検出装置
【課題】人体の自由な動きの中においても人体の動作及び/又は位置を検出できる検出装置を提供する。
【解決手段】角度・角速度検出装置1は、角速度を検出するジャイロスコープ2,2,…と、ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の腕に装着される装着具3と、ジャイロスコープ2,2,…からの出力結果を処理する本体部4とを備えている。装着具3は、人体の特定の部位を基準にしてジャイロスコープ2,2,…を人体に対して位置決めした状態で取り付ける。
【解決手段】角度・角速度検出装置1は、角速度を検出するジャイロスコープ2,2,…と、ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の腕に装着される装着具3と、ジャイロスコープ2,2,…からの出力結果を処理する本体部4とを備えている。装着具3は、人体の特定の部位を基準にしてジャイロスコープ2,2,…を人体に対して位置決めした状態で取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の動作及び/又は位置を検出する検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、人体の動作又は位置を検出することが行われている。人体の動作検出の一例として、関節の角度の検出がある。例えば、リハビリ等においては回復具合を調べるために関節の可動域を検出する必要がある。また、人体の運動解析を行う場合等には、関節がどのような動きをしているのかを把握する必要がある。
【0003】
関節等の角度を測定する器具としては、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に係る器具は、関節を挟んだ人体の或る部位に固定される添板と、該関節を挟んだ人体に別の部位に固定される操作板と、添板に設けられた目盛板とを備えている。添板及び操作板は、それぞれ、ベルト等を介して人体に取り付けられている。その状態で、操作板が取り付けられた人体の部位を回動させて、目盛板を用いて、操作板の、添板に対する回転角度を読み取ることによって、関節の回転角度を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭50−144488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る測定器具では、測定器具の一部分(添板)を人体の或る部分に取り付け、測定器具の他の部分(操作板)を人体の、該或る部分に対して可動する部分に取り付ける場合には、測定器具の取付位置がずれないように、人体に測定用の所定の動作を慎重に行わせる必要がある。
【0006】
また、特許文献1に係る測定器具では、添板と操作板とをベルトを介して人体に取り付けているだけであるため、測定器具を毎回同じように取り付けることは困難である。さらには、取付作業をする人によっても、取付状態にばらつきが生じる。さらにまた、測定器具を人体にベルトを介して止めているだけなので、測定中に測定器具がずれる虞もある。つまり、測定器具の取付の再現性が悪い。その結果、測定値にもばらつきが生じ、測定値の再現性も悪くなる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、人体の自由な動きの中においても人体の動作及び/又は位置を検出でき且つ、測定値の再現性が高い検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る検出装置は、人体の位置及び/又は動作を検出するセンサと、前記センサを人体の所定の部分に取り付ける装着具と、前記センサからの出力結果を処理する本体部とを備え、前記装着具は、人体の特定の部位を基準にして前記センサを人体に対して位置決めした状態で取り付けるものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人体に装着したセンサによって人体の動作及び/又は位置を検出するため、自由な動きを行う人体の動作及び/又は位置を検出することができる。それに加えて、センサを装着具により人体の特定の部位を基準にして位置決めした状態で人体に取り付けるため、センサの取付再現性を向上させ、ひいては、センサの測定値の再現性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図2】角度・角速度検出装置を人体に装着したときの概略図である。
【図3】実施形態2に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図4】実施形態3に係る角度・角速度検出装置の展開図である。
【図5】角度・角速度検出装置を人体に装着したときの概略図である。
【図6】実施形態4に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図7】実施形態5に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図8】実施形態6に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図9】実施形態7に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図10】リセットプレートの斜視図である。
【図11】実施形態8に係る角度・角速度検出装置の概略図であって、(A)が背面図、(B)が正面図、(C)右側面図である。
【図12】実施形態9に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の例示的な実施形態1に係る角度・角速度検出装置1の概略図を、図2は、角度・角速度検出装置1を人体に装着したときの概略図を示す。
【0013】
角度・角速度検出装置1は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人の腕に装着される装着具3と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0014】
前記ジャイロスコープ2は、直交する2軸回りの角速度を検出する。ジャイロスコープ2は、IP−40以上(例えば、IP−67)の防塵・防水対応になっている。ジャイロスコープ2からはケーブル21が延びており、このケーブル21は、本体部4に接続されている。
【0015】
前記装着具3は、伸縮性のある記事で縫製された服飾具である。装着具3には、ジャイロスコープ2,2,…が配設されている。装着具3は、人体の指や肩等の特定の部位を基準にして、位置決めされた状態で人体の腕に装着される。そのため、ジャイロスコープ2,2,…も同様に、人体の特定の部位を基準にして、人体の腕に装着されることになる。装着具3の詳しい構成については、後述する。
【0016】
前記本体部4は、各ジャイロスコープ2からの検出信号がケーブル21を介して入力される。本体部4は、CPU、メモリ、表示部、操作部を有し、ジャイロスコープ2からの検出信号に所定の処理を施す。メモリは、不揮発性であり、プログラムの実行時に発生する一次的なデータが記録される。表示部及び操作部は、本体部4の表面に設けられている。操作部は、ユーザが操作可能であって、ユーザからの入力を受け付けるためのものである。本体部4は、操作部を介したユーザの操作によって、電源をオン/オフしたり、検出モードを切り替えたりする。表示部には、現在の検出モードや、角速度又は角度が表示される。例えば、本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号を角速度に変換したり、該角速度から算出される角度に変換したりする。また、本体部4は、有線又は無線を介して、パーソナルコンピュータ等の外部機器と通信可能に構成されている。すなわち、本体部4は、外部機器から制御信号を受信したり、ジャイロスコープ2からの検出結果を外部機器へ出力したりする。本体部4は、ベルト等の装着具(図示省略)を介して、人体に装着されるように構成されている。尚、本体部4は、装着具3の上腕部33や肩掛部34等に取り付けられる構成であってもよい。また、ジャイロスコープ2と本体部4との間で無線を介して通信が可能である構成においては、本体部4は人体には装着されず、外部機器側に設けられていてもよい。
【0017】
ここで、本体部4による処理の一例について説明する。
【0018】
本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号に基づいて、角速度及び/又は角度の最大値及び/又は最小値を記憶する処理を行う。
【0019】
また、本体部4は、ジャイロスコープ2より検出される角速度又は角度が、上限閾値及び/又は下限閾値を超えたときにオン信号を出力する処理を行う。本体部4は、通常モードであれば、ジャイロスコープ2からの検出信号が所定の上限閾値を上回ると(又は下限閾値を下回ると)オン信号を出力し、検出信号が上限閾値を下回ると(又は下限閾値を上回ると)オン信号の出力を停止する。本体部4は、オン信号を単に出力するだけでもよいし、オン信号を受けて本体部4に設けたLEDランプを点灯させたり、本体部4に設けたブザーを鳴らしたりしてもよい。ここで、本体部4は、ワンショットタイマ機能、オンディレイタイマ機能及びオフディレイタイマ機能の3種類のタイマ機能を有している。
【0020】
ワンショットタイマ機能がオン状態のときには、本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号が所定の上限閾値を上回ると(又は下限閾値を下回ると)、所定の時間だけオン信号の出力を継続する。これらの所定の上限閾値、下限閾値及び時間は、ユーザが設定することができる。つまり、ワンショットタイマ機能によれば、本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号が所定の上限閾値を一旦上回ると(又は下限閾値を一旦下回ると)、オン信号を出力し、そこから所定の時間の間に検出信号が所定の上限閾値を下回った(又は下限閾値を上回った)としてもオン信号を出力し続ける。
【0021】
オンディレイ機能がオン状態のときには、本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号が所定の上限閾値を上回っても(又は下限閾値を下回っても)、オン信号をすぐには出力せず、検出信号が上限閾値を上回った(又は下限閾値を下回った)状態が所定の時間続くと初めて、オン信号を出力する。これらの所定の上限閾値、下限閾値及び時間は、ユーザが設定することができる。つまり、オンディレイ機能によれば、本体部4は、上限閾値及び/下限閾値を跨いだチャタリングを無視して、オン信号を出力しないようにすることができる。
【0022】
オフディレイ機能がオン状態のときには、本体部4は、オン信号を出力している状態から、ジャイロスコープ2からの検出信号が所定の上限閾値を下回っても(又は下限閾値を上回っても)、オン信号をすぐには停止せず、検出信号が上限閾値を下回った(又は下限閾値を上回った)状態が所定の時間続くと初めて、オン信号を停止する。これらの所定の上限閾値、下限閾値及び時間は、ユーザが設定することができる。つまり、オフディレイ機能によれば、本体部4は、検出信号が上限閾値を上回って(又は下限閾値を下回って)、すぐに上限閾値を下回った(又は下限閾値を上回った)としても、オン信号の出力が継続するため、外部機器側でオン信号を見逃すことを防止することができる。
【0023】
さらに、本体部4は、微小な角速度の変化を無視するゼロ感度機能を有する。ゼロ感度機能がオン状態のときには、本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号から算出される角速度が所定の角速度以下の場合はそれを無視する。つまり、ジャイロスコープ2は、実際には角速度が変化していなくても、その出力信号が時間と共に変化していくドリフト現象を有する。そのため、ジャイロスコープ2の検出信号は、ジャイロスコープ2が動いていないにもかかわらず、微小に変動する。それに対して、ゼロ感度機能をオン状態にすると、ジャイロスコープ2の検出信号の、ドリフトによる微小な変動が無視され、ジャイロスコープ2の検出信号は一定に維持される。尚、本体部4は、ジャイロスコープ2の検出信号から検出される角速度を積算して角度を算出しているが、ドリフトによって変動する角速度は、人体の動きに伴ってジャイロスコープ2が実際に動くときの角速度に比べて小さいため、ドリフト分を無視しても、算出される角度には大きな影響を与えない。
【0024】
さらには、本体部4は、ジャイロスコープ2の検出信号を、所定の時間間隔でメモリに記録していく機能を有する。
【0025】
尚、本体部4から出力される検出信号を受けた、パーソナルコンピュータ等の外部機器においては、人体の動作及び/又はその軌跡をディスプレイ上に表示する機能を有していてもよい。
【0026】
続いて、装着具3の詳しい構成について説明する。装着具3は、人体の手に装着される手部31と、前腕に装着される前腕部32と、上腕に接続される上腕部33と、該上腕部33の上端に設けられ、該装着具3が装着される腕とは反対側の肩に掛けられる肩掛部34とを有している。尚、装着具3の生地は、人体の動きを拘束しない程度に柔らかい生地であることが好ましい。
【0027】
前記手部31,前腕部32及び上腕部33は、一体に形成されている。手部31には、手の各指が挿通される指部36,36,…が設けられている。手部31と前腕部32との境界には、他の部分よりも締付力が大きい第1締付部35aが設けられている。また、前腕部32の上端部(即ち、上腕部33との境界近傍)、上腕部33の上端部にはそれぞれ、他の部分よりも締付力が大きい第2及び第3締付部35b,35cが設けられている。
【0028】
第1締付部35aは、人体の手首に相当する部分において手部31及び前腕部32の全周に亘って設けられている。手首はその上下の部分に比べて細くなっているため、第1締付部35aは、手首に合致、即ち、フィットした状態から上下に動き難い。つまり、第1締付部35aは、手部31の上端部及び前腕部32の下端部を、腕の長手方向において、人体の手首の位置に位置決めする。
【0029】
第2締付部35bは、人体の腕撓骨筋の上端部に相当する部分、即ち、前腕の筋肉が肘に向かって細くなった部分において前腕部32の全周に亘って設けられている。当該部分に合致した第2締付部35bは、腕撓骨筋の隆起があるため前腕の先端側へは移動し難く、肘の出っ張りがあるため上腕側へも移動し難い。つまり、第2締付部35bは、前腕部32の上端部を、腕の長手方向において、前腕の筋肉が肘に向かって細くなった部分に位置決めする。
【0030】
第3締付部35cは、人体の上腕二頭筋及び上腕三頭筋の上端部に相当する部分、即ち、上腕の筋肉が肩に向かって細くなった部分において上腕部33の全周に亘って設けられている。当該部分に合致した第3締付部35cは、上腕二頭筋及び上腕三頭筋の隆起があるため上腕の先端側へは移動し難く、肩の三角筋があるため肩側へも移動し難い。つまり、第3締付部35cは、上腕部33の上端部を、腕の長手方向において、上腕の筋肉が肩に向かって細くなった部分に位置決めする。
【0031】
尚、第1〜第3締付部35a〜35cは、手部31、前腕部32及び上腕部33の全周に亘って設けられているが、これに限られず、周方向において部分的に設けられる構成であってもよい。また、第1〜第3締付部35a〜35cは、ベルト等の別部材で構成されてもよい。
【0032】
前記肩掛部34は、伸縮性を有するベルト状の部材である。肩掛部34の両端部は、上腕部33の開口端における対向する部分に取り付けられている。詳しくは、肩掛部34の両端部は、上腕部33の上端部のうち、人体の正面を向く部分と背面を向く部分とに取り付けられている。肩掛部34の両端部は、上腕部33に対して回動自在に取り付けられている。
【0033】
そして、手部31、前腕部32及び上腕部33にはそれぞれ、ジャイロスコープ2,2,…が配設されている。具体的には、手部31の手の平部分の略中央部、前腕部32の内側であって長手方向の略中央部、及び上腕部の内側であって長手方向の略中央部にそれぞれ、ポケット状の保持部37,37,…が設けられている。ジャイロスコープ2,2,…は、これら保持部37,37,…内に保持されている。さらに、手部31、前腕部32及び上腕部33には、ジャイロスコープ2,2,…のそれぞれから延びるケーブル21,21,…を部分的に固定するためのクリップ状又は面ファスナ状の固定具(図示省略)が設けられている。尚、ジャイロスコープ2は、フランジを有するケーシングに収容された構成であってもよい。該フランジには縫合用の糸を通すための貫通孔が形成されている。そして、該フランジを手部31、前腕部32及び上腕部33に直接縫合することによって、ジャイロスコープを手部31、前腕部32及び上腕部33に配設する構成であってもよい。
【0034】
このように構成された装着具3を人体に装着すると、ジャイロスコープ2,2,…が人体の決まった位置に位置するようになる。
【0035】
つまり、手部31は、指部36,36,…が指に合致すると共に第1締付部35aが手首に合致する。そのため、手部31は、指部36,36,…と第1締付部35aによって腕の長手方向へ移動が規制されると共に、指部36,36,…によって腕の長手方向に延びる軸(以下、長手方向軸という)回りの移動が規制される。つまり、指部36や第1締付部35aが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。ここで、手部31の手の平部分の略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、手部31を手に装着することによって、ジャイロスコープ2が人体の指及び手首を基準にして、手の平の略中央に位置決めされる。
【0036】
また、前腕部32は、第1締付部35aが手首に合致すると共に第2締付部35bが前腕の筋肉が肘に向かって細くなった部分に合致する。そのため、前腕部32は、第1及び第2締付部35a,35bによって腕の長手方向への移動が規制される。さらに、前腕部32の下端部は、腕の長手方向軸回りの移動が規制された手部31に連結されている。つまり、第1及び第2締付部35a,35bや手部31が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。そのため、前腕部32は、手部31によって腕の長手方向軸回りへの移動が規制される。ここで、前腕部32の人体の前腕の内側であって長手方向略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、前腕部32を前腕に装着することによって、ジャイロスコープ2が人体の手、手首及び前腕の筋肉が肘に向かって細くなった部分を基準にして、前腕の内側の長手方向略中央部に位置決めされる。
【0037】
さらに、上腕部33は、第3締付部35cが上腕の筋肉が肩に向かって細くなった部分に合致する。また、肩掛部34は、装着具3が装着される腕とは反対側の肩の部分(詳しくは、肩のうち首の付け根部分)に合致する。そのため、上腕部33は、第3締付部35c及び肩掛部34によって腕の長手方向への移動が規制されると共に、肩掛部34によって腕の長手方向軸回りの移動が規制される。さらに、上腕部33の下端部は、前腕に合致する前腕部32に連結されている。そのため、上腕部33は、前腕部32によって腕の長手方向への移動及び長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第3締付部35cや肩掛部34や前腕部32が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。ここで、上腕部33の人体の上腕の内側であって長手方向略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、上腕部33を前腕に装着することによって、ジャイロスコープ2が人体の手、手首、前腕、上腕の筋肉が肩に向かって細くなった部分及び肩を基準にして、上腕の内側の長手方向略中央部に位置決めされる。
【0038】
したがって、本実施形態によれば、ジャイロスコープ2,2,…を人体に装着することによって、人体の自由な動きの中における人体の部位の角速度及び角度を測定することができる。すなわち、特許文献1に係る測定器具のように、測定器具の一部分を人体の基準となる部分に取り付け、測定器具の他の部分を人体の可動する部分に取り付ける場合には、測定器具の取付位置がずれないように、人体に測定用の所定の動作を慎重に行わせる必要がある。それに対して、本実施形態では、ジャイロスコープ2は、人体の可動する部分に取り付ければ、その部位の角速度を検出することができるため、人体を部位を自由に動作させて、その最中の該部位の角速度を測定することができる。また、特許文献1の測定器具のように目盛板等を用いて測定するのではなく、ジャイロスコープ2の検出信号を本体部4によって処理するため、角速度の連続的な変化や最大値及び最小値等を測定することができる。
【0039】
また、ジャイロスコープ2,2,…を装着具3を介して人体に取り付けることによって、ジャイロスコープ2,2,…を人体の特定の部位(指、筋肉の隆起、肩等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。すなわち、特許文献1に係る測定器具では、添板と操作板とをベルトを介して人体に取り付けているだけであるため、測定器具を毎回同じように取り付けることは困難である。さらには、取付作業をする人によっても、取付状態にばらつきが生じる。その結果、測定値にもばらつきが生じる。さらにまた、測定器具を人体にベルトを介して止めているだけでは、測定中に測定器具がずれる虞もある。それに対して、本実施形態によれば、ジャイロスコープ2,2,…を高い再現性で取り付けることができるため、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。さらに、ジャイロスコープ2,2,…は、人体の特定の部位に位置決めされているため、特定の部位に位置決めされることなく取り付けられたジャイロスコープに比べて、使用時のずれを抑制することができる。
【0040】
また、ジャイロスコープ2は、2軸回りの角速度を検出するため、複雑な動きをする場合であっても、人体の角速度を測定することができる。すなわち、特許文献1に示すような従来の測定器具では、1軸回りの角速度しか測定できないため、2軸回りの角速度を検出する場合には、同じ箇所に2つの測定器具を取り付ける必要がある。従来の測定器具は、嵩張るため、取付スペースを要するだけでなく、人体の動きを阻害する虞もある。それに対して、本実施形態のように、2軸回りの角速度を検出するジャイロスコープ2を用いることによって、小さな取付スペースで、人体の動きを阻害することなく、2軸回りの角速度を測定することができる。
【0041】
さらに、ジャイロスコープ2を複数設けることによって、ジャイロスコープ2,2,…を取り付けた部位の相対的な角速度及び角度を測定することができる。
【0042】
《発明の実施形態2》
次に、実施形態2に係る角度・角速度検出装置201について説明する。図3に、実施形態2に係る角度・角速度検出装置201の概略図を示す。
【0043】
実施形態2に係る角度・角速度検出装置201は、装着具203の構成が実施形態1に係る装着具3と異なる。すなわち、実施形態2に係る装着具203は、ロングTシャツの形状をしている。
【0044】
詳しくは、角度・角速度検出装置201は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の上半身に装着される装着具203と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0045】
装着具203は、胴体部203Bと、右腕部203Rと、左腕部203Lとを有している。右腕部203R及び左腕部203Lは、胴体部203Bと一体的に繋がっている。右腕部203R及び左腕部203Lは、実施形態1の装着具3と、肩掛部34を有さないこと、及び上腕部233の上端が胴体部203Bに繋がっていることを除いて、同じ構成をしている。そこで、右腕部203R及び左腕部203Lにおいて、装着具3と同様の構成については同様の符号を付して、説明を省略する。詳しくは、符号の十の位以下の数字が同じ構成要素は、同様の構成をしている。
【0046】
胴体部203Bは、人体の胴体に装着されるように、筒状に形成されている。胴体部203Bの上部には頭を通すための開口が設けられている。胴体部203Bの下側には胴体を通すための開口が設けられている。胴体部203Bの右肩の部分に右腕部203Rが連結されている一方、胴体部203Bの左肩の部分に左腕部203Lが連結されている。また、胴体部203Bの脇の高さには、その他の部分よりも締付力が大きい第4締付部235dが胴体部203Bの全周に亘って設けられている。さらに、胴体部203Bにおける、胸の略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。さらにまた、胴体部203Bの裾の部分には、本体部4が取り付けられている。
【0047】
胴体部203Bは、肩の部分が人体の肩に合致する。そのため、胴体部203Bは、肩の部分によって胴体の長手方向への移動が規制される。さらに、胴体部203Bには右腕部203R及び左腕部203Lが連結されている。そのため、胴体部203Bは、右腕部203R及び左腕部203Lによって胴体の長手方向軸回りへの移動が規制される。つまり、胴体部203Bの肩の部分や右腕部203R及び左腕部203Lが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。ここで、胴体部203Bの胸の略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。
【0048】
また、右腕部203R及び左腕部203Lは、実施形態1で述べたように、人体の指、手、手首、前腕、肩、筋肉の隆起によって、腕の長手方向への移動及び長手方向軸回りの移動が規制される。
【0049】
したがって、装着具203を上半身に装着することによって、ジャイロスコープ2が人体の指、手、手首、腕、肩、筋肉の隆起を基準にして、胸の略中央部に位置決めされる。こうして、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができるため、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0050】
また、ジャイロスコープ2,2,…を人体の左右で対となる部位に設けることによって、該部位の左右のバランスを検出することができる。
【0051】
《発明の実施形態3》
次に、実施形態3に係る角度・角速度検出装置301について説明する。図4に、実施形態3に係る角度・角速度検出装置301の展開図を、図5に角度・角速度検出装置301を人体に装着したときの概略図を示す。
【0052】
実施形態3に係る角度・角速度検出装置301は、膝関節の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0053】
詳しくは、角度・角速度検出装置301は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の膝に装着される装着具303と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部(図示省略)とを備えている。
【0054】
装着具303は、膝に巻回可能なサポータの形状をしている。詳しくは、装着具303は、膝に対して前方から装着される、概略長方形状の本体部331と、本体部331の対角線上に位置する2つの隅部からそれぞれ側方に延びるベルト部332,332とを有している。装着具303は、伸縮性のある生地で縫製されている。本体部331には、膝の膝蓋骨(いわゆる、皿)が嵌る開口331aが中央に設けられている。また、本体部331における、開口331aの上下の部分にジャイロスコープ2,2が設けられている。各ベルト部332の先端には、面ファスナ332aが設けられている。
【0055】
このように構成された装着具303の装着について説明する。まず、本体部331を、開口331a内に膝の膝蓋骨が位置するように、膝の前面に当てる。次に、各ベルト部332を脚に巻き掛けて、各ベルト部332の先端の面ファスナ332aを本体部331の表面に取り付ける。つまり、開口331aが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0056】
こうして装着具303を膝に装着することによって、ジャイロスコープ2,2が膝の膝蓋骨を基準にして、膝蓋骨の上下の位置に位置決めされる。これにより、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0057】
《発明の実施形態4》
次に、実施形態4に係る角度・角速度検出装置401について説明する。図6に、実施形態4に係る角度・角速度検出装置401の概略図を示す。
【0058】
実施形態4に係る角度・角速度検出装置401は、下半身の各種関節の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0059】
詳しくは、角度・角速度検出装置401は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の下半身に装着される装着具403と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0060】
装着具403は、人体の左右の足及び下腿に装着される右側及び左側ソックス403R,403Lと、人体の腰部から大腿部に装着されるパンツ403Pとを有している。
【0061】
右側及び左側ソックス403R,403Lは、同様の構成をしているため、右側ソックス403Rの構成についてのみ説明する。右側ソックス403Rは、人体の足に装着される足部431と、人体の下腿に装着される下腿部432とを有している。足部431と下腿部432とは、一体に形成されている。
【0062】
足部431は、袋状に形成されており、前端側は足先の形状に合わせて扁平な形状をしており、後端側は踵の形状に合わせて湾曲した形状をしている。足部431をこのような形状とすることによって、足部431の、足の長手方向への位置決め及び長手方向軸回りの位置決めがなされる。また、足部431には、足の土踏まずに位置する部分に、他の部分よりも締付力が大きい第1締付部435aが全周に亘って設けられている。土踏まずは前後の部分に比べて凹んでいるため、第1締付部435aは、土踏まずに合致した状態から前後に動き難い。つまり、足部431は、第1締付部435aによって、足の長手方向への移動が規制される。つまり、足部431の足先及び踵の部分や第1締付部435aが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0063】
ここで、足部431の、足の甲部分の略中央には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、足部431を人体の足に装着することによって、ジャイロスコープ2が足先、土踏まず及び踵を基準にして、足の甲の略中央に位置決めされる。
【0064】
下腿部432は、人体の足首から膝下までの範囲を覆うように形成されている。下腿部432の下端及び上端には、他の部分よりも締付力が大きい第2及び第3締付部435b,435cが下腿部432の全周に亘って設けられている。第2締付部435bは、人体の足首の位置に位置する。足首はその上下の部分に比べて細くなっているため、第2締付部435bは、足首に合致した状態から上下に動き難い。また、第3締付部435cは、人体の下腿三頭筋及びひらめ筋の上端部、即ち、下腿の筋肉が膝へ向かって細くなった部分に位置する。この部分は、その上下の部分に比べて細くなっているため、第3締付部435cは、当該部分に合致した状態から上下に動き難い。つまり、下腿部432は、第2及び第3締付部435b,435cによって、下肢の長手方向への移動が規制される。また、下腿部432の下端部は、人体の足に合致した足部431に連結されている。そのため、下腿部432は、足部431によって下肢の長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第2及び第3締付部435b,435cや足部431が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0065】
ここで、下腿部432の前側であって長手方向略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、下腿部432を人体の下腿に装着することによって、ジャイロスコープ2が、足、足首及び筋肉の隆起を基準にして、下腿の前側の長手方向略中央に位置決めされる。
【0066】
パンツ403Pは、人体の左右の大腿に装着される右側及び左側大腿部436R,436Lと、人体の腰回りに装着される腰部437とを有している。
【0067】
右側及び左側大腿部436R,436Lは、それぞれ、人体の右大腿及び左大腿に装着される。右側及び左側大腿部436R,436Lのそれぞれの上端は、腰部437に連結されている。また、右側及び左側大腿部436R,436Lのそれぞれの下端部には、その他の部分よりも締付力が大きい第4締付部435d,435dが大腿部の全周に亘って設けられている。各第4締付部435dは、人体の大腿四頭筋及び大腿二頭筋の下端部、即ち、大腿の筋肉が膝に向かって細くなった部分に位置する。この部分は、その上下の部分に比べて細くなっているため、第4締付部435dは、当該部分に合致した状態から上下に動き難い。つまり、右側及び左側大腿部436R,436Lは、第4締付部435d,435dによって、下肢の長手方向への移動が規制される。また、右側及び左側大腿部436R,436Lの上端部は、人体の腰に合致した腰部437に連結されている。そのため、右側及び左側大腿部436R,436Lは、腰部437によって下肢の長手方向及び長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第4締付部435dや腰部437が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0068】
ここで、右側及び左側大腿部436R,436Lの前側であって長手方向略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、右側及び左側大腿部436R,436Lを人体の左右の大腿に装着することによって、ジャイロスコープ2が、腰及び筋肉の隆起を基準にして、大腿の前側の長手方向略中央に位置決めされる。
【0069】
腰部437は、人体の腰に装着されるように、上部が開口し、下部には右側及び左側大腿部436R,436Lが連結されている。腰部437の上部開口には、その他の部分よりも締付力が大きい第5締付部435eが腰部437の全周に亘って設けられている。また、腰部437には、第5締付部435eの下方に、本体部4が取り付けられている。
【0070】
ここで、第5締付部435eは、腰骨の上部辺りに位置する。この位置は、いわゆるウエストの位置であって、上下の部分に比べて細くなっている。そのため、第5締付部435eは、当該部分に合致した状態から上下に動き難い。つまり、腰部437は、第5締付部435eによって、体幹の長手方向への移動が規制される。また、腰部437には、右側及び左側大腿部436R,436Lが連結されている。そのため、腰部437は、これら右側及び左側大腿部436R,436Lによって、体幹の長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第5締付部435eや右側及び左側大腿部436R,436Lが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0071】
ここで、腰部437における、前側の略中央部分には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、腰部437を人体の腰に装着することによって、ジャイロスコープ2が、腰骨及び左右の大腿を基準にして、腰の前側の略中央に位置決めされる。
【0072】
このように構成された装着具403を介してジャイロスコープ2,2,…を人体に取り付けることによって、ジャイロスコープ2,2,…を人体の特定の部位(足先、土踏まず、踵、足首、大腿、腰、筋肉の隆起等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0073】
《発明の実施形態5》
次に、実施形態5に係る角度・角速度検出装置501について説明する。図7に、実施形態5に係る角度・角速度検出装置501の概略図を示す。
【0074】
実施形態5に係る角度・角速度検出装置501は、下半身の各種関節の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0075】
詳しくは、角度・角速度検出装置501は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の下半身に装着される装着具503と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0076】
装着具503は、人体の左右の下肢に装着される右側及び左側ロングストッキング503R,503Lと、人体の腰部に装着されるパンツ503Pとを有している。
【0077】
右側及び左側ロングストッキング503R,503Lは、同様の構成をしているため、右側ロングストッキング503Rの構成についてのみ説明する。右側ロングストッキング503Rは、人体の足に装着される足部531と、人体の下腿に装着される下腿部532と、人体の大腿に装着される大腿部533とを有している。足部531と下腿部532と大腿部533とは、一体に形成されている。大腿部533を除く、足部531と下腿部532とは、実施形態4の右側ソックス403Rと同様の構成をしている。そこで、同様の構成については同様の符号を付して、説明を省略する。詳しくは、符号の十の位以下の数字が同じ構成要素は、同様の構成をしている。
【0078】
大腿部533は、下腿部532の上端に連結されている。大腿部533は、人体の膝から鼠径部付近までの範囲を覆うように形成されている。大腿部533の下端は、下腿部532に連結されている。また、大腿部533の上端部には、その他の部分よりも締付力が大きい第4締付部535dが大腿部533の全周に亘って設けられている。第4締付部535dは、人体の大腿四頭筋及び大腿二頭筋の上端部に位置する。この部分は、その上下の部分に比べて細くなっているため、第4締付部535dは、当該部分に合致した状態から上下に動き難い。つまり、大腿部533は、第4締付部535dによって、下肢の長手方向への移動が規制される。また、大腿部533の下端部は、人体の下腿に合致した下腿部532に連結されている。そのため、大腿部533は、下腿部532によって下肢の長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第4締付部535dや下腿部532が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0079】
ここで、大腿部533の前側であって長手方向略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、大腿部533を人体の大腿に装着することによって、ジャイロスコープ2が、足、足首、下腿及び筋肉の隆起を基準にして、大腿の前側の長手方向略中央に位置決めされる。
【0080】
パンツ503Pは、人体の腰に装着されるように、上部が開口し、下部には左右の下肢が挿通される開口が2つ形成されている。パンツ503Pの上部開口には、その他の部分よりも締付力が大きい第5締付部535eがパンツ503Pの全周に亘って設けられている。また、パンツ503Pには、第5締付部535eの下方に、本体部4が取り付けられている。
【0081】
ここで、第5締付部535eは、腰骨の上部辺りに位置する。この位置は、いわゆるウエストの位置であって、上下の部分に比べて細くなっている。そのため、第5締付部535eは、当該部分に合致した状態から上下に動き難い。つまり、パンツ503Pは、第5締付部535eによって、体幹の長手方向への移動が規制される。また、パンツ503Pには、左右の下肢が挿通される開口が形成されている。そのため、パンツ503Pは、これら左右の下肢によって、体幹の長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第5締付部535eや左右の下肢が挿通される開口が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0082】
ここで、パンツ503Pにおける、前側の略中央部分には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、パンツ503Pを人体の腰に装着することによって、ジャイロスコープ2が、腰骨及び左右の大腿を基準にして、腰の前側の略中央に位置決めされる。
【0083】
このように構成された装着具503を介してジャイロスコープ2,2,…を人体に取り付けることによって、ジャイロスコープ2,2,…を人体の特定の部位(足先、土踏まず、踵、足首、大腿、腰、筋肉の隆起等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0084】
《発明の実施形態6》
次に、実施形態6に係る角度・角速度検出装置601について説明する。図8に、実施形態6に係る角度・角速度検出装置601の概略図を示す。
【0085】
実施形態6に係る角度・角速度検出装置601は、下半身の各種関節の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0086】
詳しくは、角度・角速度検出装置601は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の下半身に装着される装着具603と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0087】
装着具603は、人体の下半身に装着される、いわゆるタイツの形状をしている。つまり、装着具603は、実施形態5に係る装着具503を構成する右側及び左側ロングストッキング503R,503Lと、パンツ503Pとを一体に形成している。すなわち、装着具603は、実施形態5に係る右側及び左側ロングストッキング503R,503Lに相当する右側及び左側レッグ部603R,603Lと、実施形態5に係るパンツ503Pに相当するパンツ部603Pとを有している。
【0088】
右側及び左側レッグ部603R,603Lは、それぞれの上端がパンツ部603Pに連結されていること、及び、それに伴って第4締付部535d,535dが設けられていないことを除いて、右側及び左側ロングストッキング503R,503Lと同様の構成をしている。また、パンツ部603Pは、右側及び左側レッグ部603R,603Lが連結されていることを除いて、パンツ503Pと同様の構成をしている。そこで、装着具603において、装着具503と同様の構成については同様の符号を付して、説明を省略する。符号の十の位以下の数字が同じ構成要素は、同様の構成をしている。
【0089】
このように構成された装着具603を介してジャイロスコープ2,2,…を人体に取り付けることによって、実施形態5と同様に、ジャイロスコープ2,2,…を人体の特定の部位(足先、土踏まず、踵、足首、大腿、腰、筋肉の隆起等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0090】
《発明の実施形態7》
次に、実施形態7に係る角度・角速度検出装置について説明する。図9に、実施形態7に係る角度・角速度検出装置701の概略図を、図10に、リセットプレート705の斜視図を示す。
【0091】
実施形態7に係る角度・角速度検出装置701は、リセットプレート705によってジャイロスコープ2,2,…の原点を設定する点で、実施形態1〜6に係る角度・角速度検出装置と異なる。
【0092】
詳しくは、角度・角速度検出装置701は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の下半身に装着される装着具703と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部(図示省略)と、リセットプレート705とを備えている。
【0093】
装着具703は、実施形態4に係る右側及び左側ソックス403R,403Lと同様の構成をした右側及び左側ソックス703R,703Lによって構成されている。そこで、右側及び左側ソックス403R,403Lと同様の構成については、同様の符号を付して、説明を省略する。詳しくは、符号の十の位以下の数字が同じ構成要素は、装着具703と装着具403とで同様の構成をしている。
【0094】
ただし、右側及び左側ソックス703R,703Lには、リセット端子753,753が2つずつ設けられている。詳しくは、各ソックス703R(703L)の足部731の足裏には、足先と踵の部分にリセット端子753,753が設けられている。各リセット端子753にはケーブル754が接続されている。このケーブル754は、本体部の所定の入力端子に接続されている。
【0095】
前記リセットプレート705は、ジャイロスコープ2,2,…の出力をリセットして、原点を設定し直すためのものである。リセットプレート705には、左右の足形751R,751Lが描かれている。足形751R,751Lのそれぞれの内部には、足先と踵の部分に2つのリセット端子752,752が設けられている。2つのリセット端子752,752は、電気的に接続されている。
【0096】
このように構成されたリセットプレート705の上に、左右の足を左右の足形751R,751Lに合わせて立つと、装着具703の各足部731の2つのリセット端子753,753が各足形751のリセット端子752,752と接触する。それにより、装着具703の各足部731のリセット端子753,753は短絡する。これらリセット端子753,753は、ケーブル754,754を介して本体部の所定の入力端子に接続されているため、本体部の該入力端子が短絡することになる。その結果、本体部において、そのときの、ジャイロスコープ2,2,…からの出力をゼロ点(又は、所定の初期値)に設定する。
【0097】
本実施形態によれば、リセットプレート705上に立つだけで、そのときの姿勢におけるジャイロスコープ2,2,…の出力をゼロ点に設定することができる。
【0098】
尚、ここでは、実施形態4の右側及び左側ソックス403R,403Lと同様の構成の装着具について説明したが、それ以外の装着具において本実施形態のリセット構造を採用することができる。
【0099】
《発明の実施形態8》
次に、実施形態8に係る角度・角速度検出装置801について説明する。図11に、実施形態8に係る角度・角速度検出装置801の概略図を示す。
【0100】
実施形態8に係る角度・角速度検出装置801は、頭の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0101】
詳しくは、角度・角速度検出装置801は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の頭に装着される装着具803と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部(図示省略)とを備えている。
【0102】
装着具803は、頭からかぶるように、下方及び前方に開口したドーム状に形成されている。装着具803において、人体の耳に相当する位置には、開口831R,831Lが形成されている。また、装着具803において、人体の頭頂部に相当する位置には、皿状のパッド832が設けられている。パッド832は、クッション性を有する部材で構成されている。さらに、装着具803の前端部(人体の額に相当する部分)及び後部(人体の後頭部に相当する部分)には、その他の部分よりも締付力の大きい第1及び第2締付部835a,835bが設けられている。そして、装着具803における、人体の前頭部に相当する部分には、ジャイロスコープ2が設けられている。
【0103】
このように構成された装着具803は、パッド832が人体の頭頂部に載り、開口831R,831Lから耳が出るようにして、人体の頭に装着される。このとき、装着具803は、第1及び第2締付部835a,835bによって前後から締め付けられている。つまり、パッド832が頭頂部に合致し、開口831R,831Lが耳に合致し、第1締付部835aが額に合致し、第2締付部835bが後頭部に合致している。これにより、ジャイロスコープ2が、人体の前頭部に位置決めされる。すなわち、パッド832や開口831R,831Lや第1及び第2締付部835a,835bが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0104】
つまり、装着具803を介してジャイロスコープ2を人体に取り付けることによって、ジャイロスコープ2を人体の特定の部位(頭頂部及び耳等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0105】
《発明の実施形態9》
次に、実施形態9に係る角度・角速度検出装置901について説明する。図12に、実施形態9に係る角度・角速度検出装置901の概略図を示す。
【0106】
実施形態9に係る角度・角速度検出装置901は、全身の各種関節の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0107】
詳しくは、角度・角速度検出装置901は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の全身に装着される装着具903と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0108】
装着具903は、人体の全身に装着される、いわゆる全身タイツの形状をしている。すなわち、装着具903は、実施形態2に係る装着具203と、実施形態6に係る装着具603と、実施形態8に係る装着具803とを一体に連結した構成をしている。詳しくは、装着具903は、胴体部903Bと、右腕部903ARと、左腕部903ALと、パンツ部903Pと、右側レッグ部903LRと、左側レッグ部903LLと、頭部903Hとを有している。装着具903は、背中の部分にファスナが設けられており、背中の部分が開閉するように構成されている。つまり、背中のファスナを開けることによって、装着具を容易に着脱することができる。
【0109】
胴体部903B、右腕部903AR及び左腕部903ALは、実施形態2に係る胴体部203B、右腕部203R及び左腕部203Lと同様の構成をしている。すなわち、符号の十の位と一の位が同じ構成要素は同様の構成をしている。ただし、胴体部903Bの上部開口には、頭部903Hが連結されている。また、胴体部903Bの下端部は、パンツ部903Pに連結されている。さらに、胴体部903Bには、本体部4が設けられていない。
【0110】
パンツ部903P、右側レッグ部903LR及び左側レッグ部903LLは、実施形態6に係るパンツ部603P、右側レッグ部603R及び左側レッグ部603Lと同様の構成をしている。すなわち、符号の十の位と一の位が同じ構成要素は同様の構成をしている。ただし、パンツ部903Pの上端部には胴体部903Bが連結されている。
【0111】
頭部903Hは、実施形態8の装着具803と同様の構成をしている。すなわち、符号の十の位と一の位が同じ構成要素は同様の構成をしている。ただし、頭部903Hは、下端部が胴体部903Bに連結されており、前方にのみ開口している。また、頭部903Hには、パッド832、第1及び第2締付部835a,835bが設けられていない。このように、頭部903Hには、パッド832が設けられていないけれども、開口931h,931hが人体の耳に合致すると共に、前方への開口が顔面に合致する。そのため、頭部903Hのジャイロスコープ2は、人体の耳及び顔面を基準にして位置決めされる。
【0112】
このように構成された装着具903を介してジャイロスコープ2,2,…を人体に取り付けることによって、ジャイロスコープ2,2,…を人体の特定の部位(頭、耳、指、首、肩、足先、土踏まず、踵、足首、大腿、腰、筋肉の隆起等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0113】
《その他の実施形態》
本発明は、実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0114】
例えば、前記実施形態では、人体に装着するセンサとしてジャイロスコープを用いているが、これに限られない。センサとして、加速度センサやGPS受信機を用いてもよい。
【0115】
また、前記実施形態では、2軸回りの角速度を検出するジャイロスコープ2を採用しているが、これに限られるものではない。例えば、1軸回りの角速度を検出するジャイロスコープであってもよく、3軸回りの角速度を検出するジャイロスコープであってもよい。さらに、前記ジャイロスコープ2は、防塵・防水対応となっているが、これに限られるものではない。防塵・防水性能が要求されない環境で使用される場合には、ジャイロスコープは防塵・防水対応となっていなくてもよい。
【0116】
また、前記実施形態1,2,8においては、人体の肘に相当する部分に開口を設けてもよい。こうすることで、ジャイロスコープ2,2,…を肘を基準にして位置決めすることができる。
【0117】
さらに、前記実施形態4,5,6,8においては、人体の膝に相当する部分に、実施形態3に係る装着具303の開口331aのような、膝が嵌る開口を設けてもよい。こうすることで、ジャイロスコープ2,2,…を膝を基準にして位置決めすることができる。
【0118】
さらに、前記実施形態4,5,6,8においては、足部に指部が形成されていてもよい。こうすることで、ジャイロスコープ2,2,…を足の指部を基準にして位置決めすることができる。
【0119】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上説明したように、本発明は、人体の動作及び/又は位置を検出する検出装置について有用である。
【符号の説明】
【0121】
1,201,301,401,501,601,701,801 角度・角速度検出装置
2 ジャイロスコープ
3,203,303,403,503,603,703,803 装着具
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の動作及び/又は位置を検出する検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、人体の動作又は位置を検出することが行われている。人体の動作検出の一例として、関節の角度の検出がある。例えば、リハビリ等においては回復具合を調べるために関節の可動域を検出する必要がある。また、人体の運動解析を行う場合等には、関節がどのような動きをしているのかを把握する必要がある。
【0003】
関節等の角度を測定する器具としては、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に係る器具は、関節を挟んだ人体の或る部位に固定される添板と、該関節を挟んだ人体に別の部位に固定される操作板と、添板に設けられた目盛板とを備えている。添板及び操作板は、それぞれ、ベルト等を介して人体に取り付けられている。その状態で、操作板が取り付けられた人体の部位を回動させて、目盛板を用いて、操作板の、添板に対する回転角度を読み取ることによって、関節の回転角度を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭50−144488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る測定器具では、測定器具の一部分(添板)を人体の或る部分に取り付け、測定器具の他の部分(操作板)を人体の、該或る部分に対して可動する部分に取り付ける場合には、測定器具の取付位置がずれないように、人体に測定用の所定の動作を慎重に行わせる必要がある。
【0006】
また、特許文献1に係る測定器具では、添板と操作板とをベルトを介して人体に取り付けているだけであるため、測定器具を毎回同じように取り付けることは困難である。さらには、取付作業をする人によっても、取付状態にばらつきが生じる。さらにまた、測定器具を人体にベルトを介して止めているだけなので、測定中に測定器具がずれる虞もある。つまり、測定器具の取付の再現性が悪い。その結果、測定値にもばらつきが生じ、測定値の再現性も悪くなる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、人体の自由な動きの中においても人体の動作及び/又は位置を検出でき且つ、測定値の再現性が高い検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る検出装置は、人体の位置及び/又は動作を検出するセンサと、前記センサを人体の所定の部分に取り付ける装着具と、前記センサからの出力結果を処理する本体部とを備え、前記装着具は、人体の特定の部位を基準にして前記センサを人体に対して位置決めした状態で取り付けるものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人体に装着したセンサによって人体の動作及び/又は位置を検出するため、自由な動きを行う人体の動作及び/又は位置を検出することができる。それに加えて、センサを装着具により人体の特定の部位を基準にして位置決めした状態で人体に取り付けるため、センサの取付再現性を向上させ、ひいては、センサの測定値の再現性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図2】角度・角速度検出装置を人体に装着したときの概略図である。
【図3】実施形態2に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図4】実施形態3に係る角度・角速度検出装置の展開図である。
【図5】角度・角速度検出装置を人体に装着したときの概略図である。
【図6】実施形態4に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図7】実施形態5に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図8】実施形態6に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図9】実施形態7に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【図10】リセットプレートの斜視図である。
【図11】実施形態8に係る角度・角速度検出装置の概略図であって、(A)が背面図、(B)が正面図、(C)右側面図である。
【図12】実施形態9に係る角度・角速度検出装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の例示的な実施形態1に係る角度・角速度検出装置1の概略図を、図2は、角度・角速度検出装置1を人体に装着したときの概略図を示す。
【0013】
角度・角速度検出装置1は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人の腕に装着される装着具3と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0014】
前記ジャイロスコープ2は、直交する2軸回りの角速度を検出する。ジャイロスコープ2は、IP−40以上(例えば、IP−67)の防塵・防水対応になっている。ジャイロスコープ2からはケーブル21が延びており、このケーブル21は、本体部4に接続されている。
【0015】
前記装着具3は、伸縮性のある記事で縫製された服飾具である。装着具3には、ジャイロスコープ2,2,…が配設されている。装着具3は、人体の指や肩等の特定の部位を基準にして、位置決めされた状態で人体の腕に装着される。そのため、ジャイロスコープ2,2,…も同様に、人体の特定の部位を基準にして、人体の腕に装着されることになる。装着具3の詳しい構成については、後述する。
【0016】
前記本体部4は、各ジャイロスコープ2からの検出信号がケーブル21を介して入力される。本体部4は、CPU、メモリ、表示部、操作部を有し、ジャイロスコープ2からの検出信号に所定の処理を施す。メモリは、不揮発性であり、プログラムの実行時に発生する一次的なデータが記録される。表示部及び操作部は、本体部4の表面に設けられている。操作部は、ユーザが操作可能であって、ユーザからの入力を受け付けるためのものである。本体部4は、操作部を介したユーザの操作によって、電源をオン/オフしたり、検出モードを切り替えたりする。表示部には、現在の検出モードや、角速度又は角度が表示される。例えば、本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号を角速度に変換したり、該角速度から算出される角度に変換したりする。また、本体部4は、有線又は無線を介して、パーソナルコンピュータ等の外部機器と通信可能に構成されている。すなわち、本体部4は、外部機器から制御信号を受信したり、ジャイロスコープ2からの検出結果を外部機器へ出力したりする。本体部4は、ベルト等の装着具(図示省略)を介して、人体に装着されるように構成されている。尚、本体部4は、装着具3の上腕部33や肩掛部34等に取り付けられる構成であってもよい。また、ジャイロスコープ2と本体部4との間で無線を介して通信が可能である構成においては、本体部4は人体には装着されず、外部機器側に設けられていてもよい。
【0017】
ここで、本体部4による処理の一例について説明する。
【0018】
本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号に基づいて、角速度及び/又は角度の最大値及び/又は最小値を記憶する処理を行う。
【0019】
また、本体部4は、ジャイロスコープ2より検出される角速度又は角度が、上限閾値及び/又は下限閾値を超えたときにオン信号を出力する処理を行う。本体部4は、通常モードであれば、ジャイロスコープ2からの検出信号が所定の上限閾値を上回ると(又は下限閾値を下回ると)オン信号を出力し、検出信号が上限閾値を下回ると(又は下限閾値を上回ると)オン信号の出力を停止する。本体部4は、オン信号を単に出力するだけでもよいし、オン信号を受けて本体部4に設けたLEDランプを点灯させたり、本体部4に設けたブザーを鳴らしたりしてもよい。ここで、本体部4は、ワンショットタイマ機能、オンディレイタイマ機能及びオフディレイタイマ機能の3種類のタイマ機能を有している。
【0020】
ワンショットタイマ機能がオン状態のときには、本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号が所定の上限閾値を上回ると(又は下限閾値を下回ると)、所定の時間だけオン信号の出力を継続する。これらの所定の上限閾値、下限閾値及び時間は、ユーザが設定することができる。つまり、ワンショットタイマ機能によれば、本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号が所定の上限閾値を一旦上回ると(又は下限閾値を一旦下回ると)、オン信号を出力し、そこから所定の時間の間に検出信号が所定の上限閾値を下回った(又は下限閾値を上回った)としてもオン信号を出力し続ける。
【0021】
オンディレイ機能がオン状態のときには、本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号が所定の上限閾値を上回っても(又は下限閾値を下回っても)、オン信号をすぐには出力せず、検出信号が上限閾値を上回った(又は下限閾値を下回った)状態が所定の時間続くと初めて、オン信号を出力する。これらの所定の上限閾値、下限閾値及び時間は、ユーザが設定することができる。つまり、オンディレイ機能によれば、本体部4は、上限閾値及び/下限閾値を跨いだチャタリングを無視して、オン信号を出力しないようにすることができる。
【0022】
オフディレイ機能がオン状態のときには、本体部4は、オン信号を出力している状態から、ジャイロスコープ2からの検出信号が所定の上限閾値を下回っても(又は下限閾値を上回っても)、オン信号をすぐには停止せず、検出信号が上限閾値を下回った(又は下限閾値を上回った)状態が所定の時間続くと初めて、オン信号を停止する。これらの所定の上限閾値、下限閾値及び時間は、ユーザが設定することができる。つまり、オフディレイ機能によれば、本体部4は、検出信号が上限閾値を上回って(又は下限閾値を下回って)、すぐに上限閾値を下回った(又は下限閾値を上回った)としても、オン信号の出力が継続するため、外部機器側でオン信号を見逃すことを防止することができる。
【0023】
さらに、本体部4は、微小な角速度の変化を無視するゼロ感度機能を有する。ゼロ感度機能がオン状態のときには、本体部4は、ジャイロスコープ2からの検出信号から算出される角速度が所定の角速度以下の場合はそれを無視する。つまり、ジャイロスコープ2は、実際には角速度が変化していなくても、その出力信号が時間と共に変化していくドリフト現象を有する。そのため、ジャイロスコープ2の検出信号は、ジャイロスコープ2が動いていないにもかかわらず、微小に変動する。それに対して、ゼロ感度機能をオン状態にすると、ジャイロスコープ2の検出信号の、ドリフトによる微小な変動が無視され、ジャイロスコープ2の検出信号は一定に維持される。尚、本体部4は、ジャイロスコープ2の検出信号から検出される角速度を積算して角度を算出しているが、ドリフトによって変動する角速度は、人体の動きに伴ってジャイロスコープ2が実際に動くときの角速度に比べて小さいため、ドリフト分を無視しても、算出される角度には大きな影響を与えない。
【0024】
さらには、本体部4は、ジャイロスコープ2の検出信号を、所定の時間間隔でメモリに記録していく機能を有する。
【0025】
尚、本体部4から出力される検出信号を受けた、パーソナルコンピュータ等の外部機器においては、人体の動作及び/又はその軌跡をディスプレイ上に表示する機能を有していてもよい。
【0026】
続いて、装着具3の詳しい構成について説明する。装着具3は、人体の手に装着される手部31と、前腕に装着される前腕部32と、上腕に接続される上腕部33と、該上腕部33の上端に設けられ、該装着具3が装着される腕とは反対側の肩に掛けられる肩掛部34とを有している。尚、装着具3の生地は、人体の動きを拘束しない程度に柔らかい生地であることが好ましい。
【0027】
前記手部31,前腕部32及び上腕部33は、一体に形成されている。手部31には、手の各指が挿通される指部36,36,…が設けられている。手部31と前腕部32との境界には、他の部分よりも締付力が大きい第1締付部35aが設けられている。また、前腕部32の上端部(即ち、上腕部33との境界近傍)、上腕部33の上端部にはそれぞれ、他の部分よりも締付力が大きい第2及び第3締付部35b,35cが設けられている。
【0028】
第1締付部35aは、人体の手首に相当する部分において手部31及び前腕部32の全周に亘って設けられている。手首はその上下の部分に比べて細くなっているため、第1締付部35aは、手首に合致、即ち、フィットした状態から上下に動き難い。つまり、第1締付部35aは、手部31の上端部及び前腕部32の下端部を、腕の長手方向において、人体の手首の位置に位置決めする。
【0029】
第2締付部35bは、人体の腕撓骨筋の上端部に相当する部分、即ち、前腕の筋肉が肘に向かって細くなった部分において前腕部32の全周に亘って設けられている。当該部分に合致した第2締付部35bは、腕撓骨筋の隆起があるため前腕の先端側へは移動し難く、肘の出っ張りがあるため上腕側へも移動し難い。つまり、第2締付部35bは、前腕部32の上端部を、腕の長手方向において、前腕の筋肉が肘に向かって細くなった部分に位置決めする。
【0030】
第3締付部35cは、人体の上腕二頭筋及び上腕三頭筋の上端部に相当する部分、即ち、上腕の筋肉が肩に向かって細くなった部分において上腕部33の全周に亘って設けられている。当該部分に合致した第3締付部35cは、上腕二頭筋及び上腕三頭筋の隆起があるため上腕の先端側へは移動し難く、肩の三角筋があるため肩側へも移動し難い。つまり、第3締付部35cは、上腕部33の上端部を、腕の長手方向において、上腕の筋肉が肩に向かって細くなった部分に位置決めする。
【0031】
尚、第1〜第3締付部35a〜35cは、手部31、前腕部32及び上腕部33の全周に亘って設けられているが、これに限られず、周方向において部分的に設けられる構成であってもよい。また、第1〜第3締付部35a〜35cは、ベルト等の別部材で構成されてもよい。
【0032】
前記肩掛部34は、伸縮性を有するベルト状の部材である。肩掛部34の両端部は、上腕部33の開口端における対向する部分に取り付けられている。詳しくは、肩掛部34の両端部は、上腕部33の上端部のうち、人体の正面を向く部分と背面を向く部分とに取り付けられている。肩掛部34の両端部は、上腕部33に対して回動自在に取り付けられている。
【0033】
そして、手部31、前腕部32及び上腕部33にはそれぞれ、ジャイロスコープ2,2,…が配設されている。具体的には、手部31の手の平部分の略中央部、前腕部32の内側であって長手方向の略中央部、及び上腕部の内側であって長手方向の略中央部にそれぞれ、ポケット状の保持部37,37,…が設けられている。ジャイロスコープ2,2,…は、これら保持部37,37,…内に保持されている。さらに、手部31、前腕部32及び上腕部33には、ジャイロスコープ2,2,…のそれぞれから延びるケーブル21,21,…を部分的に固定するためのクリップ状又は面ファスナ状の固定具(図示省略)が設けられている。尚、ジャイロスコープ2は、フランジを有するケーシングに収容された構成であってもよい。該フランジには縫合用の糸を通すための貫通孔が形成されている。そして、該フランジを手部31、前腕部32及び上腕部33に直接縫合することによって、ジャイロスコープを手部31、前腕部32及び上腕部33に配設する構成であってもよい。
【0034】
このように構成された装着具3を人体に装着すると、ジャイロスコープ2,2,…が人体の決まった位置に位置するようになる。
【0035】
つまり、手部31は、指部36,36,…が指に合致すると共に第1締付部35aが手首に合致する。そのため、手部31は、指部36,36,…と第1締付部35aによって腕の長手方向へ移動が規制されると共に、指部36,36,…によって腕の長手方向に延びる軸(以下、長手方向軸という)回りの移動が規制される。つまり、指部36や第1締付部35aが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。ここで、手部31の手の平部分の略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、手部31を手に装着することによって、ジャイロスコープ2が人体の指及び手首を基準にして、手の平の略中央に位置決めされる。
【0036】
また、前腕部32は、第1締付部35aが手首に合致すると共に第2締付部35bが前腕の筋肉が肘に向かって細くなった部分に合致する。そのため、前腕部32は、第1及び第2締付部35a,35bによって腕の長手方向への移動が規制される。さらに、前腕部32の下端部は、腕の長手方向軸回りの移動が規制された手部31に連結されている。つまり、第1及び第2締付部35a,35bや手部31が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。そのため、前腕部32は、手部31によって腕の長手方向軸回りへの移動が規制される。ここで、前腕部32の人体の前腕の内側であって長手方向略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、前腕部32を前腕に装着することによって、ジャイロスコープ2が人体の手、手首及び前腕の筋肉が肘に向かって細くなった部分を基準にして、前腕の内側の長手方向略中央部に位置決めされる。
【0037】
さらに、上腕部33は、第3締付部35cが上腕の筋肉が肩に向かって細くなった部分に合致する。また、肩掛部34は、装着具3が装着される腕とは反対側の肩の部分(詳しくは、肩のうち首の付け根部分)に合致する。そのため、上腕部33は、第3締付部35c及び肩掛部34によって腕の長手方向への移動が規制されると共に、肩掛部34によって腕の長手方向軸回りの移動が規制される。さらに、上腕部33の下端部は、前腕に合致する前腕部32に連結されている。そのため、上腕部33は、前腕部32によって腕の長手方向への移動及び長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第3締付部35cや肩掛部34や前腕部32が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。ここで、上腕部33の人体の上腕の内側であって長手方向略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、上腕部33を前腕に装着することによって、ジャイロスコープ2が人体の手、手首、前腕、上腕の筋肉が肩に向かって細くなった部分及び肩を基準にして、上腕の内側の長手方向略中央部に位置決めされる。
【0038】
したがって、本実施形態によれば、ジャイロスコープ2,2,…を人体に装着することによって、人体の自由な動きの中における人体の部位の角速度及び角度を測定することができる。すなわち、特許文献1に係る測定器具のように、測定器具の一部分を人体の基準となる部分に取り付け、測定器具の他の部分を人体の可動する部分に取り付ける場合には、測定器具の取付位置がずれないように、人体に測定用の所定の動作を慎重に行わせる必要がある。それに対して、本実施形態では、ジャイロスコープ2は、人体の可動する部分に取り付ければ、その部位の角速度を検出することができるため、人体を部位を自由に動作させて、その最中の該部位の角速度を測定することができる。また、特許文献1の測定器具のように目盛板等を用いて測定するのではなく、ジャイロスコープ2の検出信号を本体部4によって処理するため、角速度の連続的な変化や最大値及び最小値等を測定することができる。
【0039】
また、ジャイロスコープ2,2,…を装着具3を介して人体に取り付けることによって、ジャイロスコープ2,2,…を人体の特定の部位(指、筋肉の隆起、肩等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。すなわち、特許文献1に係る測定器具では、添板と操作板とをベルトを介して人体に取り付けているだけであるため、測定器具を毎回同じように取り付けることは困難である。さらには、取付作業をする人によっても、取付状態にばらつきが生じる。その結果、測定値にもばらつきが生じる。さらにまた、測定器具を人体にベルトを介して止めているだけでは、測定中に測定器具がずれる虞もある。それに対して、本実施形態によれば、ジャイロスコープ2,2,…を高い再現性で取り付けることができるため、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。さらに、ジャイロスコープ2,2,…は、人体の特定の部位に位置決めされているため、特定の部位に位置決めされることなく取り付けられたジャイロスコープに比べて、使用時のずれを抑制することができる。
【0040】
また、ジャイロスコープ2は、2軸回りの角速度を検出するため、複雑な動きをする場合であっても、人体の角速度を測定することができる。すなわち、特許文献1に示すような従来の測定器具では、1軸回りの角速度しか測定できないため、2軸回りの角速度を検出する場合には、同じ箇所に2つの測定器具を取り付ける必要がある。従来の測定器具は、嵩張るため、取付スペースを要するだけでなく、人体の動きを阻害する虞もある。それに対して、本実施形態のように、2軸回りの角速度を検出するジャイロスコープ2を用いることによって、小さな取付スペースで、人体の動きを阻害することなく、2軸回りの角速度を測定することができる。
【0041】
さらに、ジャイロスコープ2を複数設けることによって、ジャイロスコープ2,2,…を取り付けた部位の相対的な角速度及び角度を測定することができる。
【0042】
《発明の実施形態2》
次に、実施形態2に係る角度・角速度検出装置201について説明する。図3に、実施形態2に係る角度・角速度検出装置201の概略図を示す。
【0043】
実施形態2に係る角度・角速度検出装置201は、装着具203の構成が実施形態1に係る装着具3と異なる。すなわち、実施形態2に係る装着具203は、ロングTシャツの形状をしている。
【0044】
詳しくは、角度・角速度検出装置201は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の上半身に装着される装着具203と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0045】
装着具203は、胴体部203Bと、右腕部203Rと、左腕部203Lとを有している。右腕部203R及び左腕部203Lは、胴体部203Bと一体的に繋がっている。右腕部203R及び左腕部203Lは、実施形態1の装着具3と、肩掛部34を有さないこと、及び上腕部233の上端が胴体部203Bに繋がっていることを除いて、同じ構成をしている。そこで、右腕部203R及び左腕部203Lにおいて、装着具3と同様の構成については同様の符号を付して、説明を省略する。詳しくは、符号の十の位以下の数字が同じ構成要素は、同様の構成をしている。
【0046】
胴体部203Bは、人体の胴体に装着されるように、筒状に形成されている。胴体部203Bの上部には頭を通すための開口が設けられている。胴体部203Bの下側には胴体を通すための開口が設けられている。胴体部203Bの右肩の部分に右腕部203Rが連結されている一方、胴体部203Bの左肩の部分に左腕部203Lが連結されている。また、胴体部203Bの脇の高さには、その他の部分よりも締付力が大きい第4締付部235dが胴体部203Bの全周に亘って設けられている。さらに、胴体部203Bにおける、胸の略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。さらにまた、胴体部203Bの裾の部分には、本体部4が取り付けられている。
【0047】
胴体部203Bは、肩の部分が人体の肩に合致する。そのため、胴体部203Bは、肩の部分によって胴体の長手方向への移動が規制される。さらに、胴体部203Bには右腕部203R及び左腕部203Lが連結されている。そのため、胴体部203Bは、右腕部203R及び左腕部203Lによって胴体の長手方向軸回りへの移動が規制される。つまり、胴体部203Bの肩の部分や右腕部203R及び左腕部203Lが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。ここで、胴体部203Bの胸の略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。
【0048】
また、右腕部203R及び左腕部203Lは、実施形態1で述べたように、人体の指、手、手首、前腕、肩、筋肉の隆起によって、腕の長手方向への移動及び長手方向軸回りの移動が規制される。
【0049】
したがって、装着具203を上半身に装着することによって、ジャイロスコープ2が人体の指、手、手首、腕、肩、筋肉の隆起を基準にして、胸の略中央部に位置決めされる。こうして、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができるため、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0050】
また、ジャイロスコープ2,2,…を人体の左右で対となる部位に設けることによって、該部位の左右のバランスを検出することができる。
【0051】
《発明の実施形態3》
次に、実施形態3に係る角度・角速度検出装置301について説明する。図4に、実施形態3に係る角度・角速度検出装置301の展開図を、図5に角度・角速度検出装置301を人体に装着したときの概略図を示す。
【0052】
実施形態3に係る角度・角速度検出装置301は、膝関節の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0053】
詳しくは、角度・角速度検出装置301は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の膝に装着される装着具303と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部(図示省略)とを備えている。
【0054】
装着具303は、膝に巻回可能なサポータの形状をしている。詳しくは、装着具303は、膝に対して前方から装着される、概略長方形状の本体部331と、本体部331の対角線上に位置する2つの隅部からそれぞれ側方に延びるベルト部332,332とを有している。装着具303は、伸縮性のある生地で縫製されている。本体部331には、膝の膝蓋骨(いわゆる、皿)が嵌る開口331aが中央に設けられている。また、本体部331における、開口331aの上下の部分にジャイロスコープ2,2が設けられている。各ベルト部332の先端には、面ファスナ332aが設けられている。
【0055】
このように構成された装着具303の装着について説明する。まず、本体部331を、開口331a内に膝の膝蓋骨が位置するように、膝の前面に当てる。次に、各ベルト部332を脚に巻き掛けて、各ベルト部332の先端の面ファスナ332aを本体部331の表面に取り付ける。つまり、開口331aが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0056】
こうして装着具303を膝に装着することによって、ジャイロスコープ2,2が膝の膝蓋骨を基準にして、膝蓋骨の上下の位置に位置決めされる。これにより、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0057】
《発明の実施形態4》
次に、実施形態4に係る角度・角速度検出装置401について説明する。図6に、実施形態4に係る角度・角速度検出装置401の概略図を示す。
【0058】
実施形態4に係る角度・角速度検出装置401は、下半身の各種関節の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0059】
詳しくは、角度・角速度検出装置401は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の下半身に装着される装着具403と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0060】
装着具403は、人体の左右の足及び下腿に装着される右側及び左側ソックス403R,403Lと、人体の腰部から大腿部に装着されるパンツ403Pとを有している。
【0061】
右側及び左側ソックス403R,403Lは、同様の構成をしているため、右側ソックス403Rの構成についてのみ説明する。右側ソックス403Rは、人体の足に装着される足部431と、人体の下腿に装着される下腿部432とを有している。足部431と下腿部432とは、一体に形成されている。
【0062】
足部431は、袋状に形成されており、前端側は足先の形状に合わせて扁平な形状をしており、後端側は踵の形状に合わせて湾曲した形状をしている。足部431をこのような形状とすることによって、足部431の、足の長手方向への位置決め及び長手方向軸回りの位置決めがなされる。また、足部431には、足の土踏まずに位置する部分に、他の部分よりも締付力が大きい第1締付部435aが全周に亘って設けられている。土踏まずは前後の部分に比べて凹んでいるため、第1締付部435aは、土踏まずに合致した状態から前後に動き難い。つまり、足部431は、第1締付部435aによって、足の長手方向への移動が規制される。つまり、足部431の足先及び踵の部分や第1締付部435aが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0063】
ここで、足部431の、足の甲部分の略中央には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、足部431を人体の足に装着することによって、ジャイロスコープ2が足先、土踏まず及び踵を基準にして、足の甲の略中央に位置決めされる。
【0064】
下腿部432は、人体の足首から膝下までの範囲を覆うように形成されている。下腿部432の下端及び上端には、他の部分よりも締付力が大きい第2及び第3締付部435b,435cが下腿部432の全周に亘って設けられている。第2締付部435bは、人体の足首の位置に位置する。足首はその上下の部分に比べて細くなっているため、第2締付部435bは、足首に合致した状態から上下に動き難い。また、第3締付部435cは、人体の下腿三頭筋及びひらめ筋の上端部、即ち、下腿の筋肉が膝へ向かって細くなった部分に位置する。この部分は、その上下の部分に比べて細くなっているため、第3締付部435cは、当該部分に合致した状態から上下に動き難い。つまり、下腿部432は、第2及び第3締付部435b,435cによって、下肢の長手方向への移動が規制される。また、下腿部432の下端部は、人体の足に合致した足部431に連結されている。そのため、下腿部432は、足部431によって下肢の長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第2及び第3締付部435b,435cや足部431が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0065】
ここで、下腿部432の前側であって長手方向略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、下腿部432を人体の下腿に装着することによって、ジャイロスコープ2が、足、足首及び筋肉の隆起を基準にして、下腿の前側の長手方向略中央に位置決めされる。
【0066】
パンツ403Pは、人体の左右の大腿に装着される右側及び左側大腿部436R,436Lと、人体の腰回りに装着される腰部437とを有している。
【0067】
右側及び左側大腿部436R,436Lは、それぞれ、人体の右大腿及び左大腿に装着される。右側及び左側大腿部436R,436Lのそれぞれの上端は、腰部437に連結されている。また、右側及び左側大腿部436R,436Lのそれぞれの下端部には、その他の部分よりも締付力が大きい第4締付部435d,435dが大腿部の全周に亘って設けられている。各第4締付部435dは、人体の大腿四頭筋及び大腿二頭筋の下端部、即ち、大腿の筋肉が膝に向かって細くなった部分に位置する。この部分は、その上下の部分に比べて細くなっているため、第4締付部435dは、当該部分に合致した状態から上下に動き難い。つまり、右側及び左側大腿部436R,436Lは、第4締付部435d,435dによって、下肢の長手方向への移動が規制される。また、右側及び左側大腿部436R,436Lの上端部は、人体の腰に合致した腰部437に連結されている。そのため、右側及び左側大腿部436R,436Lは、腰部437によって下肢の長手方向及び長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第4締付部435dや腰部437が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0068】
ここで、右側及び左側大腿部436R,436Lの前側であって長手方向略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、右側及び左側大腿部436R,436Lを人体の左右の大腿に装着することによって、ジャイロスコープ2が、腰及び筋肉の隆起を基準にして、大腿の前側の長手方向略中央に位置決めされる。
【0069】
腰部437は、人体の腰に装着されるように、上部が開口し、下部には右側及び左側大腿部436R,436Lが連結されている。腰部437の上部開口には、その他の部分よりも締付力が大きい第5締付部435eが腰部437の全周に亘って設けられている。また、腰部437には、第5締付部435eの下方に、本体部4が取り付けられている。
【0070】
ここで、第5締付部435eは、腰骨の上部辺りに位置する。この位置は、いわゆるウエストの位置であって、上下の部分に比べて細くなっている。そのため、第5締付部435eは、当該部分に合致した状態から上下に動き難い。つまり、腰部437は、第5締付部435eによって、体幹の長手方向への移動が規制される。また、腰部437には、右側及び左側大腿部436R,436Lが連結されている。そのため、腰部437は、これら右側及び左側大腿部436R,436Lによって、体幹の長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第5締付部435eや右側及び左側大腿部436R,436Lが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0071】
ここで、腰部437における、前側の略中央部分には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、腰部437を人体の腰に装着することによって、ジャイロスコープ2が、腰骨及び左右の大腿を基準にして、腰の前側の略中央に位置決めされる。
【0072】
このように構成された装着具403を介してジャイロスコープ2,2,…を人体に取り付けることによって、ジャイロスコープ2,2,…を人体の特定の部位(足先、土踏まず、踵、足首、大腿、腰、筋肉の隆起等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0073】
《発明の実施形態5》
次に、実施形態5に係る角度・角速度検出装置501について説明する。図7に、実施形態5に係る角度・角速度検出装置501の概略図を示す。
【0074】
実施形態5に係る角度・角速度検出装置501は、下半身の各種関節の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0075】
詳しくは、角度・角速度検出装置501は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の下半身に装着される装着具503と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0076】
装着具503は、人体の左右の下肢に装着される右側及び左側ロングストッキング503R,503Lと、人体の腰部に装着されるパンツ503Pとを有している。
【0077】
右側及び左側ロングストッキング503R,503Lは、同様の構成をしているため、右側ロングストッキング503Rの構成についてのみ説明する。右側ロングストッキング503Rは、人体の足に装着される足部531と、人体の下腿に装着される下腿部532と、人体の大腿に装着される大腿部533とを有している。足部531と下腿部532と大腿部533とは、一体に形成されている。大腿部533を除く、足部531と下腿部532とは、実施形態4の右側ソックス403Rと同様の構成をしている。そこで、同様の構成については同様の符号を付して、説明を省略する。詳しくは、符号の十の位以下の数字が同じ構成要素は、同様の構成をしている。
【0078】
大腿部533は、下腿部532の上端に連結されている。大腿部533は、人体の膝から鼠径部付近までの範囲を覆うように形成されている。大腿部533の下端は、下腿部532に連結されている。また、大腿部533の上端部には、その他の部分よりも締付力が大きい第4締付部535dが大腿部533の全周に亘って設けられている。第4締付部535dは、人体の大腿四頭筋及び大腿二頭筋の上端部に位置する。この部分は、その上下の部分に比べて細くなっているため、第4締付部535dは、当該部分に合致した状態から上下に動き難い。つまり、大腿部533は、第4締付部535dによって、下肢の長手方向への移動が規制される。また、大腿部533の下端部は、人体の下腿に合致した下腿部532に連結されている。そのため、大腿部533は、下腿部532によって下肢の長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第4締付部535dや下腿部532が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0079】
ここで、大腿部533の前側であって長手方向略中央部には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、大腿部533を人体の大腿に装着することによって、ジャイロスコープ2が、足、足首、下腿及び筋肉の隆起を基準にして、大腿の前側の長手方向略中央に位置決めされる。
【0080】
パンツ503Pは、人体の腰に装着されるように、上部が開口し、下部には左右の下肢が挿通される開口が2つ形成されている。パンツ503Pの上部開口には、その他の部分よりも締付力が大きい第5締付部535eがパンツ503Pの全周に亘って設けられている。また、パンツ503Pには、第5締付部535eの下方に、本体部4が取り付けられている。
【0081】
ここで、第5締付部535eは、腰骨の上部辺りに位置する。この位置は、いわゆるウエストの位置であって、上下の部分に比べて細くなっている。そのため、第5締付部535eは、当該部分に合致した状態から上下に動き難い。つまり、パンツ503Pは、第5締付部535eによって、体幹の長手方向への移動が規制される。また、パンツ503Pには、左右の下肢が挿通される開口が形成されている。そのため、パンツ503Pは、これら左右の下肢によって、体幹の長手方向軸回りの移動が規制される。つまり、第5締付部535eや左右の下肢が挿通される開口が人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0082】
ここで、パンツ503Pにおける、前側の略中央部分には、ジャイロスコープ2が設けられている。したがって、パンツ503Pを人体の腰に装着することによって、ジャイロスコープ2が、腰骨及び左右の大腿を基準にして、腰の前側の略中央に位置決めされる。
【0083】
このように構成された装着具503を介してジャイロスコープ2,2,…を人体に取り付けることによって、ジャイロスコープ2,2,…を人体の特定の部位(足先、土踏まず、踵、足首、大腿、腰、筋肉の隆起等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0084】
《発明の実施形態6》
次に、実施形態6に係る角度・角速度検出装置601について説明する。図8に、実施形態6に係る角度・角速度検出装置601の概略図を示す。
【0085】
実施形態6に係る角度・角速度検出装置601は、下半身の各種関節の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0086】
詳しくは、角度・角速度検出装置601は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の下半身に装着される装着具603と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0087】
装着具603は、人体の下半身に装着される、いわゆるタイツの形状をしている。つまり、装着具603は、実施形態5に係る装着具503を構成する右側及び左側ロングストッキング503R,503Lと、パンツ503Pとを一体に形成している。すなわち、装着具603は、実施形態5に係る右側及び左側ロングストッキング503R,503Lに相当する右側及び左側レッグ部603R,603Lと、実施形態5に係るパンツ503Pに相当するパンツ部603Pとを有している。
【0088】
右側及び左側レッグ部603R,603Lは、それぞれの上端がパンツ部603Pに連結されていること、及び、それに伴って第4締付部535d,535dが設けられていないことを除いて、右側及び左側ロングストッキング503R,503Lと同様の構成をしている。また、パンツ部603Pは、右側及び左側レッグ部603R,603Lが連結されていることを除いて、パンツ503Pと同様の構成をしている。そこで、装着具603において、装着具503と同様の構成については同様の符号を付して、説明を省略する。符号の十の位以下の数字が同じ構成要素は、同様の構成をしている。
【0089】
このように構成された装着具603を介してジャイロスコープ2,2,…を人体に取り付けることによって、実施形態5と同様に、ジャイロスコープ2,2,…を人体の特定の部位(足先、土踏まず、踵、足首、大腿、腰、筋肉の隆起等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0090】
《発明の実施形態7》
次に、実施形態7に係る角度・角速度検出装置について説明する。図9に、実施形態7に係る角度・角速度検出装置701の概略図を、図10に、リセットプレート705の斜視図を示す。
【0091】
実施形態7に係る角度・角速度検出装置701は、リセットプレート705によってジャイロスコープ2,2,…の原点を設定する点で、実施形態1〜6に係る角度・角速度検出装置と異なる。
【0092】
詳しくは、角度・角速度検出装置701は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の下半身に装着される装着具703と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部(図示省略)と、リセットプレート705とを備えている。
【0093】
装着具703は、実施形態4に係る右側及び左側ソックス403R,403Lと同様の構成をした右側及び左側ソックス703R,703Lによって構成されている。そこで、右側及び左側ソックス403R,403Lと同様の構成については、同様の符号を付して、説明を省略する。詳しくは、符号の十の位以下の数字が同じ構成要素は、装着具703と装着具403とで同様の構成をしている。
【0094】
ただし、右側及び左側ソックス703R,703Lには、リセット端子753,753が2つずつ設けられている。詳しくは、各ソックス703R(703L)の足部731の足裏には、足先と踵の部分にリセット端子753,753が設けられている。各リセット端子753にはケーブル754が接続されている。このケーブル754は、本体部の所定の入力端子に接続されている。
【0095】
前記リセットプレート705は、ジャイロスコープ2,2,…の出力をリセットして、原点を設定し直すためのものである。リセットプレート705には、左右の足形751R,751Lが描かれている。足形751R,751Lのそれぞれの内部には、足先と踵の部分に2つのリセット端子752,752が設けられている。2つのリセット端子752,752は、電気的に接続されている。
【0096】
このように構成されたリセットプレート705の上に、左右の足を左右の足形751R,751Lに合わせて立つと、装着具703の各足部731の2つのリセット端子753,753が各足形751のリセット端子752,752と接触する。それにより、装着具703の各足部731のリセット端子753,753は短絡する。これらリセット端子753,753は、ケーブル754,754を介して本体部の所定の入力端子に接続されているため、本体部の該入力端子が短絡することになる。その結果、本体部において、そのときの、ジャイロスコープ2,2,…からの出力をゼロ点(又は、所定の初期値)に設定する。
【0097】
本実施形態によれば、リセットプレート705上に立つだけで、そのときの姿勢におけるジャイロスコープ2,2,…の出力をゼロ点に設定することができる。
【0098】
尚、ここでは、実施形態4の右側及び左側ソックス403R,403Lと同様の構成の装着具について説明したが、それ以外の装着具において本実施形態のリセット構造を採用することができる。
【0099】
《発明の実施形態8》
次に、実施形態8に係る角度・角速度検出装置801について説明する。図11に、実施形態8に係る角度・角速度検出装置801の概略図を示す。
【0100】
実施形態8に係る角度・角速度検出装置801は、頭の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0101】
詳しくは、角度・角速度検出装置801は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の頭に装着される装着具803と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部(図示省略)とを備えている。
【0102】
装着具803は、頭からかぶるように、下方及び前方に開口したドーム状に形成されている。装着具803において、人体の耳に相当する位置には、開口831R,831Lが形成されている。また、装着具803において、人体の頭頂部に相当する位置には、皿状のパッド832が設けられている。パッド832は、クッション性を有する部材で構成されている。さらに、装着具803の前端部(人体の額に相当する部分)及び後部(人体の後頭部に相当する部分)には、その他の部分よりも締付力の大きい第1及び第2締付部835a,835bが設けられている。そして、装着具803における、人体の前頭部に相当する部分には、ジャイロスコープ2が設けられている。
【0103】
このように構成された装着具803は、パッド832が人体の頭頂部に載り、開口831R,831Lから耳が出るようにして、人体の頭に装着される。このとき、装着具803は、第1及び第2締付部835a,835bによって前後から締め付けられている。つまり、パッド832が頭頂部に合致し、開口831R,831Lが耳に合致し、第1締付部835aが額に合致し、第2締付部835bが後頭部に合致している。これにより、ジャイロスコープ2が、人体の前頭部に位置決めされる。すなわち、パッド832や開口831R,831Lや第1及び第2締付部835a,835bが人体の特定の部位に合致する合致部を構成する。
【0104】
つまり、装着具803を介してジャイロスコープ2を人体に取り付けることによって、ジャイロスコープ2を人体の特定の部位(頭頂部及び耳等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0105】
《発明の実施形態9》
次に、実施形態9に係る角度・角速度検出装置901について説明する。図12に、実施形態9に係る角度・角速度検出装置901の概略図を示す。
【0106】
実施形態9に係る角度・角速度検出装置901は、全身の各種関節の角度・角速度を検出する点で、実施形態1に係る角度・角速度検出装置1と異なる。
【0107】
詳しくは、角度・角速度検出装置901は、角速度を測定するジャイロスコープ2,2,…と、該ジャイロスコープ2,2,…が配設され、人体の全身に装着される装着具903と、該ジャイロスコープ2,2,…の検出結果を処理する本体部4とを備えている。
【0108】
装着具903は、人体の全身に装着される、いわゆる全身タイツの形状をしている。すなわち、装着具903は、実施形態2に係る装着具203と、実施形態6に係る装着具603と、実施形態8に係る装着具803とを一体に連結した構成をしている。詳しくは、装着具903は、胴体部903Bと、右腕部903ARと、左腕部903ALと、パンツ部903Pと、右側レッグ部903LRと、左側レッグ部903LLと、頭部903Hとを有している。装着具903は、背中の部分にファスナが設けられており、背中の部分が開閉するように構成されている。つまり、背中のファスナを開けることによって、装着具を容易に着脱することができる。
【0109】
胴体部903B、右腕部903AR及び左腕部903ALは、実施形態2に係る胴体部203B、右腕部203R及び左腕部203Lと同様の構成をしている。すなわち、符号の十の位と一の位が同じ構成要素は同様の構成をしている。ただし、胴体部903Bの上部開口には、頭部903Hが連結されている。また、胴体部903Bの下端部は、パンツ部903Pに連結されている。さらに、胴体部903Bには、本体部4が設けられていない。
【0110】
パンツ部903P、右側レッグ部903LR及び左側レッグ部903LLは、実施形態6に係るパンツ部603P、右側レッグ部603R及び左側レッグ部603Lと同様の構成をしている。すなわち、符号の十の位と一の位が同じ構成要素は同様の構成をしている。ただし、パンツ部903Pの上端部には胴体部903Bが連結されている。
【0111】
頭部903Hは、実施形態8の装着具803と同様の構成をしている。すなわち、符号の十の位と一の位が同じ構成要素は同様の構成をしている。ただし、頭部903Hは、下端部が胴体部903Bに連結されており、前方にのみ開口している。また、頭部903Hには、パッド832、第1及び第2締付部835a,835bが設けられていない。このように、頭部903Hには、パッド832が設けられていないけれども、開口931h,931hが人体の耳に合致すると共に、前方への開口が顔面に合致する。そのため、頭部903Hのジャイロスコープ2は、人体の耳及び顔面を基準にして位置決めされる。
【0112】
このように構成された装着具903を介してジャイロスコープ2,2,…を人体に取り付けることによって、ジャイロスコープ2,2,…を人体の特定の部位(頭、耳、指、首、肩、足先、土踏まず、踵、足首、大腿、腰、筋肉の隆起等)を基準にして位置決めすることができるため、ジャイロスコープ2,2,…の取付の再現性を向上させることができる。その結果、ジャイロスコープ2,2,…により検出される角度及び/又は角速度の再現性を高めることができる。
【0113】
《その他の実施形態》
本発明は、実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0114】
例えば、前記実施形態では、人体に装着するセンサとしてジャイロスコープを用いているが、これに限られない。センサとして、加速度センサやGPS受信機を用いてもよい。
【0115】
また、前記実施形態では、2軸回りの角速度を検出するジャイロスコープ2を採用しているが、これに限られるものではない。例えば、1軸回りの角速度を検出するジャイロスコープであってもよく、3軸回りの角速度を検出するジャイロスコープであってもよい。さらに、前記ジャイロスコープ2は、防塵・防水対応となっているが、これに限られるものではない。防塵・防水性能が要求されない環境で使用される場合には、ジャイロスコープは防塵・防水対応となっていなくてもよい。
【0116】
また、前記実施形態1,2,8においては、人体の肘に相当する部分に開口を設けてもよい。こうすることで、ジャイロスコープ2,2,…を肘を基準にして位置決めすることができる。
【0117】
さらに、前記実施形態4,5,6,8においては、人体の膝に相当する部分に、実施形態3に係る装着具303の開口331aのような、膝が嵌る開口を設けてもよい。こうすることで、ジャイロスコープ2,2,…を膝を基準にして位置決めすることができる。
【0118】
さらに、前記実施形態4,5,6,8においては、足部に指部が形成されていてもよい。こうすることで、ジャイロスコープ2,2,…を足の指部を基準にして位置決めすることができる。
【0119】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上説明したように、本発明は、人体の動作及び/又は位置を検出する検出装置について有用である。
【符号の説明】
【0121】
1,201,301,401,501,601,701,801 角度・角速度検出装置
2 ジャイロスコープ
3,203,303,403,503,603,703,803 装着具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の位置及び/又は動作を検出するセンサと、
前記センサを人体の所定の部分に取り付ける装着具と、
前記センサからの出力結果を処理する本体部とを備え、
前記装着具は、人体の特定の部位を基準にして前記センサを人体に対して位置決めした状態で取り付ける検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出装置において、
前記装着具は、位置決めの基準となる人体の特定の部位に合致する合致部と、前記センサを保持する保持部とを有している検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検出装置において、
前記装着具の位置決めの基準となる人体の特定の部位は、人体の関節である検出装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の検出装置において、
前記装着具の位置決めの基準となる人体の特定の部位は、指、耳、肘及び膝の少なくとも1つである検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の検出装置において、
前記センサは、多軸回りの角速度を検出するジャイロスコープである検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の検出装置において、
前記センサは、複数設けられていて、それぞれ、人体の対となる部位にそれぞれ設けられている検出装置。
【請求項1】
人体の位置及び/又は動作を検出するセンサと、
前記センサを人体の所定の部分に取り付ける装着具と、
前記センサからの出力結果を処理する本体部とを備え、
前記装着具は、人体の特定の部位を基準にして前記センサを人体に対して位置決めした状態で取り付ける検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出装置において、
前記装着具は、位置決めの基準となる人体の特定の部位に合致する合致部と、前記センサを保持する保持部とを有している検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検出装置において、
前記装着具の位置決めの基準となる人体の特定の部位は、人体の関節である検出装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の検出装置において、
前記装着具の位置決めの基準となる人体の特定の部位は、指、耳、肘及び膝の少なくとも1つである検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の検出装置において、
前記センサは、多軸回りの角速度を検出するジャイロスコープである検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の検出装置において、
前記センサは、複数設けられていて、それぞれ、人体の対となる部位にそれぞれ設けられている検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−92274(P2011−92274A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246831(P2009−246831)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
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