説明

検索支援装置、プログラム及び方法

【課題】適切な検索式を生成できるようにする。
【解決手段】本検索支援装置は、曖昧検索を実行して検索結果を生成する第1検索部と、第1の検索式を用いて第1の検索を実行すると共に、第1の検索式に含まれるキーワードのうち所定の条件を満たす第1のキーワードの各々について、当該第1のキーワードを第1の検索式から除いた検索式を用いて第2の検索を実行し、第1及び第2の検索の検索結果を生成する第2検索部と、第1のキーワードの各々について、第1の検索の検索結果のうち曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された第2の検索の検索結果のうち曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以上であるという条件を満たすか判断し、条件を満たす第1のキーワードを第1の検索式から除いた検索式を生成する生成部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、検索式を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
公知例調査を行う場合、一般の発明者にとってキーワードや分類コードの選定などを行い検索式を作成することは難しいため、過去に行われた公知例調査に関する知識(検索ナレッジとも言われる)を利用することが好ましい。過去に行われた公知例調査の結果は、例えば調査レポート(例えば、検索に利用した検索式や先行技術文献の情報などを含む)として社内に保存してある場合がある。調査レポートの活用方法の一例として、調査レポートに含まれる、出願アイデアに関連する検索式や先行技術文献の情報を利用することが考えられる。
【0003】
出願アイデアに関連する先行技術文献が調査レポートに有った場合、更に類似した技術文献を検索する方法として曖昧検索がある。曖昧検索は、例えば先行技術文献のデータを検索キーとして与えることにより、関連度が高い技術文献を検索結果として得ることができる。関連度の高さは、例えば同じ単語がどの程度含まれるかといった点で決定される。しかし、曖昧検索は、類似した技術文献を見つけられることも多いが、エビデンスが残らない(すなわち、検索エンジンのパラメータが異なると結果が異なる)といった欠点がある。
【0004】
そこで、調査レポートの検索式を用いて検索を行うことが考えられる。検索式を用いて検索を行えば、エビデンスが残る検索結果を得ることが出来る。しかし、調査レポートの検索式には、先行技術文献を見つけるには不要なキーワードが含まれていることがあり、これによりノイズが生じることがある。
【0005】
従来、検索式を利用した検索方法に関しては、以下のような従来技術が存在する。具体的には、検索式によってヒットした特許資料に含まれるIPC(International Patent Classification)、FI(File Index)、Fターム、出願人などのデータ項目毎に出現回数をカウントする。そして、得られた情報を検索式の作成に利用することにより、精度が高い調査を行えるようにする。しかし、この技術では、どのようにキーワードを組み合わせればよいかは不明であり、適切な検索式を生成することはできない。
【0006】
また、以下のような技術も存在する。具体的には、検索条件式を分割して得られる検索キーの各々について、元々の検索条件式によってヒットする公報から選択された問題公報のうち何件がヒットするかを特定する。そして、ヒット件数が所定値に満たない検索キーを検索条件式から削除するように、検索条件式を更新する。これにより、有効性が低いと考えられる検索キーを検索条件式から削除できるようにする。しかし、この技術では、問題公報そのものしか利用していないため漏れが生じやすい。また、検索キーの評価を行う際に評価対象の検索キーそのものしか考慮していないために漏れやノイズが生じてしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-242004号公報
【特許文献2】特開平10-11455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本技術の目的は、一側面においては、適切な検索式を生成するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態に係る検索支援装置は、(A)検索対象のデータを格納するデータベースと、(B)検索により得られたデータ及び当該検索で用いられた検索式を格納するデータ格納部から、検索により得られたデータを読み出し、当該データを用いてデータベースに対して曖昧検索を実行し、検索結果を記憶装置に格納する第1検索部と、(C)データ格納部から読み出した第1の検索式を用いて、データベースに対して第1の検索を実行すると共に、第1の検索式に含まれるキーワードのうち所定の条件を満たす第1のキーワードの各々について、当該第1のキーワードを第1の検索式から除いた第2の検索式を用いて第2の検索を実行し、第1及び第2の検索の検索結果を記憶装置に格納する第2検索部と、(D)第1のキーワードの各々について、第1の検索の検索結果のうち曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された第2の検索の検索結果のうち曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以上であるという第1の条件を満たすか判断する判断部と、(E)第1の条件を満たすと判断された第1のキーワードを第1の検索式から除いた検索式を生成し、検索式格納部に登録する登録部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
適切な検索式を生成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施の形態に係る検索支援装置の機能ブロック図である。
【図2】図2は、調査レポート格納部に格納されているデータの一例を示す図である。
【図3】図3は、メインの処理フローを示す図である。
【図4】図4は、第1検索結果格納部に格納されているデータの一例を示す図である。
【図5】図5は、メインの処理フローを示す図である。
【図6】図6は、チェック集合を示す図である。
【図7】図7は、キーワード1を除いた場合の検索結果の集合のうちチェック集合に含まれる部分を示す図である。
【図8】図8は、元の検索式による検索結果の集合のうちチェック集合に含まれる部分を示す図である。
【図9】図9は、キーワード2を除いた場合の検索結果の集合を示す図である。
【図10】図10は、元の検索式による検索結果の集合を示す図である。
【図11】図11は、キーワード2を除いた場合に除去されるノイズの部分を示す図である。
【図12】図12は、コンピュータの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態に係る検索支援装置1の機能ブロック図を図1に示す。検索支援装置1は、入力部101と、関連文献格納部102と、曖昧検索部103と、第1検索結果格納部104と、検索式格納部105と、キーワード検索部106と、第2検索結果格納部107と、チェック集合格納部1081、対象キーワード格納部1082、判定部1083及び登録部1084を含む検索式修正部108と、修正後検索式格納部109と、出力部110と、第3検索結果格納部111とを含む。なお、検索支援装置1には、特許文献データベース(DB)11と、調査レポート格納部12とが接続されている。
【0013】
入力部101は、特許文献DB11及び調査レポート格納部12に格納されているデータを用いて処理を行い、処理結果を関連文献格納部102及び検索式格納部105に格納する。曖昧検索部103は、関連文献格納部102に格納されているデータを用いて、特許文献DB11に対して曖昧検索を実行し、検索結果を第1検索結果格納部104に格納する。キーワード検索部106は、検索式格納部105に格納されている検索式及び検索式修正部108から受け取った検索式を用いて、特許文献DB11に格納されているデータに対してキーワード検索を実行し、検索結果を第2検索結果格納部107及び第3検索結果格納部111に格納する。判定部1083は、第1乃至第3検索結果格納部に格納されているデータを用いて処理を行い、処理結果をチェック集合格納部1081及び対象キーワード格納部1082に格納したり、処理結果を登録部1084に通知する。登録部1084は、判定部1083から通知された処理結果に応じて検索式からキーワードを除き、生成されたキーワードを修正後検索式格納部109に格納する。出力部110は、修正後検索式格納部109に格納されているデータを表示部(図示せず)に表示する。
【0014】
図2に、調査レポート格納部12に格納されているデータの一例を示す。調査レポート格納部12には、過去に行われた先行技術文献の調査に関するデータが格納されている。図2の例では、検索式の識別番号と、検索により得られた特許文献の件数と、検索式と、先行技術文献の識別番号とが格納されている。なお、図2は調査レポート1件分のデータを示しているが、調査レポート格納部12には複数件分のデータが格納されていても良い。
【0015】
次に、図3乃至図5を用いて、検索支援装置1の動作を説明する。まず、入力部101は、調査レポート格納部12から先行技術文献の識別情報を読み出す(図3:ステップS1)。ステップS1においては、先行技術文献の識別情報を1件分読み出すものとする。先行技術文献の識別情報は、ランダムに選択しても良いし、重要度等の情報が付されている場合にはそれに応じて選択を行っても良い。また、ユーザから指定を受け付けるようにしても良い。
【0016】
また、入力部101は、ステップS1において読み出された識別情報を含む特許文献のデータを特許文献DB11から抽出し、関連文献格納部102に格納する(ステップS3)。なお、特許文献DB11には、既に公開されている特許文献のデータが格納されている。関連文献格納部102に格納されているデータのフォーマットは特許文献DB11に格納されているデータのフォーマットと同様である。
【0017】
そして、曖昧検索部103は、関連文献格納部102に格納されている特許文献のデータを曖昧検索の入力データとして、特許文献DB11に対して曖昧検索を実行し、検索結果のデータを第1検索結果格納部104に格納する(ステップS5)。なお、ステップS5においては、曖昧検索の入力データとして、例えば出願人の情報や技術的な用語等が用いられる。
【0018】
図4に、第1検索結果格納部104に格納されているデータの一例を示す。図4の例では、順位と、公報番号と、発明の名称と、出願人の情報とが格納されている。なお、順位は例えば類似度により決定される。
【0019】
そして、検索式修正部108における判定部1083は、第1検索結果格納部104に格納されている検索結果のうち上位所定件数の検索結果を抽出してチェック集合Cを生成し、チェック集合Cのデータをチェック集合格納部1081に格納する(ステップS7)。チェック集合格納部1081に格納されているデータのフォーマットは、第1検索結果格納部104に格納されているデータのフォーマットと同様である。
【0020】
一方、入力部101は、調査レポート格納部12に格納されている検索式を読み出し、検索式格納部105に格納する(ステップS9)。ステップS9においては、検索式を1つ分読み出すものとする。検索式は、ランダムに選択しても良いし、件数が所定の条件を満たしている場合に選択を行うようにしても良い。また、ユーザから指定を受け付けるようにしても良い。
【0021】
そして、キーワード検索部106は、ステップS9において読み出された検索式を用いて、特許文献DB11に格納されているデータに対してキーワード検索を実行し、検索結果の件数R1をメインメモリ等の記憶装置に格納する。また、キーワード検索部106は、検索結果のデータを第2検索結果格納部107に格納する(ステップS11)。第2検索結果格納部107に格納されているデータのフォーマットは、第1検索結果格納部104に格納されているデータのフォーマットと同様である。
【0022】
また、判定部1083は、ステップS11において得られた検索結果のうちチェック集合Cに含まれる検索結果の件数C1を特定し、メインメモリ等の記憶装置に格納する(ステップS13)。
【0023】
さらに、判定部1083は、ステップS9において読み出された検索式中の論理和で連結されたキーワードを抽出してキーワード集合Kを生成し、対象キーワード格納部1082に格納する(ステップS15)。例えば「(キーワード1 or キーワード2 or キーワード3) and キーワード4」という検索式であった場合には、「キーワード1」、「キーワード2」及び「キーワード3」が抽出される。なお、ここで言う「キーワード」とは、キーワードの組み合わせも含む。処理は端子Aを解して図5のステップS17に移行する。
【0024】
図5の説明に移行し、判定部1083は、集合Kに含まれるキーワードのうち未処理のキーワードを1つ特定する(図5:ステップS17)。また、判定部1083は、特定されたキーワードを、修正後検索式格納部109に格納されている検索式から除く(ステップS19)。修正後検索式格納部109に検索式が格納されていない場合(すなわち、初回の処理である場合)には、ステップS9において読み出されたキーワードを用いる。そして、判定部1083は、ステップS19において生成された検索式をキーワード検索部106に出力する。なお、修正後検索式格納部109に格納されている検索式ではなく、ステップS9において読み出された検索式を常に利用するようにしても良い。すなわち、累積的にキーワードを除くのではなく、除くキーワードを1つずつ切り替えていくようにしても良い。
【0025】
そして、キーワード検索部106は、ステップS19において生成された検索式を用いて、特許文献DB11に対してキーワード検索を実行し、検索結果の件数R2をメインメモリ等の記憶装置に格納する。また、キーワード検索部106は、検索結果のデータを第3検索結果格納部111に格納する(ステップS21)。第3検索結果格納部111に格納されているデータのフォーマットは、第2検索結果格納部107に格納されているデータのフォーマットと同様である。
【0026】
また、判定部1083は、ステップS21において得られた検索結果のうちチェック集合Cに含まれる検索結果の件数C2を特定し、メインメモリ等の記憶装置に格納する(ステップS23)。
【0027】
そして、判定部1083は、C2/C1>α(以下、条件1とする)を満たすか判断する(ステップS25)。すなわち、(Kを除いた後の検索式による検索結果のうちチェック集合Cに含まれる検索結果の件数)/(元の検索式による検索結果のうちチェック集合Cに含まれる検索結果の件数)>αであるか判断する。αは予め設定された閾値であり、例えば0.9程度の値を設定する。ステップS25の処理は、キーワードを検索式から除いた場合に漏れが多いかを判定するための処理である。C2/C1>αを満たさないと判断された場合(ステップS25:Noルート)、キーワードを除くと漏れが多くなるため、ステップS33の処理に移行する。
【0028】
一方、C2/C1>αを満たすと判断された場合(ステップS25:Yesルート)、判定部1083は、R2/R1<β(以下、条件2とする)を満たすか判断する(ステップS27)。すなわち、(Kを除いた後の検索式による検索結果の件数)/(Kを除く前の検索式による検索結果の件数)<βであるか判断する。βは予め設定された閾値であり、例えば0.9程度の値を設定する。ステップS27の処理は、キーワードを検索式から除いた場合にノイズが減るかを判定するための処理である。そして、R2/R1<βを満たさないと判断された場合(ステップS27:Noルート)、キーワードを除いてもノイズが減らないため、ステップS33の処理に移行する。なお、条件2の式の左辺において、分母を(元の検索式による検索結果の件数)としても良い。すなわち、キーワードを除く直前の検索式による検索結果ではなく、元の検索式による検索結果であっても良い。その場合には、ステップS31の処理を省略する。
【0029】
一方、R2/R1<βを満たすと判断された場合(ステップS27:Yesルート)、登録部1084は、修正後検索式格納部109に格納されている検索式を、ステップS19において生成された検索式で更新する(ステップS29)。修正後検索式格納部109に検索式が格納されていない場合には、ステップS19において生成された検索式を修正後検索式格納部109に登録する。
【0030】
また、判定部1083は、R1にR2を代入する(ステップS31)。そして、判定部1083は、未処理のキーワードが有るか判断する(ステップS33)。未処理のキーワードが有ると判断された場合(ステップS33:Yesルート)、ステップS17の処理に戻る。一方、未処理のキーワードが無いと判断された場合(ステップS33:Noルート)、処理を終了する。
【0031】
以上のような処理を実施することにより、曖昧検索の結果を正解と仮定した場合において、元の検索式に比べ漏れを増やすことなくノイズを減らすことができる検索式を生成することができるようになる。
【0032】
ここで、上で述べた本実施の形態の処理について、具体例を用いてさらに詳しく説明する。本具体例では、「(キーワード1 or キーワード2 or キーワード3) and キーワード4」という検索式からキーワードを除いていく場合について説明する。本具体例の場合、論理和「or」で連結されたキーワードはキーワード1乃至3であるので、キーワード集合Kにはキーワード1乃至3が含まれる。以下では、α=β=0.9とする。
【0033】
本具体例の検索式により得られる検索結果の集合とチェック集合Cとの関係を図6に示す。図6では、枠の面積が検索件数を反映しており、チェック集合Cには網掛けが付されている。図6の場合、検索式による検索結果の集合がチェック集合Cを漏れ無く包含している。
【0034】
まず、キーワード1を検索式から除くか否かについて検討する。キーワード1を除いた後の検索式「(キーワード2 or キーワード3) and キーワード4」による検索結果の集合のうちチェック集合Cに含まれる部分は、図7において網掛けが付されている部分である。一方、元の検索式「(キーワード1 or キーワード2 or キーワード3) and キーワード4」での検索結果の集合のうちチェック集合Cに含まれる部分は、図8において網掛けが付されている部分である。ここで、前者の集合の件数を60件、後者の集合の件数を100件とすると、60/100=0.6となり、αの値よりも小さいので、条件1を満たさない。すなわち、キーワード1を除くと漏れが大きくなってしまうので、キーワード1は除かれない。
【0035】
次に、キーワード2を検索式から除くか否かについて検討する。キーワード2を除いた後の検索式「(キーワード1 or キーワード3) and キーワード4」による検索結果の集合のうちチェック集合Cに含まれる部分は、図8において網掛けが付されている部分である。一方、元の検索式「(キーワード1 or キーワード2 or キーワード3) and キーワード4」での検索結果の集合のうちチェック集合Cに含まれる部分も、図8において網掛けが付されている部分である。ここで、前者及び後者の集合の件数を100件とすると、100/100=1となり、αの値よりも大きくなるので、条件1を満たす。すなわち、キーワード2を除いても漏れが大きくならない。
【0036】
さらに、条件2について検討する。キーワード2を除いた後の検索式「(キーワード1 or キーワード3) and キーワード4」による検索結果の部分は、図9において網掛けが付されている部分である。一方、キーワード2を除く前の検索式「(キーワード1 or キーワード2 or キーワード3) and キーワード4」による検索結果の集合は、図10において網掛けが付されている部分である。そこで、前者の集合の件数を110件、後者の集合の件数を130件とすると、110/130≒0.85となり、βの値よりも小さくなるので、条件2を満たす。すなわち、キーワード2を除くとノイズを減らすことができる。以上より、キーワード2は条件1及び2を満たすので、キーワード2は除かれる。
【0037】
同様の処理をキーワード3についても行うと、キーワード3については除かれないと判定される。従って、最終的に生成される検索式は、キーワード2を除いた「(キーワード1 or キーワード3) and キーワード4」となる。この検索式は、元の検索式と比較すると、図11における網掛け部分を排除することができる。すなわち、チェック集合Cからの漏れを抑えつつ、ノイズを減らすことができる。
【0038】
以上本技術の一実施の形態を説明したが、本技術はこれに限定されるものではない。例えば、上で説明した検索支援装置1の機能ブロック図は必ずしも実際のプログラムモジュール構成に対応するものではない。
【0039】
また、上で説明した各テーブルの構成は一例であって、必ずしも上記のような構成でなければならないわけではない。さらに、処理フローにおいても、処理結果が変わらなければ処理の順番を入れ替えることも可能である。さらに、並列に実行させるようにしても良い。
【0040】
なお、上で述べた例では、キーワード検索に用いる検索式及び曖昧検索に用いる入力データをデータベースから読み出すような例を示したが、ユーザからこれらのデータの入力を受け付けるようにしても良い。
【0041】
また、上では特許文献のデータに対して処理を実施するような例を示したが、データの内容は特許文献のデータに限られるわけではなく、種々のデータに対して本実施の形態の処理を実施することが可能である。
【0042】
なお、上で述べた検索支援装置1は、コンピュータ装置であって、図12に示すように、メモリ2501とCPU2503とハードディスク・ドライブ(HDD)2505と表示装置2509に接続される表示制御部2507とリムーバブル・ディスク2511用のドライブ装置2513と入力装置2515とネットワークに接続するための通信制御部2517とがバス2519で接続されている。オペレーティング・システム(OS:Operating System)及び本実施例における処理を実施するためのアプリケーション・プログラムは、HDD2505に格納されており、CPU2503により実行される際にはHDD2505からメモリ2501に読み出される。CPU2503は、アプリケーション・プログラムの処理内容に応じて表示制御部2507、通信制御部2517、ドライブ装置2513を制御して、所定の動作を行わせる。また、処理途中のデータについては、主としてメモリ2501に格納されるが、HDD2505に格納されるようにしてもよい。本技術の実施例では、上で述べた処理を実施するためのアプリケーション・プログラムはコンピュータ読み取り可能なリムーバブル・ディスク2511に格納されて頒布され、ドライブ装置2513からHDD2505にインストールされる。インターネットなどのネットワーク及び通信制御部2517を経由して、HDD2505にインストールされる場合もある。このようなコンピュータ装置は、上で述べたCPU2503、メモリ2501などのハードウエアとOS及びアプリケーション・プログラムなどのプログラムとが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。
【0043】
なお、図1に示した各処理部は、CPU2503及びプログラムの組み合わせ、すなわち、CPU2503がプログラムを実行することにより実現してもよい。より具体的には、CPU2503は、HDD2505又はメモリ2501に記憶されたプログラムに従った動作を行うことで、上で述べたような処理部として機能してもよい。また、図1に示した各データ格納部は、図12におけるメモリ2501やHDD2505等として実現してもよい。
【0044】
以上述べた本技術の実施の形態をまとめると以下のようになる。
【0045】
本実施の形態に係る検索支援装置は、(A)検索対象のデータを格納するデータベースと、(B)検索により得られたデータ及び当該検索で用いられた検索式を格納するデータ格納部から、検索により得られたデータを読み出し、当該データを用いてデータベースに対して曖昧検索を実行し、検索結果を記憶装置に格納する第1検索部と、(C)データ格納部から読み出した第1の検索式を用いて、データベースに対して第1の検索を実行すると共に、第1の検索式に含まれるキーワードのうち所定の条件を満たす第1のキーワードの各々について、当該第1のキーワードを第1の検索式から除いた第2の検索式を用いて第2の検索を実行し、第1及び第2の検索の検索結果を記憶装置に格納する第2検索部と、(D)第1のキーワードの各々について、第1の検索の検索結果のうち曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された第2の検索の検索結果のうち曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以上であるという第1の条件を満たすか判断する判断部と、(E)第1の条件を満たすと判断された第1のキーワードを第1の検索式から除いた検索式を生成し、検索式格納部に登録する登録部とを有する。
【0046】
このようにすれば、曖昧検索の検索結果を利用して、漏れを増やすことがない簡潔な検索式を生成することが出来るようになる。
【0047】
また、上で述べた判断部が、第1のキーワードの各々について、第1の検索の検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された第2の検索の検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以下であるという第2の条件を満たすか判断し、登録部が、第1及び第2の条件を満たすと判断された第1のキーワードを第1の検索式から除いた検索式を生成し、検索式格納部に登録するようにしてもよい。このようにすれば、さらにノイズを減らすことができるようになる。
【0048】
また、所定の条件が、キーワードが第1の検索式中の論理和で連結されているキーワード又はキーワードの組み合わせのいずれかであるという条件であってもよい。論理積等の場合と比べると、論理和で連結されているキーワード等を検索式から除いても検索結果に大きな影響を与えることが少ない。従って、除くべきキーワード等として適切なものが特定されるようになる。
【0049】
本実施の形態に係る検索支援方法は、(F)検索により得られたデータ及び当該検索で用いられた検索式を格納するデータ格納部から、検索により得られたデータを読み出し、当該データを用いて検索対象のデータを格納するデータベースに対して曖昧検索を実行し、検索結果を記憶装置に格納するステップと、(G)データ格納部から読み出した第1の検索式を用いて、データベースに対して第1の検索を実行すると共に、第1の検索式に含まれるキーワードのうち所定の条件を満たす第1のキーワードの各々について、当該第1のキーワードを第1の検索式から除いた第2の検索式を用いて第2の検索を実行し、第1及び第2の検索の検索結果を記憶装置に格納するステップと、(H)第1のキーワードの各々について、第1の検索の検索結果のうち曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された第2の検索の検索結果のうち曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以上であるという第1の条件を満たすか判断するステップと、(I)第1の条件を満たすと判断された第1のキーワードを第1の検索式から除いた検索式を生成し、検索式格納部に登録するステップとを含む。
【0050】
なお、上記方法による処理をコンピュータに行わせるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又は記憶装置に格納される。尚、中間的な処理結果はメインメモリ等の記憶装置に一時保管される。
【0051】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0052】
(付記1)
検索対象のデータを格納するデータベースと、
検索により得られたデータ及び当該検索で用いられた検索式を格納するデータ格納部から、前記検索により得られたデータを読み出し、当該データを用いて前記データベースに対して曖昧検索を実行し、検索結果を記憶装置に格納する第1検索部と、
前記データ格納部から読み出した第1の検索式を用いて、前記データベースに対して第1の検索を実行すると共に、前記第1の検索式に含まれるキーワードのうち所定の条件を満たす第1のキーワードの各々について、当該第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた第2の検索式を用いて第2の検索を実行し、前記第1及び第2の検索の検索結果を前記記憶装置に格納する第2検索部と、
前記第1のキーワードの各々について、前記第1の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された前記第2の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以上であるという第1の条件を満たすか判断する判断部と、
前記第1の条件を満たすと判断された前記第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた検索式を生成し、検索式格納部に登録する登録部と、
を有する検索支援装置。
【0053】
(付記2)
前記判断部が、
前記第1のキーワードの各々について、前記第1の検索の検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された前記第2の検索の検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以下であるという第2の条件を満たすか判断し、
前記登録部が、
前記第1及び第2の条件を満たすと判断された前記第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた検索式を生成し、前記検索式格納部に登録する
ことを特徴とする付記1記載の検索支援装置。
【0054】
(付記3)
前記所定の条件が、キーワードが前記第1の検索式中の論理和で連結されているキーワード又はキーワードの組み合わせのいずれかであるという条件である
ことを特徴とする付記1又は2記載の検索支援装置。
【0055】
(付記4)
検索により得られたデータ及び当該検索で用いられた検索式を格納するデータ格納部から、前記検索により得られたデータを読み出し、当該データを用いて検索対象のデータを格納するデータベースに対して曖昧検索を実行し、検索結果を記憶装置に格納するステップと、
前記データ格納部から読み出した第1の検索式を用いて、前記データベースに対して第1の検索を実行すると共に、前記第1の検索式に含まれるキーワードのうち所定の条件を満たす第1のキーワードの各々について、当該第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた第2の検索式を用いて第2の検索を実行し、前記第1及び第2の検索の検索結果を前記記憶装置に格納するステップと、
前記第1のキーワードの各々について、前記第1の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された前記第2の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以上であるという第1の条件を満たすか判断するステップと、
前記第1の条件を満たすと判断された前記第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた検索式を生成し、検索式格納部に登録するステップと、
を、コンピュータに実行させるための検索支援プログラム。
【0056】
(付記5)
検索により得られたデータ及び当該検索で用いられた検索式を格納するデータ格納部から、前記検索により得られたデータを読み出し、当該データを用いて検索対象のデータを格納するデータベースに対して曖昧検索を実行し、検索結果を記憶装置に格納するステップと、
前記データ格納部から読み出した第1の検索式を用いて、前記データベースに対して第1の検索を実行すると共に、前記第1の検索式に含まれるキーワードのうち所定の条件を満たす第1のキーワードの各々について、当該第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた第2の検索式を用いて第2の検索を実行し、前記第1及び第2の検索の検索結果を前記記憶装置に格納するステップと、
前記第1のキーワードの各々について、前記第1の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された前記第2の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以上であるという第1の条件を満たすか判断するステップと、
前記第1の条件を満たすと判断された前記第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた検索式を生成し、検索式格納部に登録するステップと、
を含み、コンピュータにより実行される検索支援方法。
【符号の説明】
【0057】
1 検索支援装置 11 特許文献DB
12 調査レポート格納部 101 入力部
102 関連文献格納部 103 曖昧検索部
104 第1検索結果格納部 105 検索式格納部
106 キーワード検索部 107 第2検索結果格納部
108 検索式修正部 1081 チェック集合格納部
1082 対象キーワード格納部 1083 判定部
1084 登録部 109 修正後検索式格納部
110 出力部 111 第3検索結果格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索対象のデータを格納するデータベースと、
検索により得られたデータ及び当該検索で用いられた検索式を格納するデータ格納部から、前記検索により得られたデータを読み出し、当該データを用いて前記データベースに対して曖昧検索を実行し、検索結果を記憶装置に格納する第1検索部と、
前記データ格納部から読み出した第1の検索式を用いて、前記データベースに対して第1の検索を実行すると共に、前記第1の検索式に含まれるキーワードのうち所定の条件を満たす第1のキーワードの各々について、当該第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた第2の検索式を用いて第2の検索を実行し、前記第1及び第2の検索の検索結果を前記記憶装置に格納する第2検索部と、
前記第1のキーワードの各々について、前記第1の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された前記第2の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以上であるという第1の条件を満たすか判断する判断部と、
前記第1の条件を満たすと判断された前記第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた検索式を生成し、検索式格納部に登録する登録部と、
を有する検索支援装置。
【請求項2】
前記判断部が、
前記第1のキーワードの各々について、前記第1の検索の検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された前記第2の検索の検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以下であるという第2の条件を満たすか判断し、
前記登録部が、
前記第1及び第2の条件を満たすと判断された前記第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた検索式を生成し、前記検索式格納部に登録する
ことを特徴とする請求項1記載の検索支援装置。
【請求項3】
前記所定の条件が、キーワードが前記第1の検索式中の論理和で連結されているキーワード又はキーワードの組み合わせのいずれかであるという条件である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の検索支援装置。
【請求項4】
検索により得られたデータ及び当該検索で用いられた検索式を格納するデータ格納部から、前記検索により得られたデータを読み出し、当該データを用いて検索対象のデータを格納するデータベースに対して曖昧検索を実行し、検索結果を記憶装置に格納するステップと、
前記データ格納部から読み出した第1の検索式を用いて、前記データベースに対して第1の検索を実行すると共に、前記第1の検索式に含まれるキーワードのうち所定の条件を満たす第1のキーワードの各々について、当該第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた第2の検索式を用いて第2の検索を実行し、前記第1及び第2の検索の検索結果を前記記憶装置に格納するステップと、
前記第1のキーワードの各々について、前記第1の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された前記第2の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以上であるという第1の条件を満たすか判断するステップと、
前記第1の条件を満たすと判断された前記第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた検索式を生成し、検索式格納部に登録するステップと、
を、コンピュータに実行させるための検索支援プログラム。
【請求項5】
検索により得られたデータ及び当該検索で用いられた検索式を格納するデータ格納部から、前記検索により得られたデータを読み出し、当該データを用いて検索対象のデータを格納するデータベースに対して曖昧検索を実行し、検索結果を記憶装置に格納するステップと、
前記データ格納部から読み出した第1の検索式を用いて、前記データベースに対して第1の検索を実行すると共に、前記第1の検索式に含まれるキーワードのうち所定の条件を満たす第1のキーワードの各々について、当該第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた第2の検索式を用いて第2の検索を実行し、前記第1及び第2の検索の検索結果を前記記憶装置に格納するステップと、
前記第1のキーワードの各々について、前記第1の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数に対する、当該第1のキーワードについて実行された前記第2の検索の検索結果のうち前記曖昧検索の検索結果に含まれる検索結果の件数の割合を算出し、当該割合が所定の閾値以上であるという第1の条件を満たすか判断するステップと、
前記第1の条件を満たすと判断された前記第1のキーワードを前記第1の検索式から除いた検索式を生成し、検索式格納部に登録するステップと、
を含み、コンピュータにより実行される検索支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−173817(P2012−173817A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32644(P2011−32644)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】