説明

植物栽培用の照明装置および植物栽培装置

【課題】半導体発光素子の発熱を効率よく放熱できるとともに、安価に製造できる植物栽培用の照明装置および植物栽培装置を提供する。
【解決手段】植物栽培装置1は、底板15と、底板15の少なくとも四隅に設けられた支柱16と、支柱16により支えられた天板17と、底板15上に設けられた植物2を育成する栽培容器3と、天板17側から吊り下げられた複数の照明装置10とを備えている。照明装置10は、発光ユニット11と、発光ユニット11が取り付けられる円筒状の保持体12とを備えている。保持体12には、発光ユニット11が、円筒状の保持体12の軸に対して斜めに巻きつくように取り付けられている。照明装置10は、円筒状の保持体12の軸上に回転軸13をさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子を用いた植物栽培用の照明装置および植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然条件の変動に左右されない農業環境づくりとして、栽培環境の光、温度、湿度、炭酸ガス濃度など、植物成長に影響を及ぼすあらゆる条件を制御して農作物などを生産する植物工場、野菜工場などが実用化されつつある。
これらの植物工場には、完全人工光型と太陽光併用型とがあるが、両者とも人工光を照射する照明装置を設置することが必須となっている。そして、照明装置からは、赤色光と青色光とを植物に照射することが必要とされている。これらの照明装置の光源には、半導体発光素子(LED:Light Emitting Diode)が用いられるようになってきている。
【0003】
特許文献1には、可撓性プリント基板に多数のLED素子を実装すると共に、該可撓性プリント基板の表面に硬質の透明樹脂層を被着して、該可撓性プリント基板を該透明樹脂層によって湾曲形状に保持せしめたLED基板を含んで構成されたLED表示装置において、複数の前記LED素子を複数の直線上に配列することによって複数のLED素子列を形成すると共に、それぞれのLED素子列において、各LED素子の給電部位を前記可撓性プリント基板上の電極に接続するボンディングワイヤを該LED素子の配列線上に配線する一方、それら複数のLED素子列におけるLED素子の配列方向を複数方向に異ならせたLED表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−333847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、植物栽培用の照明装置では、照明装置に搭載された半導体発光素子からの光が、効率よく栽培対象である植物に照射されることが好ましい。このため、植物栽培用の照明装置は、植物に近接して配置できることが求められる。
また、半導体発光素子が高輝度になると、半導体発光素子に流れる電流が大きくなって、半導体発光素子の発熱量が大きくなる。このため、高輝度な半導体発光素子を用いた植物栽培用の照明装置では、半導体発光素子から発生する熱を効率よく放熱できることが求められる。しかし、可撓性プリント基板の材質が、ガラス布基材エポキシ樹脂や紙基材フェノール樹脂等の有機絶縁物系、またはポリエステルやポリイミド等のフレキシブル有機絶縁物系などである場合、これらの材質は銅、アルミニウムまたはそれらの合金などの金属に比べ熱伝導率が小さいため、半導体発光素子から発生する熱を効率よく放熱することができないという問題があった。
さらに、植物栽培用の照明装置は、湿度の高い環境に配置されるため、耐湿性に優れるとともに、安価に製造できる構造であることが好ましい。
本発明の目的は、半導体発光素子の発熱を効率よく放熱できるとともに、安価に製造できる植物栽培用の照明装置および植物栽培装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明が適用される植物栽培用の照明装置は、表面形状が矩形である熱伝導性基板と、熱伝導性基板の長手方向に配列されて搭載された複数の発光部品とを備える発光ユニットと、軸の周りに回転可能であって、発光ユニットの長手方向が、外表面上に軸の方向に対して斜めに取り付けられた保持体とを備えている。
このような植物栽培用の照明装置において、熱伝導性基板は、金属材料で構成されていることを特徴とすることができる。
そして、保持体は、金属材料で構成されていることを特徴とすることができる。
さらに、保持体の外表面は、軸に対して傾斜面を有することを特徴とすることができる。
また、保持体は、外表面が軸に対して傾斜面を有するとともに、軸に対して直交するように設けた切断面の面積が、上端部側が下端部側に比べて大きいことを特徴とすることができる。
さらにまた、保持体は、外表面または内表面の少なくとも1つの面に放熱のための凹部または凸部を備えることを特徴とすることができる。
そして、保持体は、表面に空気を取り入れる穴または切り込みを備えることを特徴とすることができる。
【0007】
さらに、このような植物栽培用の照明装置において、複数の発光部品は、青色光を発光する半導体発光素子と赤色光を発光する半導体発光素子とを含むことを特徴とすることができる。
そして、複数の発光部品に含まれる青色光を発光する半導体発光素子は、ピーク波長420nm〜480nmのInGaN発光層を有し、赤色光を発光する半導体発光素子は、ピーク波長650nm〜690nmのAlGaInP発光層を有することを特徴とすることができる。
さらにまた、複数の発光部品に含まれる青色光を発光する半導体発光素子および赤色光を発光する半導体発光素子は、青色光を発光する半導体発光素子および赤色光を発光する半導体発光素子のそれぞれの一方の面にP電極およびN電極を有し、青色光を発光する半導体発光素子および赤色光を発光する半導体発光素子のそれぞれの他方の面にはP電極またはN電極のいずれをも有しないことを特徴とすることができる。
【0008】
さらに、他の観点から捉えると、本発明が適用される植物栽培装置は、栽培される複数本の植物を収容する栽培容器と、成長する複数本の植物に対向するように設けられ、表面形状が矩形である熱伝導性基板と、熱伝導性基板の長手方向に配列されて搭載された複数の発光部品とを備える発光ユニットと、軸の周りに回転可能であって、発光ユニットの長手方向が、外表面上に軸の方向に対して斜めに取り付けられた保持体とを備え、複数の発光部品の発する光を植物の側方から照射する照明装置とを備えている。
また、本発明が適用される植物栽培装置は、栽培される複数本の植物を収容する栽培容器と、成長する複数本の植物に対向するように設けられ、表面形状が矩形である熱伝導性基板と、熱伝導性基板の長手方向に配列されて搭載された複数の発光部品とを備える発光ユニットと、軸の周りに回転可能であって、発光ユニットの長手方向が、外表面上に軸の方向に対して斜めに取り付けられた保持体と、風力により保持体を回転させる送風装置とを備え、複数の発光部品の発する光を植物に照射する照明装置とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体発光素子の発熱を効率よく放熱できるとともに、安価に製造できる植物栽培用の照明装置および植物栽培装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態が適用される植物栽培装置の一例を示した図である。
【図2】放熱性を改善した保持体の一例を示す図である。
【図3】植物栽培装置の他の一例を示した図である。
【図4】第1の実施の形態が適用される照明装置の一例を示した拡大図である。
【図5】第1の実施の形態が適用される照明装置の発光ユニットの一例を示した図である。
【図6】青色発光チップの構成の一例を説明するための断面図である。
【図7】青色発光チップの上面図である。
【図8】赤色発光チップの構成の一例を説明するための断面図である。
【図9】赤色発光チップの上面図である。
【図10】2個の発光ユニットから構成される発光ユニットを示した図である。
【図11】第2の実施の形態が適用される照明装置の発光部の一例を示した図である。
【図12】発光素子パッケージの構成の一例を示した図である。
【図13】第3の実施の形態が適用される照明装置の発光ユニットの一例を示した図である。
【図14】第4の実施の形態が適用される植物栽培装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態が適用される植物栽培装置1の一例を示した図である。
植物栽培装置1は、底板15と、底板15の少なくとも四隅に設けられた支柱16と、支柱16により支えられた天板17と、底板15上に設けられた植物2を育成する栽培容器3と、天板17側から吊り下げられた複数の照明装置10とを備えている。
そして、照明装置10は、発光ユニット11と、発光ユニット11が取り付けられる円筒状の保持体12とを備えている。
照明装置10は、円筒状の保持体12の軸上に回転軸13を備えている。
【0012】
植物栽培装置1は、照明装置10に搭載された半導体発光素子チップ64に電流を供給する電力供給ライン18を備えている。電力供給ライン18は、天板17の裏面を伝って、植物栽培装置1の外部に引き出され、植物栽培装置1の外部に置かれた電源19に接続されている。
【0013】
また、植物栽培装置1は、照明装置10を回転させるためのモータなどを備えた回転制御部14を備えている。照明装置10の回転軸13は、回転制御部14に接続されている。
すなわち、植物栽培装置1は天板17上に回転制御部14を備え、回転制御部14が回転軸13を介して照明装置10を支持している。
【0014】
底板15は、栽培容器3を載置する構造材である。底板15は、栽培容器3を保持できればよく、どのような材質から構成されてもよい。
栽培容器3は、栽培する植物2を保持できればよく、後述するように、植物2を育成するための培養液を循環させるように、培養液の供給口と排出口とを備えていてもよい。培養液を循環させる場合は、植物栽培装置1の外部に、培養液を循環させるための図示しない循環部が設けられる。
本実施の形態において、栽培される植物2は、特に制限されないが、ジャガイモ、大豆、紫蘇など、草丈のあるものであってもよい。
【0015】
天板17は、複数の照明装置10を支持できる強度を有するものであることが好ましい。そして、回転制御部14が回転軸13を回転させることにより、円筒状の保持体12が矢印Aの方向に回転可能なように、天板17には、照明装置10の回転軸13が貫通する貫通孔が設けられている。
【0016】
本実施の形態における照明装置10の発光ユニット11は、後述するように、熱伝導性に優れた表面形状が矩形の熱伝導性基板21に複数の発光部品の一例としての半導体発光素子チップ64が列状に搭載されて構成されている(後述する図4、5参照)。
【0017】
照明装置10の保持体12には、発光ユニット11が円筒状の保持体12の軸に対して斜めまたはらせん状に巻きつくように取り付けられている。すなわち、発光ユニット11は保持体12の軸の方向に対して斜めに取り付けられている。
照明装置10の保持体12は、発光ユニット11に搭載された半導体発光素子チップ64の発する熱を熱伝導により放熱できるように、熱伝導性に優れた材質、例えばアルミニウム、銅またはそれらの合金、ステンレス鋼(SUS)などの金属などで構成されていることが好ましい。また、AlNなど、熱伝導の良好なセラミックスも好ましい。
さらに、光を有効に利用するため、保持体12の表面は、アルミニウム、銀、白色樹脂材料、赤色に対しては金など、反射率の高い材質で構成されていることが望ましい。また、腐食対策や、さらなる反射率の向上のため、保持体12の最表面にガラス樹脂(透明)などを被服することも望ましい。
【0018】
そして、保持体12は、半導体発光素子チップ64の発する熱を放熱しやすくするために、気体による冷却(空冷)または液体による冷却(液冷)により冷却されてもよい。例えば、保持体12は、回転軸13から放射状に延びたスポークにより保持された中空の円筒形状が望ましい。
また、保持体12の中空の内部は管路として、冷却用の冷媒を流通させてもよい。または、保持体12の中空の内側に冷却用のパイプを設けて、パイプに液状の冷媒を流通させてもよい。冷媒としては水、エチレングリコールなどが使用できる。
なお、保持体12を回転させるとともに液状の冷媒で冷却する場合には、冷媒が漏洩しないように、冷媒の供給部(不図示)と保持体12とをOリングなどの回転可能なシール部材で結合すればよい。
【0019】
そして、照明装置10には、前述したように、保持体12の軸上に回転軸13が設けられている。そして、保持体12は、回転軸13を介して回転制御部14により回転される。
保持体12を回転させる場合には、保持体12上に熱伝導性基板21を介して搭載された半導体発光素子チップ64への電力の供給を、ブラシなどの摺動機構または電磁誘導などを介して行なうようにする。
【0020】
なお、照明装置10は、天板17から吊り下げられているとして説明したが、底板15など床上に置かれる構成であってもよい。床上に置かれる構成の場合、図1に示した照明装置10と回転制御部14との位置関係が逆転する。すなわち、回転制御部14が底板15上に置かれ、回転制御部14から上方に回転軸13が伸び、照明装置10を支えるとともに、回転させることになる。また、壁に設置すれば、照明装置10を横向きとしても利用できる。
【0021】
照明装置10は、成長すると草丈が大きくなる植物2の間となる位置に配置される。そして、照明装置10は、植物2の側面から光を照射することで、植物2への光の照射の効率を高め、植物2の育成をより促進する。
なお、照明装置10は、植物2が林立して、照明装置10を取り囲むように配置されてもよい。そして、植物2は、照明装置10を一重に取り囲むように配置されてもよく、多重に取り囲むように配置されてもよい。
【0022】
図2は、放熱性を改善した保持体12の一例を示す図である。
図2(a)は、表面に複数の穴12aを設けた保持体12の一例を示す図である。空気が、保持体12の周囲から保持体12の内部に、または保持体12の内部から保持体12の周囲に穴12aを介して流れることにより、保持体12の放熱が促進される。
保持体12に設けられる穴12aは、円形であってもよく、矩形等の他の形状であってもよい。また、保持体12に穴12aを設ける位置および穴12aの数、大きさは、特に限定されず、発光ユニット11が設置される位置を考慮して設ければよい。
【0023】
図2(b)は、表面に複数の切り込み12bを設けた保持体12の一例を示す図である。切り込み12bは、保持体12の表面を円弧状に切り欠き、円弧の部分が保持体12の内部に曲げられて構成されている。
保持体12の回転(図1に示す矢印A)により、切り込み12bが保持体12の外部から強制的に空気を、保持体12の内部に誘導し、保持体12の放熱がより促進される。
保持体12に設けられる切り込み12bは、外周部が円弧状であっても、矩形状等の他の形状であってもよい。また、保持体12に切り込み12bを設ける位置および切り込み12bの数、大きさは、特に限定されず、発光ユニット11が設置される位置を考慮して設ければよい。
【0024】
図2(c)は、内表面に複数の凸部12cを設けた保持体12の一例を示す図である。それぞれの凸部12cは、円筒状の保持体12の内側に、断面形状が三角形状に設けられている。凸部12cにより保持体12の内部を流れる空気との接触面積が増加し、保持体12の放熱がより促進される。
保持体12に設けられる凸部12cは、断面形状が三角形状に限らず、保持体12の内側の表面積が増加する構造のものであればよい。また、保持体12の内側に凸部12cを設ける位置および凸部12cの数、大きさは、特に限定されず、放熱が促進される構成を選択すればよい。
なお、凸部12cの代わりに凹部であってもよい。
【0025】
図2(d)は、外表面に複数のフィン(ひれ)状の凸部12dを設けた保持体12の一例を示す図である。それぞれの凸部12dは、円筒状の保持体12の外側に、板状に飛び出すように設けられている。凸部12dにより保持体12の周囲を流れる空気との接触面積が増加し、保持体12の放熱がより促進される。
保持体12に設けられる凸部12dは、板状に限らず、保持体12の外側の表面積が増加する構造のものであればよい。また、保持体12の外側に凸部12dを設ける位置および凸部12dの数、大きさは、特に限定されず、発光ユニット11が設置される位置を考慮して設ければよい。
なお、保持体12の外表面において、発光ユニット11の設置を妨げないように、突起11dを保持体12の軸方向に分割して設けてもよい。
【0026】
図2(e)は、軸方向の端部にフィン(ひれ)状の凸部12eを設けた保持体12の一例を示す図である。板状の凸部12eが、円筒状の保持体12の軸方向の端部に、端部から保持体12の外側に飛び出すように設けられている。凸部12eにより保持体12の周囲を流れる空気との接触面積が増加し、保持体12の放熱がより促進される。
図2(e)では、凸部12eは保持体12の外周上に2個設けられているが、2個に限らず、3個以上であってもよく、保持体12の外周を取り巻くように設けられてもよい。
また、図2(e)では、凸部12eは、保持体12の軸方向の一方の端に設けられているが、他方の端に設けられてもよく、中間に設けられてもよい。また、凸部12eは保持体12の外周の複数の箇所(例えば、軸方向の両端部または軸方向の複数の位置)に設けられてもよい。
さらに、図2(a)から(e)で説明した構成を、複数組み合わせて用いてもよく、前述した冷媒による冷却法と併用してもよい。
なお、保持体12は、円筒状としたが、円筒状に限らず、四角柱、六角柱、八角柱などの角柱状であってもよい。
【0027】
図3は、植物栽培装置1の他の一例を示した図である。図1では、保持体12は円筒状としたが、図2では、保持体12の形状を、植物2と照明装置10との位置関係(例えば、植物2の高さが低い場合)に応じて、植物2に斜め上から照射できるように、例えば上端部(上面)の面積が下端部(下面)の面積に比べて大きい円錐台の形状(円錐台状)とした場合を示している。このことにより、植物2の受ける光照射量が増加して望ましい。円錐台の角度は、植物2の大きさと照明装置10の高さにより、最適化できる。また、円錐台でなくても、円錐、角錐、角錐台、半球などの形状も望ましい。保持体12の上端部(上面)の面積を下端部(下面)の面線に比べ大きくする場合においては、加工のしやすさ、発光ユニット11の取り付けやすさから、円錐台が最も望ましい。
以上説明したように、保持体12は、図1に示したように、軸に対して直交するように設けた切断面の面積が、上端部側(円筒状の保持体12の上面)と下端部側(円筒状の保持体12の下面)とで同じであってもよく、図3に示したように、上端部側(円錐台状の保持体12の上面)が下端部側(円錐台状の保持体12の下面)に比べて大きくともよく、図示しないが、上端部側(上面)が下端部側(下面)に比べて小さくともよい。
なお、保持体12の上面および下面が軸に対して直交する面でない場合であっても、上端部および下端部において、軸に対して直交する面を想定すればよいことから、軸に対して直交するように設けた切断面とした。
【0028】
図4は第1の実施の形態が適用される照明装置10の一例を示した拡大図である。
照明装置10は、保持体12に、発光ユニット11が斜めまたはらせん状に巻きつくように構成されている。すなわち、発光ユニット11は、表面形状が矩形であって、その長手方向が保持体12の軸方向に対して斜めになっている。
発光ユニット11は、熱伝導性基板21と、熱伝導性基板21の表面の中央部上に設けられた複数の半導体発光素子チップ64と、熱伝導性基板21の表面上に、半導体発光素子チップ64を挟むように両側に設けられた配線基板22a、22bとを備えている。
そして、半導体発光素子チップ64のp電極、n電極と、配線基板22a、22bに設けられた導体パターン23b、23c、23d(後述する図5参照)とがボンディングワイヤ65により接続されている。複数の半導体発光素子チップ64は、青色光または赤色光を発する半導体発光素子チップであってもよく、青色光または赤色光を発する半導体発光素子チップが混在したものであってよい。
なお、「半導体発光素子チップ64」の用語は、後述する図6、7に示す青色発光チップ641と図8、9に示す赤色発光チップ642とをそれぞれ区別しないときに用いる。また、「p電極」の用語は、後述する図6、7に示す青色発光チップ641における第1p電極210および、後述する図8、9に示す赤色発光チップ642における第2p電極410をそれぞれ区別しないときに用いる。同様に、「n電極」の用語は、後述する図6、7に示す青色発光チップ641における第1n電極240および、後述する図8、9に示す赤色発光チップ642における第2n電極400をそれぞれ区別しないときに用いる。
【0029】
そして、円筒状の保持体12に発光ユニット11を斜めまたはらせん状に巻きつけたとき、ボンディングワイヤ65に応力がかかることを抑制するため、半導体発光素子チップ64のp電極およびn電極と配線基板22a、22bに設けられた導体パターン23b、23c、23dとを接続するボンディングワイヤ65は、保持体12の軸方向(B−B線方向)に向くように設けられている。
すなわち、ボンディングワイヤ65は、保持体12の軸方向(B−B線方向)に向いて設けられているので、発光ユニット11を保持体12にらせん状に巻きつけても延び縮みしない。これにより、半導体発光素子チップ64と配線基板22aおよび22bとの電気的な接続の信頼性が損なわれることが抑制される。
【0030】
照明装置10が回転しない場合、植物2には、植物2に対向する位置の半導体発光素子チップ64から発する光のみが照射される。これに対して、照明装置10が回転する場合、発光ユニット11に搭載された複数の半導体発光素子チップ64から発する光が、植物2に均等に照射されることになる。特に、それぞれが、赤色光、青色光など、異なる発光波長の光を発する複数の半導体発光素子チップ64を混在して用いる場合には、異なる発光波長の光が偏ることなく植物2に照射される。
なお、照明装置10は、回転軸13を中心として回転するとして説明したが、回転させないで用いられてもよい。
【0031】
ここでは詳細に説明しないが、植物栽培装置1は、温度および湿度が制御された環境に設けられていてもよい。
【0032】
次に、植物栽培装置1の動作を説明する。
植物栽培が培地を用いない水耕栽培である場合は、植物栽培装置1の栽培容器3には、植物2とともに、植物2の根に養分を与える培養液が蓄えられている。培養液は、栽培容器3の一端部から供給され、他端部から流れ出すようにして、循環させてもよい。
植物栽培が培地を用いた固形培地耕である場合は、植物栽培装置1の栽培容器3には、植物2とともに、土などの培地が蓄えられている。そして、栽培容器3に、水に肥料を溶かした液肥を施すことで、灌水と施肥とを同時に行う。
【0033】
そして、照明装置10に電源19から電力が供給されることにより、照明装置10の半導体発光素子チップ64から発した光が、植物2に照射される。照明装置10を回転させることで、植物2に対して、照明装置10から発した光が、植物2と照明装置10の半導体発光素子チップ64との位置関係に依存せず照射される。植物2は、これらの光により光合成を行うことで成長する。
なお、植物2に照射される光の波長は、照明装置10に搭載された半導体発光素子チップ64の発光波長で決められる。赤と青との光が、植物2の育成に優れた効果を有することが知られている。
また、植物2に光が照射される時間は、照明装置10の点灯時間によって決められる。この点灯期間は、図示しない制御部によって、コントロールされてもよい。
【0034】
次に、発光ユニット11について詳細に説明する。
<発光ユニット11>
図5は、第1の実施の形態が適用される照明装置10の発光ユニット11の一例を示した図である。図5(a)は、発光ユニット11を上面から見た平面図を示し、図5(b)は、発光ユニット11のVB−VB線での断面図を示している。
発光ユニット11は、図5(b)に示すように、一方の表面に、一体に形成された凸部21aを有する表面形状が矩形の熱伝導性基板21と、凸部21aの表面21bに設けられた複数の半導体発光素子チップ64と、熱伝導性基板21の凸部21a以外の表面21cに接着層24を介して設けられた配線基板22aおよび22bとを備えている。配線基板22aおよび22bには、半導体発光素子チップ64に電流を供給する配線が設けられている。
図5(a)に示す熱伝導性基板21には、9個の半導体発光素子チップ64が搭載されている。9個の半導体発光素子チップ64をそれぞれ区別するときは、半導体発光素子チップ64−1〜64−9と表記する。
第1の実施の形態は、ベアチップである半導体発光素子チップ64が熱伝導性基板21の凸部21aに搭載された、いわゆるCOB(Chip on Board)実装である。
【0035】
まず、熱伝導性基板21について説明する。
(熱伝導性基板21)
熱伝導性基板21は、例えば上面から見た表面形状が矩形であって、熱伝導性に優れた材料により構成されている。そして、熱伝導性基板21と一体に形成された凸部21aは、熱伝導性基板21の長手方向に連続して構成され、その表面21bは、半導体発光素子チップ64が搭載可能な幅を有している。
熱伝導性基板21には、熱伝導性に優れた金属、例えば銅、アルミニウムまたはそれらの合金などを用いることができる。アルミニウムの場合には、表面がアルマイト加工されていてもよい。
熱伝導性基板21は、例えば銅であって、長さが150mm、幅が10mmとすることができる。そして、凸部21aの表面21bの幅は、半導体発光素子チップ64を搭載することができればよい。例えば、半導体発光素子チップ64が350μm×350μmであれば、凸部21aの表面21bの幅(熱伝導性基板21の短手方向に計測した長さ)を半導体発光素子チップ64の一辺長である350μmより長い1mmとすることができる。
また、熱伝導性基板21の厚さは、凸部21aの部分で、例えば0.3mmとすることができる。また、凸部21aの高さは、例えば0.15mmとすることができる。
【0036】
そして、凸部21aの両側面に、熱伝導性基板21の長手方向に連なってスリット21dが設けられている。このスリット21dに、配線基板22aおよび22bの一部が差し込まれている。よって、スリット21dの幅は、配線基板22aおよび22bの厚さと同程度であって、スリット21dに配線基板22aおよび22bの一部が差し込めればよい。よって、後述するように、例えば配線基板22aおよび22bの厚さが0.15mmの場合、スリット21dの幅は、0.17mmとすることができる。
また、スリット21dの深さは、半導体発光素子チップ64が発生する熱の熱伝導性基板21への熱伝導による放熱を妨げなければよく、例えば0.2mmとできる。
なお、スリット21dは、配線基板22aおよび22bを熱伝導性基板21に固定しやすくするために設けられている。しかし、図5(b)に示すように、配線基板22aおよび22bは、熱伝導性基板21の表面21cに接着層24で固定される。このことから、配線基板22aおよび22bは、必ずしもスリット21dに差し込んで固定されることを要しない。よって、熱伝導性基板21にスリット21dを設けなくともよい。
なお、熱伝導性基板21は、柔軟性を有する銅などで構成されているため、発光ユニット11を熱伝導性基板21の厚さ方向に変形させて(曲げて)、保持体12に取り付けることができる。
【0037】
熱伝導性基板21の製造方法について説明する。
熱伝導性基板21は、銅を圧延することにより、長手方向に連続的に、いわゆるロールツーロールで形成できる。これにより、発光ユニット11が安価に構成できる。
また、凸部21aを備えた熱伝導性基板21を、いわゆるロールツーロールで形成できれば、熱伝導性基板21の長さを可変として、発光ユニット11を用途に合わせた長さに構成しうる。
その後、熱伝導性基板21の凸部21aの両側面にスリット21dを形成する。
さらに、熱伝導性基板21は、発光ユニット11を保持体12に固定するためのボルトを貫通させる孔27が設けられる。
【0038】
次に、配線基板22aおよび22bについて説明する。
(配線基板22aおよび22b)
配線基板22aおよび22bは、例えば短冊状の平板である。配線基板22bは、配線基板22aと同じ構成であって、向きを変えて用いられる。よって、配線基板22aについてのみ説明する。
配線基板22aは、基体25と、基体25の一方の表面に設けられた導体パターン23a、23b、23c、23dと、導体パターン23a、23b、23c、23dの表面および基体25の一方の表面の導体パターン23a、23b、23c、23dが設けられていない表面を覆うレジスト膜26とを備えている。
配線基板22aの基体25の他方の面が接着層24を介して熱伝導性基板21の表面21cに接着されている。なお、配線基板22aの一部は、熱伝導性基板21の凸部21aの側面に設けられたスリット(隙間)21dに差し込まれている。
【0039】
配線基板22aの導体パターン23aは、帯状であって、配線基板22aの長手方向に沿って、配線基板22aの一端部から他端部まで繋がって設けられている。一方、短冊状の導体パターン23bが、導体パターン23aと並行するように、相互に接続されることなく、列状に複数設けられている。そして、列状に設けられた複数の導体パターン23bの両端部に、それぞれが短冊状の導体パターン23cおよび23dが設けられている。導体パターン23cおよび23dも長手方向が、導体パターン23aに並行するように、設けられている。
すなわち、配線基板22aの長辺側に沿って、複数の導体パターン23bが列状に並ぶとともに、その両端は導体パターン23cおよび23dで挟まれている。
【0040】
配線基板22aの導体パターン23a、23b、23c、23dの表面および配線基板22aの導体パターン23a、23b、23c、23dが設けられていない部分を覆うレジスト膜26には、導体パターン23a、23b、23c、23dの表面の一部を露出させるための開口26a、26b、26c、26d、26e、26f、26gが設けられている。
具体的に説明すると、導体パターン23aの両端部には、開口26aおよび26bが設けられている。導体パターン23bには、長手方向に沿って、配線基板22aの一長辺に近い側に、開口26eが設けられている。
導体パターン23cの長手方向の一方の端部(配線基板22aの長手方向の一端部)に開口26cが設けられ、長手方向に沿って、配線基板22aの一長辺に近い側に、開口26fが設けられている。
導体パターン23dの長手方向の一方の端部(配線基板22aの長手方向の一端部)に開口26dが設けられ、長手方向に沿って、配線基板22aの一長辺に近い側に、開口26gが設けられている。
【0041】
そして、配線基板22aは、開口26e、26f、26gが設けられた側が、熱伝導性基板21の凸部21b側に対向するように、熱伝導性基板21の表面21c上に接着層24を介して接着固定されている。
【0042】
配線基板22bは、配線基板22aを180°回転させた構成である。そして、配線基板22bは、配線基板22aと同様に、熱伝導性基板21の表面21c上に接着固定されている。
なお、導体パターン23a、23b、23c、23dは、発光ユニット11および半導体発光素子チップ64との接続関係に基づいて定めればよく、図5(a)に示したパターンに限定されない。
【0043】
次に、配線基板22aの製造方法を説明する。
配線基板22aの基体25は、例えばガラスエポキシ板を用いることができる。ガラスエポキシ板の基体25の厚さは、0.1mmとすることができる。このように薄い基体25を用いることで、発光ユニット11を厚さ方向に曲げて使用することができる。
【0044】
基体25には、一方の表面には銅箔が貼り付けられている。そして、銅箔は、従来公知のフォトリソグラフィにより、導体パターン23a、23b、23c、23dに加工される。そして、導体パターン23a、23b、23c、23dおよび基体25の導体パターン23a、23b、23c、23d以外の表面がソルダレジストで覆われる。その後、従来公知のフォトリソグラフィにより、導体パターン23a、23b、23c、23d上の一部に、導体パターン23a、23b、23c、23dを露出させるようソルダレジストに開口26a、26b、26c、26d、26e、26f、26gが形成され、レジスト膜26となる。なお、レジスト膜26は、半導体発光素子チップ64からの光を反射させることができる白色のソルダレジストによって形成されることが好ましい。
【0045】
配線基板22aおよび22bでは、開口26a、26b、26c、26dにおいて、導体パターン23a、23c、23dが、植物栽培装置1の外部に設けられた電源19(図1参照)や他の照明装置10の配線基板22aおよび22bなどと接続される。
また、配線基板22aおよび22bでは、開口26e、26f、26gにおいて、導体パターン23b、23c、23dと半導体発光素子チップ64とが接続される。すなわち、導体パターン23b、23c、23dと半導体発光素子チップ64のp電極、n電極とが
ボンディングワイヤ65により接続されている。
なお、前述したように、ボンディングワイヤ65は、発光ユニット11を保持体12に巻きつけたとき、応力がかからないように、ボンディングワイヤ65の方向が保持体12の軸に平行になるように、図5(a)中において、上下方向からやや傾いて(斜めに)設けられている。
【0046】
そして、図5(a)に示すように、9個の半導体発光素子チップ64が、p電極(図5(a)では「p」と表記する。)およびn電極(同じく「n」と表記する。)の向きが、隣接する半導体発光素子チップ64間で互い違いになるように配列されている。
【0047】
次に、第1封止樹脂31および第2封止樹脂32について説明する。
(第1封止樹脂31および第2封止樹脂32)
発光ユニット11は、半導体発光素子チップ64およびボンディングワイヤ65を覆うように、第1封止樹脂31が設けられている。さらに、第1封止樹脂31と開口26e、26f、26gを覆うように、第2封止樹脂32が設けられている。
第1封止樹脂31は、半導体発光素子チップ64の表面を覆って、外気および湿気等の侵入により半導体発光素子チップ64が劣化することを防止するとともに、ボンディングワイヤ65を覆って、ボンディングワイヤ65を固定し、ボンディングワイヤ65が半導体発光素子チップ64のp電極およびn電極から剥れるのを防止する。
一方、第2封止樹脂32は開口26e、26f、26gを覆って、外気および湿気等との接触により、導体パターン23b、23c、23dが腐食するのを防止する。
なお、第2封止樹脂32は、開口26e、26f、26gが露出しないように覆えば、第1封止樹脂31を覆わなくともよく、隣接する第1封止樹脂31の間にあってもよい。
また、第1封止樹脂31が、開口26e、26f、26gが露出しないように覆えば、第2封止樹脂32を省略してもよい。
すなわち、植物栽培用の照明装置10は、高い湿度の環境に設置されるため、耐湿性を確保することが必要である。よって、第1の実施の形態では、第1封止樹脂31および第2封止樹脂32により半導体発光素子チップ64を覆うことで、湿気の浸入を抑制している。
【0048】
ここで、熱伝導性基板21の凸部21aに搭載される半導体発光素子チップ64について説明する。第1の実施の形態では、半導体発光素子チップ64を直接、熱伝導性基板21の凸部21aにCOB(Chip on Board)実装する。
半導体発光素子チップ64は、赤、緑、青または赤外、紫外のいずれの光を発するものであってよい。また、発光ユニット11において、複数の半導体発光素子チップ64として、発光波長が異なるものを混合して用いてもよい。
【0049】
次に、半導体発光素子チップ64について説明する。第1の実施の形態では、一例として、半導体発光素子チップ64として、青色光を発する半導体発光素子チップ(以下では青色発光チップ641と表記する。)と、赤色光を発する半導体発光素子チップ(以下では赤色発光チップ642と表記する。)とを用いている。
青色発光チップ641および赤色発光チップ642は、1つの発光ユニット11の複数の半導体発光素子チップ64において、混在して用いられてもよい。また、照明装置10が複数の発光ユニット11を備える場合には、発光ユニット11を単位として、青色発光チップ641のみを搭載した発光ユニット11と、赤色発光チップ642のみを搭載した発光ユニット11とを用いてもよい。
また、青色光のみを必要とするときは、青色発光チップ641を搭載した発光ユニット11のみを用いればよく、赤色光のみを必要とするときは赤色発光チップ642を搭載した発光ユニット11のみを用いればよい。
さらに、植物育成や栽培環境の改善に適する他の色、例えば、緑色、黄色、赤外などの光を発光する半導体発光素子を用いてもよい。
【0050】
次に、青色発光チップ641および赤色発光チップ642の一例を説明する。
(青色発光チップ641)
図6は青色発光チップ641の構成の一例を説明するための断面図である。図7は青色発光チップ641の上面図である。ここでは、発光ピーク波長が450nmの青色発光チップ641について説明する。なお、図6に示す青色発光チップ641の断面図は、図7における上面図のVI−VI線での断面図にあたる。
青色発光チップ641は化合物半導体にて構成されている。以下では、III族窒化物化合物半導体を有する青色発光チップ641を例として説明する。
【0051】
第1基板110は、III族窒化物半導体とは異なる材料から構成され、第1基板110上にIII族窒化物半導体結晶がエピタキシャル成長される。第1基板110を構成する材料としては、例えば、サファイア、炭化珪素(シリコンカーバイド:SiC)、酸化亜鉛(ZnO)、シリコン、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウムアルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、溶融石英(石英)などのガラス等が挙げられる。ここでは、第1基板110は、一例として、透明で、良好な結晶が得られるサファイアであるとして説明する。
【0052】
この青色発光チップ641は、サファイア製の第1基板110と、第1基板110上に積層される中間層120と、中間層120上に積層される下地層130と、下地層130上に積層される第1n型半導体層140と、第1n型半導体層140上に積層される第1発光層150と、第1発光層150上に積層される第1p型半導体層160とを備えている。
ここで、第1n型半導体層140は、下地層130側に設けられる第1n型コンタクト層140aと第1発光層150側に設けられる第1n型クラッド層140bとを有している。また、第1発光層150は、障壁層150aと井戸層150bとが交互に積層され、2つの障壁層150aによって1つの井戸層150bを挟み込んだ構造を有している。さらに、第1p型半導体層160は、第1発光層150側に設けられる第1p型クラッド層160aと最上層に設けられる第1p型コンタクト層160bとを有する。なお、以下の説明においては、第1n型半導体層140、第1発光層150および第1p型半導体層160を、まとめて第1積層半導体層100と表記する。
【0053】
青色発光チップ641においては、第1p型半導体層160の第1p型コンタクト層160b上に透明正極170が積層され、透明正極170の上面170cに第1p電極210が形成されている。さらに、第1n型半導体層140の第1n型コンタクト層140aに形成された半導体層露出面140cに第1n電極240が積層されている。
さらにまた、青色発光チップ641は、第1p電極210および第1n電極240のそれぞれの表面の一部を除いて、透明正極170の表面、第1積層半導体層100の表面および側面、下地層130および中間層120の側面を覆う第1保護層180を備える。
【0054】
この青色発光チップ641においては、第1p電極210と第1n電極240とを介して第1積層半導体層100(より具体的には第1p型半導体層160、第1発光層150および第1n型半導体層140)に電流を流すことで、第1発光層150が青色光を発するようになっている。なお、第1発光層150は、透明正極170側に加えて、第1基板110側および青色発光チップ641の側方(第1発光層150の層方向)にも青色光を発する。
【0055】
青色発光チップ641の製造方法を説明する。
まず、予め定められた直径と厚さとを有するサファイア製の第1基板110を、スパッタリング装置にて、第1基板110上に、中間層120を形成する。
続いて、中間層120が形成された第1基板110上に、MOCVD装置により、下地層130、第1n型コンタクト層140aを形成し、第1n型コンタクト層140aの上に第1n型クラッド層140bを形成する。さらに、第1n型クラッド層140bの上に第1発光層150すなわち障壁層150aと井戸層150bとを交互に形成し、第1発光層150の上に第1p型クラッド層160aを形成し、第1p型クラッド層160aの上に第1p型コンタクト層160bを形成する。
さらに、第1p型コンタクト層160bの表面160c上に透明正極170を積層する。また、エッチング等を用いて第1n型コンタクト層140aに半導体層露出面140cを形成する。そして、透明正極170の上面170cに第1p電極210を、半導体層露出面140c上に第1n電極240を設ける。次に、第1保護層180を形成する。
その後、第1基板110の下地層130の形成面とは反対の面を、予め定められた厚さになるまで研削及び研磨する。
そして、第1基板110の厚さが調整されたウェハを、例えば350μm角の正方形に切断することにより、青色発光チップ641を得る。
なお、第1基板110上に結晶性に優れた下地層130が直接形成できる場合には、中間層120を設けなくともよい。
【0056】
(赤色発光チップ642)
図8は赤色発光チップ642の構成の一例を説明するための断面図である。図9は赤色発光チップ642の上面図である。ここでは、高効率のAlGaInP発光層を有する発光ピーク波長が660nmの赤色発光チップ642について説明する。なお、図8に示す赤色発光チップ642の断面図は、図9における上面図のVIII−VIII線での断面図にあたる。
【0057】
図8に示すように、赤色発光チップ642は、第2積層半導体層300と第2基板310とが接合されて構成されている。そして、第2積層半導体層300は、第2p型コンタクト層320、下部クラッド層として働く第2p型半導体層330、第2発光層340、上部クラッド層として働く第2n型半導体層350が、順に積層されて構成されている。
そして、赤色発光チップ642は、第2n型半導体層350の上面350cに形成された第2n電極400と、第2積層半導体層300の第2n型半導体層350、第2発光層340、第2p型半導体層330の一部を切り欠くことによって露出した第2p型コンタクト層320の上面320cに形成された第2p電極410とを備える。
なお、図9に示すように、第2n電極400は、第2n型半導体層350上に、例えば格子状に形成された配線401と接続されている。配線401は、第2n電極400と同一材料により、第2n型半導体層350からの光の取り出しに影響を与えないよう、細線にて形成されている。これにより、第2n型半導体層350の電位分布を、配線401を設けない場合に比べ、より均一にし、第2発光層340からの発光の分布を均一化している。
【0058】
さらに、赤色発光チップ642は、第2n電極400および第2p電極410の表面の一部を除いて、第2p型コンタクト層320、第2p型半導体層330、第2発光層340、第2n型半導体層350を覆う第2保護層360を備えている。
【0059】
この赤色発光チップ642においては、第2n電極400を負極、第2p電極410を正極とし、両者を介して第2積層半導体層300(より具体的には第2p型コンタクト層320、第2p型半導体層330、第2発光層340および第2n型半導体層350)に電流を流すことで、第2発光層340が発光するようになっている。そして、発生した光は、第2n電極400および配線401が設けられていない第2n型半導体層350の上面350cや、第2基板310の側面より、赤色発光チップ642の外部に取り出される。
【0060】
図8に示すように、第2基板310の側面は、第2積層半導体層300に近い側において、光取り出し面である第2n型半導体層350の上面に対して略垂直である垂直面310aを構成し、第2積層半導体層300に遠い側において、第2基板310の内側に傾斜した傾斜面310bを構成している。これにより、第2発光層340から第2基板310側に放出された光を効率よく外部に取り出すことができる。
【0061】
上記した青色発光チップ641および赤色発光チップ642は、一例であって、これ以外の構造の半導体発光素子チップ、これら以外の発光ピーク波長を有する半導体発光素子チップを用いうることは明らかである。
なお、前述したように、青色発光チップ641と赤色発光チップ642とを用途に対応させて用いればよい。よって、青色発光チップ641と赤色発光チップ642とをそれぞれ区別しないときは、半導体発光素子チップ64と表記し、青色発光チップ641における第1p電極210および、赤色発光チップ642における第2p電極410をそれぞれ区別しないときはp電極と、青色発光チップ641における第1n電極240および、赤色発光チップ642における第2n電極400をそれぞれ区別しないときはn電極と表記している。
【0062】
次に、図5(a)および(b)を参照しつつ、発光ユニット11の製造方法および動作を説明する。
<発光ユニット11の製造方法および発光ユニット11の動作>
凸部21aが設けられた熱伝導性基板21の表面21c上に、配線基板22aおよび22bが接着層24を介して接着される。このとき、配線基板22aおよび22bの一部が、熱伝導性基板21のスリット21dに差し込まれる。
【0063】
接着層24としては、熱伝導性に優れた接着剤であるのが好ましい。また、熱伝導性基板21は、金属等であれば、熱伝導性を有すると同時に、電気伝導性も有する。配線基板22aおよび22bの基体25は、ガラスエポキシ板であれば、電気的な絶縁性を有している。よって、接着層24が電気的な絶縁性を有しなくとも配線基板22aおよび22bの導体パターン23a、23b、23c、23dと、熱伝導性基板21とが短絡することはない。しかし、接着層24が電気的な絶縁性を有しているのが好ましい。
【0064】
次に、熱伝導性基板21の凸部21aの表面21bに、半導体発光素子チップ64(青色発光チップ641または/および赤色発光チップ642)が接着固定される。半導体発光素子チップ64の凸部21aへの接着固定には、エポキシ樹脂系またはシリコーン樹脂系の接着剤、銀ペーストなどのダイボンド材料を用いうる。
そして、青色発光チップ641の第1p電極210および第1n電極240または赤色発光チップ642の第2p電極410および第2n電極400は、ボンディングワイヤ65により、配線基板22aおよび22bの開口26e、26f、26gを介して導体パターン23b、23c、23dと接続される。このため、青色発光チップ641または赤色発光チップ642は、配線基板22aおよび22bの開口26e、26f、26gに対応して、熱伝導性基板21の凸部21aの予め定められた位置に接着固定される。
【0065】
その後、第1封止樹脂31により青色発光チップ641または赤色発光チップ642およびボンディングワイヤ65が封止される。さらに、第2封止樹脂32で開口26e、26f、26gが封止される。
第1封止樹脂31および第2封止樹脂32は、青色発光チップ641または赤色発光チップ642の発光波長に対して透明な各種樹脂を適用して差し支えない。
また、第1封止樹脂31および第2封止樹脂32は、青色発光チップ641が発する光を吸収してより長波長の光を発する蛍光体を均一に分散させた透明樹脂であってもよい。例えば、青色発光チップ641が発する青色光を吸収して緑色光を発する緑色蛍光体と、青色発光チップ641が発する青色光を吸収して赤色光を発する赤色蛍光体とを含んでもよい。青色発光チップ641が発する青色光と、透明樹脂に含まれる緑色蛍光体が発する緑色光と、同じく透明樹脂に含まれる赤色蛍光体が発する赤色光とによって、青、緑、赤の3原色が揃う。これにより、第1封止樹脂31および/または第2封止樹脂32の上面から、白色光が出射されるようになっていてもよい。また、上記赤色蛍光体および緑色蛍光体の代わりに黄色蛍光体を使っても良い。
【0066】
第1封止樹脂31は、未硬化状態の透明樹脂ペースト(蛍光体を含んでもよい)を、吐出装置を用いたポッティング法で、熱伝導性基板21の凸部21aの半導体発光素子チップ64が接着固定された位置に、半導体発光素子チップ64およびボンディングワイヤ65を覆うようにポッティング(滴下)される。次に、未硬化状態の透明樹脂ペーストを硬化させて第1封止樹脂31を形成する。硬化の処理は、例えば、加熱または紫外線照射等で行えばよい。第1封止樹脂31としては、剛性に優れたエポキシ樹脂系の封止材料を用いることができる。
さらに、第2封止樹脂32で、第1封止樹脂31で覆われなかった開口26e、26f、26gを封止する。第2封止樹脂32としては、柔軟性に優れたシリコーン樹脂系の封止材料を用いることができる。
第2封止樹脂32は、第1封止樹脂31と同様に形成すればよい。なお、未硬化の第1封止樹脂31と、未硬化の第2封止樹脂32とが混合するのを抑制するため、第2封止樹脂32の形成は、第2の第1封止樹脂31を硬化させたのちに行うのが好ましい。
【0067】
ここで、第1封止樹脂31および第2封止樹脂32を用いる理由を説明する。
熱伝導性基板21は、例えば厚さが1mm未満の銅であれば、容易に厚さ方向に曲げることができるとともに、熱伝導においても良好で最適な材質である。同様にアルミニウム合金も望ましい材料である。このため、熱伝導性基板21を変形させ、円筒状の保持体12に密着させることができる。
そこで、熱伝導性基板21を変形させた場合でも、剛性に優れた第1封止樹脂31で、半導体発光素子チップ64とボンディングワイヤ65とを固定しているので、半導体発光素子チップ64およびボンディングワイヤ65に応力がかかることが抑制される。一方、柔軟性に優れた第2封止樹脂32で封止された半導体発光素子チップ64の間は、熱伝導性基板21の変形に追随して、変形させることができる。
すなわち、熱伝導性基板21を変形して(曲げて)保持体12に密着させても、剛性に優れた第1封止樹脂31で覆われている半導体発光素子チップ64およびボンディングワイヤ65は変形しない。よって、半導体発光素子チップ64と配線基板22aおよび22bとの電気的な接続が損なわれることが抑制される。これにより、半導体発光素子チップ64が安定に動作する。これに対して、第2封止樹脂32は、熱伝導性基板21の変形(曲げ)に柔軟に追随するため、熱伝導性基板21を曲げることに対する妨げにならない。
このように、熱伝導性基板21を柔軟に曲げて使用することができるので、照明装置10を熱伝導性基板21の厚さ方向に変形させて(曲げて)、保持体12に取り付けることができる。
【0068】
図5(b)に示したように、第1の実施の形態において、半導体発光素子チップ64は、熱伝導性基板21の凸部21a上にある。そして、配線基板22aおよび22bの厚さは、凸部21aの高さより小さい。よって、凸部21a上に設けられた半導体発光素子チップ64から側方に発する光は、配線基板22aおよび22bによって妨げられることが抑制される。すなわち、凸部21aの表面は、配線基板22aおよび22bの表面を含む面と同じまたは配線基板22aおよび22bの表面を含む面から突出していることが好ましい。
なお、配線基板22aおよび22bによって妨げられる光の量が少ないときには、熱伝導性基板21が凸部21aを有しなくともよい。
【0069】
次に、図5(a)を参照しつつ、発光ユニット11の動作を説明する。
発光ユニット11において、熱伝導性基板21の凸部21aの表面21b上に搭載された複数の半導体発光素子チップ64は、配線基板22aおよび22bの導体パターン23b、23c、23dを介して直列に接続されている。例えば、図5(a)において、半導体発光素子チップ64−1のp電極(「p」)は、配線基板22aの導体パターン23cに接続され、n電極(「n」)は、配線基板22bの導体パターン23dに接続されている。そして、配線基板22bの導体パターン23dには、半導体発光素子チップ64−2のp電極(「p」)が接続されている。半導体発光素子チップ64−2のn電極(「n」)は導体パターン23bに接続されている。導体パターン23bには、半導体発光素子チップ64−3のp電極(「p」)が接続されている。このように、半導体発光素子チップ64−1〜64−9は、p電極とn電極とを互いに接続されている。すなわち、半導体発光素子チップ64−1〜64−9は直列に接続されている。
これにより、配線基板22aの導体パターン23cの開口26cを正とし、配線基板22bの開口26cを負として、電源19(図1参照)に接続すると、半導体発光素子チップ64−1〜64−9に対して同じ値の順方向電流が流れる。
ここでは、発光ユニット11の複数の半導体発光素子チップ64が直列に接続されているとしたが、複数の半導体発光素子チップ64がそれぞれ、半導体発光素子チップ64を並列に複数設けたものであってもよい。このとき、各半導体発光素子チップ64に流れる電流は、配線基板22aの開口26cから、配線基板22bの開口26cへと流れる電流値を、並列に設けた半導体発光素子チップ64の数で割った値となる。
【0070】
次に、配線基板22aおよび22bの使用方法についてさらに説明する。
熱伝導性基板21の長手方向の大きさは、例えば150mmである。前述したように、熱伝導性基板21はロールツーロールで形成できるので、150mmを超える長さの熱伝導性基板21を製造することができる。しかし、長尺の照明装置10を実現するには、図5(a)および(b)に示した発光ユニット11を複数用いてもよい。このとき、複数の発光ユニット11により容易により長尺の発光ユニット11が構成できることが好ましい。これには、発光ユニット11の配線基板22aおよび22bが、簡易な方法で、相互に電気的に接続されることが好ましい。
【0071】
図10は、2個の発光ユニット11aおよび11bから構成される発光ユニット11を示した図である。ここでは、図中右側を発光ユニット11aとし、左側を発光ユニット11bとする。発光ユニット11aおよび11bは、図5(a)および(b)に示した発光ユニット11であるとする。よって、発光ユニット11aおよび11bのそれぞれについては詳細な説明を省略し、発光ユニット11aおよび11bの電気的な接続関係を説明する。
【0072】
まず、発光ユニット11aおよび11bのそれぞれの配線基板22aおよび22bについて説明する。
発光ユニット11aの配線基板22aの導体パターン23aと導体パターン23cとは、それぞれ開口26aと開口26cとを介して接続配線28aで接続されている。発光ユニット11aの配線基板22bについても同様である。さらに、発光ユニット11bの配線基板22aおよび22bにおいても同様である。
次に、発光ユニット11aと発光ユニット11bとの接続について説明する。
発光ユニット11aの配線基板22aの導体パターン23aと発光ユニット11bの配線基板22aの導体パターン23aとは、発光ユニット11aの配線基板22aの開口26bと、発光ユニット11bの配線基板22aの開口26aとを介して、接続配線28bで接続されている。
同様に、発光ユニット11aの配線基板22bの導体パターン23aと発光ユニット11bの配線基板22aの導体パターン23aとは、発光ユニット11aの配線基板22bの開口26aと、発光ユニット11bの配線基板22bの開口26bとを介して、接続配線28cで接続されている。
すなわち、発光ユニット11aおよび発光ユニット11bのそれぞれの配線基板22aの導体パターン23aは同電位になるように接続されている。同様に、発光ユニット11aおよび発光ユニット11bのそれぞれの配線基板22bの導体パターン23aも同電位になるように接続されている。
【0073】
接続配線28a、28b、28cは、開口26a、26b、26cにおいて、導体パターン23a、23cに、銅などの板状または棒状の金属片をハンダなどで固定したものであってよい。また、接続配線28a、28b、28cは、ボンディングワイヤであってもよい。
【0074】
発光ユニット11aの配線基板22aの導体パターン23aに、開口26aを介して電源19(図1参照)の正の端子に接続し、発光ユニット11bの配線基板22bの導体パターン23aに、開口26aを介して電源19の負の端子に接続する。電源19から、発光ユニット11aに搭載された複数の半導体発光素子チップ64に直列に電流が供給される。同時に、電源19から発光ユニット11bに搭載された複数の半導体発光素子チップ64に直列に電流が供給される。すなわち、発光ユニット11aおよび発光ユニット11bは並列に駆動される。
例えば、半導体発光素子チップ64に20mA通電するための順方向電圧(Vf)が2Vであって、直列に接続した半導体発光素子チップ64の数を23とすれば、電源19は46Vを供給すればよい。
電源19が供給する電流は、半導体発光素子チップ64に流す電流による。例えば、1個の半導体発光素子チップ64に流れる電流が100mAであって、発光ユニット11が並列に駆動される発光ユニット11aと11bの2個からなる場合は、200mAとなる。
なお、発光ユニット11は発光ユニット11aおよび発光ユニット11bの2個で構成されるとしたが、3個以上であってもよい。
また、発光ユニット11aおよび発光ユニット11bは並列に駆動されるとしたが、直列に接続して駆動してもよい。導体パターン23a、23b、23c、23dの接続の関係を変えることにより、多様な組み合わせに対応できる。
また、発光ユニット(発光ユニット11aおよび/または11b)に、使用条件、使用環境に対応して、過電流を制限するための抵抗やノイズ対策のコンデンサ、制御用のスイッチ、タイマー等の公知の回路部品、制御部品を付加できる。
上記の電気的接続の説明から、半導体発光素子チップ64の裏面が、nおよびp電極に対して絶縁または、高抵抗である場合、半導体発光素子チップ64および発光ユニット(発光ユニット11aおよび/または11b)の直列、並列の自由度が増加するため、望ましい。自由度が増加すると、電源電圧、定格電流の選択が広がり、汎用的な電源を使用しやすくなる利点がある。また、電気回路と熱伝導性基板21とが、独立することになり、冷却方法に関して、電気回路による制約がなくなる利点もある。
【0075】
配線基板22aおよび22bは、図5(a)に示したように、配線基板22aおよび22bの長手方向に沿って設けられた導体パターン23aを有することから、複数の照明装置10を簡易に接続することができる。
【0076】
次に、照明装置10について説明する。
<照明装置10>
照明装置10は、図1に示したように、保持体12に発光ユニット11を巻きつけるように取り付けて構成されている。熱伝導性基板21が柔軟性を有する銅などで構成されているので、発光ユニット11を熱伝導性基板21の厚さ方向に変形させて(曲げて)、保持体12に密着させて取り付けることができる。
なお、照明装置10は、熱伝導性基板21に設けられた貫通させるための孔27にボルトを貫通させ、保持体12に固定してもよい。保持体12にも、熱伝導性基板21に設けられた貫通させるための孔27に対応した孔を設けておけばよい。
【0077】
上述したように、半導体発光素子チップ64は、熱伝導性に優れた熱伝導性基板21上に接着固定されている。よって、半導体発光素子チップ64が発した熱は、まず熱伝導性基板21に熱伝導により放熱される。次に、半導体発光素子チップ64が発した熱は、熱伝導性基板21から保持体12に熱伝導により放熱される。保持体12は、熱伝導性に優れるとともに、熱容量が大きいので、発光ユニット11の発生する熱を放熱できる。また、前述したように、保持体12を空冷または液冷することで、発光ユニット11の放熱をより促進できる。
すなわち、第1の実施の形態では、照明装置10に搭載された半導体発光素子チップ64の発熱を効率よく放熱し、照明装置10の温度の上昇を抑制できる。また、照明装置10を回転させることにより、照明装置10が発する光が照明装置10を取り囲んで配置された植物2に均等に照射することができる。
また、熱伝導性基板21は連続して製造することができるので、照明装置10を安価に実現できる。
【0078】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と、発光ユニット11の構成が異なっている。すなわち、第1の実施の形態では、ベアチップである半導体発光素子チップ64を熱伝導性基板21の凸部21aに搭載した。第2の実施の形態では、それぞれが半導体発光素子チップ64を搭載した複数の発光素子パッケージ20を熱伝導性基板21の凸部21aに搭載している。第2の実施の形態においても、半導体発光素子チップ64は、青色発光チップ641または赤色発光チップ642のいずれであってもよい。
【0079】
図11は、第2の実施の形態が適用される照明装置10の発光ユニット11の一例を示した図である。発光ユニット11は、第1の実施の形態における発光ユニット11と同様に、一方の表面に、一体に形成された凸部21aを有する熱伝導性基板21と、凸部21aの表面21bに設けられた複数の発光部品の一例としての発光素子パッケージ20と、熱伝導性基板21の凸部21a以外の表面21cに接着層24を介して設けられた配線基板22aおよび22bとを備えている。発光素子パッケージ20は、後述する図12に示すように複数の半導体発光素子チップ64を搭載している。そして、熱伝導性基板21と一体に形成された凸部21aは、熱伝導性基板21の長手方向に連続して構成され、その表面21bは、発光素子パッケージ20が搭載可能な幅を有している。なお、本実施の形態における熱伝導性基板21では、凸部21aの側面にスリットを設けていない。
以下では、第2の実施の形態が適用される照明装置10の発光ユニット11において、第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明し、同様な部分は、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0080】
熱伝導性基板21は、例えば平面形状が矩形の板状であって、熱伝導性に優れた材料により構成されている。そして、熱伝導性基板21と一体に形成された凸部21aの表面21bは、発光素子パッケージ20において、半導体発光素子チップ64が接着固定される搭載部63(後述する図12参照)が搭載可能な幅を有している。他の構成は、第1の実施の形態における熱伝導性基板21と同様である。
【0081】
配線基板22aおよび22bは、第1の実施の形態における配線基板22aおよび22bと同様に、例えば短冊状である。本実施の形態でも、配線基板22aおよび配線基板22bは、同じ構成であるので、以下では配線基板22aについて説明する。
配線基板22aは、導体パターン23a、23b、23c、23d、23eを備えている。
導体パターン23aは、帯状であって、配線基板22aの長辺側に沿って、配線基板22aの一端部から他端部まで繋がって設けられている。一方、E字状の導体パターン23bと23eとが、横にした「E」が互いにかみ合うように交互に、相互に接続されることなく、導体パターン23aの長手方向と並行するように、列状に複数設けられている。なお、列状に設けられた複数の導体パターン23bおよび23eの列の両端部は、ともに導体パターン23bとなっている。
さらに、複数の導体パターン23bおよび23eの列を挟むように、それぞれの一端部がコ字状となった短冊状の導体パターン23cおよび23dが設けられている。導体パターン23cおよび23dも長手方向が、導体パターン23aの長手方向に並行するように、設けられている。
【0082】
配線基板22aの導体パターン23a、23b、23c、23d、23eの表面および配線基板22aの導体パターン23a、23b、23c、23d、23eが設けられていない部分は、図示しないレジスト膜26で覆われている。
そして、レジスト膜26には、導体パターン23a、23c、23dの一部を露出させた開口26a、26b、26c、26dが設けられている。さらに、レジスト膜26には、発光素子パッケージ20のリード部62a、62b、62c、62d、62e、62f(後述する図12参照)と、導体パターン23b、23c、23d、23eとを接続するために、図示しない開口が設けられている。
具体的に説明すると、導体パターン23aの両端部に開口26aおよび26bが設けられている。導体パターン23cの長手方向の一端部に開口26cが設けられ、導体パターン23dの長手方向の一端部に開口26dが設けられている。
【0083】
発光素子パッケージ20は、半導体発光素子チップ64を搭載する搭載部63において、熱伝導性基板21の凸部21aに接着固定されている。そして、発光素子パッケージ20のリード部62a、62b、62c、62d、62e、62fが、導体パターン23b、23c、23d、23eと接続されている。
発光素子パッケージの20のリード部62a、62b、62c、62d、62e、62fは、搭載された半導体発光素子チップ64のp電極およびn電極との接続関係により、p側(図11では「p」と記載する。)、n側(図11では「n」と記載する。)が定められている。
【0084】
図12は、発光素子パッケージ20の構成の一例を示した図である。図12(a)は発光素子パッケージ20の上面図、図12(b)は発光素子パッケージ20の図12(a)のXIIB−XIIB線での断面図を示している。
【0085】
この発光素子パッケージ20は、平面状に形成された開口部71に凹部61aが形成された樹脂容器61、樹脂容器61と一体化した6個のリード部62a、62b、62c、62d、62e、62fおよび搭載部63と、搭載部63に搭載された4個の半導体発光素子チップ64a、64b、64c、64dとを備えている。半導体発光素子チップ64a、64b、64c、64dは、青色発光チップ641または赤色発光チップ642のいずれであってもよい。
【0086】
樹脂容器61は、リード部62a、62b、62c、62d、62e、62fおよび搭載部63に、白色顔料が含有された熱可塑性樹脂(以下の説明では白色樹脂と呼ぶ)を射出成型することによって形成されている。
また、ハンダリフローなどの温度がかかる工程に対応できるよう、白色樹脂は、耐熱性が十分考慮された材質が選定されている。基材となる樹脂としてはPPA(polyphthalamide)が最も一般的であるが、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレンなどでもよい。中でも、本実施の形態では、PPAとして、ジアミンとイソフタル酸またはテレフタル酸との共重合体であるナイロン4T、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5Tが特に好ましく用いることができる。
【0087】
樹脂容器61に設けられる凹部61aは、矩形を有する底面70と、同じく矩形状を有する開口部71と、底面70の周縁から開口部71に向けて立ち上がる壁面80とを備えている。ここで、底面70は、凹部61aに露出するリード部62a、62b、62c、62d、62e、62fおよび搭載部63との間の隙間の樹脂容器61の白色樹脂とによって構成されている。一方、壁面80は、樹脂容器61を構成する白色樹脂によって構成されている。なお、底面70の形状については、円形、矩形、楕円形、多角形のいずれでもよい。また、開口部71の形状については、円形、矩形、楕円形、多角形のいずれでもよく、底面形状と同一でもよい。
【0088】
半導体発光素子チップ64a、64b、64c、64dは、凹部61aの底面70に配設された搭載部63に、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂からなるダイボンド材料で接着され、固定されている。
そして、発光素子パッケージ20は、図12(a)に示すように、半導体発光素子チップ64aのp電極が、「p」と記載するリード部62aに、半導体発光素子チップ64aのn電極が、「n」と記載するリード部62bに、ボンディングワイヤ65により接続されている。同様に、半導体発光素子チップ64bのp電極が、「p」と記載するリード部62cに、半導体発光素子チップ64bのn電極が、「n」と記載するリード部62bに、ボンディングワイヤ65により接続されている。半導体発光素子チップ64cのp電極が、「p」と記載するリード部62eに、半導体発光素子チップ64cのn電極が、「n」と記載するリード部62dに、ボンディングワイヤ65により接続されている。半導体発光素子チップ64dのp電極が、「p」と記載するリード部62eに、半導体発光素子チップ64dのn電極が、「n」と記載するリード部62fに、ボンディングワイヤ65により接続されている。
すなわち、リード部62bは、半導体発光素子チップ64a、64bのn電極が共通に接続される。リード部62eは、半導体発光素子チップ64c、64dのp電極が共通に接続される。
すなわち、発光素子パッケージ20は、図12(a)の左側に示すリード部62a、62b、62cが「p」「n」「p」の順になっているのに対し、図12(a)の右側のリード部62d、62e、62fが、「n」「p」「n」の順になっていて、「p」と「n」との関係が逆になっている。
【0089】
ここで、リード部62a、62b、62c、62d、62e、62fおよび搭載部63は、0.1〜0.5mm程度の厚みをもつ金属板であり、銅合金等の金属をベースとし、その表面には銀メッキが施されることによって銀メッキ層が形成されている。すなわち、搭載部63は熱伝導性に優れた金属で構成されている。
【0090】
なお、半導体発光素子チップ64の数は、4個に限定されることなく、4個より少なくてもよく、4個より多くてもよい。
【0091】
発光素子パッケージ20の樹脂容器61の開口部71は、樹脂容器61の表面61bに設けたシール層66に接着された透明部材67で覆われている。透明部材67は、半導体発光素子チップ64の発する光の透過性が高いものであればよく、ガラス、アクリル樹脂などを用いることができる。
なお、シール層66を介して透明部材67で開口部71を覆う代わりに、第1の実施の形態における第1封止樹脂31または/および第2封止樹脂32により、半導体発光素子チップ64およびボンディングワイヤ65を覆って封止してもよい。
【0092】
ここで、図11および12により、発光ユニット11の製造方法と動作を説明する。
配線基板22aの開口26cを正に、開口26dを負に設定することで、複数の発光素子パッケージ20に搭載された半導体発光素子チップ64に直列に電流が流れるようになっている。
以下では、具体的に説明する。
第2の実施の形態では、図11に示すように、複数(図11では8個)の発光素子パッケージ20が、隣接する発光素子パッケージ20間で向きが互い違いになるように配列されている。なお、以下において、8個の発光素子パッケージ20を区別するときは、発光素子パッケージ20−1〜20−8と表記する。
すなわち、図11に示すように、照明装置10の8個の発光素子パッケージ20−1〜20−8は、図11中右から順に、リード部62a、62b、62c、62d、62e、62fの向きを交互に変えて配列されている。
これにより、配線基板22aの導体パターン23cは、発光素子パッケージ20−1のリード部62e(「p」)に接続され、半導体発光素子チップ64cおよび64dのそれぞれのp電極に接続される。半導体発光素子チップ64cおよび64dのそれぞれのn電極は、リード部62dおよび62f(「n」)に接続され、配線基板22aの導体パターン23bを介して、発光素子パッケージ20−2のリード部62aおよび62c(「p」)に接続され、発光素子パッケージ20−2の半導体発光素子チップ64aおよび64bのp電極に接続されている。そして、発光素子パッケージ20−2の半導体発光素子チップ64aおよび64bのn電極が、配線基板22aの導体パターン23eを介して、発光素子パッケージ20−3の半導体発光素子チップ64cおよび64dのp電極に接続されている。
そして、発光素子パッケージ20−8の半導体発光素子チップ64aおよび64bのそれぞれのn電極が接続されたリード部62bが、配線基板22aの導体パターン23dに接続される。
よって、配線基板22aの導体パターン23cを正とし、配線基板22aの導体パターン23dを負とするように電源19(図1参照)に接続すれば、発光素子パッケージ20−1〜20−8の半導体発光素子チップ64を順方向に電流が流れ、半導体発光素子チップ64が発光する。
【0093】
すなわち、発光素子パッケージ20−1の半導体発光素子チップ64cと64dとが並列に接続され、発光素子パッケージ20−2の半導体発光素子チップ64aと64bとが並列に接続されている。そして、発光素子パッケージ20−1の並列に接続された半導体発光素子チップ64cと64dと、発光素子パッケージ20−2の並列に接続された半導体発光素子チップ64aと64bとが、直列に接続されている。
このようにして、発光素子パッケージ20−1〜20−8のそれぞれの並列に接続された半導体発光素子チップ64aと64bとのペアまたは64cと64dとのペアが、直列に接続されている。2個の半導体発光素子チップ64aおよび64b(64cおよび64d)のペアが8段直列に接続されていることになる。
【0094】
発光素子パッケージ20の搭載部63は、ハンダなどにより熱伝導性基板21の凸部21aに接着固定される。また、発光素子パッケージ20のリード部62a、62b、62c、62d、62e、62fは、ハンダなどにより配線基板22aおよび22bの導体パターン23b、23c、23d、23eが、レジスト膜26に設けられた開口を介して接続される。なお、発光素子パッケージ20の搭載部63と熱伝導性基板21の凸部21aとは、電気的な接続を要しないので、発光素子パッケージ20の搭載部63は、エポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系などのダイボンド材料により、熱伝導性基板21の凸部21aに接着固定してもよい。
上述したように、発光素子パッケージ20は搭載部63により熱伝導性基板21の凸部21aに搭載されるため、搭載部63の凸部21aに接する面は、リード部62a、62b、62c、62d、62e、62fが配線基板22aおよび22bの導体パターン23b、23c、23d、23eに接する面より、奥側、すなわち発光素子パッケージ20の透明部材67側に設けられている。
【0095】
なお、第2の実施の形態においては、図11に示すように、発光素子パッケージ20の向きを、熱伝導性基板21の短辺方向に対して、傾けて配置していない。これは、発光素子パッケージ20のリード部62a、62b、62c、62d、62e、62fと配線基板22aおよび22bの導体パターン23b、23c、23d、23eとが、ハンダなどにより接続され、保持体12の表面に沿って、熱伝導性基板21を曲げても、接続が不良になりにくいためである。
【0096】
配線基板22bにおいても同様であって、発光素子パッケージ20−1の半導体発光素子チップ64aと64bとが並列に接続され、発光素子パッケージ20−2の半導体発光素子チップ64cと64dとが並列に接続されている。そして、発光素子パッケージ20−1の並列に接続された半導体発光素子チップ64aと64bと、発光素子パッケージ20−2の並列に接続された半導体発光素子チップ64cと64dとが、直列に接続されている。
すなわち、配線基板22aにおいて、接続されなかった半導体発光素子チップ64aと64bとのペアまたは64cと64dとのペアがそれぞれ直列に接続されることになる。
なお、照明装置10の構成は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、照明装置10は、図1に示したように、発光ユニット11を保持体12に取り付けて構成されている。熱伝導性基板21が柔軟性を有する銅などで構成されていて、発光ユニット11を熱伝導性基板21の厚さ方向に変形させて(曲げて)、保持体12に密着させて取り付けることができる。
なお、照明装置10は、熱伝導性基板21に設けられた貫通させるための孔27にボルトを貫通させ、保持体12に固定してもよい。保持体12にも、熱伝導性基板21に設けられた貫通させるための孔27に対応した孔を設けておけばよい。
【0097】
上述したように、半導体発光素子チップ64a、64b、64c、64dは、熱伝導性に優れた発光素子パッケージ20の搭載部63に搭載され、搭載部63は熱伝導性基板21上に接着固定されている。これにより、半導体発光素子チップ64a、64b、64c、64dが発した熱は、搭載部63を介して熱伝導性基板21に熱伝導により放熱される。次に、半導体発光素子チップ64a、64b、64c、64dが発した熱は、熱伝導性基板21から、保持体12に熱伝導により放熱される。保持体12は、熱伝導性に優れるとともに、熱容量が大きいので、発光ユニット11の発生する熱を放熱できる。また、前述したように、保持体12を空冷または液冷することで、発光ユニット11の放熱をより促進できる。
すなわち、第2の実施の形態では、照明装置10に搭載された半導体発光素子チップ64の発熱を効率よく放熱し、照明装置10の温度の上昇を抑制できる。また、照明装置10を回転させることにより、照明装置10が発する光を、栽培対象である植物2に均等に照射することができる。
また、熱伝導性基板21は連続して製造することができるので、照明装置10を安価に実現できる。
なお、第2の実施の形態において、熱伝導性基板21に凸部21aを設けたが、凸部21aを設けなくともよい。
【0098】
第2の実施の形態においても、複数の発光ユニット11を、第1の実施の形態において示したと同様、相互に接続することにより、熱伝導性基板21の長手方向の大きさによって制限されないで照明装置10を構成することができる。
【0099】
なお、配線基板22aおよび22bの導体パターン23a、23b、23c、23d、23eの形状は、図11に示した形状に限定されず、変更して用いることができる。
さらに、照明装置10に搭載する発光素子パッケージ20の個数は8個に限定されず、変更して用いることができる。
【0100】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、発光ユニット11の構成が第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なっている。第1および第2の実施の形態では、配線基板22aおよび22bを用いていた。第3の実施の形態では、配線基板22aおよび22bを用いる代わりに、熱伝導性基板21上に、銅箔付き絶縁体シート(RCC:Resin Coated Copper Foil)を貼り付けている。
銅箔付き絶縁体シートは、絶縁体に銅箔が設けられていて、絶縁体側を熱伝導性基板21に熱圧着すると、絶縁体が溶融し、熱伝導性基板21に固着される。
図13は、第3の実施の形態が適用される照明装置10の発光ユニット11の一例を示した図である。図11(a)は、発光ユニット11を上面から見た平面図を示し、図13(b)は、発光ユニット11のXIIIB−XIIIB線での断面図を示している。
以下では、第1の実施の形態と異なる熱伝導性基板21について説明し、同様なものは同じ符号を付して説明を省略する。
【0101】
第3の実施の形態における熱伝導性基板21は、第1および第2の実施の形態と異なり、凸部21aを設けていない。よって、熱伝導性基板21は短冊状の平板である。
そして、導体パターン23a、23b、23c、23dが、熱伝導性基板21上に絶縁層29を介して設けられている。なお、第1の実施の形態における凸部21aにあたる部分にも、導体パターン23fが設けられている。
【0102】
次に、熱伝導性基板21上に導体パターン23a、23b、23c、23d、23fを形成する方法を説明する。
熱伝導性基板21は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成され、表面がアルマイト加工されている。すなわち、熱伝導性基板21の表面は電気的に絶縁性を有するアルミニウム酸化膜で覆われている。
次に、銅箔付き絶縁体シートを熱伝導性基板21の一方の面に貼り付け、熱圧着する。
そして、従来公知のフォトリソグラフィにより、銅箔を導体パターン23a、23b、23c、23d、23fに加工する。その後、ソルダレジストを塗布し、従来公知のフォトリソグラフィにより、開口26a、26b、26c、26d、26e、26f、26gを設ける。ソルダレジストは、熱硬化によりレジスト膜26とする。これにより、熱伝導性基板21上に、銅箔付き絶縁体シートにより、導体パターン23a、23b、23c、23d、23fを形成できる。
この後、第1の実施の形態と同様に、半導体発光素子チップ64を搭載することで、発光ユニット11が構成される。
【0103】
第3の実施の形態においても、半導体発光素子チップ64は、熱伝導性に優れた熱伝導性基板21上に接着固定されている。よって、半導体発光素子チップ64が発した熱は、まず熱伝導性基板21に熱伝導により放熱される。次に、半導体発光素子チップ64が発した熱は、熱伝導性基板21から保持体12に熱伝導により放熱される。保持体12は、熱伝導性に優れるとともに、熱容量が大きいので、発光ユニット11の発生する熱を放熱できる。また、前述したように、保持体12を空冷または液冷することで、発光ユニット11の放熱をより促進できる。
すなわち、第3の実施の形態では、照明装置10に搭載された半導体発光素子チップ64の発熱を効率よく放熱し、照明装置10の温度の上昇を抑制できる。また、照明装置10を回転させることにより、照明装置10が発する光を、栽培対象である植物2に均等に照射することができる。
また、熱伝導性基板21は短冊状の平板であるので、照明装置10を安価に実現できる。
【0104】
さらに、第3の実施の形態において、半導体発光素子チップ64の代わりに、第2の実施の形態において示した発光素子パッケージ20を用いてもよい。
【0105】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態では、保持体12を風力で回転できる構成が第1実施の形態と異なっている。第1の形態では、回転制御部14から回転軸13により保持体12を回転させていた。
図14は、第4の実施の形態が適用される植物栽培装置1を示す図である。
第4の実施の形態では、回転制御部14を、送風装置の一例として、下向き風力を発生させる電動ファンなどにより構成される装置とし、保持体12の上部に、風力により回転力をえるプロペラ状の羽構造12fを設置した。
回転制御部14の電動ファンによって作られる矢印C方向の風力により、保持体12に設けられた羽構造12fにより、保持体12を回転させている。電動ファンから、温度および湿度調整された空気を送り込むことで、植物育成環境を均一化できると同時に光照射の均一化および保持体12の放熱が促進される。省エネルギータイプの植物栽培装置1となる。
また、電動ファンは、壁に取り付け、それに応じた羽構造12fを保持体12に付加しても良い。
一方、太陽光併用の場合、電動ファンでなく、自然の風により保持体12を回転さても良い。
【符号の説明】
【0106】
1…植物栽培装置、2…植物、10…照明装置、11…発光ユニット、12…保持体、15…底板、16…支柱、17…天板、18…電力供給ライン、19…電源、20…発光素子パッケージ、21…熱伝導性基板、21a…凸部、22a、22b…配線基板、23a、23b、23c、23d、23e、23f…導体パターン、24…接着層、26…レジスト膜、26a、26b、26c、26d、26e、26f、26g…開口、27…孔、28a、28b、28c…接続配線、29…絶縁層、31…第1封止樹脂、32…第2封止樹脂、61…樹脂容器、62a、62b、62c、62d、62e、62f…リード部、64、64a、64b、64c、64d…半導体発光素子チップ、65…ボンディングワイヤ、100…第1積層半導体層、110…第1基板、140…第1n型半導体層、140c…半導体層露出面、150…第1発光層、160…第1p型半導体層、170…透明正極、180…第1保護層、210…第1p電極、240…第1n電極、310…第2基板、320…第2p型コンタクト層、330…第2p型半導体層、340…第2発光層、350…第2n型半導体層、360…第2保護層、400…第2n電極、410…第2p電極、641…青色発光チップ、642…赤色発光チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物に光を照射する植物栽培用の照明装置であって、
表面形状が矩形である熱伝導性基板と、当該熱伝導性基板の長手方向に配列されて搭載された複数の発光部品とを備える発光ユニットと、
軸の周りに回転可能であって、前記発光ユニットの長手方向が、外表面上に当該軸の方向に対して斜めに取り付けられた保持体と
を備える植物栽培用の照明装置。
【請求項2】
前記熱伝導性基板は、金属材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項3】
前記保持体は、金属材料で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項4】
前記保持体の外表面は、前記軸に対して傾斜面を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項5】
前記保持体は、外表面が前記軸に対して傾斜面を有するとともに、当該軸に対して直交するように設けた切断面の面積が、上端部側が下端部側に比べて大きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項6】
前記保持体は、外表面または内表面の少なくとも1つの面に放熱のための凹部または凸部を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項7】
前記保持体は、表面に空気を取り入れる穴または切り込みを備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項8】
前記複数の発光部品は、青色光を発光する半導体発光素子と赤色光を発光する半導体発光素子とを含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項9】
前記複数の発光部品に含まれる前記青色光を発光する半導体発光素子は、ピーク波長420nm〜480nmのInGaN発光層を有し、前記赤色光を発光する半導体発光素子は、ピーク波長650nm〜690nmのAlGaInP発光層を有することを特徴とする請求項8に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項10】
前記複数の発光部品に含まれる前記青色光を発光する半導体発光素子および前記赤色光を発光する半導体発光素子は、当該青色光を発光する半導体発光素子および当該赤色光を発光する半導体発光素子のそれぞれの一方の面にP電極およびN電極を有し、当該青色光を発光する半導体発光素子および当該赤色光を発光する半導体発光素子のそれぞれの他方の面にはP電極またはN電極のいずれをも有しないことを特徴とする請求項8または9に記載の植物栽培用の照明装置。
【請求項11】
栽培される複数本の植物を収容する栽培容器と、
成長する複数本の植物に対向するように設けられ、表面形状が矩形である熱伝導性基板と、当該熱伝導性基板の長手方向に配列されて搭載された複数の発光部品とを備える発光ユニットと、軸の周りに回転可能であって、当該発光ユニットの長手方向が、外表面上に当該軸の方向に対して斜めに取り付けられた保持体とを備え、当該複数の発光部品の発する光を植物に照射する照明装置と
を備える植物栽培装置。
【請求項12】
栽培される複数本の植物を収容する栽培容器と、
成長する複数本の植物に対向するように設けられ、表面形状が矩形である熱伝導性基板と、当該熱伝導性基板の長手方向に配列されて搭載された複数の発光部品とを備える発光ユニットと、軸の周りに回転可能であって、当該発光ユニットの長手方向が、外表面上に当該軸の方向に対して斜めに取り付けられた保持体と、風力により当該保持体を回転させる送風装置とを備え、当該複数の発光部品の発する光を植物に照射する照明装置と
を備える植物栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−120477(P2012−120477A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273344(P2010−273344)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】