説明

植物栽培用光源

【課題】植物栽培用光源全体を交換することなく、所望する光のピーク波長に簡便に変更することができる植物栽培用光源を提供することを目的とする。
【解決手段】植物栽培用光源1は、波長280nm〜450nmの光を発光する発光ダイオード2が、この発光ダイオード2の光照射によって励起されて波長400nm〜480nmの青色光を発光する青色蛍光体と、波長610nm〜780nmの赤色光を発光する赤色蛍光体とを含有する透光性基材材料により成形された蛍光部材3で、脱着可能に覆われているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培用光源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、人工環境下で野菜や果物、花卉などを栽培する植物工場の実用化が進んでいる。植物工場では、光を人工光源から照射することで、天候や昼夜、季節などの日射条件の影響を受けることなく、植物の安定的かつ効率的な栽培が可能になっている。
【0003】
植物は、太陽光に含まれる全ての波長の光を用いて生育するのではなく、特定の波長領域の光を用いて育成することがわかってきている。したがって、この特定の波長領域の光を植物に照射することが、植物の効率的な栽培に不可欠な技術となる。
【0004】
植物栽培用光源としては、従来、メタルハライドランプなどの高輝度放電ランプや蛍光灯が用いられていたが、(1)低消費電力、(2)低発熱、(3)コンパクトな形状、(4)長寿命、などの利点から発光ダイオードが注目されている。
【0005】
特許文献1には、クロロフィル(葉緑素)が青色領域の450nm付近および赤色領域の660nm付近の2つの波長領域に光吸収ピークを有することが記載され、各光吸収ピークとほぼ同じ発光ピーク波長を有する青色発光ダイオードおよび赤色発光ダイオードを多数マトリクス状に配置した植物栽培用光源が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、クロロフィルの2つの光吸収ピークに対応させた2種の光を1つの発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)から発光させる植物育成用LED光源が開示されている。同文献には、1個の発光ダイオード内に2個の発光領域を設けた光源や、赤色領域の光吸収ピークの光を発光ダイオード本体で発光させてこの光を一部用いて蛍光体で青色領域の光を発光させる光源が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−103167号公報
【特許文献2】特開2002−27831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のように、植物はクロロフィルの吸収する特定の2つの波長領域の光を用いて生育するが、さらに近年の研究により、植物の成長段階や植物の種類によって育成に最適な光の波長が異なることがわかってきた。
【0009】
発光ダイオードは、製造材料の選定で発光ピーク波長を調整することができるが、一旦製造された発光ダイオードは、発光ピーク波長を可変することができない。特許文献2に記載された光源も同様である。
【0010】
したがって、特許文献1,2に記載された植物栽培用光源では、植物の成長段階や種類に対応させて照射する光の波長を変更することができない。このため、発光ピーク波長を変更するためには、発光ピーク波長を異ならせて製造した別の植物栽培用光源に交換しなければならない。これにより、複数の光源を準備する必要があり、コストが掛ると共に、交換作業が煩雑であるという問題がある。また、植物栽培用光源の製造メーカも、光源全体を多数種類製造する必要があり、製造した製品の保管場所やその管理などが煩雑である。
【0011】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、光源全体を交換することなく、所望する光のピーク波長に簡便に変更することができる植物栽培用光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1に記載の植物栽培用光源は、ピーク波長280nm〜450nmの光を発光する発光ダイオードからの光照射によって励起されて、ピーク波長400nm〜480nmの青色光を発光する青色蛍光体を含有する透光性基材材料により形成された青色光蛍光部材と、
該発光ダイオード、または、該発光ダイオードと同様の光を発光する他の発光ダイオードからの光照射によって励起されて、ピーク波長610nm〜780nmの赤色光を発光する赤色蛍光体を含有する透光性基材材料により形成された赤色光蛍光部材と、を備え、
該青色光蛍光部材および該赤色光蛍光部材が、着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の植物栽培用光源は、請求項1に記載されたもので、前記青色光蛍光体および前記赤色光蛍光体が同一の透光性基材材料に含有されることで、前記青色光蛍光部材および前記赤色光蛍光部材が共通の部材によって構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の植物栽培用光源は、請求項1に記載されたもので、前記青色光と前記赤色光との発光ピーク波長の強度比が青色光:赤色光=1:1〜1:10であることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の植物栽培用光源は、請求項1に記載されたもので、前記青色光蛍光部材は、前記青色蛍光体を1種もしくは2種以上、および、前記赤色光蛍光部材は、前記赤色蛍光体を1種もしくは2種以上、含有して形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の植物栽培用光源は、請求項1に記載されたもので、前記青色蛍光体は、(SrCaBa)(POCl:Eu、BaMgAl1017:Eu、ZnS:Ag、CaS:Eu、および/またはSr10(POCl:Euを含むものであることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の植物栽培用光源は、請求項1に記載されたもので、前記赤色蛍光体は、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、LaS:Eu、YS:Eu、LiEuW、(Y,Gd,Eu)、(Y,Gd,Eu)BO、および/またはYVO:Euを含むものであることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の植物栽培用光源は、請求項1に記載されたもので、前記青色光蛍光部材および前記赤色光蛍光部材は、キャップ形状またはシート形状に成形されていることを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の植物栽培用光源は、請求項1に記載されたもので、前記透光性基材材料は、シリコーンであることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の植物栽培用光源は、請求項8に記載されたもので、前記シリコーンは、ジメチルシリコーンであることを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の植物栽培用光源は、請求項1に記載されたもので、前記発光ダイオードは、波長350nm〜420nmの光を発光する発光ダイオードであることを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の植物栽培用光源は、請求項1に記載されたもので、前記発光ダイオードの光を、前記青色光蛍光部材および前記赤色光蛍光部材に導く導光部材が配されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明による植物栽培用光源によれば、ピーク波長280nm〜450nmの光を発光する発光ダイオードからの光照射によって励起されてピーク波長400nm〜480nmの青色光を発光する青色蛍光体を含有する透光性基材材料により形成された青色光蛍光部材と、前記発光ダイオード、または前記発光ダイオードと同様の光を発光する他の発光ダイオードからの光照射によって励起されてピーク波長610nm〜780nmの赤色光を発光する赤色蛍光体を含有する透光性基材材料により成形された赤色光蛍光部材とを備えることにより、1つまたは同種の発光ダイオードを用いて、植物の育成に必要な青色および赤色の2種類の光を発光させることができる。その青色光および赤色光の両波長およびその発光強度比は、蛍光体の種類や含有量を適宜調整することで、任意に変更することができる。さらに、青色光蛍光部材および該赤色光蛍光部材が着脱可能に取り付けられていることにより、これら蛍光部材のみを交換することができ、植物の育成段階や種類に応じた最適な光に簡便に変更することができるため、植物を安定して効率よく安価に栽培することができる。また、植物栽培用光源の製造メーカは、蛍光部材を複数種類製造しておけば、それ以外の構成は共通化できるため、製品の保管場所やその管理が簡便である。また、発光ダイオードよりも蛍光部材のほうが簡便に製造可能なため、波長や強度比を異ならせた植物栽培用光源を簡便に製造することができる。
【0024】
また、青色光蛍光部材と赤色光蛍光部材との数の比を変更することで、青色光と赤色光との発光強度比を簡便に変更することができる。
【0025】
本発明による植物栽培用光源によれば、青色光蛍光体および赤色光蛍光体が同一の透光性基材材料に含有されることで、青色光蛍光部材および赤色光蛍光部材が共通の部材によって構成されていることにより、1つの発光ダイオードから植物の育成に必要な青色および赤色の2種類の光を発光させることができる。したがって、点灯回路をシンプルなものとすることができる。
【0026】
また、本発明による植物栽培用光源によれば、青色光と赤色光との発光ピーク波長の強度比が青色光:赤色光=1:1〜1:10であることにより、植物栽培に適する所望の強度比とすることができる。
【0027】
また、本発明による植物栽培用光源によれば、青色光蛍光部材は、青色蛍光体を1種もしくは2種以上、および、赤色光蛍光部材は、赤色蛍光体を1種もしくは2種以上、含有していることにより、青色光や赤色光を、単色光または複数の単色光の複合する光とすることができ、各々の光の帯域を狭広させたりして、植物の育成に必要な光に一層適するようにすることができる。
【0028】
また、本発明による植物栽培用光源によれば、青色蛍光体は、(SrCaBa)(POCl:Eu、BaMgAl1017:Eu、ZnS:Ag、CaS:Eu、および/またはSr10(POCl:Euを含むものであることにより、前記発光ダイオードの光で効率よく青色光を発光させることができる。
【0029】
また、本発明による植物栽培用光源によれば、赤色蛍光体は、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、LaS:Eu、YS:Eu、LiEuW、(Y,Gd,Eu)、(Y,Gd,Eu)BO、および/またはYVO:Euを含むものであることにより、前記発光ダイオードの光で効率よく赤色光を発光させることができる。
【0030】
また、本発明による植物栽培用光源によれば、青色光蛍光部材および赤色光蛍光部材は、キャップ形状またはシート形状に成形されていることにより、キャップ形状の蛍光部材を発光ダイオードに被せたり、シート形状の蛍光部材を発光ダイオードの照射方向に配置したりして、植物栽培用光源の形状を任意の形状に形成することができる。
【0031】
また、本発明による植物栽培用光源によれば、透光性基材材料がシリコーンであることにより、発光ダイオードの発光する光により安定的な性質を有するため、変色や劣化を防止することができる。
【0032】
また、本発明による植物栽培用光源によれば、シリコーンがジメチルシリコーンであることにより、変色や劣化を一層防止することができる。
【0033】
また、本発明による植物栽培用光源によれば、発光ダイオードは、波長350nm〜420nmの光を発光する発光ダイオードであることにより、安価であると共に、蛍光体を効率よく発光させることができる。
【0034】
さらに、本発明による植物栽培用光源によれば、発光ダイオードの光を蛍光部材に導く導光部材が配されていることにより、発光ダイオードと蛍光部材とを任意の位置に配置することができ、例えば、植物栽培光源を薄型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を適用する植物栽培用光源の一例の構成を説明する斜視図である。
【図2】上記の植物栽培用光源の断面図である。
【図3】上記の植物栽培用光源の発光ダイオードおよび蛍光部材の固定方法を説明する一部拡大断面図である。
【図4】本発明を適用する植物栽培用光源の別の一例の構成を説明する斜視図である。
【図5】本発明を適用する植物栽培用光源の別の一例の使用状態を示す構成図である。
【図6】本発明を適用する植物栽培用光源のさらに別の一例を示す構成図である。
【図7】本発明を適用する植物栽培用光源のさらに別の一例を示す斜視図である。
【図8】実施例1,2および比較例1に用いた植物栽培用光源の発光スペクトルを示すグラフである。
【図9】実施例1,2および比較例1の植物栽培用光源で水菜を栽培したときの、茎の長さと経過日数との関係を示したグラフである。
【図10】実施例2および比較例1の植物栽培用光源でかいわれ大根を栽培したときの、茎の長さと経過日数との関係を示したグラフである。
【図11】実施例3に用いた植物栽培用光源の発光スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0037】
本発明の植物栽培用光源の一態様を、図面を参照しつつ説明する。図1に示されるように、この植物栽培用光源1は、発光ダイオード2の発光部に、蛍光部材3が被せられる。
【0038】
発光ダイオード2は、一例として、光を発光する発光チップ部4、およびこの発光チップ部4に配線するためのリードフレーム5,5を、無色透明なエポキシ樹脂で封入して砲弾型に成形されている。その砲弾型の後端部(図では下端部)は、砲弾筒状部よりも大径の鍔状に成形されている。鍔状部分から図の下側に突出する、リードフレーム5,5と一体化された2本の端子は、発光チップ部4に通電するためのアノード電極、カソード電極となっている。
【0039】
この発光ダイオード2は、波長280nm〜450nmの領域内の光を発光するものである。特に、波長350nm〜420nmの領域内の光を発光するものであることが好ましい。本発明で使用できる発光ダイオードは、上記波長領域で発光するものであれば周知のものを用いることができ、例えば、窒化アルミニウムガリウム系発光ダイオード、ダイヤモンド系発光ダイオード、酸化亜鉛系発光ダイオード、窒化ガリウム系発光ダイオードを挙げることができる。
【0040】
蛍光部材3は、本発明における青色光蛍光部材および赤色光蛍光部材が共通の部材によって構成された例であって、透光性基材材料によって、同図に示されるように発光ダイオード2の砲弾型部分にちょうど被さるキャップ形状に成形され、発光ダイオード2の発光部分に着脱可能に装着される。この透光性基材材料としては、発光ダイオード2の発光する光によって変色や劣化の少ない安定的なものであると共に、この光や蛍光部材3の青色蛍光体および赤色蛍光体が発光する光を透過するものを用いることができる。例えば、シリコーン、ガラス、エポキシ樹脂、またはアクリル樹脂を例示できるが、特に発光ダイオード2の光に対して高い安定性を有し、この光をほとんど吸収せず、成形も簡便に行えるシリコーンであることが好ましい。さらに、シリコーンの中でも一層高い安定性を有するジメチルシリコーンであることがより好ましい。
【0041】
蛍光部材3は、発光ダイオード2からの光照射によって励起されてピーク波長400nm〜480nmの領域内の青色光を発光する青色蛍光体、およびピーク波長610nm〜780nmの領域内の赤色光を発光する赤色蛍光体を混合して、同一の透光性基材材料に含有して形成されたものである。上記の青色光および赤色光は、様々な植物の種類やそれら植物の成長段階に応じて育成に必要となる光の波長を包括する光である。特に、青色蛍光体は、ピーク波長430nm〜460nmの領域内の青色光を発光するものがより好ましく、赤色蛍光体は、ピーク波長650nm〜680nmの領域内の赤色光を発光するものがより好ましい。これは、多くの植物に共通して必要とされる光波長によるものである。
【0042】
蛍光部材3には、一例として酸化チタンおよび炭酸カルシウムなどの、光散乱材を添加することもできる。
【0043】
蛍光部材3を発光ダイオード2の発光部に被せた状態の断面図が、図2に示されている。蛍光部材3は、透光性基材材料をシリコーンに選定して弾性を有して形成した場合には、同図に示されるように、発光ダイオード2に密着させることでその弾性による締め付けや摩擦によって着脱可能に固定することができる。また、図3(a)の鍔部付近の一部拡大断面図に示されるように、蛍光部材3の端部を発光ダイオード2の鍔部に接着材8で接着固定することもできる。この場合には、蛍光部材3を取り外す際に接着材8を剥がし、取り付ける際に再度接着を行う。また、図3(b)に示されるように、発光ダイオード2に凸部9aを設け、これと嵌合するように蛍光部材3に凹部を設けて着脱可能に固定することもできる。さらに、図3(c)に示されるように、発光ダイオード2に雄螺子9bを設け、蛍光部材3に雌螺子を設けてもよいし、図3(d)に示されるように、発光ダイオード2に嵌合孔9cを設け、蛍光部材3に固定爪を設けてもよい。この他にも周知の固定方法を用いることで発光ダイオード2に蛍光部材3を着脱可能に固定するができる。
【0044】
蛍光部材3の透光性基材材料には、前記の青色光および赤色光の波長領域内で発光する青色蛍光体および赤色蛍光体が、均一に含有されることが望ましい。例えば、透光性基材にシリコーンを用いる場合には、シリコーン材料および両蛍光体を充分に混合し、所望の形状の金型に流し込んで加熱プレスすることで、両蛍光体がシリコーン中に均等に分散した蛍光部材3を得ることができる。
【0045】
青色蛍光体および赤色蛍光体は、発光ダイオード2からの光照射で発光した際に、前記波長領域内の青色光と赤色光との各々の発光ピーク波長(スペクトルピーク波長)の強度比が青色光:赤色光=1:1〜1:10の範囲内、より好ましくは青色光:赤色光=1:5〜1:10の範囲内であるようにそれら含有量を調製することが好ましい。また透光性基材材料に含有する青色蛍光体の種類は、1種に限られず2種以上を混合してもよく、同様に、赤色蛍光体の種類も1種に限られず2種以上を混合してもよい。
【0046】
青色蛍光体としては、発光ダイオード2からの光照射で前記波長領域内の青色光を発光可能なものであれば用いることができ、好ましくは、(SrCaBa)(POCl:Eu、BaMgAl1017:Eu、ZnS:Ag、CaS:Eu、Sr10(POCl:Euを挙げることができる。青色蛍光体は顔料系であることが好ましい。また、異なる発光ピーク波長の青色蛍光体を組み合わせることで、発光ピーク波長の半値幅を広くすることができるのでより好ましい。
【0047】
赤色蛍光体としては、発光ダイオード2からの光照射で前記波長領域内の青色光を発光可能なものであれば用いることができ、好ましくは、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、LaS:Eu、YS:Eu、LiEuW、(Y,Gd,Eu)、(Y,Gd,Eu)BO、YVO:Euを挙げることができる。赤色蛍光体は顔料系であることが好ましい。異なる発光ピーク波長の赤色蛍光体を組み合わせることで、発光ピーク波長の半値幅を広くすることができるのでより好ましい。
【0048】
この植物栽培用光源1の動作について図2を参照しつつ説明する。
【0049】
発光ダイオード2のアノード電極、カソード電極間に非図示の点灯回路から通電することにより、発光チップ部4が発光する。この光が発光ダイオード2から蛍光部材3に光照射される。この光照射によって、蛍光部材3の青色蛍光体および赤色蛍光体が励起されて、青色光および赤色光を発光する。このため、蛍光部材3からは、図2に矢印で示されるように、青色光および赤色光の混合した植物栽培用光Lが照射される。なお、発光ダイオード2の発光した光は、青色蛍光体および赤色蛍光体にそのほとんどが吸収される。
【0050】
この植物栽培用光源1を1つ用いて植物を栽培してもよいし、所望する光量に応じて複数個を用いて植物を栽培してもよい。
【0051】
植物栽培用光源1の青色光、赤色光の各々の発光ピーク波長や、それらの発光強度比を変更する場合、蛍光部材3を交換することによって行う。すなわち、青色蛍光体および赤色蛍光体の種類を適宜選定し、これら含有量を調整して、所望する発光ピーク波長や発光強度比となるように予め製造した蛍光部材3に交換することによって行う。
【0052】
なお、表面実装型の発光ダイオード2にも、本発明を適用することができる。図4には、表面実装型の発光ダイオード2にキャップ形状の蛍光部材3が被せられて構成される植物栽培用光源1aが示されている。なお、すでに説明した構成と同様のものについては、同じ符号を付して説明を省略する。同図では、回路接続用のプリントパターン32a,32bの形成された基板31に、略直方体状チップ形状である発光ダイオード2が取り付けられている。この発光ダイオード2のアノード電極30a、カソード電極30bは、プリントパターン32a、32bの半田付け用ランドに半田付けされている。蛍光部材3は、発光ダイオード2にちょうど被さって嵌る窪みを有したキャップ形状に形成されている。この例では、発光ダイオード2を基板31に半田付けした後に、蛍光部材3を発光ダイオード2に被せて取り付ける。なお、蛍光部材3が半田付け時の熱に対して耐熱性を有していれば、あらかじめ、発光ダイオード2に蛍光部材3を被せた状態で半田付けを行ってもよい。このように表面実装型の発光ダイオード2であっても、蛍光部材3で覆うことによって本発明の植物栽培用光源とすることができる。
【0053】
次に、本発明を適用する別の態様について図5を参照しつつ説明する。
【0054】
この植物栽培用光源1bは、一面が開口した箱体14の中に、発光ダイオード2を複数実装した基板10が配置され、この箱体14の開口部に蓋をして覆うように四角形型のシート形状に成形された蛍光部材3aが装着されて構成されている。発光ダイオード2は、いずれも箱体14の開口部に向かって光を照射する向きで基板10に実装されている。複数の発光ダイオード2は、例えば基板10に、一列に配列されたり、縦横にマトリクス状に配列されたり、同心円状に配列されたりして、長方形、円形など種々の平面形状に実装されている。
【0055】
蛍光部材3aは、すでに説明したキャップ形状の蛍光部材3と形状が異なるだけであり、蛍光部材3と同様に、青色蛍光体および赤色蛍光体を透光性基材材料に含有させてシート形状に形成されたものである。また、この蛍光部材3aも蛍光部材3と同様に、本発明の青色光蛍光部材および赤色光蛍光部材が共通の部材によって構成された例に相当する。
【0056】
蛍光部材3aは、固定部材15によって箱体14の開口部に着脱可能に装着されている。固定部材15は、一例として非図示の螺子などによって、箱体14の開口部縁に固定される。この螺子を外すことで、固定部材15を取り外して蛍光部材3aを着脱する。なお、蛍光部材3aの保護や形状の維持のために、蛍光部材3aとほぼ同一の大きさのガラス板などの透明部材、あるいは光散乱材を含む透明部材、半透明部材などで蛍光部材3aを支持して、箱体14に固定してもよい。また、蛍光部材3aの4辺部分を枠材で覆って保護してもよい。
【0057】
植物栽培用光源1bでは、複数の発光ダイオード2から蛍光部材3aに光照射され、蛍光部材3aの青色蛍光体および赤色蛍光体が励起して、同図に示されるように外部に植物栽培用光Lが照射される。この植物栽培用光Lによって植物Pが育成する。
【0058】
次に、本発明を適用するさらに別の態様について図6を参照しつつ説明する。
【0059】
この植物栽培用光源1cは、発光ダイオード2の光を蛍光部材3aに導く導光部材6が配されたものである。同図に模式的に示されるように、植物栽培用光源1bでは、ほぼ一面が開口した薄型の箱体14の内部一側面に発光ダイオード2が、箱体14の中央側に光が射出される向きで配置されている。箱体14の中には、蛍光部材3aとほぼ同じ大きさの板状の導光部材6が配置され、この箱体14の開口部に蓋をするよう覆って蛍光部材3aが固定部材15で着脱可能に装着されている。
【0060】
導光部材6は、一例としてアクリル板の光射出側表面をレーザーなどでV溝加工したものであり、端面から入射した光を均一に面発光させる導光板である。発光ダイオード2から射出された光は、導光部材6から蛍光部材3aに照射される。これにより、同図に示されるように、蛍光部材3aから外部に植物栽培用光Lが照射される。なお、導光部材6と蛍光部材3aとの間に、光を散乱させて透過させる、一例としてフィルム状の光散乱部材を配することもできる。また、導光部材6の蛍光部材3aの反対面側に、光を蛍光部材3a側に反射させる一例としてフィルム状の光反射部材を配することもできる。また、発光ダイオード2の周囲に、発光した光を導光部材6に向かわせる光反射板を配することもできる。
【0061】
この場合、複数の発光ダイオード2を、図示した紙面の表面側から裏面側に並ぶように導光部材6の側面に沿って一列に配置することが好ましい。また、箱体14の一側面側にだけでなく、この一側面に対向する側面、または周囲全体にも発光ダイオード2を配置することもできる。
【0062】
この植物栽培用光源1cは、植物栽培用光源1bよりも薄型なものとすることができる。
【0063】
次に、本発明を適用するさらに別の態様について図7を参照しつつ説明する。
【0064】
図7に示される、植物栽培用光源1dは、青色光源22(一例として3個図示)、および赤色光源24(一例として6個図示)が基板28に実装され、青色光源22および赤色光源24の光射出方向(図では上方向)に光散乱板29を備えて構成されている。
【0065】
青色光源22と赤色光源24とは、それぞれが基板28上に適当にばらついて混在するように配置される。同図では、3列中の真ん中1列に青色光源22が配置され、両脇の2列に赤色光源24が配置されているが、これに限定されず、青色光源22と赤色光源24の数に応じて適宜混在するように配置する。
【0066】
青色光源22は、すでに上記で説明した発光ダイオード2に、青色光蛍光部材21が着脱可能に被せられて構成されている。青色光蛍光部材21は、すでに説明した蛍光部材3と同様に、透光性基材材料に青色蛍光体を含有して、キャップ形状に形成されている。
【0067】
赤色光源24は、同様の発光ダイオード2に、赤色光蛍光部材23が着脱可能に被せられて構成されている。赤色光蛍光部材23は、すでに説明した蛍光部材3と同様に透光性基材材料に赤色蛍光体を含有して、キャップ形状に形成されている。
【0068】
光散乱板29は、透明材料中に、光を散乱させる光散乱材を添加して形成された薄板である。なお、同図では、基板28と光散乱板29の側面どうしを繋いで、この側面方向への光漏れを防止する側壁の図示は省略している。光散乱板29は、植物栽培用光源1b、1cに着脱可能に取り付けられた蛍光部材3のように、植物栽培用光源1dに着脱可能に取り付けられる。
【0069】
この植物栽培用光源1dは次のように動作する。
【0070】
青色光源22および赤色光源24の発光ダイオード2に非図示の点灯回路から通電することにより、発光ダイオード2が発光する。これにより、青色光蛍光部材21の青色蛍光体が励起されて、青色光源22はピーク波長400nm〜480nmの青色光を発光し、赤色光源24は赤色光蛍光部材23の赤色蛍光体が励起されて、ピーク波長610nm〜780nmの赤色光を発光する。この青色光および赤色光が光散乱板29で散乱されて、青色光および赤色光の混合した植物栽培用光Lが照射される。
【0071】
植物栽培用光源1dの青色光、赤色光の発光強度比は、青色光源22と赤色光源24との数の比を適宜変えることで変更することができる。すなわち、発光強度比は、基板28に実装されている発光ダイオード2に被せる青色光蛍光部材21と赤色光蛍光部材23との数の比を適宜変えることで変更することができる。青色光蛍光部材21および赤色光蛍光部材23は、発光ダイオード2に着脱可能に装着されているので、発光強度比を簡便に変更することができる。また、基板には同種の発光ダイオード2しか実装されていないので、異なる種類の発光ダイオードが実装される場合と比較して、点灯回路はシンプルなものとすることができる。
【0072】
なお、発光ダイオード2から所望する範囲に光が照射される場合には、光散乱板29を備えなくてもよい。また、光散乱板29の換わりに、青色光蛍光部材21および赤色光蛍光部材23に光散乱材を添加することもできる。
【0073】
このように、植物栽培用光源1,1a,1b,1c,1dは、高輝度放電ランプや蛍光灯と比較して、形状がコンパクトであり、熱も発生しないため、省スペースで植物を栽培することができる。したがって、本発明の植物栽培用光源を各々配置した棚を、上下に多数配置して植物を栽培することで、空間使用効率を高めることができる。
【0074】
なお、植物栽培用光源1,1b,1c,1dでは、発光ダイオード2が砲弾型の形状である例について説明したが、本発明に用いることのできる発光ダイオードの形状は特に限定されず、半球型や直方体型、円筒形型であってもよい。また、植物栽培用光源1b,1c,1dの発光ダイオード2を、植物栽培用光源1aに示したような表面実装型のものに変えることもできる。さらに、発光ダイオード2に光を集光、または拡散させるレンズを付したものを用いることもできる。また、蛍光部材3、青色光蛍光部材21、赤色光蛍光部材23に光を集光、または拡散させるレンズを、接着または蛍光部材成形と同時に一体成形して付すこともできる。
【0075】
さらに、蛍光部材3,3aを積層構造として形成してもよい。例えば、青色蛍光体を透光性基材材料に混合した第1の層と、赤色蛍光体を透光性基材材料に混合した第2の層とを積層して構成することができる。具体的には、キャップ形状の蛍光部材3の場合、発光ダイオード2に被さるキャップ形状の青色蛍光体を透光性基材材料に混合した第1の層と、この第1の層に被さるキャップ形状の赤色蛍光体を透光性基材材料に混合した第2の層とを積層して形成することもできる。層の順番は逆に積層してもよい。このとき、第1の層と第2の層とを接着剤などで固着することもできるし、両層を分離可能に重ねて積層するだけでもよい。シート形状の蛍光部材3aの場合、シート形状の青色蛍光体を透光性基材材料に混合した第1の層と、シート形状の赤色蛍光体を透光性基材材料に混合した第2の層とを積層する。また、これら積層した両層に散乱剤を添加したシリコーンなどで形成した層をさらに積層することもできる。
【0076】
また、蛍光体を混合した透光性基材材料を、シリコーンなどの表面に塗布して積層構造として形成することもできる。この場合、透光性基材材料としては、塗布時には流動性を有し、塗布後に安定して定着可能なものが好ましく、例えば、コーティング用のシリコーンや、硬化性を有するシリコーンが挙げられる。塗布して形成する層には、青色蛍光体および赤色蛍光体の両方を混合して塗布してもよいし、青色蛍光体を混合した透光性基材材料を塗布した後に赤色蛍光体を混合した透光性基材材料を塗布して積層構造としてもよい。
【実施例】
【0077】
以下に、本発明を適用する植物栽培用光源の試作例を実施例1,2,3に示し、本発明を適用外の植物栽培用光源の試作例を比較例1,2に示す。
【0078】
(実施例1)
実施例1では、図1,2に示される形態の植物栽培用光源1を6個製造し、基板上に一列に配列して、各々に電流制限抵抗を接続すると共に並列接続して6灯を有する植物栽培用光源とした。発光ダイオード2は、砲弾型の近紫外発光ダイオード(エーブライト社製、AL−513UVC−A、発光ピーク波長403nm)を用いた。キャップ形状の蛍光部材3は、1個当たりジメチルシリコーン1.3gに対し、表1に示される配合比(質量比)で青色蛍光体および赤色蛍光体を混合し、それを金型に流し込み、加熱プレスを用いて11MPa、130℃、5分間加硫を行って成形した。青色蛍光体は、(SrCaBa)(POCl:Euを用い、赤色蛍光体は、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mnを用いた。この植物栽培用光源に直流安定化電源から電源供給して発光させた。発光時の電流(6点灯全体)、および、波長400nm〜480nmの領域内の青色光と、波長610nm〜780nmの領域内の赤色光との発光ピーク波長の強度比を同表に示し、発光スペクトルグラフを図8に示す。
【0079】
(実施例2)
実施例1の植物栽培用光源から青色蛍光体および赤色蛍光体の配合比のみを表1に示される配合比に変更したものを作成して実施例2とした。青色と赤色との発光ピーク波長の強度比を同表に示し、発光スペクトルを図8に示す。
【0080】
(実施例3)
実施例3では、図7に示された植物栽培用光源1dと同様の形態で、青色光源22と赤色光源24との数の比を変化させて、植物栽培用光Lの発光スペクトルを測定した。基板28上に実施例1で用いた近紫外発光ダイオードと同様の発光ダイオード2を複数個配置した。この発光ダイオード2に、青色光蛍光部材21と赤色光蛍光部材23とが適度にばらついて配置されるように装着した。青色光蛍光部材21は、1個当たりジメチルシリコーン1.3gに対し、青色蛍光体0.3gを混合し、それを金型に流し込み、加熱プレスを用いて11MPa、130℃、5分間加硫を行って成形した。青色蛍光体は、(SrCaBa)(POCl:Euを用いた。赤色光蛍光部材23は、1個当たりジメチルシリコーン1.3gに対し、赤色蛍光体0.3gを混合し、それを金型に流し込み、青色光蛍光部材21と同一条件で成形した。赤色蛍光体は、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mnを用いた。光散乱板29は、厚さ0.7mmのシリコーン製の板を用いた。この光散乱板29には、光散乱材として、酸化チタンおよび炭酸カルシウムを添加した。
【0081】
青色光蛍光部材21(青色光源)と赤色光蛍光部材23(赤色光源)との数の比を、1:1、1:2、1:3、1:4に変えた場合の植物栽培用光源1dの発光スペクトルグラフを図11に示す。なお、比率によっては、青色光蛍光部材21または赤色光蛍光部材23のどちらも装着しない発光ダイオード2が生じるが、このような発光ダイオード2は消灯させた。
【0082】
図11の結果から、青色(波長400nm〜480nm)と赤色(610nm〜780nm)とにおける発光ピーク波長の強度比は、赤色光蛍光部材23の比率が高くなるに従って、赤色の比率が高くなった。なお、同図では、スペクトル強度は、相対強度(任意目盛)で図示しているので、赤色光蛍光部材23の比率が高くなると青色のピーク強度が下がったように図示されている。
【0083】
このように、青色光蛍光部材21と赤色光蛍光部材23との比率を変えることで、青色光と赤色光との比率が変化することを確認できた。これにより、同一の発光ピーク波長を有する発光ダイオード2を配列した基板28を用いて、適宜所望の比率で青色光蛍光部材21と赤色光蛍光部材23との数を変えることにより、光の強度比を簡便に変更できることが確認できた。したがって、植物育成に適した光を簡便に得ることができる。
【0084】
(比較例1)
6個の砲弾型の白色発光ダイオード(日亜化学工業株式会社製、NSPW510BS)を基板上に一列に配列して、各々に電流制限抵抗を接続すると共に並列接続して6灯を有する光源とした。発光時の電流(6点灯全体)、および、青色と赤色との発光ピーク波長の強度比を同表に示し、発光スペクトルを図8に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
(栽培実験に用いた栽培用容器)
高さ23cm、直径22cmの円筒状の容器の上部に蓋をして、容器内部に外部から光が入らないものを用いた。容器は、光が反射するように表面が金属メッキされて光沢のあるものを用いた。実施例1,2および比較例1の光源を、各々別々の容器の蓋の内側中心部に、光源先端から容器の底面まで20cmの位置となるように取り付けて栽培用容器とした。
【0087】
(水菜の栽培実験)
ガラス皿にスポンジを敷き詰め、その上に水菜の種をおき、種が軽く浸かる程度に水を入れたものを3つ用意した。このガラス皿を、1つずつ実施例1,2および比較例1の光源を取り付けた栽培用容器の底面中央部におき、同時に光源を点灯して栽培した。このように栽培した水菜の茎の長さと経過日数との関係を図9に示す。
【0088】
比較例1よりも実施例1,2のほうが茎が長く成長した。また、実施例2のほうが実施例1よりも茎が長く成長した。
【0089】
(かいわれ大根の栽培実験)
ガラス皿にスポンジを敷き詰め、その上にかいわれ大根の種をおき、種が軽く浸かる程度に水を入れたものを2つ用意した。このガラス皿を、1つずつ実施例2および比較例1の光源を取り付けた栽培用容器の底面中央部におき、同時に光源を点灯して栽培した。このように栽培したかいわれ大根の茎の長さと経過日数との関係を図10に示す。
【0090】
比較例1よりも実施例2のほうが茎が長く成長した。
【0091】
(比較例2)
比較例2として、赤色、緑色、青色の3つの発光ダイオードが1チップに内蔵された白色発光ダイオード(日亜化学工業株式会社製、NSSM016A)を用いて、植物栽培用光源とした。この白色発光ダイオードには、赤色用のアノード電極およびカソード電極、緑色用のアノード電極およびカソード電極、青色用のアノード電極およびカソード電極の計6本の端子があって、赤色、緑色、青色の各ダイオード用の3系統の点灯回路を接続する必要があるため、点灯回路が複雑になる。また各光の発光強度比を変更させるためには、3系統の点灯回路から供給する電流を可変させなければならないため、一層回路が複雑になる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の植物栽培用光源は、野菜や果物、花卉などの植物を、人工的に栽培するための光源に用いられる。
【符号の説明】
【0093】
1,1a,1b,1c,1dは植物栽培用光源、2は発光ダイオード、3,3aは蛍光部材、4は発光チップ部、5はリードフレーム、6は導光部材、8は接着材、9aは凸部、9bは雄螺子、9cは嵌合孔、10は基板、14は箱体、15は固定部材、21は青色光蛍光部材、22は青色光源、23は赤色光蛍光部材、24は赤色光源、28,31は基板、29は光散乱板、30aはアノード電極、30bはカソード電極、32a,32bはプリントパターン、Lは植物栽培光、Pは植物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーク波長280nm〜450nmの光を発光する発光ダイオードからの光照射によって励起されて、ピーク波長400nm〜480nmの青色光を発光する青色蛍光体を含有する透光性基材材料により形成された青色光蛍光部材と、
該発光ダイオード、または、該発光ダイオードと同様の光を発光する他の発光ダイオードからの光照射によって励起されて、ピーク波長610nm〜780nmの赤色光を発光する赤色蛍光体を含有する透光性基材材料により形成された赤色光蛍光部材と、を備え、
該青色光蛍光部材および該赤色光蛍光部材が、着脱可能に取り付けられていることを特徴とする植物栽培用光源。
【請求項2】
前記青色光蛍光体および前記赤色光蛍光体が同一の透光性基材材料に含有されることで、前記青色光蛍光部材および前記赤色光蛍光部材が共通の部材によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項3】
前記青色光と前記赤色光との発光ピーク波長の強度比が青色光:赤色光=1:1〜1:10であることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項4】
前記青色光蛍光部材は、前記青色蛍光体を1種もしくは2種以上、および、前記赤色光蛍光部材は、前記赤色蛍光体を1種もしくは2種以上、含有して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項5】
前記青色蛍光体は、(SrCaBa)(POCl:Eu、BaMgAl1017:Eu、ZnS:Ag、CaS:Eu、および/またはSr10(POCl:Euを含むものであることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項6】
前記赤色蛍光体は、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、LaS:Eu、YS:Eu、LiEuW、(Y,Gd,Eu)、(Y,Gd,Eu)BO、および/またはYVO:Euを含むものであることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項7】
前記青色光蛍光部材および前記赤色光蛍光部材は、キャップ形状またはシート形状に成形されていることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項8】
前記透光性基材材料は、シリコーンであることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項9】
前記シリコーンは、ジメチルシリコーンであることを特徴とする請求項8に記載の植物栽培用光源。
【請求項10】
前記発光ダイオードは、波長350nm〜420nmの光を発光する発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項11】
前記発光ダイオードの光を、前記青色光蛍光部材および前記赤色光蛍光部材に導く導光部材が配されていることを特徴とする請求項1に記載の植物栽培用光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−193824(P2010−193824A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44084(P2009−44084)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(595015890)株式会社ファインラバー研究所 (15)
【出願人】(597096161)株式会社朝日ラバー (74)
【Fターム(参考)】