説明

植物成長用媒体用カバー

本発明は、植物成長用媒体を被覆するための装置に関する。この装置は、孔を規定するシートを含む。1つ以上の突出部が、植物成長用媒体の上面と係合するようにシートから延伸する。シートの各縁に、壁が一体に取り付けられる。各壁は、一連の隆起部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、植物成長用媒体を被覆するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]土壌を使用せずに植物を栽培することが望ましい多くの状況がある。例えば、園芸家の中には、春に備えて寒い季節に屋内で成苗を始める者もいる。このプロセスは、土壌を使用しない場合、より簡潔かつ衛生的である。
【0003】
[0003]種を発芽させるために、土壌以外の成長用媒体が使用されてもよい。普及している成長用媒体の1つは、ロックウールである。ロックウールは、水耕成長システム用に広く使用されている。ロックウールは、岩と砂を組み合わせたものを溶かし、その混合物をスピンさせることで作られる。これにより繊維が得られ、この繊維は、異なる形状やサイズに形成されてもよい。
【0004】
[0004]ロックウールは、水を吸収し保水する。さらに、ロックウールは多孔性であるため、酸素を保持する。その結果、ロックウールで育てた植物の根系は、生育が良好である。最終的に、ロックウールは、多数の形状およびサイズに形成されうる。ロックウール繊維は、直方体(キューブ)状に圧縮される場合が多い。
【0005】
[0005]ロックウールキューブを使用する前に、キューブを栄養液に浸し、pHレベルを調節する処理を施さなければならない。さらに、ロックウールに種や苗を植えると、ロックウールには定期的に水が供給される。したがって、ロックウールは、使用時、湿った状態にある。
【0006】
[0006]ロックウールキューブが湿っていると、園芸家らにとってある問題が生じる。詳しく言えば、ロックウールが、屋内で植物を発芽および培養させるのに通常使用される光にさらされると、湿り気のあるロックウールキューブの表面上に藻類が形成される。このような藻類は、キノコバエやミギワバエなどの虫を引き寄せてしまう。さらに、藻類が腐敗し枯れてしまうと、細菌やウィルスを招くこともあるため、植物には有害となりうる。藻類は、養分摂取のために成長に必要な酸素を植物と奪い合う事態にもなりかねない。
【0007】
[0007]ロックウールでの藻類の成長を防ぐために、藻類から光を奪う必要がある。藻類は、湿り気があり、十分に光のある場所で繁茂するため、光を奪えば、光合成を防げる。
【0008】
[0008]藻類の成長を防ぐために、ロックウールキューブを被覆するためのさまざまな解決策が提案されてきた。しかしながら、これまでに開示されてきたロックウールキューブカバーには、数多くの欠点がある。まず、このようなカバーは、酸素の循環を制限するため、嫌気性環境を作り出してしまう。これにより、植物の栄養摂取が抑制される。さらに、すでに開示されたキューブカバーの中には、単純なプラスチックシートのものがあり、これは、キューブの上方に配置され、多くの場合、キューブの表面と係合させるために、酸素の循環がさらに抑制されてしまう。最後に、すでに開示されたキューブカバーは、耐久性がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009]本発明の目的は、植物成長用媒体とともに使用するための改良されたキューブカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]したがって、本発明は、シートを備える植物成長用媒体を被覆するための装置を備える。このシートは、孔を規定する。さらに、このシートは、植物成長用媒体の上面と係合するための、シートから突出した少なくとも1つの突出部を有する。
【0011】
[0011]「平坦」、「平行」、「垂直」、「直角」、「直線」、「水平」、または「鉛直」など、本明細書における記述言及は、便宜上、記述しているにすぎない。当業者であれば、要素の配置は、平坦、平行、垂直、直角、直線、水平、または鉛直の構成から適度に逸脱したものであってもよいことを認識するであろう。
【0012】
[0012]図面には、本発明の好ましい実施形態が一例として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】キューブカバーの底面の斜視図である。
【図2】キューブカバーの上面の斜視図である。
【図3】図2の線3−3に沿って切り取ったキューブカバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0016]図1および図2に、植物成長用媒体用のカバー10を示す。カバー10は、プラスチックなどの適切に剛性を備えた材料で作られる。
【0015】
[0017]カバー10は、シート20を有する。シート20は、植物成長用媒体の1つまたは複数の表面を被覆するように任意の形状またはサイズのものであってもよく、これらの表面は、多くの場合、屋内成長用に使用されるタイプの光源に直接さらされる。図1および図2に示す実施形態において、シート20は正方形である。シートは、実質的に平坦であることが好ましい。さらに、シート20には、4つの縁22、24、26、28がある。4つの縁22、24、26、28は、4つの角30、32、34、36で交わる。
【0016】
[0018]シート20は、孔40を規定する。孔40は、任意の形状またはサイズのものであってもよい。図1および図2に示す実施形態において、孔40は円形である。図1および図2に示す孔40は、シート20の中心に設けられている。当業者であれば、孔40は、シート20の中心に設けられる必要がないことは明らかであろう。孔40はまた、シート20の縁22、24、26、または28の1つの付近、またはシート20の角30、32、34、または36の1つの付近など、シート20の異なる位置にあってもよい。
【0017】
[0019]少なくとも1つの突出部が、シート20から突出する。図1〜図3に示す実施形態では、シート20から4つの突出部44が突出している。当業者であれば、本発明の目的は、シート20から突出する任意の数の突出部で達成されてもよく、1つ以上の突出部を組み込んだ実施形態も想定されていることは明らかであろう。
【0018】
[0020]図1から分かるように、各突出部は、面取り壁を有する円筒形状のものである。突出部の面取り壁は、一点に集まるものであってもよい(図示せず)。図1および図2に示す実施形態において、各突出部は、表面60を有する。表面60の各々は、シート20の平面に平行であることが好ましい。突出部の各々は、シート20の離れた角に近接して配向される。
【0019】
[0021]図1および図2に、突出部44の好ましい実施形態を示す。他の形状および配向の突出部も想定される。
【0020】
[0022]図2から分かるように、突出部44の各々は中空である。当業者であれば、本発明の目的は、突出部が中実のもので達成されてもよく、これも想定されることは明らかであろう。
【0021】
[0023]図1および図2から分かるように、カバーの好ましい実施形態において、4つの壁62、64、68、72が、縁22、24、26、28にそれぞれ一体に取り付けられる。図1〜図3に示す実施形態において、壁62、64、68、72の各々が、シート20の面に垂直な面にある。壁62、64、68、72の各々は、シート20に一体に取り付けられた壁の端部と反対の端部の壁にフランジ80を有する。
【0022】
[0024]好ましい実施形態において、壁62、64、68、72の各々は、他の壁の1つと対向する。
【0023】
[0025]図1から分かるように、対向する壁62および68の2つは、スリット90を規定する。好ましい実施形態において、スリット90の各々は細長く、壁の中心に位置付けられる。スリット90の各々は、植物成長用媒体に近接した位置で、空気の循環を高める。
【0024】
[0026]壁62、64、68、72の各々は、多数の隆起部100を有する。隆起部100の各々は、フランジ80が壁62、64、68、72に交わる点から、シート20の縁22、24、26、28が壁62、64、68、72と交わる点を越えて延伸する。
【0025】
[0027]カバー10の内側から、隆起部100の各々は、凸状であるか、または外向きに曲がっている。さらに、隆起部100は、互いに平行であり、壁62、64、68、72が交わる場所に配向された隆起部100以外の隆起部100は、互いから等距離にある。スリット90の各々は、隆起部100の1つ以上を二分する。
【0026】
[0028]図3から分かるように、動作中、カバー10は、植物成長用媒体110上に配置される。植物成長用媒体110は、土壌およびロックウールを含む、植物成長用の任意の適切な媒体でありうる。カバー10の形状および寸法は、カバー10が植物成長用媒体110に適合するようなものでなければならない。詳しく言えば、カバー10の対向する壁62および68の間の距離は、植物成長用媒体の対向する壁112および114の間の距離より大きくなければならない。
【0027】
[0029]植物成長用媒体110上にカバー10が配置されると、各突出部の表面60は、植物成長用媒体110の上面116と係合する。最適な性能を得るには、植物成長用媒体上にカバー10が配置されたとき、カバー10の壁62、64、68、72がいずれも植物成長用媒体と係合しないようにすべきである。好ましい実施形態において、壁62、64、68、72の各々は、植物成長用媒体110上にカバー10を配置すると、植物成長用媒体110の壁の面に平行な面に位置付けられる。
【0028】
[0030]上述した実施形態には、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな修正が施されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物成長用媒体を被覆するための装置であって、
シートと、
前記シートによって規定された孔と、
前記植物成長用媒体の上面と係合するために、前記シートから第1の方向に突出する少なくとも1つの突出部と
を備え、前記シートが、少なくとも1つのシート縁を有し、前記少なくとも1つのシート縁の少なくとも1つが、前記シート縁に接続され、前記シート縁から突出するカバー壁を有し、前記少なくとも1つのカバー壁が、前記少なくとも1つの突出部より前記第1の方向にさらに突出する、装置。
【請求項2】
前記シートが、実質的に平坦であり、4つのシート縁を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シートが正方形である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの突出部が、4つの突出部からなる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記突出部の各々が、前記シートの離れた角に近接する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの突出部が、前記植物成長用媒体の上面と係合するための下面を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの突出部の前記下面が、前記シートの面に平行である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
4つのカバー壁をさらに備え、前記カバー壁の各々が、前記シートの離れた縁に一体に取り付けられ、前記カバー壁の各々が、前記植物成長用媒体の縁を通り、前記植物成長用媒体の前記縁で接続された前記媒体壁の少なくとも一部分を通る面に平行であり、前記面から間隔を空けて設けられた面にある、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記カバー壁の2つが対向し、前記植物成長用媒体に近接した位置での空気の循環を高めるために、前記2つの対向する壁の各々がスリットを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記4つのカバー壁の各々が、複数の隆起部を有し、前記2つの対向する壁の各々にある前記隆起部の少なくとも1つが、前記スリットによって二分される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記4つの壁の各々にある前記複数の隆起部が、前記隆起部の各々の一部分が、前記シート上にあるように延伸する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
植物成長用媒体をさらに備え、
前記成長用媒体が、成長用媒体上面を有し、前記成長用媒体上面が、少なくとも1つの成長用媒体縁を備え、成長用媒体側壁が、前記少なくとも1つの媒体縁の各々と交わり、前記成長用媒体上面の寸法が、前記シートの寸法より小さく、前記少なくとも1つの突出部が前記成長用媒体上面と係合すると、前記少なくとも1つのカバー壁が、前記媒体上面の下方を延伸し、前記少なくとも1つのカバー壁の少なくとも1つが、前記少なくとも1つの成長用媒体側の少なくとも1つから間隔を空けて設けられるように、植物成長用媒体を被覆するための前記装置が、前記成長用媒体上にわたって配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記成長用媒体上面の形状が、前記シートと同一である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記成長用媒体が、直方体形状のものであり、前記シートが、実質的に平坦であり、正方形の形状であり、前記シートが、4つの縁と、前記シート縁に突出する4つのカバー壁とを有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記成長用媒体が、ロックウールである、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記成長用媒体が、ロックウールである、請求項13に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−523089(P2010−523089A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501340(P2010−501340)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000621
【国際公開番号】WO2008/122113
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(509275633)
【Fターム(参考)】