説明

極低酸素濃度ガス生成装置

【課題】産業利用を目的としたパーティクルの無い、極低酸素濃度ガスの供給を行う。
【解決手段】配管からのガスが通過する中空を有するセラミック製固体電解質体21と金属製配管20とを密封固着する酸素分子排出装置26を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低酸素濃度ガス生成装置に係り、特に固体電解質内を通過するガス中の酸素濃度を極低酸素分圧にして半導体製造装置等に供給する極低酸素濃度ガス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に使用されている不活性ガスや窒素等の産業用途のガスには、微量ではあるが不純物として酸素を含む。したがって、あらゆる分野において酸化を防ぐ目的の工程がある場合に酸素分子の存在が問題となる場合がある。例えば、CVD、スパッタ等による金属薄膜の作成時、金属間化合物の製造時、又は、半導体製造工程の配線処理時等に問題になることがある。
【0003】
このような場合において使用されるガスは、既に酸素の吸着、吸収、触媒反応などの慣用的な方法を用いて酸素分子を除去したものであるが、非常に酸化しやすい物質を取り扱う場合には非常に低い酸素分圧のガスを必要とする。従って、従来の方法で得られる酸素分圧より低い酸素分圧が求められる場合には適用できないという問題があった。
【0004】
このような極めて低い酸素分圧を発生させる手段の一つとして、ストロンチウムドープ・ランタニウム・マンガネート等の固体電解質を用いた酸素ポンプと呼ばれる酸素分子除去装置が公知技術として知られている。固体電解質はシリンダ構造を有し、酸素センサからの酸素分圧値により操作電圧をフィードバック制御することで高圧から低圧までの低酸素雰囲気ガスを製造するものである。(特許文献1参照)
【0005】
また、酸素ポンプで得られた低酸素ガスを経路リターンさせることで、10のマイナス21乗気圧以下10のマイナス30乗気圧以上の更なる低い酸素分圧が得られることが知られている。(特許文献2、3参照)
【特許文献1】特表平10−500450号公報
【特許文献2】特開2002−326887号公報
【特許文献3】特開2005−331339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2又は特許文献3では、10のマイナス30乗気圧以下の酸素分圧は実現されておらず、それ以下の酸素分圧には対応できないという問題点がある。
【0007】
また、ガスのリターン経路の無い酸素ポンプの場合は酸素分圧が10のマイナス20乗気圧程度までしか酸素を除去できないという問題点がある。
【0008】
さらに、固体電解質酸素ポンプ管の気密性に関して、Oリングや接着剤を使用する等耐熱性の低いシール機構を使用しているために、熱変形や破損による気密漏れを起こす危険性があった.
【0009】
特許文献2においては、使用ガスをリターンさせているが、排気速度可変手段からでるパーティクルの発生を考慮していないため、パーティクルが発生している場合には半導体製造工程での使用が出来ない可能性があるという問題がある。
【0010】
産業利用を考えた場合には、大量の極低酸素ガスが必要になることが見込まれるが、従来までの酸素ポンプではリターン方式のため、全体のガス容量が一定であるので、大量のガスの需要に対応できない問題点があった.
【0011】
さらに、大量のガスの処理をする場合においては、既存の酸素ポンプではその処理能力が問題になる可能性が高いことが見込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の極低酸素濃度ガス生成装置は、1対の金属製管体と、前記各管体にそれぞれ接続され、前記管体からのガスが通過する中空を有するセラミック製固体電解質体と、前記固体電解質体の内面に設けられた内側電極及び外側電極とを有する酸素分子排出装置とを備え、前記管体は、前記固体電解質体を構成するセラミック材料の熱膨張係数とほぼ同じ金属材料で作られて前記固体電解質体と密封固着されており、かつ前記管体は、前記内側電極の一部を構成し、さらに、前記酸素分子排出装置を加熱する加熱装置と、前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加する印加手段と、前記酸素分子の排出時に電圧印加をONにし、前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加して中空を通過するガス中の酸素分圧を制御する制御装置とを備える。
【0013】
また本発明の極低酸素濃度ガス生成装置は、1対の金属製管体と、前記各管体にそれぞれ接続され、前記管体からのガスが通過する中空を有するジルコニア製固体電解質体と、前記固体電解質体の内面に設けられた金又は白金製の内側電極及び外側電極とを有する酸素分子排出装置とを備え、前記管体は、前記ジルコニア製固体電解質体の熱膨張係数とほぼ同じコバール材料で作られて前記固体電解質体と銀ロウ付けで固着されており、かつ前記管体は、前記白金製の内側電極と共に前記内側電極の一部を構成し、さらに、前記酸素分子排出装置を加熱する加熱装置と、前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加する印加手段と、前記酸素分子の排出時に電圧印加をONにし、前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加して中空を通過するガス中の酸素分圧を制御する制御装置とを備える。
【0014】
さらに、本発明の極低酸素濃度ガス生成装置は、1対の金属製管体と、前記各管体にそれぞれ接続され、前記管体からのガスが通過する中空を有するジルコニア製固体電解質体と、前記固体電解質体の内面に設けられた金又は白金製の内側電極及び外側電極とを有する酸素分子排出装置とを備え、前記管体は、前記ジルコニア製固体電解質体の熱膨張係数とほぼ同じコバール材料で作られて前記固体電解質体と銀ロウ付けで固着されており、かつ前記銀ロウ付け固着部分と前記管体とは、金又は白金で電解メッキを施した電解メッキ層と、電解メッキ部分を酸又はアルカリで前処理した後に無電解の金又は白金メッキを施した無電解メッキ層とを備え、さらに、前記酸素分子排出装置を加熱する加熱装置と、前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加する印加手段と、前記酸素分子の排出時に電圧印加をONにし、前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加して中空を通過するガス中の酸素分圧を制御する制御装置とを備える。
【0015】
極低酸素濃度ガス生成装置の酸素分圧は、前記酸素分子排出装置から排出された極低酸素濃度ガスを前記酸素分子排出装置に戻した場合、10のマイナス30乗気圧以下10のマイナス35乗気圧以上とすることが出来る。
【0016】
また、極低酸素濃度ガス生成装置の酸素分圧は、前記ガス中の酸素分圧は、前記酸素分子排出装置から排出させた場合、10のマイナス21乗気圧以下10のマイナス30乗気圧以上とすることが出来る。
【0017】
また、極低酸素濃度ガス生成装置の固体電解質体の長さを、20cm〜60cmとし、前記各管体の長さを、3cm〜60cmとすることが出来る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ガスのリターン経路の有無によらず、従来のものに比べてより低い酸素分圧を達成することが出来るので、酸化を防ぐ目的の工程を含む部分で効果を発揮できる。さらに、産業利用を目的としたパーティクルの無い、極低酸素ガスの供給を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1はガス中の酸素濃度が1×10のマイナス20乗〜1×10のマイナス35乗気圧の極めて低い酸素分圧を有する極低酸素濃度ガスを半導体等の製造装置に供給する本発明の実施の形態に係る極低酸素濃度ガス生成装置のガス経路図を示す。図1において、ガス経路は、不活性ガス等のガスの導入口17より導入されたガスの供給を開閉する開閉弁2と、開閉弁2を通ったガスの流量を設定値に制御するマスフローコントローラ(MFC)3と、マスフローコントローラ3を通ったガスを極めて低い酸素濃度のガスに生成する極低酸素濃度ガス生成装置4と、極低酸素濃度ガス生成装置4で生成された極めて低い酸素分圧を有する極低酸素濃度ガスの酸素分圧をモニタする酸素分圧センサ5と、極低酸素濃度ガス生成装置4で製造されたガスを導入して半導体等を製造する製造装置19を備える。
【0021】
極低酸素分圧ガスの酸素濃度制御装置は、所望の酸素分圧値を設定する酸素分圧設定部14と、製造装置19に供給する側の極低酸素濃度ガスの酸素分圧を測定する供給側酸素分圧センサ(A)5と製造装置から排出される側の極低酸素濃度ガスの酸素分圧を測定する排出側酸素分圧センサ(B)6とによるモニタ値を酸素分圧設定部14による設定値と比較して極低酸素濃度ガス生成装置4から送り出されるガスの酸素分圧を所定値に制御するPID制御方式による酸素分圧制御部15と、酸素分圧設定部14による酸素分圧設定値と供給側の酸素センサ5及び排気側の酸素分圧センサ6によるモニタ値とを表示する酸素分圧表示部16とを備える。
【0022】
極低酸素濃度ガス生成装置4から送り出される極低酸素濃度ガスを、直接に製造装置19に供給する場合、供給側酸素分圧センサ5の後にあるバルブ7を開いて製造装置19に極低酸素濃度ガスを供給する。したがって、製造装置19は極めて低い酸素分圧下での製造が可能となる。この製造装置19で使用された使用済みの極低酸素濃度ガスは、排気側の酸素分圧センサ6を通ってバルブ13に送り出される。このバルブ13は、極低酸素濃度ガスを極低酸素濃度ガス生成装置4にリターンさせるかどうかを選択する。
【0023】
製造装置で使用された極低酸素濃度ガスを極低酸素濃度ガス生成装置4にリターンさせて導入する場合は、製造装置19で使用された使用済みの極低酸素濃度ガスは、排気側酸素分圧センサ6で酸素分圧値がモニタされ、連続的差圧手段8、リターンガス中の異物を除去する異物除去手段9、タンクA10、及び、タンクB11を経由し、リターン配管12を通って極低酸素濃度ガス生成装置4に戻される。このとき、製造装置19での異物の発生を考慮すれば、バルブ13と連続的差圧手段8との間にもう一つ異物を除去する異物除去手段を取付けることが望ましい。
この場合、極低酸素濃度ガス生成装置4は、ガス中の酸素分圧が1×10のマイナス20乗〜1×10のマイナス35乗気圧の酸素濃度のガスを生成することが可能である。
【0024】
一方、製造装置19で使用された極低酸素濃度性ガスを極低酸素濃度ガス生成装置4にリターさせない場合は、バルブ13よりガス放出口18へとガスが供給されて直接に系外に排気される。この場合、極低酸素濃度ガス生成装置4は、ガス中の酸素分圧が10のマイナス21乗気圧以下10のマイナス30乗気圧以上の酸素濃度のガスを生成することが可能である。
【0025】
次に、極低酸素濃度ガス生成置4から送り出される極低酸素濃度ガスを直接に製造装置19に流すのではなく、一度タンクA10、及び、タンクB11に貯蔵して使用する場合について説明する。この場合、供給側酸素分圧センサ5の後にあるバルブ7により、連続的差圧手段8の後方からマスフローコントローラ3の間で発生する差圧とタンクの体積を持った極低酸素濃度ガスが貯蔵できる。ガスを循環させることで所定の酸素分圧に制御された極低酸素濃度ガスを製造装置19に供給することが可能となる。
【0026】
図2は、極低酸素濃度ガス生成装置4の断面図を示す。極低酸素濃度ガス生成装置4は、円柱状の容器25と、容器の内に配置された酸素分子排出装置26と、酸素分子排出装置26を加熱する加熱装置27と、酸素分子排出装置26から排出された酸素分子ガスと空気との酸素分子排出流路28とを備える。
【0027】
図3は、図2の極低酸素濃度ガス生成装置を構成する酸素分子排出装置を示す要部概略図である。
酸素分子排出装置26は、酸素イオン伝導性を有するジルコニア製固体電解質体21と、固体電解質体21の内外両面に配設され金又は白金よりなるネット状の電極22,23とを備える。ジルコニア製固体電解質体21は、両端部でコバール材からなる金属製管体20と銀ロウ付け固着される。固体電解質体の電極と管体とは、内側電極を構成する。極低酸素濃度ガス生成装置の内圧は、3kg/cm以下であり、通常0.1〜1.0kg/cmである。
【0028】
図4は、酸素分子排出装置26の作用を示す概略図である。酸素分子排出装置26の電極22,23間に直流電源Eに2ボルトの電圧を印加して電流Iを流すと、固体電解質体21の中空を流れるガス中の酸素分子が固体電解質表面でイオン化し、固体電解質の酸素イオン伝導性により内側から外側に酸素イオンが輸送され、固体電解質体21の外に放出される。このように極低酸素分圧ガス生成装置は、固体電解質体21内に導入されたガスが固体電解質体21内を通過する間に、ガス中の酸素分子を外気に排出して、極めて低い酸素分圧を有する極低酸素濃度ガスとして生成して、固体電解質体21から製造装置19に向けて供給する。図4において、●は、ガス、○○は、酸素分子、○は、酸素イオンである。
【0029】
固体電解質体21を構成する固体電解質 は、例えば、一般式(ZrO21-x-y(In23x(Y23y(0<x<0.20、0<y<020、0.08<x+y<0.20)で表されるジルコニア系が利用できる。その中でも、0<x<0.20、y=0であることが望ましく、さらに、0.06<x<0.12、y=0であることがより望ましい。
【0030】
固体電解質 は、上記に例示したもの以外に、例えば、Ba およびIn を含む複合Ba酸化物であって、この複合酸化物のBaの一部をLaで固溶置換したもの、特に、原子数比{La/(Ba+La)}を0.3以上としたものや、さらにInの一部をGaで置換したものや、一般式{Ln1-xSrxGa1-(y+z)MgyCoz3、ただし、Ln=La,Ndの1種または2種、x=0.05〜0.3、y=0〜0.29、z=0.01〜0.3、y+z=0.025〜0.3}で示されるものや、一般式{Ln(1-x)xGa(1-y-z)B1yB2z3-δ、ただし、Ln=La,Ce,Pr,Nd,Smの1種または2種以上、A=Sr,Ca,Baの1種または2種以上、B1=Mg,Al,Inの1種または2種以上、B2=Co,Fe,Ni,Cu の1種または2種以上}で示されるものや、一般式{Ln2-xxGe1-yLyO5、ただし、Ln=La,Ce,Pr,Sm,Nd,Gd,Yd,Y,Sc、M=Li,Na,K,Rb,Ca,Sr,Baの1種もしくは2種以上、L=Mg,Al,Ga,In,Mn,Cr,Cu,Znの1種もしくは2種以上}や、一般式{La(1-x)SrxGa(1-y-z)MgyAlz3、ただし、0<x≦0.2、0<y≦0.2、0<z<0.4}や、一般式{La(1-x)xGa(1-y-z)B1yB2z3、ただし、Ln=La,Ce,Pr,Sm,Ndの1種もしくは2種以上、A=Sr,Ca,Baの1種もしくは2種以上、B1=Mg,Al,Inの1種もしくは2種以上、B2=Co,Fe,Ni,Cuの1種もしくは2種以上、x=0.05〜0.3、y=0〜0.29、z=0.01〜0.3、y+z=0.025〜0.3}等が採用できる。
【0031】
上述した固体電解質体21の両端部と管体20との気密性の良さが酸素分圧に強い影響を与える。イオン伝導性を発揮させるために固体電解質は、加熱される。このため、従来は、両端部はOリングや、真空機器用接着剤を用いて気密性を保つていたが、耐熱性を考えて、空冷等の措置がとられていた。しかし、十分な機密性を得ることができなかった。本発明は、固体電解質体21の両端部と管体20との密封構造として、管体20と固体電解質体21とを金属のロウで接合することを採用する。その結果、耐熱温度が向上するため、高い気密性を得ることができ、より低い極低酸素分圧ガスを得ることができる。
【0032】
また、シール構造の耐熱性及び酸素分子排出装置26の機能向上を考慮すると酸素分子排出装置26を構成する固体電解質体21は一本よりも複数本あることが望ましく、かつそれぞれの固体電解質体21は長ければ長いほど酸素分子排出機能が良く、加熱部分から離れたところでシール機能を持たせることができる。よって管体20の耐熱性も考える必要がなくなる。しかしながら、固体電解質体21は、コストや取り扱いを考慮すると、15cm〜60cmの長さ有することが望ましい。片側の各管体20の長さは、3cm〜60cmであることが望ましい。
【0033】
固体電解質体21の両端部と管体20との密封を保つためのシール構造は、以下のようにして行った。
固体電解質体21の両端部と管体20とを銀ロウ付けにより固着する。次に、銀ロウ付け固着部分及び金属製管体に金又は白金で電解メッキを施す。そして、電解メッキ部分を酸又はアルカリで前処理した後、固体電解質体21にも同時に無電解白金メッキを施す。
【0034】
酸素分圧センサ5,6に使用されている固体電解質についても、管体部品との気密性の理由からシール機構にロウ付けを使用することが望ましい。多孔質白金電極は特許文献3に記載された電極形状を用いて行うことで、熱力学に基づくネルンストの式により直接酸素分圧を計算できる。
【0035】
上述したように、固体電解質体の両端部と管体との密封を保つためのシール構造により、極低酸素濃度ガス生成装置及び配管を備える極低酸素濃度ガス生成装置のガス経路におけるガス中の金属汚染が定量下限以下になることが分析結果より得られた。分析方法は、1対の金属製管体と接続された固体電解質体にアルゴンガスを通気し、その後さらに蒸留水中に通気してガス中の金属原子を蒸留水に捕集した。その後、捕集した蒸留水中の金属をICP−MS法(誘導結合プラズマ質量分析法)にて分析した。その結果は以下の通りである。
【0036】
極低酸素濃度ガス生成装置中のFe、Cr、Ni、Al、Ag、Cu、Ptはそれぞれ1ng/m以下、また配管を備える極低酸素濃度ガス生成装置のガス経路中のFe、Cr、Ni、Al、Ag、Cu、Ptはそれぞれ1ng/m以下である。
【実施例1】
【0037】
本実施例では、図5及び図6に示すように、固体電解質体として長さが50cmの6%モルのイットリアをドープしたジルコニア管を6本用いた。管体20とジルコニア管26との気密性は銀ロウ付けにより接合することで強度、耐熱性を向上させた。ジルコニア管は6本を並列にして配設した。ジルコニア管の上下に加熱ヒータが配設される。
【0038】
ガス導入口よりアルゴンガスを導入し、マスフローコントローラで2L/min.となるように設定した。600℃に加熱された酸素分子排出装置26には電極間に電圧として2V印加した。なお、固体電解質体の外側にはパージガスとして空気を流した状態としておく。
【0039】
続いて、酸素分子排出装置内のジルコニア管を通過した酸素分圧を低減させたガスを酸素センサに導き、酸素分圧を測定した。なお、酸素分圧の測定には固体電解質体の内外の酸素分圧差に伴う濃淡電池反応による起電力を用いた。このとき、約2時間で酸素分圧は4.6×10マイナス28乗気圧を示した.本実施例は、製造装置で使用された極低酸素濃度性ガスを極低酸素濃度ガス生成装置4にリターンさせない場合である。
【実施例2】
【0040】
本実施例では、酸素分子排出装置は実施例1と同じものを使用した。実施例1と同様にガス導入口よりアルゴンガスを導入し、マスフローコントローラで2L/min.となるように設定した。既に600℃に加熱された酸素分子排出装置は、電極間に電圧として2V印加した。なお、固体電解質の外側にはパージガスとして空気を流した状態とした。
【0041】
続いて、同様にガスを固体電解質体、酸素分圧センサを通過させるのであるが、本実施例では、酸素分圧を低減させたガスをリターンさせた。ガスをリターンさせるための連続的差圧手段としてダイアフラムポンプ、異物除去手段としてパーティクルフィルタを使用し、ガスはそれらを通過させて、酸素分子排出装置にリターンさせた。リターンした低酸素分圧ガスを何度も酸素分子排出装置を通過させた。本実施例では、タンクを使用せず、タンクの代わりに配管経路をショートカットさせた。約二時間後に酸素分圧を測定したところ、酸素分圧は3.3×10マイナス34乗気圧を示した。
【実施例3】
【0042】
本実施例では、酸素分子排出装置は実施例1及び2と同じものを使用した。実施例1、2と同様にガス導入口よりアルゴンガスを導入し、マスフローコントローラで2L/min.となるように設定した。既に600℃に加熱された酸素分子排出装置は電極間に電圧として2V印加した。なお、固体電解質の外側にはパージガスとして空気を流した状態としておく。
【0043】
続いて、同様にガスを固体電解質体、酸素分圧センサを通過させるのであるが、本実施例では、39リットルタンクが2つあること以外は実施例2とほぼ同じ方法で酸素分圧を低減させたガスをリターンさせた。ガスを何度も酸素分子排出装置を通過させた。タンク内には4気圧のガスが充填され、最初にガスをタンクに充填した後、約2時間でタンク内の酸素分圧は2.1×10マイナス31乗気圧を示した
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、低酸素分圧ガスを使用して製品を製造する分野で利用することが出来、特に半導体製造装置、液晶製造装置、電気・電子部品製造装置、食品製造装置等に利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る極低酸素濃度ガス生成装置を備える極低酸素濃度ガスの流路を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る酸素分子排出装置を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係る酸素分子排出装置の要部を示す平面図である。
【図4】本発明に係る酸素分子排出装置の原理を説明する概略構成断面図である。
【図5】本発明に係る酸素分子排出装置を6本並列に配設状態示す概略断面図である。
【図6】本発明に係る酸素分子排出装置を6本並列に配設状態示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 極低酸素濃度ガスの流路
4 極低酸素濃度ガス生成装置
5、6 酸素分圧センサ
8 連続的差圧手段
9 異物除去手段
10 酸素分圧表示部
10、11 ガス貯蔵タンク
12 リターン配管
14 酸素分圧設定部
15 酸素分圧制御部
16 酸素分圧表示部
20 管体
21 固体電解質体
22、23 電極
24 ロウ付け部分
25 容器
26 酸素分子排出装置
27 加熱ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の金属製管体と、
前記各管体にそれぞれ接続され、前記管体からのガスが通過する中空を有するセラミック製固体電解質体と、
前記固体電解質体の内面に設けられた内側電極及び外側電極とを有する酸素分子排出装置とを備え、
前記管体は、前記固体電解質体を構成するセラミック材料の熱膨張係数とほぼ同じ金属材料で作られて前記固体電解質体と密封固着されており、かつ前記管体は、前記内側電極の一部を構成し、さらに、
前記酸素分子排出装置を加熱する加熱装置と、
前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加する印加手段と、
前記酸素分子の排出時に電圧印加をONにし、前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加して中空を通過するガス中の酸素分圧を制御する制御装置と
を備えることを特徴とする極低酸素濃度ガス生成装置。
【請求項2】
1対の金属製管体と、
前記各管体にそれぞれ接続され、前記管体からのガスが通過する中空を有するジルコニア製固体電解質体と、
前記固体電解質体の内面に設けられた金又は白金製の内側電極及び外側電極とを有する酸素分子排出装置とを備え、
前記管体は、前記ジルコニア製固体電解質体の熱膨張係数とほぼ同じコバール材料で作られて前記固体電解質体と銀ロウ付けで固着されており、かつ前記管体は、前記白金製の内側電極と共に前記内側電極の一部を構成し、さらに、
前記酸素分子排出装置を加熱する加熱装置と、
前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加する印加手段と、
前記酸素分子の排出時に電圧印加をONにし、前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加して中空を通過するガス中の酸素分圧を制御する制御装置と
を備えることを特徴とする極低酸素濃度ガス生成装置。
【請求項3】
1対の金属製管体と、
前記各管体にそれぞれ接続され、前記管体からのガスが通過する中空を有するジルコニア製固体電解質体と、
前記固体電解質体の内面に設けられた金又は白金製の内側電極及び外側電極とを有する酸素分子排出装置とを備え、
前記管体は、前記ジルコニア製固体電解質体の熱膨張係数とほぼ同じコバール材料で作られて前記固体電解質体と銀ロウ付けで固着されており、かつ前記銀ロウ付け固着部分と前記管体とは、金又は白金で電解メッキを施した電解メッキ層と、電解メッキ部分を酸又はアルカリで前処理した後に無電解の金又は白金メッキを施した無電解メッキ層とを備え、さらに、
前記酸素分子排出装置を加熱する加熱装置と、
前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加する印加手段と、
前記酸素分子の排出時に電圧印加をONにし、前記酸素分子排出装置の電極間に電圧を印加して中空を通過するガス中の酸素分圧を制御する制御装置と
を備えることを特徴とする極低酸素濃度ガス生成装置。
【請求項4】
前記ガス中の酸素分圧は、前記酸素分子排出装置から排出された極低酸素濃度ガスを前記酸素分子排出装置に戻した場合、10のマイナス30乗気圧以下10のマイナス35乗気圧以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の極低酸素濃度ガス生成装置。
【請求項5】
前記ガス中の酸素分圧は、前記酸素分子排出装置から排出させた場合、10のマイナス21乗気圧以下10のマイナス30乗気圧以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の極低酸素濃度ガス生成装置。
【請求項6】
前記固体電解質体の長さは、20cm〜60cmであり、前記各管体の長さは、3cm〜60cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の極低酸素濃度ガス生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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