説明

検査装置

【課題】複数の検査処理の操作が容易で各部の状態が確認しやすい小型の検査装置を提供する。
【解決手段】複数の検査処理手段を有する検査装置において、複数の検査処理手段を制御する制御手段と、複数の検査処理手段の状態と複数の操作ボタンを一つの画面に表示し、該操作ボタンへの入力を検知するタッチパネルと、を有し、制御手段は、タッチパネルが検知した操作ボタンへの入力に基づいて検査処理手段を制御することを特徴とする検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、センサなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。これは、μ−TAS(Micro total Analysis System:マイクロ総合分析システム)、バイオリアクタ、ラボ・オン・チップ(Lab−on−chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。特に遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、μ−TASを用いることによりコスト、必要試料量、所要時間を削減できる。
【0003】
本出願人は、マイクロチップの微細流路内に試薬などを封入し、ポンプによって微細流路に液体を注入して試薬などを移動させ、反応部、次いで検出部へ流すことにより、血液など検体との反応結果を測定することができる検査装置を提案している(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
このような検査装置を用いて検査を行う機会が増え、検査担当者からは増設の要望が多いが、病院等には設置場所が限られているため従来の検査装置を複数台設置することは難しい。そのため、複数の検査処理手段を備え、1台で複数のマイクロチップの検査を同時に行える小型の検査装置が望まれている。
【特許文献1】特開2004−28589号公報
【特許文献2】特開2006−149379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような検査装置の筐体に、検査処理手段を操作する操作ボタンや各部の状態を表示する表示手段を検査処理手段毎に設けると検査装置が大型化してしまう。一方、操作ボタンや表示内容を小さくすると、検査装置の操作性を損ない、各部の状態を確認しにくくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、複数の検査処理の操作が容易で各部の状態が確認しやすい小型の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0008】
1.
複数の検査処理手段を有する検査装置において、
複数の前記検査処理手段を制御する制御手段と、
複数の前記検査処理手段の状態と前記検査処理手段を個別に操作する複数の操作ボタンを一つの画面に表示し、該操作ボタンへの入力を検知するタッチパネルと、
を有し、
前記制御手段は、前記タッチパネルが検知した前記操作ボタンへの入力に基づいて前記検査処理手段を制御することを特徴とする検査装置。
【0009】
2.
前記タッチパネルは、前記検査処理手段を選択する選択部を有し、
前記制御手段は、
前記タッチパネルからの前記選択部の選択操作情報に基づいて、前記検査処理手段の状態と前記操作ボタンを前記タッチパネルに表示することを特徴とする1に記載の検査装置。
【0010】
3.
前記制御手段は、
前記タッチパネルに表示する画面データを予め複数の前記検査処理手段毎に作成し、
前記選択部により選択された前記検査処理手段の画面データを、前記選択部により選択されなかった前記検査処理手段の画面データより多く前記タッチパネルに表示することを特徴とする2に記載の検査装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一つのタッチパネルに複数の検査処理手段の状態と操作ボタンを表示し、操作ボタンへの入力操作情報に基づいて検査処理手段を制御するので、検査担当者による複数の検査処理の操作が容易であり、各部の状態を容易に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づき本発明の第1の実施形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態における検査装置80の外観図である。
【0014】
検査装置80はマイクロチップ1に予め注入された検体と、試薬との反応を自動的に検出し、タッチパネル84に結果を表示する装置である。
【0015】
検査装置80の筐体82には2つの挿入口83a、83bがあり、それぞれマイクロチップ1a、1bを挿入口83a、83bに差し込んで筐体82の内部にセットするようになっている。本実施形態では2つの挿入口83a、83bに挿入するマイクロチップ1a、1b、および挿入口83a、83bに挿入されたマイクロチップ1a、1bを検査する機構にそれぞれa、bの符号を付けて区別する。マイクロチップ1a、1bで行う検査は同じ検査でも良いし、異なる検査でも良い。
【0016】
なお、挿入口83a、83bはマイクロチップ1a、1bを挿入時に挿入口83に接触しないように、マイクロチップ1a、1bの厚みより十分高さがある。85はメモリカードスロット、86はプリント出力口、88は入出力端子である。
【0017】
検査担当者は図1の矢印方向にマイクロチップ1a、1bのいずれか一方または両方を挿入し、タッチパネル84を操作して検査を開始させる。検査装置80の内部では、マイクロチップ1a、1b内の反応の検査が自動的に行われ、検査が終了すると液晶パネルなどで構成されるタッチパネル84に結果が表示される。検査結果はタッチパネル84の操作により、プリント出力口86よりプリントを出力したり、メモリカードスロット85に挿入されたメモリカードに記憶することができる。また、外部入出力端子88から例えばLANケーブルを使って、パソコンなどにデータを保存することができる。
【0018】
検査担当者は、検査終了後、マイクロチップ1a、1bを挿入口83a、83bから取り出す。
【0019】
次に、本発明の実施形態に係わるマイクロチップ1の一例について、図2を用いて説明する。
【0020】
図2(a)、図2(b)はマイクロチップ1の外観図である。図2(a)において矢印は、後述する検査装置80にマイクロチップ1を挿入する挿入方向であり、図2(a)は挿入時にマイクロチップ1の下面となる面を図示している。図2(b)はマイクロチップ1の側面図である。
【0021】
図2(a)の窓111はマイクロチップ1内部の検出部19で行われる検体と試薬の反応を光学的に検出するために設けられており、ガラスや樹脂などの透明な部材で構成されている。110a、110b、110c、110d、110eは内部の微細流路に連通する流体注入部であり、各流体注入部110から流体を注入し内部の試薬等を駆動する。113はマイクロチップ1に検体を注入するための検体注入部である。
【0022】
なお、本実施形態では流体として液体を注入する例について説明するが、流体は液体に限定されるものではなく空気など気体でも良い。
【0023】
図2(b)に示すように、マイクロチップ1は溝形成基板108と、溝形成基板108を覆う被覆基板109から構成されている。
【0024】
マイクロチップ1を構成する溝形成基板108と被覆基板109に用いる材料について説明する。
【0025】
マイクロチップ1は、加工成形性、非吸水性、耐薬品性、耐候性、コストなどに優れていることが望まれており、マイクロチップ1の構造、用途、検出方法などを考慮して、マイクロチップ1の材料を選択する。その材料としては従来公知の様々なものが使用可能であり、個々の材料特性に応じて通常は1以上の材料を適宜組み合わせて、基板および流路エレメントが成形される。
【0026】
特に、多数の測定検体、とりわけ汚染、感染のリスクのある臨床検体を対象とするチップは、ディスポーサブルタイプであることが望ましい。そのため、量産可能であり、軽量で衝撃に強く、焼却廃棄が容易なプラスチック樹脂、例えば、透明性、機械的特性および成型性に優れて微細加工がしやすいポリスチレンが好ましい。また、例えば分析においてチップを100℃近くまで加熱する必要がある場合には、耐熱性に優れる樹脂(例えばポリカーボネートなど)を用いることが好ましい。また、タンパク質の吸着が問題となる場合にはポリプロピレンを用いることが好ましい。樹脂やガラスなどは熱伝導率が小さく、マイクロチップ1の局所的に加熱される領域に、これらの材料を用いることにより、面方向への熱伝導が抑制され、加熱領域のみ選択的に加熱することができる。
【0027】
本実施形態では、検出部19において、反応の検出を光学的に行うので、少なくともこの部位の基板は光透過性の材料(例えばアルカリガラス、石英ガラス、透明プラスチック類)を用い、光が透過するようにする必要がある。本実施形態においては、検出部の窓111は光透過性の材料が用いられていて、窓111を光が透過するようになっている。
【0028】
本発明の実施形態に係わるマイクロチップ1には、検査、試料の処理などを行うための、微小な溝状の流路(微細流路)および機能部品(流路エレメント)が、用途に応じた適当な態様で配設されている。本実施形態では、これらの微細流路および流路エレメントによってマイクロチップ1内で行われる特定の遺伝子の増幅およびその検出を行う処理の一例を図2(c)を用いて説明する。なお、本発明の適用は図2(c)で説明するマイクロチップ1の例に限定されるものでは無く、様々な用途のマイクロチップ1に適用できる。
【0029】
図2(c)はマイクロチップ1内部の微細流路および流路エレメントの機能を説明するための説明図である。
【0030】
微細流路には、例えば検体液を収容する検体収容部121、試薬類を収容する試薬収容部120、試薬収容部123などが設けられており、場所や時間を問わず迅速に検査ができるよう、試薬収容部120、123には必要とされる試薬類、洗浄液、変性処理液などがあらかじめ収容されている。図2(c)において、試薬収容部120、検体収容部121および流路エレメントは四角形で表し、その間の微細流路は実線と矢印で表す。
【0031】
マイクロチップ1は、微細流路を形成した溝形成基板108と溝状の流路を覆う被覆基板109から構成されている。微細流路はマイクロメーターオーダーで形成されており、例えば幅は数μm〜数百μm、好ましくは10〜200μmで、深さは25〜500μm程度、好ましくは25〜250μmである。
【0032】
少なくともマイクロチップ1の溝形成基板108には、上記の微細流路が形成されている。被覆基板109は、少なくとも溝形成基板の微細流路を密着して覆う必要があり、溝形成基板の全面を覆っていても良い。なお、マイクロチップ1の微細流路には、例えば、図示せぬ送液制御部、逆流防止部(逆止弁、能動弁など)などの送液を制御するための部位が設けられ、逆流を防止し、所定の手順で送液が行われるようになっている。
【0033】
検体注入部113はマイクロチップ1に検体を注入するための注入部、流体注入部110はマイクロチップ1に流体を注入するための注入部である。マイクロチップ1による検査を行うに先立って、検査担当者は検体を検体注入部113から注射器などを用いて注入する。図2(c)に示すように、検体注入部113から注入された検体は、連通する微細流路を通って検体収容部121に収容される。
【0034】
次に、流体注入部110aから流体を注入すると、流体は連通する微細流路を通って検体収容部121に収容されている検体を押し出し、増幅部122に検体を送り込む。
【0035】
一方、流体注入部110bから注入された流体は、連通する微細流路を通って試薬収容部120aに収容されている試薬を押し出す。試薬収容部120aから押し出された試薬は増幅部122に流体によって送り込まれる。このときの反応条件によっては、増幅部122の部分を所定の温度にする必要があり、後で説明するように検査装置80の内部で加熱または吸熱して所定の温度で反応させる。
【0036】
同様に、流体注入部110c、110d、110eから注入された流体は、連通する微細流路を通って試薬収容部120b、120c、120dに収容されている試薬をそれぞれ押し出す。試薬収容部120b、120c、120dから押し出された試薬は検出部19に流体によって送り込まれる。
【0037】
所定の反応時間の後、さらに流体により増幅部122から送り出された反応後の検体を含む溶液は、検出部19に注入される。窓111から検出部19に光を照射すると、検体と反応した試薬が例えば蛍光を発光するので蛍光の光量を測定することにより反応結果を計測することができる。検出部19で反応結果を計測後の溶液は廃液溜め部125に送液される。
【0038】
図3は、本発明の実施形態における検査装置80の内部構成の一例を示す斜視図、図4は、本発明の実施形態における検査装置80の内部構成の一例を示す断面図、である。
【0039】
図3に示す検査装置80は、温度調節ユニット152、ポンプユニット92、パッキン96、パッキン97、流体タンク91、駆動部材303などから構成される検査処理手段を2つ有している。以下、図3にX、Yで示す2つの検査処理手段をそれぞれ第1検査処理部X、第2検査処理部Yと呼ぶ。
【0040】
図3はマイクロチップ1a、1bをそれぞれ温度調節ユニット152a、152bとパッキン97a、97bに密着させている状態である。図3に示すマイクロチップ1a、1bは、試薬の反応結果を測光する検出部19がマイクロチップ1の内部に1つ設けられている。本実施形態では挿入口83a、83bから挿入されたマイクロチップ1a、1bを検査する第1検査処理部X、第2検査処理部Yは図3に示すように同一機構であり、必要な時以外はa、bの区別をせずに説明する。図4は図3に示す機構の断面図である。以下、図3、図4を用いて実施形態を説明する。
【0041】
温度調節ユニット152とマイクロチップ1は、モータ302、送りネジ301、トレイ300等からなる駆動部材303により駆動され、紙面上下方向に移動可能である。初期状態において、駆動部材303により温度調節ユニット152を、図3の状態からマイクロチップ1の厚み以上上昇させる。すると、マイクロチップ1は図3の矢印A方向に挿抜可能であり、検査担当者は挿入口83からトレイ300の図示せぬ規制部材に当接するまでマイクロチップ1を挿入する。所定の位置までマイクロチップ1を挿入するとフォトインタラプタなどを用いたチップ検知部95がマイクロチップ1を検知し、オンになる。
【0042】
温度調節ユニット152は、ペルチェ素子、電源装置、温度制御装置、温度センサなどを内蔵し、発熱または吸熱を行ってマイクロチップ1の面を所定の温度に調整するユニットである。温度センサはマイクロチップ1の増幅部122など各部に対応する位置に設けられており、各部の温度を検知する。
【0043】
次に、駆動部材303により温度調節ユニット152とトレイ300を下降させて、マイクロチップ1を温度調節ユニット152とパッキン97に密着させる。
【0044】
マイクロチップ1の検出部19では、検体とマイクロチップ1内に貯蔵された試薬が反応して、例えば呈色、発光、蛍光、混濁などをおこす。本実施形態では試薬の反応結果を測光するマイクロチップ1の検出部19を構成する溝形成基板108と被覆基板109は、光透過性の材料になっていて、試薬と検体の反応結果は、マイクロチップ1の検出部19を透過する光を測光または測色することで解析することができる。
【0045】
光検出部163は発光部160と受光部161から成り、マイクロチップ1の検出部19を透過する光を検出できるように配置されている。なお、光検出部163はマイクロチップ1の検出部19を透過する光を検出する方式に限定されるものではなく、検出部19に光を照射し反射光を検出しても良い。図3には受光部161bが図示されていないが、本実施形態では発光部160a、受光部161aからなる光検出部163aと発光部160b、受光部161bからなる光検出部163bを備えているものとする。
【0046】
図4に示すように、ポンプユニット92は少なくとも一つのポンプ62を有している。ポンプ62の吸込側には、パッキン96が接続され、流体タンク91に充填された流体を吸い込むようになっている。一方、ポンプ62の吐出側にはパッキン97が接続されていて、吸い込んだ流体を、パッキン97を介してマイクロチップ1の流体注入部110からマイクロチップ1内に形成された微細流路に注入する。パッキン97はポンプユニット92とマイクロチップ1の間に挟まれ、ポンプ62の流体出口とパッキン97の開口部と流体注入部110とは連通している。このように、ポンプ62から、連通しているパッキン97を介して流体注入部110より流体を注入する。
【0047】
流体タンク91a、91bの内部には、図3、図4には図示せぬタンク状態検知部181a、181bがそれぞれ備えられている。タンク状態検知部181a、181bは流体の温度を検知する温度センサと、流体の残量を検知する残量センサを備えている。
【0048】
また、筐体82の内部には内部温度を検知する内部温度センサ182(図3、図4には図示せず)、内部の照度を検知する内部照度センサ183(図3、図4には図示せず)が配置されている。
【0049】
次にポンプユニット92について図5を用いて説明する。
【0050】
図5は、本発明の実施形態におけるポンプユニット92の構成の一例を示す説明図である。
【0051】
このポンプユニット92は、シリコン製の基板67と、その上のガラス製の基板68と、その上のガラス製の基板69との3つの基板から構成されている。基板67と基板68は陽極結合、基板68と基板69は接着や融着によって接合されている。
【0052】
シリコン製の基板67と、その上に陽極接合によって貼り合わされたガラス製の基板68との間の内部空間によってポンプ62(ピエゾポンプ)が構成されている。ポンプ62の駆動源は一例として圧電素子であり、内部の加圧室の体積を変化させることにより図5の左から右方向に送液する。
【0053】
ポンプ62の上流側は基板67に設けられた流路から基板68の貫通孔66aを介して、ガラス製の基板に設けられた開口64に連通されている。開口64は、パッキン96を介して流体タンク91に接続されていて、流体タンク91に充填された流体を吸い込むようになっている。
【0054】
基板69には、流路70がパターンニングされている。一例として、流路70の寸法および形状は、幅が150μm程度、深さが300μm程度の断面矩形状である。流路70の下流側には開口65が設けられ、ポンプ62によって流路70を通って送液される。パッキン97には、パッキン97とポンプユニット92が密着したときの開口の位置に合わせて開口が設けられている。また、パッキン97の開口は、パッキン97がマイクロチップ1と密着したときの流体注入部110の位置に合わせて設けられているので、各ポンプ62によって流体注入部110に流体を注入することができる。
【0055】
図6は、本発明の第1の実施形態における検査装置80の回路ブロック図である。
【0056】
制御部99は、CPU98(中央処理装置)とRAM97(Random Access Memory)、ROM96(Read Only Memory)等から構成され、不揮発性の記憶部であるROM96に記憶されているプログラムをRAM97に読み出し、当該プログラムに従って検査装置80の各部を集中制御する。
【0057】
以下、いままでに説明した機能と同一機能を有する機能ブロックには同番号を付し、説明を省略する。
【0058】
制御部99のCPU98は第1検査処理部X、第2検査処理部Yを含む検査装置80の状態を検知し、タッチパネル84に表示する。例えば、タンク状態検知部181a、181bの検知した情報に基づいて流体の温度と残量を表示し、温度調節ユニット152a、152bの検知した情報に基づいてマイクロチップ1a、1bの各部の温度を表示する。
【0059】
また、制御部99のCPU98は共通する情報として内部照度センサ183の検知した内部の照度情報と、内部温度センサ183が検知した温度情報と、開閉センサ184が検知した筐体の開閉情報をタッチパネル84に表示する。
【0060】
チップ検知部95はマイクロチップ1が規制部材に当接すると検知信号をCPU98に送信する。位置制御部411は検知信号を受信すると、機構駆動部32に指令して駆動部材303を駆動し、所定の手順でマイクロチップ1と温度調整ユニット152を下降または上昇させ流体注入部110とポンプ62が連通する所定の位置に固定する。第1の実施形態では2つのチップ検知部95a、95bと2つの位置制御部411a、411bと機構駆動部32a、32bを備え、それぞれ独立して機能する。
【0061】
ポンプ駆動部500は各ポンプ62の圧電素子を駆動する駆動部である。ポンプ駆動制御部412はプログラムに基づいて、所定量の流体を注入または吸入するようにポンプ駆動部500を制御する。ポンプ駆動部500はポンプ駆動制御部412の指令を受けて、圧電素子を駆動する。本実施形態では2つのポンプ駆動制御部412a、412bと2つのポンプ駆動部500a、500bを備え、それぞれ独立して機能する。
【0062】
CPU98は所定のシーケンスで検査を行い、検査結果をRAM97に記憶する。発光部160は検出部19に光を照射し、光量算出部410は受光部161の出力する電気信号から光量を算出し検査結果とする。本実施形態では、図3のように光検出部163aと光検出部163bをそれぞれ検出部19a、19bに対応する位置に配設した場合について説明するが、一組の光検出部163を移動機構により検出部19a、19bに対応する位置に移動させて測定しても良い。
【0063】
検査結果は、タッチパネル84の操作によりメモリカード501に記憶したり、プリンタ503によってプリントすることができる。
【0064】
このように、検査装置80は複数のマイクロチップ1を収納し、それぞれのマイクロチップ1内の試薬と検体を反応させるために必要な検査処理手段を備えているので、複数の検体を効率よく検査をすることができる。
【0065】
なお、チップ検知部95は必須ではなく、例えばマイクロチップ1を挿入後、検査担当者が操作することにより検査を開始するようにしても良い。
【0066】
図7、図8はタッチパネル84に表示するGUI(Graphic User Interface)60の第1の実施形態である。図7はタッチパネル84に表示されているタブ40aを操作することにより第1検査処理部Xの詳細データを表示した例である。図8はタッチパネル84に表示されているタブ40bを操作することにより第2検査処理部Yの詳細データを表示した例である。
【0067】
以下、図7を用いてGUI60の各部の機能について説明する。なお、同一機能のデータには同番号を付し、番号の後にa、bを付けて第1検査処理部Xのデータと第2検査処理部Yのデータを区別する。
【0068】
40はタブ、41は検査名称、42は検体識別番号、43は検査結果保存ファイル名、44は検査経過時間と検査所要時間であり、図7に示す棒グラフは検査経過時間を示している。45は状態表示であり、検査処理部の各部が正常に動作しているか、否か、を色を変えて表示している。例えば、流体タンク91やポンプ62、マイクロチップ1が正常動作のとき対応する部分を青色で表示し、検査処理部のロックが外れている場合は対応する部分を橙色で表示する。
【0069】
38はスタートボタン、39はストップボタンであり、スタートボタン38の部分のタッチパネル84に触れることにより検査が開始し、ストップボタン39の部分のタッチパネル84に触れることにより検査が終了する。なお、スタートボタン38とストップボタン39は何れか一方だけがアクティブであり、検査が行われていないときはスタートボタン38がアクティブ、検査中はストップボタン39がアクティブである。スタートボタン38、ストップボタン39は本発明の操作ボタン、タブ40は本発明の選択部である。
【0070】
検査名称41、検体識別番号42、検査結果保存ファイル名43、検査経過時間と検査所要時間44、状態表示45、スタートボタン38、ストップボタン39は、第1検査処理部X、第2検査処理部Yで検査を行う上で主要なデータと操作ボタンである。図7ではGUI60の左側に第1検査処理部Xの主要なデータと操作ボタンを、GUI60の右側に第2検査処理部Yの主要なデータと操作ボタンを表示している。
【0071】
また、GUI60の真ん中の列には第1検査処理部Xの詳細なデータを表示している。46は流体タンク91の詳細な状態の表示であり、流体の温度、残量のデータを表示している。47はポンプ62の詳細な状態の表示であり、選択したポンプ62の圧力を表示する。48はマイクロチップ1の詳細な状態の表示であり、各部の温度を表示する。49は各検査処理部の使用回数を表示する。
【0072】
以上が詳細データの例である。
【0073】
GUI60の下部には検査装置80に共通する状態を示すデータと操作ボタンが表示される。50は検査装置80の内部温度データであり、51は検査装置80の内部照度データである。52は電源、53はモータ、54はネットワーク、55はプリンタが正常に動作しているか、否か、を色を変えて表示している。56はメインテナンスボタンであり、メインテナンスボタン56に触れると検査装置80はメインテナンスモードに移行する。57は年月日、58は時刻の表示である。
【0074】
以上が共通データの例である。
【0075】
図8は第2検査処理部Yの詳細データを表示した場合である。タブ40bに触れると、図8に示すようにGUI60の真ん中の列に第2検査処理部Yの主要なデータと操作ボタンが表示され、右側の列には詳細データが表示される。タブ40aに触れると、図7の表示に戻る。
【0076】
このように、限られた大きさのタッチパネル84上のGUI60に、第1検査処理部X、第2検査処理部Yの各部の状態とスタートボタン38、ストップボタン39を表示している。スタートボタン38、ストップボタン39に触れることにより、第1検査処理部Xまたは第2検査処理部Yによる検査を容易に開始したり終了することができる。また、第1検査処理部X、第2検査処理部Yの各部の主要なデータは常に表示されており、必要に応じてそれぞれの詳細データを表示できるので各部の状態確認が容易である。
【0077】
図9、図10は、図7、図8より小さいタッチパネル84に表示する場合のGUI60の第2の実施形態である。図9は第1検査処理部Xと第2検査処理部Yの主要なデータと操作ボタンを表示した例である。図10はタッチパネル84に表示されているタブ40aを操作することにより第1検査処理部Xの主要なデータ、操作ボタンと詳細データを表示した例である。
【0078】
40cは図9の表示に戻るためのタブであり、図10のタブ40cに触れると図9のように第1検査処理部Xと第2検査処理部Yの主要なデータと操作ボタンを表示する。同様にタブ40bに触れると、第2検査処理部Yの主要なデータ、操作ボタンと詳細データを表示できる。
【0079】
このように、小さいタッチパネル84でも第1検査処理部Xと第2検査処理部Yの主要なデータと操作ボタンを表示し、必要に応じて詳細データも表示することができる。
【0080】
なお、本実施形態では検査処理部が2つの例について説明したが、3つ以上の場合でも同様に表示することができる。
【0081】
次に、GUI60に表示するデータを作成する手順について説明する。
【0082】
図11は本発明の実施形態において、制御部99が検査装置80の状態を検知する手順を説明するフローチャートである。
【0083】
フローチャートにしたがって状態検知ルーチンを説明する。状態検知ルーチンは、タイマー割り込みにより一定周期で実行される。
【0084】
S101:共通部分の状態を検知するステップである。
【0085】
制御部99は、内部照度センサ183、内部温度センサ182から内部温度データ50、内部照度データ51を取得する。制御部99は、電源、モータ300、ネットワーク、プリンタ503の状態を検知する。
【0086】
S102:第1検査処理部Xの状態を検知するステップである。
【0087】
制御部99は、タンク状態検知部181aから流体の温度と残量のデータを、温度調整ユニット152aからマイクロチップ1aの各部の温度データを取得する。また、ポンプ駆動部500aに設定されている各ポンプ62の圧力のデータを取得する。
【0088】
S103:第2検査処理部Yの状態を検知するステップである。
【0089】
制御部99は、タンク状態検知部181bから流体の温度と残量のデータを、温度調整ユニット152bからマイクロチップ1bの各部の温度データを取得する。また、ポンプ駆動部500bに設定されている各ポンプ62の圧力のデータを取得する。
【0090】
S104:共通部分データを作成するステップである。
【0091】
制御部99は、ステップS101で検知した結果に基づいて、電源、モータ300、ネットワーク、プリンタ503が正常に動作しているか、否か、を判定し、RAM97の所定エリアに記憶する。内部温度データ50、内部照度データ51、年月日、時刻もRAM97の所定エリアに記憶する。
【0092】
S105:第1検査処理部Xのデータを作成するステップである。
【0093】
制御部99は、ステップS102で取得した流体の温度と残量のデータとマイクロチップ1aの各部の温度データ、各ポンプ62の圧力のデータをそれぞれ所定レベルと比較し、正常に動作しているか、否か、を判定する。判定結果は元のデータとともにRAM97の表示用データエリアに記憶する。また制御部99は、CPU98の内部タイマーから検査経過時間と検査所要時間のデータとRAM97に記憶されている検査名称、検体識別番号、検査結果保存ファイル名のデータを読み出してRAM97の表示用データエリアに記憶する。
【0094】
S106:第2検査処理部Yのデータを作成するステップである。
【0095】
制御部99は、ステップS102で取得した流体の温度と残量のデータとマイクロチップ1bの各部の温度データ、各ポンプ62の圧力のデータをそれぞれ所定レベルと比較し、正常に動作しているか、否か、を判定する。判定結果は元のデータとともにRAM97の表示用データエリアに記憶する。また制御部99は、CPU98の内部タイマーから検査経過時間と検査所要時間のデータとRAM97に記憶されている検査名称、検体識別番号、検査結果保存ファイル名のデータを読み出してRAM97の表示用データエリアに記憶する。
【0096】
以上で状態検知ルーチンの処理は終了する。
【0097】
図12は本発明の第1の実施形態において、制御部99がタッチパネル84に表示させる表示データを作成する手順を説明するフローチャートである。
【0098】
図12のフローチャートにしたがって表示ルーチンを説明する。表示ルーチンは、タイマー割り込みにより一定周期で実行される。
【0099】
S202:第1検査処理部X、第2検査処理部Yの何れの詳細表示が選択されているか、判定するステップである。
【0100】
制御部99は、タッチパネル84のタブ40aまたはタブ40bへの入力を検知する。どちらにも触れられていない場合は前回の結果に従う。
【0101】
タブ40aが選択されているとき、第1検査処理部Xの詳細表示が選択されていると判定し、ステップS203に進む。
【0102】
タブ40bが選択されているとき、第2検査処理部Yの詳細表示が選択されていると判定し、ステップS204に進む。
【0103】
S203:表示用画面データを作成するステップである。
【0104】
制御部99は、第1検査処理部Xの主要なデータと詳細データ、第2検査処理部Yの主要なデータを含む表示用画面データを作成し一時記憶する。
【0105】
S204:表示用画面データを作成するステップである。
【0106】
制御部99は、第1検査処理部Xの主要なデータ、第2検査処理部Yの主要なデータと詳細データを含む表示用画面データを作成し一時記憶する。
【0107】
S205:表示用画面データをタッチパネル84に表示させるステップである。
【0108】
制御部99は、表示用画面データをタッチパネル84に送信し、表示させる。
【0109】
以上で表示ルーチンは終了である。
【0110】
次にGUI60の操作ボタンによる入力を処理する入力処理ルーチンについて説明する。図13は本発明の第1の実施形態において、制御部99がGUI60の操作ボタンによる入力を処理する手順を説明するフローチャートである。
【0111】
図13のフローチャートにしたがって入力処理ルーチンを説明する。入力処理ルーチンは、タイマー割り込みにより一定周期で実行される。
【0112】
S303:メインテナンスボタン56が選択されているか、否か、判定するステップである。
【0113】
制御部99は、タッチパネル84のメインテナンスボタン56への入力を検知する。
【0114】
メインテナンスボタン56が選択されているとき、ステップS310に進む。
【0115】
S310:メインテナンスモードの処理ルーチンをコールするステップである。
【0116】
制御部99は、メインテナンスモードの処理ルーチンをコールし入力処理ルーチンを終了する。メインテナンスモードの処理ルーチンにより所定のメインテナンスを行う。
【0117】
メインテナンスボタン56が選択されていないとき、ステップS304に進む。
【0118】
S304:スタートボタン38aまたはストップボタン39aが選択されているか、否か、判定するステップである。
【0119】
制御部99は、スタートボタン38aまたはストップボタン39aへの入力を検知する。
【0120】
スタートボタン38aが選択されているとき、ステップS306に進む。
【0121】
S306:第1検査処理ルーチンをコールするステップである。
【0122】
制御部99は、第1検査処理部Xの検査処理を行う第1検査処理ルーチンをコールし、ステップS307に進む。
【0123】
ストップボタン39aが選択されているとき、ステップS305に進む。
【0124】
S305:第1検査処理中止ルーチンをコールするステップである。
【0125】
制御部99は、第1検査処理部Xの検査を中止する処理を行う第1検査中止ルーチンをコールし、ステップS307に進む。
【0126】
スタートボタン38、ストップボタン39ともに選択されていないときはステップS307に進む。
【0127】
S307:スタートボタン38bまたはストップボタン39bが選択されているか、否か、判定するステップである。
【0128】
制御部99は、スタートボタン38bまたはストップボタン39bへの入力を検知する。
【0129】
スタートボタン38bが選択されているとき、ステップS309に進む。
【0130】
S309:第2検査処理ルーチンをコールするステップである。
【0131】
制御部99は、第2検査処理部Yの検査処理を行う第2検査処理ルーチンをコールし、入力処理を終了する。
【0132】
ストップボタン39bが選択されているとき、ステップS308に進む。
【0133】
S308:第2検査処理中止ルーチンをコールするステップである。
【0134】
制御部99は、第2検査処理部Yの検査を中止する処理を行う第2検査中止ルーチンをコールし、入力処理を終了する。
【0135】
スタートボタン38、ストップボタン39ともに選択されていないときは入力処理を終了する。
【0136】
このように複数の検査処理の操作をタッチパネル84に表示されるGUI60により容易に行うことができる。
【0137】
入力処理ルーチンの説明は以上である。
【0138】
以上このように、本発明によれば、複数の検査処理の操作が容易で各部の状態が確認しやすい小型の検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の第1の実施形態における検査装置80の外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係わるマイクロチップ1の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における検査装置80の内部構成の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係わる検査装置80の内部構成の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係わるポンプユニット92の内部構成の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における検査装置80の回路ブロック図である。
【図7】タッチパネル84に表示するGUI60の第1の実施形態である。
【図8】タッチパネル84に表示するGUI60の第1の実施形態である。
【図9】タッチパネル84に表示するGUI60の第2の実施形態である。
【図10】タッチパネル84に表示するGUI60の第2の実施形態である。
【図11】状態検知ルーチンを説明するフローチャートである。
【図12】表示ルーチンを説明するフローチャートである。
【図13】入力処理ルーチンを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0140】
1 マイクロチップ
19 検出部
60 GUI
62 ポンプ
80 検査装置
82 筐体
83 挿入口
84 タッチパネル
91 流体タンク
92 ポンプユニット
96 パッキン
97 パッキン
110 流体注入部
152 温度調節ユニット
160 発光部
161 受光部
300 トレイ
301 送りネジ
302 モータ
303 駆動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査処理手段を有する検査装置において、
複数の前記検査処理手段を制御する制御手段と、
複数の前記検査処理手段の状態と前記検査処理手段を個別に操作する複数の操作ボタンを一つの画面に表示し、該操作ボタンへの入力を検知するタッチパネルと、
を有し、
前記制御手段は、前記タッチパネルが検知した前記操作ボタンへの入力に基づいて前記検査処理手段を制御することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記タッチパネルは、前記検査処理手段を選択する選択部を有し、
前記制御手段は、
前記タッチパネルからの前記選択部の選択操作情報に基づいて、前記検査処理手段の状態と前記操作ボタンを前記タッチパネルに表示することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記タッチパネルに表示する画面データを予め複数の前記検査処理手段毎に作成し、
前記選択部により選択された前記検査処理手段の画面データを、前記選択部により選択されなかった前記検査処理手段の画面データより多く前記タッチパネルに表示することを特徴とする請求項2に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−58352(P2009−58352A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225530(P2007−225530)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】