説明

植物栽培観賞装置

【課題】簡便かつ清潔に、多種多様の植物を栽培し、かつ観賞することができると共に、玩具的醍醐味も同時に味わうことができる植物栽培観賞装置を提供する。
【解決手段】上部に草花等植物の種子、球根、苗等を植設した植物植設層4aを有し、水等液体を吸液したときに膨張し、その吸液を上記植物植設層に供給する圧縮土4,4と、上記植物植設層上に載置されたフィギュア5と、底部に穿設された通液孔を有し、この通液孔よりも大径の複数の不透明ペレット6を収容すると共に、これら複数のペレットの堆積内に、上記膨張体およびこの膨張体の植物植設層上に載置された上記物品を埋没させた状態で収容する内容器3と、この内容器を収容し、この内容器外側面との間隙に上記液体を収容可能の有底筒状の外容器2と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培に、驚きや意外性に富んだ玩具的醍醐味を加味した植物栽培観賞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、園芸には、種子、球根、苗等の他に、植木鉢、土・培養土、肥料等の材料や道具を個別に揃える必要がある。その上、室内で園芸を行なう時は、植木鉢から水が染み出しても植木鉢を置いた床や机や棚等が濡れないように植木鉢の下に置いて水を受ける皿が必要であった。
【0003】
また、市場においては、植木鉢と水受け用の皿の両方を一緒に取り扱っている小売店のみではなく、植木鉢だけの取扱いに止まる小売店も存在しており、庭やベランダの無い住環境においては室内での園芸を楽しむことについて材料や道具を揃えることの障害ともなっていた。
【0004】
そこで、従来からシャボテンを植設したシャボテン安定樹脂材を缶詰にしたシャボテンの保存缶詰が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1の発明によれば、缶内に、植物のシャボテンと、その培養土に相当するシャボテン安定樹脂材を具備しているので、開蓋して給水するだけでシャボテンを栽培することができ、缶が植木鉢を兼用することができる。また、缶詰であるので、輸送や積載も簡単である。
【特許文献1】実開昭49−1446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の缶詰は、その缶が食料品保存用とほぼ同等の缶詰であるので、上蓋を缶切りで開蓋しなければならず、煩雑であるという課題がある。
【0007】
また、シャボテン安定樹脂材が載置される缶底面では、通気用透孔が開口され、この通気用透孔に荒目の網を張設するのみで、網目が外部に開口しているので、この缶詰の輸送時や室内配置時等において、このシャボテン安定樹脂材やシャボテンのかけらや水分等がこの網目から缶外へぼろぼろと落ちて周囲を汚すという課題がある。このために、受け皿が必要である。
【0008】
そして、シャボテンを観賞し、楽しむことができても、他の多種多様な植物の栽培ないし観賞ができないうえに、玩具的醍醐味を味わうことはできない。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、簡便かつ清潔に、多種多様の植物を栽培し、かつ観賞することができると共に、玩具的醍醐味も同時に味わうことができる植物栽培観賞装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、上部に草花等植物の種子、球根、苗等を植設した植物植設層を有し、水等液体を吸液したときに膨張し、その吸液を上記植物植設層に供給する膨張体と、上記植物植設層上に載置された物品と、底部に穿設された通液孔を有し、この通液孔よりも大径の複数の不透明ペレットを収容すると共に、これら複数のペレットの堆積内に、上記膨張体およびこの膨張体の植物植設層上に載置された上記物品を埋没させた状態で収容する内容器と、この内容器を収容し、この内容器外側面との間隙に上記液体を収容可能の有底筒状の外容器と、を具備していることを特徴とする植物栽培観賞装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、上記物品が人形等の玩具であることを特徴とする請求項1記載の植物栽培観賞装置である。
【0012】
請求項3に係る発明は、上記膨張体は、その膨張時、上記物品の少なくとも一部を上記外容器の開口上端よりも上方へ迫り出すように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の植物栽培観賞装置である。
【0013】
請求項4に係る発明は、上記膨張体が含水により膨張する圧縮土であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物栽培観賞装置である。
【0014】
請求項5に係る発明は、上記内容器と外容器は、透明に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物栽培観賞装置である。
【0015】
請求項6に係る発明は、上記内容器は、上記膨張体、物品およびペレットを収容した状態で開口上端と底部外面とに、通気性シールが剥離自在に貼着され、これら開口上端と底部の通液孔とをそれぞれ閉じていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の植物栽培観賞装置である。
【0016】
請求項7に係る発明は、上記外容器は、その内底面上に、上記内容器の底部を固定可能に支持する支持部を、備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の植物栽培観賞装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、内容器と外容器との間隙に、水等所要の液体を注液(注水)すると、その液体を膨張体が吸液して軸方向および径方向に漸次膨張する。このために、内容器の内容積が徐々に減少していくので、内容器内に充填された多数のペレットが内容器の開口上端から外部へ溢れ出し、外容器との間隙内に落下し堆積していく。
【0018】
さらに、膨張体が軸方向に膨張していき、植物植設層が内容器の開口上端に達すると、この植物植設層上に載置された人形等の物品がペレットの中から漸次迫り出し、徐々に露出してやがてほぼ全体が出現する。
【0019】
ユーザは、この注液(注水)から物品出現までのダイナミックな変化を、いわば動的玩具の動きとして楽しむことができる。
【0020】
また、内容器と外容器との間隙に単に注水ないし注液することにより、この水等が膨張体の植物植設層に供給されるので、植物植設層の植物を簡単に栽培することができる。このために、植物の栽培と成長過程等を観賞することができる。
【0021】
さらに、外容器は、鉢植えのいわば受け皿の機能を有するので、植物栽培観賞装置設置周りの環境の清潔を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、これら添付図面中、同一または相当部分には、同一符号を付している。
【0023】
図1は本発明の一実施形態に植物栽培観賞装置1の全体構成とその組立状態を示す縦断面図、図2〜図4はこの植物栽培観賞装置1の構成部材をそれぞれ示す図である。
【0024】
図1に示すように植物栽培観賞装置1は、有底円筒状の外容器2、この外容器2内に収容される内容器3、この内容器3内に収容される膨張体の一例である圧縮土4、この圧縮土4上に載置される物品の一例であるフィギュア(人形)5、内容器3内に収容されるPP等のプラスチックス製の多数の小球状不透明ペレット6,6,6,…とを具備している。
【0025】
図2(a)に示すように、外容器2は、透明プラスチックス等により例えば開口上端2bから底部2aに向けて漸次縮径する逆円錐台状円筒に形成されている。
【0026】
底部2aの内面上には、この内底面から図中上方へ若干浮いた状態で内容器3の底部3aを固定可能かつ着脱自在に支持する支持台2cを支持部として一体に突設している。
【0027】
外容器2の寸法は例えば開口上端2bの直径が78mm、高さが90mm、底部2aの直径が60mmである。
【0028】
図2(b)に示すように内容器3は、透明プラスチックス等により外容器2よりも小形のほぼ相似形に形成され、開口上端3bから底部3aに向けて漸次縮径する逆円錐台状円筒に形成され、底部3aには、その厚さ方向に貫通する小径の複数の通水孔3c,3c,…を穿設している。
【0029】
内容器3の寸法は、例えば開口上端3bの直径が52mm、高さが85mm、底部3aの直径が50mmである。
【0030】
そして、図1に示すように内容器3は、その内部に、圧縮土4,4、フィギュア5を収容し、これら外周の間隙に不透明ペレット6を充填することにより、これらを固定した状態で、内容器3の開口上端3bの外面には、樹脂シート等からなる上部シール8を剥離自在に貼着して、この開口上端3bを閉じている。一方、底部3c外面には、樹脂シート等からなる底部シール7を剥離自在に貼着して注水孔3cを閉じている。
【0031】
これら底部,上部シール7,8は、その一端部に、把持自在の舌片7a,8aを底部3a、開口上端3bの外周面からそれぞれ外方へ突出するように一体に連成している。
【0032】
図3(a),(b)に示すように、圧縮土4は円柱状(または角柱状)に形成され、その上面部に、植物植設層4aを形成している。この植物植設層4aは圧縮土4中に、例えばレモンハーブ等所要の植物の複数の種子9,9,…や球根、苗等を植設している。この植物植設層4aは、図3(a)に示すように2個の圧縮土4,4を上下2段に同心状に積み上げる場合には、上段の圧縮土4のみの上面部に形成される。
【0033】
これら圧縮土4,4は所要量の水を吸水したときに、漸次膨張して図5に示すように植物植設層4aが内容器3の開口上端3b近傍の高さまで膨張すると共に、その吸水を植物植設層4aへ供給するようになっている。
【0034】
各圧縮土4の寸法は例えば直径が40mm、高さが12mmである。
【0035】
図4に示すように、フィギュア5は、その円板状の台座5a上にフィギュア本体5bを配設しており、その台座5aを圧縮土4の植物植設層4a上に載置させ、図1に示すように内容器3内でフィギュア5回りの間隙に多数の不透明ペレット6が充填されて、これらフィギュア5を外部から隠蔽するのに十分な大きさ、すなわち小形に形成されている。
【0036】
不透明ペレット6はポリプロピレン(PP)等のプラスチックスにより、乳白色等不透明で小形軽量の球状に形成されている。また、図1に示すように小球状の不透明ペレット6は、内容器3内に2個の圧縮土4,4とフィギュア5とを収容した状態で、これら圧縮土4,4とフィギュア5回りの間隙に、これらが外容器2の外部から透視できなくすると共に、圧縮土4,4とフィギュア5を内容器3内で固定し得る程度の量が充填される。
【0037】
次に、この植物栽培観賞装置1の使用方法の一例を説明する。
【0038】
まず、図2(b)に示すように圧縮土4,4とフィギュア5を内蔵し、多数の不透明ペレット6を充填してある内容器3の上部シール8と底部シール7とを、これらの各舌片8a,7aを把持して内容器3から剥ぎ取る。これにより、内容器3の開口上端3bが開口すると共に、底部3aの通水孔3cが開口する。
【0039】
次に、図1に示すように、内容器3を外容器2内に収容し、内容器3の底部3aを外容器2の支持台2c上に載置し固定させる。
【0040】
この後、図1の矢印で示すように水Wを内容器3と外容器2との環状間隙内に所定水位まで注水する。
【0041】
すると、外容器2内の水Wが内容器3の底部3aの通水孔3cを通水してまず下段の圧縮土4に吸水され、さらにこの吸水が上段の圧縮土4に吸水される。
【0042】
これにより、例えば注水から約30秒ないし約1分経過後から、圧縮土4,4が漸次膨張していき、約1分半から約2分半経過後頃からフィギュア5の頭部が多数の不透明ペレット6を押し退けて、外容器2の開口上端2bよりも上方へ漸次迫り上がっていき、漸次外部に露出していく。
【0043】
この間、内容器3内の多くの不透明ペレット6が漸次膨張する圧縮土4,4により、内容器3の開口上端3bからその外方へ押し出され、外容器2との間隙に収容されて堆積していく。
【0044】
こうして注水から例えば約3分〜約5分程度経過すると、図5に示すようにフィギュア5のほぼ全体が外容器2の開口上端2b上に出現する。ユーザはこのダイナミックな変化を、注水から約5分程度の短時間のうちに、恰も動的玩具の動きを見るかの如くに観賞し、楽しむことができる。
【0045】
また、このようにフィギュア5が外容器2の外部に出現するまでは、多数のペレット6,6,…により隠されているので、フィギュア5が外容器2から外部へ出現したときの意外性や驚きを楽しむことができる。
【0046】
こうして、フィギュア5が外容器2から外部へ出現までの変化、いわば動的玩具の動きを楽しんだ後、このフィギュア5を上段圧縮土4の植物植設層4aから横方向へずらし、あるいは取り除く。
【0047】
この後、この植物栽培観賞装置1をそのまま放置しても、圧縮土4は吸水した水を植物植設層4aに供給するので、この植物植設層4aの種子9等の植物を成長させることができる。以後、通常の水やりで栽培する。種子9が例えばハーブ種のレモンハーブであれば、注水から約3日〜約10日後で芽が出て来て、次第に目に見える成長を始める。したがって、フィギュア5の出現を楽しんだ後は、植物栽培の醍醐味を味わうことができる。さらに、植物が育つと、いわば、ミニリアルジオラマとしても楽しむことができる。
【0048】
しかも、その植物栽培の楽しさは植物栽培観賞装置1に注水するだけで簡便に楽しむことができる。従来の種子や培養土、鉢、受け皿等をそれぞれ購入し用意する等の煩雑な作業を省略することができる。
【0049】
また、外容器2が鉢植えの受け皿に相当するので、植物栽培観賞装置1の周囲環境を水や土等により汚すことを未然に防止ないし低減することができ、清潔性を保つことができる。この清潔保持効果は、植物栽培観賞装置1を室内に設置する場合に特に重要である。
【0050】
また、図2(b)に示すように、内容器3は、その内部に圧縮土4,4、フィギュア5、ペレット6,…を収容した状態で、その開口上端3bと底部3aの通水孔3cを、上部シール8と底部シール7とによりそれぞれ閉じるので、内容器3の輸送時や移動時等で内容器3から圧縮土4やフィギュア5、ペレット6が外部へ飛び出すのを防止することができる。
【0051】
また、圧縮土4の植物植設層4aは種子9を他の多種多様の種子や球根、苗等に簡単迅速に変更することができるので、多種多様の植物を楽しむことができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、膨張体として圧縮土4を使用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば所要の液体により膨張するウレタン等でもよく、また、圧縮土4は、2個に限定されるものではなく、1個以上であればよい。
【0053】
さらに、上記フィギュア5に代えて他の小型の玩具や他の商品を圧縮土4上に載置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係る植物栽培観賞装置の組立状態の縦断面図。
【図2】(a)は図1で示す外容器の正面図、(b)は同内容器の正面図。
【図3】(a)は図1で示す圧縮土の正面図、(b)は同図(a)の平面図。
【図4】図1で示すフィギュアの概略正面図。
【図5】図1で示す圧縮土が最大限膨張したときの植物栽培観賞装置の一部を縦断面で示す図。
【符号の説明】
【0055】
1 植物栽培観賞装置
2 外容器
2a 支持台
3 内容器
3a 通水孔
4 圧縮土
5 フィギュア
6 不透明ペレット
7 底部シール
8 上部シール
9 植物種子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に草花等植物の種子、球根、苗等を植設した植物植設層を有し、水等液体を吸液したときに膨張し、その吸液を上記植物植設層に供給する膨張体と、
上記植物植設層上に載置された物品と、
底部に穿設された通液孔を有し、この通液孔よりも大径の複数の不透明ペレットを収容すると共に、これら複数のペレットの堆積内に、上記膨張体およびこの膨張体の植物植設層上に載置された上記物品を埋没させた状態で収容する内容器と、
この内容器を収容し、この内容器外側面との間隙に上記液体を収容可能の有底筒状の外容器と、
を具備していることを特徴とする植物栽培観賞装置。
【請求項2】
上記物品が人形等の玩具であることを特徴とする請求項1記載の植物栽培観賞装置。
【請求項3】
上記膨張体は、その膨張時、上記物品の少なくとも一部を上記外容器の開口上端よりも上方へ迫り出すように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の植物栽培観賞装置。
【請求項4】
上記膨張体が含水により膨張する圧縮土であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物栽培観賞装置。
【請求項5】
上記内容器と外容器は、透明に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物栽培観賞装置。
【請求項6】
上記内容器は、上記膨張体、物品およびペレットを収容した状態で開口上端と底部外面とに、通気性シールが剥離自在に貼着され、これら開口上端と底部の通液孔とをそれぞれ閉じていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の植物栽培観賞装置。
【請求項7】
上記外容器は、その内底面上に、上記内容器の底部を固定可能に支持する支持部を、備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の植物栽培観賞装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−67978(P2006−67978A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258834(P2004−258834)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(591258277)ニューウェル株式会社 (2)
【出願人】(504185739)株式会社ハウディインターナショナル (1)
【Fターム(参考)】