディ.(Wilson, M. D. )、スコベイ,エム.(Scobey, M.)およびアンダーソン,アール.(Anderson, R.)、1994年、「アフリカミドリザルにおける、食事コレステロールならびにコレステロール7αヒドロキシラーゼおよびコレステロール吸収の下方制御(Dietary cholesterol and downregulation of cholesterol 7 α-hydroxylase and cholesterol asorption in African green monkeys )」、Journal of clinical Investigation、第93巻、p.2463〜2472
【非特許文献14】ベイズ,エイチ.(Bays, H.)、2002年、「エゼチミブ(Ezetimibe )」、Expert Opinion on Investigational Drugs、第11巻:p.1587〜1604
【非特許文献15】ターレイ,エス.ディ.(Turley, S. D. )およびディエツキー,ジェイ.エム.(Dietschy, J. M. )、2003年、「血漿コレステロールレベルを低下させるための薬剤標的としての胆汁性および食事性コレステロールの腸管吸収(The intestinal absorption of biliary and dietary cholesterol as a drug target for lowering the plasma cholesterol level )」、Preventive Cardiology、第6巻、p.29〜33
【非特許文献16】オストランド,R.E.Jr.(2002年)「フィトステロールズ・イン・ヒューマン・ニュートリション」、アニューアル・ レビュー・オブ・ニュートリション22巻、p533〜549(Ostlund, R. E., Jr.(2002), Phytosterols in human nutrition, Annual Review of Nutrition 22:533−549)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(0006) ある種の脂肪酸も、コレステロール吸収を妨害することによって血清コレステロール濃度を自然に低下させることが知られている。先行技術において著しく欠けているのは、植物ステロールとは独立のコレステロール低下性を有することが知られている脂肪酸と組み合わせた植物ステロール(スタノール)エステルである。食品業界は現在、植物ステロール(スタノール)を利用して脂肪酸とともにエステル化し、野菜油または木材のトール油に由来する植物ステロール(スタノール)エステルを形成させている。残念ながら、食品業界で現在利用されている脂肪酸は、独立したコレステロール低下性を提供しない。このため、植物性物質および脂肪酸物質の両方を含有する化合物において、天然由来のコレステロール低下能は決して最適に利用されているとはいえない。それゆえ、植物ステロール(スタノール)および脂肪酸の両方の天然のコレステロール低下性を利用する新規な植物ステロール(スタノール)エステル化合物を提供することが望ましいであろう。
【0007】
(0007) もう一つの問題は、野菜油から製造される現在利用可能な植物ステロール(スタノール)エステルが食物にうまく組み込まれるためには、該食物中にかなりの量の脂肪が存在する必要があることである。野菜油を用いて製造される植物ステロール(スタノール)エステルは、容易に分散されない軟質で粘りのある塊を生成するため、利用は脂肪量の多い食物に限られる。それゆえ、消費者がより多くのより健康的な食物を選択できるように、大量の脂肪の存在を必要とせずに食物および食品などの様々な栄養送達システムにうまく組み込まれ得る新規な植物ステロール(スタノール)エステルを提供することが望ましい。
【0008】
(0008) 従って、植物ステロール(スタノール)単独でのコレステロール低下性を上回る高いコレステロール低下性を備え、現在利用可能なコレステロール低下薬の使用に伴う副作用を回避し得る化合物を提供することが望ましい。更に、食品業界で現在利用されている脂肪酸を上回る高いコレステロール低下性を備えた脂肪酸を使用する化合物を提供することが望ましい。更に、現在利用可能な栄養送達システム(すなわち食物および食品)よりも広範な様々な栄養送達システムにおいて、より広範の用途が可能な化合物を提供することが望ましい。加えて、植物ステロール(スタノール)物質および脂肪酸の両方のコレステロール低下性を包含する化合物を製造する方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(0009) したがって本発明は、植物ステロール(スタノール)などの植物性物質による天然由来のコレステロール低下性を、脂肪酸、より具体的にはステアリン酸のコレステロール低下性と併せることによって、LDLコレステロールを相乗的に低下させる新規な化合物を提供する。本発明の目的は、小腸の腸壁でコレステロール吸収を遮断することにある。本発明のコレステロール低下性は、当業者が想到する様々な機序で発揮されうる。例えば、本発明の新規な化合物が、腸壁の結合部位についてコレステロールと競合しもよいし(混合ミセルとの競合)、かつ/またはミセル形成を妨害してもよい。
【0010】
(0010) 本発明の更なる目的は、現在利用可能な薬物療法を利用することによって生じ得る毒性の回避を助けながら、コレステロール吸収を低下させることにある。本発明の新規な化合物は、もっぱら胃腸管内、詳細には小腸内で作用し、消化器系を通して排泄される。本発明による植物ステロール(スタノール)と脂肪酸との組み合わせによって
、血管系など様々な他の系への吸収が回避されることにより、現在利用可能なコレステロール低下薬療法の多くに関わる毒性問題が回避される。
【0011】
(0011) 本発明により、植物ステロール(スタノール)および脂肪酸に見出される天然のコレステロール低下性を、固体または液体などの様々な状態で存在することができる新規な化合物中で併用することが可能となる。本発明の新規な化合物の送達は、該化合物が動物、例えばヒトなどの哺乳類の消化器系の胃腸管内に入る効果を増大させ、かつヒトの血清コレステロールの低下を助ける可能性のある、固体または液体の形態の化合物を経口摂取することによって行われてもよい。
【0012】
(0012) 本発明のさらに別の目的は、現在利用可能な他のコレステロール低下性製品よりも溶解度や分散特性(分散性)が大きいなどの高い物理的性質、ならびに食物および食品などの様々な栄養送達システムへのより広範な利用性を有するコレステロール低下化合物を提供することにある。溶解度および分散性が高まることにより、本発明のコレステロール低下化合物の活性物質の濃度が高くなり、コレステロールが吸収される部位に到達してコレステロールの吸収阻害を助けることができる。
【0013】
(0013) 前述の一般的説明および以下の詳細な説明は、いずれも例示および説明に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。明細書に組み込まれその一部を構成する添付の図面は、本発明の実施態様を例示しており、一般的説明と併せて本発明の本質を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(0014) 本発明の数々の有利な点については、当業者であれば添付の図面を参照することにより一層理解することが可能である。
【0015】
(0015) ここに本発明の目下好ましい実施形態を詳細に参照し、その実施例を添付の図面に示す。
【0016】
(0016) ここに図1〜4を参照しながら本発明の例示的実施形態を示す。好ましい実施形態において、本発明の新規なコレステロール低下化合物は、図1に示す植物ステロールエステルである。該植物ステロールエステルは、植物性のコレステロール低減物質、詳細には植物ステロールとともにエステル化された、ステアリン酸などの脂肪酸を含む。あるいは植物スタノール、つまり別の植物性のコレステロール低減物質が、ステアリン酸などの脂肪酸によってエステル化されてもよい。別途明記されない限り、植物性のコレステロール低減物質を、以後、植物ステロール(スタノール)と呼ぶ。図1の現行の実施形態において、植物ステロールのエステル化に利用されるステアリン酸は、精製ステアリン酸である。脂肪酸(ステアリン酸)を植物ステロール(スタノール)とともにエステル化することにより、本発明の新規化合物の、ヒトに消費される食品など様々な栄養送達システムへの組み込みが促進される。こうして本発明は、植物ステロール(スタノール)および脂肪酸(ステアリン酸)の両方の自然なコレステロール低下性を利用することによって、ヒト、家畜、ペットをはじめとする哺乳類などの動物において、相乗的コレステロール低下をもたらす化合物を提供する。
【0017】
(0017) 別の実施形態において、植物ステロール(スタノール)は、ステアリン酸をはじめとする脂肪酸によってエステル化されてもよく、その場合の脂肪酸は、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドなどの様々な形態で存在していてよい。脂肪酸のこれらの形態が、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、トランス脂肪酸、シスオレイン酸またはリノレン酸などの脂肪酸の混合物を含む全脂肪/油またはその混合物に含有されていてもよい。好ましい実施形態において、全脂肪/油またはその混合物は
、高率(高濃度)のステアリン酸を含有するか、またはステアリン酸を強化されている。モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド形態で存在する脂肪酸を使用することによって、エステル化工程が進行する。これらの形態の脂肪酸は、様々な食品(成分として)および/または補助食品などの様々な栄養送達システムに比較的容易に組み込まれるため、本発明での使用に有利となり得る。
【0018】
(0018) 典型的な脂肪酸供給源としては、牛脂、ココアバター、クパス種子油、デュパ(dhupa )油、ガンボジバター、コクム(kokum )バター、マンゴーシードオイル、サラノキの脂肪、セクア(sequa )油、およびシアナッツ油などの様々な油および脂肪が挙げられる。この様々な油および脂肪は、野菜由来または動物由来のいずれであってもよいと考えられる。これらの脂肪酸供給源は、脂肪酸をモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよびリン脂質の形態で提供しうる。更に、本発明の新規な化合物において使用する場合、これらの供給源がステアリン酸などの特定の脂肪酸を自然に含有するものでもよい。例えば、米国においては、牛脂はステアリン酸の非常に安価な供給源であり、低費用で植物ステロール(スタノール)をエステル化するのに用いることができる。
【0019】
(0019) 好ましい実施形態において、天然由来の油および脂肪は、高率(高濃度)または無視できない量の所望の脂肪酸、具体的にはステアリン酸を含む。脂肪および油の中の無視できない量の脂肪酸(例えばステアリン酸)とは、好ましくは濃度30%の該当する脂肪酸(ステアリン酸)を提供し得ると理解されたい。無視できない量の所望の脂肪酸は、本発明において濃度20%〜100%の範囲内であってもよいものとする。あるいは無視できない量は、濃度10%〜100%の範囲内であってもよい。脂肪酸供給源(例えばダイズ油)からの無視できる量の所望の脂肪酸(例えばステアリン酸)とは、その所望の脂肪酸を10%未満含有していてもよい。あるいは、ステアリン酸などの脂肪酸の濃度は、当業者の判断により無視できる、または無視できないとみなされてもよい。
【0020】
(0020) 典型的な植物ステロール供給源は、植物および木材パルプを包含してもよい。例えばダイズは、植物ステロールの豊富な供給源であることは公知である。加えて植物ステロールは、植物油供給源、例えば野菜油およびトール油などから得られてもよい。別の植物ステロール供給源を、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者の意図するとおり本発明によって利用してもよい。
【0021】
(0021) 本発明は、高率または高濃度の所望の脂肪酸(例えばステアリン酸)を含有しない脂肪および油を水添して、所望の脂肪酸の濃度を上昇させることにより、本発明による使用を可能にすることも意図している。従って、無視できる量の所望の脂肪酸を含む脂肪酸供給源の油および脂肪、例えば野菜油(例えば菜種、ダイズ)およびトール油などは、水添工程によって所望の脂肪酸、例えばステアリン酸を強化してもよい。このことは、本発明が、供給源として広範囲の油および脂肪を、該油および脂肪が特定の脂肪酸を所望の濃度で含有していても、していなくても使用可能であるという点で有利となり得る。
【0022】
(0022) 図1で示されるエステル化工程は、食品業界で広範囲に使用される公知の工程のいずれであってもよい。詳細には、食品業界で主として用いられるエステル化工程は、食用油に由来する遊離ステロールおよび脂肪酸メチルエステルを用いる塩基触媒反応である(全体が本明細書に参考として援用される米国特許第5,522,045号を参照されたい)。大過剰の脂肪酸メチルエステルが反応を進行させるのに必要となり、その反応はメタノールも生成するので、食品等級の材料にまで精製するのは困難である。あるいは、脂肪酸メチルエステル、溶剤または触媒を用いずに、遊離ステロールを真空下で野菜油脂肪酸と共に加熱してもよい(全体が本明細書に参考として援用される米国特許第6,410,758号を参照されたい)。
【0023】
(0023) 水添によるステロールのスタノールへの変換は、食品業界での一般的実践法である(全体が本明細書に参考として援用される米国特許第5,244,887号を参照されたい)。ラットにおける初期の試験により、スタノールが、血清コレステロールの低減において、ステロールよりもわずかに効果的となり得ることが示唆された(全体が本明細書に参考として援用されるスガノ,エム.(Sugano, M.)、モリオカ,エイチ.(Morioka, H. )およびイケダ,アイ.(Ikeda, I. )、1977年、「ラットにおけるβ−シトステロールおよびβ−シトスタノールの血中コレステロール低減活性の比較(A comparison of hypocholresterolemic activity of β-sitosterol and β-sitanol in rats)」、Journal of Nutrition、第107巻、p.2011〜2019を参照されたい)。しかしヒトにおけるより近年の研究によって、ステロールが血清LDLコレステロール濃度の低減においてスタノールと同程度に効果的であること(全体が本明細書に援用されるミエッティネン,ティ.エイ.(Miettinen,T.A.),およびバンハネン,エイチ.(Vanhanen, H.)、1994年、「食物由来のシトスタノールは種々のアポリポタンパク質E表現型においてコレステロールの吸収、合成、および血清中濃度に関与した(Dietary sitostanol related to absorption, synthesis and serum level of
cholesterol in different apolipoprotein E phenotypes )」、Atherosclerosis、第105巻、p.217〜226;ウエストストレート,ジェイ.エイ.(Weststrate, J. A. )およびメイジャー,ジー.ダブリュ.(M eijer, G. W. )、19
98年、「正常コレステロール値および軽度の高コレステロール血症の患者における、植物ステロール強化マーガリンと、全コレステロールおよびLDLコレステロール濃度の低下(Plant sterol-enriched margarines and reduction of plasma total- and LDL-cholesterol concentrations in normocholesterolaemic and mildly hypercholesterolaemic
subjects )」、European Journal of Clinical Nutrition、第52巻、p.334〜343を参照されたい)、あるいはむしろスタノールよりも良好であることも示されている(全体が本明細書に参考として援用されるジョーンズ,ピー.ジェイ.エイチ.(Jones, P. J. H. )、レイニ−サージャズ,エム.(Raeini-Sarjaz, M. )、ナニオス,エフ.ワイ.(Ntanios, F. Y.)、バンストン,シー.エイ.(Vanstone, C. A. )、フェン,ジェイ.ワイ.(Feng, J. Y. )、およびパーソンズ,ダブリュ.イー.(Parsons, W. E.)、2000年、「フィトステロールエステルおよびフィトスタノールエステルによる血漿中脂質レベルおよびコレステロール動態の変化の比較(Modulation of plasma lipid levels and cholesterol kinetics by phytosterol versus phytostanol esters )」、Journal of Lipid Research、第41巻、p.697〜705を参照されたい)。現在では、エステル化型または遊離型のどちらの形態で経口摂取されても、植物ステロールおよびスタノールのコレステロール低下能は等しいとして一般に認識されている(全体が本明細書に参考として援用されるオストランド,アール.イー.ジュニア.(Ostlund, R. E.)、2002年、「ヒトの栄養学におけるフィトステロール(Phytosterols in human nutrition )」、Annual Review of Nutrition、第22巻、p.533〜549を参照されたい)。
【0024】
(0024) 従って本発明は、高い溶解度および分散性を有し得る植物ステロール(スタノール)のエステル誘導体を包含する。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、経口摂取によって送達されて消化器系に受容されうる。胃腸管内での本発明の化合物の有効性は、該化合物の溶解度および分散性の因子であると考えられる。溶解度は、液状溶液に溶解し得る化合物の量を指す。溶解度を上昇させることにより、単回投与形態または単回摂取形態(即ちカプセル、錠剤、サプリメント、ソフトゲル)における、動物、例えばヒトに取り込まれる植物性のコレステロール低減物質の量を増加させることもできる。分散性は、胃腸管への経口摂取など、取り込まれた場合の化合物の崩壊および分布を指す。分散性を上昇させることにより、消化器系内において化合物を分散させ、その結果コ
レステロール吸収の妨害を増強し得る化合物を含む胃腸管の面積を増加させることができる。
【0025】
(0025) 本発明の新規な化合物は、様々な状態、例えば液体および/または固体として存在しうる。本発明の化合物をこれらの様々な状態に形成させることができることは、該新規化合物を動物、例えば消化器系を有する哺乳類(例えばヒト)、家畜、ペット動物などに摂取させ、送達し、または投与するのに有利となり得る。固体としては、植物ステロール(スタノール)および脂肪酸(ステアリン酸)を含む本発明の化合物を、消化器系に受容、送達または投与される化合物の能力の上昇を補助しうる様々な形態、例えば補助食品、錠剤、顆粒、カプセル(即ちソフトゲルカプセル)、粉末などの形態で経口摂取されるよう構成すればよい。例えば本発明の新規な化合物は、エネルギーバーまたは液体と混和し得る粉末状混合物の形態であってもよい。例えば牛脂由来のステアリン酸を用いて製造された植物ステロール(スタノール)エステルは、現在利用可能な植物ステロール(スタノール)エステルよりも容易に食品に組み込まれる乾燥粉末として存在する。従って本発明の新規な化合物の相乗的コレステロール低下効果は、広範な栄養送達システムに含めることができる。
【0026】
(0026) 液体状態では、本発明の新規な化合物を、水溶液、有機溶液、懸濁液およびエマルションとして様々に構成することができる。例えば、液体としての本発明の化合物は、様々な飲料または液状食品の中により容易に含めることができる。その上、液状溶液は、固体形態よりも液体化合物が好ましい様々な栄養送達システム(例えば食品)における化合物の利用性を上昇させることができる。エマルション形態および/または懸濁形態は、そのような形態が好ましい様々な栄養送達システムに組み込ませることができる。
【0027】
(0027) 従って、本発明は、本発明の固体または液体形態を消化器系に摂取させることによって、ヒトの血清LDLコレステロールレベルの低減または低下を助けることができる。更に、本発明の新規化合物は、例えば高コレステロールの患者をターゲットとする治療市場において、アテローム性動脈硬化などの疾患の発病の低減を助けることができるため有用となり得る。家畜/動物飼料市場およびペット市場においてコレステロールの処理およびコレステロール関連疾患の治療に関わる別の用途も、本発明の範囲および精神に含まれる。
【0028】
(0028) 別例として、本発明の新規な化合物は、遊離型の植物ステロール(スタノール)および遊離型の脂肪酸(ステアリン酸)を含む混合物で構成されていてもよいものとする。そのような混合物でのステアリン酸は、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドまたはリン脂質の形態で存在する脂肪酸の物質として提供される。好ましい実施形態において、脂肪酸は、高率のステアリン酸を含有する。あるいは使用される脂肪酸は、ステアリン酸を無視できる量しか含有しないのでステアリン酸を強化されてもよい。本発明の新規な化合物の混合形態は、化合物を製造するのに必要な処理量を減少させることができるという点でエステル化形態よりも有利となり得る。
【0029】
(0029) 本発明の新規な化合物のエステル化形態および混合形態のいずれも、植物ステロール(スタノール)および脂肪酸(ステアリン酸)の有利なコレステロール低下性を提供し得る形態で、該2種の物質の両方を提供するものとする。植物ステロール(スタノール)および脂肪酸は、別個の構成物質として、いずれもコレステロール吸収の遮断を促進し得る。これまで述べたとおり、植物ステロール(スタノール)は、腸壁で結合部位をコレステロールと競合することによってコレステロール吸収の遮断を促進することができ(混合ミセルとの競合)、脂肪酸はミセル形成を妨害することができる。各物質により促進されるコレステロール吸収遮断の機序は、本発明の範囲および精神を逸脱すること
なく変動してもよいものとする。
【0030】
(0030) エステル化形態では、植物ステロール(スタノール)エステルは、コレステロール吸収を遮断する機能を持つ。植物ステロール(スタノール)とのエステル化によって脂肪酸(ステアリン酸)のカルボン酸官能基が隠される結果、植物ステロール(スタノール)と、ステアリン酸または天然由来のコレステロール低下性を含む他の脂肪酸とを、該物質のコレステロール遮断機能が実行される腸へと送達する効率が上昇しうる。植物ステロール(スタノール)およびステアリン酸の安定性を高め、かつ溶解度および分散性を改善することによって、消化器系、特に腸管内でのこれらの構成物質の濃度を、該構成物質をエステル化されていない形態で送達させた場合よりも高めることができる。従って、本発明の使用によるコレステロール濃度、特に血清LDLコレステロール濃度の低下は、ステアリン酸による植物ステロール(スタノール)のエステル化を通して高めることができる。
【0031】
(0031) エステル化形態の化合物が、消化器系に存在する酵素、例えばエステラーゼにより各構成物質に分解されて、植物ステロール(スタノール)および脂肪酸(ステアリン酸)がそれぞれの遊離形態に再度変換されてもよい。これまで記載したとおり、いずれの物質の遊離形態も、コレステロール吸収の遮断を機能的に促進することができる。エステル化形態の大部分は、エステラーゼとの相互作用を通して胃腸管の内部で各成分に分解されると予測される。あるいは脂肪酸がモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドまたはリン脂質の形態で存在する場合には、様々な他の酵素、例えば胃リパーゼ、膵臓リパーゼなどが脂肪酸を分解して、遊離脂肪酸および遊離植物ステロール(スタノール)を生じてもよい。
【0032】
(0032) エステル化形態の本発明の化合物は、有利な特徴を示すことができる。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、経口摂取によって送達されてもよい。エステル化化合物は、該化合物の植物ステロール(スタノール)および脂肪酸をより効果的な量送達することを可能にし得るこの経口摂取可能な形態を発展させる可能性があり、このことにより消化器系に導入された際の化合物の有効性を決定付ける可能性がある。例えば植物性のコレステロール低減物質が単独で投与される場合、消化器系に入ると自然な生物学的処理を受けて量的に抑制されると思われる。エステル化形態であれば、動物、例えばヒトが受け入れる植物性コレステロール低減物質の量を増加させる可能性がある。エステル化植物ステロール(スタノール)の受容量の増大は、単回摂取形態(即ちカプセル、錠剤、サプリメント)の経口摂取または複数回摂取によっても可能である。したがって本発明は、現在利用可能な他の製品よりもコレステロール低下性が高い化合物を提供するだけでなく、広範囲の食品に該化合物が組み込まれる能力を高める溶解度および他の物理的特性が高い化合物をも提供するという、さらなる利点を有している。
【0033】
(0033) 本発明は、植物性のコレステロール低減物質、例えば植物ステロール(スタノール)を脂肪酸、特に精製ステアリン酸、または高濃度のステアリン酸を含むかステアリン酸を強化した脂肪/油と混合するエステル化工程を含む。先行技術に著しく欠けているのは、植物ステロールとは独立のコレステロール低下性を有することが知られる脂肪酸と混合した植物ステロール(スタノール)エステルである。食品業界では、高濃度のステアリン酸を含有しない野菜油(例えば菜種油、ダイズ油)または木材のトール油に由来する脂肪酸とエステル化された植物ステロール(スタノール)を利用している。新規な植物ステロール(スタノール)エステルを、血清コレステロールの低下を助けるために、食物の成分、補助食品として用いたり、様々な栄養送達システムに組み込んだりすることが考えられる。図1に示すとおり、典型的な植物ステロール(スタノール)をステアリン酸とエステル化することにより、相乗的なコレステロール吸収遮断効果を提供する本発明の新規な植物ステロール(スタノール)が得られる。こうして食事療法計画にこのような
植物ステロール(スタノール)エステルを組み込むことによって、植物ステロール(スタノール)または脂肪酸(ステアリン酸)のいずれかを互いに独立して摂取する場合よりも血清コレステロールを低下させる能力が向上し得る。
【0034】
(0034) 植物ステロール(スタノール)を、精製ステアリン酸と、または高率(濃度)のステアリン酸を含むかステアリン酸を強化した脂肪/油とエステル化した場合は、植物性のコレステロール低減物質もしくはステアリン酸のいずれかを別個に摂取した場合や、別の脂肪酸(無視できる量のステアリン酸を含有していてもよい)、例えばダイズ脂肪酸とエステル化した等量の植物ステロール(スタノール)を摂取した場合よりも、コレステロール吸収の遮断が有意に大きい。この相乗効果によって、一般に植物ステロール(スタノール)のコレステロール低下性のみを提供する現行の植物ステロール(スタノール)エステルを上回る顕著な利点が、本発明の新規な化合物に付与される。このようにステアリン酸とエステル化された植物ステロール(スタノール)は、摂取されると血清コレステロールを有意に低下させ得る強力な天然物質である。本発明の植物ステロール(スタノール)が組み込まれ得る広範囲の使用可能な製品および栄養送達システムによって、本発明は、血清コレステロールならびに心臓疾患および心臓発作のリスクを低下させる、薬物を使用しない自然な方法を提供する。
【0035】
(0035) 図2に含まれるデータに示されるとおり、脂肪酸、例えば精製ステアリン酸および/もしくは脂肪/油全体、またはその混合物、例えば牛脂(高率のステアリン酸)または無視できない量のステアリン酸が強化された油などを植物ステロールとエステル化することによって生成される化合物である植物ステロールエステルを与えたハムスター群では、別の脂肪酸、例えば無視できる量のステアリン酸を含有するダイズ油脂肪酸を用いて生成された植物ステロールエステルを与えたハムスターと比較して、血漿中の総コレステロールおよびLDLコレステロールレベルが有意に減少した。
【0036】
(0036) 植物ステロールと組み合わせた様々な脂肪酸の使用を比較したが、牛脂由来のステアリン酸の場合、植物ステロールと組み合わせて本発明のステロールエステル化合物を形成させると、無視できる量のステアリン酸を含有するダイズ油脂肪酸を植物ステロールと組み合わせて形成された植物ステロールエステルと比較して予期しない結果が得られた。詳細には、ダイズ油脂肪酸を用いて製造された植物ステロールエステルを与えたハムスターの平均LDLコレステロール濃度は108mg/dLであり、精製ステアリン酸を用いて製造された植物ステロールエステルを与えたハムスターのLDLコレステロール濃度はわずか30mg/dLであることが観察された。このことは、消費者が現在入手できるコレステロール低下マーガリンが無視できる量のステアリン酸を含む野菜油を用いて製造された植物ステロール(スタノール)エステルを含有していることから、特に注目に値する。従って、本発明は、公知の食品に組み込まれてこれらの食品の消費者のLDLコレステロール濃度の低下を向上させる可能性がある。
【0037】
(0037) 図4に示されるとおり、精製ステアリン酸または牛脂脂肪酸を用いて製造された植物ステロールエステルを与えたハムスターでは、腸のコレステロール吸収に同様の減少が観察された。図2に示すとおり、精製ステアリン酸および牛脂脂肪酸などの全脂肪混合物(ステアリン酸を含有する)を用いて製造された植物ステロールエステルを与えたハムスターでは、肝臓コレステロールの同様の減少も観察された。まとめると、図2、3および4に示すとおり、(i)植物ステロールエステルを牛ひき肉含有食にうまく組み込むことが可能であること、(ii)植物ステロールエステルを強化した牛ひき肉を摂取すると血漿および肝臓のいずれのコレステロール濃度も低下すること、(iii)植物ステロールによる血漿および肝臓コレステロールの減少は、コレステロール吸収の減少に起因すること、ならびに(iv)牛脂脂肪酸を用いて製造された植物ステロールエステルでは、血漿コレステロール、肝臓コレステロールおよびコレステロール吸収の減少が、ダ
イズ油脂肪酸を用いて製造された植物ステロールエステルよりも有意に大きいこと、がデータによって示された。
【0038】
(0038) 本願によって支持される本発明は、3つの大きな領域、すなわち(1)消費者、(2)食品業界、および(3)農産物(コモディティ)業界において有益な効果を提供すると解釈することができる。
【0039】
(0039) 第1に、牛脂などの供給源由来のステアリン酸を用いて製造された植物ステロール(スタノール)エステルを含有する食品は、消費者にとっての効果的なコレステロール低下手段となり得る。これらの植物ステロール(スタノール)エステルのコレステロール低下能は非常に効果的であるため、薬物療法に代わるコレステロール低減法とみなすことができる。このことにより、消費者のコストが削減され、これらのコレステロール低下薬(処方薬または非処方薬)の多くのユーザーが被る副作用が低減されうる。これまで述べたとおり、牛脂などの供給源由来のステアリン酸などの脂肪酸を用いて製造された植物ステロール(スタノール)エステルを広く適用することにより、消費者に食物の選択肢が多数提供される。消費者にとってより健康的な食物の選択肢を提供することは、多忙な生活様式を維持しながらも食事の最適化に関心のある消費者には重要なことである。
【0040】
(0040) 食品業界では、栄養補助食品および機能性食品、強化食品ならびにその他の「健康」食の販売が、近年になり急速に成長を見せている。例えば2000年には、栄養補助食品およびこの種の食品の売上は、500億米ドルを超えていた。ステアリン酸などの脂肪酸の使用によって製造される本発明の新規な植物ステロール(スタノール)エステルには広い用途があるため、上記の範疇に含まれる食品の開発は非常に促進されるであろう。別の重要な要因は、上記の食品類に関する一般大衆の認識である。現在、一般的な認識は非常に肯定的であり、上記食品類の需要は高まると思われる。本発明は、消費者の需要への適合を助けるため、多種多様なこれらの食品類における使用に適合し得る新規な化合物を提供する。
【0041】
(0041) 第3の利益は、農産物業界、特に牛肉およびダイズの生産者にもたらされるであろう。植物ステロール(スタノール)を無視できない量のステアリン酸を含む牛脂脂肪酸と組み合わせることによって、本発明は、以前は認識も利用もされなかった牛脂の有用で「健康的」な用途を提供し、その結果現存する過剰な牛脂の価値が大きく高まり得ることが実証された。更に、ダイズ、ピーナッツまたは他の天然供給源から多量の植物ステロールが製造され得るため、ダイズ業界に有利であろうと予測される。更に、例えばダイズから植物ステロールを単離することで、例えばダイズタンパク質などの他のダイズ製品の加工および用途が損なわれるわけではない。従って、脂肪酸および植物ステロールを製造するためにそれぞれ牛脂およびダイズの使用が増大することにより、これらおよび他の関連農産物の現在は使用されていない成分に対して価値が付加され得る。
【0042】
(0042) 本発明は、コレステロールを低下させる方法500を提供する。最初のステップ510では、本発明のコレステロール低下化合物を含有する生成物が動物に与えられる。該生成物は、様々な栄養送達システム、例えば本発明の化合物が成分として組み込まれた食品または本発明の新規な化合物を含有する補助食品に組み込み可能である。更に該生成物は、消化器系の胃腸管への新規化合物の送達を促進しうる、経口摂取用に設計された製品に組み込まれてもよい。
【0043】
(0043) 別の実施形態において、本発明の化合物を含有する生成物が、最初にユーザーによって選択されてもよい。選択した後、ユーザーは上記用途のいずれかによって化合物を摂取すればよい。更に別のステップにおいて、本発明の化合物が食事療法計画に組み込まれてもよい。食事療法計画は、コレステロール低減食を食事療法計画の実施者に
提供するよう設計される。従って、本発明の化合物は、ユーザーにとってより健康的な生活様式を促し、コレステロールの低下によって循環器系を改善して心臓疾患のリスクを低下させることができる。
【0044】
(0044) 本発明の別の実施形態では、本発明の化合物を製造する方法600が提供される。最初のステップ610において、植物ステロール(スタノール)が選択される。植物ステロール(スタノール)の選択の前に、供給源が選択されてもよいものとする。供給源は、植物ステロール(スタノール)物質を提供する野菜(即ちダイズ)、植物(即ちトールの木)などであってもよい。ステップ620において、精製ステアリン酸が脂肪酸として選択される。精製ステアリン酸は、遊離形態で回収されてもよいし、既述のとおり様々な脂肪酸供給源から得てもよい。例えば脂肪酸供給源は、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドの形態のうち少なくとも1種類の形態の脂肪酸を提供するとよく、該脂肪酸はステアリン酸が高濃度であってもよいし、または水添法によってステアリン酸を強化されてもよい。ステップ630において、精製ステアリン酸を植物ステロール(スタノール)とエステル化して、本発明の化合物を形成させる。選択されるステアリン酸はモノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリドの形態であるとよく、この脂肪酸が植物ステロール(スタノール)とエステル化されるとよい。
【0045】
(0045) ここで図7を参照すると、本発明の化合物を製造するための第2の例示的方法700が提供される。最初のステップ710において、植物ステロール(スタノール)が選択される。既述のとおり、植物ステロール(スタノール)は、植物ステロール(スタノール)の豊富な供給源である様々な供給源、例えば野菜(即ちダイズ)、植物(即ち木材のトール)などに由来してもよい。ステップ720において、ステアリン酸などの脂肪酸を提供する脂肪酸供給源が選択される。脂肪酸供給源は、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよびリン脂質の形態のうち少なくとも1種類の形態の脂肪酸を提供してもよく、ステアリン酸が高濃度であってもよいし、または水添法によってステアリン酸が強化されてもよいことを理解されたい。ステップ730において、脂肪酸を植物ステロール(スタノール)と混合して、本発明の化合物を形成させる。
【0046】
(0046) 様々な製造方法が、該化合物を食品などの製品に組み込むステップを更に含んでもよいものとする。本発明の製造方法によって、新規な化合物を、食物の成分として利用され得る形態で、または様々な栄養送達用の形態で生産することができる。例えば本発明の製造方法が、該化合物を高エネルギーバーなどの補助食品とするステップを包含してもよい。無視できる量のステアリン酸を含む上記の様々ないずれかの形態の脂肪酸が、ステアリン酸を強化されて、本発明によって使用されてもよいことも更に考えられる。
【0047】
(0047) 開示した方法のステップの特定の順序または序列は、例示的アプローチの実施例であることは理解されよう。設計上の優先度に基づいて、本発明の方法におけるステップの特定の順序または序列を、本発明の範囲および精神の範囲内に留めながら再配列させてもよいことは理解されよう。更に、脂肪酸(ステアリン酸)の供給源は、本発明の範囲および精神を逸脱しない範囲で、精製ステアリン酸、全脂肪/油またはその混合物、および上記の強化油の間で様々であってよい。添付の特許請求の範囲の方法は、様々なステップの要素を試行的な順序で示しており、必ずしも提示された特定の順序または序列に限定するものではない。
【0048】
(0048) 本発明およびそれに付随する利益の多くが、以上の説明によって理解されるものと思われる。また、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、または材料の利点全てを犠牲にすることなく、成分の形態、構成および配置に様々な変更を施し得ることも明白であろうと思われる。本明細書の既述の形態は、その例示的実施態様にすぎない
。そのような変更を包含することが、以下の特許請求の範囲の意図するところである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ステアリン酸分子、植物ステロール分子、およびこれらのエステル化によって得られた生成物である植物ステロールエステルを示す図。
【図2】植物ステロールエステルを与えたハムスターの血漿および肝臓コレステロールを示す表。
【図3】植物ステロールエステルを与えたハムスターにおける1日あたりのコレステロールの排出および摂取を示す表。
【図4】植物ステロールエステルを与えたハムスターにおける1日あたりのコレステロールの吸収および排泄を示す表。
【図5】本発明の新規な化合物を動物が摂取する方法を示すブロック図。
【図6】本発明の例示的実施形態による、新規な化合物を製造する方法を示すブロック図。
【図7】本発明の新規な化合物を製造する第2の例示的方法を示すブロック図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸と、
植物ステロールまたは植物スタノールからなる群から選択される植物性のコレステロール低減物質と
を含むコレステロール低下化合物であって、
脂肪酸が、植物性のコレステロール低減物質とエステル化されており、動物による摂取に適していることを特徴とする化合物。
【請求項2】
前記脂肪酸が、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、トランス脂肪酸、シスオレイン酸およびリノレン酸からなる群から選択される脂肪酸を包含する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記脂肪酸が、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの形態のうち少なくとも1種類の形態で存在する、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの形態が、高率のステアリン酸を含有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの形態が、ステアリン酸を強化されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
前記脂肪酸が、牛脂、ココアバター、クパス種子油、デュパ油、ガンボジバター、コクムバター、マンゴーシードオイル、サラノキの脂肪、セクア油、シアナッツ油、および水添油からなる群から選択される供給源に由来する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、液体状態および固体状態のうち少なくとも1つの状態で提供される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物の固体状態が、補助食品、錠剤、顆粒、カプセル、ソフトゲルおよび粉末のうち少なくとも1つとして構成される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物の液体状態が、水溶液、有機溶液、懸濁液およびエマルションのうち少なくとも1つとして構成される、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、経口摂取によって摂取される、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
前記動物が、ヒト、家畜およびペットのうち少なくとも1つからなる群から選択される哺乳類である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
脂肪酸と、
植物ステロールまたは植物スタノールからなる群から選択される植物性のコレステロール低減物質と
を含むコレステロール低下化合物であって、
脂肪酸が、植物性のコレステロール低減物質と混合されており、動物による摂取に適していることを特徴とする化合物。
【請求項13】
前記脂肪酸が、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、トランス脂肪酸、シスオレイン酸およびリノレン酸からなる群から選択される脂肪酸を包含する、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記脂肪酸が、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよびリン脂質の形態のうち少なくとも1種類の形態で存在する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
前記モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよびリン脂質の形態が、高率のステアリン酸を含有する、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
前記モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよびリン脂質の形態が、ステアリン酸を強化されている、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
前記脂肪酸が、牛脂、ココアバター、クパス種子油、デュパ油、ガンボジバター、コクムバター、マンゴーシードオイル、サラノキの脂肪、セクア油、シアナッツ油、および水添油からなる群から選択される供給源に由来する、請求項12に記載の化合物。
【請求項18】
前記化合物が、液体状態および固体状態のうち少なくとも1つの状態で提供される、請求項12に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物の固体状態が、補助食品、錠剤、顆粒、カプセル、ソフトゲルおよび粉末のうち少なくとも1つとして構成される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物の液体状態が、水溶液、有機溶液、懸濁液およびエマルションのうち少なくとも1つとして構成される、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が、経口摂取によって摂取される、請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
前記動物が、ヒト、家畜およびペットのうち少なくとも1つからなる群から選択される哺乳類である、請求項12に記載の化合物。
【請求項23】
ステアリン酸と、
植物ステロールおよび植物スタノールからなる群から選択される植物性のコレステロール低減物質と
を含むコレステロール低下化合物であって、
ステアリン酸が、植物性のコレステロール低減物質とエステル化されており、動物による摂取に適していることを特徴とする化合物。
【請求項24】
前記ステアリン酸が、牛脂、ココアバター、クパス種子油、デュパ油、ガンボジバター、コクムバター、マンゴーシードオイル、サラノキの脂肪、セクア油、シアナッツ油、および水添油からなる群から選択される供給源に由来する、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
前記化合物が、液体状態および固体状態のうち少なくとも1つの状態で提供される、請求項23に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物の固体状態が、補助食品、錠剤、顆粒、カプセル、ソフトゲルおよび粉末のうち少なくとも1つとして構成される、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
前記化合物の液体状態が、水溶液、有機溶液、懸濁液およびエマルションのうち少なくとも1つとして構成される、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
前記化合物が、経口摂取によって摂取される、請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
前記動物が、ヒト、家畜およびペットのうち少なくとも1つからなる群から選択される哺乳類である、請求項23に記載の化合物。
【請求項30】
脂肪酸を提供するための手段と、
植物性のコレステロール低減物質を提供するための手段と
を含むコレステロール低下化合物であって、
脂肪酸の手段が、植物性のコレステロール低減物質の手段とエステル化されており、動物による摂取に適していることを特徴とする化合物。
【請求項31】
脂肪酸の手段が、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、トランス脂肪酸、シスオレイン酸およびリノレン酸からなる群から選択される脂肪酸を提供することを包含する、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
前記脂肪酸が精製ステアリン酸である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
前記脂肪酸が、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの形態のうち少なくとも1種類の形態で存在する、請求項31に記載の化合物。
【請求項34】
前記モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの形態が、高率のステアリン酸を含有する、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
前記モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの形態が、ステアリン酸を強化されている、請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
前記脂肪酸が、植物性のコレステロール低減物質の手段と混合される、請求項31に記載の化合物。
【請求項37】
前記脂肪酸が、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよびリン脂質の形態のうち少なくとも1種類の形態で存在する、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
植物性のコレステロール低減物質を提供するための前記手段が、植物ステロールおよび植物スタノールからなる群から選択される植物性のコレステロール低減物質を提供することを包含する、請求項30に記載の化合物。
【請求項39】
植物性のコレステロール低減物質とエステル化された脂肪酸を含むコレステロール低下化合物が、動物によって摂取されることを含む、動物においてコレステロールを低下させる方法。
【請求項40】
前記脂肪酸が、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、トランス脂肪酸、シスオレイン酸およびリノレン酸からなる群から選択される脂肪酸を包含する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記脂肪酸が精製ステアリン酸である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記脂肪酸が、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの形態のうち少なくとも1種類の形態で存在する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの形態が、高率のステアリン酸を含有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの形態が、ステアリン酸を強化されている、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記脂肪酸が、植物性のコレステロール低減物質と混合される、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記脂肪酸が、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよびリン脂質の形態のうち少なくとも1種類の形態で存在する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記植物性のコレステロール低減物質が、植物ステロールおよび植物スタノールからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
液体状態および固体状態のうち少なくとも1つの状態の化合物を調製するステップを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記摂取が、経口摂取によって行われる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記化合物の摂取を食事療法計画に組み込むステップを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項51】
前記動物が、ヒト、家畜およびペットのうち少なくとも1つからなる群から選択される哺乳類である、請求項39に記載の方法。
【請求項52】
コレステロール低下化合物を製造する方法であって、
植物性のコレステロール低減物質を選択することと、
脂肪酸を選択することと、
選択された脂肪酸および選択された植物性のコレステロール低減物質を含む化合物を形成させることと
を含む方法。
【請求項53】
前記植物性のコレステロール低減物質が、植物ステロールまたは植物スタノールから選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記脂肪酸が、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、トランス脂肪酸、シスオレイン酸およびリノレン酸からなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
化合物を形成させるステップが、脂肪酸を植物性のコレステロール低減物質とエステル化させることにより行われる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記脂肪酸が、精製ステアリン酸、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの形態のうち少なくとも1種類の形態で存在する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
化合物を形成させるステップが、脂肪酸を植物性のコレステロール低減物質と混合することにより行われる、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記脂肪酸が、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよびリン脂質の形態のうち少なくとも1種類の形態で存在する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
牛脂、ココアバター、クパス種子油、デュパ油、ガンボジバター、コクムバター、マンゴーシードオイル、サラノキの脂肪、セクア油、シアナッツ油、および水添油からなる群
から選択される供給源から脂肪酸を誘導するステップを更に含む、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
前記化合物が、液体状態および固体状態のうち少なくとも1つの状態である、請求項52に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−504254(P2007−504254A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525530(P2006−525530)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/029187
【国際公開番号】WO2005/023832
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501177285)ユニバーシティ オブ ネブラスカ−リンカーン (1)
【Fターム(参考)】