説明

植物育成用照明装置

【課題】効率的かつ低消費電力で植物の育成を可能とする照明装置を提供する。
【解決手段】光合成色素の吸収波長である380〜500nmにピーク発光波長を有し、且つピーク発光波長が互いに5nm以上異なる2種類以上の半導体発光素子と、少なくとも1種類の上記半導体発光素子の光により励起して600〜780nmにピーク発光波長を有した赤色の光を発する赤色蛍光体と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合成を促し、植物を育成するための照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食用または鑑賞用の植物を季節に関係なく育成するための技術が発展してきた。そのような技術の一つとして、人工光を用いた光源がある。植物の光合成に関わる光合成色素の吸光スペクトルは主に青色領域および赤色領域にあり、これらの領域の光が植物育成に重要であると考えられている。そのため、これらの領域の光を生成する植物育成用の光源が広く知られている。
【0003】
植物育成用の光源としては、波長を自由に調整できる発光ダイオード(以下、LEDという)が注目されている。例えば、特許文献1には、400〜480nm(青色)および650〜700nm(赤色)の光をそれぞれ生成するLEDを用いた植物育成用LED光源が開示されている。また、特許文献2には、紫外LEDを用いて、青色光および赤色光を発光する蛍光体をそれぞれ励起することにより、植物の育成に必要な光を供給する、植物育成用の照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−27831号公報(2002年1月29日公開)
【特許文献2】特開2010−29098号公報(2010年2月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
植物の光合成色素には様々な種類があり、それぞれ吸光スペクトルが異なることから、青色領域および赤色領域のいずれも、ブロードなスペクトルを持つ発光スペクトルが有効である。しかし、特許文献1に記載の植物育成用LED光源のように、青色光および赤色光をLEDで発光させた場合、発光スペクトルの半値幅が狭いことから効率的な植物の育成には効果的ではない。
【0006】
また、特許文献2に記載の照明装置は、青色蛍光体および赤色光蛍光体をそれぞれ励起することでブロードな光を得ることが可能であるが、現状青色LEDに比べて紫外光LEDの発光効率が低いこと、ストークスシフトが大きくなることから蛍光体の光変換効率が低くなること、青色蛍光体の励起効率が低いことから、発光効率のよい光源を提供することが難しい。それゆえ、特許文献2に記載の照明装置は、必要な光束を得るためにより多くの動作電力を必要とする。
【0007】
本発明は上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、効率的かつ低消費電力で植物の育成を可能とする照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る植物育成用照明装置は、
380〜500nmにピーク発光波長を有し、且つピーク発光波長が互いに5nm以上異なる2種類以上の半導体発光素子と、
少なくとも1種類の上記半導体発光素子の光により励起して600〜780nmにピーク発光波長を有した赤色蛍光体と、を具備することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、本発明に係る植物育成用照明装置は、植物の光合成色素(クロロフィルa、クロロフィルb、クロロフィルc等)が吸収しやすい青色領域(380〜500nm)および赤色領域(600〜780nm)にピーク発光波長を有する光を供給する。さらに、青色領域においては、ピーク発光波長が互いに5nm以上異なる2種類以上の半導体発光素子を具備しているため、供給できる波長の範囲が広くなっている。そのため、より多種類の光合成色素の吸収波長をカバーすることができる。したがって、効率的に植物を育成することが可能となる。また、青色蛍光体を紫外LEDで励起させて青色光を発光させる場合と比べて、青色の半導体発光素子の発光効率が良さなどから、消費電力を抑えることができる。
【0010】
また、赤色領域の光は、上記半導体発光素子が生成する光で励起する赤色蛍光体により生成するため、赤色LEDで発光させる場合と比べて、半値幅が広く効率的に植物を育成することが可能となる。また、紫外LEDで励起させる場合と比べて、青色の半導体発光素子の発光効率が良いことなどから、消費電力を抑えることができる。
【0011】
また、本発明に係る植物育成用照明装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記2種類以上の半導体発光素子は、クロロフィルaの吸収スペクトルのソーレー帯でのピーク値、ならびに、クロロフィルbおよびクロロフィルcのうちの少なくとも一方の吸収スペクトルのソーレー帯でのピーク値に対して、それぞれ±40nm以内にピーク波長を有することが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、エネルギーを獲得するために機能する主要な光合成色素であるクロロフィルに効果的に光を照射することができ、光合成を促進することができる。
【0013】
なお、ソーレー帯とは、紫〜青色領域の強い吸収帯のことを指す。
【0014】
また、本発明に係る植物育成用照明装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記赤色蛍光体は、ピーク発光波長が互いに異なる2種類以上の赤色蛍光体からなることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、赤色領域において供給できる波長の範囲がより広くなる。そのため、さらに多種類の光合成色素の吸収波長をカバーすることができる。したがって、さらに効率的に植物を育成することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る植物育成用照明装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記赤色蛍光体は、一般式(A):(MIV1−CEu)MVSiN
(一般式(A)中、MIVはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、MVはAl、Ga、In、Sc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0.001≦c≦0.15である)
で表される2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体からなることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、赤色蛍光体の半値幅は約100nmと広いため、当該植物育成用照明装置は、赤色領域においてより供給できる波長の範囲が広い。そのため、より多種類の光合成色素の吸収波長をカバーすることができる。したがって、より効率的に植物を育成することが可能となる。
【0018】
また、一般式(A)中のMIVのMg、CaおよびSrの各原子組成比、またはMIVに対するEuの原子組成比を変えることによって、ピーク発光波長を変えることができる。したがって、植物育成用照明装置の製造において、所望のピーク発光波長を容易に細かく設定することができる。
【0019】
また、本発明に係る植物育成用照明装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記2種類以上の赤色蛍光体は、上記一般式(A)で表される2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体であって、MIVのMg、CaおよびSrの各原子組成比が互いに異なることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、Caに対するSrの原子組成比を上げることによって発光波長を短波長側にシフトできる。一方、Caに対するMgの原子組成比を上げることによって長波長側にシフトできる。したがって、発光波長の異なる2種類以上の赤色蛍光体を容易に製造することができる。
【0021】
また、本発明に係る植物育成用照明装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記2種類以上の赤色蛍光体は、上記一般式(A)で表される2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体であって、MIVに対するEuの原子組成比が互いに異なることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、MIVに対するEuの組成を上げることによって発光波長を長波長側にシフトできる。したがって、発光波長の異なる2種類以上の赤色蛍光体を容易に製造することができる。
【0023】
また、本発明に係る植物育成用照明装置の一形態は、上記の構成に加えて、
500nmより長く600nm未満の緑色光を発する緑色発光体をさらに具備することが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、本発明に係る植物育成用照明装置は緑色領域(500nmより長く600nm未満)の光も発する。緑色領域の光は光合成を引き起こすためのフォトンの能力を示すrelative quantum efficiency(RQE)が高い。また、青色領域および赤色領域の光が届きにくい葉の裏側では、緑色領域の光も光合成に利用していることが知られている。したがって、上記構成を具備する植物育成用照明装置は、葉全体の光合成を促進することができ、さらに効率的に植物を育成することが可能となる。
【0025】
また、緑色領域の光は、人体の視感度特性に優れる。そのため、作業性の向上もなし得る。
【0026】
また、本発明に係る植物育成用照明装置の一形態は、上記の構成に加えて、
少なくとも1種類の上記半導体発光素子の光により励起して500nmより長く600nm未満にピーク発光波長を有した緑色蛍光体をさらに具備することが好ましい。
【0027】
上記構成によれば、本発明に係る植物育成用照明装置は、緑色領域(500nmより長く600nm未満)の光も照射することができる。さらに、緑色蛍光体の発光はブロードであり、緑色領域広範囲の波長を照射することができる。光合成に関与する波長は上述のとおり緑色領域全体にもわたっている。そのため、本発明に係る植物育成用照明装置は、効率的に植物を育成することが可能となる。
【0028】
また、本発明に係る植物育成用照明装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記緑色蛍光体は、(Lu1−xCeAl13(0.001≦x≦0.05)であることが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、緑色蛍光体の半値幅は約100nmと広いため、本発明に係る植物育成用照明装置は、緑色領域において供給できる波長の範囲がより広くなる。そのため、より多種類の光合成色素の吸収波長をカバーすることができる。したがって、より効率的に植物を育成することが可能となる。
【0030】
また、本発明に係る植物育成用照明装置の一形態は、上記の構成に加えて、
複数の上記半導体発光素子が直列に接続された半導体発光素子群が、2以上並列に接続されて構成されており、
且つ、並列に接続された各半導体発光素子群における、各種類の半導体発光素子の個数が半導体発光素子群同士で同一であることが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、並列されている各列の半導体発光素子群は、順方向電圧が同一となる。そのため、各列の電流値をばらつかせることなく駆動することができ、場所による色味(波長)の違いを小さくすることができる。したがって、均一に合成された青色光を植物に供給することができる。
【0032】
また、本発明に係る植物育成用照明装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記2種類以上の半導体発光素子において、ピーク発光波長が同じ半導体発光素子が互いに隣り合わないように配置されていることが好ましい。
【0033】
上記構成によれば、ピーク発光波長が互いに異なる半導体発光素子が隣り合うため、均一に合成された青色光を植物に供給することができる。
【0034】
また、本発明に係る植物育成用照明装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記半導体発光素子は窒化物半導体からなることが好ましい。
【0035】
上記構成によれば、窒化物半導体は、幅広い波長の制御が可能であり、且つ、380〜500nmにおける発光効率が高い。
【0036】
また、本発明には、光合成色素の吸収波長である380〜500nmにピーク発光波長を有し、且つピーク発光波長が互いに5nm以上異なる2種類以上の半導体発光素子を具備することを特徴とする青色光照明装置も含まれる。
【0037】
上記の青色光照明装置の構成によれば、本発明に係る植物育成用照明装置は、植物の光合成色素(クロロフィルa、クロロフィルb、クロロフィルc等)が吸収しやすい青色領域(380〜500nm)にピーク発光波長を有する光を供給し、ピーク発光波長が互いに5nm以上異なる2種類以上の半導体発光素子を具備しているため、供給できる波長の範囲が広くなっている。そのため、より多種類の光合成色素の吸収波長をカバーすることができる。したがって、効率的に植物を育成することが可能となる。また、青色蛍光体を紫外LEDで励起させて青色光を発光させる場合と比べて、青色の半導体発光素子の発光効率が良さなどから、消費電力を抑えることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の植物育成用照明装置は、効率的かつ低消費電力で植物の育成が可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態に係る植物育成用照明装置に具備されるLEDパッケージの断面図である。
【図2】図1に示すLEDパッケージの青色発光領域を構成する青色LEDの配置の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る植物育成用照明装置における、植物への照射の一例を示す図である。
【図4】クロロフィルaおよびクロロフィルbの吸収スペクトルを示す図である。
【図5】フィトクロムの吸収スペクトルを示す図である。
【図6】各波長における相対量子効率を示す図である。
【図7】本発明に係る植物育成用照明装置における、赤色蛍光体の配置の他の例を示す図である。
【図8】本発明に係る植物育成用照明装置における、青色LEDの配置の他の例を示す図である。
【図9】実施例における、各波長の光量子束の測定結果を示す図である。
【図10】実施例における、各波長の光量子束とクロロフィルの吸光係数との積を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
〔第1実施形態〕
本発明に係る植物育成用照明装置の一実施形態(第1実施形態)について、図2、6、8を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る植物育成用照明装置に具備されるLEDパッケージの断面図である。また、図2は、図1に示すLEDパッケージの青色発光領域を構成する青色LEDの配置の一例を示す図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る植物育成用照明装置における、植物への照射の一例を示す図である。
【0041】
第1実施形態に係る植物育成用照明装置においては、図2に示す青色LEDが、青色の光を発して、この光によって、赤色の蛍光を生じる赤色蛍光体が励起されて、赤色光を生じる構成となっている。
【0042】
図1に示すLEDパッケージの青色発光領域を構成する部分の構成は、図2に示すように、基板8上に、3種類のLED素子(半導体発光素子)が配列している。LED素子同士は、配線4によって、接続されている。配線4はカソード電極6とアノード電極7に接続されているが、金5によって中継している。カソード電極6はパッド電極9に接続され、アノード電極7はパッド電極10に接続されている。カソード電極6、アノード電極7、パッド電極9、およびパッド電極10は、いずれも基板8上に設けられている。
【0043】
上述のようにLED素子は3種類から構成されている。そこで、以下では、種類に分けて第1LED素子1、第2LED素子2、第3LED素子3と記載する。第1LED素子1と、第2LED素子2と、第3LED素子3とは、この順で配線4に接続されており、アノード電極7と金5との間に配された1本の配線4に、1つの第1LED素子1と、1つの第2LED素子2と、1つの第3LED素子3とがこの順で直列に接続されており、この列がアノード電極7と金5との間に5つ並列に接続されている。また、金5とカソード電極6との間に配された1本の配線4にも、1つの第1LED素子1と、1つの第2LED素子2と、1つの第3LED素子3とがこの順で直列に接続されており、この列が金5とカソード電極6との間に5つ並列に接続されている。
【0044】
そして、図1を用いて後述するように、上述のように配列した第1〜3LED素子1〜3は、赤色蛍光体12が混ぜ合わされた封止樹脂11で1つに封止されており、この封止された構造と、基板8、パッド電極9、およびパッド電極10とによって図3に示すLEDパッケージ16を形成している。
【0045】
以下、図2に示した構成について詳述する。
【0046】
(半導体発光素子)
第1〜3LED素子1〜3は、光合成色素の吸収波長である380〜500nmにピーク発光波長を有する点では共通しているが、ピーク発光波長が互いに5nm以上異なっている点で異なっている。
【0047】
ここで、自然界には多くの光合成色素が存在しており、例えばクロロフィル、カロテノイド、フィコビリンなどがある。クロロフィルの中にもクロロフィルa、クロロフィルb、クロロフィルc、クロロフィルdなどがあり、さらにクロロフィルaの中にも多数の分子種がある。
【0048】
これら光合成色素の吸収スペクトルは様々であるが、光合成色素の多く(特にクロロフィル)は、可視光の短波長領域においては、380nm〜500nm(青色領域)に吸収スペクトルピークを有する。したがって、第1実施形態に係る植物育成用照明装置では、これら光合成色素が吸収しやすい青色領域に光を発光する。
【0049】
また、LEDの発光スペクトルの半値幅は、せいぜい広くても30nm程度であるため、1種類のLEDで光合成色素の多くの吸収波長をカバーするのは難しい。しかし、第1実施形態に係る植物育成用照明装置では、ピーク波長が5nm以上の波長の異なるLED素子(第1〜第3LED素子)を複数(第1実施形態では3つ)設けることにより、より多種類の光合成色素の吸収波長をカバーしている。なお、この5nm以上の差は、LEDの製造公差などで生じる通常のばらつき範囲を超えたものである。
【0050】
このようにピーク波長が5nm以上の波長の異なるLED素子を複数設けることで、効率的に植物を育成することが可能である。また、青色蛍光体を紫外LEDで励起させて青色光を発光させる場合と比べて、青色の半導体発光素子の発光効率が良さなどから、消費電力を抑えることができる。
【0051】
緑色植物(高等植物、緑藻)等は、エネルギーを獲得するための光合成色素として、クロロフィルaおよびクロロフィルbを主に利用する。換言すれば、光合成色素のなかでクロロフィルはエネルギーを獲得するために機能するため、とりわけ重要性が高い。
【0052】
ここで、クロロフィルaおよびクロロフィルbの吸収スペクトルを図4に示す。ソーレー帯(B帯)において、クロロフィルa(図中のChl a)は、428nmがピーク吸収波長であり、390nmまでピークに対して1/3以上の吸光係数を有する。一方、クロロフィルb(図中のChl b)は、452nmがピーク吸収波長であり、420nmまでピークに対して1/4以上の吸光係数を有する。したがって、第1〜第3LED素子1〜3は、390nm〜460nm付近にピーク発光波長を有することが好ましい。例えば、第1〜第3LED素子1〜3はそれぞれ410nm、430nm、450nmにピーク発光波長を有する構成が挙げられる。あるいは、クロロフィルのピーク吸収波長だけに合わせるならば、後述する第3実施形態のように430nm、450nmにピーク発光波長をもつ2種類のLED素子から構成することもできる。
【0053】
また、珪藻、褐藻等は、エネルギーを獲得するための光合成色素として、クロロフィルaおよびクロロフィルcを主に利用する。クロロフィルcは446、445、452nmがピーク吸収波長であり、クロロフィルbのピーク吸収波長に近い。したがって、上述の構成と同じものを用いることができる。
【0054】
上述のようにクロロフィルは吸収波長に幅をもっているため、第1〜第3LED素子1〜3はクロロフィルのピーク吸収波長の±40nm以内にピーク発光波長があるように構成されている。
【0055】
特に、第1〜第3LED素子1〜3は、多くの生物種に分布するクロロフィルa、クロロフィルbおよびクロロフィルcのうち、少なくとも2つのクロロフィルの吸収スペクトルのソーレー帯でのピーク値に対して、それぞれ±40nm以内にピーク波長を有することが好ましい。特に、緑色植物、珪藻、褐藻等が共通してもつクロロフィルa、ならびに緑色植物がもつクロロフィルbおよび珪藻、褐藻等がもつクロロフィルcのうちの少なくとも一方、の吸収スペクトルのソーレー帯でのピーク値に対して、それぞれ±40nm以内にピーク波長を有することがより好ましい。一例としては、(1)428nmの±40nm以内;(2)452nmの±40nm以内;(3)446nm、445nmまたは452nmの±40nm以内;から選ばれる2つまたは3つにピーク発光波長を有するLED素子群から第1〜第3LED素子1〜3が構成されていることが好ましい。
【0056】
また、光合成色素の一つであるカロテノイドは、抗酸化作用をもち細胞を保護するため必須の色素である。陸上植物の葉緑体にほぼ共通して存在する、β−カロテンは449nm、475nm、ルテインは443nm、470nm、ビオラキサンチンは436nm、466nm、α−カロテンは442nm、471nm、ゼアキサンチンは448nm、475nmに吸収ピーク波長を有している。それぞれの短波長側の吸収ピーク波長はクロロフィルのピーク吸光波長に近いため、第1〜第3LED素子1〜3で作用させることが出来る。さらに第1〜第3LED素子1〜3の何れかが460nm〜480nmのピーク発光波長を有している場合には、上記カロテノイドの長波長側の吸収ピーク波長もカバーすることができる。
【0057】
このように、第1実施形態に係る植物育成用照明装置では、第1〜第3LED素子1〜3が380nm〜500nmの範囲でピーク発光波長を有するため、光合成色素が効率よく光吸収を行うことができる。
【0058】
第1〜第3LED素子1〜3としては、公知のLED素子を用いることができるが、例えば、第1のLED1が430nmでピーク発光波長を有し、第2のLED2が450nmでピーク発光波長を有し、第3のLED3が470nmでピーク発光波長を有する窒化物半導体からなることが好ましい。その理由は、窒化物半導体の活性層のIn組成を変更することでこれらの波長を容易に実現することができるからである。また、窒化物半導体は、発光効率が高いため好ましい。
【0059】
第1実施形態に係る植物育成用照明装置において、第1LED素子1〜3は基板8上で配線4によって直列に接続されている。図2のように1つの第1LED素子1と1つの第2LED素子2と1つの第3LED素子3とがこの順で1つの周期を構成すると仮定した場合、この周期が1周期以上直列に接続されて、且つ、この直列接続されたLEDの合計の順方向電圧をそろえた上で2つ以上並列接続させることで、各列の電流値をばらつかせることなく、駆動することができ、よって、場所による色味の違いを小さくすることができる。このとき各列のLEDは必ずしも、第1、第2、第3LED素子の順番である上記周期を繰り返した構成になっている必要はなく、第1〜3LED素子1〜3それぞれの個数が列同士で一致していればよい。
【0060】
なお、基板8の材料としては、セラミック、シリコン、ガラス等が挙げられる。また、本実施形態では半導体発光素子としてLED素子を用いているが、これに限られず、半導体レーザを用いることもできる。また、複数の半導体発光素子を具備する場合、LED素子と半導体レーザとを組み合わせて用いてもよい。
【0061】
(赤色蛍光体)
図1に示す赤色蛍光体12は、少なくとも1種類のLED素子1〜3の光により励起する、600〜780nmにピーク発光波長を有した蛍光体である。
【0062】
図4に示すように、Q帯(可視光の長波長領域)において、クロロフィルaは600nmがピーク吸収波長であり、クロロフィルbは642nmがピーク吸収波長である。第1実施形態に係る植物育成用照明装置では、これら光合成色素が吸収しやすい赤色領域の光を発する。
【0063】
また、植物の生育に深く関わる色素の1つとしてフィトクロムがある。フィトクロムは植物の花成促進などに関わっている。フィトクロムの吸収スペクトルを図5に示す。フィトクロムには666nmおよび730nmの二つの吸光波長ピークがあり、それらの波長の光を吸収することで発芽、開花の調整をしている。第1実施形態に係る植物育成用照明装置では、フィトクロムが吸収しやすい赤色領域の光を発光する。
【0064】
赤色蛍光体12は、半値幅が50nm以上のブロードな赤色光(600〜780nm)を発する蛍光体を使用する。このような赤色蛍光体12を使用すれば、赤色発光するLEDと比べて半値幅が広いため、効率的に植物を育成することが可能となる。また、紫外LEDを用いて赤色蛍光体を励起させる場合と比べて、青色の半導体発光素子(第1〜第3LED素子1〜3)の発光効率が良いことなどから、照明装置全体として消費電力を抑えることができる。
【0065】
具体的には、赤色蛍光体12は、上記クロロフィルaおよびクロロフィルbのピーク吸収波長にあわせて、例えば650nmにピーク発光波長を持つ赤色蛍光体を使用することができる。
【0066】
例えば、赤色蛍光体12としては、一般式(A):(MIV1−CEu)MVSiN(一般式(A)中、MIVはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、MVはAl、Ga、In、Sc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0.001≦c≦0.15である)で(実質的に)表される2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体が好ましい。当該2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体の半値幅は約100nmと広いため、赤色領域においてより供給できる波長の範囲が広い。そのため、より多種類の光合成色素の吸収波長をカバーすることができ、より効率的に植物を育成することが可能となる当該2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体を用いる場合、ピーク発光波長は600〜710nm程度に合わせればよい。
【0067】
さらに、赤色蛍光体12は、ピーク発光波長が互いに異なる2種類以上の赤色蛍光体からなることが好ましい。赤色領域において供給できる波長の範囲がより広くなり、さらに多種類の光合成色素の吸収波長をカバーできるからである。2種類以上の赤色蛍光体は、例えば、一般式(A)において、MIVのMg、CaおよびSrの各原子組成比を変えることによって実現することができる。Caに対するSrの原子組成比を上げると短波長側にシフトし、Caに対するMgの原子組成比を上げると長波長側にシフトする。また、2種類以上の赤色蛍光体は、一般式(A)において、MIVに対するEuの原子組成比を変えることによっても実現することができる。MIVに対するEuの原子組成比を上げると長波長側にシフトする。
【0068】
2種類以上の赤色蛍光体は、上記一般式(A)で表される2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体であって、MIVのMg、CaおよびSrの各原子組成比が互いに異なることが好ましい。また、上記2種類以上の赤色蛍光体は、上記一般式(A)で表される2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体であって、MIVに対するEuの原子組成比が互いに異なることが好ましい。
【0069】
また、フィトクロムの730nmの吸収ピークに対応する蛍光体として、GdGa12:Cr蛍光体をさらに付加してもよい。GdGa12:Crは、半導体発光素子の光の波長(青色領域)をよく吸収して励起し、近赤外光(730nm付近にピークを有する)を発光する。
【0070】
2種類以上の赤色蛍光体は樹脂に同時に混ぜ合わせてもよいし、2種類以上の赤色蛍光体をLED素子側から順に別々に混ぜ合わせてもよい。
【0071】
(緑色発光体)
第1実施形態に係る植物育成用照明装置は、500nmより長く600nm未満の波長を有する緑色光を発する緑色発光体をさらに具備することが好ましい。
【0072】
光合成を引き起こすためのフォトンの能力を示す相対量子効率(RQE:relative quantum efficiency)と波長との関係を図6に示す。図6からわかるように、緑色領域(500〜600nm)におけるRQEは高く、光合成に関与すると考えられる。現に、青色領域および赤色領域の光が届きにくい葉の裏側では、緑色領域の光も光合成に利用していることが知られている。したがって、本実施形態の照明装置が緑色蛍光体をさらに具備している場合には、葉全体の光合成を促進することができ、さらに効率的に植物を育成することが可能となる。また、緑色領域の光は、人体の視感度特性に優れるため、作業性の向上も期待できる。
【0073】
緑色発光体としては、500nmより長く600nm未満の緑色光を発するLED、蛍光体等が挙げられる。緑色発光体はピーク発光波長が互いに異なる2種類以上の緑色発光体からなってもよく、2種類以上の緑色発光体はLEDと蛍光体との組み合わせでもよい。また、緑色光を発するLEDは、第1〜第3LED素子1〜3とは別の電源により駆動させてもよいし、第1〜第3LED素子1〜3と直列または並列に接続してもよい。
【0074】
第1実施形態に係る植物育成用照明装置はまた、第1〜第3LED素子1〜3の少なくとも1つの光により励起して480〜600nmにピーク発光波長を有した緑色蛍光体を具備することが好ましい。緑色蛍光体の発光はブロードであり、緑色領域広範囲の波長を照射することができるからである。光合成に関与する波長は上述のとおり緑色領域全体にもわたっている。そのため、第1実施形態に係る植物育成用照明装置は、効率的に植物を育成することが可能となる。
【0075】
このような緑色蛍光体としては、(Lu1−xCeAl13(0.001≦x≦0.05)が好ましい。この緑色蛍光体の半値幅は約100nmと広いため、緑色領域において供給できる波長の範囲がより広くなるからである。そのため、より多種類の光合成色素の吸収波長をカバーすることができる。したがって、より効率的に植物を育成することが可能となる。
【0076】
また、緑色蛍光体はピーク発光波長が互いに異なる2種類以上の緑色蛍光体からなってもよい。また、緑色蛍光体は発光スペクトルが互いに異なる2種類以上の緑色蛍光体からなってもよい。
【0077】
2種類以上の緑色蛍光体は樹脂に同時に混ぜ合わせてもよいし、2種類以上の緑色蛍光体をLED素子側から順に別々に混ぜ合わせてもよい。また、緑色蛍光体は赤色蛍光体12と同時に混ぜ合わせてもよいし、LED素子側から順に別々に混ぜ合わせてもよい。
【0078】
(照射例)
第1実施形態に係る植物育成用照明装置は、例えば、図3に示すように、天板15に取り付けられ、アルミフレーム17で覆われた状態で、鉢19中の土20に植えられている任意の植物18に向けて光を照射することができる。これにより植物の生育(発芽、開花などを含む)を促進することができる。なお、図3のような植物18に限らず、水中で生育する植物または藻類に照射して、育成を促進することもできる。
【0079】
なお、各種類のLED素子ごとに個別の電源回路を用意し、種類ごとに独立に制御することによって、スペクトルを自在に操ることもできる。これにより植物の種類または生育段階に応じてより好ましい波長の光を供給することができる。
【0080】
〔第2実施形態〕
本発明に係る植物育成用照明装置の他の実施形態(第2実施形態)について、図7を参照しつつ説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る植物育成用照明装置を示す図である。
【0081】
上述の第1実施形態では、第1〜第3LED素子1〜3が複数列直列に接続され、且つ、複数列並列に接続されており、それを全体的に1つの封止樹脂(蛍光体含有封止樹脂)で封止した構造である。これに対して、第2実施形態に係る植物育成用照明装置は、図7に示すように、基板8上に、LED素子ごとに封止樹脂で封止した構造となっており、封止したパッケージが6つほど配線4によって直列に接続され、且つ、その列が4列ほど並列に接続された構成となっており、配線4は電源14に接続されている。また、各LED素子を封止する封止樹脂は、第1実施形態の樹脂と同様に、少なくとも赤色蛍光体12が混ぜ合わされた蛍光体含有封止樹脂13である。
【0082】
各LED素子1〜3の材料は第1実施形態と同様である。第2実施形態に係る植物育成用照明装置は、第1実施形態と同様に、直列接続されたLED素子の合計の順方向電圧が、並列されたLED素子群同士でそろっている。そのため、各列の電流値をばらつかせることなく駆動でき、場所による色味(波長)の違いを小さくすることができる。
【0083】
赤色蛍光体12の材料は第1実施形態と同様である。赤色蛍光体12が2種類以上からなる場合、各LED素子を封止する蛍光体含有封止樹脂13に全種類の赤色蛍光体12が混ぜ合わされている必要はない。例えば、LED素子1の光をよく吸収する赤色蛍光体12をLED素子1のみに設け、LED素子2の光をよく吸収する赤色蛍光体12をLED素子2のみに設けるような形態でもよい。この場合、効率よく赤色蛍光体を励起することができる。
【0084】
本実施形態においても、緑色発光体を含んでよい。緑色発光体については、第1実施形態と同様である。
【0085】
〔第3実施形態〕
本発明に係る植物育成用照明装置の他の実施形態(第3実施形態)について、図8を参照しつつ説明する。図8は、本発明の第3実施形態に係る植物育成用照明装置(青色光照明装置)における、青色発光領域を構成するLED群の配置の一例を示す図である。
【0086】
上述の第1実施形態では、3種類の青色LED素子(第1〜第3LED素子)を用いている。これに対して、第3実施形態では、クロロフィルのピーク吸収波長だけに合わせて430nm、450nmにピーク発光波長をもつ2種類のLED素子(半導体発光素子)から青色発光領域を構成するLED群を構成している。
【0087】
そして、第1LED素子1および第2LED素子2は配線4によって直列に接続されている。さらにそのLED素子群が7つ並列に接続されている。ここで、本実施形態では、図8に示すように、ピーク発光波長が同じLED素子が互いに隣り合わないように網目状に配置されている。つまり、各LED素子群において、LED素子1とLED素子2とが交互に直列に接続され、さらに各LED素子群はLED素子1とLED素子2とが隣り合わないように並列に接続されている。したがって、第3実施形態に係る植物育成用照明装置は、均一に合成された青色光を植物に供給することができる。
【0088】
本実施形態では、2種類のLED素子を具備しているが、3種類以上のLED素子を具備して、それらが互いに隣り合わない配置としてもよい。当該配置パターンは多数あるが、具備している全種類のLED素子が全体に均等に配置されていることが好ましい。例えば、3種類のLED素子(LED素子1〜3)がある場合において、あるLED素子群ではLED素子1、2、3の順番に繰り返し並べられ、その隣のLED素子群ではLED素子2、3、1の順番に繰り返し並べられ、さらにその隣のLED素子群ではLED素子3、1、2の順番に繰り返し並べられ、さらにその隣のLED素子群ではまたLED素子1、2、3の順番に繰り返し並べられ、同じように順に並列させることによって、3種類のLED素子1〜3が全体に均等に配置することができる。
【0089】
なお、本実施形態においても、赤色蛍光体および緑色発光体については、第1実施形態および第2実施形態と同様に適用することができる。
【0090】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0091】
以下に、本発明の植物育成用照明装置の一実施例を説明する。本実施例では、図8に示す構成の一実施例を説明する。
【0092】
本実施例の植物育成用照明装置は、430nmにピーク発光波長を有するLEDチップと、450nmにピーク発光波長を有するLEDチップとをそれぞれ複数個準備し、図8のように1つのセラミック基板上に網目状に当該LEDチップを配列して、それぞれをシリコン樹脂によりペーストして青色発光領域の構成を作製した。
【0093】
その後、LEDチップからの発光の光量子束と、赤色蛍光体からの発光の光量子束とが1:1になるように赤色蛍光体の量を調節し、シリコン樹脂を混ぜ合わせ、LEDチップを封止して、2波長LEDの照明装置を作成した(実施例)。
【0094】
比較対象として、実施例の構成のうち、430nmのLEDチップを450nmに置き換えた構成の1波長LEDの照明装置を作成した(比較例)。
【0095】
実施例および比較例の発光スペクトルを分光放射計(大塚電子株式会社、LE3x00シリーズ)によりそれぞれ測定した。その結果を図9に示す。図9は、各波長の光放射束に相当するスペクトルを表す。
【0096】
この各スペクトルに対するクロロフィルへの影響を評価するために、クロロフィル吸光係数と各波長の光放射束とを掛け合わせ、積分強度を比較した。その結果を図10に示す。吸光係数×光放射束の積分値は、2波長LED(実施例)では308797であり、1波長LED(比較例)では298504であり、約10000の改善が見られた。したがって、430nmおよび450nmにピーク発光波長を有する2波長LED・赤色蛍光体(実施例)の照明装置の方がクロロフィルを活性化させ、植物の生育を促進すると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の植物育成用照明装置により、効率的かつ低消費電力で植物を育成することが可能となる。また、医療の分野で応用することも可能である。例えば、クロロフィルは癌細胞に吸着しやすいため、光で励起して一重項酸素分子を作らせることで癌細胞を選択的に破壊する方法が知られている。この際、本発明の植物育成用照明装置を用いれば、クロロフィルをより効率的に励起させることができる。
【符号の説明】
【0098】
1 LED素子(半導体発光素子)
2 LED素子(半導体発光素子)
3 LED素子(半導体発光素子)
4 配線
5 金
6 カソード電極
7 アノード電極
8 基板
9 パッド電極(カソード)
10 パッド電極(アノード)
11 封止樹脂
12 赤色蛍光体
13 蛍光体含有封止樹脂
14 電源
15 天板
16 LEDパッケージ
17 アルミフレーム
18 植物
19 鉢
20 土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
380〜500nmにピーク発光波長を有し、且つピーク発光波長が互いに5nm以上異なる2種類以上の半導体発光素子と、
少なくとも1種類の上記半導体発光素子の光により励起して600〜780nmにピーク発光波長を有した赤色蛍光体と、
を具備することを特徴とする植物育成用照明装置。
【請求項2】
上記2種類以上の半導体発光素子は、クロロフィルaの吸収スペクトルのソーレー帯でのピーク値、ならびに、クロロフィルbおよびクロロフィルcのうちの少なくとも一方の吸収スペクトルのソーレー帯でのピーク値に対して、それぞれ±40nm以内にピーク波長を有することを特徴とする請求項1に記載の植物育成用照明装置。
【請求項3】
上記赤色蛍光体は、ピーク発光波長が互いに異なる2種類以上の赤色蛍光体からなることを特徴とする請求項1または2に記載の植物育成用照明装置。
【請求項4】
上記赤色蛍光体は、一般式(A):(MIV1−CEu)MVSiN
(一般式(A)中、MIVはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、MVはAl、Ga、In、Sc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0.001≦c≦0.15である)
で表される2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体からなることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の植物育成用照明装置。
【請求項5】
上記赤色蛍光体は、ピーク発光波長が互いに異なる2種類以上の赤色蛍光体からなり、
上記2種類以上の赤色蛍光体は、上記一般式(A)で表される2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体であって、MIVのMg、CaおよびSrの各原子組成比が互いに異なることを特徴とする請求項4に記載の植物育成用照明装置。
【請求項6】
上記赤色蛍光体は、ピーク発光波長が互いに異なる2種類以上の赤色蛍光体からなり、
上記2種類以上の赤色蛍光体は、上記一般式(A)で表される2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体であって、MIVに対するEuの原子組成比が互いに異なることを特徴とする請求項4に記載の植物育成用照明装置。
【請求項7】
500nmより長く600nm未満の緑色光を発する緑色発光体をさらに具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の植物育成用照明装置。
【請求項8】
少なくとも1種類の上記半導体発光素子の光により励起して480〜600nmにピーク発光波長を有した緑色蛍光体をさらに具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の植物育成用照明装置。
【請求項9】
上記緑色蛍光体は、(Lu1−xCeAl13(0.001≦x≦0.05)であることを特徴とする請求項8に記載の植物育成用照明装置。
【請求項10】
複数の上記半導体発光素子が直列に接続された半導体発光素子群が、2以上並列に接続されて構成されており、
且つ、並列に接続された各半導体発光素子群における、各種類の半導体発光素子の個数が半導体発光素子群同士で同一であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の植物育成用照明装置。
【請求項11】
上記2種類以上の半導体発光素子において、ピーク発光波長が同じ半導体発光素子が互いに隣り合わないように配置されていることを特徴する請求項1〜10のいずれか1項に記載の植物育成用照明装置。
【請求項12】
上記半導体発光素子は窒化物半導体からなることを特徴する請求項1〜11のいずれか1項に記載の植物育成用照明装置。
【請求項13】
光合成色素の吸収波長である380〜500nmにピーク発光波長を有し、且つピーク発光波長が互いに5nm以上異なる2種類以上の半導体発光素子を具備することを特徴とする青色光照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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