説明

極低温冷却装置

【課題】冷凍機を用いた極低温冷却において、チップの効果的冷却のためには、チップと冷却ヘッド間の熱伝導度を十分に確保する必要があるが、接触をよくするためにネジの締め付けトルクを上げると破損や撓みという問題がある。チップを破損させることなく、チップと冷却ヘッドの間の熱的接触を向上させて実装することを目的とする。
【解決手段】極低温冷却装置において、チップを冷凍機の冷却ヘッドに実装する際に、加圧用の基板及び四角枠状等の力伝達部品を設けて、チップを搭載したチップキャリア基板とプリント配線基板と力伝達部品と加圧用の基板とを重ねた状態で、ネジ等によって加圧用の基板を冷凍機に固定する。ネジ等を締め付けることによって、加圧用の基板が力伝達部品を押圧し、該力伝達部品がプリント配線基板を押圧し、該プリント配線基板がチップキャリア基板を押す。これによって、チップキャリア基板と冷却ヘッドとの間で熱接触性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導素子等を冷凍機の冷却ヘッドへ熱伝導性よく実装する極低温冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子計測器の高精度化に伴い、より高精度な電圧の発生・計測を可能とする標準電圧発生装置として、ジョセフソン電圧標準(Josephson voltage standard: JVS)が開発されている。これは超伝導ジョセフソン素子をチップ上に集積して実現されており、4〜10Kの極低温冷却技術が必要である。従来は液体ヘリウムを用いた冷却方式が主流であった。チップを液体ヘリウムに浸すだけで容易に冷却可能ではあるが、液体ヘリウムは枯渇資源のためコスト高であり、将来的には入手が難しくなる。JVSのより一層の利用・普及のためには、冷却コストの削減が必要であり、極低温冷凍機を用いた冷却技術の開発が望まれている。
【0003】
冷凍機を用いてJVSチップを冷却するためには、チップを冷凍機の冷却ヘッドに熱的に接触させる必要がある。両者の間の熱伝導に基づいて、チップの熱が冷却ヘッドへと奪われることによって冷却が行われるためである。冷凍機を用いてJVSチップを冷却する技術について、特許文献1乃至4がある。
【0004】
冷凍機にチップ1を実装する従来例を、図4に示す。図4では、チップキャリア基板に搭載したチップ1を、プリント配線基板3等に接続し、これらを冷凍機の冷却ヘッド2にネジ7等により固定し、熱的に接触させている。ここで熱接触が不十分であると、チップ自身の発熱によりすぐにチップ温度が上昇してしまう。ジョセフソン素子の特性は温度変化に対して極めて敏感であり、チップの動作による発熱によって温度が上昇すると、特性が劣化してしまう。最悪の場合は超伝導状態を維持することすらできなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−40561号公報
【特許文献2】特開平7−131078号公報
【特許文献3】特開平11−97753号公報
【特許文献4】特開2003−101088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5及び図6は、チップの冷凍機への実装に関する従来例を詳しく示す図である。図5は、従来例の分解組み立て図であり、図6は、従来例を上面及び側面から見た説明図である。従来例では、チップ1をチップキャリア基板3の上に搭載し、両者を必要に応じてハンダ付け等により熱的・機械的に接続している。チップ1の搭載されたチップキャリア基板3を冷却ヘッド2の上に載せて、その間には接触性をよくするために、必要に応じてインジウムシート(またはグリス、金属ペーストなど)が挟まれている。また、チップ1は、チップキャリア基板3上のプリント配線基板4とボンディングワイヤ6により電気的に接続されている。チップキャリア基板3を冷却ヘッド2上に固定する目的と、チップキャリア基板3を冷却ヘッド2へと押し付けて熱的接触をとる目的を兼ねて、チップキャリア基板3上のプリント配線基板4の隅をネジ7により冷却ヘッドのネジ穴8へ固定している。チップキャリア基板を直接ネジで固定しないのは、チップキャリア基板として用いる熱伝導性の優れた基板材料が通常加工性が悪く強度がないためである。
【0007】
効果的な冷却を行うためには、チップ1と冷却ヘッド2との間の熱伝導度を十分に確保する必要があり、そのためにはチップ1と冷却ヘッド2との間の熱接触が重要で、熱伝導性を極力上げる必要がある。具体的には、チップキャリア基板に熱伝導率の高い材料を採用することと、チップとチップキャリア基板間、チップキャリア基板と冷却ヘッド間の界面の熱伝導度を高くすることが重要である。接触をよくするためには、プリント配線基板4を固定しているネジの締め付けトルクを上げて、チップキャリア基板3を冷却ヘッド2に押し付ける力を強める必要があった。しかしながらネジを強く締め付けると、今度はプリント配線基板4が撓んでしまう。すると、チップ1とプリント配線基板4とを電気的に接続するためのボンディングワイヤ6が外れたり、プリント配線基板4さらにはチップ自身にまでストレスが及び破損したりすることもあり、信頼性に問題があった。逆にネジ7の締めつけを緩めれば、熱接触をとることができなくなる。ネジ穴8の位置をチップキャリア基板の四隅ではなく中心部付近にすれば、上記問題は低減化され、またよりチップに近い部分で力を加えることができるため熱接触性も上がるが、プリント配線基板4の中心部は一般に配線密度が高くネジ止めすることは現実的ではないという問題があった。
【0008】
本発明は、極低温冷却装置のこれらの問題を解決しようとするものであり、チップを冷却ヘッドに熱的接触を向上させて実装する構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の特徴を有する。
【0010】
本発明は、チップを冷凍機の冷却ヘッドに固定する極低温冷却装置であって、チップを搭載したチップキャリア基板と、第1の基板と、力伝達部品と、第2の基板とを順に重ね、前記第2の基板が前記力伝達部品を介して前記第1の基板及び前記チップキャリア基板を前記冷却ヘッドに押圧するように、前記第2の基板を冷凍機に固定することを特徴とする。また、本発明の前記第1の基板は、具体的には配線基板である。また、前記力伝達部品は、チップを囲む枠形状であることを特徴とする。また、本発明の極低温冷却装置においては、前記第1の基板は、チップを配置する複数の空所を備え、前記第2の基板が複数の前記力伝達部品を介して前記第1の基板及び前記チップキャリア基板を前記冷却ヘッドに押圧するように、前記第2の基板を冷凍機に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明において、プリント配線基板のような第1の基板は、従来のように四隅をネジによって押されるのではなく、力伝達部品を介して、第2の基板である加圧用の基板から押される。具体的には、プリント配線基板のより中心に近い部分(チップ周辺近傍部分)が押される。そのため、プリント配線基板は反りにくくなる。また、プリント配線基板自身が反らないので、ボンディングワイヤが外れる恐れがないばかりか、プリント配線基板もしくはチップが破損することもなくなるので、信頼性が向上する。このように破損しなくなるため、従来よりも10倍近く強いトルクでネジ締めすることが可能になり、チップキャリア基板と冷却ヘッドとの熱接触性を従来よりも向上させることができる。本発明において、万一ネジの締め付けトルクを強くしすぎた場合は、第2の基板である加圧用の基板に最も強いストレスがかかり、これが最初に破損する。このとき、力伝達部品をはじめとして、プリント配線基板やチップが破損する恐れがないので安全であり、フェールセーフ機能を有している。
【0012】
本発明においては、力伝達部品は任意の位置に配置することができ制限がなく、チップ近傍部分に配置することができる。よって、チップキャリア基板とプリント配線基板のチップ近傍周辺を、力伝達部品を介して押すことができるので、チップとチップキャリア基板と冷却ヘッドとの間のチップ近傍部における熱伝導度が向上するため、冷却の効果が非常に高い。
【0013】
また、本発明においては、実装のためのネジ及びネジ穴の位置は、従来通りの位置でよく、プリント配線基板の四隅など、配線密度が疎になっている任意の箇所でよいので、実装の自由度が向上する。
【0014】
また、本発明では、従来の特許文献4等の技術と比べて、以上の作用効果に加えて、さらに、チップキャリア基板を第1の基板であるプリント配線基板の面で押さえる構造となっているので、チップを冷却ヘッドに向かって、機械的ストレスをかけることなくより強い力で押さえることができる効果がある。強い力で押さえることができることにより、動作温度4〜10Kの低温超伝導体が用いられる超伝導回路応用での冷却効果が優れ、動作特性の変化を抑制することができる。
【0015】
また、チップの交換、配線基板の交換など、超伝導回路において、装置のメンテナンスは重要である。特に、加圧用の基板の冷凍機への固定手段を、ネジのような着脱可能な手段にする場合は、本発明の装置は、メンテナンスの観点から非常に作業性が向上する。さらに、本発明は従来方法に対して、加圧用の基板と力伝達部品とを導入するだけで実現でき、追加の部品点数が少なく非常に経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明する分解組み立て図。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明する図。
【図3】本発明の第2の実施の形態を説明する図。
【図4】従来例のチップを冷凍機へ実装して冷却する構造を示す図。
【図5】従来例の実装構造を説明する分解組み立て図。
【図6】従来例の実装構造を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の極低温冷却装置は、チップを冷却ヘッドに実装する際に、従来のように、プリント配線基板を直接締め付けて冷却ヘッドに固定するのではなく、加圧用の基板を設けて、加圧用の基板を冷凍機に締め付け固定することにより、チップ及びチップキャリア基板を、冷却ヘッドへ押しつけて熱的接触を向上させるものである。以下、実施の形態について述べる。
【0018】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態を図1及び図2を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態を説明する分解組み立て図である。図2は、第1の実施の形態の実装構造を上面及び側面から見た説明図である。チップ1がチップキャリア基板3上に固定して搭載され、該チップキャリア基板3上にプリント配線基板4が設けられ、その上に力伝達部品12を介して加圧用の基板11が設けられている。加圧用の基板11の隅にはネジ穴が開けられており、プリント配線基板4の隅にあるネジ穴14と同じ位置にある。チップキャリア基板3とプリント配線基板4と力伝達部品12と加圧用の基板11とを重ねた状態で、ネジ13によって、加圧用の基板11を冷凍機に固定する。隅のネジ13を締め付けることによって、加圧用の基板11が力伝達部品12を押圧し、該力伝達部品がプリント配線基板4を押圧し、該プリント配線基板4がチップキャリア基板3を押す。チップキャリア基板3が押圧されることによって、チップキャリア基板3と冷却ヘッド2との間で熱接触性が向上する。
【0019】
チップ1は、ジョセフソン電圧標準チップ等である。チップ1は、チップキャリア基板3上に搭載されている。チップキャリア基板3は、チップ1と熱膨張係数が近くてかつ熱伝導性の優れた材料が望ましいので、Si基板やサファイア基板を用いる。また、チップキャリア基板3として、金属基板を用いてもよい。チップキャリア基板3の形状や大きさは、適宜変更でき、プリント配線基板4と同程度まで大きくすることもできる。チップ1とチップキャリア基板3とは、ハンダ付け等により固定されている。ハンダ付けで固定することにより熱接触が良好になり熱伝導性を向上させる効果がある。ハンダ付けを省略してもよい。また、ハンダ付け以外のグリス等により固定することができる。
【0020】
プリント配線基板4は、チップ1を配置する空所を有し、該空所に配置されるチップ1の電極と電気的に接続するための入出力端子の配線を有している。チップ1の電極とプリント配線基板4の端子とは、ボンディングワイヤ6で電気的に接続されている。プリント配線基板4は、チップキャリア基板3の上に固定されている。接着剤等で固定するとよい。プリント配線基板4とチップキャリア基板3が別体の例を示したが、一体に形成されたものを用いてもよい。その場合は、一体にされたプリント配線基板4とチップキャリア基板3の両方にネジ穴を設けてもよい。
【0021】
プリント配線基板4のチップ近傍周辺位置に力伝達部品12を載せる。さらに、加圧用の基板11を、プリント配線基板4全体を覆うように力伝達部品12の上に載せる。なお、加圧用の基板11には、銅などの金属板や、誘電体や樹脂等などの基板材料を用いる。加圧用の基板11の四隅にはネジ穴を開けて、プリント配線基板4の四隅に開けられたネジ穴14と同じ配置で開けておく。ネジの位置は四隅に限定されるものではなく、強固に締め付けることができる位置に設けることができる。
【0022】
加圧用の基板11の上からネジ13を通し、プリント配線基板4のネジ穴14も通し、冷却ヘッド2のネジ穴14にネジ止めして、加圧用の基板11を固定する。冷却ヘッドそのものにネジ穴を設けた例を図示しているが、冷却ヘッドを保持する冷凍機の部材にネジ止めしてもよい。ネジ13を締めることによって、加圧用の基板11はネジ13に押されて力伝達部品12を押し、それによってプリント配線基板4が押圧されて、チップキャリア基板3と冷却ヘッド2との間で熱接触をとることができる。なおネジ13によって直接押されるのは加圧用の基板11のみである。プリント配線基板4のネジ穴14については、ネジを貫通させるだけであり、プリント配線基板4をネジ13で直接押さえるわけではない。
【0023】
また、力伝達部品12は、加圧用の基板11からの押圧力をプリント配線基板4に伝達する機能を有するものであれば、形状や構造は、特に限定されない。図1には、力伝達部品12として、中央に空所を有する四角枠の形状が図示されている。このように、力伝達部品12としてチップを囲む枠形状が好ましい。基本的に、力伝達部品12は、チップ近傍周辺でプリント配線基板4を均一に押すことができるよう高さが一定の形状であればよい。また、加圧用の基板がフェールセーフ機能でもし破損した場合に、チップの損傷を防ぐために、チップを覆う形でコの字型のチップカバー形状にして、脚部がプリント配線基板の所定の箇所を押圧するようにしてもよい。力伝達部品12は、誘電体や樹脂等の材料により形成される。
【0024】
また、チップキャリア基板3と冷却ヘッド2との間には、熱接触性が改善するために、インジウムシート等の金属シートやグリスを挟むことが望ましい。またこれらを省略することもできる。
【0025】
図1では、本発明を簡単に説明するために、冷却ヘッドにチップが1つ図示されているが、冷却ヘッドには、複数個のチップを同様に実装するとよい。
【0026】
図5に示した従来方法では、ネジの締め付け時に2cNm以下のトルクを加えただけで、チップまたはチップキャリアが破損していた。これに対して図1のような第1の実施の形態の実装構造を用いると、20cNm近いトルクを加えても、破損しなくなった。このように、本発明によれば、従来よりも10倍近く大きな力で押さえることが可能になった。
【0027】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、多数のチップを実装するためのマルチチップ実装構造を示す。複数のチップを、共通するプリント配線基板や共通する加圧用の基板を用いて実装する構造である。図3は、第2の実施の形態を説明する分解組み立て図である。複数のチップ1がチップキャリア基板3上に固定して搭載され、該チップキャリア基板3上には、共通する1枚のプリント配線基板4が設けられ、その上に複数の力伝達部品12が設けられ、該力伝達部品12を介して共通する1枚の加圧用の基板11が設けられている。加圧用の基板11にはネジ穴が開けられており、プリント配線基板4にあるネジ穴14と同じ位置にある。ネジ13によって、加圧用の基板11とプリント配線基板4とを重ねた状態で両者を冷却ヘッド2に固定する。ネジ13を締め付けることによって、加圧用の基板11が複数の力伝達部品12を押し、該力伝達部品12がプリント配線基板4を押し、該プリント配線基板4がチップキャリア基板3を押す。チップキャリア基板3が冷却ヘッドに押し付けられることによって、チップキャリア基板3と冷却ヘッド2との間で熱接触性が向上する。
【0028】
プリント配線基板4は、チップ1を配置するための複数の空所を有し、チップ1の電極と電気的に接続するための入出力端子の配線を有している。チップ1の電極とプリント配線基板4の入出力端子とは、ボンディングワイヤで電気的に接続されている。プリント配線基板4は、複数のチップキャリア基板3の上に固定されている。
【0029】
プリント配線基板4の所定の位置に力伝達部品12を載せる。さらに、1枚の加圧用の基板11を、プリント配線基板4全体を覆うような形状で複数の力伝達部品12の上に載せる。加圧用の基板11の上からネジ13を通し、プリント配線基板4のネジ穴14も通し、冷却ヘッド2のネジ穴14にネジ止めして、加圧用の基板11を固定する。冷却ヘッドそのものにねじ穴を設けた例を図示しているが、冷却ヘッドを支持する冷凍機の部材にネジ止めしてもよい。ネジ13を締めることによって、加圧用の基板11はネジ13に押されて複数の力伝達部品12を押し、それによってプリント配線基板4も押されて、チップキャリア基板3と冷却ヘッド2との間で熱接触をとることができる。なおネジ13によって直接押されるのは加圧用の基板11のみである。
【0030】
第2の実施の形態において、力伝達部品12は、加圧用の基板11からの押圧力をプリント配線基板4に伝達する機能を有するものであれば、形状や構造は、特に限定されない。図2には、力伝達部品12として、円筒形状が図示されているが、プリント配線基板4に均一に押圧できるよう高さが等しい形状であれば、形状は問わない。第1の実施の形態のように、枠形状であってもよい。力伝達部品12は、チップ近傍周辺又は、空所と空所の間の任意の位置に力を均一に伝えるように配置するとよい。
【0031】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態で得られる作用効果に加えて、さらに、複数のチップを1枚のプリント配線基板上にマウントした構造に対しても、強固な熱接触を得ることができる。
【0032】
本発明を実施するにあたっては、第1及び第2の実施の形態を適宜組み合わせることができる。本発明の実施の形態では、第1の基板としてプリント配線基板4を例示して説明したが、必ずしも配線された基板やプリント基板に限定する必要はない。また、加圧用の基板である第2の基板としてプリント配線基板を用いてもよい。また、本発明の実施の形態では、ネジによる締め付けについて、ネジの位置は四隅を例示したが、位置、本数ともに必要に応じ適宜設けることはもちろんであり、締め付け固定の方法についても、ネジに限定しないものとし、例えばワイヤ等を用いて固定してもよい。
【0033】
本発明は標準電圧発生装置のJVSチップをチップの例として挙げたが、JVSチップ素子に限らず、極低温冷却のための実装であるため、超伝導素子や、超伝導素子以外の極低温冷却が必要な半導体素子チップの実装に対して用いることができる。また、上記実施の形態等で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、超伝導ジョセフソン素子を集積したチップを実装するジョセフソン電圧標準において特に有用である。また、超伝導エレクトロニクス分野全般及び半導体分野の極低温冷却技術分野において有用である。
【符号の説明】
【0035】
1、 チップ
2、 冷却ヘッド
3、 チップキャリア基板
4、 プリント配線基板
5、 入出力端子
6、 ボンディングワイヤ
7、 ネジ
8、 ネジ穴
11、 加圧用の基板
12、 力伝達部品
13、 ネジ
14、 ネジ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップを冷凍機の冷却ヘッドに固定する極低温冷却装置であって、チップを搭載したチップキャリア基板と、第1の基板と、力伝達部品と、第2の基板とを順に重ね、前記第2の基板が前記力伝達部品を介して前記第1の基板及び前記チップキャリア基板を前記冷却ヘッドに押圧するように、前記第2の基板を冷凍機に固定することを特徴とする極低温冷却装置。
【請求項2】
前記力伝達部品は、チップを囲む枠形状であることを特徴とする請求項1に記載の極低温冷却装置。
【請求項3】
前記第1の基板は、チップを配置する複数の空所を備え、前記第2の基板が複数の前記力伝達部品を介して前記第1の基板及び前記チップキャリア基板を前記冷却ヘッドに押圧するように、前記第2の基板を冷凍機に固定することを特徴とする請求項1に記載の極低温冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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