説明

検査対象特定装置及び検査対象特定方法

【課題】 遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定する検査対象特定装置及び検査対象特定方法を提供する。
【解決手段】 検査対象特定装置1は、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターの各エレベーターに関するエレベーター情報を記憶するエレベーター情報データベース13Aを備えており、そのエレベーター情報に基づいて、各エレベーターを経て港湾サイロまで搬送された複数の農作物の中から遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子検査の対象となる農作物を特定する検査対象特定装置及び検査対象特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内で流通している遺伝子組み換え農作物(以下、「GM作物(Genetically Modified Organism)」という)を用いた遺伝子組み換え食品は、食品衛生法による安全性審査を通過し、更にJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)による表示基準を満たさなければならない。この表示基準にしたがって非GM作物であることを表示するために必要となるのが、IPハンドリング(Identity Preserving Handling:分別精算流通管理)と呼ばれる手法である。このIPハンドリングとは、農作物がバルク輸送される際に、フード・チェーンの各段階で証明書の発行及びその認証を繰り返すことによって、当該農作物にGM作物が混入されていないことを証明するための管理方法である。
【0003】
非特許文献1に開示されているように、上記のIPハンドリングにおいては、農家から港湾サイロへ向かう間に、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを経由する。このとき、各エレベーターにおいて証明書が発行され、この証明書によって当該各エレベーターにおいて適切な分別処理が実施されたことが確認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】財団法人食品産業センター、「アメリカ及びカナダ産のバルク輸送非遺伝子組換え原料(大豆、とうもろこし)確保のための流通マニュアル」、農林水産省総合食料局品質課、2001年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のIPハンドリングが適切に行われた場合であっても、各エレベーターにおけるクリーニングが十分に行われていない等、何らかの理由によって、一定量以上のGM作物が輸送対象の農作物に混入されてしまう場合がある。そのため、港湾サイロにおいて、搬送されてきた農作物に対し、PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法等による遺伝子検査を実施している。しかしながら、このような遺伝子検査を実施するためには、相当程度の費用及び検査要員等が必要となるため、港湾サイロに搬送されてきた農作物のすべてを検査対象とすることが困難であるという問題がある。今後、GM作物の種類が増大し、これに伴って検査に要する費用等も増大していくことが予測されるため、この問題がより一層深刻化することが考えられる。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、上記課題を解決することができる検査対象特定装置及び検査対象特定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検査対象特定装置は、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターの各エレベーターを経て、一国の生産者から他国の港湾サイロまで農作物がバルク輸送される場合に、当該港湾サイロにおいて行われる農作物の遺伝子検査の検査対象を特定する検査対象特定装置であって、各エレベーターに関するエレベーター情報を記憶するエレベーター情報記憶部と、港湾サイロまで搬送された農作物の搬送を行ったエレベーターに係るエレベーター情報を前記エレベーター情報記憶部から抽出するエレベーター情報抽出手段と、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に基づいて、港湾サイロまで搬送された複数の農作物の中から遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定する検査対象特定手段とを備える。
【0008】
上記態様において、前記エレベーター情報記憶部には、非遺伝子組み換え農作物専用のエレベーターであるか否かに関する専用/非専用情報を含むエレベーター情報が記憶されており、前記検査対象特定手段が、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に含まれている専用/非専用情報に基づいて、遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定するように構成されていてもよい。
【0009】
また、上記態様において、前記エレベーター情報記憶部には、非遺伝子組み換え農作物を継続して搬送しているエレベーターであるか否かに関する継続/非継続情報を含むエレベーター情報が記憶されており、前記検査対象特定手段が、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に含まれている継続/非継続情報に基づいて、遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定するように構成されていてもよい。
【0010】
また、上記態様において、前記エレベーター情報記憶部には、エレベーターにおけるクリーニングの実施状況に関するクリーニング情報を含むエレベーター情報が記憶されており、前記検査対象特定手段が、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に含まれているクリーニング情報に基づいて、遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定するように構成されていてもよい。
【0011】
また、上記態様において、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に基づいて、前記検査対象特定手段によって検査対象に特定された複数の農作物の検査の順番を決定する検査順番決定手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0012】
また、上記態様において、前記エレベーター情報記憶部には、遺伝子組み換え農作物の混入があった場合の混入時期を示す混入時期情報を含むエレベーター情報が記憶されており、前記検査順番決定手段が、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に含まれている混入時期情報に基づいて、前記複数の農作物の検査の順番を決定するように構成されていてもよい。
【0013】
また、上記態様において、前記エレベーター情報記憶部には、遺伝子組み換え農作物から非遺伝子組み換え農作物の切替があった場合の切替時期を示す切替時期情報を含むエレベーター情報が記憶されており、前記検査順番決定手段が、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に含まれている切り替え時期情報と前記混入時期情報とに基づいて、前記複数の農作物の検査の順番を決定するように構成されていてもよい。
【0014】
また、上記態様において、港湾サイロまで搬送されてきた遺伝子組み換え農作物が前記他国において承認されているか否かを示す承認/非承認情報を記憶する承認/非承認情報記憶部をさらに備え、前記検査順番決定手段が、前記承認/非承認情報記憶部に記憶されている承認/非承認情報に基づいて、前記複数の農作物の検査の順番を決定するように構成されていてもよい。
【0015】
また、上記態様において、前記エレベーター情報抽出手段が、将来港湾サイロまで搬送されてくる農作物の搬送を行うエレベーターに係るエレベーター情報を前記エレベーター情報記憶部から抽出するように構成されており、前記検査順番決定手段が、既に港湾サイロまで搬送されてきた複数の農作物及び将来港湾サイロまで搬送されてくる複数の農作物の検査の順番を決定するように構成されていてもよい。
【0016】
本発明の一の態様の検査対象特定方法は、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターの各エレベーターを経て、一国の生産者から他国の港湾サイロまで農作物がバルク輸送される場合に、当該港湾サイロにおいて行われる農作物の遺伝子検査の検査対象を特定する検査対象特定方法であって、各エレベーターに関するエレベーター情報を記憶するエレベーター情報記憶部を備えるコンピュータが、港湾サイロまで搬送された農作物の搬送を行ったエレベーターに係るエレベーター情報を前記エレベーター情報記憶部から抽出するエレベーター情報抽出工程と、前記エレベーター情報抽出工程によって抽出されたエレベーター情報に基づいて、港湾サイロまで搬送された複数の農作物の中から遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定する検査対象特定工程とを実行する。
【0017】
前記態様において、前記コンピュータが、前記エレベーター情報抽出工程によって抽出されたエレベーター情報に基づいて、前記検査対象特定手段によって検査対象に特定された複数の農作物の検査の順番を決定する検査順番決定工程をさらに実行するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る検査対象特定装置及び検査対象特定方法によれば、遺伝子検査を実施することが望ましいと考えられる農作物を自動的に特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】IPハンドリングに基づいて農作物群がバルク輸送される場合の流通過程を示す説明図。
【図2】本発明の実施の形態1の検査対象特定システムの構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態1の検査対象特定装置の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施の形態1の検査対象特定装置に設けられているエレベーター情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図5】本発明の実施の形態1の検査対象特定装置に設けられている農作物情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図6】本発明の実施の形態1の検査対象特定装置に設けられている搬出実績情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図7】本発明の実施の形態1の検査対象特定装置に設けられているロット情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【図8】本発明の実施の形態1の検査対象特定装置の動作の流れを示すフローチャート。
【図9】本発明の実施の形態1の検査対象特定装置が実行するPCR検査要否判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施の形態1の検査対象特定装置が実行するPCR検査順番決定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の実施の形態1においてPCR検査順番決定処理が実行される前の検査対象情報の例を示す図。
【図12】本発明の実施の形態1においてPCR検査順番決定処理が実行された後の検査対象情報の例を示す図。
【図13】本発明の実施の形態1の検査対象特定装置のディスプレイ上に表示される検査順番画面の例を示す図。
【図14】本発明の実施の形態2においてPCR検査順番決定処理が実行される前の検査対象情報の例を示す図。
【図15】本発明の実施の形態2においてPCR検査順番決定処理が実行された後の検査対象情報の例を示す図。
【図16】本発明の実施の形態2の検査対象特定装置のディスプレイ上に表示される検査順番画面の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、IPハンドリングに基づいて農作物がバルク輸送される場合の流通過程を示す説明図である。図1に示すとおり、この流通過程では、農作物の生産者である米国における複数の農家F1乃至F12,…と、これらの農家F1乃至F12,…の少なくとも何れかから農作物の搬入を受けてこれを保管する複数のカントリーエレベーターC1乃至C4,…と、これらのカントリーエレベーターC1乃至C4,…の少なくとも何れかから農作物の搬入を受けてこれを保管する複数のリバーエレベーターR1乃至R4,…と、これらのリバーエレベーターR1,R2,…の少なくとも何れかから農作物の搬入を受けてこれを保管する複数のエクスポートエレベーターE1,E2,…と、これらの複数のエクスポートエレベーターE1,E2,…の少なくとも何れかから農作物の搬入を受けてこれを保管する日本の港Pと、港Pを介して農作物の搬入を受ける港湾サイロSとが登場する。これらの各流通段階において証明書が発行され、次の段階に農作物が搬送される際に当該証明書が併せて送付される。
【0022】
なお、図1には、港湾サイロSまでの流通過程しか示されていないが、港湾サイロS以降、農作物は、卸売業者倉庫又は中間加工製品製造業者を経て、食品製造業者製造工場に供給される。IPハンドリングに基づく場合、これらの卸売業者倉庫及び中間加工製品製造業者においても、証明書が発行され、食品製造業者製造工場に送付されることになる。
【0023】
[検査対象特定システムの構成]
図2は、本発明の実施の形態1の検査対象特定システムの構成を示すブロック図である。図2に示すとおり、本実施の形態の検査対象特定システムは、港湾サイロS側で操作され、遺伝子検査の検査対象を特定する検査対象特定装置1と、農家F1乃至F12,…側、並びに、カントリーエレベーターC1乃至C4,…、リバーエレベーターR1,R2,…、及びエクスポートエレベーターE1,E2,…の各エレベーター側で操作されるパーソナルコンピュータ及び携帯型電話機等の端末装置2,2,…とを備えている。これらの検査対象特定装置1と端末装置2,2,…とは、インターネット等の通信ネットワークNTWを介して通信可能に接続される。
【0024】
[検査対象特定装置の構成]
次に、上記の検査対象特定装置1の構成の詳細について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1の検査対象特定装置1の構成を示すブロック図である。図3に示すように、コンピュータ(検査対象特定装置)1は、本体100と、キーボード及びマウスからなる入力部101と、LCDまたはCRT等で構成されたディスプレイ102とを備えている。本体100は、CPU10、ROM11、RAM12、ハードディスク13、入出力インタフェース(I/F)14、画像出力インタフェース(I/F)15、通信インタフェース(I/F)16を備えており、これらのCPU10、ROM11、RAM12、ハードディスク13、入出力I/F14、画像出力I/F15及び通信I/F16は、バス17によって接続されている。
【0025】
CPU10は、RAM12にロードされた各種のコンピュータプログラムを実行する。これにより、コンピュータ1が本実施の形態の検査対象特定装置1として機能することになる。
【0026】
ROM11は、マスクROM、PROM、EPROM(Erasable PROM)、又はEEPROM(Electrically Erasable PROM)等によって構成されており、CPU10にて実行されるコンピュータプログラム及びその実行の際に用いられるデータ等が記憶されている。
【0027】
RAM12は、SRAM又はDRAMなどによって構成されている。このRAM12は、ハードディスク13に記憶されている各種のコンピュータプログラムの読み出し等に用いられる。また、CPU10が各種のコンピュータプログラムを実行するときに、CPU10の作業領域としても利用される。
【0028】
ハードディスク13には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU10に実行させるための各種のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等が予めインストールされている。また、このハードディスク13には、各エレベーターに関するエレベーター情報を格納するエレベーター情報データベース(DB)13A、バルク輸送される農作物に関する農作物情報を格納する農作物情報データベース(DB)13B、各エレベーターにおける農作物の搬出実績に関する搬出実績情報を格納する搬出実績情報データベース(DB)13C、及び各エレベーターにおける搬送単位であるロットに関するロット情報を格納するロット情報データベース(DB)13Dが設けられている。これらの各データベースの詳細については後述する。
【0029】
また、ハードディスク13には、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、各種のコンピュータプログラムが当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0030】
入出力I/F14は、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又はIEEE1284などのパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェース等から構成されている。この入出力I/F14には、入力部101が接続されており、ユーザが当該入力部101を操作することにより、コンピュータ1にデータを入力することが可能になる。
【0031】
画像出力I/F15は、ディスプレイ102に接続されており、この画像出力I/F15を介してCPU10から画像データに応じた映像信号等がディスプレイ102に与えられる。ディスプレイ102は、CPU10より入力された映像信号等にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0032】
通信I/F16は、通信ネットワークNTWを介して検査対象特定装置1が外部の装置と通信するためのインタフェース装置である。検査対象特定装置1は、この通信I/F16を介して、端末2,2,…との間で各種のデータの送受信を行う。
【0033】
以下、ハードディスク13に設けられている各データベースの詳細について説明する。
(A)エレベーター情報DB13A
図4は、本発明の実施の形態1の検査対象特定装置1に設けられているエレベーター情報DB13Aのレイアウトの一例を示す図である。図4に示すように、エレベーター情報DB13Aは、カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターの何れであるのかを示すエレベーターの区分が格納されるエレベーター区分フィールド111、エレベーターを識別するためのエレベーターIDが格納されるエレベーターIDフィールド112、非GM作物専用のエレベーターであるか否かを示す専用区分が格納される専用区分フィールド113、取り扱う農作物がGM作物から非GM作物に切り替わった場合における切替日が格納される切替日フィールド114、所定量以上のGM作物の混入実績の有無が格納される混入実績フィールド115、そのGM作物の混入が判明した日が格納される混入判明日フィールド116、及びクリーニングを実施する頻度に関する情報が格納されるクリーニング頻度フィールド117を有している。なお、本実施の形態においては、エレベーター区分“C”、“R”及び“E”がそれぞれカントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターを示すものとし、専用区分“0”が非GM作物専用エレベーターであること、同じく“1”が非GM作物専用エレベーターでないことをそれぞれ示すものとする。また、クリーニング頻度フィールド117の値が高いほど高頻度でクリーニングを行っているものとする。これらの各フィールド111乃至117に格納される情報は、各エレベーター側にて操作される端末装置2によって入力され、その端末装置2から検査対象特定装置1に対して送信される。
【0034】
(B)農作物情報DB13B
図5は、本発明の実施の形態1の検査対象特定装置1に設けられている農作物情報DB13Bのレイアウトの一例を示す図である。図5に示すように、農作物情報DB13Bは、バルク輸送される農作物を識別するための農作物IDが格納される農作物IDフィールド121、その農作物の品種が格納される品種フィールド122、その農作物がGM作物であるか否かを示すGM区分が格納されるGM区分フィールド123、その農作物の種類(イベント)が格納される種類フィールド124、及びその農作物がGM作物である場合に輸入国において承認されているGM作物であるか否かを示す承認区分が格納される承認区分フィールド125を有している。なお、品種フィールド122には、“Maize(とうもろこし)”、“Soybean(大豆)”、“Rapeseed(菜種)”及び“Cotton(綿)”等が、種類フィールド124には、“Bt11”、“MON819”、“T25”、“MON863”及び“MON863×NK603”等がそれぞれ格納される。また、承認区分“0”が承認されていること、同じく“1”が承認されていないことをそれぞれ示すものとする。これらの各フィールド121乃至125に格納される情報は、各農家にて操作される端末装置2によって入力され、その端末装置2から検査対象特定装置1に対して送信される。
【0035】
(C)搬出実績情報DB13C
図6は、本発明の実施の形態1の検査対象特定装置1に設けられている搬出実績情報DB13Cのレイアウトの一例を示す図である。図6に示すように、搬出実績情報DB13Cは、上記と同様のエレベーター区分、エレベーターID及び農作物IDがそれぞれ格納されるエレベーター区分フィールド131、エレベーターIDフィールド132及び農作物IDフィールド133と、農作物の搬出が行われた搬出日が格納される搬出日フィールド134とを有している。これらの各フィールド131乃至134に格納される情報は、農作物の搬送を行う各エレベーター側にて操作される端末装置2によって入力され、その端末装置2から検査対象特定装置1に対して送信される。
【0036】
(D)ロット情報DB13D
図7は、本発明の実施の形態1の検査対象特定装置1に設けられているロット情報DB13Dのレイアウトの一例を示す図である。図7に示すように、ロット情報DB13Dは、エクスポートエレベーターE1,E2,…から港Pを経て港湾サイロSに搬送されてきたロットを識別するためのロットIDが格納されるロッドIDフィールド141、及びそのロットに含まれる農作物の農作物IDが格納される農作物IDフィールド142を有している。このロット情報を参照することにより、港湾サイロSに搬送されてきた農作物がどのロットに含まれるのかを確認することができる。これらの各フィールド141及び142に格納される情報は、港湾サイロSにおいて検査対象特定装置1に対して直接入力される。
【0037】
[検査対象特定装置の動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態の検査対象特定装置1の動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。なお、以下では、農家F1乃至F12,…から各エレベーターを経て港湾サイロSに搬送されてくる農作物の中から、港湾サイロSにおいて実施されるPCR法による遺伝子検査(以下、「PCR検査」という)の対象となる農作物を特定する場合を例にして説明する。
【0038】
図8は、本発明の実施の形態1の検査対象特定装置1の動作の流れを示すフローチャートである。図8に示すように、検査対象特定装置1はまず、ロット情報DB13Dを参照して、特定のロット(例えば、ロットID“1001”で識別されるロット)に係る農作物IDを収集する(S101)。次に、検査対象特定装置1は、収集された農作物IDに係る農作物がPCR検査の必要な農作物であるか否かを判定するPCR検査要否判定処理を実行する(S102)。
【0039】
[PCR検査要否判定処理]
図9は、本発明の実施の形態1の検査対象特定装置1が実行するPCR検査要否判定処理の処理手順を示すフローチャートである。図9に示すように、検査対象特定装置1は、PCR検査要否判定処理の処理対象となる農作物の農作物IDを、ステップS101にて収集した農作物IDの中から特定する(S201)。
【0040】
次に、検査対象特定装置1は、処理対象となった農作物(以下、「処理対象農作物」という)の搬送を行ったエレベーターのすべてが非GM作物専用のエレベーターであるか否かを判定する(S202)。この処理の詳細について説明すると、ステップS202において、検査対象特定装置1は、処理対象農作物の農作物IDをキーとして搬出実績情報DB13Cを検索し、その結果検索された搬出実績情報のエレベーターIDフィールド132を参照することによって、処理対象農作物を搬送したエレベーターのエレベーターIDを取得する。次に、検査対象特定装置1は、その取得したエレベーターIDをキーとしてエレベーター情報DB13Aを検索し、その結果検索されたエレベーター情報の専用区分フィールド113を参照することによって、処理対象農作物を搬送したエレベーターが非GM作物専用のエレベーターであるか否かを判定する。そして、検査対象特定装置1は、その判定結果に基づいて、処理対象農作物を搬送したエレベーターのすべてが非GM作物専用のエレベーターであるか否かを判定する。
【0041】
ステップS202において、少なくとも1つのエレベーターが非GM作物専用ではないと判定した場合(S202でNO)、検査対象特定装置1は、その非GM作物専用ではないエレベーターが一定期間非GM作物を継続して扱っているか否かを判定する(S203)。この処理の詳細について説明すると、検査対象特定装置1は、ステップS202において非GM作物専用ではないと判定されたエレベーターのエレベーターIDをキーとしてエレベーター情報DB13Aを検索し、その結果検索されたエレベーター情報の切替日フィールド114を参照することにより、当該エレベーターにおいてGM作物から非GM作物への切替が行われたか否かを判定する。ここで、当該切替が行われたと判定した場合に、検査対象特定装置1は、その切替日とこのPCR検査要否判定処理の実行日との差が一定期間(例えば、3ヶ月等)以上であるか否かを判定することにより、当該エレベーターが一定期間非GM作物を継続して扱っているか否かを判定する。
【0042】
ステップS203において、当該エレベーターが一定期間非GM作物を継続していないと判定した場合(S203でNO)、検査対象特定装置1は、当該エレベーターがクリーニングを励行しているか否かを判定する(S204)。この処理の詳細について説明すると、検査対象特定装置1は、ステップS203において検索された当該エレベーターのエレベーター情報のクリーニング頻度フィールド117を参照し、その値が所定の閾値以上であるか否かによってクリーニングを励行しているか否かを判定する。具体的には、例えばその閾値が“3”に設定されている場合、エレベーター情報のクリーニング頻度フィールド117の値が“3”以上であれば当該エレベーターはクリーニングを励行していると判定し、他方“2”以下であれば当該エレベーターはクリーニングを励行していないと判定する。
【0043】
ステップS204において、当該エレベーターがクリーニングを励行していないと判定した場合(S204でNO)、検査対象特定装置1は、当該エレベーターが搬出した処理対象農作物についてPCR検査は必要であると判定する(S205)。
【0044】
他方、ステップS202において処理対象農作物を搬送したエレベーターのすべてが非GM作物専用のエレベーターであると判定した場合(S202でYES)、ステップS203において当該エレベーターが一定期間非GM作物を継続して扱っていると判定した場合(S203でYES)、又はステップS204において当該エレベーターがクリーニングを励行していると判定した場合(S204でYES)、検査対象特定装置1は、当該エレベーターが搬出した処理対象農作物についてPCR検査は不要であると判定する(S206)。これらの場合、所定量以上のGM作物が処理対象農作物に混入している可能性は低いと考えられるため、本実施の形態では、処理対象農作物をPCR検査の対象から除外する。
【0045】
次に、検査対象特定装置1は、ステップS101にて収集した農作物IDで識別される農作物のすべてが処理対象農作物となったか否かを判定する(S207)。ここで、まだ処理対象農作物となっていない農作物があると判定した場合(S207でNO)、検査対象特定装置1は、ステップS201に戻ってそれ以降の処理を繰り返す。そして、すべての農作物が処理対象農作物となったと判定した場合(S207でYES)、検査対象特定装置1はPCR検査要否判定処理を終了し、ステップS103に進む。
【0046】
図8に示すように、検査対象特定装置1は、PCR検査要否判定処理(S102)によってPCR検査が必要であると判定された処理対象農作物の農作物ID及びその処理対象農作物の搬出を行ったエレベーターのエレベーターIDを用いて検査対象情報を生成する(S103)。この処理の詳細について説明すると、検査対象特定装置1は、当該エレベーターIDをキーとしてエレベーター情報DB13Aを検索し、その結果検索されたエレベーター情報のエレベーター区分フィールド111、切替日フィールド114、混入実績フィールド115及び混入判明日フィールド116に格納されている情報を取得する。また、検査対象特定装置1は、当該農作物IDをキーとして農作物情報DB13Bを検索し、その結果検索された農作物情報の承認区分フィールド125に格納されている情報を取得する。そして、検査対象特定装置1は、これらのエレベーターID及び農作物IDと、取得したエレベーター区分、切替日、混入実績、混入判明日及び承認区分の各情報とで構成される検査対象情報を生成する。
【0047】
上記の検査対象情報は、上述したPCR検査要否判定処理によりPCR検査が必要であると判定された農作物毎に生成される。したがって、PCR検査の対象となる農作物が複数存在する場合、複数の検査対象情報が生成されることになる。その場合、複数のPCR検査をどの順番で行うのかを決定する必要がある。そのため、検査対象特定装置1は、PCR検査の順番を決定するPCR検査順番決定処理を実行する(S104)。
【0048】
[PCR検査順番決定処理]
図10は、本発明の実施の形態1の検査対象特定装置1が実行するPCR検査順番決定処理の処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、検査対象特定装置1は、GM作物の混入実績に基づいて、検査対象情報をソートする(S301)。具体的には、GM作物の混入実績があるエレベーターを含んでいる検査対象情報が上位となるように検査対象情報を整列させる。これにより、PCR検査を行う必要性が高いと考えられるGM作物の混入実績があるエレベーターに係る検査対象情報を上位にすることができる。
【0049】
次に、検査対象特定装置1は、承認区分に基づいて、検査対象情報をソートする(S302)。具体的には、輸入国において承認されていない農作物を含んでいる検査対象情報が上位となるように検査対象情報を整列させる。これにより、PCR検査を行う必要性が高いと考えられる輸入国において未承認の農作物に係る検査対象情報を上位にすることができる。
【0050】
最後に、検査対象特定装置1は、切替日及び混入判明日に基づいて、検査対象情報をソートする(S303)。具体的には、混入判明日が切替日よりも後になっている検査対象情報が上位となるように検査対象情報を整列させ、さらに、混入判明日が切替日よりも先になっている検査対象情報については、その混入判明日と切替日との差が所定時間以上(例えば5年以上など)である検査対象情報が下位となるように検査対象情報を整列させる。
【0051】
ステップS303により、混入判明日が切替日よりも後である、すなわちGM作物から非GM作物に切り替わった後に所定量以上のGM作物の混入があったエレベーターに係る検査対象情報が上位となる。このように、非GM作物への切替があった後にGM作物の混入実績があるエレベーターの場合、更なるGM作物の混入が起き得る可能性が高いと考えられるため、当該エレベーターにより搬送された農作物に対してPCR検査を行う必要性が高いといえる。そのため、上述したとおり、混入判明日が切替日よりも後になっている検査対象情報が上位となるように検査対象情報を整列させることが好ましい。
【0052】
また、ステップS303により、混入判明日が切替日よりも先であって且つ混入判明日と切替日との差が所定時間以上である、すなわち所定量以上のGM作物の混入があってから所定時間経過した後に取り扱う農作物をGM作物から非GM作物に切り替えたエレベーターに係る検査対象情報が下位となる。このように、GM作物の混入から十分に期間が経過した後に非GM作物への切替が行われている場合、GM作物の混入から切替までの期間が短い場合と比べて、GM作物の混入が起きる可能性が低いと考えられるため、当該エレベーターにより搬送された農作物に対してPCR検査を行う必要性が低いといえる。そのため、上述したとおり、混入判明日が切替日よりも先であって且つ混入判明日と切替日との差が所定時間以上となっている検査対象情報が下位となるように検査対象情報を整列させることが好ましい。
【0053】
図11は、PCR検査順番決定処理が実行される前の検査対象情報の例を示す図であり、他方、図12は、PCR検査順番決定処理が実行された後の検査対象情報の例を示す図である。図11に示す例では、PCR検査順番決定処理が実行される前はエレベーターIDが小さい順に検査対象情報が整列されている。上述したPCR検査順番決定処理が実行された場合、ステップS301によってGM作物の混入実績があるエレベーターを含んでいる検査対象情報が上位となり、また、ステップS302によって輸入国において承認されていない農作物を含んでいる検査対象情報が上位となり、さらに、ステップS303によって混入判明日が切替日よりも後である検査対象情報が上位となり、混入判明日が切替日よりも先であって且つ混入判明日と切替日との差が所定時間以上である検査対象情報が下位となる。その結果、図11に示されている検査対象情報は、図12に示すように整列されることになる。なお、図12に示す例では、PCR検査順番決定処理により整列された検査対象情報に対して、上位から順に1乃至6の順番が付されている。この順番がPCR検査の順番(優先順位)に相当することになる。
【0054】
検査対象特定装置1は、上記のステップS303を実行した後、PCR検査順番決定処理を終了し、ステップS105に進む。
【0055】
図8に示すように、検査対象特定装置1は、PCR検査順番決定処理(S104)によって整列された検査対象情報にしたがって、PCR検査の対象となる農作物及びそのPCR検査の順番を示す検査順番情報を生成し(S105)、その検査順番情報を示す画面である検査順番画面をディスプレイ102に表示する(S106)。
【0056】
図13は、本発明の実施の形態1の検査対象特定装置1のディスプレイ上に表示される検査順番画面の例を示す図である。図13に示すとおり、検査順番画面200には、PCR検査の対象となる農作物の農作物ID、品種及び種類が検査の順番に沿って示されている。また、順番が1番目である農作物に対するPCR検査が最も優先度が高く、次に、2番目及び3番目である農作物に対するPCR検査の優先度がこの順に高いことが示されている。
【0057】
この検査順番画面200を参照することにより、港湾サイロに搬送されてきた農作物のうちどの農作物に対してどの順番でPCR検査を実施するべきであるのか、PCR検査の優先度が高い農作物はどれなのか等を確認することができる。そのため、PCR検査に用いることができる費用及び検査要員の数等に応じて、どの農作物に対してPCR検査を実施するのかを容易に決定することが可能になる。
【0058】
(実施の形態2)
上記の実施の形態1では、特定の一つのロットに係る農作物について、PCR検査の要否及びその順番を決定しているが、複数のロットに係る農作物について同様の処理を行うことも可能である。さらに、港湾サイロSまで搬送されてきていないものの、将来搬送されてくる予定であるロットに係る農作物について同様の処理を行うことも可能である。実施の形態2は、このように将来搬送されてくるロットをも検査対象として特定することができる。
【0059】
本実施の形態の検査対象特定装置の構成については、実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。以下、適宜図3を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、ロット情報DB13Dに、港湾サイロSに搬送されてきたロットについてのみではなく、将来港湾サイロSに搬送されてくるロット(すなわち、エクスポートエレベーターから搬送されているものの、まだ港湾サイロSに到着していないロット)についてのロット情報も格納されているものとする。
【0060】
実施の形態2の検査対象特定装置は、実施の形態1の場合と同様に、図8乃至図10に示したフローチャートにしたがって動作する。ただし、本実施の形態の検査対象特定装置は、ステップS101において特定の複数のロットに係る農作物IDを収集し、それ以降の処理を実行することになる。
【0061】
図14は、本発明の実施の形態2においてPCR検査順番決定処理が実行される前の検査対象情報の例を示す図である。また、図15は、本発明の実施の形態2においてPCR検査順番決定処理が実行された後の検査対象情報の例を示す図である。これらの図14及び図15では、ロットID“1001”及び“1011”で識別されるロットに含まれる農作物が処理対象である例が示されている。なお、このうちロットID“1001”で識別されるロットは既に港湾サイロSに搬送済であり、同じく“1011”で識別されるロットはこれから港湾サイロSに搬送されてくるものとする。
【0062】
図14に示す例では、PCR検査順番決定処理が実行される前はロットID及びエレベーターIDが小さい順に検査対象情報が整列されている。実施の形態1の場合と同様のPCR検査順番決定処理が実行された場合、ステップS301によってGM作物の混入実績があるエレベーターを含んでいる検査対象情報が上位となり、また、ステップS302によって輸入国において承認されていない農作物を含んでいる検査対象情報が上位となり、さらに、ステップS303によって混入判明日が切替日よりも後である検査対象情報が上位となり、混入判明日が切替日よりも先であって且つ混入判明日と切替日との差が所定時間以上である検査対象情報が下位となる。その結果、図14に示されている検査対象情報は、図15に示すように整列されることになる。なお、図15に示す例では、PCR検査順番決定処理により整列された件数対象情報に対して、上位から順に1乃至12の順番が付されている。この順番がPCR検査の順番(優先順位)に相当することになる。
【0063】
本実施の形態の検査対象特定装置は、実施の形態1の場合と同様に、PCR検査順番決定処理の結果に基づいて、検査順番情報を生成し(S105)、検査順番画面をディスプレイ上に表示する(S106)。図16は、本発明の実施の形態2の検査対象特定装置のディスプレイ上に表示される検査順番画面の例を示す図である。図16に示すとおり、検査順番画面300には、実施の形態1の場合の検査順番画面200と同様の情報が示されている。この検査順番画面300を参照することにより、港湾サイロSに搬送されてきた農作物及びこれから港湾サイロSに搬送されてくる農作物のうちどの農作物に対してどの順番でPCR検査を実施するべきであるのか、PCR検査の優先度が高い農作物はどれなのか等を確認することができる。これにより、将来港湾サイロSに到着するロットに含まれている農作物に対する検査の必要性を考慮した上で今後のPCR検査のスケジュールを決定すること等が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の検査対象特定装置及び検査対象特定方法は、IPハンドリングに基づいた流通管理が行われている農作物に対して遺伝子検査を行う場合にその検査対象となる農作物を特定するための検査対象特定装置及び検査対象特定方法等として有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 検査対象特定装置
2 端末装置
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 ハードディスク
13A エレベーター情報DB
13B 農作物情報DB
13C 搬出実績情報DB
13D ロット情報DB
14 入出力インタフェース
15 画像出力インタフェース
16 通信インタフェース
17 バス
101 入力部
102 ディスプレイ
NTW 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターの各エレベーターを経て、一国の生産者から他国の港湾サイロまで農作物がバルク輸送される場合に、当該港湾サイロにおいて行われる農作物の遺伝子検査の検査対象を特定する検査対象特定装置であって、
各エレベーターに関するエレベーター情報を記憶するエレベーター情報記憶部と、
港湾サイロまで搬送された農作物の搬送を行ったエレベーターに係るエレベーター情報を前記エレベーター情報記憶部から抽出するエレベーター情報抽出手段と、
前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に基づいて、港湾サイロまで搬送された複数の農作物の中から遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定する検査対象特定手段と
を備える、検査対象特定装置。
【請求項2】
前記エレベーター情報記憶部には、非遺伝子組み換え農作物専用のエレベーターであるか否かに関する専用/非専用情報を含むエレベーター情報が記憶されており、
前記検査対象特定手段が、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に含まれている専用/非専用情報に基づいて、遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定するように構成されている、請求項1に記載の検査対象特定装置。
【請求項3】
前記エレベーター情報記憶部には、非遺伝子組み換え農作物を継続して搬送しているエレベーターであるか否かに関する継続/非継続情報を含むエレベーター情報が記憶されており、
前記検査対象特定手段が、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に含まれている継続/非継続情報に基づいて、遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定するように構成されている、請求項1又は2に記載の検査対象特定装置。
【請求項4】
前記エレベーター情報記憶部には、エレベーターにおけるクリーニングの実施状況に関するクリーニング情報を含むエレベーター情報が記憶されており、
前記検査対象特定手段が、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に含まれているクリーニング情報に基づいて、遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定するように構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の検査対象特定装置。
【請求項5】
前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に基づいて、前記検査対象特定手段によって検査対象に特定された複数の農作物の検査の順番を決定する検査順番決定手段
をさらに備える、請求項1乃至4の何れかに記載の検査対象特定装置。
【請求項6】
前記エレベーター情報記憶部には、遺伝子組み換え農作物の混入があった場合の混入時期を示す混入時期情報を含むエレベーター情報が記憶されており、
前記検査順番決定手段が、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に含まれている混入時期情報に基づいて、前記複数の農作物の検査の順番を決定するように構成されている、請求項5に記載の検査対象特定装置。
【請求項7】
前記エレベーター情報記憶部には、遺伝子組み換え農作物から非遺伝子組み換え農作物の切替があった場合の切替時期を示す切替時期情報を含むエレベーター情報が記憶されており、
前記検査順番決定手段が、前記エレベーター情報抽出手段によって抽出されたエレベーター情報に含まれている切り替え時期情報と前記混入時期情報とに基づいて、前記複数の農作物の検査の順番を決定するように構成されている、請求項6に記載の検査対象特定装置。
【請求項8】
港湾サイロまで搬送されてきた遺伝子組み換え農作物が前記他国において承認されているか否かを示す承認/非承認情報を記憶する承認/非承認情報記憶部をさらに備え、
前記検査順番決定手段が、前記承認/非承認情報記憶部に記憶されている承認/非承認情報に基づいて、前記複数の農作物の検査の順番を決定するように構成されている、請求項5乃至7の何れかに記載の検査対象特定装置。
【請求項9】
前記エレベーター情報抽出手段が、将来港湾サイロまで搬送されてくる農作物の搬送を行うエレベーターに係るエレベーター情報を前記エレベーター情報記憶部から抽出するように構成されており、
前記検査順番決定手段が、既に港湾サイロまで搬送されてきた複数の農作物及び将来港湾サイロまで搬送されてくる複数の農作物の検査の順番を決定するように構成されている、請求項5乃至8の何れかに記載の検査対象特定装置。
【請求項10】
カントリーエレベーター、リバーエレベーター及びエクスポートエレベーターの各エレベーターを経て、一国の生産者から他国の港湾サイロまで農作物がバルク輸送される場合に、当該港湾サイロにおいて行われる農作物の遺伝子検査の検査対象を特定する検査対象特定方法であって、
各エレベーターに関するエレベーター情報を記憶するエレベーター情報記憶部を備えるコンピュータが、
港湾サイロまで搬送された農作物の搬送を行ったエレベーターに係るエレベーター情報を前記エレベーター情報記憶部から抽出するエレベーター情報抽出工程と、
前記エレベーター情報抽出工程によって抽出されたエレベーター情報に基づいて、港湾サイロまで搬送された複数の農作物の中から遺伝子検査の検査対象となる農作物を特定する検査対象特定工程と
を実行する、検査対象特定方法。
【請求項11】
前記コンピュータが、前記エレベーター情報抽出工程によって抽出されたエレベーター情報に基づいて、前記検査対象特定手段によって検査対象に特定された複数の農作物の検査の順番を決定する検査順番決定工程をさらに実行する、請求項10に記載の検査対象特定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−135233(P2012−135233A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288809(P2010−288809)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】