説明

植物防疫製品(phytosanitaryproduct)を含む固形配合物

水不溶性で固体の植物防疫製品を含む液体組成物を含む固形配合物。特に水中への分散中に植物防疫製品のナノ粒子の形成を可能とする固形配合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に不溶の固形植物防疫製品を含む液体組成物を含む固形配合物に関する。特に本発明は、水中に分散する植物防疫製品のナノ粒子形成を可能とする固形配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
農業は、肥料または殺虫剤、除草剤もしくは殺菌剤などの農薬等の多くの活性材料を使用する。これらは植物防疫製品と呼ばれる。通常これらの活性材料または植物保護製品は、純粋にその物質のみ、または高濃度の処方で生産される。農場ではこれらは低濃度で使用されるべきである。そのため農家が簡単に重量で希釈できるように、通常、活性材料は他の成分と共に処方される。これらは植物防疫製剤と呼ばれる。一般に農家によって行われる希釈は、植物防疫製剤を水と混合することにより行われる。
【0003】
従って、植物保護製品が正しく分散された、例えば溶液、エマルジョン、サスペンジョンまたはサスポエマルジョンの形態の生成物が得られるように、植物防疫製剤は農家が簡単に重量で希釈することができるべきである。そして、植物保護製剤は、比較的濃度の高い形態の、簡単な包装の、および/または最終ユーザーの取り扱いの簡単な植物防疫製品の輸送を可能とする。様々な植物保護製品に従って、様々なタイプの植物防疫製剤を用いることができる。例えば、乳剤(EC)、可溶性粉末(WP)および水分散性顆粒(WDG)を挙げることができる。使用できる剤形は、植物防疫製品の物理的形態(例えば固体または液体)および水または溶剤等他の化合物の存在下での物理化学的特性に依存する。
【0004】
農家での水の混合等による重量希釈後は、植物防疫製品は様々な物理的形態をとることができる:溶液、固形粒子分散体、製品の液滴粒子の分散体、製品が溶解した溶媒の液滴粒子等。通常、植物防疫製剤はこれらの物理的形態をとることを可能とする化合物を含む。例えば、それらは界面活性剤、溶剤、分散剤の無機担体であってもよい。これらの化合物は、かなり多くの場合、活性特性を有していないが、製剤補助のための中間特性(intermediary nature)を有している。したがって、コストおよび/または環境不適応性を抑えるために、かなり多くの場合、その量を制限することが望まれる。植物防疫製剤は、特に液体または粉または顆粒等の固体であってもよい。
【0005】
特許文献1は植物防疫製品および比較的少量の両親媒性化合物含むナノ粒子について記載している。これらのナノ粒子は、より大きいサイズの粒子と比較して効果が増加するなどの様々な利点を有する。すなわち、当該文献は液体組成物を水に混合することによるナノ粒子の生成ついて記載している。
【特許文献1】国際公開番号WO02/082900パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実用的理由で、好ましくは、固体の植物防疫製剤を使用することが望ましいであろう。その剤形は、取扱や梱包がしやすく、また輸送が簡単であるという利点を有する。
【0007】
今回、輸送および包装、また効力に関しても前記の利点を有する新規タイプの植物防疫製剤の発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、有機または無機のマトリックスに分散された、吸収された、または吸着された水不溶性で固体の植物防疫製品を含む液体組成物を含み、以下を特徴とする固形配合物を提案する:
− 植物防疫製品は25℃で水に不溶であり、
− 液体組成物は以下のものを含み:
− 少なくとも5重量部、好ましくは少なくとも25重量部、さらに好ましくは少なくとも50重量部の植物防疫製品、
− 植物防疫製品を溶解する溶剤、および
− 100重量部の少なくともひとつの両親媒性化合物、
− 当該溶剤、当該両親媒性化合物およびそれらの割合は、使用条件下のそれらの混合物が、有機マトリックスまたは無機もしくは有機マトリックスに含まれるバインダーおよび/もしくは分散剤の任意の存在下で、少なくとも一部水混和性であるようなものであり、
− さらに、当該固形配合物は、水と混合後、植物防疫製品を含むナノ粒子の水中分散体を形成する。
【0009】
また、本発明は、植物防疫製品を含むナノ粒子を作製する工程に関し、固形配合物を水と混合するステップを含む。この工程は、有利には農家によって行われる。その結果、固形配合物は「タンクミックス(tank-mix)」製剤と呼ぶことができる。
【0010】
植物防疫製品が分散され、吸収され、または吸着され、その結果、界面特性等の物理化学的特性が改質された固形配合物のナノ粒子が生成できる実現性は驚くべき効果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
定義
本明細書中において、水不溶物質とは、蒸留水中に1重量%、25℃で、肉眼によって観察できる相分離を示す物質を意味する。
【0012】
本明細書中において、水混和性液体または混合物とは、水と液体または混合物の総重量に対して0重量%(水のみ)から99重量%の間、25℃で、肉眼によって観察できる相分離を示さない液体または混合物を意味する。
【0013】
本明細書中において、水と一部混和性の液体または混合物とは、水と液体または混合物の総重量に対して0重量%(水のみ)から25重量%の間、25℃で、肉眼によって観察できる相分離を示さない液体または混合物を意味する。
【0014】
本明細書中において、ナノ粒子とは1060nm未満の固形粒子を意味する。該ナノ粒子は、通常、液体中に分散された形態にある。粒度は、重量または体積メジアン値での直径(メジアン直径)と定義され、水中のサスペンションと仮定する標準湿式型(3OHD)の多分散理論モデルおよびプレゼンテーションを用いたMalvern Mastersizer S機(例えば、バージョン2.18)を使用して測定される。重量または体積メジアン直径とは、測定されたサンプルの50重量または体積%がより小さい直径を有し、測定されたサンプルの50重量%がより大きな直径を有するということである。ナノ粒子が1060nmより大きい粒子を含むことは、排除できない。好ましくは、ナノ粒子の少なくとも75重量または体積%の直径が1060nmより小さく、より好ましくは400nmより小さい。粒度は無機または有機担体マトリックスの非存在下で測定される。その担体が分散して存在する場合は、測定前にデカンテーションおよび/またはろ過等により取り除く。
【0015】
固形配合物の一般的な実施例
最初の実施例によると、固形配合物はドライエマルジョン(DE)であり、液体組成物の含有物が分散している有機マトリックスを含む。一般に、ドライエマルジョンのマトリックスは水溶性または水分散性の重合体を含む。ドライエマルジョンおよびそれらの作製過程は、特に、文献WO97/15385(R 95139G1)、WO00/26280(R 98145)、WO02/32563(R 00137)、WO03/006148(R 01103)、WO99/55819、US3971852、WO97/15386(R 95140)、WO97/15387(R 95141)、WO99/38611(R 98011)およびWO99/38945(R 98010)に記載されている。
【0016】
2番目の実施例によると、固形配合物は可溶性粉末(WP)であり、液体組成物を吸収もしくは吸着する無機または有機担体マトリックスを含み、また水中での無機担体の分散を促進するための薬剤を含む。
【0017】
3番目の実施例によると、固形配合物は水分散性顆粒(WDG)であり、液体組成物を吸収もしくは吸着する無機または有機担体マトリックスの凝集物を含み、任意に水中での担体の分散を促進するためのバインダーおよび/または分散剤を含む。一般に、無機担体マトリックスは、顆粒を形成するために凝集させた粉体である。該粉体は、通常、0.5〜50μmの粒子径とすることができる。該顆粒は、通常、少なくとも0.1mmの直径の粒子径を有することができ、例えば直径0.1〜3mmである。該顆粒が押し出しによって作製される場合には、該顆粒は、通常、長さ1〜6mm、直径または幅が0.2〜2mmの円形等の断面を有する筒状の形態とすることができる。水中への分散後に、適度に攪拌することで、顆粒の凝集は解砕され、無機または有機担体マトリックスが懸濁液中で噴霧装置を通過することのできる小粒子を形成する。ひとつの有利な形態によると、5分間水中で顆粒を攪拌した後、150μmのろ過スクリーン上の残渣は解砕された凝集粒子の0.01重量%未満であり、有利には、53μmのろ過スクリーン上で0.5重量%未満である。
【0018】
成分
本発明の固形配合物に含むことができる成分の様々なタイプについて、以下に詳述する。
【0019】
植物防疫製品
適切な活性材料の非限定的な実施例として、とりわけ列挙することができるのは、アメトリン、ジウロン、リヌロン、クロルトルロン、イソプロチュロン、ニコスルフロン、メタミトロン、ダイアジノン、アクロニフェン、アトラジン、クロロタロニル、ブロモキシニル、ブロモキシニルへプタン酸塩、ブロモキシニルオクタン酸塩、マンコゼブ、マンネブ、ジネーブ、フェンメディファム、プロパニル、フェノキシフェノキシ製品のシリーズ、ヘテロアリールオキシフェノキシ製品のシリーズ、CMPP、MCPA、2,4−D、シマジン、イミダゾリノンシリーズの活性製品、有機リン製品群、特にアジンホスエチルを含むもの、アジンホスメチル、アラクロール、クロルピリホス、ジクロホップメチル、フェノキサプロップ−p−エチル、メトキシクロール、シペルメトリン、フェノキシカルブ、シモキサニル、クロロタロニル、ネオニコチノイド殺虫剤、アザコナゾール等のトリアゾール殺菌剤群、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、ミクロブタニル、テブコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール;ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、アゾキシストロビン、ファモキサドン、クレソキシムメチルおよびトリフロキシストロビン等のストロビルリン類;ならびにベンスルフロンメチル、クロリムロンエチル、クロルスルフロン、メトスルフロンメチル、ニコスルフロン、スルホメチュロンメチル、トリアスルフロンおよびトリベヌロンメチル等のスルホニル尿素類である。
【0020】
水に不溶の製品は以下の例示から選択される。
【0021】
溶剤
液体組成物は植物防疫製品が溶ける溶剤を含む。これは水以外の溶剤である。溶剤の性質は植物防疫製品に依存する。植物防疫製剤にしばしば使用される溶剤としては、ソルベッソ(登録商標)等の炭化水素画分、脂肪酸のC1〜C4エステル類、およびメタノール等のアルコール類が挙げられる。
【0022】
特に使用できる溶剤を、以下に述べる:
− 任意にアルコキシ基、好ましくはメトキシ基もしくはヒドロキシル基を含む、2〜15の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和のモノカルボン酸またはジカルボン酸と、1〜13の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和のモノアルコールまたは多価アルコールとのエステル類;
− C2〜C5アルキル基およびリン酸トリブチル(TBP)等のC2〜C5アルキル基を有するアルキルホスホン酸を含むリン酸モノエステル、リン酸ジエステルおよび/またはリン酸トリエステル;
− 同一または異なる基が1〜5の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖のアルキル基であるケトン類;
− 少なくとも1つの窒素原子および/または少なくとも1つの酸素原子および/または少なくとも1つの硫黄原子を含む複素環式誘導体;
− 多価アルコールモノエーテル類または多価アルコールポリエーテル類;
− DMSO(ジメチルスルホキシド);
− 乳酸エステル類;
− グリセリルカルボネート;
− THFA(テトラヒドロフルフリルアルコール);
− 例えばGenagene(登録商標)という商品名でクラリアント社が販売するカルボン酸ジメチルアミド類、特に、文献US5206225に記載されている;
− 例えばピューラック社が販売する乳酸塩エステル類、特に、文献WO03/075657に記載されている;
− 単独でまたは混合物として。
この例示は完全ではない。
【0023】
カルボン酸エステル類に関しては、さらに詳しくは、酢酸エステル、カプリル酸エステル、オクタン酸エステル、デカン酸エステル、ドデカン酸エステル、ラウリン酸エステルおよびラウロレイン酸エステルから、単独でまたは混合物として選択することができる。酸がジカルボン酸であるとき、好ましくは2つのカルボキシル基はエステル化した形である。さらに好ましくは、エステルを形成するアルコールはモノアルコールである。
【0024】
動物または好ましくは植物起源のトリグリセリドのアルコーリシス(特にメタノリシスまたはエタノリシス)から得られた製品を使用することは本発明からは逸脱しない。列挙することのできる適切なトリグリセリドの例として、ラッカセイ油、綿実油、亜麻仁油、オリーブ油、パーム油、グレープシードオイル、ダイス油、ヒマシ油、菜種油、やし油またはココナツ油を含む。
【0025】
適切なケトン類の中では、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンを単独で、または混合物として列挙することができる。
【0026】
少なくとも1つの窒素原子および/または少なくとも1つの酸素原子および/または少なくとも1つの硫黄原子を含む複素環式誘導体に関しては、特にN−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン類等を挙げることができ、特にN−メチルピロリドンが好ましい。
【0027】
多価アルコールモノエーテルまたはポリエーテルに関しては、好ましくは、それらのエーテル部分が1〜4の炭素原子を含む1つ以上のアルキル基を含むものである。多価アルコール由来の当該部分に関しては、好ましくは、後者はポリエチレングリコール型である。例えば、メチルジグリコールを用いることができる。
【0028】
水溶性または水分散性の有機マトリックスポリマー
ドライエマルジョンの作製には、適切なあらゆる水溶性または水分散性ポリマーを使用することができる。ポリマーは、例えばポリビニルアルコール(PVA)、任意に変性された澱粉類および(メタ)アクリル酸または無水マレイン酸とジイソブチレンとの共重合体から選択することができる。この実施例の実施に適切なポリマー類は、特に、文献WO97/15385(R 95139G1)、WO00/26280(R 98145)、WO02/32563(R 00137)、WO03/006148(R 01103)、WO99/55819、US3971852、WO97/15386(R 95140)、WO97/15387(R 95141)、WO99/38611(R 98011)およびWO99/38945(R 98010)に記載されている。挙げられる例としては、ロディアが販売するGEROPON(登録商標)EGPMがある。
【0029】
無機マトリックス担体
無機マトリックス担体は、通常、液体を吸収または吸着する性質を有する水不溶性の無機フィラーである。無機フィラーは、多少の多孔性で、多少広い比表面積を有することができる。無機フィラーは、粉体の形態であってもよいことが留意される。粉体の顆粒は、それら自体が、凝集体および/または、より小さいサイズの物(粒子または粒子集合体)の集合体で構成されていてもよい。
【0030】
従って、以下から無機マトリックス担体を選択することができる:
− シリカ、好ましくは沈降シリカ
− リンを含む無機化合物
− アルカリ金属またはアルカリ土類金属のケイ酸塩またはメタケイ酸塩化合物
− アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩化合物
− カーボンブラック
− 粘土、または、
− これらの化合物の混合物。
【0031】
使用される無機フィラーは、少なくとも50m2/g、好ましくは50〜400m2/g、さらに好ましくは70m2/gより大きい特定の比表面積を有することができる。比表面積はBET法(the Journal of the American Chemical Society, Vol. 60, page 309, February 1938に記載され、NFT標準45007(1997年11月)に対応するBrunauer−Emmett−Teller法に従って決定された)によって測定される。また、これらは200g/l未満の見掛け密度を有することができる。これらは少なくとも200ml/gのDOP吸油量(フタル酸ジオクチルを使用する国際標準規格787/5に従って測定される)を有することができる。例えば、少なくとも200ml/gのDOP吸油量を有する沈降シリカである。
【0032】
無機フィラーは、シリカ、グランドクオーツ、焼成粘土またはケイ藻土、元素周期表のIIA族またはIIIB族の元素の酸化物、水酸化物またはサルフェート、マイカ、雲母および石こうから単独で、または混合物として選ぶことができる。
【0033】
好ましくは、シリカは沈降シリカであって、焼成シリカではない。シリカは任意に疎水性の表面処理がされていてもよい。当該処理は、あらかじめまたはその場で実施できることに留意すべきである。従来、疎水性処理は、1つ以上の有機ケイ素化合物にシリカを接触させることから成る。これらの化合物の中では、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のメチルポリシロキサン類;ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン等のメチルポリシラザン類;ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン等のクロロシラン類;ジメチルメトキシシラン等のアルコキシシラン類およびMQ樹脂を挙げることができる。この処理の間、シリカはその最初の重量を最大20%増加することができる。
【0034】
使用できる無機マトリックス担体(無機フィラー)の例として、ロディアが販売するシリカTixosil(登録商標)38ABがある。
【0035】
また、無機マトリックス担体は、ケイ酸またはメタケイ酸カルシウムまたはマグネシウム;酸化チタン;酸化アルミニウム、亜鉛またはカルシウム;炭酸カルシウム、亜鉛またはマグネシウム;硫酸ナトリウム、アンモニウムまたはカルシウム;ベントナイト;カオリン;アタパルジャイト;ゼオライト;溶融ナトリウムカリウム;ケイ酸アルミニウム(熱処理したパーライト)またはカーボンブラックから選ばれる無機フィラーであり得る。
【0036】
好ましくは、水中への固形配合物の分散後の無機フィラーのサイズは150μm未満である。さらに好ましくは、2〜50μmである。大きなサイズのフィラーは農業装置で実施上の問題を引き起こすであろう。
【0037】
両親媒性化合物
どんな理論によっても拘束されることなく、両親媒性化合物はナノ粒子の安定化および/または形成を補助すると考えられる。またそれは、ある程度まで、有機または無機マトリックスと固体組成物が相溶すること、また液体組成物と他の化合物との接触を容易にすることを補助することができる。ドライエマルジョンとの関連では、両親媒性化合物はエマルジョンを形成する際に補助することができる。
【0038】
該両親媒性化合物は2つの分離した、混在しない部分を含む:疎水性部分および親水性部分である。この点で、両親媒性化合物は、不規則に分配された(混ぜられた)疎水性ユニットと親水性ユニットを含む統計コポリマーではない。
【0039】
最初の実施例によると、両親媒性化合物は界面活性剤である。界面活性剤は公知の化合物であり、通常、比較的低いモル質量、例えば1000g/mol未満である。該界面活性剤は、塩または酸型のアニオン性、非イオン性、好ましくは、ポリアルコキシル化、カチオン性または両性(用語は両性イオン(zwitterionic)界面活性剤をも含む)の形、またはこれらの界面活性剤の混合物であってもよい。
【0040】
これには制限されないが、列挙できるアニオン性界面活性剤の例を以下に述べる:
− アルキルスルホン酸またはアリルスルホン酸であって、任意に炭化水素系の基と1以上が置換され、酸性官能基が部分的にまたは完全に塩形成されている、例えば、1〜3個のC1〜C30、好ましくはC4〜C16のアルキル基および/またはC2〜C30、好ましくはC4〜C16のアルケニル基と置換された、C8〜C50、好ましくはC8〜C30、さらに好ましくはC10〜C22のアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはナフタリンスルホン酸である。
− アルキルスルホコハク酸のモノエステルまたはジエステルであって、直鎖または分岐鎖のアルキル部分が任意に1以上の水酸基および/または直鎖もしくは分岐鎖のC2〜C4アルコキシル基(好ましくはエトキシ基、プロポキシ基またはエトプロポキシ(ethopropoxylated)基)と置換されている。
− リン酸エステルであって、好ましくは、直鎖または分岐鎖の、飽和、不飽和または芳香族の、8〜40、好ましくは10〜30の炭素原子を含む、任意に少なくとも1のアルコキシル基(好ましくはエトキシ基、プロポキシ基またはエトプロポキシ基)と置換されている炭化水素系の基を少なくとも1含むものから選択される。さらに、これらは少なくとも1のモノエステル化またはジエステル化されたリン塩エステル基を含み、1または2の遊離酸基または部分的もしくは完全に塩形成している酸性基を存在させることができる。好ましいリン酸エステルは、以下のモノエステルおよびジエステルのタイプである:リン酸と、アルコキシル化(エトキシル化および/もしくはプロポキシル化)モノ−、ジ−もしくはトリスチリルフェノール、または任意に1−4のアルキル基と置換されたアルコキシル化(エトキシル化および/もしくはプロポキシル化)モノ−、ジ−もしくはトリスチリルフェノール;リン酸と、アルコキシル化(エトキシル化および/もしくはエトプロポキシル化)C8〜C30、好ましくはC10〜C22アルコール;リン酸と、アルコキシル化されていないC8〜C22、好ましくはC10〜C22アルコール
− 硫酸エステルであって、任意に1以上のアルコキシル基(エトキシ基、プロポキシ基またはエトプロポキシ基)と置換されている飽和または芳香族アルコールから得られ、また硫酸基が遊離酸基または部分的もしくは完全に中和された酸性基であるもの。列挙できる例としては、特に、1〜8のアルコキシル基(エトキシ基、プロポキシ基またはエトプロポキシ基)を含むことができる飽和または不飽和のC8〜C20アルコールから得られる硫酸エステル;1〜3の飽和または不飽和のC2〜C30炭化水素系の基と置換され、アルコキシル化ユニットの数が2〜40であるポリアルコキシル化フェノールから得られる硫酸エステル;アルコキシル化ユニットの数が2〜40であるポリアルコキシル化モノ−、ジ−もしくはトリスチリルフェノールから得られる硫酸エステル。
【0041】
アニオン性界面活性剤は酸型(それらは潜在的にアニオン性である)または部分的または完全に対イオンとの塩型とすることができる。対イオンはナトリウムまたはカリウム等のアルカリ金属イオン、カルシウム等のアルカリ土類金属イオンまたは一般式N(R)4+のアンモニウムイオンとすることができる。ここで式中のRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子または任意に酸素原子と置換されたC1〜C4のアルキル基とすることができる。
【0042】
これに制限はされないが、列挙できるノニオン性界面活性剤の例を以下に述べる:
− 少なくとも1のC4〜C20、好ましくはC4〜C12のアルキル基、または少なくとも1のアルキル部分がC1〜C6であるアルキルアリール基で置換されたポリアルコキシル化(エトキシル化、プロポキシル化またはエトプロポキシル化)フェノール類。特に、アルコキシル単位の総数は、2〜100である。列挙できる例としては、ポリアルコキシル化モノ−、ジ−またははトリ(フェニルエチル)フェノール類またはポリアルコキシル化ノニルフェノール類を含んでいる。エトキシル化および/またはプロポキシル化、硫化および/またはリン酸化ジ−またはトリスチリルフェノールの中では、10のオキシエチレン単位を含むエトキシル化ビス(1−フェニルエチル)フェノール、7のオキシエチレン単位を含むエトキシル化ビス(1−フェニルエチル)フェノール、7のオキシエチレン単位を含むエトキシル化硫化ビス(1−フェニルエチル)フェノール、8のオキシエチレン単位を含むエトキシル化トリス(1−フェニルエチル)フェノール、16のオキシエチレン単位を含むエトキシル化トリス(1−フェニルエチル)フェノール、16のオキシエチレン単位を含むエトキシル化硫化トリス(1−フェニルエチル)フェノール、20のオキシエチレン単位を含むエトキシル化トリス(1−フェニルエチル)フェノールおよび16のオキシエチレン単位を含むエトキシル化リン酸化トリス(1−フェニルエチル)フェノールを列挙することができる。
− 任意に、ポリアルコキシル化(エトキシル化、プロポキシル化またはエトプロポキシル化)C6〜C22脂肪族アルコールまたは脂肪酸。それらが存在するときは、アルコキシル単位の数は、1〜60である。「エトキシル化脂肪酸」という用語は、酸化エチレンを用いた脂肪酸のエトキシル化によって得られる生成物およびポリエチレングリコールを用いた脂肪酸のエステル化法によって得られる生成物の両方を含む。
− 植物または動物起源の、ポリアルコキシル化(エトキシル化、プロポキシル化またはエトプロポキシル化)トリグリセリド。ラード、獣脂、ラッカセイ油、バターオイル、綿実油、亜麻仁油、オリーブ油、パーム油、グレープシード油、魚油、ダイス油、ヒマシ油、菜種油、やし油またはココナツ油から得られたトリグリセリドであって、総量1〜60のアルコキシル単位を含むものが使用に適している。「エトキシル化トリグリセリド」という用語は、酸化エチレンを用いたトリグリセリドのエトキシル化によって得られる生成物およびポリエチレングリコールを用いたトリグリセリドのエステル交換反応によって得られる生成物の両方に対するものである。
− ポリアルコキシル化(エトキシル化、プロポキシル化またはエトプロポキシル化)ソルビタンエステル類、特にラウリン酸、ステリアン酸またはオレイン酸等のC10〜C6脂肪酸の環化ソルビタンエステル類であって、アルコキシル単位の総量が2〜50であるもの。
【0043】
ポリアルコキシル化、好ましくは、ポリエトキシル化および/またはポリプロポキシル化された界面活性剤は、ドライエマルジョンに関して特に好ましいであろう。
【0044】
2番目の実施例によると、両親媒性化合物はブロック共重合体であり、親水性モノマーから得られた親水性ユニットを含む親水性ブロックおよび、疎水性モノマーから得られた疎水性ユニットを含む疎水性ブロックを含むブロック共重合体は、有利には、ジブロック共重合体である。好ましくは1つのブロック、さらに好ましくは2または少なくとも2のブロックが、モノ−α−エチレン含有不飽和モノマーから得られる。この実施例に適切なブロック共重合体の例は、文献 WO02/082900に記載されている。
【0045】
いくつかの両親媒性化合物を使用できることに留意するべきである。一般に、両親媒性化合物は、例として以下で詳しく述べる化合物等である両親媒性化合物の混合物であってもよい。例えば、ブロック共重合体と界面活性剤の混合物が使用できる。
【0046】
バインダーおよび/または分散剤
無機または有機マトリックスは、バインダーおよび/または分散剤を含むことができる。このバインダーおよび/または分散剤の存在は、水分散性顆粒(WDG)の形態の固形配合物に特に有利である。水分散性顆粒に関しては、水中への分散の間、バインダーおよび/もしくは分散剤は、無機または有機担体マトリックスの凝集ならびに/または無機または有機担体マトリックスの凝集の解砕(担体粒子の分散)を可能にする。バインダーおよび/または分散剤はいくつかのバインダーおよび/または分散剤の混合物とすることができる。可溶性粉末に関しては、分散剤および/またはバインダーは水中での無機担体の分散を促進することができる。
【0047】
該バインダーおよび/または分散剤は、特に、有機マトリックスの水溶性または水分散性ポリマーとして詳述した水溶性または水分散性ポリマーとすることができる。該ポリマーは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、変性デンプンおよび(メタ)アクリル酸または無水マレイン酸とジイソブチレンとの共重合体から選択することができる。例として、ロディアが販売するGeropon(登録商標)EGPMが挙げられる。
【0048】
該バインダーおよび/または分散剤は、特に、以下の化合物から選ぶことができる:
− 水溶性高分子、好ましくはポリカルボキシレートおよびその誘導体および/または共重合体
− ナフタレンスルホネート縮合物
− ナフタレンスルホネート/ホルムアルデヒドポリマー(ナトリウムまたはアンモニウム塩)縮合物
− フェニルスルホネート縮合物(フェニルスルホン酸のナトリウム塩)
− 架橋ポリビニルピロリドン
− 多糖類およびその誘導体
− 共重合体、好ましくは酸化エチレンと酸化プロピレンのブロック共重合体
− スルホエステル類
− リグニンスルホン酸塩
− これらの化合物の混合物。
【0049】
該リグニンスルホン酸塩は、酸型または対イオンと結合した塩型とすることができる。Na,K,Ca,MgまたはNH4リグニンスルホン酸塩、特にNaリグニンスルホン酸塩、また経済的理由からCaリグニンスルホン酸塩が挙げられる。カルシウムリグニンスルホン酸塩の例としてはBurgoが販売するBretax rangeが挙げられる。ナトリウムリグニンスルホン酸塩の実施例としてはWestovacoが販売するReax(登録商標)88Bが挙げられる。
【0050】
該バインダーおよび/または分散剤は、多糖類およびその誘導体、例えばでんぷん、微結晶性セルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムまたは大豆多糖から選択することができる。
【0051】
また、酸化エチレンと酸化プロピレンとの共重合体、好ましくはブロック共重合体、さらに好ましくは、分子量3000〜25000g/molの化合物から選択することができる。
【0052】
また、以下の化合物からバインダーおよび/または分散剤を選択することができる:
− アルキルナフタレンスルホネートのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩とホルムアルデヒドの縮合物
− 4,4’−ジヒドロキシビフェニルスルホネートのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩とホルムアルデヒドの縮合物
− C3〜C5の不飽和の酸、二塩基酸または無水物から選択される少なくとも1のモノマーを含むポリマーのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩であって、任意に、直鎖または分岐鎖の、不飽和のC4〜C8炭化水素系の基から選択される少なくとも1のモノマーと結合しているもの。特に、モノマーとしてマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸またはメタクリル酸を単独または混合物として含むポリマーが使用できる。前記のポリマーは同様にイソブチレンおよびジイソブチレンから選択される少なくとも1のモノマーを含むことができる。これらのポリマーは酸の形またはアルカリ金属塩もしくはN(R34+タイプのアンモニウム塩の形であってもよい。ここで式中のR3は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子またはC1〜C4の炭化水素系の基を表している。好ましくは、共重合体がナトリウム塩の形である。好ましくは、マレイン酸ならびに/またはイソブチレンおよび/もしくはジイソブチレンと結合した無水マレイン酸を含むポリマーが用いられる。
【0053】
同様に、アルキルベンゼンスルホン酸塩(特にアルキルベンゼンスルホネート、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)と上記のポリマー、すなわちマレイン酸および/または無水マレイン酸とイソブチレンおよび/またはジイソブチレンとの結合を含むポリマーとの化合物、好ましくはナトリウム塩の形が有利に使用できる。塩対ポリマーの重量比は特に10/90である。
【0054】
非限定的な実例として、以下の製品から分散剤を選ぶことができる:ロディアが販売するGeropon(登録商標)T36、Geropon(登録商標)TA/72、Geropon(登録商標)SC/213、Supragil(登録商標)MNS/90、Supragil(登録商標)GN、Soprophor(登録商標)FL、Soprophor(登録商標)FLK。
【0055】
固体の植物防疫組成物中の該分散剤の量は、一般に該組成物の総重量に対し2重量%〜20重量%の間、好ましくは同様の基準で2重量%〜15重量%である。有利には、固体の植物防疫組成物の総重量に対し2重量%〜10重量%である。
【0056】
また、例えば凝集した無機マトリックスの分散を促進するために、塩、好ましくは水溶性塩が使用できる。それらは崩壊剤として機能できる。この点で役に立つとして以下のものが挙げられる:
− クエン酸ナトリウム
− 重炭酸ナトリウム
− 酢酸ナトリウム
− メタケイ酸ナトリウム
− マグネシウム、亜鉛または硫酸カルシウム
− 水酸化マグネシウム
− カルシウムまたは塩化ナトリウム
− ナトリウムまたは硫酸アンモニウム。
【0057】
他の成分
また、本発明による固形配合物は、湿潤剤、固化防止剤、化学安定剤、不活性充填剤、消泡剤、ナノ粒子のサイズ安定剤またはナノ粒子の成長抑制剤を含むことができる。
【0058】
湿潤剤の中では、これには制限されないが、N−メチルーN−オレオイルタウレート;例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等のアルキルアリールスルホン酸塩;モノアルキルスルホサクシネート、ジアルキルスルホサクシネート;アルキルフェノールエトキシレートを挙げることができる。これらの湿潤剤は、単独または混合物として使用できる。湿潤剤の例としては、ロディアが販売するGeropon(登録商標)SDS、Geropon(登録商標)T/77、Supragil(登録商標)NC/85、Rhodacal(登録商標)DS/10およびSupragil(登録商標)WPを挙げることができる。湿潤剤の量は、固形配合物の総重量に対して0.5重量%〜10重量%であり、好ましくは同様の基準で1重量%〜5重量%である。
【0059】
どんな理論にも拘束されることなく、固形配合物、特に可溶性粉末と水分散性顆粒を作製する間、湿潤剤は、無機または有機担体が水と親和性を有するように補助することができる。また、これらは、固形配合物の水への分散も補助できる。
【0060】
化学安定剤の中では、これに限定はされないが、アルカリ土類金属または遷移金属の硫酸塩、ヘキサメタリン酸ソーダ、塩化カルシウム、無水ホウ酸等を挙げることができる。
【0061】
ナノ粒子のサイズを安定させるための、またはナノ粒子の成長を抑制するための薬剤の中では、ポリビニルピロリドン(PVP)を挙げることができる。
【0062】
固形配合物中では、成分はいくつかの機能を発揮することが可能であると指摘される。例えば、界面活性物質は分散効果または機能を有することができ、成分は分散と結合の両方の作用または機能を有することができる。
【0063】
量−物理化学
両親媒性化合物およびそれらの配合が、使用条件でのそれらの混合物であり、有機マトリックスまたは無機もしくは有機マトリックス中に含まれるバインダーおよび/もしくは分散剤の任意の存在下で、溶剤は少なくとも一部水混和性である。
【0064】
最初の試験によると、植物防疫製品を含まない溶剤および両親媒性化合物ならびに有機または無機の成分を含む混合物を作製し、該混合物を水と接触させておくことで、上に定義された試験に従って、水混和性は試験される。
【0065】
2番目の試験によると、溶剤、両親媒性化合物ならびに有機マトリックス(固形配合物に関しては、ドライエマルションの形態)または分散剤および/もしくはバインダー(固形配合物に関しては、可溶性粉末と水分散性顆粒の形態)を含み、植物防疫製品および無機マトリックス担体を含まない混合物を作製し、次に該混合物を水と接触させておくことで、上に定義された試験に従って、水混和性は試験される。
【0066】
溶剤/両親媒性化合物系または溶剤/両親媒性化合物/有機マトリックス系または溶剤/両親媒性化合物/分散剤および/もしくはバインダー系が、少なくとも上記の2つの試験の1つに適合するように選択される。
【0067】
さらに、成分およびその配合は、固形配合物の形態であり、水と混合した後は、植物防疫製品を含むナノ粒子の水中分散体である。ナノ粒子の形態では、水に固形配合物を混合し、上に定義された試験に従って測定することで試験できる。ナノ粒子の形態では、100部の水に液体組成物を0.3重量部添加すること、および/もしくは100部の水に顆粒を1重量部添加することで試験できる。
【0068】
優先の実施例によれば:
− 溶剤と植物防疫製品の重量比は、5/95〜95/5である。
− 液体組成物と無機マトリックス担体(水分散性顆粒WDGまたは可溶性粉末WPの場合)の重量比は、0.5/1〜3/1である。
− 有機マトリックス(ドライエマルジョンDEの場合)と固形配合物の重量比は50%未満である。
【0069】
さらに、固形配合物は、有利には少なくとも1重量%、通常は少なくとも0.5重量%、例えば10重量%〜50重量%の溶剤を含む。
【0070】
顆粒形成の工程
本発明による固形配合物を作製するのに適切ないくつかの工程がある。固形配合物の作製の工程は当業者に公知である。当然に、使用できる工程は、希望のタイプの固形配合物、例えばドライエマルジョン(DE)、可溶性粉末(WP)または水分散性顆粒(WDG)、に依存して成分と同様に変えることができる。
【0071】
本発明の1つの実施例によると、固形配合物はドライエマルジョンである。その形態の作製に適切な工程は以下のステップを含む:
− 水中にて、液体組成物のエマルジョンを形成する。前記エマルジョンは両親媒性化合物を含み、水相にはマトリックスを形成する水溶性または水分散性ポリマーを含む。
− 水を除去する。
− 固形配合物を回収する。
【0072】
工程の第一ステップの間、水相で分散された液体組成物を含むエマルジョンが作製される。該エマルジョンは水溶性または水分散性ポリマーを含む。
【0073】
エマルジョンを作製するためのあらゆる方法が使用できる。これらの方法は当業者に公知である。例えば、方法は、1983年にMarcel Dekker Inc.から発行されたPaul Becher著“Encyclopedia of Emulsion Technology”第1巻から第3巻に記載されており、本発明において使用できる。
【0074】
したがって「ダイレクトフェーズ(direct-phase)乳化」法が使用できる。この方法は、水および乳化剤(両親媒性化合物)含む混合物を作製すること、水溶性または水分散性ポリマーを投入すること、次に、撹拌しながら液体組成物を添加することを含む。
【0075】
別の適切な方法は転相乳化である。この方法によると、液体組成物を乳化剤と混合し、場合によっては、他の成分、例えば水溶性または水分散性ポリマーを含む水を撹拌しながら滴状で水を添加する。添加水が一定量を超えるとエマルジョンの転相がおこる。そして、水中油型のダイレクトエマルジョンが得られる。分散相の適切な体積分率を得るために、得られたエマルジョンを水で希釈する。
【0076】
最終的に、Manton GaulinやMicrofluidizer(商標)ミル(マイクロフルイディクス)などのコロイドミルを用いてエマルジョンを作製できる。
【0077】
一般に、水相中に分散された液体組成物の液滴粒子の平均サイズは、一般に、0.1μm〜50μmであり、多くの場合は1〜10μm、優先的には0.2〜5μmである(HORIBAのレーザー回折粒度計を用いて測定した相対粒子量による)。
【0078】
室温範囲の温度で乳化を行うことができるが、より低温または高温も想定できる。
【0079】
乾燥の前のエマルジョン中の水の量は、5重量%から99重量%とでき、好ましくは20重量%から70重量%である。後に水を取り除かなければならないので、一般に、少量の水が好ましく用いられる。
【0080】
エマルジョンから水を取り除き、ドライエマルジョンを得るために用いられる方法は、当業者に公知のあらゆる手段で行われる。
【0081】
この操作では、混合物の様々な構成成分を、それらの分解温度よりも低い温度にかけて行われる。
【0082】
本発明の1つの実施例によると、オーブン乾燥が想定できる。好ましくは、この乾燥は薄層で行われる。特に、乾燥が行われる温度は100℃以下であり、好ましくは30℃〜90℃、さらに好ましくは50℃〜90℃である。
【0083】
本発明の別の特定の実施例によると、混合物(またはエマルジョンの混合物)の急速な乾燥が行われる。流動層におけるDuprat(登録商標)ドラムを用いた噴霧乾燥または凍結乾燥(凍結昇華)この点で適切である。
【0084】
例えば、Niro機を用いた、または流動層において例えばAeromatic機を用いた噴霧乾燥は、通常、あらゆる公知の機械を用いて行われる。例えば、ノズルを用いたスプレーまたは高熱ガス流を用いたタービンが組み合わさったスプレー塔である。カラム先端の高熱ガス(一般には空気)の吸気口の温度は、好ましくは、50℃〜250℃であり、排気口の温度は、好ましくは、得られた顆粒を構成する成分の分解温度以下である。
【0085】
Duprat(登録商標)ドラム、または急速に乾燥担体から擦り取る手段で分離される乾燥フィルムを迅速に得るあらゆる手段を用いた混合物(またはエマルジョン)の乾燥のための操作において、例えば、任意に粉砕された粒子が得られる。必要であれば、これらの粒子は顆粒を得るための凝集ステップなど、これに続く成形にかけられる。
【0086】
この乾燥ステップの間に、固化防止剤等の添加剤を顆粒に混和することができることに注意すべきである。
【0087】
好ましくは少なくとも90重量%、さらに好ましくは90〜95重量%の外部の水相が乾燥によって取り除かれる。残留した水の量は、3重量%未満であることが好ましい。
【0088】
本発明の1つの実施例によると、固形配合物は可溶性粉末(WP)である。この剤形の製造に適切な工程は以下のステップを含む:
− ブレンダー(リボンブレンダー)を用いた成分の混合。予備混合は、液体成分の浸透のために任意に行われる。
− 所望のサイズを得るための、混合物の乾燥粉砕または乾燥微粉末化(ハンマーミルまたはエアージェットミル)。
【0089】
本発明の1つの実施例によると、固形配合物は水分散性顆粒(WDG)である。 この剤形の製造に適切な工程は以下のステップを含む:
− 無機または有機担体への液体組成物の浸透。前記担体は、好ましくは粉体の形態である。
− 顆粒を得るための、好ましくはバインダーおよび/または分散剤の存在下での、含浸された担体の凝集。
【0090】
凝集の工程は当業者に公知である。それらは、例えば噴霧(atomization)プロセス、エクストルージョンプロセス(比較的低圧力:30psi未満、または、より高い圧力:30psi以上)流動層造粒(fluid-bed granulation)プロセス、高速混合造粒(high-speed-mixing granulation)プロセス、パン造粒(pan granulation)プロセスおよび圧縮(compacting)プロセスから選択することができる。
【0091】
水の存在下(通常、2重量%以下の量)で、凝集の工程が行われることが指摘される。水は、例えば乾燥により後に取り除かれる。水はその後(通常、2重量%未満のレベルに)取り除かれる。あらかじめ、バインダーおよび/または分散剤は当該水に混合することができる。凝集のために使用する水の量は、用いられる工程および所望の形態に依存できる。通常、無機または有機担体ならびにバインダーもしくは/または分散剤100重量部に対し5〜150重量部である。
【0092】
噴霧による凝集に関しては、例えば、以下の方法により工程が行われる:
− 無機または有機担体に吸収または吸着された液体組成物、水、バインダーおよび/または分散剤ならびに任意に他の成分を含む懸濁液の作製。
− 適切な装置を用いた噴霧。
− 水を取り除くための乾燥。
【0093】
流動層造粒による凝集に関しては、例えば、以下の方法により工程が行われる:
− 吸収または吸着した液体組成物を含む無機または有機担体の流動層での輸送。
− 該担体を凝集させるため、水、バインダーおよび/または分散剤の流動層への噴霧。
− 顆粒を得るための熱気流を用いた乾燥。
【0094】
選択された工程では、操作条件および溶剤について、固形配合物中に溶剤が、好ましくは前述の量、残留することが言及できる。
【0095】
液体組成物の製造:
植物防疫製品、溶剤、両親媒性化合物、および任意の他の成分(例えば、分散剤)を含む液体組成物は、これらの化合物を接触させるためのあらゆる工程を経由して製造することができる。1つの有利な実施例によれば、溶剤、両親媒性化合物、および任意の他の成分(例えば、分散剤)を含む予備混合物を最初に製造する。次に、植物防疫製品を予備混合物中で溶解することで液体組成物を得る。
【0096】
水中分散−ナノ粒子の分散
ナノ粒子の分散を形成するために、固形配合物は水と混合される。水との混合は、ナノ粒子の形成と共に、植物防疫処理に必要な割合を達成する。有利には、固形配合物1重量部に対し少なくとも10重量部の水、好ましくは少なくとも50重量部の水、さらに好ましくは少なくとも100重量部の水、場合によっては少なくとも250重量部の水または少なくとも500重量部の水をも混合する。
【実施例】
【0097】
他の詳細または本発明の効果は、以下の非限定的な実施例に照らして明らかにすることができる。
【0098】
a)エマルジョンの製造
− 水溶性ポリマー水溶液であるGeropon(登録商標)EGPM(ロディア)29.2グラムを背の高いガラスの250mlビーカーに入れ、凝集防止パドル(deflocculating paddle)(D=35mm)を用いて、800回転/分(rpm)の速度で攪拌する。
− 4グラムのGlucidex(登録商標)DE29(Roquetteが販売するマルトデキストリン)をゆっくりと加え、該混合物を800回転/分で、30〜60分間攪拌する。
− 溶解したテブコナゾール1.86グラムを含むGenagene4166(Clariant)6.4グラムをあらかじめ製造し、それに2.45グラムのRhodafac(登録商標)MB(ロディアが販売するアルコールホスフェートアニオン性表面活性剤)を加えた系をゆっくりと加える。
− こうして、ゆっくりと濃度が高くなる白いエマルジョンを得る。
− 2.59グラムの塩酸(2N HCl)を滴状にて加える。
− エマルジョンの増粘が見られる。
− 冷水(10℃)のバスにビーカーを注意して置き、該混合物を1000回転/分で、1時間15分間攪拌する。
− 粒度を測定する(ホリバ)。
【0099】
b)乾燥
− 得られたエマルジョンを、プレート上に塗布して薄層とし、80℃で3時間40分の間オーブンで乾燥する。
− 乾燥したエマルジョンを回収し、粗く粉末状にする。
【0100】
c)再分散、評価
− 粒度は、再分散中に測定する。(水道水50ml中に1gの粉末を入れ、室温で5分間500回転/分、電磁スターラーで撹拌しながら、ホリバ粒度測定器を用いる。)
− また、得られた粒子の流体力学半径はモルヴァンALV CGS−3機にて光散乱で測定される(用いられる濃度は2.5g/l)。90度と135度の角度で測定する。自己相関関数により2つの値が得られる:散乱強度による加重平均流体力学直径および多分散性(無次元)インデックス(単分散サンプルではゼロに近くなる)。
− 最終的に、分散体を格子に蒸着して乾燥させた後、得られた粒子を透過電子顕微鏡で評価する。
【0101】
以下の表で処方を示す。ここでは、製品の商品名を用いる。これらの固形分、添加量および最終的な乾燥物相当(量および割合)を記載する。
【0102】
【表1】

【0103】
乾燥前のエマルジョン
−固形分:47.7%
乾燥前の粒度(ホリバ):両集団
細粒分: 粗粒分:
D10=0.59μm D10=5.8μm
D50=1.16μm D50=13.2μm
D90=2.36μm D90=23.0μm
(D90−D10)/D50=1.52 (D90−D10)/D50=1.3
【0104】
乾燥後の分散

ホリバ粒度
D10=216nm
D50=322nm
D90=543nm
(D90−D10)/D50=0.74
【0105】
光散乱
【0106】
【表2】

【0107】
多分散性のため、135度での平均径は、90度でのものより小さい:最も粗い集団は135度より90度の信号に寄与する。粒径測定によれば、体積荷重分配の直径範囲は、150nm〜350nmと予想される。
【0108】
透過電子顕微鏡
電子顕微鏡法では、この評価のための乾燥の影響下で凝集した粒子が見られる。該粒子は、以前に測定したものと同様のサイズを再現する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機または無機マトリックスに分散された、吸収された、または吸着された水不溶性で固体の植物防疫製品を含む液体組成物を含み、以下を特徴とする固形配合物:
− 前記植物防疫製品は25℃で水に不溶であり、
− 前記液体組成物は以下のものを含み:
− 少なくとも5重量部、好ましくは少なくとも50重量部の前記植物防疫製品、
− 前記植物防疫製品を溶解する溶剤、および
− 100重量部の少なくともひとつの両親媒性化合物、
− 前記溶剤、前記両親媒性化合物およびそれらの割合は、使用条件下のそれらの混合物が、有機マトリックスまたは無機もしくは有機マトリックスに含まれるバインダーおよび/もしくは分散剤の任意の存在下で、少なくとも一部水混和性であるようなものであり、
− さらに、前記固形配合物は、水と混合後、前記植物防疫製品を含むナノ粒子の水中分散体を形成する。
【請求項2】
前記ナノ粒子の重量または体積メジアン直径が1060nm未満、好ましくは100nmより大きく600nm未満であることを特徴とする請求項1に記載の固形配合物。
【請求項3】
前記ナノ粒子の少なくとも75重量または体積%の粒子の直径が、1060nm未満、好ましくは400nm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の固形配合物。
【請求項4】
その中に前記液体組成物の含有物が分散している有機マトリックスを含むドライエマルジョン(DE)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固形配合物。
【請求項5】
前記有機マトリックスが、ポリビニルアルコール、任意には変性デンプン、および(メタ)アクリル酸または無水マレイン酸とジイソブチレンとの共重合体から選択される水溶性または水分散性ポリマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固形配合物。
【請求項6】
以下を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固形配合物:
− 前記固形配合物が、液体組成物を吸収もしくは吸着する無機もしくは有機担体マトリックスを含み、かつ前記無機もしくは有機担体の水中での分散を促進する薬剤を含む可溶性粉末(WP)である、または、
− 前記固形配合物が、液体組成物を吸収もしくは吸着する無機もしくは有機担体凝集物もしくはマトリックスを含み、任意に前記無機もしくは有機担体の水中での分散を促進するバインダーおよび/もしくは分散剤を含む水分散性顆粒(WDG)である。
【請求項7】
前記担体が以下から選択される無機マトリックスの担体であることを特徴とする請求項6に記載の固形配合物:
− シリカ、好ましくは沈降シリカ
− リンを含む無機化合物
− アルカリ金属またはアルカリ土類金属のケイ酸塩またはメタケイ酸塩化合物
− アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩化合物
− カーボンブラック
− 粘土、または、
− これらの化合物の混合物。
【請求項8】
前記担体が少なくとも200ml/gのDOP吸油量を有する沈降シリカであることを特徴とする請求項6または7に記載の固形配合物。
【請求項9】
以下から選択される薬剤であるバインダーおよび/または分散剤を含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の固形配合物:
− 水溶性高分子、好ましくはポリカルボキシレートおよびその誘導体および/または共重合体、
− ナフタレンスルホネート縮合物、
− ナフタレンスルホネート/ホルムアルデヒドポリマー(ナトリウムまたはアンモニウム塩)縮合物、
− フェニルスルホネート縮合物(フェニルスルホン酸のナトリウム塩)、
− 架橋ポリビニルピロリドン、
− 多糖類およびその誘導体、
− 共重合体、好ましくは酸化エチレンと酸化プロピレンのブロック共重合体、
− スルホエステル類、
− リグニンスルホン酸塩、
− これらの化合物の混合物。
【請求項10】
少なくともひとつの水溶性塩を含むことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の固形配合物。
【請求項11】
前記両親媒性化合物が以下から選択されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の固形配合物:
− 親水基および疎水性基を含む界面活性剤、ならびに、
− 少なくとも1の親水性ブロックおよび少なくとも1の疎水性ブロックを含むブロック共重合体、好ましくはジブロック共重合体またはトリブロック共重合体であり、さらに好ましくは少なくとも1のブロック、特に好ましくは少なくとも2のブロックがエチレン含有不飽和モノマーから得られるブロック共重合体。
【請求項12】
前記界面活性剤が、好ましくはポリアルコキシル化された、塩または中和型のアニオン性および非イオン性界面活性剤ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項9に記載の固形配合物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の固形配合物と水とを混合するステップを含むことを特徴とする植物防疫製品を含むナノ粒子分散体の製造方法。
【請求項14】
1重量部の前記固形配合物に対し少なくとも100重量部の水を混合することを特徴とする請求項13に記載の製造方法。

【公表番号】特表2008−501002(P2008−501002A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514001(P2007−514001)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001267
【国際公開番号】WO2006/000671
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】