説明

植物栽培具。

【課題】 少ない培土でもいも類を育て、その収穫において上部筒口より取りだして収穫することなく収穫でき、培土の入れ替えにも作業しやすく、収穫後の植物残渣や食物残渣を廃棄処理することなく利用できる植物栽培具を提供する。
【解決手段】 通気性、透水性を有し、植物の根が栽培具1から出にくい柔軟なシート材から成り、かつ両端が開放した筒状体2とし、開放された両側のそれぞれぞれの筒口3A、3Bの内側略全周に帯状片4A、4Bを取り付け、紐通し口5A,5Bを有する紐通し部6A,6Bをそれぞれの筒口3A、3Bの周縁に形成し、それぞれの紐通し部6A、6Bに引締め紐7A,7Bを通し、一方の筒口3Bの引締め紐7Bを締めて、その一方の筒口3B閉じることができ、もう他方の筒口3Aより培土9を入れ植物を育てる植物栽培具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や工場において、培土を使い植物を栽培する為の栽培具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の植物栽培具は、培土を使い植物を栽培する為の栽培具としては、不織布やビニールなどの素材の栽培袋やプラスチック、木、陶器の鉢等のプランターが使われている。培土の入れ替えやさつま芋やジャガイモなどのいも類の収穫には、栽培具を逆さにして出すか、栽培具上部より手を入れて収穫物を取りだす方法のため作業に時間がかかった。また、収穫後の植物残渣の多くは利用されず廃棄物として処理されており、植物の茎や葉は、水分を含んでいるので焼却すると費用がかかる。特許文献1には袋を筒状にし、底面に紐通しが設けられ紐を引き締めて底部とし、他方のシール部分を開放し植物を栽培し、袋の両側に沿って支柱挿入用の筒状開口部が設けられていると記載されている。特許文献2には、不透水性で通気性を要する素材で形成され、環状保持体が該筒状体の両側開口部にそれぞれ装着し、その内側を絞って閉塞させる一対の締付紐を設けた生ゴミ処理用袋状体と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特許第3379937号公報。
【特許文献2】 特開2009−112898号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の栽培具は、上開口部のみ開放されている袋やプラスチック、木、陶器などのプランターのため、培土の入れ変えに作業性が悪く、さつま芋やジャガイモなど収穫物を取りだすのにも取り出しにくい。また、収穫後の植物残渣の多くは利用されず廃棄物となり、植物の茎や葉は、水分を含んでいるので焼却処理すると費用がかかる。特許文献1では、底面に紐通しが設けられているが、紐を引締めても素材の厚みにより隙間ができるため培土はこぼれ出たり、栽培作物のさつま芋など栽培具が小さく培土が少ないと、隙間より根が栽培具の外に出てさつま芋が栽培具の外で育ってしまう。特許文献2では、植物残渣の堆肥化するための処理用袋で、不透水性の素材のため底部を開口部付近に巻き付けて縛ると、通水性がないので植物を育てる環境としては良くなく、筒口に環状保持体を装着し、その内側を紐で絞って閉塞させる一対の締付紐を設けてあるが作業性が悪い。本発明はこれらの問題を解決するため少ない培土でもいも類を育て、その収穫において上部筒口より取りだして収穫することなく収穫でき、培土の入れ替えにも作業しやすく、収穫後の植物残渣を廃棄処理することなく利用できる植物栽培具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
通気性、透水性を有し、植物の根が栽培具1から出にくい柔軟なシート材から成り、かつ両端が開放した筒状体2とし、開放された両側のそれぞれぞれの筒口3A、3Bの内側略全周に帯状片4A、4Bを取り付け、紐通し口5A,5Bを有する紐通し部6A,6Bをそれぞれの筒口3A、3Bの周縁に形成し、それぞれの紐通し部6A、6Bに引締め紐7A,7Bを通し、一方の筒口3Bの引締め紐7Bを締めて、その一方の筒口3B閉じることができ、もう他方の筒口3Aより培土9を入れ植物を育てる植物栽培具としたことである。
【発明の効果】
【0006】
栽培具1の一方の筒口3Aの内側の帯状片4Aを外側に出して使用すると、筒口3Aが広く開きプランターとして使える。また、植物特にさつま芋10の栽培には、筒口3Aに空間を残して引締め紐7Aで締めると、さつま芋10に土圧が加わり少ない培土9でも収量が増す。
【0007】
一方の筒口3Aの内側の帯状片4Aを内側に向けて使用すると、土はね防止になりマルチ効果や保温効果がある。
【0008】
他方の筒口4Bを引締め紐7Bで締め底部とすると、筒口3Bの内側に付けられた帯状片4Bは、引締め紐7Bを締めると帯状片が寄せ集められ隙間がなくなり、培土9がこぼれなく少ない培土9でもさつま芋10が栽培具1の外で育つようなことがなく、虫の侵入も防止することができる。
【0009】
底部の引締め紐7Bを開口するだけで、栽培具1を持ち上げて逆さにしなくても、さつま芋10やジャガイモなどのいも類の収穫ができ、培土9の入れ替えと同じにいも類の収穫もできる。
【0010】
収穫後の植物残渣や食物物残を堆肥化するとき、未熟堆肥はガスが出るためそのまま利用せず、完熟堆肥にしてから利用する方法が一般的であるが、本発明は、未熟堆肥でも植物を植えても差し支えなく、ガスは自然界でも発生している自然現象であり、植物の成長に影響は少ないと考え、収穫後の植物残渣をコストをかけて廃棄処理することなく、その場で栽培具1の中の培土9と一緒に入れて再利用できる。
【0011】
未熟な有機物を利用しながら、植物栽培が同じ栽培具1でおこなえる為、場所をとらず堆肥を作り、その堆肥をプランターなどに移動をして利用する必要がないので、少ない面積で手間をかけずに作業効率が良い。
【0012】
廃棄されていた害のない有機物の利用により処理費用がかからず再利用でき、経済効果は非におおきい。また栽培に必要な堆肥を一部購入しないで土壌改良ができる。
【0013】
未塾な有機物だけでなく食物残渣をそのまま筒口3Aから投入したときには、紐で締めただけでは、匂いの出るものが入ると匂いに猫やカラスが中の物を取り出したり、虫が発生する問題を、引締め紐7Aを締めると帯状片4Aが寄せ集めら筒口が良く締まり、猫やカラスから守られ、また、培土9がこぼれなく匂いや虫の出入り防止の役目となる。
【0014】
植物を栽培しないときには両側筒口3A、3Bを締め積み重ねて置けるので、土地の有効利用ができる。
【0015】
堆肥製造具として利用するときには、数週間に一度、天地を変えることで堆肥化しやすく、天地変えのできる植物栽培具である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の栽培具の上下筒口を開いた斜視図。
【図2】本発明の栽培具の底部を締めた斜視図。
【図3】本発明の栽培具の植物を栽培している斜視図。
【図4】本発明の栽培具の底部を開いて中身を出している斜視図。
【図5】本発明の栽培具の上下を締めた斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の植物栽培具の実施する為の形態を図を参照して説明する。
図1は、柔軟なシート状の不織布や布、合成樹脂シート、防草シートなど根が出にくく、通気性や透水性のある柔軟な素材から成るシート体を、プランターとして使用できる大きさに裁断して、筒状体2に縫いわせる。それぞれの筒口3A、3B内側に略全に周帯状片4A,4Bを取り付け、それぞれの筒口3A、3Bの周縁に紐通し口5A,5Bを設けた紐通し部5A,5Bをトンネル状に形成する。紐通し部6A,6Bは、式締め紐7A、7Bが通る幅をとり折り返して作るか、または、トンネル状になるよう部材を、張り付けるか縫い付ける方法など目的に合った作り方でよい。折り返し部分を縫いつけるときに、帯状片4の縫いしろを一緒にはさみ込んで縫う。帯状片4の素材は筒状体2と同じか、通気性、透水性があれば異なる素材を使用してもよい。筒口3を締めたときに隙間8がなく、培土9がこぼれ出なく、また、植物、特にさつま芋10の根が出ないような帯状片幅を取る。紐通し口3より引締め紐7を紐通し部内に一周させ、両端を紐通し口3より引き出し紐先端を結ぶか、あるいは、特願2011−49588を使用してもよい。
【0018】
図2は、植物栽培具1の一方の筒口3Bを引締め紐7Bで締め底部とし、もう他方の筒口3Aは開き帯状片4Aを外側に向けた、中に物を入れる前の栽培具1の状態である。一方の筒口3Bを締めると帯状片4は筒口3Bの隙間8Bを埋めてくれるように寄せ集められる。
【0019】
図3は、図2の栽培具1の状態に、培土9を入れ植物を栽培した状態である。一方の筒口3Bを締め底部としたときの帯状片4Bは、筒口3Bを締めたときにできる隙間8Bをふさぐ役目をするため、栽培具1の中の培土9はこぼれ落ちることがない。植物特にさつま芋栽培では、少しの隙間8Bができるとさつま芋10は、栽培具1の外で栽培されるので、帯状片4Bにより筒口3Bを締めたときできる隙間8Bをなくすことができる。もう他方の筒口3Aより培土9入れ植物を育てるときには、帯状片4Aを外側に向けて引締め紐7Aを栽培に必要な空間部分を残して締めると培土9がこぼれ出なくさつま芋栽培には土圧を加えることができる栽培具1となる。栽培する作物につる性や支柱が必要な植物があるときには、筒状体2の筒口3方向に、支柱ホルダーを支柱強度があるように必要分取り付けてもよい。
【0020】
図4は、植物を栽培した後、栽培具1の中にできた収穫物を取り出し、育てた後の培土9を入れ替える時、底部の引締め紐7Bを開くと、底部の筒口3Bから収穫物と培土9が一諸に外に出る様子を表わしたものである。今までは、袋を逆さにして取り出すか、ほじくり出す方法がとられていたが、片方のみ開閉された栽培具と違い、筒状体2であるため作業効率が良い。
【0021】
図4は、植物を栽培した後続けて栽培しないときには両側筒口3A、3Bを締め、植物栽培具1を重ねて置ける。また、栽培した後の植物残渣は、廃棄することなく再利用する為の堆肥製造具として使用できる。使い方は、植物残渣として栽培したさつま芋10の蔓など適当な長さに切って入れたり、庭の草むしりの雑草など入れる。食物残渣としては家庭から出る生ごみ、また、有害物質を含まなく再資源化できない紙や段ボールなどの有機物を投入し上下筒口部分に土または、培土9を筒口が締まる程に入れ、帯状片を内側に戻し両筒口を締める。未塾な有機物だけでなく食物残渣をそのまま袋口から投入したときには、紐で締めただけでは、匂いの出るものが入ると匂いに猫やカラスが中の物を取りだしやすく、虫の出入りがよういになる問題を、引き締紐7で筒口3Aの帯状片4が寄せ集めら筒口3が良く閉まり、猫やカラスから守られ、また、培土9がこぼれなく匂いや虫の出入り防止の役目になる。数週間に一度天地変えをすると中の有機物などが堆肥化しやすい。その後、植物栽培具1として使用するときには、一方の筒口3Aを開け未熟堆肥でも、有機物が分解し目減り分の培土をたして植物を栽培することができる。一般的には未熟堆肥はガスが出るためそのまま利用せず、完熟堆肥にしてから利用する人が多い。本発明は、未熟な物でも植物を植えても差し支えなく、自然界でも発生している自然現象であり、植物の成長に影響は少ないと考える。未熟な有機物を利用しながら、植物栽培が同じ栽培具でおこなえる為場所をとらずに完熟堆肥を作り、その堆肥をプランターなどに移動をして利用する必要がないので、少ない面積で手間をかけずにすむ。また、完熟堆肥製造具として使用するときには、米ぬかや微生物資材を一緒に入れると醗酵が早まる。
【符号の説明】
【0022】
1 栽培具
2 筒状体
3 筒口
4 帯状片
5 紐通し口
6 紐通し部
7 引締め紐
8 隙間
9 培土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性、透水性を有し、植物の根が栽培具1から出にくい柔軟なシート材から成り、かつ両端が開放した筒状体2とし、開放された両側のそれぞれぞれの筒口3A、3Bの内側略全周に帯状片4A、4Bを取り付け、紐通し口5A,5Bを有する紐通し部6A,6Bをそれぞれの筒口3A、3Bの周縁に形成し、それぞれの紐通し部6A、6Bに引締め紐7A,7Bを通し、一方の筒口3Bの引締め紐7Bを締めて、その一方の筒口3B閉じることができ、もう他方の筒口3Aより培土9を入れ植物を育てることができることを特徴とする植物栽培具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate