説明

椎茸粉末入り麺類の製造法

【課題】
硬さと粘弾性に富んだ食感と、自然な黄色みと豊かな風味を有する麺類の提供。
【解決手段】
椎茸を100℃〜200℃で焙煎した粉砕物を1−30重量%含有する穀粉原料を用いて製麺する、うどん、そば、素麺、中華麺の製造の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎茸粉末入り風味ある栄養豊富な麺類の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から麺類の製造法は種々の方法が提案されている。例えば粉体原料中に、小麦粉を5〜35重量%及び澱粉3〜20重量%配合し、その他の原料と共に加水、混練、成形することを特徴とする生中華麺の製造法 、海藻粉を熱変成を起こさない粉砕機により微粉化し、この微粉を穀物粉などの食品原料に混入して常法による加工を行い、食感、食味、保存性が向上した製品を得ることを特徴とした小麦微粉を添加した食品の製造方法(特許文献1参照)、穀粉原料の全重量に基づいて、小麦粉を10〜40重量%および熱処理小麦粉を5〜40重量%の割合で含有することを特徴とする麺類用穀粉組成物等が掲げられる。(特許文献2参照)
【0003】
【特許文献1】特開平5−304912号公報
【特許文献2】特開平11−243888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の麺類にはない硬さと風味と粘弾性に富んだ食感を有して、椎茸の風味と旨味を持つ栄養豊富な椎茸入り麺類の製造法につき種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、乾燥椎茸の微粉砕物を含有する麺類の穀粉原料を用いて製麺する、乾燥椎茸粉末入り麺類の製造法である。
乾燥椎茸粉砕物を含有する穀粉原料を用いて製麺する麺類の製造法であり、穀粉原料中の乾燥椎茸粉砕物の含有量が1〜30重量%であって、乾燥椎茸粉砕物は、100℃〜200℃で焙煎したものを、粉砕機により0.1mm以下の粉末であり、麺類がうどん、そば、素麺、中華麺である乾燥した椎茸粉末入り麺類の製造法である。椎茸粉末の含有は1.5〜15重量%が好ましい。また焙煎温度の条件は120℃〜180℃が望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の方法によれば、硬さと粘弾性に風味を富んだ食感と、自然な黄色みと豊かな風味を有する椎茸入りの麺類を得ることができる。椎茸の旨味と風味をもった麺類であり、独特の和風の麺類が提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明方法に用いられる穀粉原料としては強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦、そば粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉等の澱粉類で、これらに卵白粉、乳製品、油脂、乳化剤、活性グルテン等の蛋白質、ビタミン、ミネラル、アミノ酸等の栄養強化剤、増粘剤、食塩等の添加が挙げられる。これらの穀粉原料、および添加物は麺類の種類によって適宜選択して使用することができる。
【0008】
また前記穀粉原料に添加する乾燥椎茸粉砕物の椎茸原料としては、一般に乾燥椎茸は製品以外に半製品、乾燥後に椎茸の石つき部分を切った切断片を使用することができる。得られた乾燥椎茸を粉砕機等により粗粉末化することにより、乾燥椎茸粉砕物を100℃〜200℃で焙煎したものを、さらに粉砕機により0.1mm以下の粉末を得ることができる。
【0009】
この乾燥椎茸粉砕物は穀粉原料中に1〜30重量%、好ましくは1.5〜15重量%含有させることが好ましい。穀粉原料中の乾燥椎茸粉砕物含有量が30重量%を超えると麺の形成が困難になり、茹でたときに肌荒れが発生し、また1重量%未満であると風味、旨味を富んだ食感が得られない。
【0010】
本発明は前記した乾燥椎茸粉砕物を含有する穀粉原料を用いて麺類を調製する場合従来から使用されている製麺方法のいずれもが採用でき、その製麺方法は特に限定されるものではない。
例えば(1)常圧下あるいは減圧下に混捏して生地を調製した後、圧延または圧延・複合を行って麺帯をつくり、その麺帯を麺線または麺皮に切り出す方法、(2)押出機を用いて麺帯を押出した後に、その麺帯を麺線または麺皮に切り出す方法、(3)押出機を用いて麺線を直接押し出し成型する方法等を挙げることができる。
【0011】
本発明方法により得られる麺類としては生麺、半乾燥麺、乾麺、茹麺、蒸麺、冷凍麺、即席麺等が挙げられる。これらの麺類の種類としては、うどん、そば、素麺、中華麺、スパゲティ、マカロニ、餃子の皮等が挙げられる。
【実施例1】
【0012】
次に本発明をさらに具体的に説明するために、実施例を掲げるが、以下の実施例に限定されるものではない。図1に示すように椎茸粉末入りの素麺を製造した。
まず椎茸を産地から入手して、これを天日干しして乾燥した後、異物除去機によって毛髪、わらくず、樹脂類などの異物を、コンベアーを通して目視のもとに除去した。異物除去した椎茸原料を粉砕器によって約2ミリ程度に一次粉砕加工を行った。この粉砕品を自動焙煎機によって150℃の温度で10分間焙煎した。さらに焙煎された粉末を金属探知器によって金属製の異物を検知、除去した。この処理を施した椎茸粉末を、さらに微細に粉末にするためにロールを通した。このものを製粉機にかけてパウダー状に加工した。
【0013】
上記の焙煎椎茸粉末を、小麦粉を主体とする素麺の原料に2.5重量%をミキサーに入れて5時間程度ミキシングを行った。生地の温度、色合いをチェックして終了とした。この生地をローラーによって麺帯の形状にして、10時間程度熟成を設けた。この麺帯はさらに圧延して、切り出し機によって1.5ミリの厚さに切り出した。1.5mmの厚さに圧延した後切り刃(20番手)で麺線に切り出し素麺の麺を得た。切り出し麺帯は天日にて半乾きさせた。このものを25℃の室内に保管して熟成させ、さらに25℃で乾燥させた。乾燥した素麺の素は切断機によって30センチの長さに裁断されて、シール機によって包装された。
【0014】
実施例1に示す原料をミキシングして、得られた素麺を冷蔵庫(5℃)で一晩熟成させた。熟成させた麺を熱湯中で2分30秒茹でた後、スープに入れて10名のパネラーで評価を行った。総合的な評価は椎茸の香りがして、若干元の素麺より旨味が増したとの評価の結果であった。
【実施例2】
【0015】
図1に示すように椎茸粉末のうどんを製造した。
まず椎茸を産地から入手して、これを天日干しして乾燥した後、異物除去機によって毛髪、わらくず、樹脂類などの異物を、コンベアーを通して目視のもとに除去した。異物除去した椎茸原料を粉砕器によって約2ミリ程度に一次粉砕加工を行った。この粉砕品を自動焙煎機によって130℃の温度で15分間焙煎した。さらに焙煎された粉末を金属探知器によって金属製の異物を検知、除去した。この処理を施した椎茸粉末を、さらに微細に粉末にするためにロールを通した。このものを製粉機にかけてパウダー状に加工した。
【0016】
上記の焙煎椎茸粉末を、小麦粉を主体とするうどんの原料に5重量%をミキサー(機種)に入れて7時間程度ミキシングを行った。生地の温度、色合いをチェックして終了とした。この生地をローラーによって麺帯の形状にして、2時間程度熟成を設けた。この麺帯はさらに圧延して、切り出し機によって1.5ミリの厚さに切り出した。1.5mmの厚さに圧延した後切り刃(20番手)で麺線に切り出し素麺の麺を得た。切り出し麺帯は天日にて半乾きさせた。このものを20℃の室内に保管して熟成させ、さらに25℃で乾燥させた。乾燥したうどんの素は切断機によって30センチの長さに裁断されて、シール機によって包装された。
【0017】
実施例2に示す原料をミキシングして、得られたうどんを冷蔵庫(5℃)で一晩熟成させた。熟成させたうどんを熱湯中で2分30秒茹でた後、スープに入れて10名のパネラーで評価を行った。総合的な評価は椎茸の香りがして、実施例1と同様に若干元のうどんより旨味が増したとの評価結果であった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】椎茸入り麺類の製造工程図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥椎茸粉砕物を含有する穀粉原料を用いて製麺することを特徴とする、椎茸粉末入り麺類の製造法。
【請求項2】
穀粉原料中の乾燥椎茸粉砕物の含有量が1〜30重量%である、請求項1記載の椎茸粉末入り麺類の製造法。
【請求項3】
穀粉原料中の乾燥椎茸粉砕物は、100℃〜200℃で焙煎したものを、粉砕機により0.1mm以下の粉末である 請求項1記載の椎茸粉末入り麺類の製造法。
【請求項4】
麺類がうどん、そば、素麺、中華麺である請求項1または2記載の椎茸粉末入り麺類の製造法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−89636(P2009−89636A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262117(P2007−262117)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(307020372)株式会社 武 久 (1)
【Fターム(参考)】