説明

植物栽培用棚

【課題】単一の植物栽培用棚を用いて種々の丈を有する植物を栽培可能にすること
【解決手段】上下に配置された複数の棚部材2、及び複数の棚部材2を支持する上下方向に延設された支柱部材3を有し、複数の棚部材2それぞれに養液供給機構4を設けて植物を栽培する植物栽培用棚であって、複数の棚部材2が、支柱部材3から張り出してその上面が略水平となる展開位置X、及び支柱部材3に沿うように折り畳まれる折り畳み位置Yの間で移動可能に構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の丈を有する植物に対応可能な植物栽培用棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の植物栽培装置としては、特許文献1に示すように、複数段の栽培棚を有するものがあり、この栽培棚上には、養液を貯留する貯留槽が設けられ、この貯留槽には複数の栽培用プレートが列状に配置されている。そして、複数段の栽培棚は、等間隔となるように支柱に固定されている。
【0003】
しかしながら、上記のように栽培棚が支柱に固定されているものでは、栽培できる植物の丈の大きさが栽培棚の間隔に限られてしまうという問題がある。そうすると、栽培する植物の種類に対応した植物栽培装置(栽培棚)を用意する必要があり、また設備投資に多大なコストがかかってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−262750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、単一の植物栽培用棚を用いて種々の丈を有する植物を栽培可能にすることをその主たる所期課題とするものである。
【0006】
すなわち本発明に係る植物栽培用棚は、上下多段に配置された複数の棚部材及び当該複数の棚部材を支持する上下方向に立設された支柱部材を有し、前記複数の棚部材それぞれに、植物栽培用の養液を供給する養液供給機構を設けて植物を栽培する植物栽培用棚であって、前記複数の棚部材のうち下に別の棚部材が位置する上の棚部材が、前記支柱部材から張り出してその上面が略水平となる展開位置、及び前記支柱部材に沿うように折り畳まれる折り畳み位置の間で移動可能であることを特徴とする。ここで、植物栽培用の養液を供給する養液供給機構には、培地を用いることなく養液を供給して水耕栽培を行うための養液供給機構及び培地を用いて当該培地に養液を供給して固定培地耕を行うための養液供給機構を含む。
【0007】
このようなものであれば、上の棚部材が支柱部材に対して展開位置及び折り畳み位置の間で移動可能であるので、栽培する植物の丈の大きさに合わせて、上の棚部材を展開位置及び折り畳み位置の間で切り替えることで当該植物に対応した植物栽培用棚とすることができる。これにより、単一の植物栽培用棚を用いて種々の丈を有する植物を栽培可能にすることができる。
【0008】
棚部材の下面に光源を設けて棚部材の下面のスペースを有効活用するとともに、折り畳み時においても光源を用いて植物を栽培できるようにするためには、前記上の棚部材の下面に設けられ、前記別の棚部材に載置される植物に対して光を照射する光源を有し、前記上の棚部材が折り畳み位置の場合に、前記光源を用いて前記別の棚部材に載置された植物に対して側方から光を照射可能であることが望ましい。
【0009】
栽培する植物の丈に柔軟に対応可能にするためには、前記複数の棚部材のうち上下に連続する2以上の棚部材が、前記展開位置及び前記折り畳み位置の間で、前記支柱部材に対して移動可能であることが望ましい。
【0010】
棚部材を折り畳み可能にして種々の植物の丈に対応可能にするだけでなく、各棚部材間の間隔を拡縮可能にしてさらに種々の植物の丈に対応可能にするためには、前記複数の棚部材の少なくとも一部が、前記支柱部材に沿って上下方向に位置調節可能であることが望ましい。これならば、各棚部材に載置する植物に丈に合わせることができ、栽培用途を多様化することができる。
【0011】
棚部材を移動可能にするだけでなく、棚部材を上下方向に位置調節可能にするための具体的な実施の態様としては、前記棚部材が、前記支柱部材の互いに対向する対向面を挟むように設けられた対をなす第1の挟み部及び第2の挟み部を有し、前記第1の挟み部及び第2の挟み部の距離が、前記支柱部材の対向面間の距離よりも大きく設定されており、前記棚部材が前記展開位置の場合に、前記棚部材の自重による回転モーメントによって前記第1の挟み部及び第2の挟み部が前記支柱部材を挟圧して前記棚部材が前記支柱部材に固定され、前記棚部材を前記展開位置から前記折り畳み位置側に移動させると、前記第1の挟み部及び第2の挟み部による前記支柱部材の挟圧が解除されることが望ましい。
【0012】
上記のように第1の挟み部及び第2の挟み部によって棚部材を支持部材に挟圧固定するものでは、棚部材が下方に滑落してしまう恐れがある。このため、前記支柱部材が、前記第2の挟み部又は前記第2の挟み部を下側から支持して、前記棚部材の滑落を防止する滑落防止機構を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
このような構成の本発明によれば、単一の植物栽培用棚を用いて種々の丈を有する植物を栽培可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る植物栽培装置の構成を模式的に示す正面図。
【図2】同実施形態の植物栽培装置の構成を模式的に示す側面図。
【図3】同実施形態の棚部材の展開位置及び折り畳み位置を示す拡大側面図。
【図4】同実施形態の棚部材の構成を示す平面図。
【図5】同実施形態の棚部材を主として示す図。
【図6】展開位置から折り畳み位置までの回転の過程を示す図。
【図7】変形実施形態の滑落防止機構を示す図。
【図8】変形実施形態の滑落防止機構を示す図。
【図9】変形実施形態の滑落防止機構を示す図。
【図10】変形実施形態の棚部材の構成を示す図。
【図11】変形実施形態の案内部を示す図。
【図12】変形実施形態の支柱部材の構成を示す図。
【図13】下方向に折り畳む態様を示す模式図。
【図14】変形実施形態に係る棚部材の移動方法を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る植物栽培装置100は、図1及び図2に示すように、上下多段に配置された複数の棚部材2と、この複数の棚部材2を支持する上下方向に立設された支柱部材3と、前記複数の棚部材2それぞれに植物栽培用の養液を供給する養液供給機構4とを備えている。
【0017】
各棚部材2は、図1及び図2に示すように、略水平方向に延び設けられた概略長尺状をなすものである。また各棚部材2の上面に養液供給機構4の養液貯留容器41が載置されるとともに、下面に当該棚部材2の下に位置する別の棚部材2に向かって光を照射する光源5が設けられている。なお、棚部材2の詳細については後述する。
【0018】
また各棚部材2には、栽培すべき植物を保持する単一形状をなす複数の栽培用プレートPが載置される。この栽培用プレートPは前記養液貯留容器41上に列状に載置される。
【0019】
支柱部材3は、上下に配置された複数の棚部材2を支持するものである。本実施形態では、図2に示すように、側面視において両側2列に上下多段に配置された棚部材2それぞれを支持する2組の支柱部材3が設けられている。
【0020】
養液供給機構4は、棚部材2上に設置されて養液を貯留する養液貯留容器41と、この養液貯留容器41に養液を供給又は循環させる養液供給部42とを有する。なお、養液供給部42は、養液タンク421と、当該養液タンク421内の養液を流通させる養液配管422と、当該養液配管422内に養液を送液するポンプ(不図示)とを有する。養液配管422は、養液タンク421と養液貯留容器41に接続されている。
【0021】
養液貯留容器41は、図1に示すように、前記棚部材2と同様に長手方向に沿って設けられており、概略長尺状の上部開口を有するものである。そして養液貯留容器41の上部開口を塞ぐように前記栽培用プレートPが載置される。また養液貯留容器41は、棚部材2に対して離脱可能に構成されている。
【0022】
しかして、この植物栽培装置100は、図3に示すように、複数の棚部材2の全てが、支柱部材3から張り出して上面が略水平となる展開位置X(図3(A)参照)、及び支柱部材3に沿うように折り畳まれる折り畳み位置Y(図3(B)参照)の間で、支柱部材3に対して回転移動可能に構成してある。なお展開位置Xは、棚部材2上に植物が載置されて植物の栽培が行われる位置である。また折り畳み位置Yは、棚部材2を上方向に折り畳んだ位置である。また本実施形態の各棚部材2は、支柱部材3に沿って上下方向に位置調節可能に構成してある。
【0023】
各棚部材2は、図4に示すように、植物が載置される概略長尺形状をなす棚本体部21と、当該棚本体部21の一側面から外部に延出して当該棚本体部21を支柱部材3に固定するための固定部22とを備えている。棚本体部21の上面に養液貯留容器41が載置されるとともに、棚本体部21の下面に光源5が取り付けられる。本実施形態では各棚部材2を4本の支柱部材3で支持することから、各支柱部材3に対応して固定部22が4か所に設けられている。
【0024】
各固定部22は、図5に示すように、支柱部材3の一方の側面3aに沿って設けられており、支柱部材3を挟むように設けられた対をなす第1の挟み部221及び第2の挟み部222を有する。
【0025】
この第1の挟み部221及び第2の挟み部222は、固定部22の支柱部材3側の側面に設けられた棒形状をなすものである。これらの挟み部221、222は、棚部材2の回転中心に沿って互いに平行に設けられており、概略四角柱をなす支柱部材3の互いに対向する対向面(正面3b及び背面3c)を挟むように設けられている。また、第1の挟み部221及び第2の挟み部222の距離L1が、支柱部材3の対向面(正面3b及び背面3c)間の距離L2よりも大きく設定されている。なお、支柱部材3の対向する一方面(正面)3b側に設けられた挟み部が第1の挟み部221であり、対向する他方面(背面)3c側に設けられた挟み部が第2の挟み部222である。本実施形態では、第1の挟み部221及び第2の挟み部222により支柱部材3を挟圧した際に、それら挟み部221、222の距離L1が広がらないように、挟み部221、222の自由端部側を連結固定する連結部223が設けられている。
【0026】
そして、この第1の挟み部221及び第2の挟み部222は、図5及び図6の(A)に示すように、棚部材2が展開位置Xの場合に、棚部材2(具体的には棚本体部21)の自重による回転モーメントによって支柱部材3の正面3b及び背面3cを挟圧して棚部材2を支柱部材3に固定する。なお、第1の挟み部221及び第2の挟み部222が支柱部材3を挟圧した状態で、棚部材2の棚本体部21の上面は略水平となる。本実施形態では、棚本体部21が略水平の状態(展開位置X)において、第1の挟み部221が支柱部材3に第2の挟み部222よりも下側で接触し、第2の挟み部222が支柱部材3に第1の挟み部221よりも上側で接触する。
【0027】
一方、第1の挟み部221及び第2の挟み部222は、図6の(B)に示すように、棚部材2を展開位置Xから折り畳み位置Y側に回転させると、支柱部材3の挟圧が解除される。つまり、棚部材2を展開位置Xから折り畳み位置Y側に回転させると、棚部材2は支柱部材3に対して上下方向に移動可能となる。このように折り畳み位置Y側に回転させた状態で、棚部材2が支柱部材3に対して上下方向に位置調節可能となる。
【0028】
本実施形態では、上下に隣接する棚部材2の間隔の大きさから、棚部材2を支柱部材3に対して回転させると、回転した棚本体部21の先端が上の棚部材2に接触してしまう。そこで、図6の(B)に示すように、棚部材2(棚本体部21)を回転させると同時に、棚部材2(棚本体部21)の回転中心側(支柱部材3側)を下側に移動させるようにして折り畳む。なお、第1の挟み部221及び第2の挟み部222の距離L1は、棚部材2が折り畳み位置Yに至るまで棚部材2の回転移動を妨げない距離に設定してある。そして、折り畳まれた棚部材2(図6の(C))は、図示しない折り畳み位置固定機構によって折り畳み位置Yの状態で固定される。折り畳み位置固定機構による固定方法としては、例えば折り畳まれた棚部材2及び支柱部材3に例えばロープやワイヤ等の線部材を巻き付けて、支柱部材3に折り畳まれた棚部材2を固定すること、又は棚部材2又は支柱部材3の一方に引っ掛かり爪等の係止部を設け、他方に引っ掛かり爪等が係止する被係止部を設けて、被係止部に係止部を係止させることによって支柱部材3に折り畳んだ棚部材2を吊り下げること等が考えられる。
【0029】
次に本実施形態の植物栽培装置100を用いた植物栽培方法の一例について簡単に説明する。
【0030】
栽培すべき植物の丈の大きさに応じて棚部材2を折り畳むか否かを判断する。その植物の丈(例えば収穫時の丈)が上下に隣接する棚部材2の間隔よりも小さいものであれば、棚部材2を折り畳むことなく、全ての棚部材2を展開位置Xとして植物を載置して栽培を行う。
【0031】
一方、栽培すべき植物の丈(例えば収穫時の丈)が上下に隣接する棚部材2の間隔よりも大きいものであれば、上の棚部材2を折り畳んで、展開位置Xである下の棚部材2に植物を載置して栽培を行う。なお、棚部材2を折り畳む前に当該棚部材2に載置されている養液貯留容器41を取り外す。
【0032】
また上の棚部材2を折り畳むと、当該上の棚部材2の下面が正面側を向くことになるので、当該上の棚部材2の下面に設けられた光源5を用いて、下の棚部材2に載置された植物に側方から光を照射する。
【0033】
このように構成した本実施形態に係る植物栽培装置100によれば、上の棚部材2が支柱部材3に対して展開位置X及び折り畳み位置Yの間で回転移動可能であるので、栽培する植物の丈の大きさに合わせて、上の棚部材2を展開位置X及び折り畳み位置Yの間で切り替えることで当該植物に対応した植物栽培装置100とすることができる。これにより、単一の植物栽培装置100を用いて種々の丈を有する植物を栽培可能にすることができる。
【0034】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0035】
例えば、前記実施形態では、第1の挟み部221及び第2の挟み部222により棚部材2を支柱部材3に挟圧固定するものであったが、図7〜図9に示すように、滑落防止機構6をさらに備えるものであっても良い。
【0036】
この滑落防止機構6は、棚部材2が展開位置Xにある状態で第1の挟み部221又は第2の挟み部222を下側から支持して、棚部材2の滑落を防止するものである。
【0037】
図7の滑落防止機構6は、支持板61により構成されている。この支持板61は、支柱部材3の背面3cに固定されるものであり、第2の挟み部222が嵌る複数の嵌合部6aを有しており、これら嵌合部6aに第2の挟み部222が嵌ることによって第2の挟み部222を下側から支持する。また支持板61は、支柱部材3の背面3cに固定するための固定片611を有しており、この固定片611にはねじNを挿入するためのねじ挿入孔が形成されている。そして、この固定片611を介して、ねじNを支柱部材3の背面3cに形成された雌ねじ穴Mに螺合させることにより、支持板61が支柱部材3の背面3cに固定される。この支持板61は各支柱部材3毎に設けても良いし、一部の支柱部材3に設けても良い。この支持板61を滑落防止機構6として用いる場合には、棚部材2を展開位置Xにて固定した後に、嵌合部6aに第2の挟み部222が嵌るように、支持板61を支柱部材3の背面3cにねじNにより固定する。ここで支柱部材3に固定された支持板61の嵌合部6aに第2の挟み部222が嵌るようにすることによって、棚部材2間の上下方向の位置決めも行われる。また棚部材2を折り畳み位置Y側に回転させる際には、支持板61を支柱部材3から取り外す。なお、棚部材2の支柱部材3側を下側に移動させる必要がなければ、支持板61は取り付けたままでも良い。このように1枚の支持板61により滑落防止機構6を構成することで、支持板61により棚部材2を支持した状態で、支持板61を上下移動させることによって、棚部材2間の上下方向の位置関係を保ちながら一挙に複数の棚部材2を上下に移動させることができる。なお、前記の支持板61は第2の挟み部222を下側から支持するものであったが、第1の挟み部221を下側から支持するものであっても良い。この場合、支持板61は、支柱部材3の正面3bにねじ固定される。
【0038】
図8の滑落防止機構6は、支持板62により構成されている。この支持板62は、支柱部材3と第2の挟み部222との間に設けられるものであり、支柱部材3の背面3cに沿って設けられる平板部621と、当該平板部621から外側に設けられた突起部622とを有する。そしてこの突起部622が第2の挟み部222を下側から支持する。また、この支持板62は、支柱部材3の背面3cにねじ固定されるものであり、そのため平板部621にはねじ挿入孔が形成されている。そして、ねじNをねじ挿入孔に通して支柱部材3の背面3cに形成された雌ねじ穴Mに螺合させることにより支持板62が支柱部材3の背面3cに固定される。この支持板62は各支柱部材3毎に設けても良いし、一部の支柱部材3に設けても良い。なお、図8は、棚部材2を上下方向に多段階で位置調節可能にすると同時にその位置で棚部材2を支持すべく、1つの棚部材2に対して上下方向の異なる位置に複数(図8では2つ)の突起部622を設けた場合を示している。このような支持板62を用いた場合には、支柱部材3の背面3cに固定するだけで良いので、滑落防止機構6の構成を簡単にすることができる。
【0039】
図9の滑落防止機構6は、第2の挟み部222の下側に接触して当該第2の挟み部222を下側から支える支持ピン63により構成される。この支持ピン63は、支柱部材3の背面3cに設けられたピン固定孔3c1に挿入して固定される。ピン固定孔3c1は、棚部材2を上下方向に多段階で位置調節可能にすると同時にその位置で棚部材2を支持すべく、支柱部材3の背面3cにおいて、1つの棚部材2に対して上下方向の異なる位置に複数設けられている。このように支持ピン63をピン固定孔3c1に挿入して固定するものであれば、位置調節後の棚部材2の位置に柔軟に対応することができる。なお、支持ピン63を支柱部材3の正面3cに設けて、第1の挟み部221を下側から支えるように構成しても良い。
【0040】
また、前記実施形態では、第1の挟み部221及び第2の挟み部222によって、棚部材2が支柱部材3に対して回転可能に構成されているが、棚部材2を支柱部材3に対して回転移動させる構成として種々のものを用いることができる。例えば、ヒンジ構造を用いて回転移動可能に構成しても良い。具体的には、図10に示すように、棚部材の固定部22と支柱部材3とを連結して、棚部材2を支柱部材に対して回転自在とする連結軸7と、棚部材2が展開位置Xにある場合に、当該棚部材2を支柱部材3に固定する展開位置固定機構8とを有するものであっても良い。展開位置固定機構8としては、固定部22に設けられた第1の孔81と、支柱部材3に設けられて、展開位置Xの際に前記第1の孔81と連通する第2の孔82と、展開位置Xの際に前記第1の孔81及び前記第2の孔82に挿入される固定ピン83とからなる。そして、棚部材2を展開位置Xから折り畳み位置Yに回転させる際には、固定ピン83を抜いて、連結軸7周りに棚部材2を上側に回転させる。回転させて折り畳み位置Yに到達した棚部材2は、折り畳み位置固定機構によって折り畳み位置Yの状態で固定される。図10に示す折り畳み位置固定機構は、棚部材2に設けた被係止軸11に、支柱部材3に設けられたフック部材12を引っ掛けることによって固定するものである。その他、前記実施形態と同様に、折り畳まれた棚部材2及び支柱部材3に例えばロープやワイヤ等の線部材を巻き付けて、支柱部材3に折り畳まれた棚部材2を固定するものであっても良い。
【0041】
このとき、折り畳まれる棚部材2が上の棚部材2に接触することを防止するために、図11に示すように、連結軸7を支柱部材3の下側に案内して棚部材2を下側に移動させる案内部9を設けることも考えられる。図11に示す案内部9は、支柱部材3に形成された上下方向に延びる長孔である。この長孔9の上部には、展開位置Xにおいて連結軸7が係止する軸係止部91が形成されている。この軸係止部91は長孔9の上部が屈曲して形成されている。長孔9の下部には、折り畳み位置Yにおいて連結軸7が位置して止まる。
【0042】
また、前記連結軸7を用いたヒンジ構造とする場合、図12に示すように、棚部材2の上下位置を調節できるように、複数の棚部材2に対応する連結孔H1以外に位置調節用の連結孔H2を設けることも考えられる。なお、この図12における展開位置固定機構は上述した第1の孔81、第2の孔82及び固定ピン83を用いたものではなく、支柱部材の正面3bと棚部材2の側面2aとの接触により展開位置Xで固定するものである。
【0043】
さらに、前記実施形態では、上の棚部材2を上方向に折り畳む態様について説明したが、図13に示すように、上の棚部材2を下方向に折り畳むように構成しても良い。なお、図13はヒンジ構造を用いて下方向に折り畳んだ場合について示している。この下方向に折り畳んだ棚部材2は、棚部材2に設けた被係止軸11に、支柱部材3に設けられたフック部材12を引っ掛けることによって固定される。その他、前記実施形態と同様に、折り畳まれた棚部材2及び支柱部材3に例えばロープやワイヤ等の線部材を巻き付けて、支柱部材3に折り畳まれた棚部材2を固定するものであっても良い。前記実施形態のように両側2列に上下に配置された複数の棚部材2において、図13に示すように、一方列の棚部材2を下方向に折り畳んだ場合、棚部材2の下面に設けられた光源5により、他方列の棚部材2上に載置された植物に側方から光を照射することができる。これにより、一方列から他方列の棚部材2上の植物に光を照射することから、他方列の棚部材2上のスペースを狭めることなく植物を栽培することができる。
【0044】
加えて、前記実施形態では、棚部材に設けられた養液貯留容器を、棚部材を折り畳む際に取り外す構成としているが、折り畳む際に養液貯留容器が邪魔にならなければ、養液貯留容器を取り付けたまま折り畳むように構成しても良い。
【0045】
さらに加えて、上下に配置された棚部材を1段飛ばしに折り畳むだけでなく、複数段連続(例えば2段連続)で折り畳むようにしても良い。これならば一段飛ばしに折り畳む場合に比べて栽培する植物の丈に柔軟に対応可能となる。
【0046】
また、前記実施形態では、複数の棚部材全てを折り畳み可能に構成しているがこれに限られず、複数の棚部材のうち折り畳む棚部材を予め決めておき、当該所定の棚部材のみを展開位置及び折り畳み位置の間で、支柱部材に対して回転移動可能に構成しても良い。
【0047】
さらに、前記実施形態では、複数の棚部材全てを上下方向に位置調節可能に構成しているが、複数の棚部材の少なくとも一部を上下方向に位置調節可能としても良い。
【0048】
また、使用等によって第1の挟み部及び第2の挟み部の距離が大きくなり、展開位置Xにおいて棚部材の上面が自由端部側が下方に傾斜してしまうことが考えられるが、この場合には、第1の挟み部及び支柱部材の正面又は第2の挟み部及び支柱部材の背面の間にスペーサを挟むことで、棚部材の上面を水平に調節することが望ましい。
【0049】
また、図14に示すように、ヒンジ構造を用いて回転移動可能に構成された棚部材2を棚部材移動機構10により自動的に折り畳み可能に構成しても良い。棚部材移動機構10は、棚部材の自由端部側に一端が接続されたワイヤ10aと、支柱部材3に設けられて前記ワイヤ10aが掛け回されるプーリ10bと、前記プーリ10bに掛け回されたワイヤ10aを巻き取り又は巻き戻しする駆動モータ10cとからなる。そして、棚部材2を展開位置Xから折り畳み位置Yに移動させる場合には、駆動モータ10cを正回転してワイヤ10aを巻き取る。一方、棚部材2を折り畳み位置Yから展開位置Xに移動させる場合には、駆動モータ10cを逆回転してワイヤ10aを巻き戻す。このようなものであれば、駆動モータ10cの動力を用いて自動的に棚部材2を展開位置X及び折り畳み位置Yの間で回転移動可能にすることができるので、ユーザの作業負担を軽減することができる。例えば人の手が届かないような高所に位置する棚部材2を自動的に折り畳むように棚部材移動機構10を設けることで、ユーザの作業負担をより軽減することができるとともに、安全性を向上させることができる。
【0050】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
100・・・植物栽培装置
X ・・・展開位置
Y ・・・折り畳み位置
2 ・・・棚部材
221・・・第1の挟み部
222・・・第2の挟み部
3 ・・・支柱部材
4 ・・・養液供給機構
5 ・・・光源
6 ・・・滑落防止機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に配置された複数の棚部材及び当該複数の棚部材を支持する上下方向に立設された支柱部材を有し、前記複数の棚部材それぞれに、植物栽培用の養液を供給する養液供給機構を設けて植物を栽培する植物栽培用棚であって、
前記複数の棚部材のうち下に別の棚部材が位置する上の棚部材が、前記支柱部材から張り出してその上面が略水平となる展開位置、及び前記支柱部材に沿うように折り畳まれる折り畳み位置の間で移動可能であることを特徴とする植物栽培用棚。
【請求項2】
前記上の棚部材の下面に設けられ、前記別の棚部材に載置される植物に対して光を照射する光源を有し、
前記上の棚部材が折り畳み位置の場合に、前記光源を用いて前記別の棚部材に載置された植物に対して側方から光を照射可能である請求項1記載の植物栽培用棚。
【請求項3】
前記複数の棚部材のうち上下に連続する2以上の棚部材が、前記展開位置及び前記折り畳み位置の間で、前記支柱部材に対して移動可能である請求項1又は2記載の植物栽培用棚。
【請求項4】
前記複数の棚部材の少なくとも一部が、前記支柱部材に沿って上下方向に位置調節可能である請求項1乃至3のいずれかに記載の植物栽培用棚。
【請求項5】
前記棚部材が、前記支柱部材の互いに対向する対向面を挟むように設けられた対をなす第1の挟み部及び第2の挟み部を有し、
前記第1の挟み部及び第2の挟み部の距離が、前記支柱部材の対向面間の距離よりも大きく設定されており、
前記棚部材が前記展開位置の場合に、前記棚部材の自重による回転モーメントによって前記第1の挟み部及び第2の挟み部が前記支柱部材を挟圧して前記棚部材が前記支柱部材に固定され、
前記棚部材を前記展開位置から前記折り畳み位置側に移動させると、前記第1の挟み部及び第2の挟み部による前記支柱部材の挟圧が解除される請求項1乃至4のいずれかに記載の植物栽培用棚。
【請求項6】
前記支柱部材が、前記第1の挟み部又は前記第2の挟み部を下側から支持して、前記棚部材の滑落を防止する滑落防止機構を有する請求項5記載の植物栽培用棚。
【請求項7】
前記養液供給機構が、前記棚部材の上面に設けられて植物栽培用の養液を貯留する養液貯留容器を有しており、
前記養液貯留容器が、前記棚部材に対して離脱可能に構成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の植物栽培用棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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