説明

検眼装置

【課題】被検眼に対する合焦精度が粗くとも一方の眼の眼特性の測定実行後、他方の眼を迅速に捕捉することのできる検眼装置を提供する。
【解決手段】一方の眼、左眼の測定終了後に前眼部像が取得されるようにCCD44を制御すると共に左眼から右眼に向かう方向に装置本体が移動されるように駆動部30を制御する制御演算部110と、CCD44に結像された前眼部像を表示するディスプレイ部13とを備え、制御演算部110は、CCD44の左右方向の縦辺部に存在する画素列と両縦辺部の中央に存在する縦方向の画素列との間の縦列領域に存在する画素を抽出する抽出部110Aと、抽出部により抽出された画素の輝度を積算する輝度値積算部110Bと、輝度値積算部による積算を装置本体の移動中に行って輝度の変化を判断することにより右眼がCCD44に受像されたか否かを判断する判断部110Cとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の両眼検査の効率化を図ることのできる検眼装置(眼科装置)の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検眼の眼屈折力や眼圧を測定する検眼装置には、装置本体を前後左右上下方向に駆動する駆動部と、被検眼に対して装置本体を自動的にアライメントするアライメント部と、装置本体のベースに対する左右方向器械中心位置を検出する検出センサとを備え、右眼と左眼とのいずれか一方の眼特性の測定実行後、他方の眼の眼特性の測定を行うために、装置本体をいずれか一方の眼の眼特性を測定した位置からいずれか他方の眼の眼特性を測定する位置に向かって駆動して、装置本体の主光軸が自動的にアライメントされるようにしたものが知られている。
【0003】
この従来の検眼装置では、装置本体を測定しようとする一方の眼に向けて移動させ、装置本体の被検眼に対するオートアライメントを実行し、一方の眼の眼特性の測定実行後、他方の眼に向けて装置本体を駆動するに際し、装置本体のベースに対する左右方向器械中心位置から一方の眼までの装置本体の移動距離を検出した後、他方の眼の眼特性の測定に移行するために、一方の眼の眼特性を測定する位置から装置本体をこの移動距離の2倍の移動距離に達するまで移動させ、その装置本体がその2倍の移動距離に達した位置から、被検眼に対する装置本体のオートアライメントを実行するようにしている。
【0004】
この従来の眼科装置では、図1(a)、図1(b)に示すように、被験者の顔1が装置本体に対して真っ直ぐ向けられ、かつ、左右の眼ER、ELが装置本体の左右方向器械中心位置Oに対して等距離にある場合、例えば、左右方向器械中心位置Oから距離L1だけ一方の眼としての右眼ERに移動させて右眼ERの眼特性の測定を行い、他方の眼としての左眼ELの眼特性の測定に移行するために、一方の眼の眼特性を測定した位置から装置本体をこの移動距離の2倍の移動距離2L1に達する位置まで移動させると、他方の眼の角膜中心位置の近傍に装置本体の主光軸O1が位置することになるので、一方の眼の眼特性の測定から他方の眼の眼特性の測定までの一連の作業を迅速に行うことができる。
【0005】
これに対して、図2(a)、図2(b)に示すように、被験者の顔1の額が額当て2に対して斜めに当たり、顔1が装置本体に対して斜めに傾いている場合、右眼ERから左右方向器械中心位置Oまでの距離L2と左眼ELから左右方向器械中心位置Oまでの距離L3とが異なることになる。
【0006】
このため、単に、他方の眼の眼特性の測定に移行するために、一方の眼の眼特性を測定した位置から装置本体をその移動距離の2倍の移動距離2L2だけ移動させることにしたのでは、左右方向器械中心位置Oが被験者の他方の眼の角膜頂点から大きくずれることがあり、一方の眼の眼特性の測定から他方の眼の眼特性の測定までの一連の作業を迅速に行うことができないことになる。
【0007】
また、図3(a)、図3(b)に示すように、左右方向器械中心位置(額当て2の左右方向中心位置O’)Oに対して一方の眼の側に偏って顔1の額が当て付けられている場合にも、一方の眼の眼特性の測定から他方の眼の眼特性の測定までの一連の作業を迅速に行うことができないという事態が生じ得ることになる。
【0008】
このような場合には、やむなく、検者がコントロールレバーを操作して、前眼部を観察しつつ測定しようとする眼の角膜中心近傍に大まかに合わせて、その後、オートアライメントを実行させるようにしていた。なお、図1ないし図3において、符号EPは瞳孔を示す。
【0009】
そこで、装置本体のベースに対する左右方向器械中心位置Oを検出する検出センサを備え、一方の眼の眼特性の測定終了後にこの一方の眼の眼特性を測定した位置から左右方向器械中心位置Oに向かって装置本体を移動させ、検出センサの検出と同時に被検者の前眼部像を取得して虹彩の縁を検知する構成の検眼装置が提案されている。
【0010】
このものでは、装置本体の虹彩の縁から他方の眼の角膜中心に向かう方向に眼科装置本体を所定距離移動させ、その後、アライメント手段によるアライメントを実行する構成であり、一方の眼の眼特性の測定から、他方の眼の眼特性の測定までの一連の作業を自動的に迅速に行うことができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−131286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、この従来の検眼装置では、虹彩の縁、すなわち、瞳孔EPの縁を検出しなければならないために、被検眼に対する装置本体が合焦していない場合には、虹彩の縁を精確に検出できず、被検眼に対する装置本体の合焦精度を厳しく要求されるという問題がある。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、被検眼に対する合焦精度が粗くとも一方の眼の眼特性の測定実行後、他方の眼を迅速に捕捉することのできる検眼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る検眼装置は、 前眼部に対して装置本体を前後左右上下方向に駆動する駆動部と、前記装置本体を被検眼に対して自動的にアライメントするアライメント部と、前眼部像が結像される二次元固体撮像素子を有する観察光学系部と、左右の被検眼のうち一方の眼の眼特性の測定終了後に前記前眼部像が取得されるように前記二次元固体撮像素子を制御すると共に一方の眼から他方の眼に向かう左右方向に前記装置本体が移動されるように前記駆動部を制御する制御演算部と、前記二次元固体撮像素子に結像された前眼部像を表示するモニタ部とを備え、
該制御演算部は、前記被検眼の左右方向に対応する前記二次元撮像素子の左右方向の縦辺部に存在する画素列と該左右方向の両縦辺部の中央に存在する縦方向の画素列との間の縦列領域に存在する複数個の縦列の画素を抽出する抽出部と、該抽出部により抽出された画素の輝度を積算する輝度値積算部と、該輝度値積算部による積算を前記装置本体の移動中に行って輝度の変化を判断することにより他方の眼が前記二次元撮像素子に受像されたか否かを判断する判断部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被検眼に対する合焦精度が粗くとも一方の眼の眼特性の測定実行後、他方の眼を迅速に捕捉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、従来の検眼装置の測定の一例を説明するための図であって、(a)は被検者の顔が額当てに正しく当っている状態を真上から見た図であり、(b)は被検者の顔が額当てに正しく当っている状態を正面から見た図である。
【図2】図2は、従来の検眼装置の測定の不具合の一例を説明するための図であって、(a)は被検者の顔が額当てに斜めに当っている状態を真上から見た図であり、(b)は被検者の顔が額当てに斜めに当っている状態を正面から見た図である。
【図3】図3は、従来の検眼装置の測定の不具合の他の例を説明するための図であって、(a)は被検者の顔が額当ての中心に対して横にずれている状態を真上から見た図であり、(b)は被検者の顔が額当ての中心に対して横にずれている状態を正面から見た図である。
【図4】図4は、本発明の実施例に係わる検眼装置の外観の一例を示す図である。
【図5】図5は、図4に示すベース内に配置されている駆動機構の一例を示す図である。
【図6】図6は、図4に示す検眼装置の模式図である。
【図7】図7は、図6に示す眼屈折力部の光学系の一例を示す図である。
【図8】図8は、図6に示す信号処理部の一例を示すブロック図である。
【図9】図9は、図7に示す撮像装置の受像面を模式的に示す説明図である。
【図10】図10は、装置本体を一方の眼から他方の眼に向けて移動させる際に撮像素子に取得される前眼部像の変化を説明する説明図である。
【図11】図11は、図9に示す縦列領域に存在する画素によって得られた平均輝度値が装置本体の一方の眼から他方の眼に向けての移動によって変化する状態を示す説明図である。
【図12】図12は、図9に示す縦列領域を行方向に5分割した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
図4は、本発明の実施例に係わる検眼装置の外観図である。この図4において、符号10は検眼装置を示す。この検眼装置10は、ベース11、装置本体としての測定ヘッド12、モニタ部としての液晶ディスプレイ13、コントロールレバー14、測定スイッチ15、顎受け16、額当て17を有する。その液晶ディスプレイ13は検者の側に設けられ、顎受け16、額当て17は被検者の側に設けられている。
【0018】
被検者は、顎を顎受け16に載せ、額当て17に額を当接させた状態で検査を受ける。測定ヘッド12は、ベース11に対して上下方向(Y方向)・前後方向(Z方向)・左右方向(X方向)に移動可能な構成とされている。測定ヘッド12の駆動は後述する駆動機構によって行われる。
【0019】
液晶ディスプレイ13には、被検眼の前眼部像等の画像が表示される。また、検査結果等も表示される。コントロールレバー14は測定ヘッド12を手動で駆動するときに用いられる。なお、液晶ディスプレイ13をタッチパネル式の構成として、コントロールレバー14を設けない構成とすることもできる。
駆動機構はベース11内に設けられている。その駆動機構は図5に示すように底板20を有する。底板20はベース11に固定され、底板20には支持部21が設けられている。
【0020】
支持部21は中空部を有し、この中空部には支柱22が配設されている。また、底板20には駆動モータ(駆動部)23が固定されている。駆動モータ23は図示を略す駆動力伝達機構を介して支柱22を上下方向に駆動する。支柱22にはステージ24が固着されている。ステージ24は支柱22と共に上下動される。
【0021】
ステージ24には一対の前後方向レール25が設けられている。前後方向レール25にはステージ26が設けられている。ステージ24には駆動モータ(駆動部)27が設けられている。駆動モータ27は、図示を略す駆動力伝達機構を介して駆動力をステージ26に伝達し、これにより、ステージ26は被検者に対して前後方向(Z方向)に駆動される。
【0022】
ステージ26にはベース11に対するステージ29の左右方向器械中心位置Oを検出する検出センサSOが設けられている。この検出センサSOは例えばフォトカプラから構成されている。この検出センサSOは、装置本体を初期位置にセットする役割を果たす。
【0023】
ステージ26には左右方向レール28が設けられている。左右方向レール28にはステージ29が設けられている。ステージ26には駆動モータ(駆動部)30が設けられている。駆動モータ30は、図示を略す駆動力伝達機構を介して駆動力をステージ29に伝達する。これにより、ステージ29は被検者に対して左右方向に駆動される。
【0024】
測定ヘッド12には、図6に模式的に示すように、眼屈折力測定部12Aと眼圧測定部12Bとが設けられている。眼屈折力測定部12Aは、被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)を測定する際に用いられる。眼圧測定部12Bは、被検眼Eの眼圧を測定する際に用いられる。眼屈折力測定部12Aは、例えば、眼圧測定部12Bの上部に設けられている。
【0025】
(眼屈折力測定部12Aの構成)
眼屈折力測定部12Aは、図7に示す光学系を有する。この光学系は図示を略すケース内にコンパクトにまとめて配置されている。
【0026】
その図7において、41は被検眼Eを固視・雲霧させるために視標を眼底Erに投影する固視標投影光学系、42は被検眼Eの前眼部Efを観察する観察光学系部、43は照準スケールを二次元固体撮像素子としてのCCD44に投影するスケール投影光学系、45は被検眼Eの屈折力を測定するためのパターン光束を眼底Erに投影するパターン光束投影光学系、46は眼底Erから反射された光束をCCD44に受光させる受光光学系、47は光軸と垂直な方向のアライメント状態を検出するための指標光を被検眼に向けて投影するアライメント光投影系、48は被検眼Eと装置本体(測定ヘッド12)との間の作動距離を検出するための作動距離検出光学系、49は信号処理部である。
【0027】
なお、パターン光束投影光学系45、受光光学系46は、眼屈折力測定光学系を構成している。
固視標投影光学系41は、光源51、コリメータレンズ52、指標板53、リレーレンズ54、ミラー55、リレーレンズ56、ダイクロイックミラー57、ダイクロイックミラー58、対物レンズ59を備えている。
【0028】
光源51から出射された可視光は、コリメータレンズ52によって平行光束とされた後、指標板53を透過する。指標板53には、被検眼Eを固視・雲霧させるためのターゲットが設けられている。
【0029】
そのターゲット光束は、リレーレンズ54を透過してミラー55により反射され、リレーレンズ56を経てダイクロイックミラー57に導かれかつこのミラー55により反射されて光学系の主光軸O1に導かれ、ダイクロイックミラー58を透過した後、対物レンズ59を経て被検眼Eに導かれる。
【0030】
光源51、コリメータレンズ52、指標板53は、指標ユニットU10を構成し、指標ユニットU10は、被検眼Eを固視・雲霧させるために、駆動モータPM1によって、固視標投影光学系41の光軸O2に沿って一体に移動可能とされている。
【0031】
観察光学系部42は、照明光源61、対物レンズ59、ダイクロイックミラー58、絞り61’を有するリレーレンズ62、ミラー63、リレーレンズ64、ダイクロイックミラー65、結像レンズ66、二次元固体撮像素子としてのCCD44を有する。
【0032】
照明光源61から出射された照明光束は、被検眼Eの前眼部Efを照明する。前眼部Efで反射された照明光束は、対物レンズ59を経てダイクロイックミラー58に反射され、リレーレンズ62の絞り61’を通過し、ミラー63により反射された後、リレーレンズ64、ダイクロイックミラー65を透過して、結像レンズ66によりCCD44に導かれ、CCD44の撮像面に後述する前眼部像が形成される。
【0033】
スケール投影光学系43は、光源71、照準スケールを有するコリメータレンズ72、リレーレンズ73、ダイクロイックミラー58、絞り61’を有するリレーレンズ62、ミラー63、リレーレンズ64、ダイクロイックミラー65、結像レンズ66、CCD44を有する。
【0034】
光源71から出射された光束は、コリメータレンズ72を透過する際に平行光束とされ、リレーレンズ73、ダイクロイックミラー58、絞り61’を有するリレーレンズ62を経てミラー63により反射され、このリレーレンズ64、ダイクロイックミラー65を経て結像レンズ66によってCCD44に結像される。
【0035】
CCD44からの映像信号は、信号処理部49を介して液晶ディスプレイ13に入力され、液晶ディスプレイ13に前眼部像Ef’が表示されると共にアライメントマークALM1、ALM2が表示される。なお、アライメント完了後の屈折力測定時には、光源61、71は消灯される。
【0036】
パターン光束投影光学系45は、光源81、コリメータレンズ82、円錐プリズム83、リング指標板84、リレーレンズ85、ミラー86、リレーレンズ87、穴空きプリズム88、ダイクロイックミラー57、ダイクロイックミラー58、対物レンズ59を備えている。
【0037】
光源81とリング指標板84とは光学的に共役であり、リング指標板84と被検眼Eの瞳孔EPとは光学的に共役な位置に配置されている。また、光源81、コリメータレンズ82、円錐プリズム83、リング指標板84は、指標ユニットU40を構成し、この指標ユニットU40は、駆動モータPM2により光軸O3に沿って進退駆動される。
【0038】
光源81から出射された光束は、コリメータレンズ82によって平行光束とされ、円錐プリズム83を透過してリング指標板84に導かれる。このリング指標板84に形成されたリング状のパターン部分を透過してパターン光束となる。
【0039】
このパターン光束は、リレーレンズ85を透過した後、ミラー86により反射され、リレーレンズ87を透過して穴空きプリズム88の反射面によって反射され、主光軸Olに沿つてダイクロイックミラー57に導かれ、このダイクロイックミラー57、58を透過した後、対物レンズ59により眼底Erに結像される。
【0040】
受光光学系46は、対物レンズ59、ダイクロイックミラー58、57、穴空きプリズム88の穴部88a、リレーレンズ91、ミラー92、リレーレンズ93、ミラー94、合焦レンズ95、ミラー96、ダイクロイックミラー65、結像レンズ66、CCD44を有する。合焦レンズ95は、指標ユニットU40と連動して、光軸O4に沿って移動可能とされている。
【0041】
パターン光束投影光学系45によつて眼底Erに導かれかつこの眼底Erで反射された反射光束は、対物レンズ59により集光され、ダイクロイックミラー58、57を透過し、穴空きプリズム88の穴部88aへと導かれ、この穴部88aを通過する。
【0042】
この穴部88aを通過したパターン反射光束は、リレーレンズ91を透過してミラー92によって反射され、リレーレンズ93を透過してミラー94により反射され、合焦レンズ95を透過してミラー96、ダイクロイックミラー65により反射され、結像レンズ66によってCCD44に導かれる。これにより、CCD44にパターン像が結像される。
【0043】
アライメント光投影系47は、LED101、ピンホール102、コリメータレンズ103、ハーフミラー104を備え、被検眼Eの角膜Cに向けてアライメント指標光束を投影することにより被検眼Eに対して装置本体を自動的にアライメントするアライメント部としての機能を有する。
【0044】
被検眼Eに向けて平行光として投影されたアライメント指標光束は、被検眼Eの角膜Cにおいて反射され、観察光学系部42によりCCD44上にアライメント指標像Tが投影される。アライメント指標像TがアライメントマークALM1内に位置すると、アライメント完了と判断される。
【0045】
作動距離検出光学系48は、被検眼Eと装置本体(測定ヘッド12)との間の作動距離を検出するアライメント部としての機能を有する。この作動距離検出光学系48は、有限距離から指標を投影する有限距離指標投影系102R、102Lをそれぞれ主光軸O1に関して左右対称に有する。有限距離から指標を投影する有限距離指標投影系102R、102Lは光源102aからの光束を指標光束として被検眼Eに左右の斜めから投影する。
【0046】
これらの2つの有限距離指標投影系102R、102Lからの指標光束は、被検眼Eの角膜Cで反射されて、観察光学系部42によりCCD44上に結像される。信号処理部49は、このCCD44からの出力に基づいて、有限距離指標投影系102R、102Lからの指標光束による指標像102R’、102L’が液晶ディスプレイ13に表示される。
【0047】
なお、CCD44上には指標像’102R’、102L’と同じ指標像が結像されている。これらの指標像がCCD44上で一定の位置関係になった場合、作動距離が測定に適した距離WOになったと検出される。また、なお、図7において、符号CPは角膜頂点を示す。
【0048】
信号処理部49は、図8に示すように、制御演算部110、A/D変換器112、フレームメモリ113、D/A変換器114、D/A変換器115とからなる。この制御演算部110は、CPU、ROM、RAM、入出力回路、コントロール回路等(図示せず)を有する。
【0049】
制御演算部110は、フレームメモリ113、A/D変換器112を介してCCD44に接続されていると共に、D/A変換器115を介して液晶ディスプレイ13に接続されている。CCD44は、A/D変換器112、フレームメモリ113、D/A変換器114を介して液晶ディスプレイ13に接続されている。
【0050】
その制御演算部110は、また、パルスモータPM1、PM2を駆動制御すると共に、駆動モータ23、27、30を駆動制御する。これにより、装置本体(測定ヘッド)がX、Y、Z方向に駆動される。また、制御演算部110は、各種光源51、61、71、81、102a、LED101の点灯制御を行うため、図示を略すドライバに接続されている。
【0051】
制御演算部110は、眼特性の演算を実行すると共に、左右の被検眼のうち一方の眼の眼特性の測定終了後に前眼部像Efが取得されるようにCCD44を制御すると共に一方の眼から他方の眼に向かう左右方向に装置本体が移動されるように駆動モータ(駆動部)23,27、30を制御する機能を有する。なお、制御演算部110による演算結果等はRAM(図示を略す)に記憶される。
【0052】
更に、制御演算部110は、CCD44に受光されたアライメント指標像T、指標像102R’、102L’の受光位置を演算し、この演算結果に基づき、主光軸O1と被検眼Eの光軸との間のズレ量Δxy、適正作動距離WOからのズレ量Δzを演算する。
【0053】
また、制御演算部110は、ズレ量Δxy、Δzが閾値Δxy0、Δz0以下となった場合に、光源81を発光させる駆動信号を出力する。閾値Δxy0、Δz0は信号処理部49のRAM(図示を略す)に記憶されている。すなわち、制御演算部110は被検眼Eに対して装置本体(測定ヘッド12)を自動的にアライメントするアライメント部として機能する。
ここでは、眼屈折力測定部12Aの主光軸O1が被検眼Eに対してアライメントされる。
【0054】
すなわち、電源スイッチがONにされると、制御演算部110は光源61、71、作動距離検出光学系の各光源102aを点灯させる。検者は、図7に示すように、液晶ディスプレイ13に映し出された前眼部像Ef’に基づき、被検眼Eの瞳孔EPがアライメントマークALM2に位置するように、コントロールレバー14を操作する。
【0055】
これにより、概略のアライメントが行なわれる。この概略のアライメントが終了すると、アライメント指標像T、指標像102R’、102L’が液晶ディスプレイ13の画面に映し出される。
この後、アライメント光投影系47、作動距離検出光学系48に基づくアライメント検出が開始される。
【0056】
これにより、装置本体(測定ヘッド12)がX,Y,Z方向に駆動され、自動アライメント調整が開始される。すなわち、装置本体(測定ヘッド12)は、その被検眼Eに対するズレ量Δxy、ΔzがそれぞれΔxy0、Δz0以下となるようにX、Y、Z方向に駆動制御される。これにより、アライメント指標像TがアライメントマークALM1内に位置すると、被検眼Eの角膜Cの頂点に対する自動アライメントが完了する。
【0057】
この自動アライメントが完了すると、被検眼Eが正視眼であると仮定した場合の眼底共役位置にリング指標板84が位置するようにユニットU40が駆動されて光源81が発光される。
【0058】
これにより、被検眼Eの眼底Erに眼屈折力測定用のパターン光束が投影され、その結果、CCD44上にパターン像が結像される。CCD44からの映像信号は、A/D変換器112によりデジタル値に変換され、フレームメモリ113に記憶される。制御演算部110は、フレームメモリ113に記憶された画像データに基づき、パターン像を2値化処理により抽出する。
【0059】
その結果、眼屈折力としての球面度数、円柱度数、軸角度が周知の手法により測定される。この眼屈折力測定部の構成は特開2002−253506号公報に開示のものと同一であるが、この構成に限られるものではない。
【0060】
ここでは、このようにして、左眼ELの眼屈折力測定の実行が完了されたものとして、本発明に係る制御演算部110の構成について説明する。
制御演算部110は、左眼ELの測定終了後、駆動モータ30を駆動し、自動的に、装置本体(測定ヘッド12)を右方向に駆動しているものとする。
【0061】
制御演算部110は、図8に示すように、抽出部110Aと、輝度値積算部110Bと、判断部110Cとを有する。輝度値積算部110Bは平均化処理部を有する。抽出部110Aは、図9に示すように、被検眼Eの左右方向に対応するCCD44の左右方向の縦辺部44a、44bに存在する画素列と左右方向の両縦辺部44a、44bの中央に存在する縦方向の画素列44cとの間の縦列領域44dに存在する複数個の縦列の画素44gを抽出する機能を有する。
【0062】
輝度値積算部110Bはこの抽出部110Aにより抽出された画素44gの輝度を積算する機能を有する。ここでは、輝度値積算部110Bは画素44gの輝度値を積算した後この輝度値の総和Pを縦列領域44d内の画素数Nで除算することにより、縦列領域44d内に存在する画素44gの平均輝度値MIを算出する。
【0063】
判断部110Cは、この輝度値積算部110Bによる積算を装置本体の移動中に行って輝度の変化を判断することにより他方の眼がCCD44に受像されたか否かを判断する機能を有する。
【0064】
図10には、そのCCD44により受像された前眼部像Ef’が液晶ディスプレイ13に表示されている状態が示されている。その図10は、装置本体を左側の眼を受像している状態から右側の眼を受像する方向に移動させた場合に、液晶ディスプレイ13に映る前眼部像Ef’を示している。この液晶ディスプレイ13に映っている前眼部像Ef’はCCD44に受像される前眼部像Ef’に対応している。
【0065】
その図10において、(a)は左眼ELの眼屈折力測定の実行完了直後に取得された画像を示している。(b)は装置本体を左眼ELの眼屈折力測定完了直後の位置から右眼ERに向けて左右方向に一定量移動させたときに取得される前眼部像Ef’を示している。
【0066】
図10(c)は測量機本体を図10(b)に示す前眼部像Ef’を取得した位置から右眼ERに向けて左右方向に一定量移動させたときに取得される前眼部像Ef’を示し、(d)は測量機本体を(c)に示す前眼部像Ef’を取得した位置から右眼ERに向けて左右方向に一定量移動させたときに取得される前眼部像Ef’を示し、(e)は測量機本体を(c)に示す前眼部像Ef’を取得した位置から右眼ERに向けて左右方向に一定量移動させたときに取得される前眼部像Ef’を示している。
【0067】
左眼ELに対する装置本体のアライメントが合っているので、左眼ELの眼屈折力測定の実行完了直後に取得された画像は合焦状態にあるが、装置本体を左眼ELから右眼ERに向けて移動させるに伴って、装置本体から前眼部Efまでの距離が相対的に変化するので、CCD44に結像する前眼部像Ef’は合焦状態からはずれる。
【0068】
従って、(b)ないし(e)に示すように、前眼部像Efはぼけた状態となる。また、左眼ELから右眼ERに向かって、装置本体を左右方向に移動させるに伴って左眼ELが映っている状態から鼻部分Haが(d)、(e)に示すようにCCD44に受像される状態になる。
【0069】
更に、その図10において、(f)は装置本体を(e)に示す前眼部像Ef’を取得した位置から右眼ERに向けて左右方向に一定量移動させたときに取得される前眼部像Ef’を示し、(g)は装置本体を(f)に示す前眼部像Ef’を取得した位置から右眼ERに向けて左右方向に一定量移動させたときに取得される前眼部像Ef’を示している。
【0070】
図10(h)は装置本体を図10(g)に示す前眼部像Ef’を取得した位置から右眼ERに向けて左右方向に一定量移動させたときに取得される前眼部像Ef’を示し、(i)は装置本体を(h)に示す前眼部像Ef’を取得した位置から右眼ERに向けて左右方向に一定量移動させたときに取得される前眼部像Ef’を示している。
【0071】
図10(j)は装置本体を図10(i)に示す前眼部像Ef’を取得した位置から右眼ERに向けて左右方向に一定量移動させたときに取得される前眼部像Ef’を示し、(k)は装置本体を(j)に示す前眼部像Ef’を取得した位置から右眼ERに向けて左右方向に一定量移動させたときに取得される前眼部像Ef’を示している。
【0072】
その装置本体を鼻部分Haが(e)に示すようにCCD44に受像される状態となっている位置から更に右眼ERに向けて左右方向に一定量移動させると、(f)、(g)に示すように前眼部像Ef’として鼻部分Haがしばらく映っている状態が続き、その後(h)、(i)に示すように、右眼ERの一部がCCD44に受像される状態となった後、(j)、(k)に示すように、右眼ERの略全部がCCD44に受像される状態となる。
【0073】
CCD44に取得される前眼部像Ef’については、CCD44の四隅の画素領域で取得される部分は光量が低く薄暗いものとなる。その理由は、周辺部の前眼部Efにより反射されて観察光学系部42に戻って来る光量が少ないからである。
【0074】
また、図10(a)ないし図10(c)又は図10(h)ないし図10(k)に較べて、図10(d)ないし図10(g)に示すように、全体的に、鼻部分Haが映っている前眼部像Ef’の方が眼が映っている前眼部像Ef’に較べて明るい画像となる。
それは、鼻部分Haが映っている前眼部像Ef’の方が反射光量が大きいからである。
【0075】
制御演算部110は、鼻部分Haからの反射光量を増加させるため、一方の眼の測定終了後でかつ他方の眼の存在する方向に装置本体を移動させる前に、観察光学系部42の照明光源61の光量を増加させる制御を行うのが望ましい。
【0076】
この実施例では、CCD44の縦列領域44d内の画素44gの輝度値を積算して、この輝度値の総和Pを縦列領域44d内の画素数Nで除算して得られた平均輝度値MIを用いて輝度の変化を判断することにより他方の眼がCCD44に受像されたか否かを判断している。
【0077】
また、CCD44の四隅の画素領域44xの画素44gで取得された輝度を除くように設定されているので、装置本体が一方の眼から他方の眼に移動される際に、縦列領域内の輝度値の変化を精確に検出できる。
【0078】
図11は図10(a)ないし(k)に示す前眼部像が得られたときにCCD44の縦列領域44dの平均輝度値MIの変化を示している。
なお、図10には、CCD44の縦列領域44dに対応する画像領域が便宜上符号44d’で示されている。
【0079】
平均輝度値MIは、CCD44に一方の被検眼Eが受像されている状態から鼻部分Haが受像されている状態に移行するに伴って、こきざみに変化しながら上昇する。CCD44に鼻部分Haが受像されている状態が持続している間、平均輝度値MIは、略一定値を維持する。
【0080】
ついで、CCD44に鼻部分Haが受像されている状態から他方の被検眼Eが受像されている状態に移行するに伴って、平均輝度値MIは、こきざみに変化しながら減少する。
判断部110Cは、前回取得された平均輝度値MIと今回取得された平均輝度値MIとの差を演算し、差の絶対値が第1所定値以下か否かを判断する。
【0081】
判断部110Cは、差の絶対値が第1所定値以下の状態が複数回繰り返し得られたとき、最後に取得された平均輝度値MIを最大輝度値MI’と判断する。なお、繰り返し回数は適宜設定できる。
【0082】
ついで、判断部110Cは、最大輝度値MI’と次回に取得された平均輝度値MIとの差を演算し、この差が負でかつこの差の絶対値が第2所定値以上であるか否かを判断する。判断部110Cは、この差が第2所定値以上の場合には、他方の眼の一部がCCD44に受像されたと判断する。
【0083】
第1所定値の大きさは、こきざみな変動を誤って最大値と判断するのを避けるため、第2所定値の大きさよりも小さく設定される。
その一方、第2所定値は、こきざみな変動を誤って他方の眼の一部がCCD44に受像されたと判断するのを避けるため、第1所定値の大きさよりも大きく設定されている。
【0084】
制御演算部110は、判断部110Cが最大輝度値MI’と次回に取得された平均輝度値MIとの差が負でかつこの差の絶対値が第2所定値よりも大きい場合には、装置本体の移動速度を減少させる処理を実行する。
【0085】
この実施例では、制御演算部110は、図10(j)に示す前眼部像Ef’がCCD44に受像されたときに、装置本体の移動速度が減少されるように、駆動部としての駆動モータ30を制御する。
【0086】
すなわち、制御演算部110は、判断部110Cにより平均輝度値MIが上昇から下降に転じる前までの間は、装置本体が一定速度で駆動されるように、かつ、平均輝度値MIが上昇後下降に転じた時には、装置本体の移動速度が減少されるように、駆動部を制御する。
【0087】
装置本体が図10(j)に示す前眼部像Ef’を取得した位置から更に他方の眼が存在する方向に移動されると、CCD44には、図10(k)に示すように、中央に存在する縦方向の画素列44cに概略対応する箇所に、被検眼Eの瞳孔Epの像が受像されることとなる。
【0088】
制御演算部110は、図10(k)に示す前眼部像Ef’の取得前後において、概略アライメントを自動的に開始し、これにより、アライメント指標像T、指標像102R’、102L’が液晶ディスプレイ13の画面に映し出される。
この後、アライメント光投影系47、作動距離検出光学系48に基づくオートアライメント検出が開始される。
【0089】
ここでは、CCD44の縦列領域44dは、両眼のうちいずれか一方の眼が液晶ディスプレイ13に映っている状態から両眼のうちいずれか他方の眼が液晶ディスプレイ13に映る方向に装置本体が駆動される場合に、CCD44の両縦辺部44a、44bうちいずれか他方の眼の画像が最初に映り込む側の縦辺部に近い側に偏らせて設定されているので、他方の被検眼Eの検出スピードの向上を図ることができる。
【0090】
この実施例では、縦列領域44dは、図10に示すように、装置本体を左から右に駆動する場合には、一方の眼としての左眼ELが液晶ディスプレイ13に映っている状態から他方の眼としての右眼ERの画像が最初に映り込む側の縦辺部44aに偏らせて設定されている。
【0091】
また、制御演算部110は、両眼のうちいずれか他方の眼が液晶ディスプレイ13に映っている状態から両眼のうちいずれか一方の眼が液晶ディスプレイ13に映る方向に装置本体が駆動される場合に、CCD44の両縦辺部44a、44bのうちいずれか他方の眼の画像が最初に映り込む側の縦辺部44aに近い側に偏らせて設定されている状態からいずれか一方の眼の画像が最初に写り込む側の縦辺部44bに近い側に偏らせて設定されるように、抽出部110Aを制御する。
【0092】
この実施例では、装置本体を右から左に駆動する場合には、縦列領域44dは、右眼ERの画像が最初に映り込む側の縦辺部44aに近い側に偏らせて設定されている状態から一方の眼の画像が最初に映り込む側の縦辺部44bに近い側に偏らせて設定されるように、抽出部110Aを制御する。
【0093】
この実施例によれば、被検眼Eの瞳孔や虹彩を検出するのではなく、CCD44の所定の縦列領域44dの輝度の変化に基づいて、前眼部像Ef’の被検眼EがCCD44に受像されたか否かを判断するので、被検眼Eの検出スピードの向上を図ることができる。
【0094】
更に、被検眼Eの瞳孔や虹彩を検出する場合には、装置本体を左右方向に移動させる際に、前眼部Efに対してそれなりの合焦精度を要求されるが、この実施例によれば、輝度の変化のみを判断して被検眼EがCCD44に受像されたか否かを判断するので、装置本体を左右方向に移動させる際に、被検眼に対する合焦精度が粗くとも一方の眼の眼特性の測定実行後、他方の眼を迅速に捕捉することができる。
【0095】
以上実施例について説明したが、図12に示すように、縦列領域44dは、行方向に区分された中心領域部44hと、中心領域部44hの両側に設定された周辺領域部44i、44jと、この周辺領域部44i、44jの両側に設定された周辺領域部44k、44lから構成されていても良い。
【0096】
この場合、制御演算部110は、中心領域部44hに存在する画素を用いて輝度の積算を実行し、装置本体を所定量移動後に輝度の変化がないと判断されたときに、周辺領域部44i、44jに存在する画素を用いて輝度の積算を実行し、この装置本体を更に所定量移動後に輝度の変化がないと判断されたときに、周辺領域部44k、44lに存在する画素を用いて輝度の積算を実行する。
【0097】
ここで、中心領域部44hに存在する画素を用いて輝度の積算を実行することにしたのは、一方の眼から他方の眼に向けて装置本体を左右方向に移動させた場合、他方の眼がCCD44の中心領域部44hで受像される可能性が大きく、かつ、中心領域部44hの画素のみを用いて輝度平均値を積算することにすれば、積算に用いる画素の総個数を低減できることになり、処理速度の向上をより一層図ることができるからである。
【0098】
この実施例では、縦列領域44dを行方向に5つの領域部から構成することにしたが、縦列領域44dを、行方向に区分された中心領域部44hと、中心領域部44hの両側に設定された周辺領域部44i、44jとの少なくとも3つの領域部から構成しても良い。
【0099】
以上、この発明の実施の形態では、眼屈折力、眼圧の測定を行う検眼装置について説明したが、本発明は、これに限るものでなく、例えば、眼屈折力の測定、眼圧測定のみを行う検眼装置、角膜曲率半径の測定を行う検眼装置等にも適用できる。
【符号の説明】
【0100】
12…測定ヘッド(装置本体)
13…液晶ディスプレイ(モニタ部)
30…駆動モータ(駆動部)
42…観察光学系部
44…CCD(二次元固体撮像素子)
44a、44b…縦辺部
44c…画素列
44d…縦列領域
44g…画素
110…制御演算部
110A…抽出部
110B…輝度値積算部
110C…判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前眼部に対して装置本体を前後左右上下方向に駆動する駆動部と、前記装置本体を被検眼に対して自動的にアライメントするアライメント部と、前眼部像が結像される二次元固体撮像素子を有する観察光学系部と、左右の被検眼のうち一方の眼の眼特性の測定終了後に前記前眼部像が取得されるように前記二次元固体撮像素子を制御すると共に一方の眼から他方の眼に向かう左右方向に前記装置本体が移動されるように前記駆動部を制御する制御演算部と、前記二次元固体撮像素子に結像された前眼部像を表示するモニタ部とを備え、
該制御演算部は、前記被検眼の左右方向に対応する前記二次元撮像素子の左右方向の縦辺部に存在する画素列と該左右方向の両縦辺部の中央に存在する縦方向の画素列との間の縦列領域に存在する複数個の縦列の画素を抽出する抽出部と、該抽出部により抽出された画素の輝度を積算する輝度値積算部と、該輝度値積算部による積算を前記装置本体の移動中に行って輝度の変化を判断することにより他方の眼が前記二次元撮像素子に受像されたか否かを判断する判断部とを備えていることを特徴とする検眼装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記輝度の積算値を該輝度の積算に用いた画素の個数により除算した平均輝度値の変化を判断することにより他方の眼が前記二次元撮像素子に受像されたか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の検眼装置。
【請求項3】
前記二次元固体撮像素子の縦列領域は、両眼のうちいずれか一方の眼が前記モニター部に映っている状態から前記両眼のうちいずれか他方の眼が前記モニター部に映る方向に前記装置本体が駆動される場合に、前記二次元固体撮像素子の両縦辺部のうち前記いずれか他方の眼の画像が最初に写り込む側の縦辺部に近い側に偏らせて設定されていることを特徴とする請求項1に記載の検眼装置。
【請求項4】
前記制御演算部は、前記両眼のうちいずれか他方の眼が前記モニター部に映っている状態から前記両眼のうちいずれか一方の眼が前記モニター部に映る方向に前記装置本体が駆動される場合に、前記二次元固体撮像素子の両縦辺部のうち前記いずれか他方の眼の画像が最初に写り込む側の縦辺部に近い側に偏らせて設定されている状態からいずれか一方の眼の画像が最初に写り込む側の縦辺部に近い側に偏らせて設定されるように、前記抽出部を制御することを特徴とする請求項3に記載の検眼装置。
【請求項5】
前記観察光学系部は、前眼部照明用光源を有し、前記制御演算部は、前記一方の眼の測定終了後でかつ前記他方の眼の存在する方向に前記装置本体を移動させる前に、前記前眼部照明用光源の照明光量を増加させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検眼装置。
【請求項6】
前記縦列領域が行方向に区分されて中心領域部と、該中心領域部の両側に設定された周辺領域部との少なくとも3つの領域部から構成され、前記制御演算部は、前記中心領域部に存在する画素を用いて輝度の積算を実行し、前記装置本体を所定量移動後に前記輝度の変化がないと判断されたときに、前記周辺領域部に存在する画素を用いて輝度の積算を実行することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の検眼装置。
【請求項7】
前記制御演算部は、前記判断部により前記平均輝度値が上昇から下降に転じる前までの間は前記装置本体が一定速度で駆動されるように、かつ、前記平均輝度値が上昇後下降に転じたと判断された後には、前記装置本体部の移動速度が減少されるように、前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の検眼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−249809(P2012−249809A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124497(P2011−124497)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)