検出装置、検出システム、反応装置及び反応システム
【課題】 本発明は、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集でき、そして高速に検出処理や反応処理を行うことができる。
【解決手段】 本発明の検出装置は、試料を捕集する凝集器(13)と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器(15)とを薄層に集積したことに特徴がある。よって、試料の供給にマイクロディスペンサーのような別途組み込んだツールを介在させず、処理箇所以外の箇所へ試料を供給せずに、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集できると共に、高速に検出処理を行うことができる。
【解決手段】 本発明の検出装置は、試料を捕集する凝集器(13)と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器(15)とを薄層に集積したことに特徴がある。よって、試料の供給にマイクロディスペンサーのような別途組み込んだツールを介在させず、処理箇所以外の箇所へ試料を供給せずに、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集できると共に、高速に検出処理を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検出装置、検出システム、反応装置及び反応システムに関し、詳細にはMEMS(Micro Electro Mechanical System)構造をなす、迅速かつ多用途性がある微量物質の検出を行う検出装置や反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微量の試料の検出や反応を扱う場合、MEMS構造の装置が適している。しかし、MEMS構造で扱う上で、試料を微量に分けて、適量にかつ所定箇所へ迅速に高精度に供給する分注技術が課題になっている。また、微量分析においては希薄試料に対する検出感度が得にくいので、さらに捕集した検体の密度を上げれば容易に検出することができるため、吸着剤に吸着させて濃縮し検出することが行われている。
【0003】
そこで、物質の相変化に伴う挙動に注目し、気体の温度(熱)、密度(圧力)など外的条件を検出し、試料が気化しさらに液体になる条件に制御することにより、試料を液体状に生成し捕集する。この捕集した液体について、捕集したその場の状態で処理する装置の働く仕組みを適用する。
【0004】
このように、微量の試料を凝集器によって捕集し処理するまでを、一連のMEMS構造の装置に展開した技術であるが、特にMEMS構造による試料を扱う装置に適用できる。例えば、捕集した試料の質量、密度、濃度、電気伝導度、電気容量、熱容量、結合状態などの物性値として検出する、マイクロバランス、SAW素子、クロマトグラフ、赤外線分析器、分光分析器、酵素センサ、グルコースセンサなどの検出器をはじめ、バイオ素子システムにおけるマイクロキャピラリー電気泳動チップ、DNAポリメラーゼ連鎖反応(PCR)チップ、電界流動分別(electrical field-flow fractionation:EFFF)、コンビナトリアル化学合成過程におけるマイクロケミトロニクス、マイクロケモメカトロニクスなどの、反応過程を含む反応器に適用することができる。
【0005】
ここで、従来の凝集器が特許文献1に提案されている。この特許文献1において、冷却部を冷却用集積素子の中央部に集中させたペルチェ冷却手段を中央部が除去されている基板上に形成し、水滴検出回路は直接的には水滴検出手段のインピーダス変化を検出する回路であり、この変化を検出して水滴の有無を判断するものであり、水滴検出手段を構成するコンデンサの容量が水滴の付着により大きく変化することを利用して水滴の有無を検出するものである。
【0006】
また、特許文献2には、試料を昇温または降温させる温度走査を行い、試料の物理化学的変化に基づく熱的変化を温度または時間の関数として計測する熱分析装置であって、基板と一体形成され下部に空洞を有する薄膜ヒータと、薄膜ヒータまたは薄膜ヒータを支持する薄膜支持部内の薄膜ヒータに接近した領域に形成された試料保持部と、薄膜ヒータまたは薄膜ヒータを支持する薄膜支持部内の薄膜ヒータに接近した領域に試料保持部と一体形成され、試料保持部の温度を検出する温度検出部と、薄膜ヒータおよび薄膜支持部のうち少なくとも一方における試料保持部と基板との間の領域に設けられた穴とを備えたものである。
【特許文献1】特公平03−062223号公報
【特許文献2】特許第3,377,162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1によれば、マイクロブリッジ上のベルチエ冷却手段で形成される水滴の有無を検出するだけの検出器であって、水滴を集めるためではなく、水滴の量や性質を制御したり測定するためのものではない。集めた水滴を利用する目的ではない。なお、水滴が継続的に集まり続けると、水滴の生成する条件を検出することはできない。また、特許文献2では、微量液体の検出において、温度の走査時間中に試料の蒸発があり、時間経過と共に液体試料量が減少してしまうので、これを防ぐ工夫が必要であること、また極微量液体試料の試料ホルダへの導入方法の問題、さらに同一薄膜にマイクロヒータと温度センサとが形成されているために、マイクロヒータの熱容量が余分に存在し、また薄膜内に加熱時の温度分布がやはり存在するので高感度で高精度になりにくいという問題点があった。更に、極微量の試料を扱う場合、分析器の適確な分析箇所への試料取り込みは位置精度、容量の制御が必要であって、所定の微小箇所に精度良く付加したいという要望があった。従って、導入箇所と処理箇所を同じくしたい(促時性、不純物影響回避)、試料を移動させない(変質防止)試料を処理箇所だけに限定したい、微量ですませたい(促時性、均一性、外部影響回避、高感度、高速)、ポータビリティー、操作性、省エネルギー(迅速で簡便で確実な扱い易さ、ハンドリングの自由度、繰り返し精度、繰り返し使用)、広範囲のアプリケーション(試料の多様性、汎用性)などを実現する必要がある。
【0008】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集でき、そして高速に検出処理や反応処理を行うことができる、検出装置、検出システム、反応装置及び反応システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明の検出装置は、試料を捕集する凝集器と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器とを薄層に集積したことに特徴がある。よって、試料の供給にマイクロディスペンサーのような別途組み込んだツールを介在させず、処理箇所以外の箇所へ試料を供給せずに、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集できると共に、高速に検出処理を行うことができる。
【0010】
また、凝集器、検出器の順で積層することが好ましい。更には、凝集器及び検出器を隣接して集積したことが好ましい。
【0011】
更に、凝集器及び検出器を集積する基板に空洞部を形成し、薄層は空洞部上を架橋することにより、微小量を高速に捕集でき、高速に検出することができる。
【0012】
また、本発明の検出装置は、試料を捕集する凝集器を形成する第1の基板と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器を形成する第2の基板とを接合して集積したことに特徴がある。よって、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集できると共に、高速に検出処理を行うことができる。
【0013】
更に、第1の基板に空洞部を形成することにより、微小量を高速に捕集でき、高速に検出することができる。
【0014】
また、凝集器に選択透過フィルタを設けることにより、高精度の弁別性能が加わり、更なる高精度の検出が可能となる。更に、凝集器に電気フィルタを設けることが好ましい。
【0015】
また、別の発明としての検出システムは、上記の検出装置と、該検出装置を制御するホストとを含んで構成することに特徴がある。よって、ホストによる測定制御を行いながら捕集処理を行うので試料がムダになる割合が小さく、わずかな量であっても可能となり高効率的な検出処理が可能となる。
【0016】
更に、別の発明としての反応装置は、試料を捕集する凝集器と、該凝集器によって捕集した試料を反応させる反応器とを薄層に集積したことに特徴がある。よって、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集できると共に、高速に反応処理を行うことができる。
【0017】
また、別の発明としての反応システムは、上記の反応装置と、該反応装置を制御するホストとを含んで構成することに特徴がある。よって、ホストによる測定制御を行いながら捕集処理を行うので試料がムダになる割合が小さく、わずかな量であっても可能となり高効率的な反応処理が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の検出装置によれば、試料を捕集する凝集器と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器とを薄層に集積したことによって、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集できると共に、高速に検出処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。同図の(a)は平面図、同図の(b)は同図の(a)のA−A’線断面図である。同図に示す本実施の形態の検出装置10は、後述する凝集器13の上部に検出器15を積層したものである。詳細には、本実施の形態の検出装置10は、半導体加工プロセスに用いられる、例えばSiやガラスなどの基板11と、該基板11の上に形成され、例えばSiO2やSi3N4などの電気絶縁材料の支持層12と、該支持層12の上に設けられる凝集器13と、該凝集器13の上に電気絶縁材量を被覆して形成される電気絶縁材料層14と、該電気絶縁材料層14の上に設けられ、一対のくし型電極からなる検出器15とを含んで構成され、最後に凝集器13のある領域の基板11をエッチングして空洞部16が形成されている。そして、凝集器13は、下層に放熱を兼ねた電極や配線17、中間層に熱電変換材料、上層に冷却される電極で構成されている。ここで、凝集器13の熱電変換材料は、高性能の材料を見出すために、熱伝導率が小さく、導電性がよい材料であることが必要であり、性能指数の高い材料が好ましいがプロセス適合性や安全性能との適正により選択される。例えばペルチェ効果を利用するものであれば、Bi−Te系を主成分とするものが代表的である。また、熱電変換材料が平面に並列しているので、Bi−Te系材料を用いずに熱電変換材料にN型Si及びP型Siを使い、SOI基板を用いSOI層を熱電変換材料に、BOX層を支持層とすることも可能であり、通常の半導体プロセス材料が利用できる。更に、検出器15となる電極や配線18は、例えばAl、AuやPtなどの金属材料、あるいは無機や有機の触媒材料を加えたものである。なお、凝集器13は目的に応じたパターン形状であって、図1に示すような四角形とは限らない。
【0020】
次に、このような構成を有する本実施の形態の検出装置10の動作について説明すると、凝集器13の配線17に電圧を印加し、凝集器13の上層を気体の露点以下に冷却すると、気体は凝集器13の上部の検出器15の電極上に凝集し、液体が生成されるとともに、凝集器13の下層へ放熱が行われる。これにより、凝集器13は基板領域にはなく空洞部16上にあるので熱容量が小さくでき、迅速かつ小さいエネルギーで検出器15の箇所にのみに液体を生成させることができる。また、検出器15では、一対のくし型電極間の液体の静電容量を検出して、誘電率や質量を測定したり、電圧を印加して微量サンプルの電気泳動や液体クロマトグラフィを行うことができる。更に、検出器15の電極は目的に応じて応用され、検出器15の電極に酵素触媒材料を固定し、酵素反応させることができ、グルコース酸化酵素を電極上に固定化した固定化酵素電極を用いたバイオセンサとして、酵素を触媒とするグルコースの酸化反応で生成する過酸化水素を電流検出することにより、測定液体中のグルコース濃度を求めることができる。また、電流量変化、電位変化など種々の変化量を検出する作用電極と、対極より構成される2電極形式および作用電極、対極と参照電極より構成される3電極形式などで、電気化学的測定ができる。また、第1の気体を導入し第1の液体を形成した後、次に第2の気体を導入し第1の液体上に第2の液体を形成する。第1の液体と第2の液体を、凝集器13の温度制御により反応、あるいは検出器15の電極に高周波電力などの電気エネルギーを加えることにより液体分子も共振させるなどして反応させ、この反応状態を検出器15の電極により検出することができる。
【0021】
このように、本実施の形態の検出装置によれば、凝集器の上部に液体が生成され、検出器によってそのまま液体の特性や成分を検出したり分析したりできる。つまり、微量の試料が所定量を確実に取り込められる。更に、処理箇所は溶液導入の都合により導入制約があったが、蒸気は奥まった処理箇所でも導入でき、液化によって正確に所定処理箇所に試料が付加できるため、導入の制限が小さく複雑な構造の装置にも適用できる。これによって、より高度な検出処理が実現できる。捕集箇所と検出箇所を同一にすることができ、促時性が得られ、試料を移動させないので不純物影響なく、変質防止もでき、また微量で可能なので、試料の均一性、外部影響回避、高感度が実現し高精度が得られる。複数試料を導入する場合、異なる溶液が混じり合わないようにするのが難しく、それぞれ離れた位置に導入口を設ける必要なく、全体のサイズが小さくなる。
【0022】
図2は本実施の形態の検出装置の適用例を示す平面図である。同図に示すように、本実施の形態の検出装置10が基板19上にマルチアレイ状に配列して検出領域20を形成し、かつ各検出装置10に対する電源、駆動制御などの電気回路、そして図示していないホストからの電源供給や制御信号の入力端子、ホストなどへの検出結果を出力する出力端子がそれぞれ設けられている電気回路領域21を形成している。図2に示すように、図1の検出装置10をマルチアレイ状に配列しそれぞれの検出装置10を電気制御し、検出するための集積回路を一基板に設けたものである。なお、ウエルプレートと呼ばれ分注された反応検査容器のように、バイオチップ等として用いることができる。
【0023】
このような構成を有する本実施の形態の検出装置によれば、多種の検出や分析を一度に可能とするものである。また、複数の検出装置の中の所望の検出装置を制御することにより、所望の処理装置のみ所定条件で選択的に操作できる。
【0024】
図3は本発明の第2の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。同図の(a)は平面図、同図の(b)は同図の(a)のB−B’線断面図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の検出装置30は、架橋する薄層の同一面に、凝集器13と、凝集器13に隣接して検出器15を設けたものである。詳細には、本実施の形態の検出装置30は、第1の実施の形態の検出装置10と異なる点として、SiO2やSi3N4等のパッシべーション材料で被覆後、検出器15のパターンと外部引出し配線の電極(ボンディングパッド:図示省略)領域の被覆をエッチングにより除去し、貫通孔31のパターンと基板11での空洞部16をエッチングにより形成している。そして、凝集液体が形成される検出器15の周囲を、冷却効率を高めるための取り囲むパターン形状の凝集器13、その外周へ向かって放熱効率を高めるための放射状に配置したパターン形状の放熱器32、凝集器13と放熱器21との間の熱電変換材料を配置するパターン形状であって、各パターン間隙の支持層12は、エッチング除去によって貫通孔31のパターン形状、すなわち冷却及び放熱効率を高めるために熱容量を削減してある。凝集液体の形状は、表面張力により最小表面積である円形になりやすいので、液体の形状を効率良く保ちつつ性質を検出するために、検出器15の電極パターンも円形に沿う形にし、2本のループ形状電極としている。また、凝集器13となる電極は空洞部16上の薄い支持層12に架橋され、周囲気体に暴露されているので、熱容量が小さく小さな電力で迅速に冷却でき、一方放熱器32となる電極は熱伝導率の大きい基板11上に配置されているので、放熱効率が高い。これによって、迅速に温度制御ができるため、液体の形状をすばやく所定の形状にさせることもできるし、精細な形状制御もできる。また、検出器15の電極間の液体の静電容量を検出して、誘電率や質量を測定したり、電圧を印加して微量サンプルの電気泳動や液体クロマトグラフィを行い分析することができる。
【0025】
図4は本発明の第3の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。同図の(a)は平面図、同図の(b)は同図の(a)のC−C’線断面図である。同図において、図3と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の検出装置40は、第2の実施の形態の検出装置10と異なる点として、凝集液体が形成される検出器15の周囲の冷却効率を高めるための対向パターン形状の凝集器13、その外側へ向かって配置したパターン形状の放熱器32、凝集器13と放熱器21との間の熱電変換材料を配置するパターン形状であって、放熱効率を高めるために放熱器32に配線と同じ金属材料をヒートシンクとしてパターン形成している。よって、凝集器13となる電極は空洞部16上の薄い支持層12に架橋され、周囲気体に暴露されているので、熱容量が小さく小さな電力で迅速に冷却でき、一方放熱器32となる電極は熱伝導率の大きい基板11上に配置されているので、放熱効率が高い。これによって、迅速に温度制御ができるため、液体の形状をすばやく所定の形状にさせ、精細な形状制御を行う。更に、検出器15となる光導波路の入出光口が、凝集液体の形成される対向パターン形状の凝集器13の対向間隙に形成される。よって、凝集液体は検出器15の光導波路の光経路を通じて、分光分析などにより分析されるだけでなく、特定波長の光を与えることにより化学変化や合成、反応させることもできる。また、検出器15となる光導波路に電極と電極に接続する配線を併設すれば、光学的あるいは電気化学的に、酵素、免疫、や化学反応における呈色、蛍光等の発光、電流、電位等の各種信号が得られる。DNAのPCR増幅操作、分析や蛋白質分析に用いることができる。
【0026】
図5は本発明の第4の実施の形態に係る検出装置の構成を示す断面図である。同図において、図3と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の検出装置50は、2枚の基板11−1,11−2のそれぞれに、凝集器13と検出器15をそれぞれ設け、後述する接合部51を介して互いに接合したものである。詳細には、凝集液体を凝集する第1の基板構造として、基板11−1は半導体加工プロセスに用いる基板であり、Si、ガラスなどである。次に、凝集器13と電気絶縁層と検出器15及び凝集液体を搭載するための支持層12−1を形成する。なお、支持層12−1となる材料は、電気絶縁材料であり、SiO2やSi3N4などである。支持層12−1の上に、下層に放熱を兼ねた電極及び配線、中間に熱電変換材料、上層に冷却される電極として示されている凝集器13及び配線17を形成する。次に、凝集器13を電気絶縁するため電気絶縁を被覆、さらに効率を上げるのであれば、吸着を促進させるための多孔質や親水性の吸着材料層を被覆する。最後に、凝集器13のある領域の下部の基板11−1を、エッチングして空洞部16−1を形成する。一方、凝集液体を検出、操作する第2の基板構造として、基板11−2は半導体加工プロセスに用いる基板であり、Si、ガラスなどである。次に、支持層12−2を形成する。なお、支持層12−2となる材料は、電気絶縁材料であり、SiO2やSi3N4などである。支持層12−2の上に、検出器15の電極及び配線18を配置する。次に、検出器15となる電極は、例えばAuやPtなどの金属材料、または無機や有機の触媒材料を加え、さらに配線を形成する。また、光学的な検出、操作を行うのであれば光導波路を配置する。なお、検出器15となる電極と光導波路を併設して配置しても良い。最後に、検出器15のある検出領域の下部の基板11−2を、エッチングして空洞部16−2を形成する。凝集器13と検出器15が対向する合わせ位置で、所定の液体の暈高に相当する間隙の接合材で、凝集液体を凝集する第1の基板11−1と凝集液体を検出、操作する第2の基板11−2を接合する。このように凝集器13と検出器15が別の基板で独立して製造されるので、多様な用途に多種の装置として用いることができる。
【0027】
図6は本発明の第5の実施の形態に係る検出装置の構成を示す断面図である。同図において、図3と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の検出装置60は、特定成分を透過又は分離するための選択透過性フィルタ61を設けたものである。この選択透過性フィルタ61は、素子に接合された「膜」か、素子に積層された「層」であって、フィルタとしての機能を有する。多孔構造とした膜や、多孔質膜へ気液分離機能を付与した膜や層などが用いられる。なお、透過係数が小さくても、凝集器13、検出器15と近接して形成できるため、迅速に高感度の検出が可能となる。また、選択透過性フィルタ61は特定対象である特定成分を透過又は分離する性質を備えた材質で形成されている。「膜」では例えば、ポリテトラフルオロエチレンを延伸加工して多孔質化した膜や、シリコーン変性ポリマー、ポリイミド、セルロースアセテート、微多孔質ポリエチレン、可塑性エラストマー樹脂などを適宜選定できる。「層」では例えば、AlやSiを積層し、陽極酸化やゲル化して焼成したものが選定できる。具体例としては、水素吸収性ポリマー触媒混合膜、水素選択透過性ポリイミド膜、炭酸ガス分離用ポリエーテルスルホン非対称膜、CO分離高透過性ポリイミドガス分離膜、酸素透過性シリコーン含有ポリアミド膜、気体透過性シロキサン変性ポリイミド膜、水蒸気透過性無孔型ポリエステルポリエーテル樹脂、無孔型親水基導入ポリウレタン膜、ガス選択透過性高分子/液晶複合超薄膜、酸素選択透過性ケイ酸スチレン高分子膜、炭化水素分離用ポリスルホンゲル複合膜などをフィルタとして形成する。また、他の環境雰囲気成分と分離し、ガス種の特定と濃度検出とを目的として、亜硫酸ガス、一酸化炭素ガス、硫化水素ガス、窒素酸化物ガス、ダイオキシンガスなどの有害ガス分離膜、メタン、ブタン、アルコール、水素、酸素などの燃料用ガス工業用高圧ガスの取り扱い安全性における漏洩検知のためのガス分離膜、固体高分子膜燃料電池の改質器や電池セル内のアルコール濃度測定において、アルコールを抽出する水−アルコール液体分離膜などをフィルタとして形成する。これらのフィルタを検出装置に形成する方法としては、基板11に層形成する方法や基板11に接合する方法がある。基板11に接合する方法としてはフィルタメンブレンシートを接着するか、有機材料のように低融点の材料であれば、ホットメルト法で基板に接合する。また、目的に応じて、多種のフィルタを組み合わせて多重形成しても良い。
【0028】
このような構成を有する本実施の形態の検出装置によれば、小型で均一に製造されることにより、被検体の状態を変化させにくく、迅速かつばらつき無いことに加え、複数設置するのにも好適である。また、特定成分が、他の成分と比較して、特性を検出する際差が少ない場合、特定の成分を分離する選択透過性フィルタを透過させることによって、高精度の検出が可能となる。また、小型で、選択透過性フィルタと検出器とを近接させられるため、透過量の小さい成分でもフィルタ内外差圧が小さくても迅速に検出できる。更に、迅速に検出できるため、多層に選択透過性フィルタを設置することによって高精度の弁別性能が得られる。
【0029】
ここで、図6の選択透過性フィルタに代えて電気フィルタを装着した検出装置を図7に示す。図7に示す検出装置70の電気フィルタは、制御グリッド71、放電電極72、対向電極73及び制御電源74を含んで構成され、蒸気粒子に放電電極72によって帯電させ、所定範囲のエネルギーをもつ帯電粒子のみ、制御グリッドにより電磁界によりふるい分けし捕集する。また、図8に示す検出装置70は、図7の放電電極72の代わりに紫外線照射によって帯電させて制御グリッド71により電磁界によりふるい分けし捕集している。
【0030】
図9は別の発明の一実施の形態に係る反応装置の構成を示す平面図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の反応装置80は、凝集器13の上部に反応器81を積層したものである。くし型電極の凝集器13によって凝集液体を生成し、誘電率や質量を計測した後、反応器81の作用電極であるくし型電極に電圧を印加し液体を電気分解する。そして、気体に分解された成分が、併設された気体検出膜82によって電気計測され、気体検出膜82は所定の感応基を持った材料、例えば金属酸化物半導体からなり、還元性気体物質が吸着することによって電気抵抗値を減少させる。なお、気体検出膜82には図示していないホストからの配線83が接続されており、また反応器81には図示していないホストからの反応器用の配線84が接続されている。
【0031】
次に、本発明の検出装置の実際の使用形態について図面を用いて説明する。図10は本発明の検出装置における使用形態工程を示す断面図である。同図に示すように、試料導入口91及び排気口92が設けられた気密容器93内に、主に、図1に示す検出装置10と、試料台気化器94と、回路部95とが配設されている。同図の(b)に示すように、図示していない排気ポンプで気密容器93内を排気口92を介して強制的に排気し、そして試料を試料導入口91を介して試料台気化器94の上に載せる。その後、同図の(c)に示すように、密閉蓋96によって試料導入口91及び排気口92が閉ざされ、試料台気化器94の試料台が加熱されて試料が蒸発される。蒸発した気体の試料は本発明の検出装置10における凝集器によって凝集され、更には検出器によって成分等が検出される。なお、図10に示す使用形態のほかに、密閉容器93内を排気せずに、かつ試料台気化器94の試料台にも試料を導入せずに、単に密閉された密閉容器93内の成分であって試料台に吸着している成分を検出して第1の検出データを得た後に、試料を導入して図11の検出装置10の使用形態と同様に第2の検出データを得た上で、第1の検出データと第2の検出データの差分から、試料のみの検出データを得ることもできる。
【0032】
図11は本発明の検出装置における別の使用形態工程を示す断面図である。同図に示す本発明の検出装置の使用形態は、第1の検出装置10−1で試料を含む雰囲気の成分を検出し、かつ第2の検出装置10−2で予め試料を含まない雰囲気の成分を検出し、それぞれの成分の差分を試料の成分とするという分離検出ができる形態である。また、MEMS構造であるため2つの検出装置10−1,10−2が容易に形成できるので、一方の検出装置は試料を含まない雰囲気の気体の成分を検出しておいて、他方の検出装置は試料を含む雰囲気の気体の成分を検出して、それぞれの成分の差分を試料の特性とする分離検出もできる。詳細には、各試料導入口91−1,91−2は開放状態であって、試料台気化器94−1による試料からの蒸気が検出装置10−1の凝集器によって捕集される。このとき、検出装置10−2は分離壁97によって試料からの蒸気は捕集されない。試料台気化器94−1に試料が導入されると同時に試料台気化器94−1,94−2がそれぞれ加熱される。試料を含む雰囲気の成分を検出装置10−1で検出して第1のデータを得、試料を含まない雰囲気の成分を検出装置10−2で検出して第2のデータを得た上で、第1の検出データと第2の検出データの差分をとることで試料のみの成分を得ることができる。
【0033】
図12は本発明の検出システムの構成を示すブロック図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。なお、図12の本発明の検出システムにおける被検出試料は液体であるが液体に限定する必要はない。同図に示す本発明の検出システムは、図1に示す本発明の検出装置10、パラメータ情報記憶部101、算出部102、タイマ103、計測処理部104、温度密度センサ105、凝集器用温度センサ106、液化検出センサ107、液体質量センサ108、凝集器電力供給制御部109、検出器制御部110、設定部201を有する検出ユニット100と、ホスト200とを含んでシステム構成されている。また、検出装置10はペルチェ素子を含む凝集器13と検出器15を有している。更に、パラメータ情報記憶部101には、時間、温度、ペルチェ電力、測定値相関特性、液体種類別特性などの情報が記憶されている。このようなシステム構成を有する本発明の検出システム100では、ホスト200が設定部201を介して凝集器電力供給制御部109によって凝集器13のペルチェ素子へ凝集処理(冷却又は発熱)を制御する。また、ホスト200は、設定部201を介してパラメータ情報記憶部101に記憶されている時間、温度などの所定の情報を読み出す。そして、温度密度センサ105によって検出された温度密度である蒸気圧、凝集器用温度センサ106によって検出された温度、液化検出センサ107によって検出された試料が液化したか否か、あるいは液体質量センサ108によって検出された試料の液体質量の各検出データとタイマ103によって計時された時間とに基づいて計測処理部104によって処理された検出データと、パラメータ情報記憶部101から読み出された所定の情報とを元に、算出部102は検出器15に対する検出設定値を算出する。検出器制御部110は算出した検出設定値に基づいて検出器15の検出操作を制御する。このようなシステム構成を有する本発明の検出システム1によれば、温度密度センサ105などの雰囲気センサや液化検出センサ107などによって計測し、凝集器13の温度(電力)制御が行われ、それらのデータを処理し、検出器15の制御、測定が行われる。なお、再度使用するために液体の試料を蒸発させる操作を行って終了する。
【0034】
よって、本発明の検出システムによれば、測定制御を行いながら捕集を行うので、試料がムダになる割合が小さく、わずかな量であっても可能である。気液相変化を制御するので微小量を微調整させて処理できる。また、1度目と異なる試料を2度目に液化することにより重ねて処理することもできる。
【0035】
なお、別の発明として反応システムも、図12に示す本発明の検出システムと同様に、上述の反応装置及びホストを含んで構成することで構築することができる。
【0036】
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。
【図2】本実施の形態の検出装置の適用例を示す平面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る検出装置の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る検出装置の構成を示す断面図である。
【図7】図6の選択透過性フィルタに代えて電気フィルタを装着した検出装置の構成を示す断面図である。
【図8】別の電気フィルタを装着した検出装置の構成を示す断面図である。
【図9】別の発明の一実施の形態に係る反応装置の構成を示す平面図である。
【図10】本発明の検出装置における使用形態工程を示す断面図である。
【図11】本発明の検出装置における別の使用形態工程を示す断面図である。
【図12】本発明の検出システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0038】
10、30、40、50、60、70;検出装置、
11;基板、12;支持層、13;凝集器、14;電気絶縁材料層、
15;検出器、16;空洞部、17,18,83,84;配線、
61;選択透過性フィルタ、71;制御グリッド、72;放電電極、
73;対向電極、74;制御電源、80;反応装置、81;反応器、
82;気体検出膜、100;検出ユニット、200;ホスト。
【技術分野】
【0001】
本発明は検出装置、検出システム、反応装置及び反応システムに関し、詳細にはMEMS(Micro Electro Mechanical System)構造をなす、迅速かつ多用途性がある微量物質の検出を行う検出装置や反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微量の試料の検出や反応を扱う場合、MEMS構造の装置が適している。しかし、MEMS構造で扱う上で、試料を微量に分けて、適量にかつ所定箇所へ迅速に高精度に供給する分注技術が課題になっている。また、微量分析においては希薄試料に対する検出感度が得にくいので、さらに捕集した検体の密度を上げれば容易に検出することができるため、吸着剤に吸着させて濃縮し検出することが行われている。
【0003】
そこで、物質の相変化に伴う挙動に注目し、気体の温度(熱)、密度(圧力)など外的条件を検出し、試料が気化しさらに液体になる条件に制御することにより、試料を液体状に生成し捕集する。この捕集した液体について、捕集したその場の状態で処理する装置の働く仕組みを適用する。
【0004】
このように、微量の試料を凝集器によって捕集し処理するまでを、一連のMEMS構造の装置に展開した技術であるが、特にMEMS構造による試料を扱う装置に適用できる。例えば、捕集した試料の質量、密度、濃度、電気伝導度、電気容量、熱容量、結合状態などの物性値として検出する、マイクロバランス、SAW素子、クロマトグラフ、赤外線分析器、分光分析器、酵素センサ、グルコースセンサなどの検出器をはじめ、バイオ素子システムにおけるマイクロキャピラリー電気泳動チップ、DNAポリメラーゼ連鎖反応(PCR)チップ、電界流動分別(electrical field-flow fractionation:EFFF)、コンビナトリアル化学合成過程におけるマイクロケミトロニクス、マイクロケモメカトロニクスなどの、反応過程を含む反応器に適用することができる。
【0005】
ここで、従来の凝集器が特許文献1に提案されている。この特許文献1において、冷却部を冷却用集積素子の中央部に集中させたペルチェ冷却手段を中央部が除去されている基板上に形成し、水滴検出回路は直接的には水滴検出手段のインピーダス変化を検出する回路であり、この変化を検出して水滴の有無を判断するものであり、水滴検出手段を構成するコンデンサの容量が水滴の付着により大きく変化することを利用して水滴の有無を検出するものである。
【0006】
また、特許文献2には、試料を昇温または降温させる温度走査を行い、試料の物理化学的変化に基づく熱的変化を温度または時間の関数として計測する熱分析装置であって、基板と一体形成され下部に空洞を有する薄膜ヒータと、薄膜ヒータまたは薄膜ヒータを支持する薄膜支持部内の薄膜ヒータに接近した領域に形成された試料保持部と、薄膜ヒータまたは薄膜ヒータを支持する薄膜支持部内の薄膜ヒータに接近した領域に試料保持部と一体形成され、試料保持部の温度を検出する温度検出部と、薄膜ヒータおよび薄膜支持部のうち少なくとも一方における試料保持部と基板との間の領域に設けられた穴とを備えたものである。
【特許文献1】特公平03−062223号公報
【特許文献2】特許第3,377,162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1によれば、マイクロブリッジ上のベルチエ冷却手段で形成される水滴の有無を検出するだけの検出器であって、水滴を集めるためではなく、水滴の量や性質を制御したり測定するためのものではない。集めた水滴を利用する目的ではない。なお、水滴が継続的に集まり続けると、水滴の生成する条件を検出することはできない。また、特許文献2では、微量液体の検出において、温度の走査時間中に試料の蒸発があり、時間経過と共に液体試料量が減少してしまうので、これを防ぐ工夫が必要であること、また極微量液体試料の試料ホルダへの導入方法の問題、さらに同一薄膜にマイクロヒータと温度センサとが形成されているために、マイクロヒータの熱容量が余分に存在し、また薄膜内に加熱時の温度分布がやはり存在するので高感度で高精度になりにくいという問題点があった。更に、極微量の試料を扱う場合、分析器の適確な分析箇所への試料取り込みは位置精度、容量の制御が必要であって、所定の微小箇所に精度良く付加したいという要望があった。従って、導入箇所と処理箇所を同じくしたい(促時性、不純物影響回避)、試料を移動させない(変質防止)試料を処理箇所だけに限定したい、微量ですませたい(促時性、均一性、外部影響回避、高感度、高速)、ポータビリティー、操作性、省エネルギー(迅速で簡便で確実な扱い易さ、ハンドリングの自由度、繰り返し精度、繰り返し使用)、広範囲のアプリケーション(試料の多様性、汎用性)などを実現する必要がある。
【0008】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集でき、そして高速に検出処理や反応処理を行うことができる、検出装置、検出システム、反応装置及び反応システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明の検出装置は、試料を捕集する凝集器と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器とを薄層に集積したことに特徴がある。よって、試料の供給にマイクロディスペンサーのような別途組み込んだツールを介在させず、処理箇所以外の箇所へ試料を供給せずに、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集できると共に、高速に検出処理を行うことができる。
【0010】
また、凝集器、検出器の順で積層することが好ましい。更には、凝集器及び検出器を隣接して集積したことが好ましい。
【0011】
更に、凝集器及び検出器を集積する基板に空洞部を形成し、薄層は空洞部上を架橋することにより、微小量を高速に捕集でき、高速に検出することができる。
【0012】
また、本発明の検出装置は、試料を捕集する凝集器を形成する第1の基板と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器を形成する第2の基板とを接合して集積したことに特徴がある。よって、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集できると共に、高速に検出処理を行うことができる。
【0013】
更に、第1の基板に空洞部を形成することにより、微小量を高速に捕集でき、高速に検出することができる。
【0014】
また、凝集器に選択透過フィルタを設けることにより、高精度の弁別性能が加わり、更なる高精度の検出が可能となる。更に、凝集器に電気フィルタを設けることが好ましい。
【0015】
また、別の発明としての検出システムは、上記の検出装置と、該検出装置を制御するホストとを含んで構成することに特徴がある。よって、ホストによる測定制御を行いながら捕集処理を行うので試料がムダになる割合が小さく、わずかな量であっても可能となり高効率的な検出処理が可能となる。
【0016】
更に、別の発明としての反応装置は、試料を捕集する凝集器と、該凝集器によって捕集した試料を反応させる反応器とを薄層に集積したことに特徴がある。よって、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集できると共に、高速に反応処理を行うことができる。
【0017】
また、別の発明としての反応システムは、上記の反応装置と、該反応装置を制御するホストとを含んで構成することに特徴がある。よって、ホストによる測定制御を行いながら捕集処理を行うので試料がムダになる割合が小さく、わずかな量であっても可能となり高効率的な反応処理が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の検出装置によれば、試料を捕集する凝集器と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器とを薄層に集積したことによって、所定の微小量の微小な試料を精度よく、かつ高速に凝集できると共に、高速に検出処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。同図の(a)は平面図、同図の(b)は同図の(a)のA−A’線断面図である。同図に示す本実施の形態の検出装置10は、後述する凝集器13の上部に検出器15を積層したものである。詳細には、本実施の形態の検出装置10は、半導体加工プロセスに用いられる、例えばSiやガラスなどの基板11と、該基板11の上に形成され、例えばSiO2やSi3N4などの電気絶縁材料の支持層12と、該支持層12の上に設けられる凝集器13と、該凝集器13の上に電気絶縁材量を被覆して形成される電気絶縁材料層14と、該電気絶縁材料層14の上に設けられ、一対のくし型電極からなる検出器15とを含んで構成され、最後に凝集器13のある領域の基板11をエッチングして空洞部16が形成されている。そして、凝集器13は、下層に放熱を兼ねた電極や配線17、中間層に熱電変換材料、上層に冷却される電極で構成されている。ここで、凝集器13の熱電変換材料は、高性能の材料を見出すために、熱伝導率が小さく、導電性がよい材料であることが必要であり、性能指数の高い材料が好ましいがプロセス適合性や安全性能との適正により選択される。例えばペルチェ効果を利用するものであれば、Bi−Te系を主成分とするものが代表的である。また、熱電変換材料が平面に並列しているので、Bi−Te系材料を用いずに熱電変換材料にN型Si及びP型Siを使い、SOI基板を用いSOI層を熱電変換材料に、BOX層を支持層とすることも可能であり、通常の半導体プロセス材料が利用できる。更に、検出器15となる電極や配線18は、例えばAl、AuやPtなどの金属材料、あるいは無機や有機の触媒材料を加えたものである。なお、凝集器13は目的に応じたパターン形状であって、図1に示すような四角形とは限らない。
【0020】
次に、このような構成を有する本実施の形態の検出装置10の動作について説明すると、凝集器13の配線17に電圧を印加し、凝集器13の上層を気体の露点以下に冷却すると、気体は凝集器13の上部の検出器15の電極上に凝集し、液体が生成されるとともに、凝集器13の下層へ放熱が行われる。これにより、凝集器13は基板領域にはなく空洞部16上にあるので熱容量が小さくでき、迅速かつ小さいエネルギーで検出器15の箇所にのみに液体を生成させることができる。また、検出器15では、一対のくし型電極間の液体の静電容量を検出して、誘電率や質量を測定したり、電圧を印加して微量サンプルの電気泳動や液体クロマトグラフィを行うことができる。更に、検出器15の電極は目的に応じて応用され、検出器15の電極に酵素触媒材料を固定し、酵素反応させることができ、グルコース酸化酵素を電極上に固定化した固定化酵素電極を用いたバイオセンサとして、酵素を触媒とするグルコースの酸化反応で生成する過酸化水素を電流検出することにより、測定液体中のグルコース濃度を求めることができる。また、電流量変化、電位変化など種々の変化量を検出する作用電極と、対極より構成される2電極形式および作用電極、対極と参照電極より構成される3電極形式などで、電気化学的測定ができる。また、第1の気体を導入し第1の液体を形成した後、次に第2の気体を導入し第1の液体上に第2の液体を形成する。第1の液体と第2の液体を、凝集器13の温度制御により反応、あるいは検出器15の電極に高周波電力などの電気エネルギーを加えることにより液体分子も共振させるなどして反応させ、この反応状態を検出器15の電極により検出することができる。
【0021】
このように、本実施の形態の検出装置によれば、凝集器の上部に液体が生成され、検出器によってそのまま液体の特性や成分を検出したり分析したりできる。つまり、微量の試料が所定量を確実に取り込められる。更に、処理箇所は溶液導入の都合により導入制約があったが、蒸気は奥まった処理箇所でも導入でき、液化によって正確に所定処理箇所に試料が付加できるため、導入の制限が小さく複雑な構造の装置にも適用できる。これによって、より高度な検出処理が実現できる。捕集箇所と検出箇所を同一にすることができ、促時性が得られ、試料を移動させないので不純物影響なく、変質防止もでき、また微量で可能なので、試料の均一性、外部影響回避、高感度が実現し高精度が得られる。複数試料を導入する場合、異なる溶液が混じり合わないようにするのが難しく、それぞれ離れた位置に導入口を設ける必要なく、全体のサイズが小さくなる。
【0022】
図2は本実施の形態の検出装置の適用例を示す平面図である。同図に示すように、本実施の形態の検出装置10が基板19上にマルチアレイ状に配列して検出領域20を形成し、かつ各検出装置10に対する電源、駆動制御などの電気回路、そして図示していないホストからの電源供給や制御信号の入力端子、ホストなどへの検出結果を出力する出力端子がそれぞれ設けられている電気回路領域21を形成している。図2に示すように、図1の検出装置10をマルチアレイ状に配列しそれぞれの検出装置10を電気制御し、検出するための集積回路を一基板に設けたものである。なお、ウエルプレートと呼ばれ分注された反応検査容器のように、バイオチップ等として用いることができる。
【0023】
このような構成を有する本実施の形態の検出装置によれば、多種の検出や分析を一度に可能とするものである。また、複数の検出装置の中の所望の検出装置を制御することにより、所望の処理装置のみ所定条件で選択的に操作できる。
【0024】
図3は本発明の第2の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。同図の(a)は平面図、同図の(b)は同図の(a)のB−B’線断面図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の検出装置30は、架橋する薄層の同一面に、凝集器13と、凝集器13に隣接して検出器15を設けたものである。詳細には、本実施の形態の検出装置30は、第1の実施の形態の検出装置10と異なる点として、SiO2やSi3N4等のパッシべーション材料で被覆後、検出器15のパターンと外部引出し配線の電極(ボンディングパッド:図示省略)領域の被覆をエッチングにより除去し、貫通孔31のパターンと基板11での空洞部16をエッチングにより形成している。そして、凝集液体が形成される検出器15の周囲を、冷却効率を高めるための取り囲むパターン形状の凝集器13、その外周へ向かって放熱効率を高めるための放射状に配置したパターン形状の放熱器32、凝集器13と放熱器21との間の熱電変換材料を配置するパターン形状であって、各パターン間隙の支持層12は、エッチング除去によって貫通孔31のパターン形状、すなわち冷却及び放熱効率を高めるために熱容量を削減してある。凝集液体の形状は、表面張力により最小表面積である円形になりやすいので、液体の形状を効率良く保ちつつ性質を検出するために、検出器15の電極パターンも円形に沿う形にし、2本のループ形状電極としている。また、凝集器13となる電極は空洞部16上の薄い支持層12に架橋され、周囲気体に暴露されているので、熱容量が小さく小さな電力で迅速に冷却でき、一方放熱器32となる電極は熱伝導率の大きい基板11上に配置されているので、放熱効率が高い。これによって、迅速に温度制御ができるため、液体の形状をすばやく所定の形状にさせることもできるし、精細な形状制御もできる。また、検出器15の電極間の液体の静電容量を検出して、誘電率や質量を測定したり、電圧を印加して微量サンプルの電気泳動や液体クロマトグラフィを行い分析することができる。
【0025】
図4は本発明の第3の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。同図の(a)は平面図、同図の(b)は同図の(a)のC−C’線断面図である。同図において、図3と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の検出装置40は、第2の実施の形態の検出装置10と異なる点として、凝集液体が形成される検出器15の周囲の冷却効率を高めるための対向パターン形状の凝集器13、その外側へ向かって配置したパターン形状の放熱器32、凝集器13と放熱器21との間の熱電変換材料を配置するパターン形状であって、放熱効率を高めるために放熱器32に配線と同じ金属材料をヒートシンクとしてパターン形成している。よって、凝集器13となる電極は空洞部16上の薄い支持層12に架橋され、周囲気体に暴露されているので、熱容量が小さく小さな電力で迅速に冷却でき、一方放熱器32となる電極は熱伝導率の大きい基板11上に配置されているので、放熱効率が高い。これによって、迅速に温度制御ができるため、液体の形状をすばやく所定の形状にさせ、精細な形状制御を行う。更に、検出器15となる光導波路の入出光口が、凝集液体の形成される対向パターン形状の凝集器13の対向間隙に形成される。よって、凝集液体は検出器15の光導波路の光経路を通じて、分光分析などにより分析されるだけでなく、特定波長の光を与えることにより化学変化や合成、反応させることもできる。また、検出器15となる光導波路に電極と電極に接続する配線を併設すれば、光学的あるいは電気化学的に、酵素、免疫、や化学反応における呈色、蛍光等の発光、電流、電位等の各種信号が得られる。DNAのPCR増幅操作、分析や蛋白質分析に用いることができる。
【0026】
図5は本発明の第4の実施の形態に係る検出装置の構成を示す断面図である。同図において、図3と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の検出装置50は、2枚の基板11−1,11−2のそれぞれに、凝集器13と検出器15をそれぞれ設け、後述する接合部51を介して互いに接合したものである。詳細には、凝集液体を凝集する第1の基板構造として、基板11−1は半導体加工プロセスに用いる基板であり、Si、ガラスなどである。次に、凝集器13と電気絶縁層と検出器15及び凝集液体を搭載するための支持層12−1を形成する。なお、支持層12−1となる材料は、電気絶縁材料であり、SiO2やSi3N4などである。支持層12−1の上に、下層に放熱を兼ねた電極及び配線、中間に熱電変換材料、上層に冷却される電極として示されている凝集器13及び配線17を形成する。次に、凝集器13を電気絶縁するため電気絶縁を被覆、さらに効率を上げるのであれば、吸着を促進させるための多孔質や親水性の吸着材料層を被覆する。最後に、凝集器13のある領域の下部の基板11−1を、エッチングして空洞部16−1を形成する。一方、凝集液体を検出、操作する第2の基板構造として、基板11−2は半導体加工プロセスに用いる基板であり、Si、ガラスなどである。次に、支持層12−2を形成する。なお、支持層12−2となる材料は、電気絶縁材料であり、SiO2やSi3N4などである。支持層12−2の上に、検出器15の電極及び配線18を配置する。次に、検出器15となる電極は、例えばAuやPtなどの金属材料、または無機や有機の触媒材料を加え、さらに配線を形成する。また、光学的な検出、操作を行うのであれば光導波路を配置する。なお、検出器15となる電極と光導波路を併設して配置しても良い。最後に、検出器15のある検出領域の下部の基板11−2を、エッチングして空洞部16−2を形成する。凝集器13と検出器15が対向する合わせ位置で、所定の液体の暈高に相当する間隙の接合材で、凝集液体を凝集する第1の基板11−1と凝集液体を検出、操作する第2の基板11−2を接合する。このように凝集器13と検出器15が別の基板で独立して製造されるので、多様な用途に多種の装置として用いることができる。
【0027】
図6は本発明の第5の実施の形態に係る検出装置の構成を示す断面図である。同図において、図3と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の検出装置60は、特定成分を透過又は分離するための選択透過性フィルタ61を設けたものである。この選択透過性フィルタ61は、素子に接合された「膜」か、素子に積層された「層」であって、フィルタとしての機能を有する。多孔構造とした膜や、多孔質膜へ気液分離機能を付与した膜や層などが用いられる。なお、透過係数が小さくても、凝集器13、検出器15と近接して形成できるため、迅速に高感度の検出が可能となる。また、選択透過性フィルタ61は特定対象である特定成分を透過又は分離する性質を備えた材質で形成されている。「膜」では例えば、ポリテトラフルオロエチレンを延伸加工して多孔質化した膜や、シリコーン変性ポリマー、ポリイミド、セルロースアセテート、微多孔質ポリエチレン、可塑性エラストマー樹脂などを適宜選定できる。「層」では例えば、AlやSiを積層し、陽極酸化やゲル化して焼成したものが選定できる。具体例としては、水素吸収性ポリマー触媒混合膜、水素選択透過性ポリイミド膜、炭酸ガス分離用ポリエーテルスルホン非対称膜、CO分離高透過性ポリイミドガス分離膜、酸素透過性シリコーン含有ポリアミド膜、気体透過性シロキサン変性ポリイミド膜、水蒸気透過性無孔型ポリエステルポリエーテル樹脂、無孔型親水基導入ポリウレタン膜、ガス選択透過性高分子/液晶複合超薄膜、酸素選択透過性ケイ酸スチレン高分子膜、炭化水素分離用ポリスルホンゲル複合膜などをフィルタとして形成する。また、他の環境雰囲気成分と分離し、ガス種の特定と濃度検出とを目的として、亜硫酸ガス、一酸化炭素ガス、硫化水素ガス、窒素酸化物ガス、ダイオキシンガスなどの有害ガス分離膜、メタン、ブタン、アルコール、水素、酸素などの燃料用ガス工業用高圧ガスの取り扱い安全性における漏洩検知のためのガス分離膜、固体高分子膜燃料電池の改質器や電池セル内のアルコール濃度測定において、アルコールを抽出する水−アルコール液体分離膜などをフィルタとして形成する。これらのフィルタを検出装置に形成する方法としては、基板11に層形成する方法や基板11に接合する方法がある。基板11に接合する方法としてはフィルタメンブレンシートを接着するか、有機材料のように低融点の材料であれば、ホットメルト法で基板に接合する。また、目的に応じて、多種のフィルタを組み合わせて多重形成しても良い。
【0028】
このような構成を有する本実施の形態の検出装置によれば、小型で均一に製造されることにより、被検体の状態を変化させにくく、迅速かつばらつき無いことに加え、複数設置するのにも好適である。また、特定成分が、他の成分と比較して、特性を検出する際差が少ない場合、特定の成分を分離する選択透過性フィルタを透過させることによって、高精度の検出が可能となる。また、小型で、選択透過性フィルタと検出器とを近接させられるため、透過量の小さい成分でもフィルタ内外差圧が小さくても迅速に検出できる。更に、迅速に検出できるため、多層に選択透過性フィルタを設置することによって高精度の弁別性能が得られる。
【0029】
ここで、図6の選択透過性フィルタに代えて電気フィルタを装着した検出装置を図7に示す。図7に示す検出装置70の電気フィルタは、制御グリッド71、放電電極72、対向電極73及び制御電源74を含んで構成され、蒸気粒子に放電電極72によって帯電させ、所定範囲のエネルギーをもつ帯電粒子のみ、制御グリッドにより電磁界によりふるい分けし捕集する。また、図8に示す検出装置70は、図7の放電電極72の代わりに紫外線照射によって帯電させて制御グリッド71により電磁界によりふるい分けし捕集している。
【0030】
図9は別の発明の一実施の形態に係る反応装置の構成を示す平面図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の反応装置80は、凝集器13の上部に反応器81を積層したものである。くし型電極の凝集器13によって凝集液体を生成し、誘電率や質量を計測した後、反応器81の作用電極であるくし型電極に電圧を印加し液体を電気分解する。そして、気体に分解された成分が、併設された気体検出膜82によって電気計測され、気体検出膜82は所定の感応基を持った材料、例えば金属酸化物半導体からなり、還元性気体物質が吸着することによって電気抵抗値を減少させる。なお、気体検出膜82には図示していないホストからの配線83が接続されており、また反応器81には図示していないホストからの反応器用の配線84が接続されている。
【0031】
次に、本発明の検出装置の実際の使用形態について図面を用いて説明する。図10は本発明の検出装置における使用形態工程を示す断面図である。同図に示すように、試料導入口91及び排気口92が設けられた気密容器93内に、主に、図1に示す検出装置10と、試料台気化器94と、回路部95とが配設されている。同図の(b)に示すように、図示していない排気ポンプで気密容器93内を排気口92を介して強制的に排気し、そして試料を試料導入口91を介して試料台気化器94の上に載せる。その後、同図の(c)に示すように、密閉蓋96によって試料導入口91及び排気口92が閉ざされ、試料台気化器94の試料台が加熱されて試料が蒸発される。蒸発した気体の試料は本発明の検出装置10における凝集器によって凝集され、更には検出器によって成分等が検出される。なお、図10に示す使用形態のほかに、密閉容器93内を排気せずに、かつ試料台気化器94の試料台にも試料を導入せずに、単に密閉された密閉容器93内の成分であって試料台に吸着している成分を検出して第1の検出データを得た後に、試料を導入して図11の検出装置10の使用形態と同様に第2の検出データを得た上で、第1の検出データと第2の検出データの差分から、試料のみの検出データを得ることもできる。
【0032】
図11は本発明の検出装置における別の使用形態工程を示す断面図である。同図に示す本発明の検出装置の使用形態は、第1の検出装置10−1で試料を含む雰囲気の成分を検出し、かつ第2の検出装置10−2で予め試料を含まない雰囲気の成分を検出し、それぞれの成分の差分を試料の成分とするという分離検出ができる形態である。また、MEMS構造であるため2つの検出装置10−1,10−2が容易に形成できるので、一方の検出装置は試料を含まない雰囲気の気体の成分を検出しておいて、他方の検出装置は試料を含む雰囲気の気体の成分を検出して、それぞれの成分の差分を試料の特性とする分離検出もできる。詳細には、各試料導入口91−1,91−2は開放状態であって、試料台気化器94−1による試料からの蒸気が検出装置10−1の凝集器によって捕集される。このとき、検出装置10−2は分離壁97によって試料からの蒸気は捕集されない。試料台気化器94−1に試料が導入されると同時に試料台気化器94−1,94−2がそれぞれ加熱される。試料を含む雰囲気の成分を検出装置10−1で検出して第1のデータを得、試料を含まない雰囲気の成分を検出装置10−2で検出して第2のデータを得た上で、第1の検出データと第2の検出データの差分をとることで試料のみの成分を得ることができる。
【0033】
図12は本発明の検出システムの構成を示すブロック図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。なお、図12の本発明の検出システムにおける被検出試料は液体であるが液体に限定する必要はない。同図に示す本発明の検出システムは、図1に示す本発明の検出装置10、パラメータ情報記憶部101、算出部102、タイマ103、計測処理部104、温度密度センサ105、凝集器用温度センサ106、液化検出センサ107、液体質量センサ108、凝集器電力供給制御部109、検出器制御部110、設定部201を有する検出ユニット100と、ホスト200とを含んでシステム構成されている。また、検出装置10はペルチェ素子を含む凝集器13と検出器15を有している。更に、パラメータ情報記憶部101には、時間、温度、ペルチェ電力、測定値相関特性、液体種類別特性などの情報が記憶されている。このようなシステム構成を有する本発明の検出システム100では、ホスト200が設定部201を介して凝集器電力供給制御部109によって凝集器13のペルチェ素子へ凝集処理(冷却又は発熱)を制御する。また、ホスト200は、設定部201を介してパラメータ情報記憶部101に記憶されている時間、温度などの所定の情報を読み出す。そして、温度密度センサ105によって検出された温度密度である蒸気圧、凝集器用温度センサ106によって検出された温度、液化検出センサ107によって検出された試料が液化したか否か、あるいは液体質量センサ108によって検出された試料の液体質量の各検出データとタイマ103によって計時された時間とに基づいて計測処理部104によって処理された検出データと、パラメータ情報記憶部101から読み出された所定の情報とを元に、算出部102は検出器15に対する検出設定値を算出する。検出器制御部110は算出した検出設定値に基づいて検出器15の検出操作を制御する。このようなシステム構成を有する本発明の検出システム1によれば、温度密度センサ105などの雰囲気センサや液化検出センサ107などによって計測し、凝集器13の温度(電力)制御が行われ、それらのデータを処理し、検出器15の制御、測定が行われる。なお、再度使用するために液体の試料を蒸発させる操作を行って終了する。
【0034】
よって、本発明の検出システムによれば、測定制御を行いながら捕集を行うので、試料がムダになる割合が小さく、わずかな量であっても可能である。気液相変化を制御するので微小量を微調整させて処理できる。また、1度目と異なる試料を2度目に液化することにより重ねて処理することもできる。
【0035】
なお、別の発明として反応システムも、図12に示す本発明の検出システムと同様に、上述の反応装置及びホストを含んで構成することで構築することができる。
【0036】
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。
【図2】本実施の形態の検出装置の適用例を示す平面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る検出装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る検出装置の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る検出装置の構成を示す断面図である。
【図7】図6の選択透過性フィルタに代えて電気フィルタを装着した検出装置の構成を示す断面図である。
【図8】別の電気フィルタを装着した検出装置の構成を示す断面図である。
【図9】別の発明の一実施の形態に係る反応装置の構成を示す平面図である。
【図10】本発明の検出装置における使用形態工程を示す断面図である。
【図11】本発明の検出装置における別の使用形態工程を示す断面図である。
【図12】本発明の検出システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0038】
10、30、40、50、60、70;検出装置、
11;基板、12;支持層、13;凝集器、14;電気絶縁材料層、
15;検出器、16;空洞部、17,18,83,84;配線、
61;選択透過性フィルタ、71;制御グリッド、72;放電電極、
73;対向電極、74;制御電源、80;反応装置、81;反応器、
82;気体検出膜、100;検出ユニット、200;ホスト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を捕集する凝集器と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器とを薄層に集積したことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記凝集器、前記検出器の順で積層することを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項3】
前記凝集器及び前記検出器を隣接して集積したことを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項4】
前記凝集器及び前記検出器を集積する基板に空洞部を形成し、前記薄層は前記空洞部上を架橋することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項5】
試料を捕集する凝集器を形成する第1の基板と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器を形成する第2の基板とを接合して集積したことを特徴とする検出装置。
【請求項6】
前記第1の基板に空洞部を形成することを特徴とする請求項5記載の検出装置。
【請求項7】
前記凝集器に選択透過フィルタを設けることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記凝集器に電気フィルタを設けることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の検出装置と、該検出装置を制御するホストとを含んで構成することを特徴とする検出システム。
【請求項10】
試料を捕集する凝集器と、該凝集器によって捕集した試料を反応させる反応器とを薄層に集積したことを特徴とする反応装置。
【請求項11】
請求項10記載の反応装置と、該反応装置を制御するホストとを含んで構成することを特徴とする反応システム。
【請求項1】
試料を捕集する凝集器と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器とを薄層に集積したことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記凝集器、前記検出器の順で積層することを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項3】
前記凝集器及び前記検出器を隣接して集積したことを特徴とする請求項1記載の検出装置。
【請求項4】
前記凝集器及び前記検出器を集積する基板に空洞部を形成し、前記薄層は前記空洞部上を架橋することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項5】
試料を捕集する凝集器を形成する第1の基板と、該凝集器によって捕集した試料の成分を検出する検出器を形成する第2の基板とを接合して集積したことを特徴とする検出装置。
【請求項6】
前記第1の基板に空洞部を形成することを特徴とする請求項5記載の検出装置。
【請求項7】
前記凝集器に選択透過フィルタを設けることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記凝集器に電気フィルタを設けることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の検出装置と、該検出装置を制御するホストとを含んで構成することを特徴とする検出システム。
【請求項10】
試料を捕集する凝集器と、該凝集器によって捕集した試料を反応させる反応器とを薄層に集積したことを特徴とする反応装置。
【請求項11】
請求項10記載の反応装置と、該反応装置を制御するホストとを含んで構成することを特徴とする反応システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−180619(P2009−180619A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20074(P2008−20074)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]