説明

検診結果資料の作成システム

【課題】受診者の受診時における健康状態を示すデータを、従来の検診数値結果など以外からも求める。
【解決手段】人間ドック報告書のような検診結果資料に、各検診項目における受診者の検診結果とともに、毎回受診するごとに撮影された受診者の顔写真1を掲載する。顔写真1の撮影は、検診施設における検診の受付場所から終了場所に至るまでのルート中の適所に設置された写真スタジオにて、受診者自身が行う。毎回受診するごとに撮影された受診者の顔写真1は、時系列に一覧表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病気の有無を調べるための検査や診断の結果をまとめた検診結果資料の作成システムに関する。
本発明は特に、定期的に受診する人間ドックの報告書の作成システムに適している。
【背景技術】
【0002】
病気の予防ならびに早期発見および治療のためには、医療関連施設において検診を受けることが有効である。特に定期的に人間ドックにおいて検診(健診を含む)を受けることは、検査データを時系列で比較することができるので、きわめて好ましい。
【0003】
また、検診結果をまとめた資料(検診結果資料)は、個人情報管理を厳密に行うことを前提に受診者に提供することができるので、受診者は、それを見て自己健康管理をするほか、たとえば他の医療機関のセカンドオピニオンを聞くために検診結果資料を持参することができる。さらに、持病を持つ受診者は、国内外の旅行の際に自身の検診結果資料を携帯することにより、万一の場合に現地医療関係者から適切な治療を受けることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検診の際、医療関係者は受診者と対面し、その顔色などを観察して必要な情報を頭にインプットしたうえで検診を実施してゆく。顔色などからの判断により、検査項目を増やしたり検査の精度レベルを変更したりすることもできる。受診者の顔にはその人の健康に関する生のデータが豊富に含まれているからである。
【0005】
しかしながら、検査結果資料には、レントゲン写真などは含まれていても、受診時の受診者の顔写真は含まれていない。
本人確認のための写真がカルテに掲載されることはあっても、それは多く初診時のものである。そしてそれは、本人確認を目的としたものであって、毎回の受診時ごとに撮影されて蓄積されたものではない。初診時の顔写真は、他の検診データの最新結果と直接関連づけることはできない。
【0006】
受診者の受診時の顔写真は、その人のその時の健康状態を示すデータを含むので、同じ受診時の他の検診データと同様に取り扱われるべきである。顔写真からのデータと他の検診データとからの総合判断により、的確な診断を行うことができる。また、毎回の受診時における顔写真を一覧して比較することにより、また、過去の特定時期の顔写真と現在の受診者の顔とを比較することにより、他の検診データには表れにくい健康状態の推移を的確に読み取ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明によれば、
検診結果資料に、各検診項目における受診者の検診結果とともに、毎回受診するごとに撮影された受診者の顔写真を掲載することを特徴とする、検診結果資料の作成システムが提供される。
【0008】
前記顔写真の撮影は、検診施設における検診の受付場所から終了場所に至るまでのルート中の適所に設置された写真スタジオにて行うことができる。
受診者自身が前記写真スタジオの設備を利用して前記顔写真の撮影を行うことができる。
【0009】
毎回受診するごとに撮影された受診者の前記顔写真は、検診結果資料に時系列に一覧表示することができる。
前記検診結果資料は電子データとしてもよい。
【0010】
前記検診結果資料は、人間ドックドック報告書であってもよい。
(発明を実施するための実施の形態)
【0011】
人間ドックにおいて検診結果資料を作成する場合を例にとり説明する。
図1は、本発明により作成される検診結果資料の一例を示す。人間ドックにおいては、人間ドック報告書という形で検診結果資料が作成される。人間ドック報告書には、各種の健診事項(検診項目)について前回受診時の検診結果による判定と今回受診時の検診結果による判定とが記載されるとともに、今回受診時における顔写真1が掲載される。必要であれば、詳細な検診結果の内容や、前々回以前の判定を併記してもよい。毎回(例えば年1回)の受診時に、図1と同様の検診結果資料が作成される。
【0012】
今回の受診時における各種検診項目についての結果と顔写真とを一覧したい場合には、図1のようなレイアウトの検診結果資料が好ましい。しかしながら、顔写真について過去に受診したときのものも含めて一覧したいときには、図2のようなレイアウトの検診結果資料が好ましい。図2に示したレイアウトにおいては、撮影の日付すなわち受診の日付の下の空欄2に、それぞれの受診時に撮影した顔写真が掲載される。このように毎回受診するごとに撮影された受診者の顔写真を時系列に一覧表示することにより、受診者の健康状態の履歴を概観することができる。
【0013】
検診結果資料として図1のレイアウトのものと図2のレイアウトのものとの双方が作成されることが好ましい。また、他のレイアウトのものを作成してもよい。例えば、胸部その他の部位のレントゲン写真を含めた検診結果資料を作成するようにしてもよい。
【0014】
検診結果資料は、紙などのシートの形で作成してもよいが、電子データの形で作成してもよい。
検診結果資料に掲載する受診者の顔写真は、受診時に撮影されたものであることが必要なので、顔写真は検診施設(この実施例の場合は人間ドック)で撮影される。いつ、どの場所で、どのように撮影するのが良いのかは、それぞれの検診施設の特徴によって異なるところがあるかも知れないが、好ましいと思われる例を次に示す。
【0015】
図3は一般的な人間ドック施設の一つのフロアの概略平面図である。受診者は、出入口3から入り、受付4で手続きし、更衣室5で受診着に着替え、各部屋6ないし10で検診を受けてゆく。検診を終えたのち、受診者は再び更衣室5で着替え、会計を済ませて退出する。顔写真の撮影は、受付から検診終了までのルート中の適所で行えば良い。また、検診が始まる前のリラックスした初期の段階で撮影が行われることが好ましい。さらに、他人の存在によって緊張感が増すことのないよう、受診者自身が一人で撮影することが好ましい。これらのことを勘案すると、受付4または更衣室5の近くに設置された写真室11または12にて受診者自身が設備を利用して撮影を行うことが望ましい。
【0016】
写真室といっても、特別な施設を構築することなく、市中で見かける証明写真用のボックス型撮影施設と同様の写真スタジオ13(図4)を写真室11または12の場所に設置すればよい。受診者は写真スタジオ13内に入り、椅子14に腰掛け、写真撮影に必要な料金を投入口15に入れ、裏にカメラが置かれているハーフミラー16に顔を写し、自分でボタンなどを操作して写真を写す。
【0017】
撮影された顔写真は、1分前後でその場で紙のようなシートの形に作成し、受診者が受け取って所定の場所に提出するようにしてもよいし、イメージデータとして所定の場所に送信されるようにしてもよい。
【0018】
写真室11または12の場所に置かれる写真スタジオ13は、市中のボックス型撮影施設と同様の構造であるため、設置面積も比較的小さくて済む(約1m)。したがって、受付4や更衣室5の近くの空いているスペースに設置することが可能である。また、受診者も取り扱いに慣れているので、リラックスした状態で撮影できる。特別に回りを囲む壁を設けなくとも、簡単なカーテン17でプライバシーを保護することができる。
【0019】
撮影された顔写真は、例えば図1および図2に示すようなレイアウトの検診結果資料に掲載される。検診結果資料は、紙のようなシートの形式で、または、電子データの形式で保存される。電子データで保存した場合、顔写真および他の検診結果のデータを自由に組み替えて所望のレイアウトの検診結果資料を容易に作成することができる。また、自宅に戻った受診者に検診結果資料を送信することもできる。
【0020】
受診者が所望であれば、必要な記載事項を外国語に翻訳した検診結果資料を提供するサービスを行うこともできる。このような検診結果資料は、海外旅行や出張の際に携帯すると役に立つ。特に持病のある受診者については、万が一のときの必要な処置を追加記載しておくとよい。
【0021】
なお、所望であれば、写真スタジオ13のメンテナンスは、医療施設側が直接関与せず、外部専門業者に委託するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の検診結果資料の作成システムによれば、受診者の顔写真が毎回の受診時に撮影されて検診結果資料に掲載されるので、顔写真に含まれるデータを他の検診データと同様に活用することができる。双方のデータから、より的確な判断を下すことができる。
【0023】
過去から現在までの顔写真の履歴を観察することにより、他の検診データからは得られない健康状態の推移を読み取ることもできる。
顔写真を受診者自身が撮影することにより、リラックスした写真が撮れ、医療施設側の労力負担も少ない。
【0024】
顔写真付きの検診結果資料を国内外の旅行時に携帯すれば、未知の医療関係施設においても本人確認が容易にできるだけでなく、現在の本人の顔色等がどの程度どのように異常なのか、あるいは正常なのか、医療関係者は的確に判断することができる。他の医療機関にセカンドオピニオンを求める場合も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明により作成された検診結果資料の一例としての人間ドック報告書のレイアウト図。
【図2】過去の受診時から今回の受診時に至るまでの顔写真を時系列に一覧表示する形式の検診結果資料のレイアウト図。
【図3】一般的な人間ドック施設の一つのフロアの概略平面図。
【図4】顔写真の撮影に用いられる写真スタジオの概略斜示図。
【符号の説明】
【0026】
1 顔写真、2 空欄、3 出入口、4 受付、5 更衣室、6ないし10 部屋、11・12 写真室、13 写真スタジオ、14 椅子、15 料金投入口、16 ハーフミラー、17 カーテン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検診結果資料に、各検診項目における受診者の検診結果とともに、毎回受診するごとに撮影された受診者の顔写真を掲載することを特徴とする、検診結果資料の作成システム。
【請求項2】
前記顔写真の撮影が、検診施設における検診の受付場所から終了場所に至るまでのルート中の適所に設置された写真スタジオにて行われることを特徴とする、請求項1に記載の検診結果資料の作成システム。
【請求項3】
受診者自身が前記写真スタジオの設備を利用して前記顔写真の撮影を行うことを特徴とする、請求項2に記載の検診結果資料の作成システム。
【請求項4】
毎回受診するごとに撮影された受診者の前記顔写真を検診結果資料に時系列に一覧表示することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の検診結果資料の作成システム。
【請求項5】
前記検診結果資料が電子データであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の検診結果資料の作成システム。
【請求項6】
前記検診結果資料が人間ドックドック報告書であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の検診結果資料の作成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−288692(P2006−288692A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113116(P2005−113116)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(505132921)
【Fターム(参考)】