植物栽培用の照明装置および植物栽培システム
【課題】半導体発光素子を水等の冷媒により効率よく冷却する際の結露、吸湿による不具合を解決するものであり、長寿命かつ高効率維持の半導体発光素子を光源として用いる植物栽培用の照明装置およびそれを用いた植物栽培システムを提供する。
【解決手段】照明装置10は、コ字型の外装カバー11、コ字の空いた部分に蓋をするように設けられた透明カバー12、左側面に設けられる第1側面カバー13、右側面に設けられる第2側面カバー14から構成される筐体を備える。さらに、照明装置10は、筐体内に半導体発光素子を搭載した発光素子パッケージ21、発光素子パッケージ21を搭載する回路基板22、回路基板22が固定されるとともに冷媒導管25が密着して設けられた放熱基板24、回路基板22と放熱基板24とを電気的に絶縁するフィルム状の絶縁性放熱材23、光を反射させる反射器26を備える。筐体の内部は密閉されている。
【解決手段】照明装置10は、コ字型の外装カバー11、コ字の空いた部分に蓋をするように設けられた透明カバー12、左側面に設けられる第1側面カバー13、右側面に設けられる第2側面カバー14から構成される筐体を備える。さらに、照明装置10は、筐体内に半導体発光素子を搭載した発光素子パッケージ21、発光素子パッケージ21を搭載する回路基板22、回路基板22が固定されるとともに冷媒導管25が密着して設けられた放熱基板24、回路基板22と放熱基板24とを電気的に絶縁するフィルム状の絶縁性放熱材23、光を反射させる反射器26を備える。筐体の内部は密閉されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培用の照明装置およびそれを用いた植物栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然条件の変動に左右されない農業環境づくりとして、栽培環境の光、温度、湿度、炭酸ガス濃度など、植物成長に影響を及ぼすあらゆる条件を制御して農作物などを生産する植物工場、野菜工場などが実用化されつつある。
これらの植物工場には、完全人工光型と太陽光併用型のものがあるが、両者とも人工光を照射する照明装置を設置することが必須となっている。そして、照明装置からは、赤色と青色との光を植物に照射することが必要とされている。これらの照明装置の光源には、半導体発光素子(LED:Light Emitting Diode)が用いられるようになってきている。
このような植物工場等の植物栽培を行う栽培室の環境は、予め定められた温度および湿度に維持管理されている。したがって、そこに設置される照明装置からの発熱は、栽培室の温度管理に影響するため好ましくない。さらに、栽培室は、一般に高温高湿であるので、そこに照明装置を設置すると劣化が激しく、寿命が短くなるなど、照明装置を設置する環境としては好ましくない。
【0003】
特許文献1には、熱冷媒を用いた強制冷却装置を備えたパネル状の光半導体ユニットからなる光源を、植物栽培面に近接させて設置した植物栽培装置が記載されている。
特許文献2には、湿度が高い環境においても植物栽培用の照明パネルの耐久性を高くするため、ベースと、そのベースに密着した金属薄板製の基板と、その基板上に配列された多数の発光ダイオードと、ベースとの間に空間をあけて配置されるカバーと、ベースとカバーとの間に介在され、空間を外部に対して気密に維持するためのシール材とを備えており、空間に乾燥空気が充填されると共に、枠材内に乾燥剤が収容されている植物栽培用の照明パネルが記載されている。
特許文献3には、植物栽培用の半導体発光照明装置の半導体発光素子の放熱を促し、大電流印加による高輝度化を行うため、上側に冷却水を通水可能で、且つ内部に通電可能な金属壁と、金属壁の下部に取り付けられる光源ユニットとを有する半導体発光照明装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−98665号公報
【特許文献2】特開2000−207933号公報
【特許文献3】特開2003−110143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、半導体発光素子を光源として用いる植物栽培においては、植物育成に必要な光量子密度を得る為に、定格電流を上回る電流を印加していた。これに伴い、半導体発光素子の発熱量は増加し、半導体発光素子のジャンクション温度は増大していた。半導体発光素子の温度増は、半導体発光素子自体の発光効率の減小と、半導体発光素子周辺部材であるエポキシ樹脂などの樹脂材料の黄変を引き起こす問題を抱えていた。これを解決するには半導体発光素子を水冷することが効果的であるが、半導体発光素子や半導体発光素子周辺部材に、結露や吸湿を引き起こし、半導体発光素子自体の劣化や不点灯、半導体発光素子周辺の銀メッキ、半田、銅箔の酸化による発光強度の減小や不点灯が急速に進むことが問題であった。特に、ピーク波長660nmの赤色発光素子については、従来Al組成の高いGa1-xAlxAs系の化合物半導体発光素子であったため、高湿環境ではAl原子に酸素が容易に結合し半導体発光素子自体が急速に変質、発光強度が急速に減小し、ついには不点灯に至っていた。
本発明の目的は、半導体発光素子を水等の冷媒により効率よく冷却する際の結露、吸湿による不具合を解決するものであり、長寿命かつ高効率維持の半導体発光素子を光源として用いる植物栽培用の照明装置およびそれを用いた植物栽培システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明が適用される照明装置は、複数の発光素子と、発光素子の発する光を透過する透光性窓部を有し、発光素子を覆うように設けられた筐体と、筐体の内部に配置され、発光素子が発生する熱を伝導により放熱する放熱基板と、放熱基板に取り付けられ、冷媒の流路となる冷媒導管とを備え、筐体は、筐体の内部に冷媒導管を含むとともに、筐体の内部が外気の流入を抑制するように構成されている植物栽培用の照明装置である。
このような植物栽培用の照明装置において、筐体は、筐体の内部が乾燥空気または乾燥窒素で充填されているように構成されていることを特徴とすることができる。
さらに、植物栽培用の照明装置は、冷媒導管と、隣接する照明装置が備える隣接冷媒導管とを連結し、隣接冷媒導管と冷媒導管との間で冷媒の流路を形成する連結手段をさらに備えることを特徴とすることができる。
【0007】
一方、筐体は、長尺の箱形であって、長尺方向の1つの面が透光性窓部を構成し、長尺方向の他の3つの面は連なった外装部を構成し、残りの2面は側面部を構成することを特徴とすることができる。
その外装部は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押し出し成型により製作されることを特徴とすることができる。
放熱基板は、冷媒導管を挿入する部分を有し、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押し出し成型により製作され、挿入される冷媒導管と一体に構成されることを特徴とすることができる。
そして、発光素子は、発光素子パッケージに設置され、発光素子パッケージが回路基板に固着され、回路基板が放熱基板に固定されることを特徴とすることができる。
また、発光素子は、金属ベースの回路基板の金属ベース部に直付けされ、回路基板が放熱基板に固定されることを特徴とすることもできる。
また、発光素子は、発光ピーク波長が400〜500nmの発光素子と、発光ピーク波長が655〜675nmの発光素子とを含むことを特徴とすることができる。
その発光素子は、pn接合型の発光部と、発光部に積層された歪調整層とを少なくとも含む化合物半導体層を備え、発光部は、組成式(AlXGa1−X)YIn1−YP(0≦X≦0.1、0.37≦Y≦0.46)からなる歪発光層とバリア層との積層構造を有し、歪調整層は、発光波長に対して透明であると共に歪発光層およびバリア層の格子定数よりも小さい格子定数を有することを特徴とすることができる。
さらに、本発明が適用される植物栽培用の照明装置は、発光素子と透光性窓部との間に、発光素子の光の方向を設定する反射器をさらに備えることを特徴とすることができる。
【0008】
そして、他の観点から捉えると、本発明が適用される植物栽培システムは、複数の発光素子と、発光素子の発する光を透過する透光性窓部を有し、発光素子を覆うように設けられた筐体と、筐体の内部に配置され、発光素子が発生する熱を伝導により放熱する放熱基板と、放熱基板に取り付けられ、冷媒の流路となる冷媒導管とを備え、隣接する冷媒導管を相互に連結して冷媒の流路を形成する複数の植物栽培用の照明装置と、複数の植物栽培用の照明装置の、連結された冷媒導管に冷媒を供給する冷媒供給部と、複数の植物栽培用の照明装置の発光素子の点灯と消灯とを制御する照明制御部とを備えることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体発光素子を水等の冷媒により効率よく冷却する際の結露、吸湿による不具合を解決するものであり、長寿命かつ高効率維持の半導体発光素子を光源として用いる植物栽培用の照明装置およびそれを用いた植物栽培システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態が適用される植物栽培システムの一例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態が適用される照明装置の外形の一例を示す図である。
【図3】第1配管カップラと第2配管カップラの一例を説明する図である。
【図4】照明装置の内部の一例を説明する図である。
【図5】第1の実施の形態で用いられる発光素子パッケージの構成の一例を説明する図である。
【図6】本実施の形態において用いられる青色発光の半導体発光素子の構成の一例を説明する断面図である。
【図7】青色発光の半導体発光素子の上面図である。
【図8】本実施の形態において用いられる赤色発光の半導体発光素子の構成の一例を説明する断面図である。
【図9】赤色発光の半導体発光素子の上面図である。
【図10】第2の実施の形態が適用される照明装置の一例の断面図である。
【図11】チップオンボード式の回路基板に設けられた接続配線と半導体発光素子との接続関係の一例を説明するための平面図である。
【図12】半導体発光素子を直接搭載したチップオンボード式の回路基板をさらに説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態が適用される植物栽培システム1の一例を示す図である。
植物栽培システム1は、栽培室60内に設置され、植物を栽培する複数の栽培容器50と、同じく栽培室60内に、栽培容器50に近接して設置され、栽培する植物に光を照射する複数の照明装置10とを備える。照明装置10には冷媒導管25がそれぞれ設けられている。そして、連結手段により、複数の照明装置10が連結されている。すなわち、ある照明装置10の冷媒導管25と、それに隣接する照明装置10の冷媒導管25(隣接冷媒導管)とが連結され、冷媒の流路を形成している。
さらに、植物栽培システム1は、栽培室60外に設置され、照明装置10の照明の点灯/消灯を制御する照明制御部30と、同じく栽培室60外に設置され、照明装置10を冷却する水などの冷媒を冷媒導管25に供給する冷媒供給部40とを備えている。
【0012】
栽培室60は、温度、湿度、採光などが制御できる環境であれば、どのような構成であってもよい。そして、栽培室60は、外部からの光や空気の流通が遮断された環境であってもよく、外部の光や空気の流通を許容する窓などを備えた環境であってもよい。
栽培容器50は、土壌を入れて植物を育成する容器であってもよい。また、水耕栽培のように、植物に栄養を与える養液を保持する容器であってもよい。
そして、図1には図示していないが、植物栽培システム1は、栽培容器50の植物に散水するための散水部を備えていてもよい。また、植物が水耕栽培の場合には、水耕栽培のための養液を供給または循環する養液供給部を備えていてもよい。
【0013】
照明装置10は、後述するように、発光素子として複数の半導体発光素子(例えば、後述する図5の発光素子パッケージ21では、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bの複数の半導体発光素子が収納されている。)を備えている。この場合、複数の半導体発光素子が発生する光を、栽培容器50において栽培する植物に照射する。このため、それぞれの照明装置10は、半導体発光素子に発光のための電力を供給するとともに、半導体発光素子の点灯/消灯を制御する照明制御配線31を備えている。これらの照明制御配線31は、照明制御部30に接続されている。
なお、それぞれの照明制御配線31は、その照明制御配線31が接続された照明装置10内のすべての半導体発光素子を同時に点灯/消灯するように結線してもよい。また、1つの照明装置10内の半導体発光素子を、例えば発光色などによりグループ分けして、グループ毎に点灯/消灯を制御しうるように結線してもよい。
【0014】
照明制御部30は、照明装置10の点灯/消灯を制御しうるものであればよい。よって、照明装置10毎に電力の供給をオン/オフするスイッチを並べたスイッチアレイであってよい。また、スイッチアレイのオン/オフは、コンピュータなどで制御されてもよい。照明制御部30は赤や青などの半導体発光素子の印加電流値を設定制御しうるものであれば良い。また、パルス点灯として、赤や青などの半導体発光素子の周期とデューティを制御するものが望ましい。点灯時間と非点灯時間をタイマー制御するものが望ましい。
【0015】
さらに、それぞれの照明装置10は、図1中に破線で示すように、半導体発光素子から発生する熱を栽培室60外に排出するため、照明装置10を長手方向に貫いて設けられた冷媒導管25を備えている。そして、それぞれの照明装置10は、冷媒導管25の端部に接続された配管カップラ(後述する図2の第1配管カップラ16と第2配管カップラ17)により相互に連結されている。他の照明装置10に接続されていない冷媒導管25の2つの端部は、冷媒配管41を介して冷媒供給部40に接続されている。このように、冷媒導管25は、冷媒供給部40を介して一本に連なった導管の一部となるので、液体(冷媒)を循環させることができる。
冷媒供給部40は、冷媒が複数の照明装置10を循環する(冷媒の流れる方向を矢印で示す)ように制御する。冷媒供給部40は、例えばモータで駆動されるポンプであってよい。そして、モータへの電力供給は、半導体発光素子を点灯させるときに冷媒を供給するように、照明制御部30と連動させてもよい。
【0016】
なお、図1では、すべての照明装置10を直列に連結した場合を示しているが、直列に連結した照明装置10の列を複数並列に設けてもよい。また、直列の部分と並列の部分とを混在させてもよい。すなわち、冷媒供給部40により、冷媒が照明装置10の冷媒導管25を循環するように流れることで照明装置10を冷却し、半導体発光素子によって発生する熱を栽培室60外に排出できればよい。
なお、図1の照明装置10では、植物栽培システム1における冷媒の流れを明らかにするため、照明装置10内の冷媒導管25を破線で示したが、後述するように、照明装置10内には、冷媒導管25以外に発光素子パッケージ(後述する図5の発光素子パッケージ21)などが含まれている。
【0017】
図2は、本実施の形態が適用される照明装置10の外形の一例を示す図である。図2(a)は上面図、図2(b)は下面図、図2(c)は左側面図、そして図2(d)は右側面図である。
照明装置10は、外装部の一例としてのコ字型の外装カバー11と、コ字の空いた部分に蓋をするように設けられた透光性窓部の一例としての透明カバー12と、左側面に設けられる側面部の一例としての第1側面カバー13と、右側面に設けられる側面部の一例としての第2側面カバー14とを備える。
第1側面カバー13および第2側面カバー14は、外装カバー11に透明カバー12を取り付けた両端部に蓋をするように設けられている。
すなわち、照明装置10の外形は、外装カバー11、透明カバー12、第1側面カバー13、第2側面カバー14によって囲まれた箱形をなしている。この箱形の形状としては、長尺の箱形形状が使用環境上好ましく使用されるが、本発明では、特に箱形形状に制限されない。そして、外装カバー11、透明カバー12、第1側面カバー13、第2側面カバー14は、照明装置10の筐体を構成する。これらのカバーが構成する筐体の内部を照明装置10の内側または内部、筐体の外側を照明装置10の外側または外部と呼ぶ。
【0018】
照明装置10の左側面に設けられた第1側面カバー13の外側には、配管継手15を介して、照明装置10の内部の冷媒導管25と接続された連結手段の一例としての雌型の配管部材である第2配管カップラ17が設けられている。
第2側面カバー14の外側には、配管継手15を介して、冷媒導管25と接続された連結手段の一例としての雄型の配管部材である第1配管カップラ16が設けられている。すなわち、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とは、照明装置10の筐体の対向する位置に設けられている。
さらに、第2側面カバー14から、照明制御配線31が外部に出されている。なお、照明制御配線31は、栽培室60内の高温・高湿の環境に耐える被覆コードが選ばれる。
【0019】
外装カバー11は、照明装置10に剛性を与え変形を防ぐものであればいずれの材質のものも使用できる。例えば、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼(SUS)、銅(Cu)、チタン(Ti)などの金属材料、ABS樹脂などのプラスチック材料が用いうる。この中で、重量及びコストの点で優れるAlまたはアルミニウム合金による押し出し成型品が好ましく使用される。この場合、表面はAlの腐食を防ぐため、アルマイト加工されているのがさらに好ましい。また、反射率を高め光の有効利用を図る観点から、アルマイト加工は白色アルマイトやさらにその上にクリア塗装するのがより好ましい。
透明カバー12は、照明装置10に設けられる半導体発光素子の発光波長を効率よく透過するものであればいずれの材質のものも使用できる。透明カバー12は、例えばガラスが好ましい。また、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル重合体、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)なども好適に用いうる。さらに、透明カバー12の照明装置10内側には、半導体発光素子の発光波長に対する反射防止膜が設けられているのがより好ましい。
【0020】
第1側面カバー13および第2側面カバー14は、外装カバー11と同様に、照明装置10に剛性を与え変形を防ぐものであればいずれの材質のものも使用できる。すなわち、第1側面カバー13は、それを間に挟んで冷媒導管25と第2配管カップラ17とを接続しても変形が抑制できるものであればよい。また、同様に、第2側面カバー14は、それを間に挟んで冷媒導管25と第1配管カップラ16とを接続しても変形が抑制できるものであればよい。これらには、例えばAl、SUS、Cu、Ti、Moなどの金属材料、またはABSなどのプラスチック材料が用いうる。重量の点で優れるAlのダイキャストであってもよい。そして、第1側面カバー13および第2側面カバー14は、外装カバー11および透明カバー12の端部が差し込めるように凹みが設けられていることが好ましい。
【0021】
そして、照明装置10内に外部から湿気を含んだ空気(外気)が入り込まないように、照明装置10内に乾燥空気、乾燥窒素などが充填されるとともに、外装カバー11、透明カバー12、第1側面カバー13、第2側面カバー14の境となる部分は、充填材でシールされているのが好ましい。
このようにすることで、栽培室60内の高温・高湿の環境から、半導体発光素子の劣化や、後述する半導体発光素子を搭載する回路基板(後述する図4(b)の回路基板22)の銅箔や銅箔上の銀メッキ、半田の腐食などを抑制することができる。
なお、充填材にはシリコーンなどのコーキング材が用いうる。
【0022】
図3は、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17の一例を説明する図である。本実施の形態が適用される植物栽培システム1では、図1に示したように、複数の照明装置10が、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とを嵌合させて連結されている。
図3では、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とが嵌合している状態を示している。
なお、第1配管カップラ16および第2配管カップラ17は共に回転対称体である。そこで、図3に示す第1配管カップラ16および第2配管カップラ17の上側は、対称の軸を含む面での断面を示している。そして、図3の下側は、第1配管カップラ16および第2配管カップラ17の外形を示している。
【0023】
第1配管カップラ16は、内部が空洞の筒状の回転対称体であって、その一端部には、六角ナットが形成され、冷媒導管25と接続できるように雌ネジが切られている。そして、第1配管カップラ16の他端部は、第1配管カップラ本体16aに組み込まれ、軸方向にスライドする可動リング16bと、第1配管カップラ本体16aと可動リング16bとの間に挟み込まれたバネ作用を有する爪16cと、第1配管カップラ本体16aと可動リング16bとの間に設けられ可動リング16bの動きを抑制するスプリングコイル16dとを備えている。
一方、第2配管カップラ17は、内部が空洞の筒状の回転対称体であって、第2配管カップラ本体17aの一端部には、六角ナットが形成され、冷媒導管25と接続できるように雌ネジが切られている。そして、第2配管カップラ本体17aの他端部は、第1配管カップラ本体16aの内側と嵌合できる細さの部分となっており、その先端部に、第1配管カップラ本体16a内の壁面に接するように外周方向に取り巻くOリング17bを備えている。また、第2配管カップラ本体17aに形成された六角ナットとOリング17bとの間の第2配管カップラ本体17aの細くなった部分に、外周方向に取り巻く溝17cが形成されている。
【0024】
第1配管カップラ16の筒の内部に第2配管カップラ17の細くなった部分を差し込むと、第2配管カップラ17のOリング17bが第1配管カップラ16の内壁に密着し、冷媒の漏洩を抑制する。そして、第1配管カップラ16の爪16cと、第2配管カップラ17の溝17cとがかみ合って、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とが外れることを防ぐ。
そして、可動リング16bを、スプリングコイル16dの反発力に抗して軸方向に移動すると、爪16cがバネ作用により変形して、爪16cと溝17cとのかみ合わせがゆるむことで、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とが容易に外れるようになっている。
これにより、複数の照明装置10の連結が容易になるとともに、連結を解除して、植物栽培システム1の構成を変更することが容易になる。
第1配管カップラ16、第2配管カップラ17としては、SUS、銅合金などの金属材料によるもの、ABS樹脂などによるプラスチック材料によるものを用いうる。
【0025】
なお、連結手段として、本実施の形態では、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とを用いたが、これに限定されない。例えば、冷媒導管25を延長した端部にホース取り付け口を設けて、隣接する照明装置10の冷媒導管25(隣接冷媒導管)とホースにて連結してもよい。また、冷媒導管25と隣接冷媒導管とをパッキングを挟んで突合させて固定してもよい。
【0026】
図4は、照明装置10の内部の一例を説明する図である。図4(a)は、図2(b)に示した照明装置10の透明カバー12を外した照明装置10の内部を示している。図4(b)は図4(a)のIVB−IVB線における断面図である。
照明装置10は、図4(b)に示すように、半導体発光素子(後述する図5における第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64b)を搭載した発光素子パッケージ21、発光素子パッケージ21を搭載する回路基板22、回路基板22が固定される放熱基板24、回路基板22と放熱基板24とを電気的に絶縁するとともに、熱伝導性に優れるフィルム状の絶縁性放熱材23を備える。そして、発光素子パッケージ21は、発生する光が透明カバー12から放出されるように、透明カバー12に対向して設けられている。
さらに、照明装置10は、発光素子パッケージ21の半導体発光素子からの光が照明装置10の透明カバー12から垂直方向に放出されるように、光の放出される方向を設定する反射器26を備える。
【0027】
回路基板22には、一例として、図4(a)に示すように、長手方向に複数の発光素子パッケージ21が3列に並んで配置されている。そして、それらの発光素子パッケージ21を取り囲むように、例えば回転放物面である反射面27が形成された反射器26が、発光素子パッケージ21の列に対応して3列設けられている。
なお、図4では、回路基板22に発光素子パッケージ21を3列配列したが、この数に限定されることはない。そして、回路基板22は一枚の基板から構成されているとしたが、列毎に分かれた基板であってもよい。また、回路基板22は照明装置10の長手方向に連なった一枚の基板としたが、長手方向に複数に分割された基板であってもよい。
回路基板22には、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシに銅箔の配線が設けられたガラスエポキシ基板や、Agなどによる厚膜配線が設けられたセラミックなどが用いうる。なお、コストの面ではガラスエポキシが好ましい。
発光素子パッケージ21は、例えばハンダにより、回路基板22に搭載されてもよい。
【0028】
照明制御配線31は、半導体発光素子に発光のための電力が供給されるよう回路基板22の表面(半導体発光素子実装面)に接続されている。照明制御配線31は、放熱基板24の一部に設けられた開口を通して、放熱基板24の裏面に引き出される。そして、照明制御配線31は、放熱基板24の裏面で結線され、照明制御配線31として筐体外部に出され、栽培室60の外に設けられた照明制御部30に接続されている。
照明制御配線31はビニール被覆の銅線であってよい。
【0029】
図4では、反射器26は、照明装置10の長手方向に連なって、3列の発光素子パッケージ21の列毎に設けている。しかし、反射器26は、発光素子パッケージ21毎に設けられてもよい。また、長手方向に分割された複数の反射器26であってもよい。そして、図4では、反射器26を3列の発光素子パッケージ21の列毎に設けているが、分割せず3列を一体としたものであってもよい。すなわち、反射器26は、照明装置10の半導体発光素子から発生した光が、照明装置10の透明カバー12に対して垂直方向に放出されるようできればよい。
反射器26としては、例えば断面が放物線となるような開口を設けたAlのブロックが用いうる。開口の壁が反射面27となる。また、壁が反射面27となる開口を設けたアクリルなどの樹脂に、Al、Agなどの金属膜を蒸着法などにより形成したものも用いうる。
なお、反射器26によって透明カバー12に対して垂直方向に放出されるとは、反射器26を設けない場合に比較して、垂直方向の光量が多いことをいう。
【0030】
放熱基板24は、半導体発光素子の発光に伴って発生した熱を栽培室60外に排出するための基板であって、熱伝導率がよい材質で構成されるとともに、冷媒導管25を備えている。
冷媒導管25は、放熱基板24の導管挿入部に密着して構成されている。単に挿入しただけでは伝熱効率が悪いので、挿入した導管を圧縮空気にて管径を膨張させ、放熱基板24の導管挿入部に密着させる導管引き抜き工程を経て形成される。よって、配線基板22に搭載された半導体発光素子からの熱が、放熱基板24を経て、冷媒導管25に伝わり、冷媒によって、栽培室60外に排出される。逆に言うと、冷媒導管25を流れる冷媒は、放熱基板24を冷却し、放熱基板24に密着して配設された回路基板22に搭載された発光素子パッケージ21を冷却する。したがって、半導体発光素子からの熱を栽培室60内に排出しないため、栽培室60内の温度・湿度が、半導体発光素子から発生する熱とは無関係に制御しうる。
【0031】
よって、回路基板22に搭載可能な発光素子パッケージ21の数は、冷媒の温度、流量などによって決まる冷却能力および半導体発光素子の発熱量によって定められる。特に、冷媒導管25の冷媒の流れる方向とは垂直な方向の長さ(回路基板22の幅)は、放熱基板24の熱抵抗などの放熱特性によって制限される。
放熱基板24としては、熱伝導率に優れたAl、Cuが用いうる。特に、冷媒導管25は、腐食しにくいCuが好ましい。
放熱を良くするため、発光素子パッケージ21のチップが搭載されているリードが半田付けされている回路基板22のボンディングパッドに回路基板22の裏面まで貫通するスルーホールを開け、回路基板22の裏面の銅箔とメッキ金属とを介して接続することが望ましい。もちろん半導体発光素子が短絡しないよう、回路基板22の裏面もパターンニングされるべきである。
なお、冷媒導管25は、図4(b)に示すように、外装カバー11などに接触することなく配置されている。そして、照明装置10内には、前述したように、乾燥空気、乾燥窒素などが充填されている。よって、冷媒導管25に栽培室60の温度より温度の低い冷媒を供給しても、冷媒導管25およびそれが取り付けられた放熱基板24をはじめ、回路基板22、発光素子パッケージ21、その他部品は結露することが抑制される。これにより、冷媒導管25および放熱基板24をはじめ、回路基板22、発光素子パッケージ21、その他部品の湿気や結露による腐食を抑制することができる。
【0032】
絶縁性放熱材23は、回路基板22と放熱基板24との間に、それぞれに密着して配設され、電気的な絶縁を保つとともに回路基板22から発生した熱を放熱基板24に伝導するために設けられている。これは、放熱基板24に密着して設けられた冷媒導管25は、前述したように、第1配管カップラ16および第2配管カップラ17に接続される。第1配管カップラ16および第2配管カップラ17は、照明装置10の外側に設けられている。このため、植物栽培に従事する作業者などが、第1配管カップラ16または第2配管カップラ17に触れるおそれがある。そこで、感電を防止するため、第1配管カップラ16および第2配管カップラ17には電流が流れてはいけない。そのため、放熱基板24と回路基板22とを電気的に絶縁することが必要となる。
絶縁性放熱材23は、回路基板22と放熱基板24とを電気的に絶縁するとともに、回路基板22上の半導体発光素子から発生した熱を放熱基板24に伝導させる。このため、絶縁性放熱材23は、回路基板22と放熱基板24とが密着しやすいように、柔軟性があって、電気絶縁抵抗が高く、熱抵抗が低いフィルムが好ましい。このようなフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)などが用いうる。
【0033】
回路基板22と放熱基板24とは、回路基板22の配線が設けられていない部分において、ねじなどにより固定すればよい。
反射器26も、回路基板22を介して、放熱基板24に、ねじなどにより固定すればよい。この際も、取り付けネジに漏電しないよう、回路基板22のパターンと取り付けネジとの絶縁距離について注意すべきである。
そして、放熱基板24は、図4(b)に示すように、外装カバー11に設けられたスリットに挿入するなどにより、固定すればよい。
【0034】
さて、図4(b)に示した冷媒導管25は、第1配管カップラ16および第2配管カップラ17に接続される。このとき、放熱基板25から第1配管カップラ16および第2配管カップラ17までの間に配管が必要なときは、例えばCuなどの配管にねじを設けて継ぎ足してもよい。冷媒が漏洩することなく、冷媒が複数の照明装置10を循環するように構成すればよい。
【0035】
照明装置10は、一例として、長さが1200mm、幅が100mm、深さが45mmである。そして、冷媒導管25の径は12mmである。なお、この形状に限定されず、他の値としてもよい。
【0036】
図5は、本実施の形態で用いられる発光素子パッケージ21の構成の一例を説明する図である。ここで、図5(a)は発光素子パッケージ21の上面図を、図5(b)は図5(a)のVB−VB断面図を、それぞれ示している。
【0037】
この発光素子パッケージ21は、平面状に形成された開口面71に凹部61aが形成された樹脂容器61、樹脂容器61と一体化したリードフレームからなるアノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bと、凹部61aの底面70に取り付けられた発光素子の一例としての第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bとを備えている。すなわち、この発光素子パッケージ21は、第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを1つに実装した2in1パッケージである。そして、一例として、第1半導体発光素子64aは、発光ピーク波長が450nmの青色発光素子である。一方、第2半導体発光素子64bは、発光ピーク波長が660nmの赤色発光素子である。
なお、第1半導体発光素子64aとしては、発光ピーク波長が400〜500nmのものを用いうる。また、第2半導体発光素子64bとしては、発光ピーク波長が655〜675nmのものを用いうる。ここで、発光ピーク波長とは光強度が最も大きい波長をいう。
【0038】
樹脂容器61は、アノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bを含む金属リード部に、白色顔料が含有された熱可塑性樹脂(以下の説明では白色樹脂と呼ぶ)を射出成型することによって形成されている。
【0039】
また、ハンダリフローなどの温度がかかる工程に対応できるよう、白色樹脂は、耐熱性が十分考慮された材質が選定されている。基材となる樹脂としてはPPA(polyphthalamide)が最も一般的であるが、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレンなどでもよい。中でも、本実施の形態では、PPAとして、ジアミンとイソフタル酸またはテレフタル酸との共重合体であるナイロン4T、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5Tが特に好ましく用いることができる。
【0040】
樹脂容器61に設けられる凹部61aは、円形状を有する底面70と、同じく円形状を有する開口部71と、底面70の周縁から開口部71に向けて拡開するように立ち上がる壁面80とを備えている。ここで、底面70は、凹部61aに露出するアノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bと、アノード用リード部62a、62bとカソード用リード部63a、63bとの間の隙間の樹脂容器61の白色樹脂とによって構成されている。一方、壁面80は、樹脂容器61を構成する白色樹脂によって構成されている。なお、底面70の形状については、円形、矩形、楕円形、多角形のいずれでもよい。また、開口部71の形状については、円形、矩形、楕円形、多角形のいずれでもよく、底面形状と同一でもよい。
【0041】
アノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bは、それぞれの一部が樹脂容器61内に挟まれて保持されるとともに、他の一部が樹脂容器61の外部に露出されており、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bに電流を印加するための端子となっている。表面実装を前提とするときは、図5に示すように、アノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bをそれぞれ樹脂容器61の裏側に折り曲げて樹脂容器61の底部にその先端を配設することがある。
【0042】
また、アノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63b、すなわちリードフレームは、0.1〜0.5mm程度の厚みをもつ金属板であり、銅合金等の金属導体をベースとし、その表面には銀メッキが施されることによって銀メッキ層が形成されている。
【0043】
第1半導体発光素子64aは、凹部61aの底面70に配設されたカソード用リード部63a上に、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂からなるダイボンド剤で接着され、固定されている。同様に、第2半導体発光素子64bは、凹部61aの底面70に配設されたアノード用リード部62b上に、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂からなるダイボンド剤で接着され、固定されている。
また、第1半導体発光素子64aの裏面に、Al、Niなどの金属層を介して、AuSn層が形成され、凹部61aの底面70に配設されたカソード用リード部63a上に熱溶融により固定されるとより好ましい。第2半導体発光素子64bについても、同様である。
第1半導体発光素子64aは、n型パッド電極およびp型パッド電極を有しており、ボンディングワイヤ65を介して、p型パッド電極がアノード用リード部62aに、n型パッド電極がカソード用リード部63aに、それぞれ接続されている。同様に、第2半導体発光素子64bも、n型パッド電極およびp型パッド電極を有しており、p型パッド電極がアノード用リード部62bに、n型パッド電極がカソード用リード部63bに、ボンディングワイヤ65を介して接続されている。
【0044】
なお、発光素子パッケージ21は、凹部61aを充填するように封止樹脂にて封止される。封止樹脂は、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bが発光する光を透過する透明樹脂から構成されていればよい。
例えば、透明樹脂としては、凹部を覆うように封止する硬化性樹脂と、これを硬化させる硬化剤と、さらに必要により配合される、例えば酸化防止剤、変色防止剤、光劣化防止剤、反応性希釈剤、無機充填剤、難燃剤、有機溶剤等を含むものがよい。
硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシシリコーン混成樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性の観点から、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂が好ましく、特にシリコーン樹脂が特によい。
また、ここでは、第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとに、それぞれアノード用リード部(62a、62b)、カソード用リード部(63a、63b)を設けたが、一方を共通にしてもよい。
ここでは、発光素子パッケージ21は、2つの第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを1つに実装した2in1パッケージとしたが、単一チップを搭載した1in1パッケージでも、マルチチップを搭載のパッケージでもよい。マルチチップの場合のパッケージ内の配線は、共通端子を片端もしくは両端に有する並列回路としても良いし、チップごとに独立の正極、負極を有してもよい。また、パッケージ内でチップ間を直列接続した直列回路としてもよい。
【0045】
次に、第1半導体発光素子64a(青色発光素子)および第2半導体発光素子64b(赤色発光素子)の一例を説明する。なお、下記に示す構造および数値は、代表的な構造および数値であって、ここで示す構造および数値に限られない。
<青色発光素子>
図6は、本実施の形態において用いられる青色発光の第1半導体発光素子64aの構成の一例を説明する断面図である。図7は、青色発光の半導体発光素子64aの上面図である。ここでは、発光ピーク波長が450nmの青色発光の半導体発光素子64aについて説明する。
図6に示すように、第1半導体発光素子64aは、第1基板110と、第1基板110上に積層される中間層120と、中間層120上に積層される下地層130とを備える。また、第1半導体発光素子64aは、下地層130上に積層される第1n型半導体層140と、第1n型半導体層140上に積層される第1発光層150と、第1発光層150上に積層される第1p型半導体層160とを備える。なお、以下の説明においては、必要に応じて、これら第1n型半導体層140、第1発光層150および第1p型半導体層160を、まとめて第1積層半導体層100と呼ぶ。さらに、第1半導体発光素子64aは、第1p型半導体層160上に積層され、第1発光層150が発生する光を透過する透明電極170を備える。そして、第1半導体発光素子64aは、透明電極170の上面170cに積層され、p型パッド電極となる第1ボンディングパッド電極210を備える。さらにまた、第1半導体発光素子64aは、第1p型半導体層160、第1発光層150および第1n型半導体層140の一部を切り欠くことによって露出した第1n型半導体層140の半導体層露出面140c上の一部に積層され、n型パッド電極となる第2ボンディングパッド電極240を備える。
さらに、第1半導体発光素子64aは、第1ボンディングパッド電極210および第2ボンディングパッド電極240の表面の一部を除いて、第1n型半導体層140、第1発光層150、第1p型半導体層160および透明電極170を覆う第1保護層180を備える。
【0046】
この第1半導体発光素子64aは、前述したようにカソード用リード部63a上に接着固定され、第1ボンディングパッド電極210は、ボンディングワイヤ65により、リードフレームのアノード用リード部62aと接続される。そして、第2ボンディングパッド電極240は、ボンディングワイヤ65により、リードフレームのカソード用リード部63aと接続される。
第1ボンディングパッド電極210を正極、第2ボンディングパッド電極240を負極とし、第1積層半導体層100(具体的には、第1p型半導体層160、第1発光層150および第1n型半導体層140)に電流を流すことで、第1発光層150が発光するようになっている。そして、発生した光は、第1ボンディングパッド電極210が設けられていない透明電極170の上面より、半導体発光素子64aの外部に取り出される。
【0047】
なお、第1半導体発光素子64aの構成及びその製造方法等については、例えば特開2009−123718号公報を参照して実施することができる。
【0048】
また、本実施の形態においては、図6に示すように、SiO2のようなシリコン酸化物からなる第1保護層180を、透明電極170、第1p型半導体層160、第1n型半導体層140の半導体層露出面140cの上面(エッチングされた側壁も含む)、第1ボンディングパッド電極210の周辺部分、第2ボンディングパッド電極240の周辺部分等の表面に覆うように形成されていてもよい。
これにより、前記ボンディングパッド電極(210、240)の上面を除き、第1半導体発光素子64aをシールドして、外部の空気や水分が第1半導体発光素子64aに浸入する可能性を大幅に低減して、第1半導体発光素子64aの透明電極170やボンディングパッド電極(210、240)の剥がれの防止にも寄与することができる。
第1保護層180の厚みは、50〜1000nmとすることが好ましく、100〜500nmとすることがより好ましく、150〜450nmとすることが更に好ましい。
第1保護層180の厚みは、50〜1000nmとすることにより、外部の空気や水分が第1半導体発光素子64aの第1発光層105まで浸入する可能性を大幅に低減して、第1半導体発光素子64aの第1ボンディングパッド電極210や第2ボンディングパッド電極240の剥がれを防止することができる。
【0049】
そして、第1保護層180の形成方法は、例えば、先ず透明電極170、第1p型半導体層160、第1n型半導体層140の半導体層露出面140cの上面(エッチングされた側壁も含む)、第1ボンディングパッド電極210の表面、第2ボンディングパッド電極240の表面にSiO2からなる第1保護層180を形成した後、第1保護層180上に図示しないレジストを塗布する。
そして、第1ボンディングパッド電極210および第2ボンディングパッド電極240の表面の一部のレジストを除去し、公知のエッチング手法によって第1保護層180を除去することで、それぞれの電極の表面の一部を露出させる。
以上のようにして、第1半導体発光素子64aが製造される。
【0050】
<赤色発光素子>
図8は、本実施の形態において用いられる赤色発光の第2半導体発光素子64bの構成の一例を説明する断面図である。図9は、赤色発光の第2半導体発光素子64bの上面図である。ここでは、発光ピーク波長が660nmの赤色発光の第2半導体発光素子64bについて説明する。なお、図8に示す第2半導体発光素子64bの断面図は、図9における上面図のVIII−VIII線での断面図にあたる。
【0051】
図8に示すように、第2半導体発光素子64bは、第2積層半導体層300と第2基板310とが接合されて構成されている。そして、第2積層半導体層300は、歪調整層320、下部クラッド層として働く第2p型半導体層330、第2発光層340、上部クラッド層として働く第2n型半導体層350が、順に積層されて構成されている。
そして、第2半導体発光素子64bは、第2n型半導体層350の上面350cに形成され、n型パッド電極として働く第3ボンディングパッド電極400と、第2積層半導体層300の第2n型半導体層350、第2発光層340、第2p型半導体層330の一部を切り欠くことによって露出した歪調整層320の上面320cに形成され、p型パッド電極として働く第4ボンディングパッド電極410を備える。
なお、図9に示すように、第3ボンディングパッド電極400は、第2n型半導体層350上に、例えば格子状に形成された配線401と接続されている。配線401は、第3ボンディングパッド電極400と同一材料により、第2n型半導体層350からの光の取り出しに影響を与えないよう、細線にて形成されている。これにより、第2n型半導体層350の電位分布を、配線401を設けない場合に比べ、より均一にし、第2発光層340の発光分布を均一化している。
【0052】
さらに、第2半導体発光素子64bは、第3ボンディングパッド電極400および第4ボンディングパッド電極410の表面の一部を除いて、歪調整層320、第2p型半導体層330、第2発光層340、第2n型半導体層350を覆う第2保護層360を備える。
【0053】
この第2半導体発光素子64bにおいては、第3ボンディングパッド電極400を負極、第4ボンディングパッド電極410を正極とし、両者を介して第2積層半導体層300(より具体的には第2p型半導体層330、第2発光層340および第2n型半導体層350)に電流を流すことで、第2発光層340が発光するようになっている。そして、発生した光は、第3ボンディングパッド電極400および配線410が設けられていない第2n型半導体層350の上面や、第2基板310の側面より、第2半導体発光素子64bの外部に取り出される。
【0054】
以下では、第2半導体発光素子64bの構成をより詳細に説明する。
(第2基板)
第2基板310は、図8に示すように、第2積層半導体層300を構成する歪調整層320に接合されている。この第2基板310は、第2発光層340を機械的に支持するのに充分な強度を有するとともに、第2発光層340から出射される光を透過できるように、バンドギャップエネルギが広く、第2発光層340からの発光波長に対して光学的に透明な材料から構成されている。例えば、燐化ガリウム(GaP)、砒化アルミニウム・ガリウム(AlGaAs)、窒化ガリウム(GaN)等のIII−V族化合物半導体結晶体、硫化亜鉛(ZnS)やセレン化亜鉛(ZnSe)等のII−VI族化合物半導体結晶体、或いは六方晶或いは立方晶の炭化珪素(SiC)等のIV族半導体結晶体、ガラス、サファイアなど絶縁基板から構成することができる。
一方、接合面に反射率の高い表面を有する機能性基板も選択できる。例えば、表面に銀、金、銅、アルミニウムなどである金属基板または合金基板や、半導体に金属ミラー構造を形成した複合基板なども選択できる。
【0055】
そして、第2基板310は、第2発光層340を機械的に充分な強度で支持するために、例えば50μm以上の厚みとすることが好ましい。また、第2積層半導体層300と接合した後に第2基板310への機械的な加工を容易にするため、300μmの厚さを超えないものとすることが好ましい。すなわち、第2基板310は、50μm以上且つ300μm以下の厚さを有するn型GaP基板から構成するのが最適である。
【0056】
また、図8に示すように、第2基板310の側面は、第2積層半導体層300に近い側において、光取り出し面である第2n型半導体層350の上面に対して略垂直である垂直面310aを構成し、第2積層半導体層300に遠い側において、第2基板310の内側に傾斜した傾斜面310bを構成している。これにより、第2発光層340から第2基板310側に放出された光を効率よく外部に取り出すことができる。すなわち、第2発光層340から第2基板310側に放出された光のうち、垂直面310aで反射された光は、傾斜面310bから取り出すことができる。一方、傾斜面310bで反射された光は、垂直面310aから取り出すことができる。このように、垂直面310aと傾斜面310bとの相乗効果により、光の取り出し効率を高めることができる。
【0057】
そして、本実施の形態においては、傾斜面310bと光取り出し面である第2n型半導体層350の上面に平行な面とのなす角度αを、55度〜80度の範囲内とすることが好ましい。このような範囲とすることで、第2基板310の底面310cで反射された光を効率よく外部に取り出すことができる。
また、第2基板310の垂直面310aの部分の厚さを、30〜100μmとすることが好ましい。垂直面310aの厚さをこの範囲内にすることで、第2基板310の底面310cで反射された光を垂直面310aにおいて効率よく発光面に戻すことができ、光取り出し面である第2n型半導体層350(第3ボンディングパッド電極400が形成されていない部分)の上面から放出させることが可能となる。これにより、第2半導体発光素子64bの発光効率を高めることができる。
【0058】
また、第2基板310の傾斜面310bは、粗面化されることが好ましい。傾斜面310bが粗面化されると、傾斜面310bでの全反射を抑制し、この傾斜面310bからの光取り出し効率を上げる効果が得られる。
【0059】
(歪調整層)
本実施の形態においては、第2基板310と第2p型半導体層330との間に歪調整層320が設けられている。この歪調整層320は、第2発光層340からの発光波長に対して透明であるため、発光を吸収することなく高出力・高効率の第2半導体発光素子64bとすることができる。
なお、この歪調整層320は、第2積層半導体層300を形成する際に使用されるGaAs基板(図示せず)の格子定数よりも小さい格子定数を有している。このため、第2積層半導体層300の反りの発生を抑制することができる。これにより、第2発光層340内に設けられた歪発光層の歪量の第2発光層340内でのばらつきを低減するため、単色性に優れた第2半導体発光素子64bとすることができる。
なお、歪調整層320は、例えばMgドープしたキャリア濃度が約3×1018/cm3で、厚さが約9μmのp型GaPである。
【0060】
(第2p型半導体層)
下部クラッド層として働く第2p型半導体層330は、歪調整層320と第2発光層340との間に設けられている。第2p型半導体層330は、例えばMgをドープした(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pで、キャリア濃度が約8×1017/cm3、厚さが約0.5μmである。
また、歪調整層320と第2p型半導体層330との間に、例えば(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pで、キャリア濃度が約8×1017/cm3、厚さが約0.05μmの中間層を設けてもよい。
【0061】
(第2発光層)
第2p型半導体層330と第2n型半導体層350の間に、光を出射する第2発光層340が設けられている。第2発光層340は、その発光スペクトルのピーク発光波長が655〜675nmの範囲とすることが好ましく、660〜670nmの範囲とすることがより好ましい。上記範囲の発光波長は、植物育成(光合成)用の光源に適した発光波長の1つであり、光合成に対して反応効率が高い。
一方、700nm以上の長波長は、植物の育成を抑制する反応が起こる。このため、長波長域の光量は少ない方が望ましい。よって、効率的に植物育成するためには、光合成反応に対して最適な655〜675nmの波長領域の光が強く、700nm以上の長波長の光を含まない赤色光源が最も好ましい。このことから、好ましい赤色光源にするためには、半値幅は狭い必要がある。
これらのことから、発光スペクトルの半値幅は、10〜40nmであることが好ましく、さらに、発光波長700nmにおける発光強度が、ピーク発光波長における発光強度の10%未満であることが好ましい。
【0062】
第2発光層340は、歪発光層とバリア層を交互に積層して構成されている。歪発光層は、例えばアンドープで厚さが約17nmのGa0.44In0.56P、バリア層は、例えばアンドープで厚さが約19nmの(Al0.53Ga0.47)0.5In0.5Pである。そして、歪発光層とバリア層とを交互に、例えば22対積層している。
【0063】
(第2n型半導体層)
上部クラッド層として働く第2n型半導体層350は、第2発光層340の上面に設けられている。
第2n型半導体層350は、例えばSiをドープしたキャリア濃度が約1×1018/cm3で、厚さが約0.5μmの(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pである。
なお、第2n型半導体層350の上面に、例えばSiをドープしたキャリア濃度が約2×1018/cm3で、厚さが約3.5μmの(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pからなるn型のコンタクト層を設けてもよい。
【0064】
(第3ボンディングパッド電極および第4ボンディングパッド電極)
n型パッド電極である第3ボンディングパッド電極400は、第2n型半導体層350の上面350cに設けられており、例えば、AuGe、Ni合金/Auからなる合金を用いることができる。
一方、p型パッド電極である第4ボンディングパッド電極410は、露出させた歪調整層320の上面320cに設けられており、例えばAuBe/Auからなる合金を用いることができる。
【0065】
上記した第2半導体発光素子64bは、次のようにして製造することができる。
先ず、Siをドープしたn型のGaAs単結晶からなるGaAs基板上に、第2積層半導体層300を順次積層する。GaAs基板は、例えば(100)面から(0−1−1)方向に15°傾けた面を成長面とし、キャリア濃度が2×1018/cm3である。
このGaAs基板上に、第2積層半導体層300を、第2n型半導体層350、第2発光層340、第2p型半導体層330、歪調整層320の順に形成する。
なお、GaAs基板上と第2積層半導体層300との間に、例えばSiをドープしたキャリア濃度を約2×1018/cm3、厚さを約0.5μmのGaAsからなるn型の緩衝層を設けてもよい。
【0066】
本実施の形態では、減圧有機金属化学気相堆積(MOCVD)法を用い、直径76mm、厚さ350μmのGaAs基板に第2積層半導体層300をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる際、III族構成元素の原料としては、トリメチルアルミニウム((CH3)3Al)、トリメチルガリウム((CH3)3Ga)及びトリメチルインジウム((CH3)3In)が使用できる。また、Mgのドーピング原料としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(bis−(C5H5)2Mg)が使用できる。さらに、Siのドーピング原料としては、ジシラン(Si2H6)が使用できる。そして、V族構成元素の原料としては、ホスフィン(PH3)、アルシン(AsH3)が使用できる。また、各層の成長温度としては、p型GaPからなる歪調整層320は、750℃、その他の各層は700℃で成長させる。
【0067】
次に、歪調整層320を表面から約1μmの深さに至るまで研磨して、鏡面加工する。一方、上記の歪調整層320の鏡面研磨した表面に貼付するn型GaPからなる第2基板310を用意する。第2基板310は、例えば直径は76mmで、厚さが250μmである。そして、第2基板310は、キャリア濃度が約2×1017/cm3となるように、Siをドープされた(111)面の単結晶の基板である。また、第2基板310の表面は、歪調整層320に接合させる前に、鏡面に研磨しておく。
【0068】
引き続いて、一般の半導体材料貼付装置に、第2基板310と、第2積層半導体層300が形成されたGaAs基板とを搬入し、例えば3×10−5Paとなるまで半導体材料貼付装置内を真空に排気する。
【0069】
その後、第2基板310、および第2積層半導体層300の歪調整層320の表面を、例えば電子を衝突させて中性(ニュートラル)化したArビームを3分間に亘り照射して、双方の表面に吸着したガスなどを除去した。
その後、真空を維持した半導体材料貼付装置内において、第2基板310と第2積層半導体層300の歪調整層320の表面を重ね合わせ、例えば圧力が50g/cm2となるように荷重を掛けて、室温で接合する。
【0070】
さらに、GaAs基板およびGaAs緩衝層をアンモニア系エッチャントにより選択的に除去する。次に、コンタクト層の表面に第3ボンディングパッド電極400として、AuGe、Ni合金を厚さが0.5μm、Ptを0.2μm、Auを1μmとなるように真空蒸着法によって成膜した。その後、公知のフォトリソグラフィを利用してパターニングを施し、n型パッド電極として働く第3ボンディングパッド電極400を形成した。
【0071】
次に、第4ボンディングパッド電極410を形成する領域の第2n型半導体層350、第2発光層340、第2p型半導体層330を選択的に除去し、歪調整層320を露出させた。この露出した歪調整層320の上面320cに、AuBeを0.2μm、Auを1μmとなるように真空蒸着法でp形パッド電極として働く第4ボンディングパッド電極410を形成する。
その後、450℃で10分間熱処理を行って合金化し、それぞれが低抵抗のn型およびp型パッド電極として働く第3ボンディングパッド電極400および第4ボンディングパッド電極410を形成する。
【0072】
上記のようにして製造した第2半導体発光素子64bは、図5(a)に示すように、発光素子パッケージ21に組み込まれる。すなわち、第2半導体発光素子64bの底面310cがリードフレームのアノード用リード部62b上に設置され、第3ボンディングパッド電極400は、例えば金のボンディングワイヤ65により、カソード用リード部63bと接続され、第4ボンディングパッド電極410は、金のボンディングワイヤ65により、アノード用リード部62aと接続されている。このことにより、n型GaPの第2基板310と、第3ボンディングパッド電極400とは、同電位になっている。
なお、発光素子パッケージ21の凹部61aは、ワイヤボンディングの後、一般的なエポキシ樹脂で封止されてもよい。
【0073】
なお、本実施の形態における赤色発光の第2半導体発光素子64bは、AlGaInPからなる4元の化合物半導体を用いている。本明細書中では、AlGaInPやAlInP等の記述は、各元素の組成比を簡略して記載することもある。一方、660nmの光を発する半導体発光素子として、AlGaAsの3元の化合物半導体を用いたものが知られている。
本実施の形態におけるAlGaInPを用いた第2半導体発光素子64bは、AlGaAsを用いたものに比べて、Alの比率が低いので、湿気による腐食に対して強いという特性を有している。
【0074】
上記した第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bは、一例であって、これ以外の構造の半導体発光素子、これら以外の発光ピーク波長を有する半導体発光素子が用いうることは明らかである。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態においては、植物育成に必要とされる青色発光の第1半導体発光素子64aおよび赤色発光の第2半導体発光素子64bを実装した発光素子パッケージ21を用いているので、照明装置10の製造が容易である。
また、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bのそれぞれをオン/オフできるように、リードフレームのアノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bが個別に設けられている。よって、照明制御配線31を第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとで分けて設けることにより、植物の種類などによって、赤色と青色との光子の密度(光量子密度)を独立に制御することができる。
このように作製した照明装置10において、20cm直下の光量子密度は、青色発光の第1半導体発光素子64aの1個当たりに20mAを流した場合、300μmol/m2/sec、赤色発光の第2半導体発光素子64bの1個当たりに20mAを流した場合、200μmol/m2/secであった。
さらに、半導体発光素子を不点灯で、(I)5℃にて15分間放置、(II)15分間で60℃に昇温、(III)60℃にて15分間放置、(IV)15分間で5℃に降温、そして(I)に戻るという温度サイクルを1000サイクル繰り返して行った温度サイクル試験において、照明装置10の透明カバー12(ガラス)内面に曇り、結露は見られなかった。また、30℃、95%RH(相対湿度)の環境下において、青色発光の第1半導体発光素子64aに10mA、赤色発光の第2半導体発光素子64bに30mAを流して行った1000時間の連続点灯試験において、照明装置10内部に錆や半導体発光素子の不点灯は見られず、光量子密度は初期値の98%を維持することができた。
【0076】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、青色発光の第1半導体発光素子64aおよび赤色発光の第2半導体発光素子64bを含む発光素子パッケージ21を回路基板22に搭載し、この回路基板22をさらに放熱基板24に搭載していた。この方法では、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bから発生する熱は、発光素子パッケージ21の金属リード、および回路基板22のスルーホールを介して、回路基板22の裏面から放熱基板24に伝えられる。
この内、発光素子パッケージ21の金属リードは厚さ0.15mmと薄く、発光素子パッケージ21の熱抵抗は100℃/Wとそれほど低くはない。
本実施の形態では、冷却効率をさらに向上させるため、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bを金属ベースの回路基板32の金属ベース部に直接接着する方式(COB式:Chip on Board式)を採用した。
【0077】
図10は、本実施の形態が適用される照明装置20の一例の断面図である。なお、照明装置20は、筐体を構成する外装カバー11、透明カバー12、第1側面カバー13、第2側面カバー14を、第1の実施の形態と同様に備えている。さらに、本実施の形態でも、青色発光の第1半導体発光素子64aと赤色発光の第2半導体発光素子64bとを用いている。
本実施の形態では、放熱基板24の一方の面に、第1の実施の形態と同様に、冷媒配管25が設けられている。そして、放熱基板24の他方の面に、絶縁性放熱材23を介してCOB式の回路基板32がネジ止めされている。なお、図10では、反射器26を設けているが、設けなくともよい。
【0078】
図11は、チップオンボード(COB)式の回路基板32に設けられた接続配線520と半導体発光素子(第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64b)との接続関係の一例を説明するための平面図である。ここで、図11(a)は、放熱基板24に絶縁性放熱材23を介してネジ止めされたCOB式の回路基板32上の回路パターンの例を説明する平面図である。図11(b)は、図11(a)の破線で囲んだ部分の拡大図であって、回路基板32上に配置された第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bと、接続配線520との接続関係を示している。
なお、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態において説明した構成と同じ構成には、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0079】
まず、図11(a)において、接続配線520が形成された回路基板32について説明する。
回路基板32は、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bの発光に伴って発生した熱を栽培室60外に排出するための基板である。そこで、回路基板32は、熱伝導率がよい材質で構成されている。
回路基板32としては、熱伝導率に優れたAl、Cuが用いうる。
【0080】
一方、回路基板32の表面には、両面に接続配線520が形成された絶縁層510が設けられている。そして、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bを回路基板32上に直接搭載できるように、回路基板32の表面が露出するように絶縁層510が除去され、複数の半導体発光素子設置部530が設けられている。図11(a)では、一例として、複数の半導体発光素子設置部530が回路基板32の長手方向に等間隔に2列に、列当たり15個配置されている。
そして、複数の半導体発光素子設置部530のそれぞれには、例えば第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとをペアにして配置されている。第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bは、接続配線520を介して給電される。接続配線520は、図11(a)に示すように、具体的には複数に分割された配線から構成されている。
【0081】
次に、図11(b)において、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bと、接続配線520との接続関係の一例を説明する。
第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとはペアを構成し、そのペアが半導体発光素子設置部530内に配置されている。第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bは、回路基板32の短手方向に並べて配置され、第1半導体発光素子64aが回路基板32の外側に、第2半導体発光素子64bが回路基板32の内側に配置されている。
そして、ある第1半導体発光素子64aの第1ボンディングパッド電極210がそれに隣接して配置された他の第1半導体発光素子64aの第2ボンディングパッド電極240に、絶縁層510上の接続配線520を介して接続されている。第1ボンディングパッド電極210または第2ボンディングパッド電極240と接続配線520とは、ボンディングワイヤ65で接続されている。
また、接続配線520を跨いで他の2つの接続配線520を接続することが必要な部分には、低抵抗のチップ抵抗66にて渡り配線がされている。
【0082】
このように、複数の第1半導体発光素子64aが、接続配線520によって直列に接続されている。同様に、複数の第2半導体発光素子64bが、接続配線520によって直列に接続されている。ただし、複数の第1半導体発光素子64aと複数の第2半導体発光素子64bとは、相いに接続されていない。これは、第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを個別に点灯制御しうるようにするためである。
つまり、接続配線端子520aと520bとの間には、回路基板32の内側に配列された第2半導体発光素子64bのみが直列に10個接続されている。一方、接続配線端子520cと520dとの間には、回路基板32の外側に配列された第1半導体発光素子64aのみが直列に10個接続されている。これにより、接続配線端子520aと520bとの間に、照明制御部30が第2半導体発光素子64bの順方向電圧を直列に接続された個数倍した電圧を印加して、第2半導体発光素子64bに順方向電流を流すことにより、直列に接続された複数の第2半導体発光素子64bを同時に点灯させることができる。接続配線端子520cと520dとの間においても同様である。
【0083】
なお、本実施の形態では、図11(a)に示すように、回路基板32の図中右側、中央、左側に配置され、それぞれが直列に接続された10個の第1半導体発光素子64aまたは第2半導体発光素子64bが、接続配線端子520aと520bとの間または接続配線端子520cと520dとの間に並列に接続されている。このように、直列接続した第1半導体発光素子64aまたは第2半導体発光素子64bの列を複数並列に接続することで、回路基板32上のすべての第1半導体発光素子64aまたは第2半導体発光素子64bを直列に接続する場合に比べ、第1半導体発光素子64aまたは第2半導体発光素子64bに供給する電圧を低く抑えることができる。
【0084】
図12は、本実施の形態における半導体発光素子(第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64b)を直接搭載したチップオンボード(COB)式の回路基板32をさらに説明する図である。図12(a)は、一つの半導体発光素子設置部530の部分を拡大して示した平面図である。図12(b)は、図12(a)のXIIB−XIIB線での断面図である。
回路基板32の両面には、接続配線520が形成された絶縁層510が設けられている。そして、絶縁層510は、第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを設置する半導体発光素子設置部530において、回路基板32が露出するように除去されている。
【0085】
半導体発光素子設置部530の露出した回路基板32上には、第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとが配置されている。そして、第1半導体発光素子64aの第1ボンディングパッド電極210と第2ボンディングパッド電極240とは、絶縁層510上に形成された接続配線520にボンディングワイヤ65で接続されている。同様に、第2半導体発光素子64bの第3ボンディングパッド電極400と第4ボンディングパッド電極410とは、それぞれ接続配線520にボンディングワイヤ65で接続されている。
【0086】
図12(b)に示すように、絶縁層510(絶縁層510の両面に形成された接続配線520を含む)は接着層540を介して回路基板32に積層されている。そして、絶縁層510の半導体発光素子設置部530となる部分が、その側面が例えば円錐状になるように除去され、回路基板32が露出するようになっている。
絶縁層510の材料は限定されず、樹脂、セラミック等の周知のものを任意に用いることができる。特に、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシが好ましい。
接続配線520の材料も限定されず、Cu、Al等の周知のものを任意に用いることができる。
接着層540もまた、回路基板32および絶縁層510の両者に接合可能なものであれば材質は限定されない。エポキシ樹脂等のホットメルト接着剤を用いて熱プレスにより回路基板32に接合してもよい。粘着性の接着剤を用いて回路基板32に貼付してもよい。
なお、ここでは、絶縁層510の両面に接続配線520が形成されているとしたが、片面にのみ接続配線520が形成されていてもよい。
【0087】
第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとは、例えば樹脂で回路基板32に固定されている。また、第1半導体発光素子64aの裏面に、Al、Niなどの金属層を介して、AuSn層が形成され、回路基板32の表面に熱溶融により固定されるとより好ましい。第2半導体発光素子64bについても、同様である。
そして、それぞれのn型パッド電極およびp型パッド電極と接続配線520とが、金等のボンディングワイヤ65で接続されている。
そして、半導体発光素子設置部530に、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bとボンディングワイヤ65とを覆い包むように封止樹脂550を設けている。封止樹脂550は、前述したように、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bが発光する光を透過する透明樹脂から構成されていればよい。透明樹脂としては、例えば、凹部を覆うように封止する硬化性樹脂と、これを硬化させる硬化剤と、さらに必要により配合される、例えば酸化防止剤、変色防止剤、光劣化防止剤、反応性希釈剤、無機充填剤、難燃剤、有機溶剤等を含むものがよい。硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシシリコーン混成樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性の観点から、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂が好ましく、特にシリコーン樹脂が特によい。
【0088】
このような構造は、例えば次のようにして製造することができる。
板状の絶縁層510として、0.1mm厚のガラスエポキシの両面側に、厚さ18μmの全面銅箔を形成し、この銅箔をエッチング加工して接続配線520を形成する。電界メッキ法にて回路パターンの銅箔表面に厚さ2μm以上の銀メッキを施すため、表面の回路パターンはスルーホールを介して裏面の回路パターンで全て導通しており、銀メッキの形成後は、回路基板32の端部を切り落とすことで、回路パターンの縁切りをする。そして、裏面側にホットメルト接着剤による厚さ50μmの接着層540を形成する。
次に、板状の絶縁層510の半導体発光素子設置部530となる部分の絶縁層510をパンチング等で除去する。
そして、厚さ0.7mmの高反射アルミニウム板と板状の絶縁層510とを予め定められた位置で重ね合わせ、熱プレスする。これにより、高反射アルミニウム板と板状の絶縁層510とが強固に接合され、COB式の回路基板32が形成される。
【0089】
次いで、回路基板32の金属ベースの露出部に第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを接着する。第1半導体発光素子64aの第1ボンディングパッド電極210および第2ボンディングパッド電極240と接続配線520とをボンディングワイヤ65で接続する。
これにより、回路基板32に第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを直接搭載した構造、いわゆるCOBができる。
【0090】
このように作製した照明装置20において、20cm直下の光子の密度(光量子密度)は、青色発光の第1半導体発光素子64aの1個当たりに20mAを流した場合、250μmol/m2/sec、赤色発光の第2半導体発光素子64bの1個当たりに20mAを流した場合、150μmol/m2/secであった。
【0091】
さらに、半導体発光素子を不点灯で、(I)5℃にて15分間放置、(II)15分間で60℃に昇温、(III)60℃にて15分間放置、(IV)15分間で5℃に降温、そして(I)に戻るという温度サイクルを1000サイクル繰り返して行った温度サイクル試験において、照明装置20の透明カバー12(ガラス)内面に曇り、結露は見られなかった。また、30℃、95%RH(相対湿度)の環境下において、青色発光の第1半導体発光素子64aに10mA、赤色発光の第2半導体発光素子64bに30mAを流して行った1000時間の連続点灯試験において、照明装置20内部に錆や半導体発光素子の不点灯は見られず、光量子密度は初期値の98%を維持することができた。
【0092】
なお、本実施の形態において、光を効率よく取り出すために、半導体発光素子設置部530を取り囲む絶縁層510の側面に反射面を設けてもよい。反射面は、Al等の反射率の高い金属膜で形成してもよく、半導体発光素子設置部530の形状に嵌合するAl等で構成された金属リングを嵌めこんでもよい。
また、本実施の形態においても、第1の実施の形態においてと同様に、回路基板32上の第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとから発する光の方向を設定するための反射器26を設けてもよい。なお、反射器26は、半導体発光素子設置部530に対応して、例えば放物線状の反射面が形成されるようにしてよい。ペアを構成する第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bに対して、それぞれに反射器26を設けてもよく、ペア毎に反射器26を設けてもよい。さらに、回路基板32の短手又は長手方向のみ、光の方向を制御するときは、スリット状の反射器26としてもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、接続配線520を跨いで他の2つの接続配線520を接続する部分に、低抵抗のチップ抵抗66を用いたが、接続配線520を多層に構成してもよい。
【0094】
本実施の形態が適用される照明装置10、20は、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bの発する熱が放熱基板24および放熱基板24に設けられた冷媒導管25中の冷媒により栽培室60の外部に放出される。このため、発光効率の減少無く、また、劣化のおそれなく、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bに大電流を供給し高光出力で稼働させうる。
照明装置10、20の内部は、密閉されて、外気の流入を抑制しているので、湿気の侵入による第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bの湿気による腐食を抑制することができる。さらに、照明装置10、20の内部が乾燥空気または乾燥窒素が充填されていれば、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bの湿気による腐食をより抑制することができる。このため、湿気で腐食しやすいGaAlAs系の半導体発光素子であっても植物栽培用の照明装置10、20として使用することができる。
また、照明装置10、20は、乾燥空気または乾燥窒素が充填されるとともに、外気の流入を抑制した内部に、冷媒導管25を配設しているので、高温・高湿の栽培室60に冷媒を流通させても結露することがなく、放熱基板24および冷媒導管25の結露水による腐食が抑制できる。
【0095】
そして、本実施の形態においては、雄型の第1配管カップラ16と雌型の第2配管カップラ17とにより簡単な操作で連結できるので、複数の照明装置10、20の連結や取り外しが容易で、植物栽培システム1の構築や変更が容易にできる。そして、複数の照明装置10、20を冷媒の通路となる配管部材(雄型の第1配管カップラ16と雌型の第2配管カップラ17)により連結するので、連結のための部材を別に設ける必要がない。さらに、複数の照明装置10、20を近接して配置することができ、栽培室60のスペースを有効に活用できる。
【符号の説明】
【0096】
1…植物栽培システム、10、20…照明装置、11…外装カバー、12…透明カバー、13…第1側面カバー、14…第2側面カバー、15…配管継手、16…第1配管カップラ、17…第2配管カップラ、21…発光素子パッケージ、22、32…回路基板、23…絶縁性放熱材、24…放熱基板、25…冷媒導管、26…反射器、30…照明制御部、31…照明制御配線、40…冷媒供給部、41…冷媒配管、50…栽培容器、60…栽培室、61…樹脂容器、62a、62b…アノード用リード部、63a、63b…カソード用リード部、64a…第1半導体発光素子、64b…第2半導体発光素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培用の照明装置およびそれを用いた植物栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然条件の変動に左右されない農業環境づくりとして、栽培環境の光、温度、湿度、炭酸ガス濃度など、植物成長に影響を及ぼすあらゆる条件を制御して農作物などを生産する植物工場、野菜工場などが実用化されつつある。
これらの植物工場には、完全人工光型と太陽光併用型のものがあるが、両者とも人工光を照射する照明装置を設置することが必須となっている。そして、照明装置からは、赤色と青色との光を植物に照射することが必要とされている。これらの照明装置の光源には、半導体発光素子(LED:Light Emitting Diode)が用いられるようになってきている。
このような植物工場等の植物栽培を行う栽培室の環境は、予め定められた温度および湿度に維持管理されている。したがって、そこに設置される照明装置からの発熱は、栽培室の温度管理に影響するため好ましくない。さらに、栽培室は、一般に高温高湿であるので、そこに照明装置を設置すると劣化が激しく、寿命が短くなるなど、照明装置を設置する環境としては好ましくない。
【0003】
特許文献1には、熱冷媒を用いた強制冷却装置を備えたパネル状の光半導体ユニットからなる光源を、植物栽培面に近接させて設置した植物栽培装置が記載されている。
特許文献2には、湿度が高い環境においても植物栽培用の照明パネルの耐久性を高くするため、ベースと、そのベースに密着した金属薄板製の基板と、その基板上に配列された多数の発光ダイオードと、ベースとの間に空間をあけて配置されるカバーと、ベースとカバーとの間に介在され、空間を外部に対して気密に維持するためのシール材とを備えており、空間に乾燥空気が充填されると共に、枠材内に乾燥剤が収容されている植物栽培用の照明パネルが記載されている。
特許文献3には、植物栽培用の半導体発光照明装置の半導体発光素子の放熱を促し、大電流印加による高輝度化を行うため、上側に冷却水を通水可能で、且つ内部に通電可能な金属壁と、金属壁の下部に取り付けられる光源ユニットとを有する半導体発光照明装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−98665号公報
【特許文献2】特開2000−207933号公報
【特許文献3】特開2003−110143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、半導体発光素子を光源として用いる植物栽培においては、植物育成に必要な光量子密度を得る為に、定格電流を上回る電流を印加していた。これに伴い、半導体発光素子の発熱量は増加し、半導体発光素子のジャンクション温度は増大していた。半導体発光素子の温度増は、半導体発光素子自体の発光効率の減小と、半導体発光素子周辺部材であるエポキシ樹脂などの樹脂材料の黄変を引き起こす問題を抱えていた。これを解決するには半導体発光素子を水冷することが効果的であるが、半導体発光素子や半導体発光素子周辺部材に、結露や吸湿を引き起こし、半導体発光素子自体の劣化や不点灯、半導体発光素子周辺の銀メッキ、半田、銅箔の酸化による発光強度の減小や不点灯が急速に進むことが問題であった。特に、ピーク波長660nmの赤色発光素子については、従来Al組成の高いGa1-xAlxAs系の化合物半導体発光素子であったため、高湿環境ではAl原子に酸素が容易に結合し半導体発光素子自体が急速に変質、発光強度が急速に減小し、ついには不点灯に至っていた。
本発明の目的は、半導体発光素子を水等の冷媒により効率よく冷却する際の結露、吸湿による不具合を解決するものであり、長寿命かつ高効率維持の半導体発光素子を光源として用いる植物栽培用の照明装置およびそれを用いた植物栽培システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明が適用される照明装置は、複数の発光素子と、発光素子の発する光を透過する透光性窓部を有し、発光素子を覆うように設けられた筐体と、筐体の内部に配置され、発光素子が発生する熱を伝導により放熱する放熱基板と、放熱基板に取り付けられ、冷媒の流路となる冷媒導管とを備え、筐体は、筐体の内部に冷媒導管を含むとともに、筐体の内部が外気の流入を抑制するように構成されている植物栽培用の照明装置である。
このような植物栽培用の照明装置において、筐体は、筐体の内部が乾燥空気または乾燥窒素で充填されているように構成されていることを特徴とすることができる。
さらに、植物栽培用の照明装置は、冷媒導管と、隣接する照明装置が備える隣接冷媒導管とを連結し、隣接冷媒導管と冷媒導管との間で冷媒の流路を形成する連結手段をさらに備えることを特徴とすることができる。
【0007】
一方、筐体は、長尺の箱形であって、長尺方向の1つの面が透光性窓部を構成し、長尺方向の他の3つの面は連なった外装部を構成し、残りの2面は側面部を構成することを特徴とすることができる。
その外装部は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押し出し成型により製作されることを特徴とすることができる。
放熱基板は、冷媒導管を挿入する部分を有し、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押し出し成型により製作され、挿入される冷媒導管と一体に構成されることを特徴とすることができる。
そして、発光素子は、発光素子パッケージに設置され、発光素子パッケージが回路基板に固着され、回路基板が放熱基板に固定されることを特徴とすることができる。
また、発光素子は、金属ベースの回路基板の金属ベース部に直付けされ、回路基板が放熱基板に固定されることを特徴とすることもできる。
また、発光素子は、発光ピーク波長が400〜500nmの発光素子と、発光ピーク波長が655〜675nmの発光素子とを含むことを特徴とすることができる。
その発光素子は、pn接合型の発光部と、発光部に積層された歪調整層とを少なくとも含む化合物半導体層を備え、発光部は、組成式(AlXGa1−X)YIn1−YP(0≦X≦0.1、0.37≦Y≦0.46)からなる歪発光層とバリア層との積層構造を有し、歪調整層は、発光波長に対して透明であると共に歪発光層およびバリア層の格子定数よりも小さい格子定数を有することを特徴とすることができる。
さらに、本発明が適用される植物栽培用の照明装置は、発光素子と透光性窓部との間に、発光素子の光の方向を設定する反射器をさらに備えることを特徴とすることができる。
【0008】
そして、他の観点から捉えると、本発明が適用される植物栽培システムは、複数の発光素子と、発光素子の発する光を透過する透光性窓部を有し、発光素子を覆うように設けられた筐体と、筐体の内部に配置され、発光素子が発生する熱を伝導により放熱する放熱基板と、放熱基板に取り付けられ、冷媒の流路となる冷媒導管とを備え、隣接する冷媒導管を相互に連結して冷媒の流路を形成する複数の植物栽培用の照明装置と、複数の植物栽培用の照明装置の、連結された冷媒導管に冷媒を供給する冷媒供給部と、複数の植物栽培用の照明装置の発光素子の点灯と消灯とを制御する照明制御部とを備えることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体発光素子を水等の冷媒により効率よく冷却する際の結露、吸湿による不具合を解決するものであり、長寿命かつ高効率維持の半導体発光素子を光源として用いる植物栽培用の照明装置およびそれを用いた植物栽培システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態が適用される植物栽培システムの一例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態が適用される照明装置の外形の一例を示す図である。
【図3】第1配管カップラと第2配管カップラの一例を説明する図である。
【図4】照明装置の内部の一例を説明する図である。
【図5】第1の実施の形態で用いられる発光素子パッケージの構成の一例を説明する図である。
【図6】本実施の形態において用いられる青色発光の半導体発光素子の構成の一例を説明する断面図である。
【図7】青色発光の半導体発光素子の上面図である。
【図8】本実施の形態において用いられる赤色発光の半導体発光素子の構成の一例を説明する断面図である。
【図9】赤色発光の半導体発光素子の上面図である。
【図10】第2の実施の形態が適用される照明装置の一例の断面図である。
【図11】チップオンボード式の回路基板に設けられた接続配線と半導体発光素子との接続関係の一例を説明するための平面図である。
【図12】半導体発光素子を直接搭載したチップオンボード式の回路基板をさらに説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態が適用される植物栽培システム1の一例を示す図である。
植物栽培システム1は、栽培室60内に設置され、植物を栽培する複数の栽培容器50と、同じく栽培室60内に、栽培容器50に近接して設置され、栽培する植物に光を照射する複数の照明装置10とを備える。照明装置10には冷媒導管25がそれぞれ設けられている。そして、連結手段により、複数の照明装置10が連結されている。すなわち、ある照明装置10の冷媒導管25と、それに隣接する照明装置10の冷媒導管25(隣接冷媒導管)とが連結され、冷媒の流路を形成している。
さらに、植物栽培システム1は、栽培室60外に設置され、照明装置10の照明の点灯/消灯を制御する照明制御部30と、同じく栽培室60外に設置され、照明装置10を冷却する水などの冷媒を冷媒導管25に供給する冷媒供給部40とを備えている。
【0012】
栽培室60は、温度、湿度、採光などが制御できる環境であれば、どのような構成であってもよい。そして、栽培室60は、外部からの光や空気の流通が遮断された環境であってもよく、外部の光や空気の流通を許容する窓などを備えた環境であってもよい。
栽培容器50は、土壌を入れて植物を育成する容器であってもよい。また、水耕栽培のように、植物に栄養を与える養液を保持する容器であってもよい。
そして、図1には図示していないが、植物栽培システム1は、栽培容器50の植物に散水するための散水部を備えていてもよい。また、植物が水耕栽培の場合には、水耕栽培のための養液を供給または循環する養液供給部を備えていてもよい。
【0013】
照明装置10は、後述するように、発光素子として複数の半導体発光素子(例えば、後述する図5の発光素子パッケージ21では、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bの複数の半導体発光素子が収納されている。)を備えている。この場合、複数の半導体発光素子が発生する光を、栽培容器50において栽培する植物に照射する。このため、それぞれの照明装置10は、半導体発光素子に発光のための電力を供給するとともに、半導体発光素子の点灯/消灯を制御する照明制御配線31を備えている。これらの照明制御配線31は、照明制御部30に接続されている。
なお、それぞれの照明制御配線31は、その照明制御配線31が接続された照明装置10内のすべての半導体発光素子を同時に点灯/消灯するように結線してもよい。また、1つの照明装置10内の半導体発光素子を、例えば発光色などによりグループ分けして、グループ毎に点灯/消灯を制御しうるように結線してもよい。
【0014】
照明制御部30は、照明装置10の点灯/消灯を制御しうるものであればよい。よって、照明装置10毎に電力の供給をオン/オフするスイッチを並べたスイッチアレイであってよい。また、スイッチアレイのオン/オフは、コンピュータなどで制御されてもよい。照明制御部30は赤や青などの半導体発光素子の印加電流値を設定制御しうるものであれば良い。また、パルス点灯として、赤や青などの半導体発光素子の周期とデューティを制御するものが望ましい。点灯時間と非点灯時間をタイマー制御するものが望ましい。
【0015】
さらに、それぞれの照明装置10は、図1中に破線で示すように、半導体発光素子から発生する熱を栽培室60外に排出するため、照明装置10を長手方向に貫いて設けられた冷媒導管25を備えている。そして、それぞれの照明装置10は、冷媒導管25の端部に接続された配管カップラ(後述する図2の第1配管カップラ16と第2配管カップラ17)により相互に連結されている。他の照明装置10に接続されていない冷媒導管25の2つの端部は、冷媒配管41を介して冷媒供給部40に接続されている。このように、冷媒導管25は、冷媒供給部40を介して一本に連なった導管の一部となるので、液体(冷媒)を循環させることができる。
冷媒供給部40は、冷媒が複数の照明装置10を循環する(冷媒の流れる方向を矢印で示す)ように制御する。冷媒供給部40は、例えばモータで駆動されるポンプであってよい。そして、モータへの電力供給は、半導体発光素子を点灯させるときに冷媒を供給するように、照明制御部30と連動させてもよい。
【0016】
なお、図1では、すべての照明装置10を直列に連結した場合を示しているが、直列に連結した照明装置10の列を複数並列に設けてもよい。また、直列の部分と並列の部分とを混在させてもよい。すなわち、冷媒供給部40により、冷媒が照明装置10の冷媒導管25を循環するように流れることで照明装置10を冷却し、半導体発光素子によって発生する熱を栽培室60外に排出できればよい。
なお、図1の照明装置10では、植物栽培システム1における冷媒の流れを明らかにするため、照明装置10内の冷媒導管25を破線で示したが、後述するように、照明装置10内には、冷媒導管25以外に発光素子パッケージ(後述する図5の発光素子パッケージ21)などが含まれている。
【0017】
図2は、本実施の形態が適用される照明装置10の外形の一例を示す図である。図2(a)は上面図、図2(b)は下面図、図2(c)は左側面図、そして図2(d)は右側面図である。
照明装置10は、外装部の一例としてのコ字型の外装カバー11と、コ字の空いた部分に蓋をするように設けられた透光性窓部の一例としての透明カバー12と、左側面に設けられる側面部の一例としての第1側面カバー13と、右側面に設けられる側面部の一例としての第2側面カバー14とを備える。
第1側面カバー13および第2側面カバー14は、外装カバー11に透明カバー12を取り付けた両端部に蓋をするように設けられている。
すなわち、照明装置10の外形は、外装カバー11、透明カバー12、第1側面カバー13、第2側面カバー14によって囲まれた箱形をなしている。この箱形の形状としては、長尺の箱形形状が使用環境上好ましく使用されるが、本発明では、特に箱形形状に制限されない。そして、外装カバー11、透明カバー12、第1側面カバー13、第2側面カバー14は、照明装置10の筐体を構成する。これらのカバーが構成する筐体の内部を照明装置10の内側または内部、筐体の外側を照明装置10の外側または外部と呼ぶ。
【0018】
照明装置10の左側面に設けられた第1側面カバー13の外側には、配管継手15を介して、照明装置10の内部の冷媒導管25と接続された連結手段の一例としての雌型の配管部材である第2配管カップラ17が設けられている。
第2側面カバー14の外側には、配管継手15を介して、冷媒導管25と接続された連結手段の一例としての雄型の配管部材である第1配管カップラ16が設けられている。すなわち、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とは、照明装置10の筐体の対向する位置に設けられている。
さらに、第2側面カバー14から、照明制御配線31が外部に出されている。なお、照明制御配線31は、栽培室60内の高温・高湿の環境に耐える被覆コードが選ばれる。
【0019】
外装カバー11は、照明装置10に剛性を与え変形を防ぐものであればいずれの材質のものも使用できる。例えば、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼(SUS)、銅(Cu)、チタン(Ti)などの金属材料、ABS樹脂などのプラスチック材料が用いうる。この中で、重量及びコストの点で優れるAlまたはアルミニウム合金による押し出し成型品が好ましく使用される。この場合、表面はAlの腐食を防ぐため、アルマイト加工されているのがさらに好ましい。また、反射率を高め光の有効利用を図る観点から、アルマイト加工は白色アルマイトやさらにその上にクリア塗装するのがより好ましい。
透明カバー12は、照明装置10に設けられる半導体発光素子の発光波長を効率よく透過するものであればいずれの材質のものも使用できる。透明カバー12は、例えばガラスが好ましい。また、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル重合体、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)なども好適に用いうる。さらに、透明カバー12の照明装置10内側には、半導体発光素子の発光波長に対する反射防止膜が設けられているのがより好ましい。
【0020】
第1側面カバー13および第2側面カバー14は、外装カバー11と同様に、照明装置10に剛性を与え変形を防ぐものであればいずれの材質のものも使用できる。すなわち、第1側面カバー13は、それを間に挟んで冷媒導管25と第2配管カップラ17とを接続しても変形が抑制できるものであればよい。また、同様に、第2側面カバー14は、それを間に挟んで冷媒導管25と第1配管カップラ16とを接続しても変形が抑制できるものであればよい。これらには、例えばAl、SUS、Cu、Ti、Moなどの金属材料、またはABSなどのプラスチック材料が用いうる。重量の点で優れるAlのダイキャストであってもよい。そして、第1側面カバー13および第2側面カバー14は、外装カバー11および透明カバー12の端部が差し込めるように凹みが設けられていることが好ましい。
【0021】
そして、照明装置10内に外部から湿気を含んだ空気(外気)が入り込まないように、照明装置10内に乾燥空気、乾燥窒素などが充填されるとともに、外装カバー11、透明カバー12、第1側面カバー13、第2側面カバー14の境となる部分は、充填材でシールされているのが好ましい。
このようにすることで、栽培室60内の高温・高湿の環境から、半導体発光素子の劣化や、後述する半導体発光素子を搭載する回路基板(後述する図4(b)の回路基板22)の銅箔や銅箔上の銀メッキ、半田の腐食などを抑制することができる。
なお、充填材にはシリコーンなどのコーキング材が用いうる。
【0022】
図3は、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17の一例を説明する図である。本実施の形態が適用される植物栽培システム1では、図1に示したように、複数の照明装置10が、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とを嵌合させて連結されている。
図3では、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とが嵌合している状態を示している。
なお、第1配管カップラ16および第2配管カップラ17は共に回転対称体である。そこで、図3に示す第1配管カップラ16および第2配管カップラ17の上側は、対称の軸を含む面での断面を示している。そして、図3の下側は、第1配管カップラ16および第2配管カップラ17の外形を示している。
【0023】
第1配管カップラ16は、内部が空洞の筒状の回転対称体であって、その一端部には、六角ナットが形成され、冷媒導管25と接続できるように雌ネジが切られている。そして、第1配管カップラ16の他端部は、第1配管カップラ本体16aに組み込まれ、軸方向にスライドする可動リング16bと、第1配管カップラ本体16aと可動リング16bとの間に挟み込まれたバネ作用を有する爪16cと、第1配管カップラ本体16aと可動リング16bとの間に設けられ可動リング16bの動きを抑制するスプリングコイル16dとを備えている。
一方、第2配管カップラ17は、内部が空洞の筒状の回転対称体であって、第2配管カップラ本体17aの一端部には、六角ナットが形成され、冷媒導管25と接続できるように雌ネジが切られている。そして、第2配管カップラ本体17aの他端部は、第1配管カップラ本体16aの内側と嵌合できる細さの部分となっており、その先端部に、第1配管カップラ本体16a内の壁面に接するように外周方向に取り巻くOリング17bを備えている。また、第2配管カップラ本体17aに形成された六角ナットとOリング17bとの間の第2配管カップラ本体17aの細くなった部分に、外周方向に取り巻く溝17cが形成されている。
【0024】
第1配管カップラ16の筒の内部に第2配管カップラ17の細くなった部分を差し込むと、第2配管カップラ17のOリング17bが第1配管カップラ16の内壁に密着し、冷媒の漏洩を抑制する。そして、第1配管カップラ16の爪16cと、第2配管カップラ17の溝17cとがかみ合って、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とが外れることを防ぐ。
そして、可動リング16bを、スプリングコイル16dの反発力に抗して軸方向に移動すると、爪16cがバネ作用により変形して、爪16cと溝17cとのかみ合わせがゆるむことで、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とが容易に外れるようになっている。
これにより、複数の照明装置10の連結が容易になるとともに、連結を解除して、植物栽培システム1の構成を変更することが容易になる。
第1配管カップラ16、第2配管カップラ17としては、SUS、銅合金などの金属材料によるもの、ABS樹脂などによるプラスチック材料によるものを用いうる。
【0025】
なお、連結手段として、本実施の形態では、第1配管カップラ16と第2配管カップラ17とを用いたが、これに限定されない。例えば、冷媒導管25を延長した端部にホース取り付け口を設けて、隣接する照明装置10の冷媒導管25(隣接冷媒導管)とホースにて連結してもよい。また、冷媒導管25と隣接冷媒導管とをパッキングを挟んで突合させて固定してもよい。
【0026】
図4は、照明装置10の内部の一例を説明する図である。図4(a)は、図2(b)に示した照明装置10の透明カバー12を外した照明装置10の内部を示している。図4(b)は図4(a)のIVB−IVB線における断面図である。
照明装置10は、図4(b)に示すように、半導体発光素子(後述する図5における第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64b)を搭載した発光素子パッケージ21、発光素子パッケージ21を搭載する回路基板22、回路基板22が固定される放熱基板24、回路基板22と放熱基板24とを電気的に絶縁するとともに、熱伝導性に優れるフィルム状の絶縁性放熱材23を備える。そして、発光素子パッケージ21は、発生する光が透明カバー12から放出されるように、透明カバー12に対向して設けられている。
さらに、照明装置10は、発光素子パッケージ21の半導体発光素子からの光が照明装置10の透明カバー12から垂直方向に放出されるように、光の放出される方向を設定する反射器26を備える。
【0027】
回路基板22には、一例として、図4(a)に示すように、長手方向に複数の発光素子パッケージ21が3列に並んで配置されている。そして、それらの発光素子パッケージ21を取り囲むように、例えば回転放物面である反射面27が形成された反射器26が、発光素子パッケージ21の列に対応して3列設けられている。
なお、図4では、回路基板22に発光素子パッケージ21を3列配列したが、この数に限定されることはない。そして、回路基板22は一枚の基板から構成されているとしたが、列毎に分かれた基板であってもよい。また、回路基板22は照明装置10の長手方向に連なった一枚の基板としたが、長手方向に複数に分割された基板であってもよい。
回路基板22には、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシに銅箔の配線が設けられたガラスエポキシ基板や、Agなどによる厚膜配線が設けられたセラミックなどが用いうる。なお、コストの面ではガラスエポキシが好ましい。
発光素子パッケージ21は、例えばハンダにより、回路基板22に搭載されてもよい。
【0028】
照明制御配線31は、半導体発光素子に発光のための電力が供給されるよう回路基板22の表面(半導体発光素子実装面)に接続されている。照明制御配線31は、放熱基板24の一部に設けられた開口を通して、放熱基板24の裏面に引き出される。そして、照明制御配線31は、放熱基板24の裏面で結線され、照明制御配線31として筐体外部に出され、栽培室60の外に設けられた照明制御部30に接続されている。
照明制御配線31はビニール被覆の銅線であってよい。
【0029】
図4では、反射器26は、照明装置10の長手方向に連なって、3列の発光素子パッケージ21の列毎に設けている。しかし、反射器26は、発光素子パッケージ21毎に設けられてもよい。また、長手方向に分割された複数の反射器26であってもよい。そして、図4では、反射器26を3列の発光素子パッケージ21の列毎に設けているが、分割せず3列を一体としたものであってもよい。すなわち、反射器26は、照明装置10の半導体発光素子から発生した光が、照明装置10の透明カバー12に対して垂直方向に放出されるようできればよい。
反射器26としては、例えば断面が放物線となるような開口を設けたAlのブロックが用いうる。開口の壁が反射面27となる。また、壁が反射面27となる開口を設けたアクリルなどの樹脂に、Al、Agなどの金属膜を蒸着法などにより形成したものも用いうる。
なお、反射器26によって透明カバー12に対して垂直方向に放出されるとは、反射器26を設けない場合に比較して、垂直方向の光量が多いことをいう。
【0030】
放熱基板24は、半導体発光素子の発光に伴って発生した熱を栽培室60外に排出するための基板であって、熱伝導率がよい材質で構成されるとともに、冷媒導管25を備えている。
冷媒導管25は、放熱基板24の導管挿入部に密着して構成されている。単に挿入しただけでは伝熱効率が悪いので、挿入した導管を圧縮空気にて管径を膨張させ、放熱基板24の導管挿入部に密着させる導管引き抜き工程を経て形成される。よって、配線基板22に搭載された半導体発光素子からの熱が、放熱基板24を経て、冷媒導管25に伝わり、冷媒によって、栽培室60外に排出される。逆に言うと、冷媒導管25を流れる冷媒は、放熱基板24を冷却し、放熱基板24に密着して配設された回路基板22に搭載された発光素子パッケージ21を冷却する。したがって、半導体発光素子からの熱を栽培室60内に排出しないため、栽培室60内の温度・湿度が、半導体発光素子から発生する熱とは無関係に制御しうる。
【0031】
よって、回路基板22に搭載可能な発光素子パッケージ21の数は、冷媒の温度、流量などによって決まる冷却能力および半導体発光素子の発熱量によって定められる。特に、冷媒導管25の冷媒の流れる方向とは垂直な方向の長さ(回路基板22の幅)は、放熱基板24の熱抵抗などの放熱特性によって制限される。
放熱基板24としては、熱伝導率に優れたAl、Cuが用いうる。特に、冷媒導管25は、腐食しにくいCuが好ましい。
放熱を良くするため、発光素子パッケージ21のチップが搭載されているリードが半田付けされている回路基板22のボンディングパッドに回路基板22の裏面まで貫通するスルーホールを開け、回路基板22の裏面の銅箔とメッキ金属とを介して接続することが望ましい。もちろん半導体発光素子が短絡しないよう、回路基板22の裏面もパターンニングされるべきである。
なお、冷媒導管25は、図4(b)に示すように、外装カバー11などに接触することなく配置されている。そして、照明装置10内には、前述したように、乾燥空気、乾燥窒素などが充填されている。よって、冷媒導管25に栽培室60の温度より温度の低い冷媒を供給しても、冷媒導管25およびそれが取り付けられた放熱基板24をはじめ、回路基板22、発光素子パッケージ21、その他部品は結露することが抑制される。これにより、冷媒導管25および放熱基板24をはじめ、回路基板22、発光素子パッケージ21、その他部品の湿気や結露による腐食を抑制することができる。
【0032】
絶縁性放熱材23は、回路基板22と放熱基板24との間に、それぞれに密着して配設され、電気的な絶縁を保つとともに回路基板22から発生した熱を放熱基板24に伝導するために設けられている。これは、放熱基板24に密着して設けられた冷媒導管25は、前述したように、第1配管カップラ16および第2配管カップラ17に接続される。第1配管カップラ16および第2配管カップラ17は、照明装置10の外側に設けられている。このため、植物栽培に従事する作業者などが、第1配管カップラ16または第2配管カップラ17に触れるおそれがある。そこで、感電を防止するため、第1配管カップラ16および第2配管カップラ17には電流が流れてはいけない。そのため、放熱基板24と回路基板22とを電気的に絶縁することが必要となる。
絶縁性放熱材23は、回路基板22と放熱基板24とを電気的に絶縁するとともに、回路基板22上の半導体発光素子から発生した熱を放熱基板24に伝導させる。このため、絶縁性放熱材23は、回路基板22と放熱基板24とが密着しやすいように、柔軟性があって、電気絶縁抵抗が高く、熱抵抗が低いフィルムが好ましい。このようなフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)などが用いうる。
【0033】
回路基板22と放熱基板24とは、回路基板22の配線が設けられていない部分において、ねじなどにより固定すればよい。
反射器26も、回路基板22を介して、放熱基板24に、ねじなどにより固定すればよい。この際も、取り付けネジに漏電しないよう、回路基板22のパターンと取り付けネジとの絶縁距離について注意すべきである。
そして、放熱基板24は、図4(b)に示すように、外装カバー11に設けられたスリットに挿入するなどにより、固定すればよい。
【0034】
さて、図4(b)に示した冷媒導管25は、第1配管カップラ16および第2配管カップラ17に接続される。このとき、放熱基板25から第1配管カップラ16および第2配管カップラ17までの間に配管が必要なときは、例えばCuなどの配管にねじを設けて継ぎ足してもよい。冷媒が漏洩することなく、冷媒が複数の照明装置10を循環するように構成すればよい。
【0035】
照明装置10は、一例として、長さが1200mm、幅が100mm、深さが45mmである。そして、冷媒導管25の径は12mmである。なお、この形状に限定されず、他の値としてもよい。
【0036】
図5は、本実施の形態で用いられる発光素子パッケージ21の構成の一例を説明する図である。ここで、図5(a)は発光素子パッケージ21の上面図を、図5(b)は図5(a)のVB−VB断面図を、それぞれ示している。
【0037】
この発光素子パッケージ21は、平面状に形成された開口面71に凹部61aが形成された樹脂容器61、樹脂容器61と一体化したリードフレームからなるアノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bと、凹部61aの底面70に取り付けられた発光素子の一例としての第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bとを備えている。すなわち、この発光素子パッケージ21は、第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを1つに実装した2in1パッケージである。そして、一例として、第1半導体発光素子64aは、発光ピーク波長が450nmの青色発光素子である。一方、第2半導体発光素子64bは、発光ピーク波長が660nmの赤色発光素子である。
なお、第1半導体発光素子64aとしては、発光ピーク波長が400〜500nmのものを用いうる。また、第2半導体発光素子64bとしては、発光ピーク波長が655〜675nmのものを用いうる。ここで、発光ピーク波長とは光強度が最も大きい波長をいう。
【0038】
樹脂容器61は、アノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bを含む金属リード部に、白色顔料が含有された熱可塑性樹脂(以下の説明では白色樹脂と呼ぶ)を射出成型することによって形成されている。
【0039】
また、ハンダリフローなどの温度がかかる工程に対応できるよう、白色樹脂は、耐熱性が十分考慮された材質が選定されている。基材となる樹脂としてはPPA(polyphthalamide)が最も一般的であるが、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレンなどでもよい。中でも、本実施の形態では、PPAとして、ジアミンとイソフタル酸またはテレフタル酸との共重合体であるナイロン4T、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5Tが特に好ましく用いることができる。
【0040】
樹脂容器61に設けられる凹部61aは、円形状を有する底面70と、同じく円形状を有する開口部71と、底面70の周縁から開口部71に向けて拡開するように立ち上がる壁面80とを備えている。ここで、底面70は、凹部61aに露出するアノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bと、アノード用リード部62a、62bとカソード用リード部63a、63bとの間の隙間の樹脂容器61の白色樹脂とによって構成されている。一方、壁面80は、樹脂容器61を構成する白色樹脂によって構成されている。なお、底面70の形状については、円形、矩形、楕円形、多角形のいずれでもよい。また、開口部71の形状については、円形、矩形、楕円形、多角形のいずれでもよく、底面形状と同一でもよい。
【0041】
アノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bは、それぞれの一部が樹脂容器61内に挟まれて保持されるとともに、他の一部が樹脂容器61の外部に露出されており、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bに電流を印加するための端子となっている。表面実装を前提とするときは、図5に示すように、アノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bをそれぞれ樹脂容器61の裏側に折り曲げて樹脂容器61の底部にその先端を配設することがある。
【0042】
また、アノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63b、すなわちリードフレームは、0.1〜0.5mm程度の厚みをもつ金属板であり、銅合金等の金属導体をベースとし、その表面には銀メッキが施されることによって銀メッキ層が形成されている。
【0043】
第1半導体発光素子64aは、凹部61aの底面70に配設されたカソード用リード部63a上に、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂からなるダイボンド剤で接着され、固定されている。同様に、第2半導体発光素子64bは、凹部61aの底面70に配設されたアノード用リード部62b上に、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂からなるダイボンド剤で接着され、固定されている。
また、第1半導体発光素子64aの裏面に、Al、Niなどの金属層を介して、AuSn層が形成され、凹部61aの底面70に配設されたカソード用リード部63a上に熱溶融により固定されるとより好ましい。第2半導体発光素子64bについても、同様である。
第1半導体発光素子64aは、n型パッド電極およびp型パッド電極を有しており、ボンディングワイヤ65を介して、p型パッド電極がアノード用リード部62aに、n型パッド電極がカソード用リード部63aに、それぞれ接続されている。同様に、第2半導体発光素子64bも、n型パッド電極およびp型パッド電極を有しており、p型パッド電極がアノード用リード部62bに、n型パッド電極がカソード用リード部63bに、ボンディングワイヤ65を介して接続されている。
【0044】
なお、発光素子パッケージ21は、凹部61aを充填するように封止樹脂にて封止される。封止樹脂は、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bが発光する光を透過する透明樹脂から構成されていればよい。
例えば、透明樹脂としては、凹部を覆うように封止する硬化性樹脂と、これを硬化させる硬化剤と、さらに必要により配合される、例えば酸化防止剤、変色防止剤、光劣化防止剤、反応性希釈剤、無機充填剤、難燃剤、有機溶剤等を含むものがよい。
硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシシリコーン混成樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性の観点から、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂が好ましく、特にシリコーン樹脂が特によい。
また、ここでは、第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとに、それぞれアノード用リード部(62a、62b)、カソード用リード部(63a、63b)を設けたが、一方を共通にしてもよい。
ここでは、発光素子パッケージ21は、2つの第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを1つに実装した2in1パッケージとしたが、単一チップを搭載した1in1パッケージでも、マルチチップを搭載のパッケージでもよい。マルチチップの場合のパッケージ内の配線は、共通端子を片端もしくは両端に有する並列回路としても良いし、チップごとに独立の正極、負極を有してもよい。また、パッケージ内でチップ間を直列接続した直列回路としてもよい。
【0045】
次に、第1半導体発光素子64a(青色発光素子)および第2半導体発光素子64b(赤色発光素子)の一例を説明する。なお、下記に示す構造および数値は、代表的な構造および数値であって、ここで示す構造および数値に限られない。
<青色発光素子>
図6は、本実施の形態において用いられる青色発光の第1半導体発光素子64aの構成の一例を説明する断面図である。図7は、青色発光の半導体発光素子64aの上面図である。ここでは、発光ピーク波長が450nmの青色発光の半導体発光素子64aについて説明する。
図6に示すように、第1半導体発光素子64aは、第1基板110と、第1基板110上に積層される中間層120と、中間層120上に積層される下地層130とを備える。また、第1半導体発光素子64aは、下地層130上に積層される第1n型半導体層140と、第1n型半導体層140上に積層される第1発光層150と、第1発光層150上に積層される第1p型半導体層160とを備える。なお、以下の説明においては、必要に応じて、これら第1n型半導体層140、第1発光層150および第1p型半導体層160を、まとめて第1積層半導体層100と呼ぶ。さらに、第1半導体発光素子64aは、第1p型半導体層160上に積層され、第1発光層150が発生する光を透過する透明電極170を備える。そして、第1半導体発光素子64aは、透明電極170の上面170cに積層され、p型パッド電極となる第1ボンディングパッド電極210を備える。さらにまた、第1半導体発光素子64aは、第1p型半導体層160、第1発光層150および第1n型半導体層140の一部を切り欠くことによって露出した第1n型半導体層140の半導体層露出面140c上の一部に積層され、n型パッド電極となる第2ボンディングパッド電極240を備える。
さらに、第1半導体発光素子64aは、第1ボンディングパッド電極210および第2ボンディングパッド電極240の表面の一部を除いて、第1n型半導体層140、第1発光層150、第1p型半導体層160および透明電極170を覆う第1保護層180を備える。
【0046】
この第1半導体発光素子64aは、前述したようにカソード用リード部63a上に接着固定され、第1ボンディングパッド電極210は、ボンディングワイヤ65により、リードフレームのアノード用リード部62aと接続される。そして、第2ボンディングパッド電極240は、ボンディングワイヤ65により、リードフレームのカソード用リード部63aと接続される。
第1ボンディングパッド電極210を正極、第2ボンディングパッド電極240を負極とし、第1積層半導体層100(具体的には、第1p型半導体層160、第1発光層150および第1n型半導体層140)に電流を流すことで、第1発光層150が発光するようになっている。そして、発生した光は、第1ボンディングパッド電極210が設けられていない透明電極170の上面より、半導体発光素子64aの外部に取り出される。
【0047】
なお、第1半導体発光素子64aの構成及びその製造方法等については、例えば特開2009−123718号公報を参照して実施することができる。
【0048】
また、本実施の形態においては、図6に示すように、SiO2のようなシリコン酸化物からなる第1保護層180を、透明電極170、第1p型半導体層160、第1n型半導体層140の半導体層露出面140cの上面(エッチングされた側壁も含む)、第1ボンディングパッド電極210の周辺部分、第2ボンディングパッド電極240の周辺部分等の表面に覆うように形成されていてもよい。
これにより、前記ボンディングパッド電極(210、240)の上面を除き、第1半導体発光素子64aをシールドして、外部の空気や水分が第1半導体発光素子64aに浸入する可能性を大幅に低減して、第1半導体発光素子64aの透明電極170やボンディングパッド電極(210、240)の剥がれの防止にも寄与することができる。
第1保護層180の厚みは、50〜1000nmとすることが好ましく、100〜500nmとすることがより好ましく、150〜450nmとすることが更に好ましい。
第1保護層180の厚みは、50〜1000nmとすることにより、外部の空気や水分が第1半導体発光素子64aの第1発光層105まで浸入する可能性を大幅に低減して、第1半導体発光素子64aの第1ボンディングパッド電極210や第2ボンディングパッド電極240の剥がれを防止することができる。
【0049】
そして、第1保護層180の形成方法は、例えば、先ず透明電極170、第1p型半導体層160、第1n型半導体層140の半導体層露出面140cの上面(エッチングされた側壁も含む)、第1ボンディングパッド電極210の表面、第2ボンディングパッド電極240の表面にSiO2からなる第1保護層180を形成した後、第1保護層180上に図示しないレジストを塗布する。
そして、第1ボンディングパッド電極210および第2ボンディングパッド電極240の表面の一部のレジストを除去し、公知のエッチング手法によって第1保護層180を除去することで、それぞれの電極の表面の一部を露出させる。
以上のようにして、第1半導体発光素子64aが製造される。
【0050】
<赤色発光素子>
図8は、本実施の形態において用いられる赤色発光の第2半導体発光素子64bの構成の一例を説明する断面図である。図9は、赤色発光の第2半導体発光素子64bの上面図である。ここでは、発光ピーク波長が660nmの赤色発光の第2半導体発光素子64bについて説明する。なお、図8に示す第2半導体発光素子64bの断面図は、図9における上面図のVIII−VIII線での断面図にあたる。
【0051】
図8に示すように、第2半導体発光素子64bは、第2積層半導体層300と第2基板310とが接合されて構成されている。そして、第2積層半導体層300は、歪調整層320、下部クラッド層として働く第2p型半導体層330、第2発光層340、上部クラッド層として働く第2n型半導体層350が、順に積層されて構成されている。
そして、第2半導体発光素子64bは、第2n型半導体層350の上面350cに形成され、n型パッド電極として働く第3ボンディングパッド電極400と、第2積層半導体層300の第2n型半導体層350、第2発光層340、第2p型半導体層330の一部を切り欠くことによって露出した歪調整層320の上面320cに形成され、p型パッド電極として働く第4ボンディングパッド電極410を備える。
なお、図9に示すように、第3ボンディングパッド電極400は、第2n型半導体層350上に、例えば格子状に形成された配線401と接続されている。配線401は、第3ボンディングパッド電極400と同一材料により、第2n型半導体層350からの光の取り出しに影響を与えないよう、細線にて形成されている。これにより、第2n型半導体層350の電位分布を、配線401を設けない場合に比べ、より均一にし、第2発光層340の発光分布を均一化している。
【0052】
さらに、第2半導体発光素子64bは、第3ボンディングパッド電極400および第4ボンディングパッド電極410の表面の一部を除いて、歪調整層320、第2p型半導体層330、第2発光層340、第2n型半導体層350を覆う第2保護層360を備える。
【0053】
この第2半導体発光素子64bにおいては、第3ボンディングパッド電極400を負極、第4ボンディングパッド電極410を正極とし、両者を介して第2積層半導体層300(より具体的には第2p型半導体層330、第2発光層340および第2n型半導体層350)に電流を流すことで、第2発光層340が発光するようになっている。そして、発生した光は、第3ボンディングパッド電極400および配線410が設けられていない第2n型半導体層350の上面や、第2基板310の側面より、第2半導体発光素子64bの外部に取り出される。
【0054】
以下では、第2半導体発光素子64bの構成をより詳細に説明する。
(第2基板)
第2基板310は、図8に示すように、第2積層半導体層300を構成する歪調整層320に接合されている。この第2基板310は、第2発光層340を機械的に支持するのに充分な強度を有するとともに、第2発光層340から出射される光を透過できるように、バンドギャップエネルギが広く、第2発光層340からの発光波長に対して光学的に透明な材料から構成されている。例えば、燐化ガリウム(GaP)、砒化アルミニウム・ガリウム(AlGaAs)、窒化ガリウム(GaN)等のIII−V族化合物半導体結晶体、硫化亜鉛(ZnS)やセレン化亜鉛(ZnSe)等のII−VI族化合物半導体結晶体、或いは六方晶或いは立方晶の炭化珪素(SiC)等のIV族半導体結晶体、ガラス、サファイアなど絶縁基板から構成することができる。
一方、接合面に反射率の高い表面を有する機能性基板も選択できる。例えば、表面に銀、金、銅、アルミニウムなどである金属基板または合金基板や、半導体に金属ミラー構造を形成した複合基板なども選択できる。
【0055】
そして、第2基板310は、第2発光層340を機械的に充分な強度で支持するために、例えば50μm以上の厚みとすることが好ましい。また、第2積層半導体層300と接合した後に第2基板310への機械的な加工を容易にするため、300μmの厚さを超えないものとすることが好ましい。すなわち、第2基板310は、50μm以上且つ300μm以下の厚さを有するn型GaP基板から構成するのが最適である。
【0056】
また、図8に示すように、第2基板310の側面は、第2積層半導体層300に近い側において、光取り出し面である第2n型半導体層350の上面に対して略垂直である垂直面310aを構成し、第2積層半導体層300に遠い側において、第2基板310の内側に傾斜した傾斜面310bを構成している。これにより、第2発光層340から第2基板310側に放出された光を効率よく外部に取り出すことができる。すなわち、第2発光層340から第2基板310側に放出された光のうち、垂直面310aで反射された光は、傾斜面310bから取り出すことができる。一方、傾斜面310bで反射された光は、垂直面310aから取り出すことができる。このように、垂直面310aと傾斜面310bとの相乗効果により、光の取り出し効率を高めることができる。
【0057】
そして、本実施の形態においては、傾斜面310bと光取り出し面である第2n型半導体層350の上面に平行な面とのなす角度αを、55度〜80度の範囲内とすることが好ましい。このような範囲とすることで、第2基板310の底面310cで反射された光を効率よく外部に取り出すことができる。
また、第2基板310の垂直面310aの部分の厚さを、30〜100μmとすることが好ましい。垂直面310aの厚さをこの範囲内にすることで、第2基板310の底面310cで反射された光を垂直面310aにおいて効率よく発光面に戻すことができ、光取り出し面である第2n型半導体層350(第3ボンディングパッド電極400が形成されていない部分)の上面から放出させることが可能となる。これにより、第2半導体発光素子64bの発光効率を高めることができる。
【0058】
また、第2基板310の傾斜面310bは、粗面化されることが好ましい。傾斜面310bが粗面化されると、傾斜面310bでの全反射を抑制し、この傾斜面310bからの光取り出し効率を上げる効果が得られる。
【0059】
(歪調整層)
本実施の形態においては、第2基板310と第2p型半導体層330との間に歪調整層320が設けられている。この歪調整層320は、第2発光層340からの発光波長に対して透明であるため、発光を吸収することなく高出力・高効率の第2半導体発光素子64bとすることができる。
なお、この歪調整層320は、第2積層半導体層300を形成する際に使用されるGaAs基板(図示せず)の格子定数よりも小さい格子定数を有している。このため、第2積層半導体層300の反りの発生を抑制することができる。これにより、第2発光層340内に設けられた歪発光層の歪量の第2発光層340内でのばらつきを低減するため、単色性に優れた第2半導体発光素子64bとすることができる。
なお、歪調整層320は、例えばMgドープしたキャリア濃度が約3×1018/cm3で、厚さが約9μmのp型GaPである。
【0060】
(第2p型半導体層)
下部クラッド層として働く第2p型半導体層330は、歪調整層320と第2発光層340との間に設けられている。第2p型半導体層330は、例えばMgをドープした(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pで、キャリア濃度が約8×1017/cm3、厚さが約0.5μmである。
また、歪調整層320と第2p型半導体層330との間に、例えば(Al0.5Ga0.5)0.5In0.5Pで、キャリア濃度が約8×1017/cm3、厚さが約0.05μmの中間層を設けてもよい。
【0061】
(第2発光層)
第2p型半導体層330と第2n型半導体層350の間に、光を出射する第2発光層340が設けられている。第2発光層340は、その発光スペクトルのピーク発光波長が655〜675nmの範囲とすることが好ましく、660〜670nmの範囲とすることがより好ましい。上記範囲の発光波長は、植物育成(光合成)用の光源に適した発光波長の1つであり、光合成に対して反応効率が高い。
一方、700nm以上の長波長は、植物の育成を抑制する反応が起こる。このため、長波長域の光量は少ない方が望ましい。よって、効率的に植物育成するためには、光合成反応に対して最適な655〜675nmの波長領域の光が強く、700nm以上の長波長の光を含まない赤色光源が最も好ましい。このことから、好ましい赤色光源にするためには、半値幅は狭い必要がある。
これらのことから、発光スペクトルの半値幅は、10〜40nmであることが好ましく、さらに、発光波長700nmにおける発光強度が、ピーク発光波長における発光強度の10%未満であることが好ましい。
【0062】
第2発光層340は、歪発光層とバリア層を交互に積層して構成されている。歪発光層は、例えばアンドープで厚さが約17nmのGa0.44In0.56P、バリア層は、例えばアンドープで厚さが約19nmの(Al0.53Ga0.47)0.5In0.5Pである。そして、歪発光層とバリア層とを交互に、例えば22対積層している。
【0063】
(第2n型半導体層)
上部クラッド層として働く第2n型半導体層350は、第2発光層340の上面に設けられている。
第2n型半導体層350は、例えばSiをドープしたキャリア濃度が約1×1018/cm3で、厚さが約0.5μmの(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pである。
なお、第2n型半導体層350の上面に、例えばSiをドープしたキャリア濃度が約2×1018/cm3で、厚さが約3.5μmの(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pからなるn型のコンタクト層を設けてもよい。
【0064】
(第3ボンディングパッド電極および第4ボンディングパッド電極)
n型パッド電極である第3ボンディングパッド電極400は、第2n型半導体層350の上面350cに設けられており、例えば、AuGe、Ni合金/Auからなる合金を用いることができる。
一方、p型パッド電極である第4ボンディングパッド電極410は、露出させた歪調整層320の上面320cに設けられており、例えばAuBe/Auからなる合金を用いることができる。
【0065】
上記した第2半導体発光素子64bは、次のようにして製造することができる。
先ず、Siをドープしたn型のGaAs単結晶からなるGaAs基板上に、第2積層半導体層300を順次積層する。GaAs基板は、例えば(100)面から(0−1−1)方向に15°傾けた面を成長面とし、キャリア濃度が2×1018/cm3である。
このGaAs基板上に、第2積層半導体層300を、第2n型半導体層350、第2発光層340、第2p型半導体層330、歪調整層320の順に形成する。
なお、GaAs基板上と第2積層半導体層300との間に、例えばSiをドープしたキャリア濃度を約2×1018/cm3、厚さを約0.5μmのGaAsからなるn型の緩衝層を設けてもよい。
【0066】
本実施の形態では、減圧有機金属化学気相堆積(MOCVD)法を用い、直径76mm、厚さ350μmのGaAs基板に第2積層半導体層300をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる際、III族構成元素の原料としては、トリメチルアルミニウム((CH3)3Al)、トリメチルガリウム((CH3)3Ga)及びトリメチルインジウム((CH3)3In)が使用できる。また、Mgのドーピング原料としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(bis−(C5H5)2Mg)が使用できる。さらに、Siのドーピング原料としては、ジシラン(Si2H6)が使用できる。そして、V族構成元素の原料としては、ホスフィン(PH3)、アルシン(AsH3)が使用できる。また、各層の成長温度としては、p型GaPからなる歪調整層320は、750℃、その他の各層は700℃で成長させる。
【0067】
次に、歪調整層320を表面から約1μmの深さに至るまで研磨して、鏡面加工する。一方、上記の歪調整層320の鏡面研磨した表面に貼付するn型GaPからなる第2基板310を用意する。第2基板310は、例えば直径は76mmで、厚さが250μmである。そして、第2基板310は、キャリア濃度が約2×1017/cm3となるように、Siをドープされた(111)面の単結晶の基板である。また、第2基板310の表面は、歪調整層320に接合させる前に、鏡面に研磨しておく。
【0068】
引き続いて、一般の半導体材料貼付装置に、第2基板310と、第2積層半導体層300が形成されたGaAs基板とを搬入し、例えば3×10−5Paとなるまで半導体材料貼付装置内を真空に排気する。
【0069】
その後、第2基板310、および第2積層半導体層300の歪調整層320の表面を、例えば電子を衝突させて中性(ニュートラル)化したArビームを3分間に亘り照射して、双方の表面に吸着したガスなどを除去した。
その後、真空を維持した半導体材料貼付装置内において、第2基板310と第2積層半導体層300の歪調整層320の表面を重ね合わせ、例えば圧力が50g/cm2となるように荷重を掛けて、室温で接合する。
【0070】
さらに、GaAs基板およびGaAs緩衝層をアンモニア系エッチャントにより選択的に除去する。次に、コンタクト層の表面に第3ボンディングパッド電極400として、AuGe、Ni合金を厚さが0.5μm、Ptを0.2μm、Auを1μmとなるように真空蒸着法によって成膜した。その後、公知のフォトリソグラフィを利用してパターニングを施し、n型パッド電極として働く第3ボンディングパッド電極400を形成した。
【0071】
次に、第4ボンディングパッド電極410を形成する領域の第2n型半導体層350、第2発光層340、第2p型半導体層330を選択的に除去し、歪調整層320を露出させた。この露出した歪調整層320の上面320cに、AuBeを0.2μm、Auを1μmとなるように真空蒸着法でp形パッド電極として働く第4ボンディングパッド電極410を形成する。
その後、450℃で10分間熱処理を行って合金化し、それぞれが低抵抗のn型およびp型パッド電極として働く第3ボンディングパッド電極400および第4ボンディングパッド電極410を形成する。
【0072】
上記のようにして製造した第2半導体発光素子64bは、図5(a)に示すように、発光素子パッケージ21に組み込まれる。すなわち、第2半導体発光素子64bの底面310cがリードフレームのアノード用リード部62b上に設置され、第3ボンディングパッド電極400は、例えば金のボンディングワイヤ65により、カソード用リード部63bと接続され、第4ボンディングパッド電極410は、金のボンディングワイヤ65により、アノード用リード部62aと接続されている。このことにより、n型GaPの第2基板310と、第3ボンディングパッド電極400とは、同電位になっている。
なお、発光素子パッケージ21の凹部61aは、ワイヤボンディングの後、一般的なエポキシ樹脂で封止されてもよい。
【0073】
なお、本実施の形態における赤色発光の第2半導体発光素子64bは、AlGaInPからなる4元の化合物半導体を用いている。本明細書中では、AlGaInPやAlInP等の記述は、各元素の組成比を簡略して記載することもある。一方、660nmの光を発する半導体発光素子として、AlGaAsの3元の化合物半導体を用いたものが知られている。
本実施の形態におけるAlGaInPを用いた第2半導体発光素子64bは、AlGaAsを用いたものに比べて、Alの比率が低いので、湿気による腐食に対して強いという特性を有している。
【0074】
上記した第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bは、一例であって、これ以外の構造の半導体発光素子、これら以外の発光ピーク波長を有する半導体発光素子が用いうることは明らかである。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態においては、植物育成に必要とされる青色発光の第1半導体発光素子64aおよび赤色発光の第2半導体発光素子64bを実装した発光素子パッケージ21を用いているので、照明装置10の製造が容易である。
また、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bのそれぞれをオン/オフできるように、リードフレームのアノード用リード部62a、62bおよびカソード用リード部63a、63bが個別に設けられている。よって、照明制御配線31を第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとで分けて設けることにより、植物の種類などによって、赤色と青色との光子の密度(光量子密度)を独立に制御することができる。
このように作製した照明装置10において、20cm直下の光量子密度は、青色発光の第1半導体発光素子64aの1個当たりに20mAを流した場合、300μmol/m2/sec、赤色発光の第2半導体発光素子64bの1個当たりに20mAを流した場合、200μmol/m2/secであった。
さらに、半導体発光素子を不点灯で、(I)5℃にて15分間放置、(II)15分間で60℃に昇温、(III)60℃にて15分間放置、(IV)15分間で5℃に降温、そして(I)に戻るという温度サイクルを1000サイクル繰り返して行った温度サイクル試験において、照明装置10の透明カバー12(ガラス)内面に曇り、結露は見られなかった。また、30℃、95%RH(相対湿度)の環境下において、青色発光の第1半導体発光素子64aに10mA、赤色発光の第2半導体発光素子64bに30mAを流して行った1000時間の連続点灯試験において、照明装置10内部に錆や半導体発光素子の不点灯は見られず、光量子密度は初期値の98%を維持することができた。
【0076】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、青色発光の第1半導体発光素子64aおよび赤色発光の第2半導体発光素子64bを含む発光素子パッケージ21を回路基板22に搭載し、この回路基板22をさらに放熱基板24に搭載していた。この方法では、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bから発生する熱は、発光素子パッケージ21の金属リード、および回路基板22のスルーホールを介して、回路基板22の裏面から放熱基板24に伝えられる。
この内、発光素子パッケージ21の金属リードは厚さ0.15mmと薄く、発光素子パッケージ21の熱抵抗は100℃/Wとそれほど低くはない。
本実施の形態では、冷却効率をさらに向上させるため、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bを金属ベースの回路基板32の金属ベース部に直接接着する方式(COB式:Chip on Board式)を採用した。
【0077】
図10は、本実施の形態が適用される照明装置20の一例の断面図である。なお、照明装置20は、筐体を構成する外装カバー11、透明カバー12、第1側面カバー13、第2側面カバー14を、第1の実施の形態と同様に備えている。さらに、本実施の形態でも、青色発光の第1半導体発光素子64aと赤色発光の第2半導体発光素子64bとを用いている。
本実施の形態では、放熱基板24の一方の面に、第1の実施の形態と同様に、冷媒配管25が設けられている。そして、放熱基板24の他方の面に、絶縁性放熱材23を介してCOB式の回路基板32がネジ止めされている。なお、図10では、反射器26を設けているが、設けなくともよい。
【0078】
図11は、チップオンボード(COB)式の回路基板32に設けられた接続配線520と半導体発光素子(第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64b)との接続関係の一例を説明するための平面図である。ここで、図11(a)は、放熱基板24に絶縁性放熱材23を介してネジ止めされたCOB式の回路基板32上の回路パターンの例を説明する平面図である。図11(b)は、図11(a)の破線で囲んだ部分の拡大図であって、回路基板32上に配置された第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bと、接続配線520との接続関係を示している。
なお、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態において説明した構成と同じ構成には、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0079】
まず、図11(a)において、接続配線520が形成された回路基板32について説明する。
回路基板32は、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bの発光に伴って発生した熱を栽培室60外に排出するための基板である。そこで、回路基板32は、熱伝導率がよい材質で構成されている。
回路基板32としては、熱伝導率に優れたAl、Cuが用いうる。
【0080】
一方、回路基板32の表面には、両面に接続配線520が形成された絶縁層510が設けられている。そして、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bを回路基板32上に直接搭載できるように、回路基板32の表面が露出するように絶縁層510が除去され、複数の半導体発光素子設置部530が設けられている。図11(a)では、一例として、複数の半導体発光素子設置部530が回路基板32の長手方向に等間隔に2列に、列当たり15個配置されている。
そして、複数の半導体発光素子設置部530のそれぞれには、例えば第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとをペアにして配置されている。第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bは、接続配線520を介して給電される。接続配線520は、図11(a)に示すように、具体的には複数に分割された配線から構成されている。
【0081】
次に、図11(b)において、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bと、接続配線520との接続関係の一例を説明する。
第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとはペアを構成し、そのペアが半導体発光素子設置部530内に配置されている。第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bは、回路基板32の短手方向に並べて配置され、第1半導体発光素子64aが回路基板32の外側に、第2半導体発光素子64bが回路基板32の内側に配置されている。
そして、ある第1半導体発光素子64aの第1ボンディングパッド電極210がそれに隣接して配置された他の第1半導体発光素子64aの第2ボンディングパッド電極240に、絶縁層510上の接続配線520を介して接続されている。第1ボンディングパッド電極210または第2ボンディングパッド電極240と接続配線520とは、ボンディングワイヤ65で接続されている。
また、接続配線520を跨いで他の2つの接続配線520を接続することが必要な部分には、低抵抗のチップ抵抗66にて渡り配線がされている。
【0082】
このように、複数の第1半導体発光素子64aが、接続配線520によって直列に接続されている。同様に、複数の第2半導体発光素子64bが、接続配線520によって直列に接続されている。ただし、複数の第1半導体発光素子64aと複数の第2半導体発光素子64bとは、相いに接続されていない。これは、第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを個別に点灯制御しうるようにするためである。
つまり、接続配線端子520aと520bとの間には、回路基板32の内側に配列された第2半導体発光素子64bのみが直列に10個接続されている。一方、接続配線端子520cと520dとの間には、回路基板32の外側に配列された第1半導体発光素子64aのみが直列に10個接続されている。これにより、接続配線端子520aと520bとの間に、照明制御部30が第2半導体発光素子64bの順方向電圧を直列に接続された個数倍した電圧を印加して、第2半導体発光素子64bに順方向電流を流すことにより、直列に接続された複数の第2半導体発光素子64bを同時に点灯させることができる。接続配線端子520cと520dとの間においても同様である。
【0083】
なお、本実施の形態では、図11(a)に示すように、回路基板32の図中右側、中央、左側に配置され、それぞれが直列に接続された10個の第1半導体発光素子64aまたは第2半導体発光素子64bが、接続配線端子520aと520bとの間または接続配線端子520cと520dとの間に並列に接続されている。このように、直列接続した第1半導体発光素子64aまたは第2半導体発光素子64bの列を複数並列に接続することで、回路基板32上のすべての第1半導体発光素子64aまたは第2半導体発光素子64bを直列に接続する場合に比べ、第1半導体発光素子64aまたは第2半導体発光素子64bに供給する電圧を低く抑えることができる。
【0084】
図12は、本実施の形態における半導体発光素子(第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64b)を直接搭載したチップオンボード(COB)式の回路基板32をさらに説明する図である。図12(a)は、一つの半導体発光素子設置部530の部分を拡大して示した平面図である。図12(b)は、図12(a)のXIIB−XIIB線での断面図である。
回路基板32の両面には、接続配線520が形成された絶縁層510が設けられている。そして、絶縁層510は、第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを設置する半導体発光素子設置部530において、回路基板32が露出するように除去されている。
【0085】
半導体発光素子設置部530の露出した回路基板32上には、第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとが配置されている。そして、第1半導体発光素子64aの第1ボンディングパッド電極210と第2ボンディングパッド電極240とは、絶縁層510上に形成された接続配線520にボンディングワイヤ65で接続されている。同様に、第2半導体発光素子64bの第3ボンディングパッド電極400と第4ボンディングパッド電極410とは、それぞれ接続配線520にボンディングワイヤ65で接続されている。
【0086】
図12(b)に示すように、絶縁層510(絶縁層510の両面に形成された接続配線520を含む)は接着層540を介して回路基板32に積層されている。そして、絶縁層510の半導体発光素子設置部530となる部分が、その側面が例えば円錐状になるように除去され、回路基板32が露出するようになっている。
絶縁層510の材料は限定されず、樹脂、セラミック等の周知のものを任意に用いることができる。特に、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシが好ましい。
接続配線520の材料も限定されず、Cu、Al等の周知のものを任意に用いることができる。
接着層540もまた、回路基板32および絶縁層510の両者に接合可能なものであれば材質は限定されない。エポキシ樹脂等のホットメルト接着剤を用いて熱プレスにより回路基板32に接合してもよい。粘着性の接着剤を用いて回路基板32に貼付してもよい。
なお、ここでは、絶縁層510の両面に接続配線520が形成されているとしたが、片面にのみ接続配線520が形成されていてもよい。
【0087】
第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとは、例えば樹脂で回路基板32に固定されている。また、第1半導体発光素子64aの裏面に、Al、Niなどの金属層を介して、AuSn層が形成され、回路基板32の表面に熱溶融により固定されるとより好ましい。第2半導体発光素子64bについても、同様である。
そして、それぞれのn型パッド電極およびp型パッド電極と接続配線520とが、金等のボンディングワイヤ65で接続されている。
そして、半導体発光素子設置部530に、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bとボンディングワイヤ65とを覆い包むように封止樹脂550を設けている。封止樹脂550は、前述したように、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bが発光する光を透過する透明樹脂から構成されていればよい。透明樹脂としては、例えば、凹部を覆うように封止する硬化性樹脂と、これを硬化させる硬化剤と、さらに必要により配合される、例えば酸化防止剤、変色防止剤、光劣化防止剤、反応性希釈剤、無機充填剤、難燃剤、有機溶剤等を含むものがよい。硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシシリコーン混成樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性の観点から、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂が好ましく、特にシリコーン樹脂が特によい。
【0088】
このような構造は、例えば次のようにして製造することができる。
板状の絶縁層510として、0.1mm厚のガラスエポキシの両面側に、厚さ18μmの全面銅箔を形成し、この銅箔をエッチング加工して接続配線520を形成する。電界メッキ法にて回路パターンの銅箔表面に厚さ2μm以上の銀メッキを施すため、表面の回路パターンはスルーホールを介して裏面の回路パターンで全て導通しており、銀メッキの形成後は、回路基板32の端部を切り落とすことで、回路パターンの縁切りをする。そして、裏面側にホットメルト接着剤による厚さ50μmの接着層540を形成する。
次に、板状の絶縁層510の半導体発光素子設置部530となる部分の絶縁層510をパンチング等で除去する。
そして、厚さ0.7mmの高反射アルミニウム板と板状の絶縁層510とを予め定められた位置で重ね合わせ、熱プレスする。これにより、高反射アルミニウム板と板状の絶縁層510とが強固に接合され、COB式の回路基板32が形成される。
【0089】
次いで、回路基板32の金属ベースの露出部に第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを接着する。第1半導体発光素子64aの第1ボンディングパッド電極210および第2ボンディングパッド電極240と接続配線520とをボンディングワイヤ65で接続する。
これにより、回路基板32に第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとを直接搭載した構造、いわゆるCOBができる。
【0090】
このように作製した照明装置20において、20cm直下の光子の密度(光量子密度)は、青色発光の第1半導体発光素子64aの1個当たりに20mAを流した場合、250μmol/m2/sec、赤色発光の第2半導体発光素子64bの1個当たりに20mAを流した場合、150μmol/m2/secであった。
【0091】
さらに、半導体発光素子を不点灯で、(I)5℃にて15分間放置、(II)15分間で60℃に昇温、(III)60℃にて15分間放置、(IV)15分間で5℃に降温、そして(I)に戻るという温度サイクルを1000サイクル繰り返して行った温度サイクル試験において、照明装置20の透明カバー12(ガラス)内面に曇り、結露は見られなかった。また、30℃、95%RH(相対湿度)の環境下において、青色発光の第1半導体発光素子64aに10mA、赤色発光の第2半導体発光素子64bに30mAを流して行った1000時間の連続点灯試験において、照明装置20内部に錆や半導体発光素子の不点灯は見られず、光量子密度は初期値の98%を維持することができた。
【0092】
なお、本実施の形態において、光を効率よく取り出すために、半導体発光素子設置部530を取り囲む絶縁層510の側面に反射面を設けてもよい。反射面は、Al等の反射率の高い金属膜で形成してもよく、半導体発光素子設置部530の形状に嵌合するAl等で構成された金属リングを嵌めこんでもよい。
また、本実施の形態においても、第1の実施の形態においてと同様に、回路基板32上の第1半導体発光素子64aと第2半導体発光素子64bとから発する光の方向を設定するための反射器26を設けてもよい。なお、反射器26は、半導体発光素子設置部530に対応して、例えば放物線状の反射面が形成されるようにしてよい。ペアを構成する第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bに対して、それぞれに反射器26を設けてもよく、ペア毎に反射器26を設けてもよい。さらに、回路基板32の短手又は長手方向のみ、光の方向を制御するときは、スリット状の反射器26としてもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、接続配線520を跨いで他の2つの接続配線520を接続する部分に、低抵抗のチップ抵抗66を用いたが、接続配線520を多層に構成してもよい。
【0094】
本実施の形態が適用される照明装置10、20は、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bの発する熱が放熱基板24および放熱基板24に設けられた冷媒導管25中の冷媒により栽培室60の外部に放出される。このため、発光効率の減少無く、また、劣化のおそれなく、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bに大電流を供給し高光出力で稼働させうる。
照明装置10、20の内部は、密閉されて、外気の流入を抑制しているので、湿気の侵入による第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bの湿気による腐食を抑制することができる。さらに、照明装置10、20の内部が乾燥空気または乾燥窒素が充填されていれば、第1半導体発光素子64aおよび第2半導体発光素子64bの湿気による腐食をより抑制することができる。このため、湿気で腐食しやすいGaAlAs系の半導体発光素子であっても植物栽培用の照明装置10、20として使用することができる。
また、照明装置10、20は、乾燥空気または乾燥窒素が充填されるとともに、外気の流入を抑制した内部に、冷媒導管25を配設しているので、高温・高湿の栽培室60に冷媒を流通させても結露することがなく、放熱基板24および冷媒導管25の結露水による腐食が抑制できる。
【0095】
そして、本実施の形態においては、雄型の第1配管カップラ16と雌型の第2配管カップラ17とにより簡単な操作で連結できるので、複数の照明装置10、20の連結や取り外しが容易で、植物栽培システム1の構築や変更が容易にできる。そして、複数の照明装置10、20を冷媒の通路となる配管部材(雄型の第1配管カップラ16と雌型の第2配管カップラ17)により連結するので、連結のための部材を別に設ける必要がない。さらに、複数の照明装置10、20を近接して配置することができ、栽培室60のスペースを有効に活用できる。
【符号の説明】
【0096】
1…植物栽培システム、10、20…照明装置、11…外装カバー、12…透明カバー、13…第1側面カバー、14…第2側面カバー、15…配管継手、16…第1配管カップラ、17…第2配管カップラ、21…発光素子パッケージ、22、32…回路基板、23…絶縁性放熱材、24…放熱基板、25…冷媒導管、26…反射器、30…照明制御部、31…照明制御配線、40…冷媒供給部、41…冷媒配管、50…栽培容器、60…栽培室、61…樹脂容器、62a、62b…アノード用リード部、63a、63b…カソード用リード部、64a…第1半導体発光素子、64b…第2半導体発光素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と、
前記発光素子の発する光を透過する透光性窓部を有し、当該発光素子を覆うように設けられた筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記発光素子が発生する熱を伝導により放熱する放熱基板と、
前記放熱基板に取り付けられ、冷媒の流路となる冷媒導管と
を備え、
前記筐体は、当該筐体の内部に前記冷媒導管を含むとともに、当該筐体の内部が外気の流入を抑制するように構成されている
ことを特徴とする植物栽培用の照明装置。
【請求項2】
前記筐体は、当該筐体の内部が乾燥空気または乾燥窒素で充填されることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項3】
前記植物栽培用の照明装置は、前記冷媒導管と、隣接する照明装置が備える隣接冷媒導管とを連結し、当該隣接冷媒導管と当該冷媒導管との間で冷媒の流路を形成する連結手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項4】
前記筐体は、長尺の箱形であって、長尺方向の1つの面が前記透光性窓部を構成し、長尺方向の他の3つの面は連なった外装部を構成し、残りの2面は側面部を構成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項5】
前記外装部は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押し出し成型により製作される
ことを特徴とする請求項4に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項6】
前記放熱基板は、冷媒導管を挿入する部分を有し、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押し出し成型により製作され、挿入される冷媒導管と一体に構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項7】
前記発光素子は、発光素子パッケージに設置され、当該発光素子パッケージが回路基板に固着され、当該回路基板が前記放熱基板に固定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項8】
前記発光素子は、金属ベースの回路基板の金属ベース部に直付けされ、当該回路基板が前記放熱基板に固定されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項9】
前記発光素子は、発光ピーク波長が400〜500nmの発光素子と、発光ピーク波長が655〜675nmの発光素子とを含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項10】
前記発光素子は、pn接合型の発光部と、当該発光部に積層された歪調整層とを少なくとも含む化合物半導体層を備え、
前記発光部は、組成式(AlXGa1−X)YIn1−YP(0≦X≦0.1、0.37≦Y≦0.46)からなる歪発光層とバリア層との積層構造を有し、
前記歪調整層は、発光波長に対して透明であると共に前記歪発光層および前記バリア層の格子定数よりも小さい格子定数を有する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項11】
前記発光素子と前記透光性窓部との間に、当該発光素子の光の方向を設定する反射器をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項12】
複数の発光素子と、当該発光素子の発する光を透過する透光性窓部を有し、当該発光素子を覆うように設けられた筐体と、当該筐体の内部に配置され、前記発光素子が発生する熱を伝導により放熱する放熱基板と、当該放熱基板に取り付けられ、冷媒の流路となる冷媒導管とを備え、隣接する当該冷媒導管を相互に連結して冷媒の流路を形成する複数の植物栽培用の照明装置と、
前記複数の植物栽培用の照明装置の、連結された前記冷媒導管に冷媒を供給する冷媒供給部と、
前記複数の植物栽培用の照明装置の前記発光素子の点灯と消灯とを制御する照明制御部と
を備えることを特徴とする植物栽培システム。
【請求項1】
複数の発光素子と、
前記発光素子の発する光を透過する透光性窓部を有し、当該発光素子を覆うように設けられた筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記発光素子が発生する熱を伝導により放熱する放熱基板と、
前記放熱基板に取り付けられ、冷媒の流路となる冷媒導管と
を備え、
前記筐体は、当該筐体の内部に前記冷媒導管を含むとともに、当該筐体の内部が外気の流入を抑制するように構成されている
ことを特徴とする植物栽培用の照明装置。
【請求項2】
前記筐体は、当該筐体の内部が乾燥空気または乾燥窒素で充填されることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項3】
前記植物栽培用の照明装置は、前記冷媒導管と、隣接する照明装置が備える隣接冷媒導管とを連結し、当該隣接冷媒導管と当該冷媒導管との間で冷媒の流路を形成する連結手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項4】
前記筐体は、長尺の箱形であって、長尺方向の1つの面が前記透光性窓部を構成し、長尺方向の他の3つの面は連なった外装部を構成し、残りの2面は側面部を構成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項5】
前記外装部は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押し出し成型により製作される
ことを特徴とする請求項4に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項6】
前記放熱基板は、冷媒導管を挿入する部分を有し、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押し出し成型により製作され、挿入される冷媒導管と一体に構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項7】
前記発光素子は、発光素子パッケージに設置され、当該発光素子パッケージが回路基板に固着され、当該回路基板が前記放熱基板に固定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項8】
前記発光素子は、金属ベースの回路基板の金属ベース部に直付けされ、当該回路基板が前記放熱基板に固定されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項9】
前記発光素子は、発光ピーク波長が400〜500nmの発光素子と、発光ピーク波長が655〜675nmの発光素子とを含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項10】
前記発光素子は、pn接合型の発光部と、当該発光部に積層された歪調整層とを少なくとも含む化合物半導体層を備え、
前記発光部は、組成式(AlXGa1−X)YIn1−YP(0≦X≦0.1、0.37≦Y≦0.46)からなる歪発光層とバリア層との積層構造を有し、
前記歪調整層は、発光波長に対して透明であると共に前記歪発光層および前記バリア層の格子定数よりも小さい格子定数を有する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項11】
前記発光素子と前記透光性窓部との間に、当該発光素子の光の方向を設定する反射器をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項12】
複数の発光素子と、当該発光素子の発する光を透過する透光性窓部を有し、当該発光素子を覆うように設けられた筐体と、当該筐体の内部に配置され、前記発光素子が発生する熱を伝導により放熱する放熱基板と、当該放熱基板に取り付けられ、冷媒の流路となる冷媒導管とを備え、隣接する当該冷媒導管を相互に連結して冷媒の流路を形成する複数の植物栽培用の照明装置と、
前記複数の植物栽培用の照明装置の、連結された前記冷媒導管に冷媒を供給する冷媒供給部と、
前記複数の植物栽培用の照明装置の前記発光素子の点灯と消灯とを制御する照明制御部と
を備えることを特徴とする植物栽培システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−284127(P2010−284127A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141876(P2009−141876)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
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