説明

植物矮小化遺伝子

本発明はアクチベーションタギングによって短小化遺伝子を探索し、単離同定することを課題とする。
本発明によれば、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子が提供される。 (a)配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列からなるタンパク質 (b)配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、植物体を矮小化させる活性を有するタンパク質

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、植物を矮小化させる機能を有する遣伝子、及び該遺伝子を導入した形質転換植物等に関する。
【背景技術】
遺伝子の機能を同定するために、遺伝子と表現型を関連づける変異体を用いることができる。変異体には機能欠失(loss−of−function)型変異体と、機能獲得(gain−of−function)型変異体の2つのタイプがある。
機能欠失変異は多くの生物体において遺伝子の機能を同定するのに用いられてきた。シロイヌナズナでも、多くの変異体が過去数年間に特性づけられ、それらのほとんどが機能劣性又は欠失変異の結果である。シロイヌナズナのゲノム配列が決定され、その遺伝子のほとんどがファミリーに属するか、ゲノム上において密接に関連した配列を有することが明らかとなってきた。
アクチベーションタギングは、シロイヌナズナにおいて開発された未知の遺伝子機能を解析する技術であり、機能獲得型変異体を得ることを可能する。アクチベーションタギングに用いるT−DNAタギングベクターは、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター由来のエンハンサーを有し、Waldenらにより最初に開発された(Hayashi,H.et al.,Science,258,1350−1353,1992)。T−DNAはライトボーダーの近接部位にCaMV 35Sエンハンサーがタンデムに並んでいる。このT−DNAを植物ゲノムにアグロバクテリウムを介して導入すると、エンハンサーの作用で挿入部位近傍の遺伝子が活性化(activate)され、過剰発現するようになり、その結果、植物体の表現型に変化が起こる。これまで、このアクチベーションタギングを利用してシロイヌナズナからホルモンシグナリングに関与する遺伝子(Kakimoto,T.et al.,Scinece,274,982−985,1996)、早期開花表現型に関与する遺伝子(Kadailsky,I.et al.,Sience,286,1962−1965,1999)などが報告されている。
アクチベーションタギングの利点としては、(i)全てのアクチベーションタグ化変異体が優性であるので表現型のスクリーニングがT世代において可能であること、(ii)過剰に働く遺伝子における変異が表現型を生み出すことが予想できること、(iii)活性化された遺伝子と優性変異体の表現型を関連づける高い可能性があることなどである。
シロイヌナズナの減圧浸潤法やflower dipping法を用いた形質転換体の開発に続いて、このT−DNAを植物体に導入して変異体ライン又はアクチベーションタグラインが作成された。CaMV35Sエンハンサーによる遺伝子の活性化は優性の表現型をもたらす。これまでいくつかの優性変異体がアクチベーションタグラインから単離され、その幾つかがファミリーに属する遺伝子における変異によって引き起こされていることがわかってきた。本発明者らはシロイヌナズナのアクチベーションタグラインのスクリーニングから、オーキシン応答と光形態形成に関与する優性変異体df11−D、ならびにダイズのGH3ホモログをコードするこの変異に対応する遺伝子を既に単離している(Nakazawa,M.et al.,Plant J.25,213−221,2001、特開2002−10786号公報)。
本発明は、アクチベーションタギングによって矮小化遺伝子を探索し、単離同定することを目的とする。
【発明の開示】
本発明者らは、シロイヌナズナの約50,000のアクチベーションタグラインのT世代から形態学的変異体のスクリーニングを行ったところ、植物体の矮小化に関連する遺伝子を単離することに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子。
(a)配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、植物体を矮小化させる活性を有するタンパク質
(2) 以下の(c)又は(d)のDNAを含む遺伝子。
(c)配列番号1、3、5、7のいずれかに示す塩基配列からなるDNA
(d)配列番号1、3、5、7のいずれかに示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、植物体を矮小化させる活性を有するタンパク質をコードするDNA
(3)以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a)配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、植物体を矮小化させる活性を有するタンパク質
(4)(1)又は(2)に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
(5)(1)若しくは(2)に記載の遺伝子、又は(4)に記載の組換えベクターを導入した形質転換植物。
(6)植物が、植物体、植物器官、植物組織又は植物培養細胞である、(5)に記載の形質転換植物。
(7)植物が、アブラナ科、ナス科、イネ科及びマメ科からなる群から選択されるいずれかの科に属するものである、(5)又は(6)に記載の形質転換植物。
(8)(1)又は(2)に記載の遺伝子を植物体内で過剰発現を誘導することにより、植物体を矮小化させる方法。
【図面の簡単な説明】
図1は、タグラインZ029218のゲノムへのT−DNA挿入部位のマップを示す。
図2は、タグラインZ043547のゲノムへのT−DNA挿入部位のマップを示す。
図3は、タグラインZ093001のゲノムへのT−DNA挿入部位のマップを示す。
図4は、タグラインZ029732/Z068035のゲノムへのT−DNA挿入部位のマップを示す。
図5は、At4g31910形質転換体(生育6週間目)の写真を示す。
図6は、At4g319用形質転換体(右)と野生株(左)の比較(生育6週間目)を示す写真である。
図7は、At1g04910形質転換体(生育6週間目)の写真を示す。
図8は、At1g04910形質転換体(生育6週間目)の写真を示す。
図9は、At4g35700形質転換体(生育6週間目)の写真を示す。
図10は、At4g35700形質転換体(生育6週間目)の写真を示す。
図11は、At1g49770形質転換体(生育6週間目)の写真を示す。
図12は、At1g49770形質転換体(生育6週間目)の写真を示す。
図13は、野生型種子及びAt1g49770形質転換体種子をそれぞれ乾燥させたものの写真を示す(OX−1〜8:At1g49770形質体ライン名、各パネルの左側:野生型種子(コントロール)、右側:At1g49770形質転換体種子)。
図14は、At1g49770形質転換体種子のDMACA染色によるタンニン検出結果を示す(OX−1〜8:At1g49770形質転換体種子、Col:野生型種子(コントロール))。
以下、本発明を詳細に説明する。本願は、2003年9月12日に出願された日本国特許出願2003−321497号の優先権を主張するものであり、該特許出願の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する
1.本発明の遺伝子の単離
(1)アクチベーションタギング法
本発明の遺伝子は、アクチベーションタギング法により植物遺伝子の転写を活性化した突然変異体を作成し、原因となっている遺伝子をクローニングすることにより取得できる。
具体的には、以下の手順で行うことができる。
(i) アクチベーションT−DNAタギング用ベクターを、アグロバクテリウムを介してシロイヌナズナのゲノムに無作為に挿入し、アクチベーションタグラインを作成する。
(ii) タグラインより採取した種子からT植物を生育させ、あらかじめ設定した表現形質に関する検査項目に基づいて表現形質を記録し、同時にそのデジタルイメージも記録する。
(iii) T世代において野生型と明らかに表現形質の異なる変異株のゲノムからT−DNAを含んだDNA断片をプラスミドレスキューにより回収し、その配列を決定する。
(iv)上記DNA断片を野生型シロイヌナズナに導入して、変異体の表現形質が再現できるかどうかを調べる。
(v)対応するcDNAをクローニングする。
なお、本明細書において、「T世代」とは、形質転換を施した植物世代である「T世代」の植物の種子から得られた植物世代を意味する。「T世代」は、形質転換植物の最初の集合であり、そのトランスジェニック植物が持つ耐性遺伝子に対応する選択剤(例えば抗生物質や除草剤)を用いることによって選択することができる。また、「T世代」とは、トランスジェニックであるとしてあらかじめ選択した「T世代」植物の花を自家受粉して得られる植物世代を意味する。
アクチベーションT−DNAタギング用ベクターとしては、Waldenら(Hayashi,H.et al,Sience,258,1350−1353,1992)の開発したpPCVICEn4HPTを用いることができる。本ベクターは、RBに近接してCaMV 35Sプロモーター中のエンハンサー(−90〜−440)を4つタンデムに持つバイナリーベクターである。このpPCVICEn4HPTを保有するアグロバクテリウムGV3101(pMP90RK)にてシロイヌナズナを形質転換する。形質転換は、シロイヌナズナの地上部をアグロバクテリウム懸濁液に浸けて共存培養するflower dipping法により行うことができる。
植物において観察する表現形質としては、例えば、植物体の高さ、ロゼットの色、抽薹前の葉の数、葉の幅、葉柄の長さ、花の形状、花器の故、開花時間、シュートの不稔性と枝分かれなどが挙げられる。
(2)プラスミドレスキュー法と得られたDNA断片の機能検定
興味深い突然変異体が得られたら、転写活性化によって変異の原因となる遺伝子をクローニングする。クローニングの方法としては、プラスミドレスキュー法が好ましい。具体的には、変異体のDNAを精製し、種々の制限酵素で処理してサザンブロットよりバンドのサイズを確認し、挿入T−DNAを含めて約10〜20kbの断片を与えるような制限酵素を探す。次に、DNAをその制限酵素で処理し、フェノール/クロロホルム処理し、エタノール沈殿した後、リガーゼにて自己ライゲーションを行う。これをコンピテントセル(大腸菌DH10B)にエレクトロポレーションにて導入し、アンピシリンを含む培地にて耐性株を選択した後、通常の方法でプラスミドを選択する。得られたプラスミド中に含まれるゲノムDNA部分のT−DNAとの境界配列を決定し、T−DNAが挿入されたゲノム上の位置を決定する。その位置をもとにエンハンサー配列から6kb以内に翻訳開始点を持つ遺伝子をシロイヌナズナゲノムのデータベース(http://www.mips.biochem.mpg.de)を用いて検索する。これらを候補遺伝子として、植物に導入した遺伝子又は組換えベクターに特異的プライマーを設計し、シロイヌナズナcDNAライブラリーからcDNAを増幅し、クローニングする。これらのcDNA断片をアグロバクテリウムを介して植物に導入し、変異体の表現型が再現されるかどうかを調べる。
cDNAの塩基配列の決定はマキサム−ギルバートの化学修飾法、又はM13ファージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法等の公知手法により行うことができるが、通常は自動塩基配列決定装置(例えばApplied Biosystems社製ABI373シークエンサー、同社310 DNAシークエンサー等)を用いて配列決定が行われる。得られた塩基配列を、DNASIS(日立ソフトウエアエンジニアリング社)等のDNA解析ソフトによって解析し、得られたDNA鎖中にコードされているタンパク質コード部分を見出すことができる。
上記手法により単離同定された本発明の遺伝子は、At4g31910(Z029218)、At1g04910(Z043547)、At4g35700(Z093001)、At1g49770(Z029732,Z068035)である(括弧内はタグラインの名称)。At4g31910、At1g04910、At4g35700、At1g49770の塩基配列をそれぞれ配列番号1、3、5、7に、またAt4g31910、At1g04910、At4g35700、At1g49770によりコードされるアミノ酸配列を配列番号2、4、6、8にそれぞれ示す。
配列番号2、4、6、8のいずれかに示す各アミノ酸配列からなるタンパク質は、植物体を矮小化させることができる限り、当該アミノ酸配列において複数個、好ましくは1若しくは数個のアミノ酸に欠失、置換、付加等の変異が生じてもよい。
例えば、配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列の1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失してもよく、配列番号2、4、6、8にいずれかに示すアミノ酸配列に1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が付加してもよく、あるいは、配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列の1〜10個、好ましくは1〜5個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換してもよい。
また、配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するタンパク質をコードする遺伝子であって、植物体を矮小化させる活性を有するタンパク質をコードする遺伝子もまた本発明の範囲に含まれる。上記70%以上の相同性は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性をいう。
上記アミノ酸の欠失、付加、及び置換は、上記タンパク質をコードする遺伝子を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法又はGapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant−K(TAKARA社製)やMutant−G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキットを用いて変異が導入される。
ここで、本発明において「植物体を矮小化させる活性」とは、本発明の遺伝子を発現させたときの植物体(例えばシロイヌナズナ)の背丈が、野生型の2/3〜1/10、好ましくは1/3〜1/10に減少させる活性を意味する。また、「植物体を矮小化させる活性を有する」とは、上記活性が、配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列を有するタンパク質が有する活性と実質的に同等であることをいう。
本発明の遺伝子はまた、配列番号1、3、5、7のいずれかに示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ植物体を矮小化させる活性を有するタンパク質をコードするDNAを含む。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、相同性が高い核酸、すなわち配列番号1、3、5、7のいずれかに示す塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列からなるDNAの相補鎖がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸の相補鎖がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、ナトリウム濃度が15〜300mM、好ましくは15〜75mMであり、温度が50〜60℃、好ましくは55〜60℃での条件をいう。
いったん本発明の遺伝子の塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、又はクローニングされたcDNAを鋳型としたPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることによって、本発明の遺伝子を得ることができる。さらに部位特異的誘発等によって前記遺伝子をコードする修飾されたDNAを合成することができる。
2.組換えベクター及び形質転換植物の作製
(1)組換えベクターの作製
本発明の組換えベクターは、本発明の上記遺伝子を適当なベクターに挿入することによって作成できる。本発明の遣伝子を植物細胞へ導入し、発現させるためのベクターとしては、pBI系のベクター、pUC系のベクター、pTRA系のベクターが好適に用いられる。pBI系及びpTRA系のベクターは、アグロバクテリウムを介して植物に目的遺伝子を導入することができる。pBI系のバイナリーベクター又は中間ベクター系が好適に用いられ、例えば、pBI121、pBI101、pBI101.2、pBI101.3等が挙げられる。pUC系のベクターは、植物に遺伝子を直接導入することができ、例えば、pUC18、pUC19、pUC9等が挙げられる。また、カルフラワーモザイクウイルス(CaMV)、インゲンマメモザイクウイルス(BGMV)、タバコモザイクウイルス(TMV)等の植物ウイルスベクターも用いることができる。
ベクターに本発明の遺伝子を挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。
本発明の遺伝子は、その遺伝子の機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、ベクターには、プロモーター、本発明の遺伝子のほか、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、5’−UTR配列などを連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ビアラホス耐性遺伝子等が挙げられる。
「プロモーター」としては、植物細胞において機能し、植物の特定の組織内あるいは特定の発育段階において発現を導くことのできるDNAであれば、植物由来のものでなくてもよい。具体例としては、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター(Pnos)、トウモロコシ由来ユビキチンプロモーター、イネ由来のアクチンプロモーター、タバコ由来PRタンパク質プロモーター等が挙げられる。
「ターミネーター」は、前記プロモーターにより転写された遺伝子の転写を終結できる配列であればよい。具体例としては、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tnos)、カリフラワーモザイクウイルスポリAターミネーター等が挙げられる。
「エンハンサー」は、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられ、例えばCaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエンハンサー領域が好適である。
(2)形質転換植物の作製
本発明の形質転換植物は、本発明の遺伝子又はそれを含む組換えベクターを、目的遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。ここで、宿主としては、本発明の遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではないが、植物が好ましい。宿主が植物である場合は、形質転換植物(トランスジェニック植物)は以下のようにして得ることができる。
本発明において形質転換の対象となる植物は、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)又は植物培養細胞のいずれをも意味するものである。
形質転換に用いられる植物としては、アブラナ科、イネ科、ナス科、マメ科等に属する植物(下記参照)が挙げられるが、これらの植物に限定されるものではない。
アブラナ科:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)
ナス科:タバコ(Nicotiana tabacum)
イネ科:トウモロコシ(Zea mays)、イネ(Oryza sativa)
マメ科:ダイズ(Glycine max)
本発明の遺伝子又は組換えベクターを植物中に導入する方法としては、アグロバクテリウム法、PEG−リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソーム法、パーティクルガン法、マイクロインジェクション法等が挙げられる。例えばアグロバクテリウム法を用いる場合は、プロトプラストを用いる場合と組織片を用いる場合がある。プロトプラストを用いる場合は、Tiプラスミドをもつアグロバクテリウムと共存培養する方法、スフェロプラスト化したアグロバクテリウムと融合する方法(スフェロプラスト法)、組織片を用いる場合は、リーフディスクにより対象植物の無菌培養葉片に感染させる方法(リーフディスク法)やカルス(未分化培養細胞)に感染させる等により行うことができる。
遺伝子が植物に組み込まれたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等により行うことができる。例えば、形質転換植物からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。PCRを行った後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出することにより、形質転換されたことを確認することができる。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認する方法でもよい。
形質転換の結果得られる腫瘍組織やシュート、毛状根などは、そのまま細胞培養、組織培養又は器官培養に用いることが可能であり、また従来知られている植物組織培養法を用い、適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライド等)の投与などにより植物体に再生させることができる。
上記のようにして得られる形質転換植物は、代表的には「矮小化」であるが、下記の表現形質もそれぞれ有する。
At4g31910:小ロゼット、丸い葉、上偏成長葉、短い葉柄、短い節間、第一花序に対して広い角度を有する第二花序
At1g04910:小葉、上偏成長葉、異常節間、
At4g35700:小ロゼット、丸い葉、短い節間
At1g49770:頂芽優性の減少、短い節間、タンニン含有量の低下
なお、本明細書における「表現型」という用語は、「表現形質」と同義で用いる。これらは、容易に観察または測定できる植物の形態学的特徴を意味する。
背丈が低いという表現形質は、台風などの風害に強い、穀粒が増えても倒れにくい、例えばイネの場合、苗を植える列数を増やせるために、単位面積当たりの植苗密度をより大きくすることができる、高さが数メートルになる果樹(バナナ、マンゴなど)やヤシの木(ナツメヤシ、ココナツなど)に適用すると果実の収穫作業が容易になる、単位資源(水や肥料など)当たりの収穫高が大きくなる、などの利点がある。
また、葉や花の形状や大きさが変わっているという表現形質は、切花、観葉植物、盆栽植物における商品価値があがる、購買者の興味が引く、などの利点がある。
例えば、At4g31910は矮小化するものの花数・収量が減らないという特徴を有し、園芸的には花の密集度が高まり、農業的には矮小化と収量維持の両方の利点がある。
また、At1g49770は、タンニン含有量の低下という特徴を有するが、これはタンニンの発現量を負に制御できる手段についてはこれまで報告がないという点で注目すべきものであり、例えば、花色の制御、渋みの低減、鉄吸収の阻害抑制、などが可能となる。
3.本発明タンパク質の生産
本発明のタンパク質は、1.で単離した本発明の遺伝子をプラスミドDNA、ファージDNA等の宿主中で複製可能な組換えベクターに連結(挿入)し、該ベクターを大腸菌等の植物宿主以外の宿主に導入して形質転換体を得、該形質転換体を培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。ここで、「培養物」とは、培養上清のほか、培養細胞若しくは培養菌体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。
上記のプラスミドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19、pBluescript等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13、YCp50等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
植物宿主以外の宿主としては、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)等のリゾビウム属に属する細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等の酵母、COS細胞、CHO細胞等の動物細胞、あるいはSf9等の昆虫細胞などを用いることができる。
大腸菌、酵母等の細菌を宿主とする場合は、上記組換えベクターが該細菌中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、本発明の遺伝子、転写終結配列により構成されていることが好ましい。また プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
大腸菌としては、例えばエッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5α、HB101などが挙げられ、枯草菌としては、例えばバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。この場合、プロモーターは、大腸菌等の宿主中で発現できるものであれば特に限定はされず、例えばtrpプロモーター、lacプロモーター、Pプロモーター、Pプロモーターなどの、大腸菌やファージに由来するプロモーターを用いることができる。細菌への組換えベクターの導入方法は、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばカルシウムイオンを用いる方法(Cohen,S.N.et al.:Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,69:2110(1972))、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
酵母を宿主とする場合は、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomycescerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichea pastris)などが用いられる。この場合、プロモーターは酵母中で発現できるものであれば特に限定されず、例えばgal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーター等を用いることができる。酵母への組換えベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞COS−7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスL細胞などが用いられる。この場合、プロモーターとしてSRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター等が用いられ、また、ヒトサイトメガロウイルスの初期遺伝子プロモーター等を用いてもよい。動物細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞などが用いられる。昆虫細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。
上記の形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。
大腸菌や酵母菌等の微生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地は、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等が挙げられる。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、37℃で行う。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導可能なプロモーターを有する発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはIPTG等を培地に添加することができる。また、インドール酢酸(IAA)で誘導可能なtrpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはIAA等を培地に添加することができる。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培地、DMEM培地又はこれらの培地に牛胎児血清等を添加した培地等が挙げられる。培養は、通常、5%CO存在下、37℃で1〜30日行う。培養中は必要に応じてカナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
培養後、本発明のタンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、超音波処理、凍結融解の繰り返し、ホモジナイザー処理などを施して菌体又は細胞を破砕することにより目的のタンパク質採取する。また、本発明のタンパク質が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から本発明のタンパク質を単離精製することができる。
4.植物体を矮小化させる方法
本発明によれば、上記の本発明の遺伝子を植物体内で過剰発現を誘導することにより、植物体を矮小化させる方法もまた提供される。
本発明に係る植物を矮小化する方法は特に形質転換による方法に限定されず、例えば、成長期の植物に対し物質投与、環境ストレス付与などを行うことで本発明にかかる遺伝子の過剰発現を誘導し、当該植物を矮小化する方法なども含むものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。
(実施例1)変異株の作成と遺伝子解析
(1)アクチベーションタグライン及び植物育成条件
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)野生型(Col−0)を白色蛍光管(FL40SW,Sanyo社製)のもとで長日条件(16時間明条件、8時間暗条件)、22℃にて成長させた。
植物をR.Walden博士より提供されたアクチベーションタギングT−DNAベクター(pPCVICEn4HPT:Clough,S.J.and Bent,A.F.,Plant J.,16,735−743,1998;Hayashi,H.,et al.,Science,258,1350−1353,1992)を含有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)GV3101株(pMP90RK)を用い、floral dipping法によって形質転換した。ハイグロマイシン耐性T苗を1mM KNO、0.8%寒天、50mg/lハイグロマイシンを含む基本寒天培地上で7日間選抜し、土壌に移した(Nakazawa,M.and Matsui,M.,Biotechniques,34,28−30,2003)。
植物の生育中に、目で観察できる表現型の変異体、3株をピックアップし(タグライン:Z029218、Z043547、Z093001)、プラスミドレスキューのための材料として幾つかのロゼット葉を育てた。
(2)プラスミドレスキュー及びシロイヌナズナのゲノム内へのT−DNA挿入の同定
約200mgのロゼット葉をスクリューキャップのプラスチックチューブ内に採取した。5つのセラミック粒(CERAMICS YTZ ball,D:3mm;Nikkato社製)及び300μlの溶解緩衝液をその植物材料に添加し、Shake Master(BioMedical Science社製)を用いてホモジナイズした。ゲノムDNAをWizard Magnetic 96 DNA Plant System(Promega社製)を用いて抽出した。抽出用キットに記載される抽出プロトコルを行うのにワークステーションシステム(Tecan genesis workstation 150)を用いた。ゲノムDNAを100μlの容量でBamHIにて一晩処理した。処理したDNAをエタノール沈殿し、8μlの蒸留水に溶解した。DNAを10μlの容量でT4リガーゼ(400units/μl;BioLabs社製)にて一晩室温にてセルフライゲーションした。20μlの大腸菌DH10Bコンピテントセル(Invitrogen社製)を2μlのライゲート溶液でエレクトロポレーションにより形質転換し、アンピシリンを含むLB培地に撒いた。38℃にて一晩インキュベーションした後、一株あたり8コロニーを選び、アンピシリンを含む5mlのLB液体培地にサブカルチャーした。プラスミドDNAをこれらの液体培地から調製し、ゲノム断片を含まないプラスミドと区別できるようにHindIIIにて処理した。
プラスミド中のゲノム断片をLB2プライマー(5’−TGACCATCATACCCATTGCTGATCC−3’)を用いて配列決定した。シロイヌナズナゲノム中のT−DNA挿入部位を同定するために、得られたシーケエンスの結果をNCBIのnon−’edundantデータベースに対するBLASTNプログラムを用いて解析した。
変異体(タグラインZ029218、Z043547、Z093001、Z029732/Z068035)のゲノム上の挿入部位をそれぞれ図1〜4に示す(図1〜4中、細いバーはゲノムDNA、太い矢印は候補遺伝子、細い矢印上の番号はT−DNA上のエンハンサーと候補遺伝子の予想される翻訳開始部位との間の距離を示す)。
(3)ベクターの構築及びトランスジェニック植物の作製
候補遺伝子(At4g31910、At1g04910、At4g35700、At1g49770)のオープンリーディングフレームを光照射して成長させた5日齢の苗より調製したcDNAライブラリーから以下のプライマーを用いてPCRにより増幅した(PCR条件:94℃30秒、60℃30秒、72℃8分)×30サイクル)。


増幅した断片をGateway PCR Cloning System(Invitrogen社製)のマニュアルに従い、pDONR−207ベクターへBP反応(attBとattBの組換え反応)によってクローニングした。配列を確認した後、挿入物を、製造業者の指示に従い、LR Clonase Enzyme Mix(Invitrogen社製)によってpBI−DAVL−GWR1に移した。Gateway Vector Conversion Systemの「リーディングフレームAカセット」をpBI121のGUSコード領域に置換することによって最終のベクター、pBIDAVL−GWR1を作製した。得られたpBIDAVL−GWR1 cDNAをアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)GV3101(pMP90)に導入し、このベクターにてシロイヌナズナ野生型(Col−0)をfloral dipping法にて形質転換した。これより採取した種子を50mg/lのカナマイシン及び100mg/lセフォタキシムを含むGMプレート(ショ糖なし)に撒き、薬剤耐性株を土壌に移し、上記の光条件下グリーンハウスにて成長させた。
図5は、At4g31910形質転換体の写真(生育6週間目)を示す。背丈が低く、節間が短く、茎が短く横に広がっている。また、図6は、At4g31910形質転換体と野生株の比較を示す写真である(生育6週間目)。At4g31910形質転換体は野生株に比べて背丈が3分の1程度である。
図7、8は、At1g04910形質転換体の写真(生育6週間目)を示す。At4g31910形質転換体と同程度に背丈が低く、後から出てくる茎では茎の先端部分に花が密集しているという特徴を有する。図8は、激しく形質が現れている。
図9、10は、At4g35700形質転換体の写真(生育6週間目)を示す。いずれも背丈が低く、ほとんど上方に伸びていない。図10は、激しく形質が現れている。
図11、12は、At1g49770形質転換体の写真(生育6週間目)を示す。いずれも背丈が低く、ほとんど上方に伸びていない。図12は、激しく形質が現れている。
なお、上記遺伝子の形質転換体はT世代である。

また、At1g49770形質転換体については、乾燥種子を2%(w/v)DMACA(p−dimethylaminocinnamal dehyde)/3M HCl/50%(w/v)methanol液に1週間浸し、DMACAのタンニンとの結合による黒色染色を観察した。図13に乾燥種子、図14にタンニン検出結果をそれぞれ示す。野生型種子(コントロール)は黒色を呈し、タンニンが検出されたのに対し、At1g49770形質転換体の種子は染色が薄く、タンニン含量が低下していた。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書に組み入れるものとする。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、植物体を矮小化させる機能を有する遺伝子が提供される。本遺伝子により形質転換した植物は背丈が短くなることから、穀粒の数が増えたときに倒れることなく、また台風などの風害にも強いという効果を有する。
従って、本発明は、植物の矮小化による収量増産、表現形質の多様化などに利用できる。
【配列表】


























【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子。
(a)配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、植物体を矮小化させる活性を有するタンパク質
【請求項2】
以下の(c)又は(d)のDNAを含む遺伝子。
(c)配列番号1、3、5、7のいずれかに示す塩基配列からなるDNA
(d)配列番号1、3、5、7のいずれかに示す塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、植物体を矮小化させる活性を有するタンパク質をコードするDNA
【請求項3】
以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a)配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2、4、6、8のいずれかに示すアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、植物体を矮小化させる活性を有するタンパク質
【請求項4】
請求項1又は2に記載の遺伝子を含む組換えベクター。
【請求項5】
請求項1若しくは2に記載の遺伝子、又は請求項4記載の組換えベクターを導入した形質転換植物。
【請求項6】
植物が、植物体、植物器官、植物組織又は植物培養細胞である、請求項5記載の形質転換植物。
【請求項7】
植物が、アブラナ科、ナス科、イネ科及びマメ科からなる群から選択されるいずれかの科に属するものである、請求項5又は6に記載の形質転換植物。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の遺伝子を植物体内で過剰発現を誘導することにより、植物体を矮小化させる方法。

【国際公開番号】WO2005/026345
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513976(P2005−513976)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013594
【国際出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【Fターム(参考)】