説明

検査ストリップのタイプを識別する方法、システム及び装置

グルコース測定器における検査ストリップのタイプを判定する方法において、(a)個別の第1の接点、第2の接点及び第3の接点を有する、グルコース測定器のストリップポートコネクタに検査ストリップを挿入する工程と、(b)検査ストリップの少なくとも1つの接点パッドと電気接続している第1の接点と第2の接点との間に導通があるかどうかを判定する工程と、(c)検査ストリップの1つ以上の接点パッドと電気接続している第3の接点と第1の接点との間又は第3の接点と第2の接点との間に導通があるかどうかを評価する工程と、(d)判定する工程及び評価する工程での導通の検出に基づいてグルコース検査を開始する工程と、を含む、方法。グルコース測定器であって、第1の接点、第2の接点及び第3の接点を有し、第3の接点がアースに接続されたストリップコネクタと、ソース入力、ドレイン入力及びゲート入力を有し、ソース入力がアースに接続され、ドレイン入力が第1の接点に接続されたスイッチと、スイッチのゲート入力に接続された第1の割込みと、第2の接点に接続された第2の割込みとを有するマイクロコントローラであって、検査ストリップの挿入時に第1の接点及び第3の接点と電気通信する、マイクロコントローラと、を含む、グルコース測定器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条及び第120条の下で、2009年9月4日に出願された先の出願の米国仮出願第61/240,133号からの優先権の利益を主張し、この出願は、参照により本明細書に全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
流体サンプル中の検体の決定(例えば、数値又は濃度測定の検出、評価又は計算)は、医学分野では特に関心が高い。例えば、尿、血液、間質液などの体液のサンプル中のグルコース、コレステロール、アセトアミノフェン及び/又はHbA1c濃度を判定することが望ましい場合がある。そのような判定は、検体検査ストリップを、例えば光度測定技術や電気化学技術に基づいて、関連検査計器と共に使用することによって達成され得る。
【0003】
典型的な電気化学に基づく検体検査ストリップは、複数の電極(例えば、作用電極及び基準電極)及び酵素試薬を用いており、酵素試薬は、対象の検体との電気化学反応を促進し、それによって検体の濃度を測定するためのものである。例えば、血液サンプル中のグルコース濃度を測定するための電気化学に基づく検体検査ストリップは、酵素のグルコースオキシターゼと媒介物のフェリシアニドとを含む酵素試薬を用いることができる。そのような従来の検体検査ストリップは、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4に記載されており、これらはそれぞれ、全体が本明細書に組み込まれる。通常使い捨て検査ストリップなどによって提供されるような電気化学セルを使用する測定機器は、周知であり消費者に人気がある。そのような機器は、生理液サンプルにおける様々な検体レベルの検出に使用される。例えば、尿、涙、唾液などの様々な生理学的サンプル中の検体の濃度が、このような機器によって決定され得る。一般的な1つの用途は、間質液、血液又は血液分画、より詳細には全血中の検体の濃度を決定することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,708,247号明細書
【特許文献2】米国特許第5,951,836号明細書
【特許文献3】米国特許第6,241,862号明細書
【特許文献4】米国特許第6,284,125号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、グルコース測定器の検査ストリップのタイプを判定する方法が提供される。この方法は、個別の第1の接点、第2の接点及び第3の接点を有する、グルコース測定器のストリップポートコネクタに検査ストリップを挿入する工程と、検査ストリップの少なくとも1つの接点パッドと電気接続している第1の接点と第2の接点との間に導通があるかどうかを判定する工程と、検査ストリップの1つ以上の接点パッドと電気接続している第3の接点と第1の接点との間又は第3の接点と第2の接点との間に導通があるかどうかを評価する工程と、判定する工程及び評価する工程での導通の検出に基づいてグルコース検査を開始する工程と、によって達成することができる。
【0006】
更に他の実施形態では、コネクタ、スイッチ及びマイクロコントローラを含むグルコース測定器が提供される。コネクタは、第1の接点、第2の接点及び第3の接点を有し、第3の接点は、アースに接続される。スイッチは、ソース入力、ドレイン入力、及びゲート入力を有し、ソース入力はアースに接続され、ドレイン入力はコネクタの第1の接点に接続される。マイクロコントローラは、スイッチのゲート入力に接続された第1の割込みと、コネクタの第2の接点に接続された第2の割込みとを有する。マイクロコントローラはまた、検査ストリップの挿入時に第1の接点及び第3の接点と電気通信する。
【0007】
更に別の実施形態では、グルコース検査ストリップ及びグルコース測定器を含むグルコース測定システムが提供される。グルコース検査ストリップは、複数の導電性トラックを有する。グルコース測定器は、電源、アース、ストリップポートコネクタ、トランジスタスイッチ、及びマイクロコントローラを含む。ストリップポートコネクタは、複数の導電性トラックを有する第1の接点、第2の接点及び第3の接点を有し、第3の接点はアースに接続されている。トランジスタスイッチは、アースに接続されたソース入力と、ストリップポートコネクタの第1の接点に接続されたドレイン入力と、ゲート入力とを有する。マイクロコントローラは、スイッチのゲート入力に接続された第1の割込みと、第2の接点に接続された第2の割込みとを有する。マイクロコントローラはまた、検査ストリップの挿入時に第1の接点及び第3の接点と電気通信する。
【0008】
更に他の実施形態では、トランジスタスイッチ及びマイクロコントローラによって第1のタイプの検体検査ストリップと他の検体検査ストリップとを区別する方法が提供される。トランジスタスイッチは、マイクロコントローラの第1の割込みに接続されたゲート入力と、第1の接点に接続されたスイッチのドレイン入力と、アースに接続されたスイッチのソース入力とを有する。本方法は、検査ストリップをストリップポートコネクタに挿入し、その結果、ストリップの接点パッドが、第1の接点、第2の接点及び第3の接点と電気接続する工程と、マイクロコントローラの第2の割込みによって、第1の接点が、検体検査ストリップの1つ以上の接点パッドの構成によって形成された第2の接点及び第3の接点に接続されたかどうかを検出する工程と、第1の接点、第2の接点及び第3の接点の共通の接続の検出に基づいて、第1の割込みによってスイッチを所定の回数オンオフする工程と、第2の割込みにおける論理状態の変化を検出する工程と、第2の割込みのHigh及びLow論理状態の数に基づいて、グルコース検査ストリップを第1のタイプ又は別のタイプのうちの一方として識別する工程と、によって達成することができる。
【0009】
これら及び他の実施形態、特徴並びに利点は、以下に述べる本発明の実施形態のより詳細な説明を、はじめに下記に簡単に述べる付属の図面とあわせて参照することによって当業者にとって明らかになるであろう。
【0010】
本明細書中に組み込まれ本明細書の一部をなす添付図面は、本発明の好適な実施形態を示したものであって、上記に述べた一般的説明及び以下に述べる詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明する役割を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】特定タイプの検査ストリップを識別することができる検体測定及び管理装置を示す。
【図2】図1の機器における検体測定及び管理装置の代表的な回路基板の上部。
【図3】図1の装置における検体測定及び管理装置の回路基板の下部。
【図4】第1のタイプの検査ストリップの単純化された分解斜視図。
【図5】図4の第1のタイプの検査ストリップの層の配列。
【図6】第2のタイプの検査ストリップの層の配列。
【図7】図4の第1のタイプの検査ストリップの接点パッドに対応する複数のコネクタポイント。
【図8】図6の第2のタイプの検査ストリップの接点パッドに対応する複数のコネクタポイント。
【図9A】様々な接点パッドパターンを有する代替の検査ストリップ実施形態。
【図9B】様々な接点パッドパターンを有する代替の検査ストリップ実施形態。
【図9C】様々な接点パッドパターンを有する代替の検査ストリップ実施形態。
【図9D】様々な接点パッドパターンを有する代替の検査ストリップ実施形態。
【図9E】様々な接点パッドパターンを有する代替の検査ストリップ実施形態。
【図9F】様々な接点パッドパターンを有する代替の検査ストリップ実施形態。
【図9G】様々な接点パッドパターンを有する代替の検査ストリップ実施形態。
【図10】特定パターンの接点パッドを有する第1のタイプの検査ストリップを識別するための電子回路。
【図11】特定パターンの接点パッドを有すると第2のタイプの検査ストリップを識別するための図10の電子回路。
【図12A】検査ストリップのタイプの識別を調べる、スイッチを制御するためのストリップ判別線。
【図12B】第1のタイプの検査ストリップによるスイッチのトグルの結果としての、時間の経過によるHigh及びLowの論理状態を監視するストリップ検出線。
【図13】第2のタイプの検査ストリップによるスイッチのトグルの結果としての、時間の経過によるHigh及びLowの論理状態を監視するストリップ検出線。
【図14】挿入され、取り外され、再挿入された検査ストリップによるスイッチのトグルの結果としての、時間の経過によるHigh及びLowの論理状態を監視するストリップ検出線。
【図15】検査ストリップ挿入を認識し次に検査ストリップのタイプを識別するために最も詳細なロジックを示すフローチャート。
【図16】検査ストリップのタイプを判定するプロセスをより詳細に示すフローチャート。
【図17】検査ストリップのタイプを判定しようとするプロセスをより詳細に示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきもので、異なる図面中、同様の要素は同様の参照符号にて示してある。図面は必ずしも一定の縮尺を有さず、特定の例示の実施形態を示したものであって、本発明の範囲を限定するものではない。詳細な説明は本発明の原理を限定するものではなく、あくまでも例として説明するものである。この説明は、当業者による発明の製造及び使用を明確に可能ならしめるものであり、出願時における発明を実施するための最良の形態と考えられるものを含む、発明の複数の実施形態、適応例、変形例、代替例、並びに使用例を述べるものである。
【0013】
本明細書で任意の数値又は数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその所望の目的に従って機能することを可能とするような適当な寸法の許容誤差を示すものである。更に、本明細書で用いる「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」という用語は任意のヒト又は動物の被験対象を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における本発明の使用は好ましい実施形態を代表するものである。
【0014】
図1は、血糖測定装置100を、血液サンプルを受容する入口122を有する血糖検査ストリップ120と共に含む糖尿病管理システムを示す。血糖測定装置100は、ユーザインターフェースボタン108、110、及び112と共に、検査ストリップを受け入れるよう構成されている検査ストリップポート104を有するハウジング102と、ディスプレイ106と、を含む。図2に示すように、ハウジング102の内部に配置されるのは、メモリ204、クロック206、オペアンプ208、及びディスプレイコネクタ210に接続されるマイクロコントローラ202を有する回路基板200である。オペアンプ208及びマイクロコントローラ202は、検査ストリップ120上の対応する接点パッドと機械的に接触するための接点212a、212b、212c、212d及び212e(それぞれ第1、第2、第3、第4、又は第5)によって、ストリップポートコネクタ212に動作可能に接続される。その他のデータ管理装置との通信を容易にするため、無線トランシーバーモジュール214が設けられて、ユニット100のメモリ204に保存されたデータの双方向通信を可能にする。本明細書の図3に示すように、回路基板200の反対側には、電池215の形態の電源が設けられる。データポート218が設けられてもよい。装置100は、手持ちされるようなサイズ及び形状にされることが好ましく、トランシーバ214は、短距離の無線ネットワーク(例えば、BlueTooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、又はWi−Fiなど)又はより長距離の無線ネットワーク(例えば、GSM(登録商標)、CDMA、3Gなど)のいずれか又は両方で使用するためのものであり得ることに注意されたい。
【0015】
図2を再び参照すると、マイクロコントローラ202は、ストリップポートコネクタ212、オペアンプ回路208、第1の無線モジュール214、ディスプレイ106、不揮発性メモリ204、クロック206、バッテリコネクタ216、データポート218、及びユーザインターフェースボタン(108、110及び112)に電気的に接続されてもよい。具体的には、ユーザインターフェースボタン(108、110及び112)には、第1のユーザインターフェースボタン108、第2のユーザインターフェースボタン110、及び第3のユーザインター112が含まれる。入力されるデータには、検体濃度を表す値(即ち個人の日常の生活習慣に関連した情報を伴う検体濃度値という意味で)が含まれ得る。日常の生活習慣に関連した情報は、日又は週の特定の時間にユーザの検体濃度値と併せて、即ちこれに「加えられて」、個人の食物の摂取、薬の使用、健康診断の実施、並びに一般的な健康状態及び運動レベルを含むことができる。
【0016】
オペアンプ回路208は、ポテンシオスタット機能と電流測定機能の一部を提供するように構成された2つ以上のオペアンプであってよい。ポテンシオスタット機能とは、検査ストリップの少なくとも2つの電極間に試験電圧を加えることを指し得る。電流機能とは、試験ストリップ120に印加された試験電圧に起因する試験電流の測定を指し得る。電流測定は、電流電圧変換器によって行なうことができる。マイクロコントローラ202は、例えば、Texas Instrument MSP430F2419などの混合信号マイクロプロセッサ(MSP)の形態であってよい。TI−MSP430F2419は、また、ポテンシオスタット機能及び電流測定機能の一部も実行するように構成されてよい。更に、MSP430F2419は、揮発性及び不揮発性メモリを含んでもよい。別の実施形態では、電子部品の多くは、特定用途向け集積回路(ASIC)の形態のマイクロコントローラと一体化されてもよい。
【0017】
図2を再び参照すると、ストリップポートコネクタ212は、検査ストリップへの電気接続を形成するように構成されてもよい。ディスプレイコネクタ210は、ディスプレイ106に取り付けるように構成されてもよい。ディスプレイ106は、図2に示されるように、測定された血糖濃度を報告し、生活習慣と関連付けられた情報の入力を容易にし、グラフィックデータ、図的結果及び動画を操作するための、液晶ディスプレイの形態でもよい。ディスプレイ106は、バックライトを含んでもよい。
【0018】
図3を参照すると、データポート218は、接続リードに取り付けられた適切なコネクタを受け入れることができ、それにより、測定装置100をパソコンなどの外部装置に結合することが可能になる。データポート218は、例えばシリアル、USB、又はパラレルポートなどの、データ伝送を可能にする任意のポートでよい。クロック206は、時間を測定するように構成されてもよく、振動結晶の形態であってよい。バッテリコネクタ216は、バッテリ215に電気的に接続されるように構成され得る。
【0019】
測定装置100と共に、図4に示されるような例示的な検査ストリップ120が使用され、検査ストリップ120は、電気絶縁基板12、電気絶縁基板12の上に配置されたパターン化導電層14、パターン化導電層14の上に配置されたパターン化絶縁層16、パターン化導電層14の少なくとも一部分の上に少なくとも配置された酵素試薬層18、パターン化絶縁層16の少なくとも一部分の上に配置されたパターン化接着層20、パターン化接着層20の上に配置された親水性層22、及び2つの部分22a及び22bを有する親水性層22の上に配置された上層24(第1の部分24aと不透明な第2の部分24bを有する)を含む。図5及び図6に示されるように、パターン化接着層20は、3つのパッド(20a、20b及び20c)を含むことができる。
【0020】
図5は、図4の第1のタイプの検査ストリップ120の層の配列を示す。検査ストリップのタイプは、血糖モニタ100でグルコース検査を行なうように構成された検査ストリップの特定の商標を指すことができる。一実施形態では、血糖モニタ100は、第1のタイプの検査ストリップ(120)でのみグルコース検査を行なうように構成されてもよい。パターン化導電層14は、基準電極14a、第1の作用電極14b、第2の作用電極14c、基準接点パッド15a、第1の接点パッド15b、及び第2の接点パッド15cを含むことができる。一実施形態では、接点パッドは、導電性トラックとも呼ばれることがある。図4及び図5に示されるように、基準電極14a、第1の作用電極14b、及び第2の作用電極14cはそれぞれ、基準接点パッド15a、第1の接点パッド15b及び第2の接点パッド15cにそれぞれ電気的に接続される。接点パッドの配列及び幾何学形状が、検査ストリップの特定の商標又はタイプを示すことがあることに注意されたい。一実施形態では、接点パッド(15a、15b及び15c)は、ストリップポートコネクタの対応する接点と電気的に相互作用するように構成されてもよい。
【0021】
図4及び図5を再び参照すると、電気化学的分析検査ストリップ120の電気絶縁基板12、パターン化導体層14(基準電極14a、第1の作用電極14b、及び第2の作用電極14cを含む)、パターン化絶縁層16(中に電極露出窓17が延在する)及び酵素試薬層18、並びにパターン化接着層20、親水性層22、及び上層24のパターン化の配置及び位置合わせは、電気化学的分析検査ストリップ120内にサンプル受容チャンバが形成されるようなものである。
【0022】
電気化学的分析検査ストリップ120は、例えば、電気絶縁基板12上への、パターン化導体層14、パターン化絶縁層16(中に電極露出窓17が延在する)、酵素試薬層18、パターン化接着層20、親水性層22及び上部フィルム24の連続整合形成によって製造されてもよい。そのような連続整合形成を達成するには、例えばスクリーン印刷、フォトリソグラフィ、グラビア印刷、化学蒸着及びテープ積層技術を含む、任意の適切な技術を使用することができる。
【0023】
流体サンプル中の検体濃度(例えば、全血サンプルの血糖濃度)を判定するための電気化学的分析検査ストリップ120の使用に際しては、パターン化導体層14の電極14a、14b及び14cが、電気化学反応によって誘導される対象となる電流を監視するために用いられる。次に、そのような電流の大きさは、調査中の流体サンプル中にある検体の量と関連付けられることができる。こうした使用に際しては、体液サンプルを電気化学的分析検査ストリップ10のサンプル受容チャンバ26に導入する。
【0024】
図6は、第2のタイプの検査ストリップ124の層の配列を示す。検査ストリップ124は、検査ストリップ120と類似してもよく、検査ストリップ124は、異なるパターン化導電層54と、電極露出窓57を有する異なるパターン化絶縁層56とを有する。一実施形態では、血糖モニタ100は、第2のタイプの検査ストリップ124でグルコース検査を行なわないように構成されてもよい。別の実施形態では、血糖モニタ100は、第1のタイプ又は第2のタイプのいずれかの検査ストリップでグルコース検査を行なうように構成されてもよい。
【0025】
図6を再び参照すると、パターン化導電層54は、基準電極54a、第1の作用電極54b、第2の作用電極54c、基準接点パッド55a、第1の接点パッド55b、及び第2の接点パッド55cを含み得る。図6に示されるように、基準電極54a、第1の作用電極54b、及び第2の作用電極54cはそれぞれ、基準接点パッド55a、第1の接点パッド55b、及び第2の接点パッド55cにそれぞれ電気的に接続される。一実施形態では、接点パッド(15a、15b及び15c)は、ストリップポートコネクタの対応する接点と電気的に相互作用するように構成されてもよい。
【0026】
電気絶縁基板12は、第1のタイプのストリップ120と第2のタイプのストリップ124との両方に共通であり、ナイロン基板、ポリカーボネート基板、ポリイミド基材、ポリ塩化ビニル基板、ポリエチレン基板、ポリプロピレン基板、グリコール変性ポリエステル(PETG)基板、又はポリエステル基板であり得る。電気絶縁基板は、例えば幅寸法が約5mm、長さ寸法が約27mm、及び厚さ寸法が約0.5mmなどの任意の適切な寸法を有することができる。
【0027】
電気絶縁基板12は、取り扱いが容易な構造をストリップに与えると共に、後の層(例えば、炭素系パターン化導電層)を適用する(例えば、印刷する)ための土台として機能する。分析検査ストリップで使用されるパターン化導体層が、任意の適切な形状をとることができ、例えば金属材料及び導電性炭素材料などの任意の適切な材料から形成され得ることに注意されたい。
【0028】
パターン化導電層14は、カウンタ電極14a(基準電極とも呼ばれる)、第1の作用電極14b、及び第2の作用電極14cを含む(図4及び図5を参照)。検査ストリップ120が、3つの電極を含むように描かれているが、電気化学的分析検査ストリップの実施形態は、任意の適切な数の電極を含んでもよい。
【0029】
カウンタ電極14a、第1の作用電極14b、及び第2の作用電極14cは、例えば、金、パラジウム、白金、インジウム、チタンパラジウム合金、及び導電性炭素系材料などの、任意の適切な材料から形成されてよい。流体サンプル中の検体の濃度を判定するための電極及び酵素試薬層の使用に関する詳細は、米国特許第6,733,655号にあり、この特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0030】
パターン化絶縁層16は、例えばスクリーン印刷可能な絶縁インクで形成されてよい。このようなスクリーン印刷可能な絶縁インクは、Ercon(Wareham,Massachusetts U.S.A.)より「Insulayer」の商品名で市販されている。
【0031】
パターン化接着層20は、ストリップ120及びストリップ124の両方に共通であってよく、例えば、Apollo Adhesives(Tamworth,Staffordshire,UK)から市販されているスクリーン印刷可能な感圧性接着剤で形成され得る。図4及び図5の実施形態では、パターン化接着層20は、サンプル受容チャンバ26の外壁を画定する。
【0032】
親水性層22は、ストリップ120及びストリップ124の両方に共通であってよく、例えば流体サンプル(例えば、全血サンプル)による電気化学的分析検査ストリップ120の濡れ及び充填を促進する親水性特性を有する透明フィルムであり得る。このような透明フィルムは、例えば、3M(Minneaplis,Minnesota U.S.A.)より市販されている。
【0033】
酵素試薬層18は、ストリップ120及びストリップ124の両方に共通であってよく、任意の適切な酵素試薬を含んでもよく、酵素試薬の選択は、判定される検体に依存する。一実施形態では、図5に示される導電層の上に、第1の試薬層18a及び第2の試薬層18bのような2つの重なる酵素試薬層18が印刷されてもよい。例えば、血液サンプル中のグルコースを判定する場合、酵素試薬層18は、酵素及び媒介物を、機能動作に必要な他の成分と共に含んでもよい。酵素試薬層18は、例えば、グルコースオキシダーゼ、トリクエン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシルエチルセルロース、フェリシアン化カリウム、消泡剤、cabosil、PVPVA、及び水を含み得る。
【0034】
試薬層に使用するのに適した例示的な酵素としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ(ピロロキノリンキノン補因子「PQQ」と共に)、及びグルコースデヒドロゲナーゼ(フラビンアデニンジヌクレオチド補因子「FAD」と共に)が挙げられる。試薬層に使用するのに適した例示的な媒介物としては、フェリシアニドがあり、この場合では酸化型である。試薬層は、グルコースを酵素副産物に物理的に変換し、そのプロセスで、グルコース濃度値に比例する量の還元媒介物(例えば、フェロシアニド)を生成するように構成されてよい。酵素試薬層及び電気化学的分析検査ストリップ全般についての更なる詳細は、米国特許第6,241,862号に記載されており、その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
上層24は、ストリップ120及びストリップ124の両方に共通であってよく、第1の部分24a(例えば、透明又は半透明の第1の部分)と不透明な第2の部分24bとを含む。上層の第1の部分24a及び不透明な第2の部分24bは、ユーザが上層の第1の部分を通してサンプル受容チャンバの作用部分を見ることができるが、上層の不透明の第2の部分によってサンプル受容チャンバの非作用部分を見ることはできないように構成され、分析検査ストリップの残りの部分と整列している。この構成によってサンプル受容チャンバの作用部分が満たされているが非作用部分が満たされていない場合に、サンプル充填ミスが生じたものとユーザが誤って判定することが防止される。
【0036】
上層24は、例えば、透明フィルムであってよく、その際、不透明な第2の部分24bは、透明フィルムに不透明インクを重ねることによって作製され、第1の部分24aは、重ね刷りしない単なる透明フィルムであってよい。適切な透明フィルムは、Tape Specialties UKから市販されている。
【0037】
図7及び図8は、第1及び第2のタイプの検査ストリップの接点パッド上の指定領域である複数のストリップポートコネクタポイントを示す。ストリップコネクタポイントは、p4、ref、w2、w1及びp5と呼ばれることがある。ストリップポートコネクタ212の接点212d、212a、212b、212c及び212eは、検査ストリップが血糖測定器に挿入されたとき、それぞれストリップコネクタポイントp4、ref、w2、w1及びp5にある接点パッドと電気接触することができる。本明細書に記載される実施形態が、図7及び図8で述べたものに限定されるべきでなく、図9に示されパターンA〜Lとして参照される様々な接点パッドパターンに適用されてもよいことに注意されたい。
【0038】
出願人は、異なるタイプの検査ストリップを区別することができる血糖測定器が必要であることを認識した。血糖測定器は、グルコース検査を特定タイプの検査ストリップで行なうように構成されてよく、異なるタイプの検査ストリップが挿入された場合に、測定器は、エラーメッセージを出力することができる。検査ストリップのタイプを判定するための方法は、検査ストリップの不注意な引き出し又はノイズの導入によって誤認が起こらないように、しっかりしたものでなければならない。
【0039】
一実施形態では、異なるタイプの検査ストリップを区別するために電子回路が使用されてもよい。図10は、第1のタイプの検査ストリップ120を識別するための電子回路300を示し、電子回路300は、回路基板200上に一体化されてもよい。電子回路300は、プルアップ抵抗302、キャパシタ308、スイッチ304及びマイクロコントローラ306を含むことができる。プルアップ抵抗302は、電源電圧Vccに接続され、ストリップが血糖測定器100に挿入されたときに電子回路を流れる電流の量を制限する。キャパシタ308は、測定された電圧をフィルタリングするために電子回路に接続される。
【0040】
スイッチ304は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(例えば、MOSFET又はFET)の形態であり得る。マイクロコントローラ306は、電圧波形を印加し得られた信号を測定するためのスイッチ304を制御することができる。より具体的には、マイクロコントローラ306は、第1の割込みでトランジスタスイッチ304を開閉し、また第2の割込みで論理状態における遷移を測定し、その結果、グルコース測定器100が、第1又は第2のタイプの検査ストリップ120又は124をそれぞれ識別できるように構成されてもよい。トランジスタスイッチは、アースに接続されたソース入力310と、コネクタポイントp4に接続されたドレイン入力312と、ストリップ判別線(S_DISC)に沿ってマイクロコントローラの第1の割込みに接続されたゲート入力314とを有してもよい。
【0041】
電子回路300は、ストリップポートコネクタ212の接点(212d、212a、212b、212c及び212e)に電気的に接続されてもよく、それらはそれぞれ、コネクタポイント(p4、ref、w2、w1及びp5)に接続される。ストリップ検出線(S_DET)は、コネクタポイントp5に対しかつマイクロコントローラ306からの第2の割込みであり得る。ストリップ判別線(S_DISC)は、スイッチ304に対する第1の割込みであり得る。スイッチ304は、基準コネクタポイントp4、マイクロコントローラ306、及びアースに接続され得る。基準コネクタポイントrefは、アースに接続されてもよい。
【0042】
図10を再び参照すると、測定器がスリープモードでかつストリップがまだ挿入されていないうちに、スイッチ304が最初に閉じられる。この時点で、図のゲート点Aが、Highに駆動される。また、点B及びCは短絡され、したがってアースに接続される。コネクタポイントp4とp5とは非連続性であるので、接触点Dは、Highのままであり、これは、プルアップ抵抗302及び電源電圧Vccによって制限される。
【0043】
第1のタイプの検査ストリップ120が、ストリップポートコネクタ212に挿入されると、図10に示されるように、コネクタポイントref、p4及びp5が共に短絡する。したがって、コネクタポイントp4及びp5が短絡されるので、ストリップ120のストリップ挿入によって、点Dが電源電圧Vccレベルからアースにプルダウンされる。マイクロコントローラ306のS_DETピンの状態の変化により、測定器はオンにするように警告される。次に、マイクロコントローラ306は、点AのFETスイッチ304へのゲートを、幾つかのパルス(好ましくは約4パルス)に関してHigh及びLowにトグルする。スイッチ304のトグルは、点BとCとの間の導通を開閉する効果を有する。
【0044】
第1のタイプの検査ストリップ120が挿入された状況では、点Dは、常にロジックLow(即ち、GND)で保持され、同時にスイッチは、p4を介してrefに接続され、refはGNDに接続されているので、4回開閉される。パルスの印加後、マイクロコントローラ306は、ストリップ識別プロセス中に検査ストリップが取り外されなかったことを保証するために、連続Lowレベルロジックがあるかどうかを判定しようとする。マイクロコントローラ306が、パルス中及びその後の一定期間に連続Lowレベルロジックを検出した場合、ソフトウェアは、第1のタイプの検査ストリップ120の存在を認識し、ユーザに血液塗布を促すことによって血糖検査を開始する。
【0045】
図12Aは、検査ストリップのタイプの識別を調べる、スイッチ304を制御するためのストリップ判別線を示す。最初に、ストリップ120が測定器100に接続されていないとき、ストリップ判別線ロジックは、Highのままである。ストリップが挿入され認識された後のある時点で、p4及びp5が短絡され、ロジックは、HighとLowとの間でトグルする。図12Aに示される実施形態では、4つのHighと3つのLowがあるが、検査ストリップのタイプを確実に識別するために、他の数のHigh及びLowが使用されてもよい。別の実施形態では、4つのHighと4つのLowが使用されてもよく、各HighパルスとLowパルスは、約30ミリ秒の持続時間を有する。好ましい実施形態では、生成されたストリップ判別パルスは、測定器がストリップ挿入を検出しその自己検査を完了した後に約2秒より長い持続時間送られる。
【0046】
パルスの周波数は、ユーザによる手動の抜き差しプロセスによって再現できないように十分に高くなければならない。ユーザは、ストリップを約10回/秒(即ち、100ミリ秒/サイクル)抜き差ししてよい。したがって、一実施形態では、パルス長が手動プロセスの約2分の1短くなるように、パルス長は50ミリ秒未満でよい。代替の実施形態では、パルス波形は非対称でよく、その場合、Lowパルスは約20ミリ秒でよく、Highパルスは約5ミリ秒でよい。
【0047】
図12Bは、第1のタイプの検査ストリップによるスイッチのトグルの結果としての、時間の経過によるHigh及びLowの論理状態を監視するストリップ検出線を示す。第1のタイプの検査ストリップ120が挿入されると、ストリップ検出線は、HighからLowに遷移する。ストリップ判別線がHighとLowとの間でトグルするときでも、ストリップ検出線はLowのままである。スイッチのトグル後のある時間に、マイクロコントローラは、ストリップ120が取り出されていないことを確認した後でグルコース測定プロセスを開始する。一実施形態では、判別検査の開始時にデバウンスタイマー(debounce timer)が無効にされる。デバウンスタイマーは、接点パッドとストリップポートコネクタの接点との間の接触の際に正しく信号が読み出されることを確実にするために利用される任意のハードウェア又はソフトウェアでよい。ストリップが取り外されていないことの確認は、ストリップ検出割込みを再び有効にし、デバウンスタイマーのほぼ持続時間である約200ミリ秒間Low論理状態を監視することによって行われる。
【0048】
図11は、第2のタイプの検査ストリップ124を識別するための電子回路300を示す。最初に、スイッチ304は、測定器がスリープモードでありストリップが挿入されていない間に閉じられる。この時点で、図のゲート点Aは、Highに駆動される。また、点B及びCは短絡され、したがってアースに接続される。コネクタポイントp4とp5とは非連続性であるので、点DはHighのままであり、これは、プルアップ抵抗302及び電源電圧VCCによって制限される。
【0049】
第2のタイプの検査ストリップ124が、第1のタイプのストリップ120専用に構成されたストリップポートコネクタに挿入されると、図11に示されるようにコネクタポイントp4及びp5は共に短絡する。したがって、コネクタp4及びp5が共に短絡されるので、第2のタイプのストリップ124のストリップ挿入によって、点DがVCCレベルからGNDにプルダウンされる。マイクロコントローラ306のS_DETピンの状態の変化によって、ストリップが挿入されたので起動するように測定器に警告する。ストリップの挿入が検出されると、マイクロコントローラ306は次いで、合計4つのパルスに関して、点AのFETスイッチ304へのゲートをHigh及びLowにトグルする。スイッチ304のトグルは、点BとCとの間の導通を開閉する効果を有する。
【0050】
第2のタイプの検査ストリップ124(第1のタイプのストリップ120の代わりに)が挿入された状況では、S_DETピンは、4つのパルスをリードバックする。論理レベルは、スイッチ304が開いているときにHighに遷移し、スイッチ304が閉じているときにLowに遷移する。第1のタイプの検査ストリップ120の挿入と対照的に、p4とrefとの間に非連続性の接続があるので、点Dは、常にロジックLow(即ち、GND)に保持されるわけではないことに注意されたい。マイクロコントローラは、S_DETピンが、S_DISCピンによって送られたものと同じ数のパルス(例えば、4つのパルス)を測定するかどうかを判定する。この状態が当てはまる場合、マイクロコントローラ306は、第2のタイプの検査ストリップ124が挿入されたと判定し、エラーメッセージを出力することができるが、このエラーメッセージは、測定器100による音声、映像又は音声映像両方の報知によるものであり得る。しかしながら、S_DETピンが、S_DISCピンにより送られたものと異なる数のパルスを測定する場合は、第2のタイプの検査ストリップ124の存在を検出するために、4つのパルスを送るプロセスが更に2回繰り返される。
【0051】
図13は、第2のタイプの検査ストリップ124によるスイッチのトグルの結果としての、時間の経過によるHigh及びLowの論理状態を監視するストリップ検出線を示す。第2のタイプの検査ストリップ120が挿入されると、ストリップ検出線は、HighからLowに遷移する。しかしながら、ストリップ判別線がHighからLowに遷移するときは、ストリップ検出線はLowからHighに遷移し、またこの逆も同様である。スイッチのトグル後のある時間に、マイクロコントローラ306は、ストリップ120が取り外されていないことを確認した後でグルコース測定プロセスを開始する。
【0052】
特定の状況下では、検査ストリップの取り外しと再挿入及び環境ノイズによって、S_DETピンが、S_DISCピンにより送られたパルスと異なる数のパルスを測定することがある。図14は、挿入され、取り外され、再挿入された検査ストリップによるスイッチのトグルの結果としての、時間の経過によるHigh及びLowの論理状態を監視するストリップ検出線を示す。検査ストリップが、パルシングプロセス中に取り外されると、ストリップ検出線S_DETで見られるHigh及びLowの数は、ストリップ判別線S_DISCと異なる。これが起きると、検査ストリップタイプを識別できるどうか確認するために、例えば方形波などの適切な波形を送るプロセスが更に2回繰り返される。
【0053】
図15は、検査ストリップ挿入を認識し次に検査ストリップのタイプを識別する最も詳細なロジック1500を示すフローチャートである。検査ストリップ挿入が、ストリップ検出割込みで検出されると、工程1502に示されるように、割込みが無効にされる。ストリップ検出割込みは、判定の試み(図17のサブルーチン1700を参照)の前に無効にされ、保留割込みは、判定の試みの後でかつ割込みが再び有効にされる前にクリアされる。これは、ストリップ検出線をパルシングする操作によって、割込みが保留としてフラグ付けされるからであり、保留割込みがクリアされない場合は、これにより、デバウンスロジックが無駄に動作される。保留割込みは、登録されたがまだ行われていない割込みを指すことがある。保留フラグがあるときに割込みが再び有効にされた場合は、これにより、割込みサービスルーチンが呼び出され、その結果、デバウンスロジックが開始されることに注意されたい。
【0054】
図16に示されるように、工程1502の後で、サブルーチン1600が実行される。工程1506及び1508に示されるように、ストリップ検出割込みの任意の保留フラグがクリアされ、次にストリップ検出割込みが有効にされる。例えば、MSP430などのマイクロプロセッサは、ストリップ検出入力で検出されたエッジ遷移をラッチする「IFG」レジスタを有する。割込みが有効にされるか無効にされるかに関係なく、マイクロプロセッサは、このレジスタをその入力で「保留フラグ」を示すように設定することができる。次に、工程1510に示されるように、第1のタイプのストリップが識別されたか、第2のタイプのストリップが識別されたか、ストリップが首尾よく識別されなかったか、又はストリップが尚早に取り外されたかが判定される。工程1516に示されるように、第1のタイプのストリップが識別された場合は、血糖測定器が、血液塗布プロンプトを表示することができる。第2のタイプのストリップが識別された場合は、工程1518に示されるように、「ストリップ不良」タイマーを始動させることができる。ストリップが首尾よく識別されなかった場合、又はストリップが尚早に取り出された場合は、工程1512、1514及び1518に示されるように、ストリップ検出割込み保留フラグが設定され、ストリップデバウンスタイマー及び「ストリップ不良」タイマーの両方が始動されることができる。
【0055】
ストリップが識別されないが存在していると判定された場合と、ストリップが存在しないと判定された場合の両方のシナリオで、ストリップ取り外しバウンスタイマーが始動され、デバウンス時間が終了した直後に「ストリップ不良」タイマーが始動するように設定されることに注意されたい。工程1520に示されるように、この「ストリップ不良」タイマーイベントを受け取った場合は、エラーメッセージが表示される。工程1522に示されるように、デバウンスタイマーが終了し(ストリップが再挿入されなかった場合は「ストリップ不良」タイマーイベントの前に起こる)、ストリップ取り外しが検出された場合は、通常のストリップ取り外しイベントが生成及び処理され、その後でエラーメッセージが表示される。デバウンスタイマーが終了したときに、ストリップが存在すると判定された場合は、ストリップ取り外しイベントが生成されず、「ストリップ不良」タイマーイベントを受け取ったときにエラーメッセージが表示される。これにより、ストリップタイプ検出動作中にストリップが取り外されたときに、エラーメッセージの一時的表示が妨げられる。
【0056】
図16は、サブルーチン1600を使用して検査ストリップのタイプを判定するプロセスをより詳細に示すフローチャートである。工程1602に示されるように、最初に、attempt_countが0に設定される。次に、工程1700に示されるように、判定のattemptサブルーチンが実行される。工程1604に示されるように、サブルーチン1700の後で、判定が成功したかどうか、又は判定が確定的でなかったかが判定される。判定が確定的でなかった場合は、工程1606に示されるように、attempt_countが1増分される。工程1608で、attempt_countが、しきい値3と比較される。attempt_countが3未満の場合、工程1700、1604及び1606が繰り返される。工程1610に示されるように、attempt_countが3の場合は判定が失敗する。
【0057】
図17は、検査ストリップのタイプを判定しようとするプロセスをより詳細に示すフローチャートである。工程1702、1704、1706及び1708に示されるように、最初に、pulse_count、low_count、high_countが全て0に設定され、判別線がLowに設定される。次に、工程1710に示されるように、strip_type_detect_transient_delay(単位はミリ秒)の待ち時間がある。一実施形態では、strip_type_detect_transient_delayは、例えば約30ミリ秒など、読み出し工程を行なう前に経過する時間の量であり得る。遅延時間は、入力ピンがロジックHighに達することを可能にする十分な長さでなければならない。工程1712に示されるように、工程1710の後で、マイクロコントローラがストリップ検出線を読み取る。工程1714に示されるように、ストリップ検出線がHighかLowかが判定される。ストリップ検出がHighの場合は、工程1716に示されるように、high_countが1増分される。しかしながら、ストリップ検出がLowの場合は、工程1718に示されるように、判別線がHighに設定される。
【0058】
次に、工程1720に示されるように、strip_type_detect_transient_delay(単位はミリ秒)の待ち時間がある。工程1720の後で、工程1722に示されるように、マイクロコントローラがストリップ検出線を読み取る。工程1724に示されるように、ストリップ検出線がHighかLowかが判定される。ストリップ検出がLowの場合は、工程1726に示されるように、low_countが1増分される。しかしながら、ストリップ検出がHighの場合は、工程1728に示されるように、pulse_countが1増分される。
【0059】
工程1728の後で、工程1730に示されるように、pulse_countが4と等しいかどうかが判定される。pulse_countが、所定の数(例えば、好ましくは4)より小さい場合、プロセスは工程1708に戻る。しかしながら、pulse_countが所定の数(例えば、好ましくは4)と等しい場合は、工程1732に示されるように、high_countの増分及びlow_countの増分の数が決定される。high_countが4と等しく、low_countが0と等しい場合は、工程1740に示されるように、ストリップが取り外されている。high_countが0と等しく、low_countが4と等しい場合は、工程1738に示されるように、ストリップは第1のタイプである。high_countが4と等しく、low_countが4と等しい場合は、工程1734に示されるように、ストリップは第2のタイプである。high_count及びlow_countが、工程1734、1738及び1740に挙げられていない任意の他の組み合わせと等しい場合は、工程1736に示されるように、ストリップタイプは判定されない。
【0060】
図15〜図17のプロセスのどの実施態様も、3つの判別試みが行われる最悪のシナリオ中にワォッチドッグタイマーが終了するリスクを軽減することができる。これは、単純にワォッチドッグタイマーを開始することによって行なうことができる。ハードウェアワォッチドッグタイマーが、ストリップタイプ識別プロセス中に動作していることに注意されたい。したがって、ストリップタイプ識別プロセス中に終了した場合、プロセッサはリセットすることになる。ストリップ判別線が、検出アルゴリズムの開始時にHighであり、終了時に同じ「High」状態に戻されると仮定されることに注意されたい。
【0061】
本明細書では、本発明の好ましい実施形態が図示、説明されているが、こうした実施形態はあくまで例として与えられたものであることは当業者には明らかであろう。例えば、本発明は、ドッキングステーション及びグルコース測定器だけに適用されるのではなく、電源を必要とし、インシュリン注入ポンプや連続グルコース監視システムなどリセットされ得る、任意の電子装置にも適用されることができる。更に、検体としての血糖に関して様々な実施形態を説明してきたが、例えばケトン、コレステロールなどの他の検体を利用することができる。本発明から逸脱することなく、多くの変形例、変更例、及び代替例が、当業者には思い浮かぶであろう。本発明の実施に際し、本明細書で述べた本発明の実施形態には、様々な代替例を用い得る。以下の「特許請求の範囲」が発明の範囲を規定すること、並びにこれらの「特許請求の範囲」の方法及び構造並びにそれらの均等物がそれに含まれることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコース測定器における検査ストリップのタイプを判定する方法において、
(a)個別の第1の接点、第2の接点及び第3の接点を有する、前記グルコース測定器のストリップポートコネクタに検査ストリップを挿入する工程と、
(b)前記検査ストリップの少なくとも1つの接点パッドと電気接続している第1の接点と第2の接点との間に導通があるかどうかを判定する工程と、
(c)前記検査ストリップの1つ以上の接点パッドと電気接続している第3の接点と第1の接点との間又は第3の接点と第2の接点との間に導通があるかどうかを評価する工程と、
(d)前記判定する工程及び評価する工程での導通の検出に基づいてグルコース検査を開始する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
導通が、前記判定する工程では検出されたが前記評価する工程では検出されなかった場合に、第1のタイプの検査ストリップが前記グルコース測定器と結合されていないというエラーメッセージを提供する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グルコース測定器に第2のタイプの検査ストリップが挿入され、導通が、前記判定する工程では検出されたが前記評価する工程では検出されない場合に、較正コードを入力するようにユーザに指示する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(e)前記判定する工程と評価する工程をそれぞれ少なくとも1回実行する工程と、
(f)前記判定する工程及び評価する工程で導通を検出したときに、第1のタイプの検査ストリップが挿入されていることを識別する工程と、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のタイプの検査ストリップが、前記第1の接点、第2の接点及び第3の接点と導通している連続導電性トラックを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のタイプの検査ストリップが、前記第1及び第2の接点と導通しているが前記第3の接点とは導通していない連続導電性トラックを有する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記3つの接点のうちの2つの接点が、アースに電気的に接続された、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項8】
グルコース測定器であって、
第1の接点、第2の接点及び第3の接点を有し、前記第3の接点がアースに接続されたストリップコネクタと、
ソース入力、ドレイン入力、及びゲート入力を有し、前記ソース入力がアースに接続され、前記ドレイン入力が前記第1の接点に接続されたスイッチと、
前記スイッチのゲート入力に接続された第1の割込みと、前記第2の接点に接続された第2の割込みとを有するマイクロコントローラであって、検査ストリップの挿入時に前記第1の接点及び前記第3の接点と電気通信する、マイクロコントローラと、
を含む、グルコース測定器。
【請求項9】
前記第2の割込みが、プルアップ抵抗を介した電源電圧への接続を含む、請求項8に記載のグルコース測定器。
【請求項10】
前記スイッチが、MOSFET及びFETスイッチのうちの一方を含む、請求項8に記載のグルコース測定器。
【請求項11】
前記3つの接点のうちの2つが、アースに電気的に接続された、請求項8に記載のグルコース測定器。
【請求項12】
グルコース測定システムにおいて、
複数の導電性トラックを有するグルコース検査ストリップと、
グルコース測定器であって、
電源及びアースと、
第1、第2及び第3の接点を有し、前記第3の接点がアースに接続されたストリップポートコネクタと、
前記アースに接続されたソース入力と、前記ストリップポートコネクタの第1の接点に接続されたドレイン入力と、ゲート入力と、を有する、トランジスタスイッチと、
前記スイッチの前記ゲート入力に接続された第1の割込みと、前記第2の接点に接続された第2の割込みと、を有するマイクロコントローラであって、前記検査ストリップの挿入時に前記第1の接点及び前記第3の接点と電気通信する、マイクロコントローラと、を有する、グルコース測定器と、
を含む、グルコース測定システム。
【請求項13】
トランジスタスイッチによって第1のタイプの検体検査ストリップと他の検体検査ストリップとを区別する方法において、前記トランジスタスイッチが、マイクロコントローラの第1の割込みに接続されたゲート入力と、第1の接点に接続された前記スイッチのドレイン入力と、アースに接続された前記スイッチのソース入力と、を有し、
検査ストリップをストリップポートコネクタに挿入し、その結果、前記ストリップの接点パッドが、前記第1の接点、第2の接点及び第3の接点と電気接続する工程と、
前記マイクロコントローラの第2の割込みによって、前記第1の接点が、前記検体検査ストリップの1つ以上の接点パッドの構成によって形成された前記第2の接点及び前記第3の接点に接続されたかどうかを検出する工程と、
前記第1の接点、第2の接点及び第3の接点の共通の接続の検出に基づいて、前記第1の割込みによって前記スイッチを所定の回数オンオフする工程と、
前記第2の割込みの論理状態の変化を検出する工程と、
第2の割込みのHigh及びLowの論理状態の数に基づいて、グルコースストリップを前記第1のタイプ又は別のタイプのうちの一方として識別する工程と、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−504054(P2013−504054A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527385(P2012−527385)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001684
【国際公開番号】WO2011/027130
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(502328710)ライフスキャン・スコットランド・リミテッド (70)