説明

検索仲介システム

【課題】 識別子単体の発行就役を担う識別子発行者が情報検索システムのサービス受益者から識別子発行コストを適正に回収可能な検索仲介システムを提供する。
【解決手段】 識別子発行者からの就役した識別子の通知を受けて識別子番号を記録する監視識別子記憶手段18と、各データベースからの検索結果を受け取ると、この検索結果データ中に監視対象識別子番号が含まれる件数を識別子発行者ごとに集計する監視識別子集計手段19を設け、内容料金集計手段27は、この集計結果に基づいて識別子発行者への分配額を計算することで識別子発行者に応分の報酬が還元される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開設者が異なる複数のデータベースを検索するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流管理や物品所在管理の情報を企業を超えて共有することが求められている。ebXML(electronic business XML)に代表されるように、そのための基本情報の取得の仕組み、情報共有・交換の枠組みや交換される情報の項目の共通化が整備されつつある。この共通化された情報共有・交換の枠組みを利用して企業の業務情報を蓄積したデータベースを既存あるいは潜在の取引先に必要に応じて検索させることで、円滑な事業運営をはかることも始まりつつある。一方、データの保管先の仲介を行うシステム等はすでに提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−146293号公報
【0003】
自社が管理する情報を公開することは、それにより新たな顧客を開拓することができるという利点を有している。しかしながら、情報を無条件に公開すると、競合相手にも手の内を明かしてしまうことになるという問題もある。これは情報の内容はもちろん、データベースの所在自体も、潜在取引先には周知させたいが、産業スパイやクラッキング妨害などを予防するためにも競合相手など不都合な相手には秘匿しておきたいという矛盾した要求を抱えることになる。標準化されたデータ共有・交換の手法が普及しつつある今日、この恩恵として共通の基盤で結ばれることにより、これまでには出会うことの無かったより有利な取引関係が新たに結ばれる好機が潜在している。しかしながら、基盤として共通化されていてもその存在や所在を探知することは依然として困難がある。
【0004】
一方、企業間商業取引以外の一般生活者向けのインターネットショッピングサービスや、商取引を伴わない極普通のコンテンツサービスを周知するないしは紹介するサービスとして、検索エンジンが広く利用され大きな貢献を果たしている。インターネット上での企業間情報XML Webサービスの供給を告知することを主な用途としてUDDI(Universal Description, Discovery, and Integration)方式も一部では利用されている。匿名による検索エンジン利用は検索者にとって見ればワンストップで求める情報の所在が一括して取得できる利便があり望ましいサービス形態であるが、そのために匿名アクセスを前提に事前にその複写を提供することは前述の事業情報の機密性に起因する制約があるため、情報管理の点から提供者にとっては受け入れ難いものとなる。UDDIは提供されるサービスの内容を告知する手段に過ぎず、検索者が求める情報内容が実際にそのサービス提供者の下に存在しているかは、そのサービス利用契約を取り交わして交信のための手続きを終え許諾を受けた後で検索して始めてその有効無効が判明するという大きな手間を強いられることになる。
【0005】
ところで物流管理や物品所在管理の情報を企業を超えて共有することを実現するために現状ではRFID(Radio Frequency IDentification)タグを利用することが前提となっている。しかしながら、物品追跡情報の根源として、RFIDタグを、管理すべき個々の物品に貼り付けるにはそれなりのコストを要する。そこで物品の供給者あるいは物流管理情報の提供者は、このようなRFIDタグの貼付負担が物品供給者・物流管理情報提供者側に押し付けられ、その後の物流管理システムによる利益の享受者にタグ貼り付け負担コストを分散分配させることができないであろうとの危惧から、ebXMLに代表されるような情報共有・交換の仕組みの普及が妨げられているという事情がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、物流管理情報の提供者、とりわけ、RFIDタグの貼付コストを負担した物品供給者であるタグ発行者が、物流管理システムによる利益の享受者からIDタグの貼付コストを適正に回収することが可能な検索仲介システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明の最も基本的な第一の態様は、開設者が異なる複数のデータベースを利用者端末から検索する際に、検索の仲介を行うシステムであって、
外部から定義されたリクエストを受付け、リクエストに応じた各処理を引き起こすリクエスト受付手段と、
検索者の認証処理に必要な情報を記録する第1検索者情報記憶手段と、
識別子発行通知者の認証処理に必要な情報を記録する発行者情報記憶手段と、
識別子の発行通知者から識別子の発行通知を受付け利用件数を集計すべき識別子の識別子番号を記憶する監視識別子記憶手段と、
検索依頼者端末から検索要求に基づき各データベースに検索依頼を行い結果を取得する検索依頼手段と、
前記各データベースから得られた検索結果に含まれる前記利用件数を集計すべき識別子の件数を識別子の発行通知者ごとに集計する監視識別子集計手段と、
検索結果を検索依頼者端末に提供する検索結果提供手段と、
識別子の発行通知者ごとに集計された識別子件数に基づく識別子発行通知者への分配金額を算定して、識別子の発行通知者への分配額、検索者への請求額、を算出する内容料金集計手段と、
前記内容料金集計手段が算出した課金・配分額を検索者、識別子発行通知者、情報提供データベース開設者のそれぞれの識別情報に対応付けた記録として作成記録する課金・分配手段と、
を具備することを特徴とする検索仲介システムである。
【0008】
また請求項2に記載の発明は、上記第1の態様の検索仲介システムのより好ましい第2の態様であって、前記第1の態様のシステムにおいて、
情報粒度処理に必要な検索者の情報を記憶する第2検索者情報記憶手段と、
各データベースの提供条件を、検索結果として提供する情報の粒度を定めるルールとして記述し、これを記憶する提供条件記憶手段と、
前記情報粒度処理に必要な検索者情報、前記各データベースの提供条件に基づいて、前記検索依頼手段が取得した検索結果から検索者に対して公開可能なものを抽出し、あるいは公開可能な情報粒度レベルの値に変換して利用者端末に提供すべきデータとする情報粒度処理手段と、
をさらに備え、
前記検索結果提供手段は、前記情報粒度手段により処理された結果得られたデータを検索依頼者端末に提供するものであることを特徴とするものである。
【0009】
前記提供条件は、検索者の登録属性及び検索者開示属性により定まる検索者カテゴリとそれに対応する粒度処理ルールの全ての組み合わせにより表現されるものであって、
前記粒度処理ルールは、データベースの各項目ごとに粒度のレベル数と、各粒度レベルごとに当該項目のオリジナル値を該粒度レベルで表示する際に適用する変換規則または置き換え語彙を定めたものであって、
前記情報粒度処理手段は、取得した検索結果であるオリジナルデータから前記提供条件により検索者の検索者カテゴリを決定し、前記提供条件に従って特定の粒度処理ルールを適用して検索結果の各項目を所定の粒度レベルの表示に変換して処理結果データとすることがさらに好ましい。
【0010】
また、前記第2の態様の検索仲介システムにおいては、前記検索依頼手段は、各データベースに検索依頼を行う前に検索要求元である検索者についての検索者情報を取得して、当該検索者情報に基づいて前記提供条件記憶手段を参照して、当該検索者に対して公開可能なデータベースを特定し、この特定されたデータベースに対してのみ検索依頼を行うものであってもよい。
【0011】
課題を解決するための第2の発明は、コンピュータを上記第1の発明に係る検索仲介システムとして動作させるソフトウエアプログラムである。
課題を解決するための第3の発明は、第1の発明に係る検索仲介システムとの通信を行う発行者通知受信手段と、発番権威機関の許諾に基づき重複のない識別番号を発番する発番管理手段と、識別子担体への識別番号の書き込みおよび物品への就役を行う発行装置と、発番管理手段が発行した番号を記録した識別子担体の発行とこの担体の物品への就役を前記発行装置に指示し、就役確認を受けて該識別番号の発行通知を指示する発行管理手段と、を備えた識別子発行システムである。
【発明の効果】
【0012】
本願第1の発明によれば、検索仲介システムを、検索者と情報提供者が設置するデータベースの間に仲介させ、IDタグ等を商品に貼り付けて出荷した製造業者(識別子発行者)からの識別子情報の発行通知を受け付けて、検索結果の中に該当する識別子を持つデータが存在する場合には、その件数に応じた報酬を該識別子発行者に返すことができるので、RFIDタグの貼付コスト等を負担した物品供給者がその負担コストを適正に回収することができる。
本願第2の発明によれば、汎用のサーバコンピュータにそのプログラムを組み込むことにより、本願第1の発明に係る検索仲介システムとして実現できる。本願第3の発明によれば、識別子発行者は就役した識別子の発行通知を容易に第1の発明である検索仲介システムに通知可能となる。尚、識別子発行者としては製造業者の他に、複数の商品を積み合わせ貨物に仕立てて、その貨物IDタグを貼付する物流事業者なども想定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
《第1の実施形態》
(概要) 以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る検索仲介システムの実施形態を示す構成図である。図1において、10は検索者端末、20は検索仲介システム、30a〜30cはそれぞれ独立したデータベースシステム(以下単にデータベースと記す)である。検索者端末10と検索仲介システム20はネットワーク2により接続されている。また、検索仲介システム20とデータベース30a〜30cはネットワーク3に接続される。ネットワーク2と3は同一のものであっても良い。ネットワーク3(またはネットワーク2)にはさらに識別子発行システム40、識別子利用システム50が接続される。
【0014】
検索者端末10は、検索を行う利用者が利用する端末装置であり、ネットワークを介して検索仲介システム20にアクセス可能な汎用のコンピュータで実現される。検索仲介システム20は、検索者端末10からの検索要求に応じてネットワーク上のデータベースを検索し、検索結果を検索者端末10に返信する機能を有するサーバコンピュータであり、第1検索者情報記憶手段81、第2検索者情報記憶手段21、提供条件記憶手段22、リクエスト受付手段23、検索依頼手段24、情報粒度処理手段17、検索結果提供手段26、内容料金集計手段27、課金・分配手段28を有している。
【0015】
第1検索者情報記憶手段81は検索仲介システム20を利用する検索者の認証処理を行うため必要な情報をそれが管理する記憶領域に格納する。第1検索者情報記憶手段81は、検索仲介システム20による検索結果の返信先アドレスを含んでいてもよい。第2検索者情報記憶手段21は、後に詳述する情報粒度処理を行うために必要な検索者に関する情報をそれが管理する記憶領域に格納する。提供条件記憶手段22は、データベース30a〜30cの提供条件をそれが管理する記憶領域に格納する。リクエスト受付手段23は、検索者端末10からの検索要求や検索者、識別子発行者からのユーザ登録要求など外部からの様々な要求を受付け、データベースへの検索依頼や識別子発行者情報の記録などリクエストに応じた各処理を引き起こす機能を有している。検索依頼手段24は、検索者端末10から受け付けた検索要求に従って、データベース30a〜30cに対して検索依頼を行い、それに対する検索結果を取得する機能を有している。
【0016】
発行者情報記憶手段82は、識別子の就役通知すなわち利用件数を集計すべき識別子番号の通知を発信できる識別子発行者を認証するために必要な情報をそれが管理する記憶領域に格納する。監視識別子記憶手段18は、識別子の発行通知を受付け、発行者情報記憶手段82を参照してその通知発行者の正当性を検査し、登録された発行者からの通知であれば、指示された識別子番号を利用件数を集計すべき識別子番号(これを監視識別子と記す)として所定の記憶領域へ格納する。監視識別子集計手段19は1件の検索処理における識別子発行者別の監視識別子出現件数を集計する。識別子発行者は発行者情報記憶手段82に、自身が検索仲介システム20に発行を通知した識別子が出現した件数1件あたりの単価を設定しておいてもよい。その場合この単価は識別子発行者への分配額を計算する際に適用される。
【0017】
情報粒度処理手段17は、第2検索者情報記憶手段21により記憶された検索者情報、提供条件記憶手段22により記憶された提供条件を参照し、データベース30a〜30cから取得した検索結果のうち、検索者に公開可能な検索結果のみを抽出し、またはデータの置き換えをし、検索結果データとする。検索結果提供手段26はこの検索結果データを検索要求元の検索者端末10に提供する機能を有している。
【0018】
内容料金集計手段27は、検索結果提供手段26が集約した提供情報の粒度と件数に基づく情報提供料とその処理手数料を算定して、検索者ならびにデータベースへの課金・配分を算出する機能を有している。また、監視識別子集計手段19が集計した識別子発行者別の監視識別子出現件数に基づく各識別子発行者ごとの配分額を算出する。課金・分配手段28は、検索者への検索利用料金の請求額の記録、およびデータベース30a〜cへの情報提供報酬の分配額の記録、識別子発行者の寄与に対する分配額の記録を、それぞれ検索者、情報提供者、識別子発行者の識別情報に対応付けた記録として作成する。この記録は、郵送等の方法または電子メールなどの電気通信的な方法により、請求額は検索者に、分配額はデータベース開設者および識別子発行者に通知される。(図1の矢印つき破線4,5、8はこの通知を示す)
【0019】
データベース30a〜30cは、それぞれ異なる企業が管理し、検索仲介システム20からのアクセスを許可したデータベースである。各データベースは、互いに独立しており、検索仲介システム20を介さない限り互いの連携はない。図1において、検索者端末10と検索仲介システム20を結ぶネットワーク2、検索仲介システム20とデータベース30a〜30cを結ぶネットワーク3は同一のものであっても別のものであっても良い。検索者端末10からデータベース30a〜30cへは潜在的な通信経路としては到達可能であるが、通信先としての所在が知られておらず、またデータベース30a〜30cから見て検索者端末10は既知の関係に無いため、直接のアクセスは許可されないようになっている。データベース30a〜30cは企業が管理する重要な情報を記録したものであるので、検索仲介システム20にのみアクセスを許可している。このように、検索者端末10からデータベース30a〜30cには直接アクセスできず、必ず、検索仲介システム20を仲介することになる。逆に、この仕組みを利用することにより、検索者はデータベース30a〜30cの所在を特定する必要はなくなる。実務上においても、検索者が、データベース30a〜30cの開設者と個別にアクセス許諾契約を結ぶよう要求し交渉する必要がなくなる。
【0020】
検索仲介システム20は、ネットワークに接続され、CPU及び主記憶装置を含む制御部、ハードディスク等の大容量記憶装置、外部ネットワークとの電気的論理的接続を担う通信制御部等がバスで接続されて構成されるサーバコンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより実現される。また、第1検索者情報記憶手段81、第2検索者情報記憶手段21、提供条件記憶手段22、発行者情報記憶手段82の一部としてのそれら各手段が記憶・管理する情報のデータ記憶領域は、ハードディスク等の大容量記憶装置内に確保される。ここで専用のプログラムとは、前記CPUに解釈され前記サーバコンピュータ上で実行されることにより検索依頼手段24、第1・第2検索者情報記憶手段、監視識別子集計手段19、監視識別子記憶手段18、情報粒度処理手段、検索結果提供手段26、内容料金集計27手段、課金・分配手段28、提供条件記憶手段22、発行者情報記憶手段82として動作するコンピュータプログラムのことである。
【0021】
検索者端末10と検索仲介システム20を結ぶネットワークとしてインターネットを採用した場合には、検索仲介システム20にXML Webサービスサーバの機能を持たせておくことにより、検索者端末10からは、XML Webサービスを利用して検索仲介システム20にアクセスすることが可能となる。検索仲介システム20にXML Webサービスサーバの機能を持たせるには、検索仲介システム20を実現するコンピュータに、例えば、Apache axis(登録商標)と呼ばれるソフトウェアを組み込む。例えばリクエスト受付手段23は、サーバコンピュータのハードウエアの一部である通信制御部と、Apache axisで実現されるXML Webサービスサーバの機能の協同により実現される。
【0022】
(識別子発行システム)
40は識別子発行システムである。重複の無い、用途によっては更に、連続な識別番号を発生させる発番管理手段41、発行記録を作成して保存、ないしは外部に登録する発行管理手段42、発番された識別番号を実際に事物に一体化する発行装置43を備える。図15は識別子発行システム40の構成ブロック図である。上記各手段のほか、検索仲介システム20から識別子利用記録の流通に伴う報酬配分を受信する発行者通知受信手段45も備える。識別子発行システム40は、検索仲介システム20に対して発番した識別番号の通知(監視要求)を行うことにより、以後検索仲介システム20による一斉検索結果に監視対象識別番号が含まれる場合に識別子発行システム40の開設者(=識別子発行通知者)はその件数に応じた応分の報償を受けることができる。図1の矢印付破線6は、この発番した識別番号の通知(監視要求)を示す。
【0023】
識別子発行システム40は、所定の通信プロトコルによるネットワーク通信機能を備え、その記憶装置内にコンピュータを発番管理手段41、発行管理手段42、発行者通知受信手段45として動作させる専用プログラムを搭載したコンピュータと、コンピュータ制御により発行装置43として動作する装置により構成し実現することができる。
【0024】
発番管理手段41は、種類として一意に識別子が与えられその同種のものでは同じ種類識別子で認識される或る物品や伝票などの事案に、重複の無い、あるいは重複がなくかつ連番、ないしは重複が無く欠番が特定されている識別番号を発給し、発給した番号を所定の表形式のデータなどとして記憶装置に記録することで番号が振り出されたことだけを管理し、それが付番する対象事物に物理的ないしは電磁的に一体化させられたか(これを就役と呼ぶ)については感知しない。就役は発行管理手段42が管理する。
【0025】
発行管理手段42は、発番管理手段41に対して対象事物の種類識別子を指定して個別事物に識別子を発給するよう要求し、また発行装置43に対し、振り出された識別子を対象事物に物理的ないしは電磁的に紐付ける指示を出し、その完了の報告を受ける仕組みである。識別子の発給が起きたこと、および発給された識別子が対象事物と結合したこと、すなわち就役を他の情報システムに通報する機能も備える。この機能は、発行管理手段42が発行した識別子を観測した記録が交換されることを監視するように検索仲介システム20に通知して依頼する手段として機能する。また通知の対象になった動作記録を自身に保持するか、自身で備えず、外部の別の記録装置、例えば図1のデータベース30bの外部にこれらの記録を置くこともある。
【0026】
発行装置43は、発行管理装置42の指示を受けて、発番管理装置41が発番した識別子の個体番号Aを物理的な識別子担体44に書き込んで、または、識別子の個体番号Aを機械読取可能な文字または符号として識別子担体に44に印刷して、個体番号が物理的に存在して移動を開始できるようにする。物理的担体の種類と書込みの方法は、自動認識技術の範囲にあるもの全てが含まれ、電磁誘導で内部の記憶状態を変化させ、無線通信でその内容を交信するRFIDを利用してもよく、紙などに1次元や2次元のバーコードとして印字する、ないしはOCR取得や肉眼での目視読取りのための可読文字列を印字するなどの方法を取ることができ、特定の物理的方法に固定されるものではない。発行装置43は、たとえば、RFIDライターやバーコードプリンターにより実現する。物理担体とその個体番号の本来の対象物である物品を一体化するために、必要な場合は、物理担体を物品に貼付する機能も発行装置43は備えなければならない。従って発行装置43は、識別子担体を物品に物理的に固定させる装置、例えばラベル貼り付け機(ラベラー)など、を備えることもある。一方、個体番号Aは、貨物などの物品や手書きないしは印刷された文書などの物理的な事物だけでなく。電磁的に保持および交信される電子データに対して就役させることも行われる。この場合、発行装置は、通常のコンピュータ装置およびその上で動作する電子文書作成プログラムの一部の機能として実現される場合もある。
【0027】
(識別子利用システム)
50は識別子利用システムである。識別子読取装置51、識別子利用記録手段52、識別子利用者通知受信手段53を備える。図16は識別子発行システム50の構成ブロック図である。識別子利用システム50は、識別子読み取り装置51を動作させて、物品や電子データの取り扱いを伴う作業記録を取得し、識別子利用記録手段52を動作させて、特定のデータベース、例えば30aに定型書式による識別子利用記録を登録する。図1の矢印付破線7は、この識別子利用記録の登録要求を示す。
【0028】
識別子利用システム50は、識別子読取装置51と、所定の通信プロトコルによるネットワーク通信機能、識別子読取装置51に制御信号を送り、その読取信号(読取データ)を受信するインターフェース機能、記憶装置を備え、その記憶装置内にコンピュータを識別子利用記録手段52として動作させる専用プログラムを搭載したコンピュータと、により構成し実現することができる。
【0029】
識別子読み取り装置51は、識別子担体からそれが運搬している識別子を検出するための装置である。これは、物理的な形態としては、電波信号や文字列を含む光学信号に変換された識別子を自動認識する装置であったり、純粋に電子文書の交信データ中から識別子だけを検出する装置であったりする。具体的事例として、識別子の個体番号を取得するには、RFIDリーダーを使用してRFIDタグを無線で読み取る。または、バーコードリーダーを使用して1次元、2次元のシンボルを読み取る。あるいは、OCRカメラを使用して文字列を読み取るなどの装置である。識別子読み取り装置51は、その装置が設置されている対象となっている識別子を取り扱う業務と直接に関係付けられて情報が収集される。
【0030】
識別子利用記録手段52は、識別子読み取り装置51から識別子Aが検出されたことの通知を受け、識別子読み取り装置51が関係付けられている識別子取り扱い業務の背景情報を取得し、業務発生の時刻や場所などの事実情報を一体化させて、識別子利用記録情報を作成する。識別子取り扱い業務の背景情報とは、識別子利用システム50の設置場所、その作業内容(例えば、「入荷検査」「組立て処理」「出荷検査」など識別子利用システム50の読取機能が配置される場所の作業内容を示す情報)を表す情報のことである。識別子利用記録手段52は発生させた識別子利用記録情報を所定のデータベース(30aなど)にネットワークを介して登録する。
【0031】
(データ構造)
図2は、第1検索者情報記憶手段81および第2検索者情報記憶手段21により記憶された検索者情報の一例を示す図である。本システムを利用して検索を行おうとする者は、事前に検索者自身に関する情報を検索者情報として登録しておかなければならない。本実施形態では、図2に示すように検索者情報として、第1検索者情報記憶手段81の管理する第1検索者情報記憶テーブル810に検索者IDと当該検索者のログインパスワード、公開鍵データを、第2検索者情報記憶手段21の管理する第2検索者情報記憶テーブル210に検索者名、業種、所在地、年商規模、検索者情報開示条件、需要粒度、交渉方針、到達方針、および、その他の情報を登録している。そして、各検索者には、検索者を特定するための検索者IDが発行され、上記情報と対応付けて第1検索者情報記憶テーブル810および第2検索者情報記憶テーブル210に登録される。検索者情報開示条件は、検索者情報をデータベースの開設者に対して開示する場合の条件を定めたものであり、検索者情報の各項目単位での設定、開設者の業種に応じた設定が可能となっている。需要粒度の項目には、各情報項目ごとに検索者が希望する情報粒度が登録される。交渉方針の項目は、各データベース開設者が設定している開示粒度が、検索者の設定する需要粒度に至らない時に、検索者がより細かい粒度の情報を得るためにその代償として上積みを申し出る対価供出の事前条件が登録されている。この検索者情報開示条件は、矛盾を起こさない限り1検索者について複数の内容を設定しておくことが可能である。到達方針は、検索者とデータベース開設者が開示情報の粒度について折りあわなかった場合の交渉終了方針(いかなる仕方で妥協をするか)を定める。
【0032】
検索仲介システム20においては、検索者とデータベース開設者の関係に応じて各データベースを検索して得た情報の「粒度」をコントロールして検索者に提供することができる。すなわち、情報粒度処理手段17は、図3に示すような、各データベース開設者が定めた粒度処理ルール表を保有しており、データベースに記録される各項目の値は開示粒度レベルに応じて各項目ごとに定義される粗さで表される値に変換されて検索者に提供される。後述する検索者カテゴリ別クラス対応表、クラス定義表に従って、ある検索要求時のデータベースの各項目の開示粒度レベルが決定される。図3に示すように、粒度処理ルール表には、各項目について、レベルA〜レベルdの最大7段階で、どの程度の正確さで情報を提供するかを規定してある。粒度処理を実行するためには、各DB項目にはそれぞれ粒度レベルに応じた「値」の変換ルールが定まっている。これは、図4に例示するように、各粒度レベルに応じた「値」の表現語彙または変換規則を、粒度の粗いレベルDから、最も精細なレベルAまで、階層的に予め定義することに他ならない。
【0033】
ここで、データベース30aに記録された情報の一例を図7に示す。図7に示すように、データベース30aには、記録時刻、商品ID、商品所在、在庫個数、仕入れ元(商品供給源)、納入先の項目により1レコードの情報が記録されている。この1レコードはRFIDタグをリーダーが1回読取った時のデータに対応することが普通である。従って、リーダーが1度に複数のタグを読取った場合は、商品IDの項には、読取った複数のタグの記録内容である複数の商品IDが記録されることになる。また、この場合、内容料金集計手段27が情報提供料として算定する際の件数としては、1件ではなく商品タグの個数分の件数としてカウントする。商品所在については、図4に示すような階層構造で記録されている。データベース30a〜30cは互いに独立しており、データベース30b、30cは、図4、図7に示した構造とは異なっている場合もある。
【0034】
図4は項目「商品所在」の階層構造(各粒度レベルで表示する際の使用語彙と変換規則)を示した図である。項目「商品所在」はレベルAからレベルDの4段階の粒度レベルをもち、例えばレベルAで項目「商品所在」の値を表示する場合は、「保管区域イ」、「保管区域ロ」等の値で表示される。また、レベルBでは項目「商品所在」の値を「建屋/施設a」、「建屋/施設b」等で表示する。すなわち各粒度レベルでとりえる値のセット(語彙)は予め規定されている。また、レベルAで「保管区域イ」、「保管区域ロ」、「保管区域ハ」のいずれかで表示される値は、粒度レベルを1階層あげてレベルBで表示しなければならないときは、「建屋/施設a」に変換される。すなわち「建屋/施設a」は「保管区域イ」、「保管区域ロ」、「保管区域ハ」の置き換え語彙である。図4で示される階層構造は、下位レベルの値がより上位レベルではどんな値に置き換えられるか、すなわち、変換規則を示している。
【0035】
この情報粒度低減には検索仲介システム20によるデータ処理の演算負荷を必要とする。元来は自己都合による情報機密と経済価値を守るために各データベースが自力で変換処理を行うべきところを、検索仲介システム20に処理代行をさせていることにあたり、この粒度低減処理のためのコストは情報提供を行う側であるデータベース開設者が負担するのが妥当である。そのため、この低減処理の階層数または階層無差別に1語彙処理ごと、あるいは処理個数に由らない包括として粒度低減処理費用が内容料金集計手段27に累積されていく。検索とその応答が完了するたび、ないしは月次などの定期集計として、内容料金集計手段が累積した情報粒度低減処理費用は、同じく同手段が累積した情報提供対価報酬の各データベース開設者への分配額から相殺する形で、課金・分配手段28に送付され、同手段28の機能により、情報提供者の識別情報と関係付けて記録される。この記録に基づき電子的ないしは在来の商取引手段により決済されることにより、各データベース30a〜cはそれぞれの提供した情報の項目ごとの情報粒度と低減処理費用とその事項数の積算としての対価の配分を受けることができる。
【0036】
提供条件記憶手段22が管理する記憶領域には、提供条件について、クラス定義表と、検索者カテゴリ別クラス対応表、情報提供単価表のそれぞれのテーブルが記録されている。本実施形態では、クラス定義表と、検索者カテゴリ別クラス対応表により提供条件が定まることになる。図5に、クラス定義表の一例を、図6に検索者カテゴリ別クラス対応表の一例を、また、図9に情報提供単価表の一例を示す。クラス定義表は、データベースが保有する情報の各項目について、どの程度のレベルで開示するかをクラス単位で設定したものである。クラスとは、データベースの各項目についての開示粒度レベルを全項目について定めた場合のその開示粒度レベルのセットのことである。図5の例で、クラス1、クラス2、‥などと表しているのは、そのような開示粒度レベルの様々なセットにつけた名前と考えてよい。すなわち、クラス1、クラス2、‥により、ある開示粒度レベルのセットが特定される。このクラス定義表により、データベースの開設者が、どの程度の情報を公開するかを設定する際に、各項目を個別に設定することなく、簡易に各項目の開示粒度レベルを設定できるようになる。
【0037】
この機構を利用するこれらの検索者とデータベースが共通のデータ交換フォーマット規格を共有している場合、これらの情報粒度処理により初期の原本記録と変換処理後の提供データの形式が整合しない場合も生じる可能性がある。あるいは、データベースが共通フォーマットとは異なる形式でデータを保有している場合もある。この場合、検索結果提供手段26は、原本記録とは表記書式の異なるフォーマットに変更したデータを作成し、検索者に提供することもできる。
【0038】
図5の例では、クラス1が最も厳しく、クラスの番号が増えるにつれて緩やかな内容となっている。クラス1は、データベースの存在の公開も不可、データベースの開設者の業種の公開も不可である。クラス1の場合、データベースの存在の公開が不可であるため、データベースに記録された情報の各項目についても当然公開不可である。クラス2は、データベースの存在の公開は可であるが、開設者の業種の公開は不可となっており、在庫個数、商品所在はレベルDでの公開となっている。レベルについては、レベルAが最も詳細な情報を提供するものとなっており、レベルB、C、Dとなるにつれて、大まかな情報を提供するものとなっている。したがって、クラス2は、在庫個数、商品所在ともに、非常に漠然とした形での情報の提供をするものとなっている。クラス3以降は、データベースの存在、開設者の業種ともに公開可となっており、各項目については、在庫個数、商品所在について、クラス番号が増えるにしたがって詳細なレベルで公開されるものとなっていることがわかる。
【0039】
さらに、これらの項目には粒度に応じた情報提供単価が設定されている。一般には、より精細な粒度において提供される情報項目の内容に対しては、情報の正確さ・精密さの点から有用性が高く、業務機密としての経済価値が高いものとして、より粗い粒度における値付けより高額に設定することができるが、提供者の意思によりフラットな価格など任意に設定することもできる。図9は、データベース30aの情報提供単価表の例である。例えば、項目:商品IDはレベルA(記録内容そのまま)で提供を受けると1件あたり100円であるが、レベルc(商品分類)で提供を受けると1件10円になるような設定となっている。
【0040】
図6は、検索者カテゴリ別クラス対応表の一例を示したものである。検索者カテゴリとはデータベース開設者がデータベース開設者の都合により定めた検索者を識別するカテゴリである。検索者カテゴリは検索者情報として登録される検索者属性情報に基づいてデータベース開設者が任意に定義するカテゴリに、通常は、身元開示検索者かそうでないかの2通りの組合せを掛けて定められる。身元非開示検索者、身元開示検索者における“身元”とは、その検索者を特定するのに十分な情報を意味しており、本実施形態では、検索者名である。図6に示した検索者カテゴリ別クラス対応表は、ある1つのデータベースについてのものであり、各データベースについて、同様のものが設定されることになる。クラスの設定は、開設者側が任意に設定することができるが、通常、図6に示すように、身元非開示検索者に厳しいものとなっている。また、カテゴリとして検索者名を直接特定し、クラスを設定することもできる。
【0041】
カテゴリーが判定されることにより、図5の開示制限の組み合わせである項目ごとの開示粒度クラスが定まる。しかしながら、ここで提供者側が検索者カテゴリに基づき図6に従って定まるカテゴリ別クラスにより設定される開示粒度クラスは、図2に示す第2検索者情報記憶手段21に記録されている需要粒度、すなわち、検索者が欲求する項目ごとの情報粒度を満たさない事態が常態的に発生する。検索結果提供手段26は、このような場合に検索者が設定した需要粒度、交渉方針、到達方針に基づいて、情報提供者側と、より精細な粒度での開示を得るためにネゴシエーションする機能を備えている。これについては、システムの処理動作を説明する際に詳述する。
【0042】
図17は、監視対象識別子のテーブルを示している。これは、識別子発行システム40(の発行管理手段42)が発行した識別子を観測した記録が交換されることを監視するように検索仲介システム20に依頼する際に、発行管理手段42により検索仲介システム20に通知(登録要求)され、検索仲介システム20の監視識別子記憶手段18が管理する記憶領域に登録される監視対象識別子のテーブルである。図17の一行、すなわち、(識別子・固体番号、発行日時、発行場所ID)が、発行管理手段42が検索仲介システム20に送信する1件の識別子発行通知の内容に相当する。識別子・固体番号は発行装置43が新たに就役させた番号である。識別子・固体番号は(メーカーコード)、(品種コード)、(固体番号)の3つの部分で構成され、ハイフンでつないで例えば、36987−12364−956814のように表示される。(メーカーコード)−(品種コード)の上位桁は現行のJANコードに一致させることもできる。発行日時は、発行装置43が新たにその番号を物品に固定した日時を表すデータである。発行場所は、識別子発行システム40の存在場所を特定する情報である。
【0043】
図20は発行者情報記憶手段82の管理する発行者情報テーブル820に記録される識別子発行者の登録情報の一例を説明する図である。識別子発行者の名称、その発行者に国際コード発番機関(例えばGS1)より使用を認められたJAN企業コードまたはJIPDEC標準企業コード、識別子発行者の住所、連絡先情報、PKI公開鍵番号などを含む。これらの情報と検索仲介システム20が識別子発行者に付与するシステム上のユーザIDである発行者IDを対応付けて1件の識別子発行者の登録情報とする。識別子発行者が新たに就役した識別子番号を通知する際は、その識別子番号に発行者ID(または発行者名称)を添えて検索仲介システム20に通知する。
【0044】
(処理動作)
次に、図1に示したシステムの処理動作について説明する。まず、準備段階として検索仲介システム20は、識別子発行者、検索者、情報提供者(データベース開設者)からの各種設定情報を受付登録する。図14は、本発明の登録処理時の概要フローチャートである。検索者、情報提供者はそれぞれ検索仲介システム20に必要な情報を設定する。検索者は、自身の検索者としての登録に必要な情報である検索者名、業種、所在地、検索者条件開示情報、需要粒度などを登録する。これらは第1検索者情報記憶テーブル810、第2検索者情報記憶テーブル210に登録される(S20)。情報提供者は、自身の情報提供者としての登録に必要な情報のほか、データベースの提供条件を登録する(S30)。
識別子発行者は、識別子発行者としての登録手続きを行う(S10)。また、随時、識別子発行システム40を通じて検索仲介システム20に新たに就役した識別子番号の通知を行う(S12)。通知された識別子番号は、監視対象識別子テーブルに図17に示すような形式で提供条件記憶手段22中に登録される。
【0045】
図13は検索仲介システム20の検索動作を概略的に説明するフローチャートである。以後の動作フローについて図13を適宜参照しながら説明する。検索仲介システム20に検索者として登録した利用者は、検索者端末10から検索仲介システム20にアクセスし、検索要求を送信する(図13,S22)。この際、リクエスト受付手段23は、リクエスト内容を検査し検索要求であることを確認すると第1検索者情報記憶手段81により登録された内容を参照して検索者の認証を行い、事前に登録されたどの検索者であるかを特定する。これは、例えば、第1検索者情報記憶テーブル810にパスワードを登録しておき、アクセスしてきた利用者に対して、検索者IDとパスワードを要求して行うようにすれば良い。より確実に検索者を特定し、通信を保護するためには、検索者が送信してきた検索式文書のハッシュ値を検索者端末10に発給された秘密鍵で暗号化した発信者証明を事前送付された対になる公開鍵で復号し、送付された検索式から送信時と同一のハッシュ法で求めた値と照合することも利用できる。合わせて、検索式本文も検索仲介システム20の発給した公開鍵で暗号化して送信し、受信した検索仲介システム20の秘密鍵で復号することで、系路上の通信を保護することもできる。これにより自己申告された検索者の身元が登録された本来の利用者であることが同定される。
【0046】
検索者IDが特定されたら、リクエスト受付手段23は、後の処理を検索依頼手段24に任せる。検索依頼手段24は、その検索者IDで第2検索者情報記憶テーブル210を参照し、検索者の属性情報を取得する。ここでは、属性情報として、業種、検索者情報開示条件を取得する。続いて、取得した属性情報で提供条件記憶手段22が記録したテーブルである検索者カテゴリ別クラス設定表(図6)および、クラス定義表(図5)を参照し、その検索者に対して公開可能なデータベースのアドレスを取得する。例えば、図5、図6の例では、業種非開示検索者に対しては、クラス1に該当するのでデータベースの存在が公開不可となるため、アドレスの取得は行われない。図5、図6の例では、その他の場合には、そのデータベースのアドレスの取得が行われる。このようにして、検索依頼手段24は、受け付けた検索者に対して公開可能なデータベースのアドレスを取得していく。
【0047】
引き続いて、検索依頼手段24は、検索者端末10から受信した検索要求に従った内容の検索を行うよう、アドレスを取得した全てのデータベースに検索依頼を行う(図13,S710)。したがって、検索者の属性が、データベースの提供条件に合わない場合(つまり公開不可とする場合)には、そのデータベースについてのアドレスは取得しないため、検索依頼の対象とならない。これにより検索仲介システム20において無効破棄されることが事前に確定している検索結果を得るために無用な検索処理も途上の無効トラフィックも事前に抑制される。データベース30a〜30cの全てのアドレスが取得できた場合には、データベース30a、データベース30b、データベース30c宛てに、検索依頼を送信することになる。
【0048】
データ共有・交換の手法が標準化されていて、検索を依頼されるデータベース30a〜30cが全てこれに準拠している場合は、各データベース30a〜30cにはこの共通の書式での同一内容での検索が依頼される。一方、この標準方式に従わないデータベースに対しては、そのデータベースが交信可能な通信手順および検索式書式に変換して委託する。これには事前にそのデータベースの仕様を取得して設計された変換対照表を利用したり、XSLT(XML Stylesheet Language Transformations)による変換規則を適用するなどの手法を利用する。
【0049】
各データベース30a〜30cでは、検索依頼を受信すると、検索仲介システム20からの依頼であることの認証を行った後、検索依頼を受け付ける(図13,S32)。そして、各データベースは、受け付けた依頼内容に従って、自身のデータベース内を検索し、検索結果を得る。検索結果が得られたら、各データベース30a〜30cは、それぞれ検索結果を検索仲介システム20に送信する(図13,S34)。このとき返信される検索結果には、検索者によっては公開を制限する必要のある事業上の機密内容が含まれている場合がある。回答にあたって実際の検索者を認識し、事業上の関係に照会して秘匿するべき内容を省略する処理を、回答するデータベース30a〜30c側で実現することも可能であるが、これには本来、自社内で活用するために開発されたデータベースシステムに当初想定外の社外向けの情報管理機能を与えるための改修を加える必要が生じるとともに、その情報管理処理負荷により本来用途への能力圧迫を招く弊害が生じる、ないしはそれを見越した余分な能力増強を迫られることがある。本発明では、検索仲介システム20において提供条件に基づいた公開内容抽出を行っているため、データベース30a〜30c側でこの秘匿処理負荷を負う必要がない。
【0050】
検索仲介システム20では、検索依頼手段24が、データベース30a〜30cから送信された検索結果を取得する(図13,S720)。このとき、回答するデータベースの中に標準から外れた通信手順と回答書式を要するものがある場合には、それに応じた回答手段で検索結果を取得し、標準不整合な書式から、検索式変換を行ったときと同様に事前取得したその仕様に基づく変換手段を適用することにより、他の標準法と同等の回答に整形変換することを事前処理として行うことにより、続く他の回答と同じ開示提供可能な情報の抽出が可能になる。
【0051】
検索要求されたすべてのデータベース30a〜30cから返信された検索結果は論理的には1件の検索要求についての一塊の検索結果と考えることができる。そこでこれを、「(1件の検索要求についての)集約された検索結果」と呼ぶことにする。集約された検索結果は、各データベースから検索抽出された生データの集りであるから、識別子情報は固体番号まで特定される。(後述するように各データベースから返信された検索結果にはそれぞれ検索識別子が付されており、これが共通する検索結果は1つの集約された検索結果を構成する。このため、「集約された検索結果」という時、各データベースから得られた検索結果は必ずしも物理的に集約されていることを意味するものではない。)
【0052】
監視識別子集計手段19は、図17に示した監視対象識別子のテーブルを参照して、すべての監視対象識別子を取得する。そして、集約された検索結果から、監視対象識別子に該当するものが何件あるかを、各識別子発行者ごとに集計する。この集計処理はありふれた演算処理としてコンピュータプログラムにより容易に実現できるので詳細な説明は省略する。この結果は、検索者による検索要求を特定する検索番号に関係付けられたデータとして検索仲介サーバ20の所定の記憶領域に一時記録される(図13、S725)。
【0053】
続いて、検索者と各情報提供者との粒度交渉処理(図13、S730)を説明する。情報粒度処理手段17は、第2検索者情報記憶手段21により記憶された検索者情報、提供条件記憶手段22により記憶された提供条件、すなわち、検索者カテゴリ別クラス設定表(図6)および、クラス定義表(図5)を参照して、提供すべき検索結果を抽出する。例えば、この検索の検索者IDがA001であった場合、情報粒度処理手段17は、第2検索者情報記憶手段21を参照し、業種「ドラッグストアチェーン」、検索者情報開示条件について「製薬業には業種のみ開示」を取得する。そして、情報粒度処理手段17は、取得した情報で提供条件、すなわち、検索者カテゴリ別クラス設定表(図6)および、クラス定義表(図5)を参照する。
【0054】
ここでは、データベース30aについての処理について説明する。検索者A001は「製薬業には業種のみ開示」であるので、情報粒度処理手段17は、データベース30aの開設者の業種を確認する。データベース30aの開設者が製薬業であったとすると、検索者A001の検索者情報は、データベース30aに対しては「業種のみ開示」となる。そして、情報粒度処理手段17は、身元非開示検索者、業種「ドラッグストアチェーン」で検索者カテゴリ別クラス対応表(図6)を参照し、「クラス4」を取得する。さらに、この「クラス4」でクラス定義表(図5)を参照し、データベース存在の「公開可」、開設者業種の「公開可」、商品所在「レベルC」、在庫個数「レベルC」、商品ID「レベルB」を取得する。
【0055】
一方、検索者A001の求めている提供情報の粒度レベルを第2検索者情報記憶テーブル210の需要粒度の項目から求めると、例えば、商品所在「レベルD」、在庫個数「レベルB」、商品ID「レベルA」であったとする。この場合、図10に示すように、商品所在については検索者の要求する以上の開示粒度レベルでの情報提供が可能とされるが、在庫個数と商品IDについては、情報提供者が標準的に設定する開示粒度レベルは検索者の求める開示粒度レベルを満足していない。情報提供者と検索者の立場の違いにより、このような齟齬はまま起こりえるが、このような場合には情報粒度処理手段17における粒度交渉処理機能が機能する。
【0056】
図11は、情報粒度処理手段17の作用である開示粒度決定処理の動作を説明するフローチャートである。ここまでの動作を図11に従って説明する。まず検索者の開示条件を第2検索者情報記憶手段21を参照して読み込み、情報提供者の設定する検索者カテゴリ別クラス対応表およびクラス定義表から、当該検索者に対する各項目毎のデフォルト開示粒度を判定する(S100)。一方第2検索者情報記憶テーブル210の当該検索者の需要粒度の項目を参照して、当該検索者の求める核項目毎の粒度レベルを特定する(S102)。両者をつき合わせて比較する(S104)。全ての項目でデフォルト開示粒度が検索者の需要粒度レベルを満足している場合は、デフォルトの開示粒度レベルと情報単価が適用される(S106)。これに対し、先の例では図10のようなテーブルが得られるが、これによると、商品所在は需要粒度を満足するが、在庫個数と商品IDの項目は需要粒度を満足していない。したがって粒度交渉処理が動作する(S200)。この結果、粒度交渉処理結果で定まる粒度レベルと情報単価が適用される(S106)。
【0057】
次に、図12のフローチャートに従って粒度交渉処理を説明する。以下先の例と同様、検索者A001,データベースは30aとして説明する。まず、検索者の交渉方針を第2検索者情報記憶テーブル210の当該検索者の「交渉方針」の項目を参照して一時記憶する(S201)。次に、交渉方針に従い当該項目の判定開示粒度の価格に許容最大額を上乗せする(S203)。検索者A001の場合は、「20%上乗せ」となっているので、在庫個数:Cレベルの情報単価の20%増しの価格を設定する。この価格(許容最大額を上乗せした提示価格、または提示価格)が当該項目の需要粒度での単価を満足する(同額かそれを超える)かどうかを判定する(S203)。満足すれば(S205のYes)、その項目については需要粒度で情報開示を受けることし、その開示粒度レベルの単価が適用される(S207)。ここで、交渉方針の内容(項目の値)としては、「単価20%上乗せ」、「2段階まで高位粒度レベルの料金受容」、「単価20円上乗せ」などを設定できる。
【0058】
一方、提示価格をもってしても当該項目の需要粒度での単価を満足することができないときは(S205のNo)、第2検索者情報記憶テーブル210の当該検索者の到達方針を参照する(S211)。到達方針は、「最善」、「未達時不変」、「未達時検索撤回」
等のうちから一つを設定できる。到達方針が「最善」のときは(S213のYes)、提示価格以内で得られる最善粒度(最も精細な粒度)を当該項目の適用開示粒度および単価とし(S215)、S223に進む。到達方針が「未達時不変」のときは(S213のNo)、デフォルトの粒度を当該項目の適用開示粒度および単価とし(S215)、S223に進む。到達方針が「未達時検索撤回」の場合は、検索をキャンセルすることとし(S219)、直ちに粒度交渉処理を終了する。
【0059】
当該項目についての粒度と単価が決定したならば、必要な項目すべてについて粒度交渉が終わったかどうかをチェックして(S223)、まだ残っている項目があればS203に戻り次の項目について粒度交渉を繰り返す。
このようにして、情報粒度処理手段17は、第2検索者情報記憶テーブル210に格納されている検索者情報と提供条件記憶手段22に記憶されている情報提供者の条件とをつき合わせて自動的に提供情報の粒度と提供コストの交渉を行うことができる。(但し、粒度交渉途中で検索撤回された場合は、そのデータベースからの情報取得はキャンセルされる。)
【0060】
この結果、商品所在に関する情報であれば、データベース30aの開設者が検索者A001に対して設定したデフォルト開示粒度レベルCの「事業所に包含」が適用される。それに伴い、検索仲介システム20に事前に通知されているかないしはデータベース30a自身が検索仲介システム20からの問合せに対してその都度供給するデータベース開設者の属する事業所の施設帰属関係を記述した図4に示す構造の事業所構成マスターデータを参照することで、この帰属の階層に割り当てられた段階意味属性としての「企業(大代表)事業所に包含」の階層まで、取得した商品所在情報からその帰属先を繰り上げていくことで、検索者に回答するべき指定の情報粒度に適った所在表記内容を得ることができ、これを検索者への回答として抽出することで実際の検索結果が元来持っていた商品所在の精細度と異なるデータベース30aの開設者の指定した公開範囲を順守することができる。また、在庫個数、商品IDについては、粒度交渉処理結果が適用される。つまり、情報提供者の都合だけではなく、検索者のニーズを一定限度反映した形での、あるいは情報提供者と検索者のお互いの情報開示/取得ポリシーを円満に妥協させた形での情報提供および情報取得が可能となる。
【0061】
同様に、検索者は、他のデータベースからも自身の検索者情報とデータベースの提供条件に対応したレベルの情報を取得することになる。
【0062】
公開する情報の決定について、再度説明しておく。たとえば、データベース30aの開設者の業種が製薬業である場合を考えてみる。データベース30aを検索者A003が検索する場合、図2に示すように、検索者情報開示条件が「小売、製薬業には開示」となっているので、データベース30aには検索者A003の検索者情報が開示されることになる。また、図2に示すように、検索者A003は、卸売業であるので、図6の検索者カテゴリ別クラス対応表で、情報開示検索者、卸売業を参照して、クラス6と判定される。一方、データベース30aを検索者A001が検索する場合、図2に示すように、検索者情報開示条件は「製薬業には業種のみ開示」となっている。この場合、データベース30aの開設者は製薬業であるため、業種のみ開示されることになる。そして、図6の検索者カテゴリ別クラス対応表で、身元非開示検索者、ドラッグストアチェーンを参照して、クラス4と判定される。クラス4の場合、図5に示したクラス定義表より、商品所在はレベルD、在庫個数はレベルC、商品IDはレベルBとなる。商品所在はレベルDであるので、企業名のみ公開される。在庫個数はレベルCであるので、桁数のみ公開される。商品IDはレベルBであるので、品種コードが公開される。このように、検索者が業種のみ開示している状態、すなわち匿名と実名の狭間に当たる限定的な属性開示を行っている場合であっても、適切な公開情報の抽出範囲を設定し、確実に履行させることができる。
【0063】
以上、図13のS730の処理ステップを詳細に説明した。このようにして、公開すべき情報を決定し、検索結果を提供することになるが、第2検索者情報記憶テーブル210に記憶された検索者情報内の検索者情報開示条件から、事前に図8に示すような各開設者別に対する検索者−開設者対応表を作成しておくようにしても良い。図8に示すような検索者−開設者対応表を所定の記憶領域に記憶させておくことにより、検索仲介システム20は、検索者IDを特定した後、検索者−開設者対応表を参照して、即座に検索依頼を行うべきデータベースが特定できるとともに、返ってきた検索結果から検索者に回答すべき内容の特定を行う際にも、図6に示した検索者カテゴリ別クラス対応表の参照を高速に行うことが可能となる。
【0064】
また、これまでの説明では、検索依頼手段24は検索依頼を各データベースに発行する前に、無駄な検索を行わないために、検索者情報および、提供条件、すなわち、検索者カテゴリ別クラス設定表(図6)および、クラス定義表(図5)を参照して事前に当該検索者に対して非公開設定のデータベースを調べているが、検索依頼手段24は、そのような処理を行わずにすべてのデータベースに検索要求を出し、いったん検索結果をすべて受け取るような処理の流れにしてもよい。検索者情報および提供条件は検索結果に対して情報粒度処理を施す際にも参照されるので、その時に非公開設定のデータベースからの検索結果を廃棄できるからである。
【0065】
(実施形態1のまとめ)
なお、実際には、図13のS710で検索仲介システム20が検索者の検索要求を受け入れられる情報提供者を選択して、それら全てに検索要求する際、検索仲介システム20は後の処理のために検索者からの検索要求の1件ごと(より正確には検索要求に含まれる検索式1件ごと)にユニークな検索式受付番号を含む検索識別子を生成する。そして、この検索識別子と検索者端末10のアドレスあるいは検索者IDとを関係付けたデータを作成しこれを検索者依頼手段24が管理する検索識別子を管理する記憶領域に保持するととともに、情報提供者へはこの検索識別子を付して検索要求する。情報提供者側は、検索式を受けて(S32)、データベースを検索し結果を検索識別子を付して検索仲介システム20に返す(S34)。検索仲介システム20は、後に、検索要求した全ての情報提供者から提供された検索結果を受信し、その検索識別子が同一のものを混乱なく集約することができる。そして検索識別子に関係付けられた検索者端末10のアドレスあるいは検索者IDから集約した検索結果を検索要求元に提供することができる。但し、通常は、検索要求元に検索識別子を付して結果を返すのことになるので、必ずしも検索結果データを1つのデータに集約して返信する必要はない。即ち検索仲介システム20は各データベースからの検索結果を検索要求元に対して時間的にばらばらに提供するというシステムであってもよい。
【0066】
粒度交渉(図13のS730)を経た結果、情報提供者への分配額の基礎値が確定する。また、S725で記録された、1件の検索の集約された検索結果についての識別子発行者毎の監視対象識別子の件数を参照し、これと、例えば、識別子発行者が指定する単価を参照して、識別子発行者毎の分配額を計算する。この分配額の合計と、前記情報提供者への分配額の基礎値により定まる各情報提供者への分配額の合計の総計が検索者の負担額として計算される(図13、S750)。検索者へのデータ提供、課金および請求通知、情報提供者、識別子発行者への分配金通知を行う(S760)。検索者は請求通知を受領する(S24)。情報提供者は分配金通知を受領する(S36)。
【0067】
《実施形態2》
次に本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は第1の実施形態の検索仲介システム20から主として情報粒度処理手段17によって行われる各データベースから得られた検索データの情報粒度変換処理を省いた構成としたものである。図18は、第2の実施形態に係る検索仲介システム20aの機能ブロック構成図である。第1の実施形態に係る検索仲介システム20から第2検索者情報記憶手段21、提供条件記憶手段22、情報粒度処理手段17を除いた構成となっている。これら以外の構成は第1の実施形態に係る検索仲介システム20とまったく同じである。
【0068】
検索仲介システム20aの処理動作に関し検索仲介システム20と異なるところは次の通りである。まず第一に、図14のS20において検索者は、第1検索者情報に記録する情報のみ登録要求する。また、同図S30のステップにおいて情報提供者は、自身の情報提供者としての登録に必要な情報のみ登録要求すればよく、データベースの提供条件は登録する必要はない。そして、検索結果提供手段26は同一の検索識別子をもつ応答データを集約して検索結果データを構成して検索者端末10に送信する。この第2の実施形態に係る検索仲介システム20aの処理動作は、図13のステップS730が省略された形となる。
【0069】
情報粒度変換処理を伴わない検索仲介システムであっても、ステップS725は実行される。検索者が要求した1件の検索要求に対して各データベースが返答したデータから集約された検索結果から監視対象識別子が出現する件数を識別子発行者ごとに調べて、この結果を、検索者による検索要求を特定する検索番号に関係付けられたデータとして検索仲介サーバ20の所定の記憶領域に一時記録する。このことにより、受益者である検索依頼者の負担する検索料の一部を識別子発行者に分配する仕組みとして機能するので、検索結果の中に識別子発行者が発行した識別子を持つデータが存在する場合には、その件数に応じた報酬を該識別子発行者に返すことができ、RFIDタグの貼付コスト等を負担した物品供給者にその負担コストを適正に回収させるという本願の課題を解決できる。
【0070】
(公開鍵暗号基盤PKIの利用について)
識別子発行システム40から検索仲介システム20へ発信される就役済み識別子番号の通知、検索仲介システム20がデータベース30a等に送るデータベースの検索依頼要求、など、検索仲介システム20、識別子発行システム40、データベース30a、30b‥の間でインターネットを通じて通信する際は、発信者のなりすましや通信内容の改竄の虞がないセキュアな通信チャネルが確立される必要がある。このため、検索仲介システム20、識別子発行システム40、データベース30a、30b‥は、実際には、公開鍵暗号基盤PKIを利用しこれに準拠したセキュリティ通信の仕組みが組み込まれていることが望ましいことはいうもでもない。
【0071】
特に本願の場合は、何者かが識別子発行者になりすますことや、元来、管理権限のない第三者の保有する識別子に対して対価徴収を企てることにより識別子発行者として登録し、分配金を不当に取得するようなことがあってはならない。図19は、識別子発行通知を検索仲介システム20が受け付けたときの正当性検証の処理フローを特に説明するための図である。この図を用いて、上記観点からの望ましいセキュリティ施策を説明する。
【0072】
既に説明したように識別子発行者は検索仲介システム20に対し、自身の識別子発行者としての登録情報(発行者名称、国際コード発番権威機関から付与された企業コード(JANコード)、EDI受発注企業コード(JIPDECコード)、アドレス、公開鍵データなど)を送信し(S10)、その内容は検索仲介システム20の発行者情報記憶手段82が管理する記憶領域に図20のような内容で登録される(S501)。次に識別子発行者は新たに就役した識別子番号を識別子発行通知として検索仲介システム20に送信する(S12)。検索仲介システムは識別子番号から企業コード部分を抽出し、これをGEPIR(国際コード発番権威機関GS1が提供するオンラインサービスであるグローバルコード情報提供サービス)に問い合わせる(S502)。現在インターネットでこの問合せサービスを受けることができる。するとGEPIRは企業コードに対するその企業の登録情報(企業の名称、住所、その他)を返答する。そこで検索仲介システム20は、発行者情報記憶手段82を参照して、識別子発行通知に含まれる識別子番号の一部である企業コード部分と一致する登録発行者の記録を探して、その登録発行者の名称その他の登録情報と、先のGEPIRから得られた情報を照合する(S503)。この結果、両者に相違がなければ識別子発行通知は有効と判断され、監視識別子記憶手段18が管理する記憶領域に構成されるテーブルに識別子番号が記録される(S504)。両者に相違があれば、識別子発行通知の受け取りは拒否する旨を返答する。
【0073】
この正当性検証ステップを必ず行うことで、他人の識別子番号を通知することは、識別子発行者情報が正しく記録されている限り無意味となる。
S10,S501のステップはオンライン処理ではなく、必要があれば申請書類の送付などの方法によりおこなわれてもよい。その企業が申告したJANコードとJIPDECコードが本当にその企業の番号なのか厳正に検査する必要があるからである。
図19の各ステップで識別子発行者と検索仲介システム20との間、検索仲介システム20とGEPIRとの間でのリクエスト送信、リクエストへの返信は、公開鍵暗号基盤PKIに則り、信頼できる認証局の発行する公開鍵秘密鍵を利用した電子証明書つきの暗号電文として交換されるべきであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る検索仲介システムの第1の実施形態の全体構成図である。
【図2】第1検索者情報記憶テーブル810および第2検索者情報記憶テーブル210を示す図である。
【図3】粒度処理ルール表を示す図である。
【図4】商品情報の一項目である商品所在の階層構造を示す図である。
【図5】提供条件記憶手段22に記憶されたクラス定義表を示す図である。
【図6】提供条件記憶手段22に記憶された検索者カテゴリ別クラス対応表を示す図である。
【図7】データベース30aに記憶された情報の一例を示す図である。
【図8】検索者−開設者対応表を示す図である。
【図9】データベース30aに設定された情報提供単価表の一例である。
【図10】検索者の需要粒度と情報提供者のデフォルト粒度の対比例である。
【図11】情報粒度処理手段17の機能である開示粒度決定処理の動作を説明するフローチャートである。
【図12】情報粒度処理手段17の機能である粒度交渉処理の動作を説明するフローチャートである。
【図13】第1の実施形態の検索時の概要フローチャートである。
【図14】第1の実施形態の登録処理時の概要フローチャートである。
【図15】識別子発行システム40の構成ブロック図である。
【図16】識別子利用システム50の構成ブロック図である。
【図17】監視対象識別子のテーブルである。
【図18】本発明の第2の実施形態の全体構成図である。
【図19】識別子発行通知の正当性検証の処理フロー説明図である。
【図20】識別子発行者の登録情報である発行者情報テーブル820の一例である。
【符号の説明】
【0075】
10・・・検索者端末
17・・・情報粒度処理手段
20・・・検索仲介システム
20a・・・検索仲介システム
21・・・第2検索者情報記憶手段
22・・・提供条件記憶手段
23・・・リクエスト受付手段
24・・・検索依頼手段
26・・・検索結果提供手段
27・・・内容料金集計手段
28・・・課金・分配手段
30a〜30c・・・データベース
40・・・識別子発行システム
44・・・識別子担体
50・・・識別子利用システム
81・・・第2検索者情報記憶手段
82・・・発行者情報記憶手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開設者が異なる複数のデータベースを利用者端末から検索する際に、検索の仲介を行うシステムであって、
外部から定義されたリクエストを受付け、リクエストに応じた各処理を引き起こすリクエスト受付手段と、
検索者の認証処理に必要な情報を記録する第1検索者情報記憶手段と、
識別子発行通知者の認証処理に必要な情報を記録する発行者情報記憶手段と、
識別子の発行通知者から識別子の発行通知を受付け利用件数を集計すべき識別子の識別子番号を記憶する監視識別子記憶手段と、
検索依頼者端末から検索要求に基づき各データベースに検索依頼を行い結果を取得する検索依頼手段と、
前記各データベースから得られた検索結果に含まれる前記利用件数を集計すべき識別子の件数を識別子の発行通知者ごとに集計する監視識別子集計手段と、
検索結果を検索依頼者端末に提供する検索結果提供手段と、
識別子の発行通知者ごとに集計された識別子件数に基づく識別子発行通知者への分配金額を算定して、識別子の発行通知者への分配額、検索者への請求額、を算出する内容料金集計手段と、
前記内容料金集計手段が算出した課金・配分額を検索者、識別子発行通知者、それぞれの識別情報に対応付けた記録として作成記録する課金・分配手段と、
を具備することを特徴とする検索仲介システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検索の仲介を行うシステムにおいて、
情報粒度処理に必要な検索者の情報を記憶する第2検索者情報記憶手段と、
各データベースの提供条件を、検索結果として提供する情報の粒度を定めるルールとして記述し、これを記憶する提供条件記憶手段と、
前記情報粒度処理に必要な検索者情報、前記各データベースの提供条件に基づいて、前記検索依頼手段が取得した検索結果から検索者に対して公開可能なものを抽出し、あるいは公開可能な情報粒度レベルの値に変換して利用者端末に提供すべきデータとする情報粒度処理手段と、
をさらに備え、
前記検索結果提供手段は、前記情報粒度手段により処理された結果得られたデータを検索依頼者端末に提供するものであることを特徴とする検索仲介システム。
【請求項3】
前記提供条件は、検索者の登録属性及び検索者開示属性により定まる検索者カテゴリとそれに対応する粒度処理ルールの全ての組み合わせにより表現されるものであって、
前記粒度処理ルールは、データベースの各項目ごとに粒度のレベル数と、各粒度レベルごとに当該項目のオリジナル値を該粒度レベルで表示する際に適用する変換規則または置き換え語彙を定めたものであって、
前記情報粒度処理手段は、取得した検索結果であるオリジナルデータから前記提供条件により検索者の検索者カテゴリを決定し、前記提供条件に従って特定の粒度処理ルールを適用して検索結果の各項目を所定の粒度レベルの表示に変換して処理結果データとするものであることを特徴とする請求項2に記載の検索仲介システム。
【請求項4】
前記検索依頼手段は、各データベースに検索依頼を行う前に検索要求元である検索者についての検索者情報を取得して、当該検索者情報に基づいて前記提供条件記憶手段を参照して、当該検索者に対して公開可能なデータベースを特定し、この特定されたデータベースに対してのみ検索依頼を行うものであることを特徴とする請求項2に記載の検索仲介システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の検索仲介システムとして、コンピュータを機能させるソフトウエアプログラム。
【請求項6】
請求項1に記載の検索仲介システムとの通信を行う発行者通知受信手段と、発番権威機関の許諾に基づき重複のない識別番号を発番する発番管理手段と、識別子担体への識別番号の書き込みおよび物品への就役を行う発行装置と、発番管理手段が発行した番号を記録した識別子担体の発行とこの担体の物品への就役を前記発行装置に指示し、就役確認を受けて該識別番号の監視依頼を指示する発行管理手段と、を備えた識別子発行システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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