説明

植物用着色肥料

【課題】凝集や沈澱がなく、良好に分散した新規な植物用着色肥料を提供すること。
【解決手段】窒素、リン、およびカリウムからなる群より選択される少なくとも1種以上の肥料成分、有機顔料、および水溶性樹脂を含有し、水分含量60重量%以上の植物用着色肥料を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物、特に芝用の着色剤としての機能も有する植物用着色肥料に関する。より詳細には、有機顔料を含む植物用着色肥料に関する。
【背景技術】
【0002】
植物一般、とりわけ芝生、特にゴルフ場などの芝生は、その鮮やかな緑色が望まれる状態であり、常時緑色であることが望ましい。このため、品種によって自然に起きる冬場の枯れを防ぎ、緑化期間を最大にすることが関心事となっている。
【0003】
近年、様々な緑色保持技術が提案されている。芝の品種を枯れにくい外来種にすることも考えられるが、高価であり広い範囲の場所に対しては、現実的ではない場合がある。これに対し、芝の葉面に薬剤や肥料を散布する方法は、価格的にも実施しやすい。このような方法としては、複数種の植物ホルモンを混合して散布する方法(特許文献1)がある。しかしながら、薬剤散布による緑葉期の延長期間は長くても4〜8週間程度が限界であり、結局のところ冬の寒い時期には芝が枯れて黄変してしまうのを防止できるまでには至らない。
【0004】
さらに、アルミニウム鉱滓を主原料とする芝の緑葉期延長用土壌改良材(特許文献2)なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−336407号公報
【特許文献2】特開2004−059734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、植物、特に芝生の枯れを防ぎ、かつ芝生が色鮮やかな緑色を呈することができるような着色剤入り肥料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、有機顔料が分散した水溶液の系に、肥料を加えることで、成分同士の電荷の影響による、成分の凝集および沈澱という現象が見出されるも、特定の成分において、解消されることを見出し、前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、分散性良好でありながら、肥料効果と着色効果とを兼ね備えた新規な植物用着色肥料を調製することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、窒素、リン、およびカリウムからなる群より選択される少なくとも1種以上の肥料成分、有機顔料、および水溶性樹脂を含有し、水分含量60重量%以上の植物用着色肥料、に関する。
【0009】
上記植物用着色肥料において、上記肥料成分の植物用着色肥料全体に対する割合としては、窒素全量として0.1〜1.0重量%、水溶性リン酸として0.05〜0.5重量%、および水溶性カリウムとして0.1〜1.0重量%であり得る。
【0010】
上記植物用着色肥料において、上記水溶性樹脂が、膠、ゼラチン、シェラック樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびセルロース系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0011】
上記植物用着色肥料において、さらに、グリセリン、アルキレングリコール、およびアルキレングリコールアルキルエーテルからなる群より選択される1種または2種以上の水溶性有機溶剤を含有し得る。
【0012】
上記肥料成分は、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、チオ尿素、尿素、第二リン酸アンモニウム、および硝酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を溶解させることで得られ得る。
【0013】
上記肥料成分は、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、および第二リン酸アンモニウムからなる群より選択される1種、チオ尿素および尿素からなる群より選択される1種、および硝酸カリウムを溶解させることで得られ得る。
【0014】
上記肥料成分は、尿素、第二リン酸アンモニウム、および硝酸カリウムを溶解させることで得られ得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の植物用着色肥料は、液中の有機顔料と肥料成分との分散性がよく、時間の経過によっても凝集や沈澱を生じにくく、さらに、着色と芝への施肥とを同時に効率よく行うことで、芝の枯れを防ぎ、また、枯れた芝生に対しては、鮮やかな緑色を着色することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、高麗芝に着色肥料を適用した場合の緑化効果を適用なしの場合と比較したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の植物用着色肥料は、窒素、リン、およびカリウムからなる群より選択される少なくとも1種以上の肥料成分、有機顔料、および水溶性樹脂を含有し、水分含量60重量%以上のものである。
【0018】
窒素、リン、およびカリウムからなる群より選択される少なくとも1種以上の肥料成分とは、好ましくは、窒素、リン、およびカリウムの元素のすべてを含み、適宜他の元素も含む肥料成分である。
【0019】
窒素は、窒素全量として、植物用着色肥料の0.1重量%〜1.0重量%含まれることが好ましく、より好ましくは、植物用着色肥料の少なくとも0.2重量%含まれ、0.2重量%〜0.6重量%が好ましく、0.3重量%程度が最も好ましい。その窒素源は、特に限定されず、例えば、尿素、アンモニア性窒素あるいは硝酸性窒素のいずれもが用いられる。
【0020】
リンは、水溶性リン酸として、植物用着色肥料の0.05重量%〜0.5重量%含まれることが好ましく、より好ましくは、植物用着色肥料の少なくとも0.1重量%含まれる。より好ましくは、0.1〜0.3重量%程度含まれ、0.2重量%程度が最も好ましい。
【0021】
カリウムは、水溶性カリウムとして、植物用着色肥料の0.1重量%〜1.0重量%含まれることが好ましく、より好ましくは、植物用着色肥料の少なくとも0.2重量%含まれる。より好ましくは、0.1〜0.3重量%程度含まれ、0.23〜0.25重量%程度が最も好ましい。
【0022】
具体的には、限定はされないが、これらの元素を含み、水溶性樹脂との相溶性に優れるピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、チオ尿素、尿素、第二リン酸アンモニウム、および/または硝酸カリウム等を混合することで、肥料成分を含む植物用着色肥料が調製され得る。
【0023】
好ましくは、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、および第二リン酸アンモニウムからなる群より選択される1種、チオ尿素および尿素からなる群より選択される1種、および硝酸カリウムを溶解させることで、肥料成分を含む植物用着色肥料が調製され得る。
【0024】
特に好ましくは、尿素、第二リン酸アンモニウム、および硝酸カリウムを混合することで、肥料成分を含む植物用着色肥料が調製され得る。これらは、特にインク組成物との相溶性に優れるため、本発明に都合よく用いることができる。
【0025】
本発明で用いられる有機顔料としては、典型的には、単一で緑を発色するもの、青と黄の混合、または青、黄、緑の組み合わせがある。
【0026】
本発明において顔料はこれらの色相を呈するものであれば、構造において限定されるものではなく、マゼンタ顔料、イエロー顔料、及びシアン顔料のいずれであってもよい。有機顔料としては例えば、ペリレン化合物顔料、ペリノン化合物顔料、キナクリドン化合物顔料、キナクリドンキノン化合物顔料、アントラキノン化合物顔料、アントアントロン化合物顔料、ベンズイミダゾロン化合物顔料、ジスアゾ縮合化合物顔料、ジスアゾ化合物顔料、アゾ化合物顔料、インダントロン化合物顔料、インダンスレン化合物顔料、キノフタロン化合物顔料、キノキサリンジオン化合物顔料、金属錯体アゾ化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、トリアリールカルボニウム化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、アミノアントラキノン化合物顔料、ジケトピロロピロール化合物顔料、ナフトールAS化合物顔料、チオインジゴ化合物顔料、イソインドリン化合物顔料、イソインドリノン化合物顔料、ピラントロン化合物顔料、イソビオラントロン化合物顔料、またはそれらの混合物のマゼンタ顔料、イエロー顔料、またはシアン顔料が挙げられる。有機顔料の使用量は特に規定されないが、最終的に得られる植物用着色肥料中で、固形分含量で、通常1〜25重量%となるのが好ましく、さらには、2〜15重量%となることが好ましい。
【0027】
有機顔料を分散させるための水性媒体は、水が好ましく、特には、イオン交換水が好ましい。水性媒体は、植物用着色肥料の50重量%以上、好ましくは、60重量%以上、より好ましくは、70重量%以上の割合で含まれる。必要に応じ、水溶性樹脂や水と相溶する水溶性有機溶剤を添加することができる。
【0028】
水溶性樹脂としては、天然樹脂や合成樹脂など様々な樹脂を用いることができる。たとえば天然樹脂では、膠、ゼラチン、シェラック樹脂等が、合成樹脂ではスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース系樹脂等が挙げられる。本発明では、特に、アクリル系の共重合体が好ましく用いられるがこれに限定されない。本発明では、もし用いられる場合には、水溶性樹脂のインク中の含有量は、特に限定されるものではないが、1〜20重量%の範囲で用いられることが好ましい。さらには、1.5〜5重量%がより好ましい。
【0029】
水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキレングリコール類、グリセリン等の多価アルコール類またはそれらのアルキレングリコールアルキルエーテル類等が挙げられる。水溶性有機溶剤の使用量は、その種類によって異なるが、通常、使用する場合には、植物用着色肥料全体において、好ましくは、1重量%〜10重量%、より好ましくは、2重量%〜5重量%から適宜選択される。
【0030】
本発明の植物用着色肥料には、必要に応じてpH調整剤、防腐剤、または界面活性剤等を添加してもよい。
【0031】
防腐剤としては、用いる場合には、アルキルイソチアゾロン、クロルアルキルイソチアゾロン、ベンズイソチアゾロン、ブロモニトロアルコール、オキサゾリジン系化合物、及びクロルキシレノールからなる群から選択された1種以上の化合物が好ましい。
【0032】
界面活性剤は、適宜、アニオン性、非イオン性、カチオン性、または両イオン性活性剤を用いることができる。
【0033】
アニオン性活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル等が例示される。
【0034】
非イオン性活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系、シリコン系等の非イオン性活性剤が例示される。
【0035】
カチオン性活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等が例示される。
【0036】
両イオン性活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、ホスファジルコリン等が例示される。
【0037】
このような植物用着色肥料の調製方法は特に限定はされないが、例えば、有機顔料を水性媒体と混合する。この時、場合により、水溶性樹脂や水溶性有機溶媒を混合させることもできる。これを、例えば、サンドミル中でガラスビーズとともに数時間分散させ、有機顔料を含有するインク組成物を得る。
【0038】
これとは別に、窒素、リン、およびカリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含む水溶液を、よく混合し、肥料成分の水溶液を調製する。
【0039】
次に、有機顔料を含有するインク組成物に、調製した肥料成分の水溶液を撹拌しながら混合し、本発明の植物用着色肥料を調製する。
【0040】
調製の際の成分添加の順番は、特に限定はされず、この他の方法でもよいが、肥料のプラス電荷とインクのマイナス電荷との引き合わせを少なくし、凝集を防ぐ為に肥料成分の水溶液を有機顔料を含有するインク組成物に撹拌しながら混合して調製する。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の植物用着色肥料は、分散性が良好で、粉末等のような飛散の心配もないために、着色と施肥が必要な、ゴルフ場、一般家庭の庭用に広く用いることができる。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。
【0043】
(実施例1)
青色有機顔料分散水溶液(PSMブルーHB、御国色素社製)1.0重量部、黄色有機顔料分散水溶液(PSMイエローGL、御国色素社製)17.0重量部、緑色有機顔料分散水溶液(PSMグリーンFB、御国色素社製)2.0重量部、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体9.0重量部、ジエチレングリコール5.0重量部、防腐剤(住化エンビロサイエンス社製、ネオシントール5087)0.2重量部、および水63.2重量部とを混合し、ビーズミル(ウィリーエーバッコーヘン社製)中でガラスビーズ〔直径=1.0mm〕とともに循環分散(循環回数20回)させ、有機顔料を含有するインク組成物を得た。
【0044】
これとは別に、尿素0.4重量部、第二リン酸アンモニウム0.2重量部、および硝酸カリウム0.5重量部、水10.0重量部に溶解させ、肥料成分を含む水溶液を調製した。
【0045】
最初に用意しておいたインク組成物に、肥料成分を含む水溶液を88.9:11.1 の割合で混合し、最終的に、有機顔料分散水溶液20重量%(有機顔料の固形分として4%)、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体9.10重量%、ジエチレングリコール5.00重量%、ポリオキシエチレントリデシルエーテル1.5重量%、防腐剤0.15重量%、水63.15重量%、尿素0.40%、第二リン酸アンモニウム0.20重量%、硝酸カリウム0.50重量%となる植物用着色肥料を調製した。
【0046】
(実施例2)
青色有機顔料分散水溶液(PSMブルーHB、御国色素社製)1.0重量部、黄色有機顔料分散水溶液(PSMイエローGL、御国色素社製)17.0重量部、緑色有機顔料分散水溶液(PSMグリーンFB、御国色素社製)2.0重量部、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体9.0重量部、ジエチレングリコール5.0重量部、防腐剤(住化エンビロサイエンス社製、ネオシントール5087)0.2重量部、および水54.7重量部とを混合し、プロペラ撹拌機で1時間撹拌を行い、有機顔料を含有するインク組成物を得た。
【0047】
これとは別に、尿素0.4重量部、第二リン酸アンモニウム0.2重量部、および硝酸カリウム0.5重量部、水10.0重量部に溶解させ、肥料成分を含む水溶液を調製した。
【0048】
最初に用意しておいたインク組成物に、肥料成分を含む水溶液を88.9:11.1 の割合で混合し、最終的に、有機顔料分散水溶液20重量%(有機顔料の固形分として4%)、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体9.10重量%、ジエチレングリコール5.00重量%、ポリオキシエチレントリデシルエーテル1.5重量%、防腐剤0.15重量%、水63.15重量%、尿素0.40%、第二リン酸アンモニウム0.20重量%、硝酸カリウム0.50重量%となる植物用着色肥料を調製した。
【0049】
詳細な成分分析によれば、表1に示すような組成になる。この分析において、最終の肥料成分の測定は、肥料分析法(農林水産省農業環境技術研究所法(1992年版))によった。
【0050】
【表1】

【0051】
(実施例3)
実施例1および2に使用した肥料成分以外でよく用いられる肥料成分とインク組成物との相溶性を調べるために、以下の実験を行った。
【0052】
青色有機顔料分散液(PSMブルーHB、御国色素社製)1.0重量部、黄色有機顔料分散液(PSMイエローGL、御国色素社製)17.0重量部、緑色有機顔料分散液(PSMグリーンFB、御国色素社製)2.0重量部、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体9.0重量部、ジエチレングリコール5.0重量部、防腐剤(住化エンビロサイエンス社製、ネオシントール5087)0.2重量部、および水66.3重量部とを混合し、乳化分散混合機で1時間撹拌を行い、有機顔料を含有するインク組成物を得た。
【0053】
この溶液に、肥料の成分である、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、チオ尿素を、それぞれ単独で、0.5重量部ずつ加えた。その結果、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、およびチオ尿素のいずれも単独で、インク組成物と混合し、沈殿物はほとんど生じなかった。
【0054】
(着色効果の評価)
実施例1で得られた植物用着色肥料の着色効果を評価した。得られた植物用着色肥料を25倍に希釈し、散布量250ml/mで、高麗芝に1回散布し、着色状態を観測した。その結果、その直後には、着色肥料を散布しない場合と比較して、芝生の色が明らかに鮮やかな緑色に変わっていた(図1)。
【0055】
(施肥効果の評価)
実施例1で得られた植物用着色肥料の施肥効果を評価した。得られた植物用着色肥料を25倍に希釈し、散布量250ml/mで、1回散布し、7日毎に着色状態および生育を観測した。その結果、散布後からすぐに、着色肥料を散布しない場合と比較して、芝生の色および生育が明らかに優っていた。
【0056】
(施肥効果の評価)
実施例1で得られた植物用着色肥料の施肥効果を評価した。得られた植物用着色肥料を25倍に希釈し、散布量250ml/mで、姫高麗および高麗の芝生区画に、1日1回散布し、2週間後の根の重量を測定した。測定は、掘り下げ試験測定方法にて行った。すなわち、φ55×110の球根用ホールカッターを用い、目視で最も緑色度の高い箇所の芝生を掘り下げた。掘り下げた土壌付き芝生の土壌を水道水で洗い流し、水を切った。根と地下茎部を切り分け、生重量を測定した。その後50℃で3日間乾燥させ、その乾燥重量を測定した。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
着色肥料を散布しない場合と比較して、芝生の生育が根の重量ベースでも明らかに優っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素、リン、およびカリウムからなる群より選択される少なくとも1種以上の肥料成分、有機顔料、および水溶性樹脂を含有し、水分含量60重量%以上の植物用着色肥料。
【請求項2】
前記肥料成分の植物用着色肥料全体に対する割合で、窒素全量として0.1〜1.0重量%、水溶性リン酸として0.05〜0.5重量%、および水溶性カリウムとして0.05〜0.5重量%である、請求項1記載の植物用着色肥料。
【請求項3】
前記水溶性樹脂が、膠、ゼラチン、シェラック樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびセルロース系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2項記載の植物用着色肥料。
【請求項4】
さらに、グリセリン、アルキレングリコール、およびアルキレングリコールアルキルエーテルからなる群より選択される1種または2種以上の水溶性有機溶剤を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の植物用着色肥料。
【請求項5】
前記肥料成分が、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、チオ尿素、尿素、第二リン酸アンモニウム、および硝酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を溶解させることで得られる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の植物用着色肥料。
【請求項6】
前記肥料成分が、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、および第二リン酸アンモニウムからなる群より選択される1種、チオ尿素および尿素からなる群より選択される1種、および硝酸カリウムを溶解させることで得られる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の植物用着色肥料。
【請求項7】
前記肥料成分が、尿素、第二リン酸アンモニウム、および硝酸カリウムを溶解させることで得られる、請求項1から6までのいずれか1項に記載の植物用着色肥料。

【図1】
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【公開番号】特開2011−162425(P2011−162425A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30356(P2010−30356)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000142920)株式会社呉竹 (24)
【Fターム(参考)】